(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電子部品検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220203BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/26 Z
(21)【出願番号】P 2021039426
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2021-03-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591048070
【氏名又は名称】上野精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】南 日出夫
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-313251(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056607(WO,A1)
【文献】特開2009-139221(JP,A)
【文献】特開平07-315565(JP,A)
【文献】特開2018-049003(JP,A)
【文献】特開2014-156295(JP,A)
【文献】特許第5916025(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を加熱又は冷却してT1℃にした状態で検査する第1の測定ユニットと、
前記第1の測定ユニットで検査された前記電子部品を前記T1℃とは異なるT2℃で検査する第2の測定ユニットと、
前記第1の測定ユニットから与えられた前記電子部品を、前記第2の測定ユニットに向けて搬送する搬送機構Pとを備え、
前記搬送機構Pは、前記電子部品に前記T1℃とは異なる温度の空気を吹き付けて該電子部品の温度を常温に近付けるエアー吹き付け手段
と、それぞれ前記電子部品が同じ方向に移動する複数の電子部品搬送体と、該電子部品の移動方向に直交する方向に並列に配された該複数の電子部品搬送体を該電子部品の移動方向に直交する方向に移動させて、一の該電子部品搬送体の該電子部品の移動方向上流側端部を、前記第1の測定ユニットからの前記電子部品を取得可能な位置に配置する駆動手段とを備えることを特徴とする電子部品検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子部品検査装置において、前記エアー吹き付け手段は、空気の吹き付けを、該電子部品の前記第2の測定ユニットに向けての移動にも利用することを特徴とする電子部品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を検査する電子部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、外観検査や電気特性検査等、所定の検査がなされる。電子部品の種類によっては、電子部品を所定の温度にした状態で検査することが求められ、その具体例が特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の検査装置は、電子部品を搬送する搬送装置の周辺に、電子部品を常温で検査(常温検査)する常温テストユニット及び電子部品を加熱して所定の温度にした状態で検査する高温検査を行う高温テストユニットを具備している。電子部品は、常温検査がなされた後、搬送装置で搬送され、高温検査がなされる。高温テストユニットは、加熱テーブル及び測定部を有し、加熱テーブルは、ポケット内に載置された電子部品を加熱源によって加熱しながら回転して、測定部による電子部品の測定位置で電子部品が所定の温度となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検査装置では、電子部品に対し常温検査及び高温検査を行っているが、電子部品によっては、常温検査及び高温検査に加えて、電子部品を低温状態で検査する低温検査が求められる。その場合に、例えば、高温検査の後に低温検査をするには、高温検査を終えた電子部品を低温検査位置まで搬送する前に電子部品の温度を所定値(常温)まで低下させる必要がある。
【0005】
しかしながら、高温となった電子部品を搬送装置による常温雰囲気での搬送のみで常温に戻そうとすると、搬送装置による搬送時間を十分に長く確保しなければならず、常温に戻すための搬送距離が長くなって、装置の大型化を招くという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、加熱又は冷却された電子部品を安定的に常温にすることが可能な電子部品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る電子部品検査装置は、電子部品を加熱又は冷却してT1℃にした状態で検査する第1の測定ユニットと、前記第1の測定ユニットで検査された前記電子部品を前記T1℃とは異なるT2℃で検査する第2の測定ユニットと、前記第1の測定ユニットから与えられた前記電子部品を、前記第2の測定ユニットに向けて搬送する搬送機構Pとを備え、前記搬送機構Pは、前記電子部品に前記T1℃とは異なる温度の空気を吹き付けて該電子部品の温度を常温に近付けるエアー吹き付け手段と、それぞれ前記電子部品が同じ方向に移動する複数の電子部品搬送体と、該電子部品の移動方向に直交する方向に並列に配された該複数の電子部品搬送体を該電子部品の移動方向に直交する方向に移動させて、一の該電子部品搬送体の該電子部品の移動方向上流側端部を、前記第1の測定ユニットからの前記電子部品を取得可能な位置に配置する駆動手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子部品検査装置は、第1の測定ユニットから与えられる電子部品を、第2の測定ユニットに向けて移動させる搬送機構Pが、電子部品の温度を常温に近付けるエアー吹き付け手段を有するので、加熱又は冷却された電子部品を安定的に常温にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電子部品検査装置の説明図である。
【
図3】搬送機構Pの電子部品搬送体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る電子部品検査装置10は、電子部品Wを加熱してT1℃にした状態で検査する第1の測定ユニットの一例である測定ユニット11と、測定ユニット11で検査された電子部品WをT1℃とは異なるT2℃で検査する第2の測定ユニットの一例である測定ユニット12と、測定ユニット11から与えられた電子部品Wを、測定ユニット12に向けて搬送する搬送機構Pを備えている。以下、詳細に説明する。
【0010】
電子部品検査装置10の検査対象である電子部品Wは、例えば、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、IC(Integrated Circuit)である。本実施の形態では、電子部品Wが板状で平面視して矩形であるが、電子部品Wの形状は限定されない。
【0011】
電子部品検査装置10は、
図1に示すように、測定ユニット11、12及び搬送機構Pに加えて、電子部品Wを測定ユニット11に搬送し、測定ユニット11から取得して、搬送機構Pに向けて移動させる部品搬送ユニット14と、搬送機構Pを通過した電子部品Wを測定ユニット12に搬送し、測定ユニット12から取得する部品搬送ユニット15を備えている。
【0012】
これに加えて、電子部品検査装置10は、部品搬送ユニット15が測定ユニット12から取得した電子部品Wを部品搬送ユニット15から得て搬送する搬送機構Qと、搬送機構Qを通過した電子部品Wを搬送する部品搬送ユニット17と、部品搬送ユニット17によって搬送された電子部品WをT3℃の状態で検査して部品搬送ユニット17に戻す第3の測定ユニットの一例である測定ユニット18を具備している。但し、T3℃は、T1℃及びT2℃の双方と異なる温度である。本実施の形態では、T1>T3>T2であり、T1℃が常温(加熱したり冷却したりしない自然の温度)より高い温度(例えば、100℃以上200℃以下)、T2℃が常温より低い温度(例えば、-80℃以上-20℃以下)、T3℃が常温(例えば、0℃以上40℃以下)である。
【0013】
従って、部品搬送ユニット14、搬送機構P、部品搬送ユニット15、搬送機構Q及び部品搬送ユニット17は、電子部品Wの搬送順に設けられている。
部品搬送ユニット14(部品搬送ユニット15、17についても同様)は、
図1、
図2に示すように、鉛直配置された回転軸19を中心に回転する水平配置された円盤状の回転体20と、回転体20にそれぞれ連結され、放射状に配された複数のアーム21と、各アーム21に昇降可能に取り付けられた鉛直方向に長いノズル22と、回転体20を各アーム21及び各ノズル22と共に間欠的に回転させるモータ23を有している。
【0014】
ノズル22は、下端部で電子部品Wを吸着可能であり、モータ23の作動に伴う回転軸19を中心とした回転と一時停止を繰り返して、吸着している電子部品Wを搬送する。アーム21及びノズル22の停止位置のいつくかには、
図2に示すように、アーム21の停止位置の上方に、支持体24によって水平に支持された円盤状の板材25の外周に固定された複数の支持部材26と、支持部材26に昇降自在に取り付けられた可動体28が設けられている。
【0015】
各可動体28は、支持部材26に固定されているモータ29の作動によって下降して、ノズル22に接触しノズル22を押し下げる。支持部材26には下降した可動体28を上昇させるコイルばね30が取り付けられ、ノズル22には下降したノズル22を上昇させるコイルばね31が装着されている。なお、
図2においては、アーム21、ノズル22及びコイルばね31を2組のみ記載し、他のアーム21、ノズル22及びコイルばね31の記載を省略している。また、
図2では、支持部材26、可動体28、モータ29及びコイルばね30を1つずつ記載しているが、本実施の形態では、これらが複数個ずつ設けられている。
【0016】
上方に可動体28が設けられたノズル22の停止位置の1つには下方に、
図1、
図2に示すように、測定ユニット11が具備する回転テーブル32が配され、当該ノズル22の停止位置と回転テーブル32の間には、ノズル22に吸着されている電子部品Wを取得して、回転テーブル32に形成されたポケット33に電子部品Wを収めるロータリー機34が設けられている。なお、
図1では、ロータリー機34及びロータリー機34と同一の設計の他のロータリー機の記載を省略している。
【0017】
ロータリー機34は、
図2に示すように、図示しない支持体に取り付けられた水平な回転軸35を中心に回転する円盤状の回転体36と、回転体36に固定された複数のアーム37にそれぞれ取り付けられた複数のチャック38を備えている。回転体36の半径方向に長い各チャック38は、回転体36を中心に放射状に配置され、回転体36に対し回転体36の半径方向に進退可能である。等ピッチで配置された各チャック38は、吸引力により一端部(回転体36の中心から遠い側の端部)で電子部品Wを吸着することができる。
【0018】
回転体36は、図示しないモータの作動によって間欠的に回転し、チャック38の配置ピッチ分の回転と一時停止とを繰り返す。チャック38は、12時の位置で、下降状態のノズル22から電子部品Wを取得し、6時位置で、図示しないモータの駆動力を与えられて下降し、回転テーブル32のポケット33内に電子部品Wを入れる。下降したチャック38は、コイルばね39によって上昇する。
【0019】
測定ユニット11は、
図1に示すように、鉛直に配された回転軸32aを中心に間欠的に回転する回転テーブル32に加え、回転テーブル32のポケット33に収容された電子部品Wを検査(本実施の形態では、電気特性検査)する検査手段40を具備している。回転テーブル32にはヒータ27が設けられ、ヒータ27は、ポケット33内の電子部品Wを、検査手段40による検査が行われる位置に搬送されるまでに所定の温度(T1℃)まで加熱する。
【0020】
検査手段40による検査が完了した電子部品Wは、回転テーブル32の回転によって、チャック38の直下まで移動し、チャック38に吸着される。
回転テーブル32から電子部品Wを取得したチャック38は12時位置まで移動し、上昇位置に配されていたノズル22が下降して、12時位置に配されたチャック38から電子部品Wを取得し吸着する。
【0021】
ノズル22に吸着された電子部品Wは、モータ23の作動によりノズル22と共に移動して、ロータリー機34と同じ設計のロータリー機が設けられた位置まで常温雰囲気で搬送され、当該ロータリー機に与えられる。なお、ロータリー機34とは異なる設計の機構を用いて、部品搬送ユニット14及び測定ユニット11間の電子部品Wの受け渡しを行うようにしてもよいことや、部品搬送ユニット14のノズル22が、回転テーブル32のポケット33に電子部品Wを直接投入し、回転テーブル32のポケット33から電子部品Wを直接取得するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0022】
ノズル22から電子部品Wを取得したロータリー機は、電子部品Wを、
図3に示す、搬送機構Pが有する部品中継手段41に与える。搬送機構P(搬送機構Qも同じ)は、
図3に示すように、部品中継手段41に加えて、それぞれ部品中継手段41から電子部品Wが送られる複数(本実施の形態では、5個)の電子部品搬送体42と、各電子部品搬送体42を平行移動させるシフト手段43と、電子部品搬送体42から与えられる電子部品Wを部品搬送ユニット15に向けて送り出す部品送出手段44を備えている。
【0023】
各電子部品搬送体42は、
図1、
図3に示すように、直線状であり、水平に設けられ、並列に配されている。各電子部品搬送体42の内側には、
図3に示すように、電子部品Wが収められる搬送空間45、搬送空間45に連通した複数の空気流通路46及び各空気流通路46に連通した空気流入空間47が形成されている。搬送空間45は、電子部品搬送体42の長手方向に長く、電子部品搬送体42の長手方向両端で開口している。部品中継手段41から送り出される電子部品Wは、搬送空間45の上流側端部(長手方向一端部)から搬送空間45内に進入する。電子部品Wは、搬送空間45内に進入した時点で常温より高い温度である。
【0024】
複数の空気流通路46は、それぞれ直線状であり、搬送空間45の下位置に設けられ、上端部が搬送空間45に連通し、下端部が空気流入空間47に連通している。各空気流通路46は上端部が下端部より部品送出手段44に近づくように傾斜している。
空気流通路46の下側に形成された空気流入空間47は、電子部品搬送体42の長手方向に長く、上側が各空気流通路46に連通している。
【0025】
搬送機構Pは、空気流入空間47に連通したチューブ48に接続されたエアー吹き付け手段(本実施の形態では、真空ポンプ)49を具備している。エアー吹き付け手段49は、チューブ48、空気流入空間47及び複数の空気流通路46を介して搬送空間45に常温の空気を送り込み、搬送空間45内の各電子部品WにT1℃未満の温度(本実施の形態では、常温)の空気を吹き付けて、各電子部品Wを搬送空間45の下流側端部(長手方向他端部)に向けて移動させると共に、常温の空気の吹き付けによって各電子部品Wの温度を常温に近付ける(本実施の形態では、60℃以上低下させる)。
【0026】
従って、本実施の形態では、搬送機構Pが、電子部品Wの温度を常温に近付ける(本実施の形態では、常温にする)温度調整手段pとして、エアー吹き付け手段49を有している。
ここで、電子部品搬送体42から部品送出手段44に移動した電子部品Wは、ロータリー機構34と同じ設計のロータリー機構及び部品搬送ユニット15を経て、測定ユニット12に搬送されることから(
図1参照)、搬送機構Pは、エアー吹き付け手段49による電子部品Wへの空気の吹き付けを、電子部品Wの測定ユニット12に向けての移動にも利用する。
また、電子部品搬送体42は、搬送空間45内に配されている電子部品Wが搬送空間45から出ないように搬送空間45の下流側を閉じるストッパ50を有している。
【0027】
シフト手段43は、
図3に示すように、それぞれ平面視して各電子部品搬送体42に直交して配された直線状のガイド51、52、ガイド51、52に対して平行な螺子軸53と、各電子部品搬送体42の下部に取り付けられ、ガイド51に沿って移動する可動ブロック54と、各電子部品搬送体42の下部に取り付けられ、ガイド52に沿って移動する可動ブロック55と、各電子部品搬送体42の下部に固定され、螺子軸53に装着されたナットブロック56と、螺子軸53を回転駆動させる駆動手段57を備えている。
【0028】
駆動手段57は、螺子軸53を時計回り及び反時計回りに回転させることができ、螺子軸53を回転させてナットブロック56を螺子軸53に沿って移動させる。各電子部品搬送体42は、ナットブロック56の移動に伴って、各可動ブロック54、55と共に各電子部品搬送体42の長手方向に直交する方向に移動(横移動)する。駆動手段57は、複数の電子部品搬送体42を移動させて、一の電子部品搬送体42の上流側端部を、部品中継手段41から電子部品Wが送り出される部品送り出し位置(即ち、測定ユニット11からの電子部品Wを取得可能な位置)に配置する。
【0029】
上流側端部が部品送り出し位置に配された電子部品搬送体42は、ストッパ50により搬送空間45の下流側が閉じられた状態で、部品中継手段41から電子部品Wが間欠的に搬送空間45に送られる。搬送空間45内に送られた電子部品Wは、エアー吹き付け手段49からの空気で搬送空間45内を移動する。一の電子部品搬送体42の搬送空間45内のストッパ50より上流側が電子部品Wで満たされるタイミングで、駆動手段57の作動により各電子部品搬送体42が移動して、他の電子部品搬送体42の上流側端部が、部品送り出し位置に配され、当該電子部品搬送体42の搬送空間45内に部品中継手段41から電子部品Wが送られる。
【0030】
この処理を、全ての電子部品搬送体42の搬送空間45のストッパ50より上流側が電子部品Wで満たされるまで繰り返す。この間、各電子部品搬送体42の搬送空間45内の電子部品Wには、搬送空間45に送られるエアー吹き付け手段49からの空気による冷却が続けられている。その後、最初に部品中継手段41から電子部品Wが搬送空間45に送られた電子部品搬送体42を下流側端部が部品送り出し位置に配された状態にし、当該電子部品搬送体42のストッパ50を開けて、搬送空間45の下流側端部から部品送出手段44に電子部品Wが送り出されるようにする。電子部品Wは、空気の吹き付けによって、搬送空間45の下流側端部から送り出されるまでに常温になっている。
【0031】
このように、電子部品搬送体42を並列に配置することによって、1つの電子部品搬送体の搬送距離を長くすることなく、電子部品Wを常温に近付ける(電子部品Wの温度を所定値以上低下又は上昇させる)ための搬送時間を確保可能であり、電子部品Wを常温に近付けるために電子部品検査装置が大型化になるのを防ぐことができる。
【0032】
搬送空間45から部品送出手段44に送り出された電子部品Wは、
図1に示すように、ロータリー機34と同じ設計のロータリー機、部品搬送ユニット15、及び、ロータリー機34と同じ設計のロータリー機を経て、測定ユニット12に搬送される。測定ユニット12は、ポケット59が等ピッチで形成された回転テーブル60と、ポケット59内の電子部品Wの電気特性検査を行う検査手段61を具備している。回転テーブル60は、ペルチェ素子62を有し、ポケット59内の電子部品Wを、検査手段61による検査が行われる位置に搬送するまでに所定の温度(T2℃)まで冷却する。
【0033】
ここで、ペルチェ素子62は、電子部品Wを常温状態から冷却することから、電子部品Wを常温より高い温度から冷却するのに比べて、検査手段61による検査が行われる位置に電子部品Wが搬送されるまでに、安定的に電子部品Wの温度を所定値まで下げることができる。検査手段61による検査を終えた電子部品Wは、回転テーブル60からロータリー機34と同じ設計のロータリー機経由で部品搬送ユニット15に戻され、ロータリー機34と同じ設計のロータリー機を経て搬送機構Qに搬送される。
【0034】
搬送機構Qは、搬送機構Pと同じ設計であり、測定ユニット12からロータリー機、部品搬送ユニット15及びロータリー機を順に経て与えられる電子部品Wを常温に近付ける(本実施の形態では、電子部品Wの温度を20℃以上上昇させる)温度調整手段q(本実施の形態では、エアー吹き付け手段)を有している。搬送機構Qで常温に近付けられた(本実施の形態では、常温にされた)電子部品Wは、ロータリー機34と同じ設計のロータリー機を経由して部品搬送ユニット17に送られ、部品搬送ユニット17のノズル22に吸着された状態で、部品搬送ユニット17の近傍に設けられた測定ユニット18により、T3℃(本実施の形態では、常温)の状態で電気特性検査がなされる(即ち、測定ユニット18は、測定ユニット12による検査がなされた電子部品WをT3℃にした状態で検査する)。従って、搬送機構Qは、電子部品Wを測定ユニット18に向けて移動させることとなる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、搬送機構P(搬送機構Qについても同じ)は、電子部品搬送体を1つのみ有するものであってもよい。搬送機構P(搬送機構Qについても同じ)が、複数の電子部品搬送体を有する場合、複数の電子部品搬送体は並列配置されている必要はない。また、
図4に示すように、複数の電子部品搬送体64を軸心が水平配置された円柱状の回転体65の側面に取り付け、回転体65の回転によって、一の電子部品搬送体64を、第1の測定ユニットからの電子部品Wを取得可能な位置に配置するようにしてもよい。
電子部品搬送体は直線状に限定されず、例えば、円弧状であってもよい。
【0036】
また、温度調整手段p(温度調整手段qについても同じ)として、エアー吹き付け手段を採用する必要はなく、例えば、温度調整手段pに、
図4に示すように、電子部品搬送体64に取り付けられたヒートシンク66を採用してもよい。即ち、温度調整手段p(温度調整手段qについても同じ)は、常温より高温状態又は低温状態にある電子部品Wを単に常温雰囲気で常温に近付けるものではなく、電子部品Wを積極的に放熱させて、あるいは、電子部品Wから積極的に吸熱して常温に近付けるものであればよい。
【0037】
更に、搬送機構P、Qは同一の設計でなくてもよく、第1、第2、第3の測定ユニットも同一の設計でなくてもよい。
第1の測定ユニット(第2、第3の測定ユニットについても同じ)は、前記実施の形態のものに限定されないのは言うまでもなく、例えば、ノズルが放射状に取り付けられた回転体が水平軸を中心に回転するものであってもよい。
【0038】
そして、第1、第2、第3の測定ユニットは同一高さ位置に配されている必要はなく、例えば、第1の測定ユニットの直下に第2の測定ユニットを配置し、第2の測定ユニットの直下に第3の測定ユニットを配置してもよい。この場合、鉛直方向に長い電子部品搬送を有する搬送機構P、Qが採用される。
【0039】
また、電子部品の検査をT1℃の状態とT2℃の状態とでのみで行えばよい場合、第3の測定ユニット及び搬送機構Qは省略される。この場合、例えば、T1℃>常温>T2℃のパターン、及び、T2℃>常温>T1℃のパターンが存在する。
この点、電子部品の検査をT1℃の状態、T2℃の状態及びT3℃の状態で行う場合、前記実施の形態のT1℃>T3℃(=常温)>T2℃のパターンに加えて、例えば、T2℃>T3℃(=常温)>T1℃のパターンが存在する。T2℃>T3℃(=常温)>T1℃のパターンの場合、第1の測定ユニットでは、電子部品を冷却してT1℃にした状態で検査する。また、エアー吹き付け手段が電子部品に吹き付ける空気をT1℃より高い温度とすることによって、電子部品を常温に近付けることができる。よって、エアー吹き付け手段はT1℃とは異なる温度の空気を電子部品に吹き付けて、電子部品を常温に近付けることとなる。
【0040】
ここで、例えば、電子部品の搬送順に、常温検査用の測定ユニットa、搬送機構j、常温より高い温度での検査用の測定ユニットb、搬送機構k、常温より低い温度での計測用の測定ユニットcが設けられている場合、測定ユニットb、cがそれぞれ第1、第2の測定ユニットであり、搬送機構kが搬送機構Pとなり、測定ユニットaは第1、第2、第3の測定ユニットいずれにも該当せず、搬送機構jは搬送機構P、Qのいずれにも該当しない。
【符号の説明】
【0041】
10:電子部品検査装置、11、12:測定ユニット、14、15:部品搬送ユニット、17:部品搬送ユニット、18:測定ユニット、19:回転軸、20:回転体、21:アーム、22:ノズル、23:モータ、24:支持体、25:板材、26:支持部材、27:ヒータ、28:可動体、29:モータ、30、31:コイルばね、32:回転テーブル、32a:回転軸、33:ポケット、34:ロータリー機、35:回転軸、36:回転体、37:アーム、38:チャック、39:コイルばね、40:検査手段、41:部品中継手段、42:電子部品搬送体、43:シフト手段、44:部品送出手段、45:搬送空間、46:空気流通路、47:空気流入空間、48:チューブ、49:エアー吹き付け手段、50:ストッパ、51、52:ガイド、53:螺子軸、54:可動ブロック、55:可動ブロック、56:ナットブロック、57:駆動手段、59:ポケット、60:回転テーブル、61:検査手段、62:ペルチェ素子、64:電子部品搬送体、65:回転体、66:ヒートシンク、P:搬送機構、Q:搬送機構、W:電子部品
【要約】
【課題】加熱又は冷却された電子部品を安定的に常温にすることが可能な電子部品検査装置を提供する。
【解決手段】電子部品を加熱又は冷却してT1℃にした状態で検査する第1の測定ユニット11と、第1の測定ユニット11で検査された電子部品をT1℃とは異なるT2℃で検査する第2の測定ユニット12と、第1の測定ユニット11から与えられた電子部品を、第2の測定ユニット12に向けて搬送する搬送機構Pとを備え、搬送機構Pは、電子部品の温度を常温に近付ける温度調整手段pを有する。
【選択図】
図1