(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 17/20 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
F26B17/20 B
(21)【出願番号】P 2017196693
(22)【出願日】2017-10-10
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】391055195
【氏名又は名称】関西産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】児島 輝明
(72)【発明者】
【氏名】今谷 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】猪熊 雅仁
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-102669(JP,A)
【文献】特開2000-002486(JP,A)
【文献】特開平11-270967(JP,A)
【文献】特開昭62-172179(JP,A)
【文献】特表昭63-502493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風が供給される筐体と、
前記筐体内に設けられ、所定方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に支持された支持手段と、
前記支持手段により支持された螺旋状の内羽根と、
前記筐体内に被乾燥物を供給する供給手段と、を備え、
前記回転軸が所定の回転方向に回転すると、前記内羽根は前記回転軸と一体的に回転し、前記被乾燥物を前記所定方向下流側に送り出し、
前記内羽根は、前記内羽根の両端部が前記支持手段に装着されることにより前記支持手段によって支持され、
前記内羽根の両端部のうち少なくとも一方の端部の前記支持手段への装着位置をずらすことにより前記螺旋ピッチを調節可能であることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
熱風が供給される筐体と、
前記筐体内に設けられ、所定方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に支持された支持手段と、
前記支持手段により支持された螺旋状の内羽根と、
前記筐体内に被乾燥物を供給する供給手段と、を備え、
前記回転軸が所定の回転方向に回転すると、前記内羽根は前記回転軸と一体的に回転し、前記被乾燥物を前記所定方向下流側に送り出し、
前記支持手段は、前記内羽根の螺旋ピッチを調節可能に支持し、
前記支持手段は、前記回転軸に装着された複数個のホイール部材と、前記複数個のホイール部材に掛け渡されて支持される板部材と、を有し、
前記内羽根は前記板部材に装着され、
前記板部材は、前記被乾燥物を掻き上げる外羽根として機能することを特徴と
する乾燥機。
【請求項3】
前記内羽根は略一周分の螺旋形状を有し、前記内羽根は前記所定方向に沿って複数個配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記筐体の底面には排水口が設けられ、前記排水口は前記底面の前記所定方向下流側に位置し、
前記筐体は全体として、前記所定方向下流側に向けて下り勾配に傾斜していることを特徴とする
請求項1~3の何れかに記載の乾燥機。
【請求項5】
前記筐体の周面には、平面視前記所定方向に沿って千鳥状に配置された少なくとも3個の点検口が設けられていることを特徴とする
請求項1~4の何れかに記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風により被乾燥物を乾燥させるための乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、穀物や野菜、生おから等の被乾燥物を乾燥させるための乾燥機が提案されている。例えば、特許文献1に開示の筒状乾燥装置は、筒状本体部に一端部から熱風と原料を供給して原料を乾燥させ、乾燥された原料は乾燥品として他端部から取り出される。筒状本体部には、回転シャフトと共に回転する羽根部材が傾斜して設けられ、この羽根部材により原料が掻き上げられて原料の乾燥が促されると共に、他端部側への送り力が原料に対して付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の筒状乾燥装置においては、羽根部材による原料の送り量は羽根部材の傾斜角度に依存するが、羽根部材の傾斜角度は予め決められており、原料の送り量を調整することはできなかった。
【0005】
また、従来の筒状乾燥装置は点検口が狭く、筒状乾燥装置の内部清浄が困難であると共に、内部洗浄後に洗浄水の一部が内部に溜まり、完全に排水しきれないという問題があった。
【0006】
本発明は、被乾燥物の送り量を調整可能な乾燥機の提供を目的とする。
【0007】
本発明は更に、排水を容易に行うことの可能な乾燥機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の乾燥機は、熱風が供給される筐体と、前記筐体内に設けられ、所定方向に延びる回転軸と、前記回転軸に支持された支持手段と、前記支持手段により支持された螺旋状の内羽根と、前記筐体内に被乾燥物を供給する供給手段と、を備え、前記回転軸が所定の回転方向に回転すると、前記内羽根は前記回転軸と一体的に回転し、前記被乾燥物を前記所定方向下流側に送り出し、前記支持手段は、前記内羽根の螺旋ピッチを調節可能に支持することを特徴とする。
【0009】
また、前記筐体の底面には排水口が設けられ、前記排水口は前記底面の前記所定方向下流側に位置し、前記筐体は全体として、前記所定方向下流側に向けて下り勾配に傾斜していることを特徴とする。
【0010】
更に、前記筐体の周面には、前記所定方向に沿って千鳥状に配置された少なくとも3個の点検口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乾燥機によれば、螺旋状の内羽根が設けられているので、被乾燥物の流動を促すことができる。また、内羽根の螺旋ピッチを調節可能であるので、回転軸の回転量を変動させることなく被乾燥物の搬送量/搬送速度を調整することができる。
【0012】
また、前記筐体の底面下流側には排水口が設けられ、前記筐体は全体として下流側に向けて下り勾配に傾斜しているので、筐体内部を洗浄した際の排水を良好に行うことができる。
【0013】
更に、前記筐体の周面には、前記所定方向に沿って千鳥状に配置された少なくとも3個の点検口が設けられているので、筐体内部の洗浄作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る乾燥機を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のIbーIb線断面図。
【
図2】
図1に示す乾燥機が備える乾燥装置の内部構造を説明する縦断面図。
【
図4】
図2に示す乾燥装置が備える内羽根の支持構造を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る乾燥機について説明する。
図1を参照して、本実施形態の乾燥機1は通気回転式乾燥機であって、熱風発生装置11と、被乾燥物供給装置(供給手段)12と、乾燥装置13と、を備える。熱風発生装置11は熱風を発生させて乾燥装置13へ供給する。被乾燥物供給装置12は、被乾燥物(図示せず)を貯留するためのホッパ12aと、ホッパ12aに貯留された被乾燥物を乾燥装置13へ搬送するための搬送装置12bと、を備える。乾燥装置13に供給された被乾燥物は熱風に曝されて乾燥され、乾燥物として熱風と共に乾燥装置13から排出され、ダクト14を介して図示しないサイクロンにより熱風と分離回収される。
【0016】
図2をも参照して、乾燥装置13は、所定方向D1に延びる有底円筒状の筐体2を備える。筐体2の一端側(上流側)には、熱風発生装置11からの熱風が供給される通風口21と、被乾燥物供給装置12から被乾燥物が供給される供給口22と、が設けられ、その他端側(下流側)にはダクト14に連通する排出口23が設けられている。
【0017】
乾燥装置13は更に、筐体2内部に設けられた回転軸3と、回転軸3に所定間隔で支持された複数個のホイール部材4と、ホイール部材4により支持された複数枚の外羽根5と、外羽根5に支持された螺旋状の2枚の内羽根6と、を備える。回転軸3は所定方向D1に延び、図示しない駆動手段により所定方向(所定の回転方向)D2に回転駆動される。
【0018】
図2及び
図3を参照して、各ホイール部材4は、回転軸3が挿通固定された基端部41と、基端部41から放射状に延出する複数本の接続部42と、接続部42の先端に固定されたリング状のリム部43と、を有する。外羽根5はホイール部材4の周方向に所定間隔で並列配置されている。各外羽根5は供給口22の近傍から排出口23の近傍まで所定方向D1に延出する板状部材であって、複数枚のホイール部材4に掛け渡され、リム部43から径方向外方に延出するように固定されている。
【0019】
図2及び
図4を参照して、各内羽根6は略一周分の螺旋形状を有し、その両端部61が複数枚の外羽根5のうちの特定の一枚の外羽根5(以下、「支持羽根50」ともいう)の両面にそれぞれ取り付けられている。より具体的に、支持羽根50には所定方向D1に延びる長孔51が穿設されている。内羽根6の両端部61にはそれぞれL字型の取付金具7が取り付けられており、取付金部7には所定方向D1と直交する方向D3に延びる長孔71が穿設されている。そして、取付金具7は長孔71及び長孔51に挿通されたボルト72により支持羽根50の両面にそれぞれ固定され、これにより内羽根6の両端部61は取付金具7を介して支持羽根50の両面にそれぞれ取り付けられている。
【0020】
よって、ボルト72を緩めることにより内羽根6の端部61は長孔51に沿って所定方向D1へスライド自在となり、ボルト72を締めることにより任意の位置で固定される。このようにして内羽根6の少なくとも何れか一方の端部61について位置調整を行うことにより、両端部61間の所定方向D1の距離(即ち螺旋ピッチ)Pを調整することができる。また、各内羽根6の中間部にはネジ棒8が挿通されており、一対のナット81により締め付け固定されている。
図2に示す様にネジ棒8は上流側に位置する一対のホイール部材4により、外羽根5よりも内側の位置で支持されており、内羽根6を補強している。
【0021】
なお、本実施形態では、ホイール部材4、支持羽根50及びネジ棒8が、内羽根6を支持する支持手段として機能する。
【0022】
かかる構成により、回転軸3が回転すると、外羽根5及び内羽根6は回転軸3と一体的に回転する。外羽根5が回転すると、被乾燥物は上方に掻き上げられて撹拌され、被乾燥物はこのように撹拌されることにより均一に熱風に曝され、均一な乾燥が促される。また、内羽根6が回転すると、被乾燥物は撹拌されながら下流側へ送り出され、被乾燥物が過剰に滞留するのを防止できる。
【0023】
ここで、被乾燥物の下流側への搬送は、主に熱風により被乾燥物が吹き飛ばされることにより行われる。被乾燥物は、下流側に向かうに従い乾燥が進んで軽くなることから、下流側では熱風により搬送されやすくなるが、さほど乾燥が進んでいない上流側では熱風ののみによる搬送には限界がある。その点、本実施形態では螺旋状の内羽根6を設けているので、内羽根6の回転により被乾燥物の搬送を促すことができる。なお、内羽根6は乾燥装置13の所定方向D1全域に設ける必要はなく、
図2に示す様に筐体2内の上流側領域、即ち供給口22付近にさえ設けておけば、被乾燥物の良好な流動を促すことができる。
【0024】
また、各内羽根6は略1周分の螺旋形状を有するが、
図2に示す様に複数枚の内羽根6を所定方向D1に並設させることにより、全体として連続した複数周分の螺旋形状を構成することができ、被乾燥物を連続して搬送させることができる。
【0025】
図2を参照して、筐体2は全体が下流側に向けて下り勾配に傾斜し設けられ、筐体2の底面下流側には排水口24が設けられている。また、
図1に示すように、筐体2の外周面には3個の点検口25,26,27が設けられ、これら3個の点検口25~27は平面視所定方向D1に沿って千鳥状に配置されている。
【0026】
筐体2を全体的に下流側に向けて下り勾配に傾斜させることにより、乾燥装置13の内部を洗浄した際に排水口24を介した洗浄水の排水を容易に行うことができる。また、点検口を複数個設けることにより、乾燥装置13の内部にアクセスしやすくなり、内部洗浄を容易に行うことができる。なお、筐体2の傾斜度としては0.5°~1.0°程度あれば足りる。
【0027】
このように、本実施形態の乾燥機1によれば、内羽根6の渦巻ピッチPを可変としたので、回転軸3ひいては内羽根6の回転速度を変更することなく、被乾燥物の送り量(搬送速度)を容易に調整することができる。
以上、本発明の実施形態に係る乾燥機1について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0028】
例えば、上記実施形態においては、2枚の内羽根6を設けたが、内羽根6の枚数は2枚に限定されず、1枚であっても良く、或いは3枚以上であっても良い。また、上記実施形態においては内羽根6の両端部61を位置調整可能としたが、何れか一方を固定とし、他方のみを位置調整可能な構成とすることもできる。
【0029】
上記実施形態では、外羽根5の一枚を内羽根6を支持する支持羽根50として利用したが、内羽根6を支持する支持板を外羽根5とは別個の部材としても良い。
【0030】
また、上記実施形態では、点検口を3個設けたが、4個以上設けても良い。この場合であっても、複数個の点検口は所定方向D1に沿って平面視千鳥状に設けるのが好ましい。なお、筐体2の所定方向D1長さが比較的短い場合には、点検口の数は2個であっても良いが、この場合であっても点検口の位置は所定方向D1にずらして設けるのが好ましい。
【符号の説明】
【0031】
1 乾燥機
2 筐体
3 回転軸
4 ホイール部材
5 外羽根
6 内羽根
13 乾燥装置
50 支持羽根
P 螺旋ピッチ