(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】膝掛けクリップ
(51)【国際特許分類】
F16B 2/20 20060101AFI20220203BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20220203BHJP
A61G 5/10 20060101ALN20220203BHJP
B62B 9/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
F16B2/20 D
A44B99/00 611B
A61G5/10
B62B9/00
(21)【出願番号】P 2017181325
(22)【出願日】2017-09-21
【審査請求日】2020-09-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 http://www.littaglitta.co.uk/p-clips.html、平成29年7月5日 〔刊行物等〕 第9回ベビー&キッズEXPO夏、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3丁目11-1)、平成29年7月5日~7日 〔刊行物等〕 ブリンキー合同会社(京都府京都市下京区烏丸通仏光寺下ル大政所町680-1 第八長谷ビル2F)、平成29年9月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516185802
【氏名又は名称】ラウ キット ヒング
【氏名又は名称原語表記】LAU KIT HING
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウ キット ヒング
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特許第6197210(JP,B1)
【文献】特開2000-087922(JP,A)
【文献】登録実用新案第3033103(JP,U)
【文献】特開2003-88406(JP,A)
【文献】特表2005-537874(JP,A)
【文献】米国特許第5318292(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0058168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00- 2/26
A44B 99/00
A61G 5/10
B62B 7/00-19/04
A47G 25/00-25/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝掛けを挟持する一対の板状の挟持部を備えたクリップ本体と、
前記一対の挟持部の少なくとも一方に形成された膝掛け挿通孔と、
前記クリップ本体を取付対象物に固定する固定具と、
を
有し、
前記一対の挟持部が、各々先端と後端を有し、互いの前記先端側の所定の領域によって前記膝掛けを挟むものであって、
前記膝掛け挿通孔が、前記所定の領域よりも後端側に設けられていることを特徴とする膝掛けクリップ。
【請求項2】
膝掛けを挟持する一対の板状の挟持部を備えたクリップ本体と、
前記一対の挟持部の各々の、互いに対向する位置に形成された膝掛け挿通孔と、
前記クリップ本体を取付対象物に固定する固定具と、
を有することを特徴とする膝掛けクリップ。
【請求項3】
前記膝掛け挿通孔の開口形状が長方形であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の膝掛けクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーや車椅子などにおいて、使用者の身体に掛けた膝掛け(ブランケット又はタオルケット等)が落下しないよう、該膝掛けを車体に固定するための膝掛けクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベビーカー等に取り付けて膝掛けの落下を防ぐためのクリップとして、特許文献1のようなものが知られている。これは、膝掛けを挟持するクリップに紐状の連結具を取り付け、該連結具をベビーカー等の車体を構成するパイプに固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の膝掛けクリップでは、膝掛けに力が加わった際に、該膝掛けがクリップから抜け落ちてしまうことがあった。これは特に薄手の膝掛けを使用した場合に顕著な問題である。こうした膝掛けの抜け落ちを防止する方法として、例えば、挟持力の強いクリップを使用することが考えられるが、その場合、クリップの開閉に大きな力が必要となり、膝掛けの着脱をスムーズに行えなくなるという問題があった。また、膝掛けがガーゼなどのデリケートな生地から成る場合、挟持力の強いクリップでは生地を傷めるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、開閉が容易であると共に挟持した膝掛けが抜け落ち難く、デリケートな生地から成る膝掛けにも好適に使用することができる膝掛けクリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明に係る膝掛けクリップは、
a) 膝掛けを挟持する一対の板状の挟持部を備えたクリップ本体と、
b) 前記一対の挟持部の少なくとも一方に形成された膝掛け挿通孔と、
c) 前記クリップ本体を取付対象物に固定する固定具と、
を有する、
ことを特徴としている。
【0007】
ここで、前記取付対象物とは、例えば、ベビーカー又は車椅子の車体を構成するパイプ等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
上記構成から成る膝掛けクリップによれば、膝掛けを前記貫通孔に挿通した上で一対の挟持部で挟持することができるため、膝掛けに力が加わった場合でも膝掛けが容易に抜け落ちることがない。また、クリップ本体として比較的挟持力が弱いものを使用することができるため、開閉が容易であると共に、デリケートな生地から成る膝掛けであっても、生地を傷めることなく保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る膝掛けクリップの構成を示す斜視図。
【
図2】前記膝掛けクリップに膝掛けを挟む過程を示す図。
【
図3】前記膝掛けクリップで膝掛けを挟んだ状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る膝掛けクリップの構成を示す斜視図である。本実施形態に係る膝掛けクリップは、大きく分けてクリップ本体10と、ベルト20とで構成される。
【0011】
クリップ本体10は、対向配置された略同一形状の第1クリップ片30と第2クリップ片40とを備えている。第1クリップ片30と第2クリップ片40は、いずれも金属から成るものであって、両者の間に配置されたピン50によって互いに回動可能に連結されている。第1クリップ片30及び第2クリップ片40の材料となる金属は、錆びにくく堅固であれば何でも良く、例えば亜鉛合金、銅、ステンレススチール等が好適である。以下、第1クリップ片30及び第2クリップ片40において、ピン50が取り付けられた位置よりも先端側を挟持部31、41とよび、後端側をつまみ部32、42とよぶ。ピン50の周りにはコイルばね60が取り付けられており、第1クリップ片30及び第2クリップ片40は、コイルばね60の弾性力によって、挟持部31、41の先端が互いに接触した状態(すなわちクリップ本体10が閉じた状態)となるよう付勢されている。
【0012】
挟持部31、41の中央には、幅1cm~3cm、長さ2cm~5cmの長方形の貫通孔である膝掛け通し孔33、43が形成されている。なお、ここでは挟持部31、41の表面において、第1クリップ片30及び第2クリップ片40の回動軸であるピン60の延伸方向と平行な方向を幅とし、前記幅と直交する方向を長さとする。挟持部31、41の膝掛け通し孔33、43よりも先端側の領域には膝掛けを係止するための突起状の歯34、44が設けられている。第1クリップ片30及び第2クリップ片40のつまみ部32、42の表面には、クリップ本体10を開く際に、使用者の指が滑らないよう、滑り止めの凹凸35が形成されている。更に、第2クリップ片40のつまみ部42にはベルト通し孔46が形成されている。
【0013】
ベルト通し孔46には、幅2cm~3cm、長さ15cm~30cm程度のベルト20(本発明における固定具に相当)が挿通される。ベルト20は、その両端をほぼ同じ長さだけベルト通し孔46から突出させた状態で二つ折りして第2クリップ片40の後端近傍で縫い合わせることにより、ベルト通し孔46から抜けないように構成されている。また、ベルト20は、両端部のうちの一方に面ファスナーのフック部が、他方の端部にループ部が形成されている。なお、ループ部は、フック部が形成されたベルト20の面とは別の面に形成されている。
【0014】
本実施形態に係る膝掛けクリップをベビーカーや車椅子の車体に取り付ける際には、第2クリップ片40の後端を、前記車体を構成するパイプの周面に添えた状態でベルト20の両端を順にパイプに巻き付ける。このとき、ベルト20とパイプの間に隙間が生じないように締め付ける。
【0015】
本実施形態に係る膝掛けクリップに膝掛けを保持させる際には、まず第1クリップ片30及び第2クリップ片40のつまみ部32、42を指でつまんで挟持部31、41の先端を離間させ(すなわち、クリップ本体10を開いた状態とし)、膝掛け70の隅の部分を、第2クリップ片40の膝掛け通し孔43(又は第1クリップ片30の膝掛け通し孔33)に挿通する(
図2参照)。このとき、膝掛け70は、第2クリップ片40の膝掛け通し孔43(又は第1クリップ片30の膝掛け通し孔33)に、クリップ本体10の外側から内側に向かって挿通させるようにする。続いて、第1クリップ片30の挟持部31と第2クリップ片40の挟持部41との間に突出した膝掛け70の一部分を、挟持部31、41の先端方向(
図2中の太矢印の方向)に向かって数センチほど引き出し、その後、つまみ部32、42から指を離してクリップ本体10を閉じた状態とする。これにより、第1クリップ片30の挟持部31と第2クリップ片の挟持部41との間に膝掛け70の一部が挟持された状態となる(
図3参照)。
【0016】
このように、本実施形態に係る膝掛けクリップによれば、膝掛け70を一旦、膝掛け通し孔33又は43に通した上で挟持するため、膝掛け70に力が加わった場合でも膝掛け70が容易に抜け落ちることがない。また、クリップ本体10として比較的挟持力が弱いものを使用することができるため、デリケートな生地から成る膝掛け70であっても、生地を傷めることなく保持することができる。また、膝掛け通し孔33、43は、その開口形状が長方形となっているため、膝掛け通し孔33又は43に挿通させた膝掛け70は、その生地が膝掛け通し孔33又は43の幅方向の中心に向かって寄せられた状態となる。そのため、生地に厚みを持たせることができ、薄手の膝掛け70であっても確実に挟持することができる。また、膝掛け通し孔33、43は縦長の(すなわち幅よりも長さが大きい)長方形であるため、上記のように生地を中心に寄せるために膝掛け通し孔33、43の幅を狭くしても、膝掛け通し孔33、43の開口面積を十分に確保することができ、膝掛け70を容易に挿通することができる。
【0017】
なお、本実施形態に係る膝掛けクリップには、膝掛け70を保持するほか、乳幼児用のおもちゃを保持させることもできる。この場合、挟持部31、41によっておもちゃを挟持するようにしてもよく、あるいは、おもちゃに取り付けられた紐やフックを膝掛け通し孔33、43に通して固定するようにしてもよい。
【0018】
以上、本発明を実施するための形態について具体例を挙げて説明を行ったが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。
【0019】
例えば、上記実施形態では、膝掛け通し孔33、43の開口形状を縦長の長方形としたが、これに限定させるものではなく、例えば、正方形や円形としてもよい。また、上記実施形態では、第1クリップ片30と第2クリップ片40の双方に膝掛け通し孔33、43を設けたが、いずれか一方のみに膝掛け通し孔を設けるようにしてもよい。更に、上記実施形態では、第1クリップ片30及び第2クリップ片40を金属から成るものとしたが、これに限らず、例えば樹脂など、いかなる素材で構成してもよい。また、クリップ本体10の挟持部31、41を互いに接触する方向に付勢する手段としては、上述のコイルばね60のほか、例えば、板ばねなど、種々の弾性体を用いることができる。
【0020】
更に、上記実施形態では、面ファスナーのフック部とループ部をベルト20の両端に設けることにより、該ベルト20の両端を結合するようにしたが、これ以外の構成でもよい。例えば、着脱式のバックルの雌部と雄部を、その位置を移動可能にベルトの両端に取り付けてもよい。また、ベルトの両端部のうちの一方にD環を取り付け、他方の端部に面ファスナーのフック部とループ部を形成し、該他方の端部をD環に通して折り返してフック部とループ部を貼り合わせるようにしてもよい。
【0021】
また、本発明においてクリップ本体をベビーカーの車体等の取付対象物に取り付けるための固定具は、上記のベルト20に限らず、例えば紐やリングなどで構成してもよい。
【符号の説明】
【0022】
10…クリップ本体
20…ベルト
30…第1クリップ片
40…第2クリップ片
31…、41…挟持部
32、42…つまみ部
33、43…膝掛け通し孔
34、44…歯
35…凹凸
46…ベルト通し孔
50…ピン
60…コイルばね
70…膝掛け