(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】節杭及び継ぎ杭
(51)【国際特許分類】
E02D 5/30 20060101AFI20220117BHJP
E02D 5/48 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
E02D5/30 Z
E02D5/48
(21)【出願番号】P 2016201539
(22)【出願日】2016-10-13
【審査請求日】2019-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193286
【氏名又は名称】圷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】菅 一雅
(72)【発明者】
【氏名】今 広人
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-053829(JP,U)
【文献】特開平05-009933(JP,A)
【文献】特開2001-098544(JP,A)
【文献】特開2005-240504(JP,A)
【文献】特開2006-090051(JP,A)
【文献】特開2007-315027(JP,A)
【文献】特開2010-048039(JP,A)
【文献】特開2011-017248(JP,A)
【文献】特開2012-241500(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011777(WO,A1)
【文献】小椋仁志 他,「既製杭のプレボーリング拡大根固め工法の拡大掘削径と鉛直支持力」,GBRC,Vol.32 No.1,財団法人 日本建築総合試験所,2007年01月,pp.10-21,http://www.japanpile.co.jp/ir/treatise/article/5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/30
E02D 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の本体部と、
前記本体部の外周面から突出する少なくとも2つの節部とを備え、
前記本体部及び前記節部はコンクリートを含み、
前記本体部の軸線方向における、前記本体部側の前記節部の根元の長さをLrとし、
前記本体部の軸線方向における、前記本体部とは反対側の前記節部の頭部の長さをLtとし、
前記本体部の外径をDpとし、
前記本体部の径方向における前記本体部からの前記節部の突出高さをLhとし
たとき、
以下の式:
Lr-2×(3^0.5)×Lh≦Lt≦Lr-2/(3^0.5)×Lh
で示される関係を満た
し、
前記本体部の外径Dpは600mm以上1400mm以下であり、
前記節部の根元の長さLrは230mm以上300mm以下であり、
前記節部の頭部の長さLtは130mm以上200mm以下であり、
前記節部の突出高さLhは40mm以上100mm以下であり、
前記節部のせん断耐力は、前記節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
い
ことを特徴とする節杭。
【請求項2】
前記コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、
前記節部の根元の長さLrは230mm以上300mm以下であり、
前記節部の頭部の長さLtは130mm以上200mm以下であり、
前記節部の突出高さLhは50mmであり、
前記少なくとも2つの節部のピッチは1mであり、
前記節部は、
以下の式:
Lr>380×(Dp+2×Lh)/(τ×Dp)
で示される関係を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の節杭。
【請求項3】
前記節部の根元の長さLrは300mmであり、
前記節部の頭部の長さLtは200mmであ
る
ことを特徴とする請求項2に記載の節杭。
【請求項4】
第1節杭と、前記第1節杭に連結された第2節杭とを備える継ぎ杭において、
前記第1節杭は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部は第1コンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度をτ1としたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満た
し、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ1×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2節杭は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は第2コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2とし、
前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度をτ2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満た
し、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第2節部の根元の長さLr2は300mmであり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は100mmであり、
前記第2節部の突出高さLh2は100mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ2×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい
ことを特徴とする継ぎ杭。
【請求項5】
第1部分と、前記第1部分に一体に連なる第2部分とを備える節杭において、
前記第1部分は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部はコンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満た
し、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2部分は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は前記コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満た
し、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第2節部の根元の長さLr2は300mmであり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は100mmであり、
前記第2節部の突出高さLh2は100mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい
ことを特徴とする節杭。
【請求項6】
第1節杭と、前記第1節杭に連結された第2節杭とを備える継ぎ杭において、
前記第1節杭は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部は第1コンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度をτ1としたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満た
し、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ1×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2節杭は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は第2コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2とし、
前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度をτ2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満た
し、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第2節部の根元の長さLr2は230mm以上300mm以下であり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は130mm以上200mm以下であり、
前記第2節部の突出高さLh2は50mmであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ2×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい
ことを特徴とする継ぎ杭。
【請求項7】
第1部分と、前記第1部分に一体に連なる第2部分とを備える節杭において、
前記第1部分は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部はコンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満た
し、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2部分は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は前記コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh
2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満た
し、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大き
く、
前記第2節部の根元の長さLr2は230mm以上300mm以下であり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は130mm以上200mm以下であり、
前記第2節部の突出高さLh2は50mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい
ことを特徴とする節杭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は節杭及び継ぎ杭に関する。
【背景技術】
【0002】
杭基礎に適用される既製杭には、大別すると、支持杭と摩擦杭とがある。支持杭の先端(底面)は支持層まで到達させられ、支持杭は、先端に作用する上向きの力によって上部構造を支持する。摩擦杭では、摩擦杭の周面に作用する摩擦力によって上部構造を支持する。
摩擦杭として、従来から節杭が用いられている。節杭は、本体部(軸部)と、本体部から径方向外方に突出する複数の環状の節部とを有している(例えば特許文献1参照)。節杭の使用方法としては、複数の節杭を連結して継ぎ杭として用いる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
節杭を囲むソイルセメント(根固め部又は杭周部)と杭孔の周面との間に生ずる杭周面摩擦支持力は、ソイルセメントを介して節杭に作用し、節杭の節部にせん断力が発生する。杭周面摩擦支持力は、砂質地盤における基礎杭の周面摩擦係数によっても変化するが、節部のせん断耐力は、短期時に生ずる杭周面摩擦支持力の最大値(短期最大杭周面摩擦支持力)よりも大きいことが望ましい。
一方、節杭において、水平耐力の向上のために、本体部の外径を大きくすることが考えられる。ただしこの場合、節部の形状を変更せずに、従来の節部の根元部分を囲むように本体部の外径を大きくすると、本体部と節部の接触面積(節部根元面積)が小さくなる。そしてこの結果として、節部のせん断耐力が低下してしまう。このように節部のせん断耐力が低下した場合、節部のせん断耐力が短期最大杭周面摩擦支持力よりも小さくなってしまう。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、節部に作用するせん断力よりも節部のせん断耐力が大きい節杭及び継ぎ杭を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る節杭は、
円筒形状の本体部と、
前記本体部の外周面から突出する少なくとも2つの節部とを備え、
前記本体部及び前記節部はコンクリートを含み、
前記本体部の軸線方向における、前記本体部側の前記節部の根元の長さをLrとし、
前記本体部の軸線方向における、前記本体部とは反対側の前記節部の頭部の長さをLt
とし、
前記本体部の外径をDpとし、
前記本体部の径方向における前記本体部からの前記節部の突出高さをLhとしたとき、
以下の式:
Lr-2×(3^0.5)×Lh≦Lt≦Lr-2/(3^0.5)×Lh
で示される関係を満たし、
前記本体部の外径Dpは600mm以上1400mm以下であり、
前記節部の根元の長さLrは230mm以上300mm以下であり、
前記節部の頭部の長さLtは130mm以上200mm以下であり、
前記節部の突出高さLhは40mm以上100mm以下であり、
前記節部のせん断耐力は、前記節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きい。
【0007】
上記構成(1)によれば、節部の根元の長さLr、及び、節部の突出高さLhが所定の関係を満たすととともに、節部が、少なくとも2つの節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有している。このため、本体部と節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、節部に作用するせん断力よりも節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(1)によれば、節部の頭部の長さLt、節部の根元の長さLr、及び、節部の突出高さLhが所定の関係を満たしており、節部の頭部の長さLtが十分に確保される。このため、節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、
前記節部の根元の長さLrは230mm以上300mm以下であり、
前記節部の頭部の長さLtは130mm以上200mm以下であり、
前記節部の突出高さLhは50mmであり、
前記少なくとも2つの節部のピッチは1mであり、
前記節部は、
以下の式:
Lr>380×(Dp+2×Lh)/(τ×Dp)
で示される関係を満たす。
上記構成(2)によれば、節部の根元の長さLrが230mm以上300mm以下であり、節部の突出高さLhが50mmであるので、本体部と節部との接触面積が十分に確保され、節部のせん断耐力が十分に確保される。
また、上記構成(2)によれば、節部の頭部の長さLtが130mm以上200mm以下であり、節部の頭部の長さLtが十分に確保される。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、
前記節部の根元の長さLrは300mmであり、
前記節部の頭部の長さLtは200mmである。
上記構成(3)によれば、節部の根元の長さLrが300mmであり、節部の突出高さLhが50mmであるので、本体部と節部との接触面積が十分に確保され、節部のせん断耐力が十分に確保される。
また、上記構成(3)によれば、節部の頭部の長さLtが200mmであり、節部の頭部の長さLtが十分に確保される。
【0010】
(4)本発明の少なくとも一実施形態に係る継ぎ杭は、
第1節杭と、前記第1節杭に連結された第2節杭とを備える継ぎ杭において、
前記第1節杭は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部は第1コンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度をτ1としたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満たし、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ1×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2節杭は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は第2コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2とし、
前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度をτ2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満たし、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第2節部の根元の長さLr2は300mmであり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は100mmであり、
前記第2節部の突出高さLh2は100mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ2×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい。
【0011】
上記構成(4)によれば、第1節杭において、第1節部の根元の長さLr1、第1本体部の外径Dp1、第1節部の突出高さLh1、及び、第1コンクリートの短期せん断許容応力度τ1が所定の関係を満たした上で、第1節部が、少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第1節部の根元の長さLr1が230mm以上300mm以下であり、第1節部の突出高さLh1が50mmであり、少なくとも2つの第1節部のピッチが1mであるので、第1本体部と第1節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第1節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第1節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部に作用するせん断力よりも第1節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(4)によれば、第1節杭において、第1節部の頭部の長さLt1、第1節部の根元の長さLr1、及び、第1節部の突出高さLh1が所定の関係を満たした上で、第1節部の頭部の長さLt1が130mm以上200mm以下であり、第1節部の頭部の長さLt1が十分に確保される。このため、第1節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
一方、上記構成(4)によれば、第2節杭において、第2節部の根元の長さLr2、第2本体部の外径Dp2、第2節部の突出高さLh2、及び、第2コンクリートの短期せん断許容応力度τ2が所定の関係を満たした上で、第2節部が、少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第2節部の根元の長さLr2が300mmであり、第2節部の突出高さLh2が100mmであり、少なくとも2つの第2節部のピッチが1mであるので、第2本体部と第2節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第2節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第2節部に作用するせん断力よりも第2節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(4)によれば、第2節杭において、第2節部の頭部の長さLt2、第2節部の根元の長さLr2、及び、第2節部の突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部の頭部の長さLt2が100mmであり、第2節部の頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
かくして、上記構成(4)によれば、第1節杭及び第2節杭によって構成される継ぎ杭全体としても、第1本体部と第1節部との接触面積及び第2本体部と第2節部との接触面積が十分に確保され、継ぎ杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部及び第2節部に作用するせん断力よりも第1節部及び第2節部のせん断耐力がそれぞれ大きい。
また、上記構成(4)によれば、第1節杭及び第2節杭によって構成される継ぎ杭全体としても、第1節部及び第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
更に、上記構成(4)によれば、第1本体部の外径Dp1が第2本体部の外径Dp2よりも大きいので、第1節杭の水平耐力を第2節杭よりも大きくすることができる。
【0012】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る節杭は、
第1部分と、前記第1部分に一体に連なる第2部分とを備える節杭において、
前記第1部分は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部はコンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満たし、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2部分は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は前記コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満たし、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第2節部の根元の長さLr2は300mmであり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は100mmであり、
前記第2節部の突出高さLh2は100mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい。
【0013】
上記構成(5)によれば、第1部分において、第1節部の根元の長さLr1、第1本体部の外径Dp1、第1節部の突出高さLh1、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第1節部が、少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第1節部の根元の長さLr1が230mm以上300mm以下であり、第1節部の突出高さLh1が50mmであり、少なくとも2つの第1節部のピッチが1mであるので、第1本体部と第1節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第1節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第1部分に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部に作用するせん断力よりも第1節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(5)によれば、第1部分において、第1節部の頭部の長さLt1、第1節部の根元の長さLr1、及び、第1節部の突出高さLh1が所定の関係を満たした上で、第1節部の頭部の長さLt1が130mm以上200mm以下であり、第1節部の頭部の長さLt1が十分に確保される。このため、第1節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
一方、上記構成(5)によれば、第2部分において、第2節部の根元の長さLr2、第2本体部の外径Dp2、第2節部の突出高さLh2、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第2節部が、少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第2節部の根元の長さLr2が300mmであり、第2節部の突出高さLh2が100mmであり、少なくとも2つの第2節部のピッチが1mであるので、第2本体部と第2節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第2部分に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第2節部に作用するせん断力よりも第2節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(5)によれば、第2部分において、第2節部の頭部の長さLt2、第2節部の根元の長さLr2、及び、第2節部の突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部の頭部の長さLt2が100mmであり、第2節部の頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
かくして、上記構成(5)によれば、第1部分及び第2部分によって構成される節杭全体としても、第1本体部と第1節部との接触面積及び第2本体部と第2節部との接触面積が十分に確保され、節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部及び第2節部に作用するせん断力よりも第1節部及び第2節部のせん断耐力がそれぞれ大きい。
また、上記構成(5)によれば、第1部分及び第2部分によって構成される節杭全体としても、第1節部及び第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
更に、上記構成(5)によれば、第1本体部の外径Dp1が第2本体部の外径Dp2よりも大きいので、第1部分の水平耐力を第2部分よりも大きくすることができる。
【0014】
(6)本発明の少なくとも一実施形態に係る継ぎ杭は、
第1節杭と、前記第1節杭に連結された第2節杭とを備える継ぎ杭において、
前記第1節杭は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部は第1コンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度をτ1としたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満たし、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記第1コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ1×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2節杭は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は第2コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2とし、
前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度をτ2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満たし、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記第2コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第2節部の根元の長さLr2は230mm以上300mm以下であり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は130mm以上200mm以下であり、
前記第2節部の突出高さLh2は50mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ2×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい。
【0015】
上記構成(6)によれば、第1節杭において、第1節部の根元の長さLr1、第1本体部の外径Dp1、第1節部の突出高さLh1、及び、第1コンクリートの短期せん断許容応力度τ1が所定の関係を満たした上で、第1節部が、少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第1節部の根元の長さLr1が230mm以上300mm以下であり、第1節部の突出高さLh1が50mmであり、少なくとも2つの第1節部のピッチが1mであるので、第1本体部と第1節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第1節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第1節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部に作用するせん断力よりも第1節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(6)によれば、第1節杭において、第1節部の頭部の長さLt1、第1節部の根元の長さLr1、及び、第1節部の突出高さLh1が所定の関係を満たした上で、第1節部の頭部の長さLt1が130mm以上200mm以下であり、第1節部の頭部の長さLt1が十分に確保される。このため、第1節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
一方、上記構成(6)によれば、第2節杭において、第2節部の根元の長さLr2、第2本体部の外径Dp2、第2節部の突出高さLh2、及び、第2コンクリートの短期せん断許容応力度τ2が所定の関係を満たした上で、第2節部が、少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第2節部の根元の長さLr2が230mm以上300mm以下であり、第2節部の突出高さLh2が50mmであり、少なくとも2つの第2節部のピッチが1mであるので、第2本体部と第2節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第2節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第2節部に作用するせん断力よりも第2節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(6)によれば、第2節杭において、第2節部の頭部の長さLt2、第2節部の根元の長さLr2、及び、第2節部の突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部の頭部の長さLt2が130mm以上200mm以下であり、第2節部の頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
かくして、上記構成(6)によれば、第1節杭及び第2節杭によって構成される継ぎ杭全体としても、第1本体部と第1節部との接触面積及び第2本体部と第2節部との接触面積が十分に確保され、継ぎ杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部及び第2節部に作用するせん断力よりも第1節部及び第2節部のせん断耐力がそれぞれ大きい。
また、上記構成(6)によれば、第1節杭及び第2節杭によって構成される継ぎ杭全体としても、第1節部及び第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
更に、上記構成(6)によれば、第1本体部の外径Dp1が第2本体部の外径Dp2よりも大きいので、第1節杭の水平耐力を第2節杭よりも大きくすることができる。
【0016】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る節杭は、
第1部分と、前記第1部分に一体に連なる第2部分とを備える節杭において、
前記第1部分は、
円筒形状の第1本体部と、
前記第1本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第1節部とを含み、
前記第1本体部及び前記第1節部はコンクリートを含み、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部側の前記第1節部の根元の長さをLr1とし、
前記第1本体部の軸線方向における、前記第1本体部とは反対側の前記第1節部の頭部の長さをLt1とし、
前記第1本体部の外径をDp1とし、
前記第1本体部の径方向における前記第1本体部からの前記第1節部の突出高さをLh1とし、
前記コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、
以下の式:
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係を満たし、
前記第1節部のせん断耐力は、前記第1節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第1節部の根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、
前記第1節部の頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、
前記第1節部の突出高さLh1は50mmであり、
前記少なくとも2つの第1節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ×Dp1)
で示される関係を満たし、
前記第2部分は、
円筒形状の第2本体部と、
前記第2本体部の外周面から突出する少なくとも2つの第2節部とを含み、
前記第2本体部及び前記第2節部は前記コンクリートを含み、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部側の前記第2節部の根元の長さをLr2とし、
前記第2本体部の軸線方向における、前記第2本体部とは反対側の前記第2節部の頭部の長さをLt2とし、
前記第2本体部の外径をDp2とし、
前記第2本体部の径方向における前記第2本体部からの前記第2節部の突出高さをLh2としたとき、
以下の式:
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係を満たし、
前記第2節部のせん断耐力は、前記第2節部の根元面積及び前記コンクリートの短期せん断許容応力度によって定まり、且つ、前記少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きく、
前記第2節部の根元の長さLr2は230mm以上300mm以下であり、
前記第2節部の頭部の長さLt2は130mm以上200mm以下であり、
前記第2節部の突出高さLh2は50mmであり、
前記少なくとも2つの第2節部のピッチは1mであり、
以下の式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ×Dp2)
で示される関係を満たし、
前記第1本体部の外径Dp1は、前記第2本体部の外径Dp2よりも大きい。
【0017】
上記構成(7)によれば、第1部分において、第1節部の根元の長さLr1、第1本体部の外径Dp1、第1節部の突出高さLh1、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第1節部が、少なくとも2つの第1節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第1節部の根元の長さLr1が230mm以上300mm以下であり、第1節部の突出高さLh1が50mmであり、少なくとも2つの第1節部のピッチが1mであるので、第1本体部と第1節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第1節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第1部分に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部に作用するせん断力よりも第1節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(7)によれば、第1部分において、第1節部の頭部の長さLt1、第1節部の根元の長さLr1、及び、第1節部の突出高さLh1が所定の関係を満たした上で、第1節部の頭部の長さLt1が130mm以上200mm以下であり、第1節部の頭部の長さLt1が十分に確保される。このため、第1節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
一方、上記構成(7)によれば、第2部分において、第2節部の根元の長さLr2、第2本体部の外径Dp2、第2節部の突出高さLh2、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第2節部が、少なくとも2つの第2節部のピッチ当たりの短期最大杭周面摩擦支持力よりも大きなせん断耐力を有し、第2節部の根元の長さLr2が230mm以上300mm以下であり、第2節部の突出高さLh2が50mmであり、少なくとも2つの第2節部のピッチが1mであるので、第2本体部と第2節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部のせん断耐力が十分に確保される。この結果として、第2部分に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第2節部に作用するせん断力よりも第2節部のせん断耐力が大きい。
また、上記構成(7)によれば、第2部分において、第2節部の頭部の長さLt2、第2節部の根元の長さLr2、及び、第2節部の突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部の頭部の長さLt2が130mm以上200mm以下であり、第2節部の頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
かくして、上記構成(7)によれば、第1部分及び第2部分によって構成される節杭全体としても、第1本体部と第1節部との接触面積及び第2本体部と第2節部との接触面積が十分に確保され、節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第1節部及び第2節部に作用するせん断力よりも第1節部及び第2節部のせん断耐力がそれぞれ大きい。
また、上記構成(7)によれば、第1部分及び第2部分によって構成される節杭全体としても、第1節部及び第2節部の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力を実現することができる。
更に、上記構成(7)によれば、第1本体部の外径Dp1が第2本体部の外径Dp2よりも大きいので、第1部分の水平耐力を第2部分よりも大きくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、節杭に短期最大杭周面摩擦支持力が作用したときでも、節部に作用するせん断力よりも節部のせん断耐力が大きい節杭及び継ぎ杭が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る節杭が、ストレート杭とともに地盤に埋設された状態を概略的に示す図である。
【
図2】
図1中の節杭を相互に連結して構成された継ぎ杭を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図1中の節杭を概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
【
図5】
図1中の節杭を概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
【
図7】
図2の領域VIIの概略的な拡大図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
【
図8】基礎杭に短期時に作用する杭周面摩擦支持力(短期杭周面摩擦支持力)R1と節部に作用するせん断力を説明するための図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る節杭を概略的に示す側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る継ぎ杭を概略的に示す側面図である。
【
図11】
図10の継ぎ杭に用いられた第2節杭を概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る節杭を概略的に示す側面図である。
【
図14】実施例及び比較例の節杭における、節部の外径、本体部の外径、コンクリート設計基準強度、節部のせん断耐力、短期最大杭周面摩擦支持力、及び、F1がRmaxよりも大きいか否かを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る節杭2a,2bが、ストレート杭4とともに地盤6に埋設された状態を概略的に示す図である。
図2は、節杭2a,2bを相互に連結して構成された継ぎ杭8aを概略的に示す側面図である。
図3は、節杭2aを概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
図4は、
図3中の領域IVの概略的な拡大図である。
図5は、節杭2bを概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
図6は、
図5中の領域VIの概略的な拡大図である。
図7は、
図2の領域VIIの概略的な拡大図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
【0022】
図1に示したように、2本の節杭2a,2b及びストレート杭4は直列に連結されて1本の継ぎ杭10を構成している。継ぎ杭10は、図示しない上部構造を支持可能である。
【0023】
より詳しくは、継ぎ杭10は、地盤6に予め掘削された杭孔11の内部に沈設されている。杭孔11の底部には、根固め液が注入され、根固め液が硬化することによって、継ぎ杭10の下端部を囲む根固め部12が形成されている。また、杭孔11の底部よりも上方には、杭周液が注入され、杭周液が硬化することによって、継ぎ杭10を囲む杭周部14が形成される。継ぎ杭10は、根固め部12及び杭周部14を介して地盤6によって支持されている。根固め液及び杭周液は、それぞれセメント成分を含んでおり、セメント成分が地盤6の掘削によって発生した土砂と混合されてから硬化することによって根固め部12及び杭周部14がそれぞれ形成される。節杭2a,2b、ストレート杭4、根固め部12及び杭周部14は1つの基礎杭15を構成する。
【0024】
図3及び
図4に示したように、節杭2aは、本体部(軸部)16aと、本体部16aと一体に成形された少なくとも1つの節部18aとを有する。本体部16a及び節部18aは、コンクリートによって構成されている。本体部16は、円筒形状を有している。本体部16の各上下端面には環状の端板20aが固定されていてもよく、端板20a同士の間に第1本体部16aを貫通してPC鋼棒22aが架け渡されていてもよい。また、本体部16aの両端部の外周面は金属製の円筒形状のカバー24aによって覆われていてもよく、本体部16aの内部には、図示しないけれども螺旋形状若しくは直線形状の補強筋が埋設されていてもよい。
【0025】
第1節部18aは、第1本体部16aの円筒形状の外周面26aから第1本体部16aの径方向に突出している。第1節部18aは、第1本体部16aの外周面26aの一部を囲むように環形状を有する。第1節部18aは、例えば円筒形状の外周面28aを有し、第1本体部16aの外周面26aと第1節部18aの外周面28aは同心上に配置されている。また、第1節部18aは、第1本体部16aの軸線方向にて両側に、テーパ形状の段差面30aを有し、第1本体部16aの外周面26aと第1節部18aの外周面28aは、段差面30aを介して連なっている。例えば、第1本体部16aの外周面26と段差面30aとがなす角度θaは30°~60°であり、好ましくは45°である。
【0026】
節杭2aでは、本体部16aの軸線方向における、本体部16a側の節部18aの根元の長さをLrとし、本体部16aの軸線方向における、本体部16aとは反対側の節部18aの頭部の長さをLtとし、本体部16aの外径をDpとし、本体部16aの径方向における本体部16aからの節部18aの突出高さをLhとし、コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、以下の2つの式:
Lr>380×(Dp+2×Lh)/(τ×Dp)
Lr-2×(3^0.5)×Lh≦Lt≦Lr-2/(3^0.5)×Lh
で示される関係がそれぞれ満たされている。
また、節部18aの外径をDnとすると、突出高さLhは次式:Lh=(Dn-Dp)/2にて表される。
【0027】
なお、本明細書では、節杭2a、本体部16a及び節部18aをそれぞれ第1節杭2a、第1本体部16a及び第1節部18aとも称し、第1本体部16a及び第1節部18aを構成するコンクリートを第1コンクリートとも称する。そして、第1本体部16a側の第1節部18aの根元の長さLrをLr1とも称し、第1節部18aの頭部の長さLtをLt1とも称し、第1本体部16aの外径DpをDp1とも称し、第1節部18aの外径DnをDn1とも称し、第1節部18aの突出高さLhをLh1とも称し、第1コンクリートの短期せん断許容応力度τをτ1とも称する。
【0028】
図5及び
図6に示したように、節杭2bは、本体部(軸部)16bと、本体部16bと一体に成形された少なくとも1つの節部18bとを有する。本体部16b及び節部18bは、コンクリートによって構成されている。本体部16bは、円筒形状を有している。本体部16bの各上下端面には環状の端板20bが固定されていてもよく、端板20b同士の間に本体部16bを貫通してPC鋼棒22bが架け渡されていてもよい。また、本体部16bの両端部の外周面は金属製の円筒形状のカバー24bによって覆われていてもよく、本体部16bの内部には、図示しないけれども螺旋形状若しくは直線形状の補強筋が埋設されていてもよい。
【0029】
第2節部18bは、第2本体部16bの円筒形状の外周面26bから第2本体部16bの径方向に突出している。第2節部18bは、第2本体部16bの外周面26bの一部を囲むように環形状を有する。第2節部18bは、例えば円筒形状の外周面28bを有し、第2本体部16bの外周面26bと第2節部18bの外周面28bは同心上に配置されている。また、第2節部18bは、第2本体部16bの軸線方向にて両側に、テーパ形状の段差面30bを有し、第2本体部16bの外周面26bと第2節部18bの外周面28bは、段差面30bを介して連なっている。例えば、第2本体部16bの外周面26bと段差面30bとがなす角度θbは30°~60°であり、好ましくは45°である。
【0030】
節杭2bでは、本体部16bの軸線方向における、本体部16b側の節部18bの根元の長さをLrとし、本体部16bの軸線方向における、本体部16bとは反対側の節部18bの頭部の長さをLtとし、本体部16bの外径をDpとし、本体部16bの径方向における本体部16bからの節部18bの突出高さをLhとし、コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、以下の2つの式:
Lr>380×(Dp+2×Lh)/(τ×Dp)
Lr-2×(3^0.5)×Lh≦Lt≦Lr-2/(3^0.5)×Lh
で示される関係がそれぞれ満たされている。
また、節部18bの外径をDnとすると、突出高さLhは次式:Lh=(Dn-Dp)/2にて表される。
【0031】
なお、本明細書では、節杭2b、本体部16b及び節部18bをそれぞれ第2節杭2b、第2本体部16b及び第2節部18bとも称し、第2本体部16b及び第2節部18bを構成するコンクリートを第2コンクリートとも称する。そして、第2本体部16b側の第2節部18bの根元の長さLrをLr2とも称し、第2節部18bの頭部の長さLtをLt2とも称し、第2本体部16bの外径DpをDp2とも称し、第2節部18bの外径DnをDn2とも称し、第2節部18bの突出高さLhをLh2とも称し、第2コンクリートの短期せん断許容応力度τをτ2とも称する。
また、本明細書では、節杭2a,2b、本体部16a,16b、節部18a,18b及び角度θa,θbをそれぞれ一括して節杭2、本体部16、節部18及び角度θとも称する。
【0032】
図7は、節杭2aと節杭2bを連結するための継手装置32の一例を概略的に示している。継手装置32は、内側リング34と、外側リング36とを有している。
内側リング34は、節杭2a及び節杭2bの端部を囲む環状部38と、環状部38の内周面から径方向内側に向けて突出する2条の環状突起40とを有する。節杭2a及び節杭2bの端部には、端板20a,20bに隣接して周方向溝42a,42bが形成され、内側リング34は、環状突起40が周方向溝42a,42bと噛み合うように配置される。かかる配置を可能とするため、内側リング34は、2つの半割部材34a,34bによって構成される。
【0033】
外側リング36は、内側リング34の外側に嵌合させられている。ここで、内側リング34の外周面は、内側リング34の軸線方向に対し傾斜した傾斜面によって構成され、外側リング36の内周面も、外側リング36の軸線方向に対し傾斜した傾斜面によって構成されている。外側リング36は、傾斜面同士をすり合わせながら内側リング34に嵌合させられることにより、内側リング34を楔効果により締め付ける。なお、内側リング34の外周面及び外側リング36の内周面には凹凸(不図示)が形成されており、これら凹凸が噛み合うことによって、内側リング34からの外側リング36の脱落が防止される。
【0034】
ここで、
図8は、基礎杭15に短期時に作用する杭周面摩擦支持力(短期杭周面摩擦支持力)R1と節部18に作用するせん断力を説明するための図である。
図8に示すように、短期杭周面摩擦支持力R1は、杭周部14を介して節部18に伝達され、節部18にせん断力が発生する。このため、節部18のせん断耐力F1は、想定される短期杭周面摩擦支持力R1の最大値(短期最大杭周面摩擦支持力Rmax)より大きいことが望ましい(F1>Rmax)。
【0035】
以下、上記所望の条件(F1>Rmax)について検討する。
短期杭周面摩擦支持力R1は、次式:
R1=2/3×Nave×β×Ls×φ ・・・(1)
にて表される。
上記式(1)中、Naveは、節杭2の周囲の地盤6における、標準貫入試験により得られるN値の平均値である。ただし、Nave>30の場合、Nave=30とする。
βは、砂質・礫質地盤中の杭周面摩擦力係数であり、杭周液が膨張型の場合、β=9.5ωで表される。
ωは、次式:ω=De/Dsにて表され、1.0~2.0である。
Deは杭孔11の掘削径(拡大掘削径)である。
Dsは、節部18の外径をDnとしたとき、次式:Ds=Dn+0.05にて表される。
Lsは、地盤6に接する長さである。
φは、節部18の周長であり、次式:
φ=π×Dn・・・(2)
にて表される。
節部18のピッチLpが1mの場合、1m当たりの短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxは、式(1)にNave=30、β=9.5×2.0、及びLs=1を代入することにより、次式:
Rmax=2/3×30×9.5×2×1.0×φ ・・・(3)
にて表される。
【0036】
一方、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」によれば、コンクリートの短期せん断許容応力度τは、次式:
τ=(0.49+Fc/100)×K ・・・(4)
で求められる。
上記式中、Fcは、コンクリート設計基準強度(単位:N/mm2)であり、Kは定数(1.5又は2.0)である。本実施形態ではK=1.5とする。
節部18と本体部16との接触面積(節部根元面積)をA1(単位:mm2)とすると、A1は次式:
A1=Lr×π×Dp ・・・(5)
にて表される。
節部18のせん断耐力F1(単位:kN)は次式:
F1=(τ×A1)/1000 ・・・(6)
にて表される。
【0037】
節部18のせん断耐力F1が短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxよりも大きくなるためには、次式:
F1>Rmax ・・・(7)
を満たす必要がある。そこで、式(7)に式(3)~(6)を代入すると、次式:
Lr>380×(Dp+2×Lh)/(τ×Dp) ・・・(8)
が得られる。
【0038】
一方、角度θは30°以上60°以下であることから、次式:
Lr-2×(3^0.5)×Lh≦Lt≦Lr-2/(3^0.5)×Lh・・・(9)
が得られる。
【0039】
上記構成の節杭2(2a,2b)では、節部18の根元の長さLr、本体部16の外径Dp、節部18の突出高さLh、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが、上記式(8)で表される所定の関係を満たしている。このため、本体部16と節部18との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、節部18のせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、節杭2に短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、節部18に作用するせん断力よりも節部のせん断耐力F1が大きい。
また、上記構成の節杭2(2a,2b)では、節部18の頭部の長さLt、節部18の根元の長さLr、及び、節部18の突出高さLhが、上記式(9)で表される所定の関係を満たしており、節部18の頭部の長さLtが十分に確保される。このため、節部18の外径に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、節部18の根元の長さLrは230mm以上300mm以下であり、節部18の頭部の長さLtは130mm以上200mm以下であり、節部18の突出高さLhは50mmである。
上記構成によれば、節部18の根元の長さLrが230mm以上300mm以下であり、節部18の突出高さLhが50mmであるので、本体部16と節部18との接触面積が十分に確保され、節部18のせん断耐力F1が十分に確保される。
また、上記構成によれば、節部18の頭部の長さLtが130mm以上200mm以下であり、節部18の頭部の長さLtが十分に確保される。
【0041】
幾つかの実施形態では、節部18の根元の長さLrは300mmであり、節部18の頭部の長さLtは200mmであり、節部18の突出高さLhは50mmである。
上記構成によれば、節部18の根元の長さLrが300mmであり、節部18の突出高さLhが50mmであるので、本体部16と節部18との接触面積が十分に確保され、節部18のせん断耐力F1が十分に確保される。
また、上記構成によれば、節部18の頭部の長さLtが200mmであり、節部18の頭部の長さLtが十分に確保される。
【0042】
幾つかの実施形態では、本体部16の外径Dpは600mm以上1400mm以下である。
幾つかの実施形態では、節部18の根元の長さLrは400mm以下であり、好ましくは300mm以下である。
幾つかの実施形態では、節部18のピッチLpは、500mm以上1200mm以下であり、好ましくは1000mmである。
幾つかの実施形態では、コンクリート設計基準強度Fcは、85N/mm2以上123N/mm2以下であり、例えば、85N/mm2、105N/mm2、又は123N/mm2である。コンクリート設計基準強度Fcは、好ましくは、85N/mm2である。
【0043】
幾つかの実施形態では、節部18の突出高さLhは、40mm以上100mm以下であり、好ましくは40mm以上60mm以下であり、より好ましくは50mmである。
幾つかの実施形態では、節杭2は、中空既製杭であり、高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)であるが、鉄筋コンクリート杭(RC杭)、又は、高強度プレストレスト鉄筋コンクリート杭(PRC杭)であってもよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、節杭2の本体部16の外径Dpは、節部18を除き一定であってもよいが(標準タイプ)、節杭2の一端部の外径は、節杭2の中央又は他端部における本体部16の外径Dpよりも大きくてもよい。例えば、節杭2の一端部の外径は、節杭2の中央又は他端部における本体部16の外径Dpよりも大きく、且つ、節部18の外径Dnよりも小さくてよく(拡頭中間径タイプ)、或いは、節部18の外径Dnと同じであってもよい(拡頭タイプ)。
【0045】
以下、本発明の一実施形態に係る継ぎ杭8aについて説明する。
継ぎ杭8aは、
図2に示したように、それぞれ上述した第1節杭2aと第2節杭2bとを備え、第1節杭2aと第2節杭2bが、例えば継手装置32によって、相互に連結されている。
具体的には、第1節杭2aは、以下の2つの式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ1×Dp1)
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係をそれぞれ満たしている。
そして、第1節部18aの根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、第1節部18aの頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、第1節部18aの突出高さLh1は50mmである。
一方、第2節杭2bは、上述したように、以下の2つの式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ2×Dp2)
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係をそれぞれ満たしている。
そして、第2節部18bの根元の長さLr2は230mm以上300mm以下であり、第2節部18bの頭部の長さLt2は130mm以上200mmであり、第2節部18bの突出高さLh2は50mmである。
更に、継ぎ杭8aにおいては、第1本体部16aの外径Dp1は、第2本体部16bの外径Dp2よりも大きい。
また、第1節部18aの外径Dn1は第2節部18bの外径Dn2よりも大きく(Dn1>Dn2)、第1節部18aの高さLh1は第2節部18bの高さLh1に等しい(Lh1=Lh2)。
なお、本実施形態では、Dn1>Dn2としたが、Dn1≦Dn2としてもよい。
【0046】
上記した継ぎ杭8aによれば、第1節杭2aにおいて、第1節部18aの根元の長さLr1、第1本体部16aの外径Dp1、第1節部18aの突出高さLh1、及び、第1コンクリートの短期せん断許容応力度τ1が所定の関係を満たした上で、第1節部18aの根元の長さLr1が230mm以上300mm以下であり、第1節部18aの突出高さLh1が50mmであるので、第1本体部16aと第1節部18aとの接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第1節部18aのせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、第1節杭2aに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18aに作用するせん断力よりも第1節部18aのせん断耐力F1が大きい。
【0047】
また、上記した継ぎ杭8aによれば、第1節杭2aにおいて、第1節部18aの頭部の長さLt1、第1節部18aの根元の長さLr1、及び、第1節部18aの突出高さLh1が所定の関係を満たした上で、第1節部18aの頭部の長さLt1が130mm以上200mm以下であり、第1節部18aの頭部の長さLt1が十分に確保される。このため、第1節部18aの外径Dn1に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0048】
一方、上記した継ぎ杭8aによれば、第2節杭2bにおいて、第2節部18bの根元の長さLr2、第2本体部16bの外径Dp2、第2節部18bの突出高さLh2、及び、第2コンクリートの短期せん断許容応力度τ2が所定の関係を満たした上で、第2節部18bの根元の長さLr2が230mm以上300mm以下であり、第2節部18bの突出高さLh2が50mmであるので、第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部18bのせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、第2節杭2bに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第2節部18bに作用するせん断力よりも第2節部のせん断耐力F1が大きい。
【0049】
また、上記した継ぎ杭8aによれば、第2節杭2bにおいて、第2節部18bの頭部の長さLt2、第2節部18bの根元の長さLr2、及び、第2節部18bの突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部18bの頭部の長さLt2が130mm以上200mm以下であり、第2節部18bの頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部18bの外径Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0050】
かくして、上記した継ぎ杭8aによれば、第1節杭2a及び第2節杭2bによって構成される継ぎ杭8a全体としても、第1本体部16aと第1節部18aとの接触面積及び第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積が十分に確保され、継ぎ杭8aに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18a及び第2節部18bに作用するせん断力よりも第1節部18a及び第2節部18bのせん断耐力F1がそれぞれ大きい。
また、上記した継ぎ杭8aによれば、第1節杭2a及び第2節杭2bによって構成される継ぎ杭8a全体としても、第1節部18a及び第2節部18bの外径Dp1,Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
更に、上記した継ぎ杭8aによれば、第1本体部16aの外径Dp1が第2本体部16bの外径Dp2よりも大きいので、第1節杭2aの水平耐力を第2節杭2bよりも大きくすることができる。
【0051】
以下、本発明の一実施形態に係る節杭2cについて説明する。なお、以下の実施形態の説明では、先行する実施形態の構成と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
図9は、節杭2cを概略的に示す側面図である。節杭2cは、継ぎ杭8aを構成する第1節杭2aと第2節杭2bを一体に成形したものに略相当する。
具体的には、
図9に示したように、節杭2cは、第1部分44aと、第1部分44aに一体に連なる第2部分44bとを備える。第1部分44aは第1節杭2aに略相当し、第2部分44bは第2節杭2bに略相当する。
【0052】
第1部分44aは、第1本体部(軸部)16aと、第1本体部16aと一体に成形された少なくとも1つの第1節部18aとを有する。第1本体部16a及び第1節部18aは、コンクリートによって構成されている。第1本体部16は、円筒形状を有している。
【0053】
第1節部18aは、第1本体部16aの円筒形状の外周面26aから第1本体部16aの径方向に突出している。第1節部18aは、第1本体部16aの外周面26aの一部を囲むように環形状を有する。第1節部18aは、例えば円筒形状の外周面28aを有し、第1本体部16aの外周面26aと第1節部18aの外周面28aは同心上に配置されている。また、第1節部18aは、第1本体部16aの軸線方向にて両側に、テーパ形状の段差面30aを有し、第1本体部16aの外周面26aと第1節部18aの外周面28aは、段差面30aを介して連なっている。例えば、第1本体部16aの外周面26と段差面30aとがなす角度θaは30°~60°であり、好ましくは45°である。
【0054】
第1部分44aでは、第1本体部16aの軸線方向における、第1本体部16a側の第1節部18aの根元の長さをLr1とし、第1本体部16aの軸線方向における、本体部16aとは反対側の第1節部18aの頭部の長さをLt1とし、第1本体部16aの外径をDp1とし、第1本体部16aの径方向における第1本体部16aからの第1節部18aの突出高さをLh1とし、コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、以下の2つの式:
Lr1>380×(Dp1+2×Lh1)/(τ×Dp1)
Lr1-2×(3^0.5)×Lh1≦Lt1≦Lr1-2/(3^0.5)×Lh1
で示される関係がそれぞれ満たされている。
そして、第1部分44aでは、第1節部18aの根元の長さLr1は230mm以上300mm以下であり、第1節部18aの頭部の長さLt1は130mm以上200mm以下であり、第1節部18aの突出高さLh1は50mmである。
【0055】
一方、第2部分44bは、第2本体部(軸部)16bと、第2本体部16bと一体に成形された少なくとも1つの第2節部18bとを有する。第2本体部16b及び第2節部18bは、コンクリートによって構成されている。第2本体部16bは、円筒形状を有している。
【0056】
第2節部18bは、第2本体部16bの円筒形状の外周面26bから第2本体部16bの径方向に突出している。第2節部18bは、第2本体部16bの外周面26bの一部を囲むように環形状を有する。第2節部18bは、例えば円筒形状の外周面28bを有し、第2本体部16bの外周面26bと第2節部18bの外周面28bは同心上に配置されている。また、第2節部18bは、第2本体部16bの軸線方向にて両側に、テーパ形状の段差面30bを有し、第2本体部16bの外周面26bと第2節部18bの外周面28bは、段差面30bを介して連なっている。例えば、第2本体部16bの外周面26bと段差面30bとがなす角度θbは30°~60°であり、好ましくは45°である。
【0057】
第2部分44bでは、第2本体部16bの軸線方向における、第2本体部16b側の節部18bの根元の長さをLrとし、第2本体部16bの軸線方向における、第2本体部16bとは反対側の第2節部18bの頭部の長さをLt2とし、第2本体部16bの外径をDp2とし、第2本体部16bの径方向における第2本体部16bからの第2節部18bの突出高さをLhとし、コンクリートの短期せん断許容応力度をτとしたとき、以下の2つの式:
Lr2>380×(Dp2+2×Lh2)/(τ×Dp2)
Lr2-2×(3^0.5)×Lh2≦Lt2≦Lr2-2/(3^0.5)×Lh2
で示される関係がそれぞれ満たされている。
また、第1節部18aの外径Dn1は第2節部18bの外径Dn2よりも大きく(Dn1>Dn2)、第1節部18aの高さLh1は第2節部18bの高さLh1に等しい(Lh1=Lh2)。
なお、本実施形態では、Dn1>Dn2としたが、Dn1≦Dn2としてもよい。
【0058】
そして、第2部分44bでは、第2節部18bの根元の長さLr2は230mm以上300mm以下であり、第2節部18bの頭部の長さLt2は130mm以上200mm以下であり、第2節部18bの突出高さLh2は50mmである。
更に、節杭2cでは、第1本体部16aの外径Dp1は、第2本体部16bの外径Dp2よりも大きい。
【0059】
なお、第1本体部16a及び第2本体部16bは同軸に連なるように一体に成形されており、同一のコンクリートによって構成されている。
また、節杭2cの両端に位置する第1本体部16aの端面及び第2本体部16bの端面には環状の端板20a,20bが固定されていてもよく、端板20a,20b同士の間に第1本体部16a及び第2本体部16bを貫通してPC鋼棒(不図示)が架け渡されていてもよい。また、節杭2cの両端に位置する第1本体部16aの端部及び第2本体部16bの端部の外周面は金属製の円筒形状のカバー24a,24bによって覆われていてもよく、第1本体部16a及び第2本体部16bの内部には、図示しないけれども螺旋形状若しくは直線形状の補強筋が埋設されていてもよい。
【0060】
上記した節杭2cによれば、第1部分44aにおいて、第1節部18aの根元の長さLr1、第1本体部16aの外径Dp1、第1節部18aの突出高さLh1、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第1節部18aの根元の長さLr1が230mm以上300mm以下であり、第1節部の突出高さLh1が50mmであるので、第1本体部と第1節部との接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第1節部のせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、第1部分44aに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18aに作用するせん断力よりも第1節部18aのせん断耐力F1が大きい。
【0061】
また、上記した節杭2cによれば、第1部分44aにおいて、第1節部18aの頭部の長さLt1、第1節部18aの根元の長さLr1、及び、第1節部18aの突出高さLh1が所定の関係を満たした上で、第1節部18aの頭部の長さLt1が130mm以上200mm以下であり、第1節部18aの頭部の長さLt1が十分に確保される。このため、第1節部18aの外径Dp1に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0062】
一方、上記した節杭2cによれば、第2部分44bにおいて、第2節部18bの根元の長さLr2、第2本体部16bの外径Dp2、第2節部18bの突出高さLh2、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第2節部18bの根元の長さLr2が230mm以上300mm以下であり、第2節部18bの突出高さLh2が50mmであるので、第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部18bのせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、第2節杭に短期杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第2節部18bに作用するせん断力よりも第2節部18bのせん断耐力F1が大きい。
【0063】
また、上記した節杭2cによれば、第2部分44bにおいて、第2節部18bの頭部の長さLt2、第2節部18bの根元の長さLr2、及び、第2節部18bの突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部18bの頭部の長さLt2が130mm以上200mmであり、第2節部18bの頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部18bの外径Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0064】
かくして、上記した節杭2cによれば、第1部分44a及び第2部分44bによって構成される節杭2c全体としても、第1本体部16aと第1節部18aとの接触面積及び第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積が十分に確保され、節杭2cに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18a及び第2節部18bに作用するせん断力よりも第1節部18a及び第2節部18bのせん断耐力F1がそれぞれ大きい。
また、上記した節杭2cによれば、第1部分44a及び第2部分44bによって構成される節杭2c全体としても、第1節部18a及び第2節部18bの外径Dp1,Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
更に、上記した節杭2cによれば、第1本体部16aの外径Dp1が第2本体部16bの外径Dp2よりも大きいので、第1部分44aの水平耐力を第2部分44bよりも大きくすることができる。
【0065】
以下、本発明の一実施形態に係る継ぎ杭8bについて説明する。
図10は、継ぎ杭8bを概略的に示す側面図である。
図11は、継ぎ杭8bに用いられた第2節杭2bを概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。
図12は、
図11中の領域XIIの概略的な拡大図である。
継ぎ杭8bは、第2節部18bの根元の長さLr2が300mmであり、第2節部18bの頭部の長さLt2が100mmであり、第2節部18bの突出高さLh2が100mmである点において、上述した継ぎ杭8aと異なっている。
また、第1本体部16aの外径Dp1を第2本体部16bの外径Dp1よりも大きくし(Dp1>Dp2)、第1節部18aの外径Dn1を第2節部18bの外径Dn2と等しくした(Dn1=Dn2)。
なお、本実施形態では、Dn1=Dn2としたが、Dn1>Dn2、又は、Dn1<Dn2としてもよい。
【0066】
上記した継ぎ杭8bによれば、第1節杭2aに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18aに作用するせん断力よりも第1節部18aのせん断耐力F1が大きい。
また、上記した継ぎ杭8bによれば、第1節杭2aにおいて、第1節部18aの外径Dn1に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0067】
一方、上記した継ぎ杭8bによれば、第2節杭2bにおいて、第2節部18bの根元の長さLr2、第2本体部16bの外径Dp2、第2節部18bの突出高さLh2、及び、第2コンクリートの短期せん断許容応力度τ2が所定の関係を満たした上で、第2節部18bの根元の長さLr2が300mmであり、第2節部18bの突出高さLh2が100mmであるので、第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部18bのせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、第2節杭2bに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第2節部18bに作用するせん断力よりも第2節部のせん断耐力F1が大きい。
【0068】
また、上記した継ぎ杭8bによれば、第2節杭2bにおいて、第2節部18bの頭部の長さLt2、第2節部18bの根元の長さLr2、及び、第2節部18bの突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部18bの頭部の長さLt2が100mmであり、第2節部18bの頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部18bの外径Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0069】
かくして、上記した継ぎ杭8bによれば、第1節杭2a及び第2節杭2bによって構成される継ぎ杭8b全体としても、第1本体部16aと第1節部18aとの接触面積及び第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積が十分に確保され、継ぎ杭8bに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18a及び第2節部18bに作用するせん断力よりも第1節部18a及び第2節部18bのせん断耐力F1がそれぞれ大きい。
また、上記した継ぎ杭8bによれば、第1節杭2a及び第2節杭2bによって構成される継ぎ杭8b全体としても、第1節部18a及び第2節部18bの外径Dp1,Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
更に、上記した継ぎ杭8bによれば、第1本体部16aの外径Dp1が第2本体部16bの外径Dp2よりも大きいので、第1節杭2aの水平耐力を第2節杭2bよりも大きくすることができる。
【0070】
以下、本発明の一実施形態に係る節杭2dについて説明する。
図13は、節杭2dを概略的に示す側面図である。
節杭2dは、継ぎ杭8b構成する第1節杭2aと第2節杭2bを一体に成形したものに略相当する。従って、節杭2dは、第2節部18bの根元の長さLr2が300mmであり、第2節部18bの頭部の長さLt2が100mmであり、第2節部18bの突出高さLh2が100mmである点において、上述した節杭2cと異なっている。
また、第1本体部16aの外径Dp1を第2本体部16bの外径Dp1よりも大きくし(Dp1>Dp2)、第1節部18aの外径Dn1を第2節部18bの外径Dn2と等しくした(Dn1=Dn2)。
なお、本実施形態では、Dn1=Dn2としたが、Dn1>Dn2、又は、Dn1<Dn2としてもよい。
【0071】
上記した節杭2dによれば、第1部分44aに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18aに作用するせん断力よりも第1節部18aのせん断耐力F1が大きい。
また、上記した節杭2dによれば、第1部分44aにおいて、第1節部18aの外径Dp1に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0072】
一方、上記した節杭2dによれば、第2部分44bにおいて、第2節部18bの根元の長さLr2、第2本体部16bの外径Dp2、第2節部18bの突出高さLh2、及び、コンクリートの短期せん断許容応力度τが所定の関係を満たした上で、第2節部18bの根元の長さLr2が300mmであり、第2節部18bの突出高さLh2が100mmであるので、第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積(節部根元面積)が十分に確保され、第2節部18bのせん断耐力F1が十分に確保される。この結果として、第2節杭に短期杭周面摩擦支持力が作用したときでも、第2節部18bに作用するせん断力よりも第2節部18bのせん断耐力F1が大きい。
【0073】
また、上記した節杭2dによれば、第2部分44bにおいて、第2節部18bの頭部の長さLt2、第2節部18bの根元の長さLr2、及び、第2節部18bの突出高さLh2が所定の関係を満たした上で、第2節部18bの頭部の長さLt2が100mmであり、第2節部18bの頭部の長さLt2が十分に確保される。このため、第2節部18bの外径Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
【0074】
かくして、上記した節杭2dによれば、第1部分44a及び第2部分44bによって構成される節杭2d全体としても、第1本体部16aと第1節部18aとの接触面積及び第2本体部16bと第2節部18bとの接触面積が十分に確保され、節杭2dに短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxが作用したときでも、第1節部18a及び第2節部18bに作用するせん断力よりも第1節部18a及び第2節部18bのせん断耐力F1がそれぞれ大きい。
また、上記した節杭2dによれば、第1部分44a及び第2部分44bによって構成される節杭2d全体としても、第1節部18a及び第2節部18bの外径Dp1,Dp2に基づいて短期杭周面摩擦支持力R1を設定することができ、所望の大きさの短期杭周面摩擦支持力R1を実現することができる。
更に、上記した節杭2dによれば、第1本体部16aの外径Dp1が第2本体部16bの外径Dp2よりも大きいので、第1部分44aの水平耐力を第2部分44bよりも大きくすることができる。
【0075】
〔実施例及び比較例〕
図14は、実施例及び比較例の節杭における、節部18の外径Dn、本体部16の外径Dp、コンクリート設計基準強度Fc、節部18のせん断耐力F1、短期最大杭周面摩擦支持力Rmax、及び、F1がRmaxよりも大きいか否かを示す表である。なお、節部18のせん断耐力F1及び短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxは、上記式(6)及び式(3)によってそれぞれ求められた計算値である。
図14に示したように、節部18の外径Dnが600mm、本体部16の外径Dpが500mm、コンクリート設計基準強度Fcが85N/mm
2であるとき、節部18の根元の長さLrが230mm以上になると、節部18のせん断耐力F1が短期最大杭周面摩擦支持力Rmaxよりも大きくなることがわかる。
【0076】
最後に、本発明は上述した幾つかの実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0077】
2,2c,2d 節杭
2a 第1節杭
2b 第2節杭
4 ストレート杭
6 地盤
8a,8b 継ぎ杭
10 継ぎ杭
11 杭孔
12 根固め部
14 杭周部
15 基礎杭
16 本体部(軸部)
16a 第1本体部(軸部)
16b 第2本体部(軸部)
18 節部
18a 第1節部
18b 第2節部
20a,20b 端板
22a,22b PC鋼棒
24a,22b カバー
26a,26b 外周面
28a,28b 外周面
30a,30b 段差面
32 継手装置
34 内側リング
34a,34b 半割部材
36 外側リング
38 環状部
40 環状突起
42a,42b 周方向溝
44a 第1部分
44b 第2部分