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  • 特許-洗面カウンターの取付構造 図1
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  • 特許-洗面カウンターの取付構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】洗面カウンターの取付構造
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20220117BHJP
   A47B 96/18 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A47K1/00 P
A47B96/18 B
A47B96/18 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018015487
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019130081
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 勇蔵
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽介
(72)【発明者】
【氏名】古門 弘光
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-188197(JP,A)
【文献】特開2005-124807(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02450947(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47B 96/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面キャビネットと、前記洗面キャビネットの上部に載置される洗面カウンターとを取付けるための洗面カウンターの取付構造において、
前記洗面カウンターは、前記洗面カウンターの左右方向における外縁に下方に延びる側壁部を有し、
前記洗面キャビネットは、一対の側板と、前記一対の側板の内面と繋がる連結板と、を有し、
前記連結板は、前記一対の側板より上部に突出した受け面を有し、
前記洗面カウンターの側壁部の内面側には、前記洗面カウンターの一部であり、前記受け面に当接させることが可能な、左右方向において前記洗面キャビネットの中央側に延びる突出部を有していることを特徴とする洗面カウンターの取付構造。
【請求項2】
前記突出部の下端は、前記側壁の下端より上方に設けられている請求項1記載の洗面カウンターの取付構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記受け面に対し前後方向に傾斜した状態で当接するように構成されている請求項2記載の洗面カウンターの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、洗面カウンターの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面カウンターを洗面キャビネットに取付ける際に、左右方向において洗面カウンターが洗面キャビネットからずれないようにするために、位置決めやズレ防止対策を行っている。この、位置決めやズレ防止対策を行うために、新たに別部材を用意すると別部材を取り付けるための作業が追加で必要となる。
そこで上記問題に対して、別部材を用いることなく、位置決めやズレ防止を行うことができる洗面カウンターの取付構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のように洗面カウンターの下面に下方に延びる突出部を設け、その突出部を洗面キャビネットの側壁の内面に当接させることで左右方向におけるズレ防止をしている構造が知られている。
【0004】
一方近年、洗面カウンターを薄肉にし、意匠性を向上させた洗面カウンターが求められている。洗面カウンターを薄肉に形成しようとすると、強度確保のため洗面カウンターの左右外縁部には下方向に延びるエプロン状の側壁部を設ける必要が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-124807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような洗面カウンターの下面に下方に延びる突出部を設けた構造では、突出部を洗面キャビネットの側壁の内面側に当接させるために、洗面カウンターの左右方向外縁部に設けられた側壁部より長く突出部を設けなければならない。
突出部を長く設けようとすると、突出部の根元に係る力が大きくなり、左右方向から加わる力に対する耐力が弱くなり、突出部が破損する虞がある。
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、左右方向外縁に下方向に延びる側壁部を設けた洗面カウンターであっても、洗面キャビネットに取付ける際に位置決めやズレ防止のために別部材を用意することなく、位置決めやズレ防止のために洗面カウンターの一部として設けた突出部に左右方向から力が加わったとしても突出部が破損することを抑制した洗面カウンターの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために構成された本発明によれば、洗面キャビネットと、前記洗面キャビネットの上部に載置される洗面カウンターとを取付けるための洗面カウンターの取付構造において、前記洗面カウンターは、前記洗面カウンターの左右方向における外縁に下方に延びる側壁部を有し、前記洗面キャビネットは、一対の側板と、前記一対の側板の内面と繋がる連結板と、を有し、前記連結板は、前記一対の側板より上部に突出した受け面を有し、前記洗面カウンターの側壁部の内面側には、前記洗面カウンターの一部であり、前記受け面に当接させることが可能な、左右方向において前記洗面キャビネットの中央側に延びる突出部を有していることを特徴としている。
【0009】
この洗面カウンターの取付構造によれば、一対の側板同士を連結する連結板の側面での一部である受け面に対し、側壁部から左右方向に延びる突出部を当接させることにより左右方向の位置決めが可能となる。
そのため、洗面カウンターと洗面キャビネットとの左右方向における位置決めにおいて、別部材を追加する必要がなく、取り付け作業が容易であるとともに、洗面カウンターの左右方向外縁部に下方向に延びる側壁部を設けたとしても、位置決め及びズレ止めを行うための突出部の長さを短く設けることが可能であるとともに、左右方向から力が加わった場合に位置決めやズレ防止を行う洗面カウンターの一部である突出部の破損を抑制することができる。
また、例えば、洗面キャビネットに対し、異なる洗面カウンターを取付けようとする場合においても、洗面カウンターの突出部の位置・形状を変更するだけで、位置決め及びズレ止めを行うことができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記突出部の下端は、前記側壁部の下端より上方に設けられている。
【0011】
この洗面カウンターの取付構造によれば、突出部が成形の過程で反りが発生し下方に意図せず膨らんでしまった場合においても、突出部の下端は、側壁部の下端より上方に設けているため、突出部の下端が側板の上端に当接することを抑制することができる。
従って、洗面カウンターを洗面キャビネットに取付けた際に、洗面カウンターの側壁部が浮いてしまい、洗面カウンターの意匠性が低下することを抑制することが出来る。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、前記突出部は、前記受け面に対し前後方向に傾斜した状態で当接するように構成されている。
【0013】
この洗面カウンターの取付構造によれば、突出部が受け面に接触する接触面積が大きく確保でき、両者の摩擦抵抗が増加することにより前後のずれも抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、一対の側板同士を連結する連結板の側面での一部である受け面に対し、側壁部から左右方向に延びる突出部を当接させることにより左右方向の位置決めが可能となる。
そのため、洗面カウンターと洗面キャビネットとの左右方向における位置決めにおいて、位置決め及びズレ止めのために別部材を追加する必要がなく、取り付け作業が容易であるとともに、洗面カウンターの左右方向外縁部に下方向に延びる側壁部を設けたとしても、位置決め及びズレ止めを行うための突出部の長さを短く設けることが可能であるとともに、左右方向から力が加わった場合に位置決めやズレ防止を行う洗面カウンターの一部である突出部の破損を抑制することができる。
また、例えば、洗面キャビネットに対し、異なる洗面カウンターを取付けようとする場合においても、洗面カウンターの突出部の位置・形状を変更するだけで、位置決め及びズレ止めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかる洗面化粧台の外観斜視図である。
図2図1において扉を外した洗面化粧台の外観斜視図である。
図3図2に表した切断面A-Aにおける断面図である。
図4図2に表した切断面B-Bにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態にかかる洗面化粧台の外観斜視図である。
図2は、図1において扉を外した洗面化粧台の外観斜視図である。
【0017】
図1に示すように、洗面化粧台1の高さ方向をz軸方向としている。このz軸に直交する平面に沿ってx軸及びy軸を定義し、洗面化粧台1の奥行き方向に沿った方向をy軸方向とし、洗面化粧台1の幅方向(左右方向)に沿った方向をx軸方向としている。洗面化粧台1は、洗面カウンター10と、洗面キャビネット20と、ミラーキャビネット60と、を備えている。
【0018】
洗面キャビネット20は床上に設置されている。洗面キャビネット20の上部に洗面カウンター10が載置されている。洗面キャビネット20には、幅方向両端に側板22が一対設けられている。一対の側板22及び中仕切り板23(図2参照)に支持されて、扉21が設けられている。洗面キャビネット20は、主に木製の板状部材を組み合わせて形成される。
【0019】
中仕切り板23は、一対の側板22の内面同士を連結している。つまり、中仕切り板23の両側面が夫々側板22の内面と結合されている。
また、中仕切り板23は、一対の側板22の上面より上方まで延びている(図3参照)。すなわち、中仕切り板23の両側面は、夫々側板22の内面と当接する当接面と、上方まで突出した受け面23aと、を有している。
【0020】
洗面カウンター10は、天板部11と、側壁部12a、12bと、洗面ボウル部14と、バックガード部16とを有している。側壁部12aは、天板部11の幅方向両端(外縁)に設けられている。側壁部12bは、天板部11の前面側端に設けられている。天板部11は、その上面が天面11aとして形成されている。側壁部12a、12bは、天板部11から天面11aとは反対側の第1方向(z軸の負方向)に延びている。洗面ボウル部14は、一対の天板部11の間に設けられている。バックガード部16には、水栓金具40が取り付けられている。洗面カウンター10は、樹脂製の材料で形成され、洗面キャビネット20の上部に載置されるものである。
【0021】
洗面カウンター10の上部には、ミラーキャビネット60が取り付けられている。ミラーキャビネット60の前面には、3つのミラー付の片開き扉61が備えられている。ミラーキャビネット60の内部には空間が形成され、収納空間として利用することができる。
なお、ミラーキャビネット60は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0022】
次に、図3乃至図4を用いて、本発明における洗面カウンターの取付構造について説明する。
図3は、図2に表した切断面A-Aにおける断面図である。
図4は、図2に表した切断面B-Bにおける断面図である。
【0023】
図3に示すように、洗面カウンター10は、側壁部12aの内面から中仕切り板23の受け面23aに向かう第2方向(x軸の負方向)に延びるリブ13を有している。
側壁部12aの下面は、パッキン50を介して、側板22の上面に載置されている。
なお、リブ13は、左右反対側の側壁部12aにも設けられている。
【0024】
リブ13は、側壁部12aの下端面より上方の位置から受け面23aに向かって延びている。具体的には、リブ13の下端面と、側壁部12cの下端面と、の間には隙間Dが設けられている。
また、リブ13は側壁部12aの内面と天板部11の下面との2面と繋がっている。
【0025】
さらに、一対の側板22同士を連結する中仕切り板23の側面を利用しているため、左右方向の位置決めの際に、複数の部材を取付ける際に取付の誤差や部材単体の公差などの影響を受けにくい。
【0026】
図4に示すように、リブ13は、リブ13の上方から下方に向かって後方(y軸の正方向)に傾斜している。換言すると、リブ13は下方に向かうにつれて鉛直方向に対し角度Θが設けられている。
そのため、受け面23aに対して、前後方向に傾斜した状態で当接する。
【0027】
以上、説明したように、本実施形態に係る洗面カウンターの取付構造によれば、一対の側板22同士を連結する中仕切り板23の側面での一部である受け面23aに対し、側壁部22から左右方向に延びるリブ13を当接させることにより左右方向の位置決めが可能となる。
そのため、洗面カウンター10と洗面キャビネット20との左右方向における位置決めにおいて、位置決めやズレ止めのために別部材を追加する必要がなく取り付け作業が容易であるとともに、洗面カウンター10の左右方向外縁部に下方向に延びる側壁部12aを設けたとしても、左右方向から力が加わった場合に位置決めやズレ防止を行う洗面カウンターの一部であるリブ13の破損を抑制することができる。
また、例えば、洗面キャビネット20に対し、異なる洗面カウンターを取付けようとする場合においても、洗面カウンターのリブ13の位置・形状を変更するだけで、位置決め及びズレ止めを行うことができる。
【0028】
また、この洗面カウンターの取付構造によれば、リブ13が成形の過程で反りが発生し下方に意図せず膨らんでしまった場合においても、リブ13の下端は、側壁部12bの下端より上方に設けているため、リブ13の下端が側板22の上端に当接することを抑制することができる。
従って、洗面カウンターを洗面キャビネットに取り付けた際に、洗面カウンターの側壁部12aが浮いてしまい、洗面カウンター10の意匠性が低下することを抑制することが出来る。
【0029】
さらに、この洗面カウンターの取付構造によれば、リブ13が受け面23aに接触する接触面積が大きく確保でき、両者の摩擦抵抗が増加することにより洗面カウンター10が洗面キャビネット20に対し前後にずれることも抑制することができる。
【0030】
以上、本発明に係る洗面化粧台1の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の具体例に限定されるものではない。
これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0031】
1:洗面化粧台
10:洗面カウンター
11:天板部
12a、12b:側壁部
13:リブ(突出部)
14:洗面ボウル部
16:バックガード部
20:洗面キャビネット
21:扉
22:側板
23:中仕切り板(連結板)
40:水栓金具
50:パッキン
60:ミラーキャビネット
61:扉
図1
図2
図3
図4