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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】プレテンション付与装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 23/06 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
B28B23/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017218752
(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公開番号】P2019089236
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】古城 雅浩
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182715(JP,A)
【文献】特開2003-205514(JP,A)
【文献】特開昭64-006442(JP,A)
【文献】特開2000-296516(JP,A)
【文献】特開2004-346630(JP,A)
【文献】特開2007-276123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 23/00 - 23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレストレストコンクリート製造のためのPC鋼材を、このPC鋼材の一端部を支持する基部支持枠と、前記PC鋼材の他端部を支持する鋼材支持材の間に張り渡し、この鋼材支持材をジャッキで押し出して、前記PC鋼材にテンションを与え、前記ジャッキの反力を、このジャッキと前記基部支持枠の間に設けた圧縮材で受けるようにしたプレテンション付与装置において、
前記鋼材支持材は、前記PC鋼材の他端部を支持するPC鋼材支持部と、このPC鋼材支持部の両側に前記ジャッキを受けるジャッキ受け部とを一体に設けてなり、
前記鋼材支持材を包囲して摺動自在に嵌合するための前記鋼材支持材より大きな先端部ガイド枠を設け、
前記先端部ガイド枠は、中央に前記PC鋼材支持部を配置するためのPC鋼材支持空間を有し、両側に前記ジャッキ受け部と前記ジャッキの他端に連結される前記圧縮材の一端とを配置するためのジャッキ取り付け空間とを有し、
前記先端部ガイド枠と前記基部支持枠は、これらの間に張り渡された前記PC鋼材に型枠を取り付けてコンクリートを打設する距離を持って基盤に固定的に取り付けられ、
前記鋼材支持材を前記ジャッキにより押し出し摺動して前記PC鋼材にプレテンションを付与することを特徴とするプレテンション付与装置。
【請求項2】
前記圧縮材の前記ジャッキ側の端部には、圧縮材受け板とジャッキ受け台とジャッキ受け板を介在して前記ジャッキのシリンダーの基部に固定的に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のプレテンション付与装置。
【請求項3】
前記ジャッキ取り付け空間は、上下の2本ずつのたて梁と、これらのたて梁を連結するよこ梁とからなり、前記たて梁と前記ジャッキ受け部との間に摺動部材を介在して前記ジャッキ受け部を摺動自在としたことを特徴とする請求項1又は2記載のプレテンション付与装置。
【請求項4】
前記ジャッキ受け部の下面に摺動部材を一体に設け、この摺動部材下面の前記たて梁との摺動面に横ずれ防止のガイド部を設けたことを特徴とする請求項3記載のプレテンション付与装置。
【請求項5】
前記先端部ガイド枠における前記圧縮材の嵌合部を構成する垂直梁の内側の前記圧縮材の摺動部分に滑り板を介在したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のプレテンション付与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレストレストコンクリート(PC)製品を製造するときに使用されるPC鋼材に、テンションを付与するためのプレテンション付与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、この種のプレテンション付与装置として図6(a)(b)(c)に示すものをすでに提案した(特許文献1)。
図6(a)(b)(c)において、PC鋼材13のテンション部側の基盤11の上に、固定的に摺動案内板10を据付け、この摺動案内板10の上にテンション用フレーム12の台座14を載せ、この台座14を摺動支持具15で挟み付けるようにして、この摺動支持具15を前記摺動案内板10とともに基盤11にアンカー16で固着することにより、前記テンション用フレーム12が摺動案内板10の上で摺動可能に支持されている。
このテンション用フレーム12には、前記PC鋼材13を支持する鋼材支持材17が進退自在に搭載され、また、テンション用フレーム12には、ジャッキ受け台18が固定的に設けられ、このジャッキ受け台18と前記鋼材支持材17との間にジャッキ20が搭載される。前記PC鋼材13の他端の固定部側における基盤11の上に鋼材固定材23がアンカー16により固着される。
【0003】
前記鋼材支持材17と鋼材固定材19の間には、コンクリートにプレストレスを与えるための複数本のPC鋼材13が貫通して張られ、それぞれ定着部21で固定される。このPC鋼材13をジャッキ20でテンションを付加したときのテンションの反力を支えるための圧縮材22が前記ジャッキ受け台17と鋼材固定材19との間に取り付けられる。この圧縮材22は、テンションの反力に耐えうる形状のものが使用されていた。
【0004】
以上のような構成において、前記鋼材支持材17とジャッキ受け台18との間に据え付けたジャッキ20のピストンを押し出すと、鋼材支持材17が図6(c)の鎖線で示すように摺動し、前記PC鋼材13に所定のテンションが付加される。このとき、ジャッキ受け台18に受けた反力が両側の圧縮材22で受け、この圧縮材22が収縮し、テンション用フレーム12とジャッキ受け台18が摺動案内板10の上で鎖線のようにわずかに移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-182715号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものは、次のような若干の問題点があった。
(1)ジャッキ20のピストンを押し出すと、図6(c)の鎖線で示すように、鋼材支持材17の先端部側が前方へ摺動進出し、前記PC鋼材13に所定のテンションが付加される。同時に、ジャッキ受け台18に受けた反力が両側の圧縮材22で受け、この圧縮材22が収縮し、テンション用フレーム12とジャッキ受け台18が摺動案内板10の上で後方に鎖線のようにわずかに移動する。このように、前後2個所で動くので、PC鋼材13に付加される目的のテンションの精度が取れにくい。
(2)前後2か所で動くので、PC鋼材13に直線的なテンションを付加するのにやや不安がある。
(3)テンション用フレーム12とジャッキ受け台18が動くので安全性に問題がある。
(4)テンション用フレーム12とジャッキ受け台18が動くのでPC鋼材13が切断するようなことがあると、危険性がある。
【0007】
本発明は、PC鋼材に付加されるテンションの精度を高め、かつ、安全性の高いプレテンション付与装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプレテンション付与装置は、
プレストレストコンクリート製造のためのPC鋼材13を、基部支持枠26と鋼材支持材17の間に張り渡し、この鋼材支持材17をジャッキ20で押し出して前記PC鋼材13にテンションを与え、前記ジャッキ20の反力を、このジャッキ20と基部支持枠26の間に設けた圧縮材22で受けるようにしたプレテンション付与装置において、
前記鋼材支持材17を摺動自在に嵌合した先端部ガイド枠27と前記基部支持枠26は、基盤11に固定的に取り付けられ、前記先端部ガイド枠27には、PC鋼材支持空間41とジャッキ押し出し空間40を有し、前記鋼材支持材17は、PC鋼材支持部43とジャッキ受け部42からなり、前記PC鋼材支持空間41には、前記PC鋼材13を取り付けたPC鋼材支持部43を配置し、前記ジャッキ押し出し空間40には、前記ジャッキ20の一端で押し出し摺動される前記ジャッキ受け部42と、前記ジャッキ20の他端に連結される前記圧縮材22の一端とを配置し、前記鋼材支持材17を前記ジャッキ20により押し出し摺動して前記PC鋼材13にプレテンションを付与することを特徴とする。
【0009】
先端部ガイド枠27は、中央にPC鋼材支持空間41を、両側にジャッキ取り付け空間40を有することを特徴とする。
【0010】
先端部ガイド枠27は、前記中央のPC鋼材支持空間41に、PC鋼材13を張り渡したPC鋼材支持部43を配置し、前記両側のジャッキ取り付け空間40に、それぞれジャッキ受け部42とジャッキ20と圧縮材22を配置したことを特徴とする。
【0011】
ジャッキ取り付け空間40は、上下の2本ずつのたて梁28と、これらを連結するよこ梁29とからなり、前記たて梁28とジャッキ受け部42との間に摺動部材36を介在してジャッキ受け部42を摺動自在としたことを特徴とする。
【0012】
ジャッキ受け部42の下面に摺動部材36を一体に設け、この摺動部材36下面のたて梁28との摺動面に横ずれ防止のガイド部39を設けたことを特徴とする。前記ジャッキ受け部42の上下面の摺動部材36は、板状のものや車輪などであってもよい。
【0013】
先端部ガイド枠27における圧縮材22の嵌合部を構成する垂直梁30の内側の前記圧縮材22の摺動部分に滑り板34を介在したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、
プレストレストコンクリート製造のためのPC鋼材を、このPC鋼材の一端部を支持する基部支持枠と、前記PC鋼材の他端部を支持する鋼材支持材の間に張り渡し、この鋼材支持材をジャッキで押し出して、前記PC鋼材にテンションを与え、前記ジャッキの反力を、このジャッキと前記基部支持枠の間に設けた圧縮材で受けるようにしたプレテンション付与装置において、
前記鋼材支持材は、前記PC鋼材の他端部を支持するPC鋼材支持部と、このPC鋼材支持部の両側に前記ジャッキを受けるジャッキ受け部とを一体に設けてなり、
前記鋼材支持材を包囲して摺動自在に嵌合するための前記鋼材支持材より大きな先端部ガイド枠を設け、
前記先端部ガイド枠は、中央に前記PC鋼材支持部を配置するためのPC鋼材支持空間を有し、両側に前記ジャッキ受け部と前記ジャッキの他端に連結される前記圧縮材の一端とを配置するためのジャッキ取り付け空間とを有し、
前記先端部ガイド枠と前記基部支持枠は、これらの間に張り渡された前記PC鋼材に型枠を取り付けてコンクリートを打設する距離を持って基盤に固定的に取り付けられ、
前記鋼材支持材を前記ジャッキにより押し出し摺動して前記PC鋼材にプレテンションを付与したので、以下の効果を有する。
(1)従来は、ジャッキのピストンを押し出すと、鋼材支持材の先端部側が前方へ摺動進出して、前記PC鋼材に所定のテンションが付加され、同時に、ジャッキ受け台に受けた反力が両側の圧縮材で受け、この圧縮材が収縮し、テンション用フレームが摺動案内板の上で後方に移動する。このように、前後2個所で動くので、PC鋼材に付加される目的のテンションの精度が取れにくいという問題があった。さらに詳しくは、テンション用フレームが動くと、その自重による摩擦抵抗力もテンション荷重に考慮する必要がある。テンション用フレームは、重いので、まっすぐ動けばよいが、PC鋼材のセット状態などにより、実際には摺動支持具などにあたりながら動くことになる。そのため、テンションの精度を下げる要因になる。
本発明では、先端部ガイド枠が固定的に設けられているので、このような問題がなく、PC鋼材に精度よく目的のテンションが付加される。
(2)先端部ガイド枠が移動しないので、PC鋼材に直線的なテンションを付加することができる。
(3)先端部ガイド枠が動かないのできわめて安全である。
(4)先端部ガイド枠が移動しないので、PC鋼材が切断するようなことがあっても、危険性がない。
(5)先端部ガイド枠は、中央にPC鋼材支持空間を、両側にジャッキ取り付け空間を有するので、複数本のPC鋼材に均等にテンションをかけることができる。
(6)前記先端部ガイド枠は、中央に前記PC鋼材支持部を配置するためのPC鋼材支持空間を有し、両側に前記ジャッキ受け部と前記ジャッキの他端に連結される前記圧縮材の一端とを配置するためのジャッキ取り付け空間とを有するので、PC鋼材へのテンション精度を高めることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、
前記圧縮材の前記ジャッキ側の端部には、圧縮材受け板とジャッキ受け台とジャッキ受け板を介在して前記ジャッキのシリンダーの基部に固定的に取り付けられているので、前記ジャッキ受け台は、ジャッキの底部と圧縮材の外形がかなり違うので、これらの間に介在されている。
【0017】
請求項記載の発明によれば、
前記ジャッキ取り付け空間は、上下の2本ずつのたて梁と、これらを連結するよこ梁とからなり、前記たて梁と前記ジャッキ受け部との間に摺動部材を介在して前記ジャッキ受け部を摺動自在としたので、テンションを付加した時の移動が円滑にできる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、
前記ジャッキ受け部の下面に摺動部材を一体に設け、この摺動部材下面の前記たて梁との摺動面に横ずれ防止のガイド部を設けたので、テンションを付加した時にPC鋼材に横方向の力がかかることがなく、PC鋼材や装置の破損を防止することができる。また、目的のテンションを容易に得ることができる。
【0019】
請求項記載の発明によれば、
前記先端部ガイド枠における前記圧縮材の嵌合部を構成する垂直梁の内側の前記圧縮材の摺動部分に滑り板を介在したので、テンションを付加した時の移動が円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるプレテンション付与装置の実施例1を示す一部省略した平面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1及び図2のA-A線断面図である。
図4図1の反力を受ける部分の分解斜視図である。
図5図1におけるB-B線断面図である。
図6】従来のプレテンション付与装置を示すもので、(a)は平面図、(b)は、側面図、(c)は、(b)におけるテンション用フレームの拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、プレストレストコンクリート製造のためのPC鋼材13を、基部支持枠26と鋼材支持材17の間に張り渡し、この鋼材支持材17をジャッキ20で押し出して前記PC鋼材13にテンションを与え、前記ジャッキ20の反力を、このジャッキ20と基部支持枠26の間に設けた圧縮材22で受けるようにしたプレテンション付与装置において、
前記鋼材支持材17を摺動自在に嵌合した先端部ガイド枠27と前記基部支持枠26は、基盤11に固定的に取り付けられ、前記先端部ガイド枠27には、PC鋼材支持空間41とジャッキ取り付け空間40を有し、前記鋼材支持材17は、PC鋼材支持部43とジャッキ受け部42からなり、前記PC鋼材支持空間41には、前記PC鋼材13を取り付けたPC鋼材支持部43を配置し、前記ジャッキ取り付け空間40には、前記ジャッキ20の一端で押し出し摺動される前記ジャッキ受け部42と、前記ジャッキ20の他端に連結される前記圧縮材22の一端とを配置し、前記鋼材支持材17を前記ジャッキ20により押し出し摺動して前記PC鋼材13にプレテンションを付与する。
【0022】
一例として、先端部ガイド枠27は、中央のPC鋼材支持空間41と、このPC鋼材支持空間41の両側のジャッキ取り付け空間40を有し、前記中央のPC鋼材支持空間41にPC鋼材13を張り渡し、前記両側のジャッキ取り付け空間40にそれぞれジャッキ20と圧縮材22を配置する。
他の例として、先端部ガイド枠27は、左右2個所のPC鋼材支持空間41と、中央のジャッキ取り付け空間40を有し、前記左右のPC鋼材支持空間41にそれぞれジャッキ20と圧縮材22を配置し、前記中央のジャッキ取り付け空間40にPC鋼材13を張り渡してもよい。
【0023】
ジャッキ取り付け空間40は、上下の2本ずつのたて梁28と、これらを連結するよこ梁29とからなり、前記たて梁28とジャッキ受け部42との間に摺動部材36を介在してジャッキ受け部42を摺動自在とする。
また、ジャッキ受け部42の下面に摺動部材36を一体に設け、この摺動部材36下面のたて梁28との摺動面に横ずれ防止のガイド部39を設ける。
先端部ガイド枠27における圧縮材22の嵌合部を構成する垂直梁30の内側の前記圧縮材22の摺動部分に滑り板34を介在することが望ましい。
【実施例1】
【0024】
本発明によるプレテンション付与装置の実施例1を図1ないし図5に基づき説明する。従来例を示す図6(a)(b)(c)と同一部分については、同一符号を付する。
図1及び図2において、PC鋼材13の基端部を支持する基部支持枠26と、PC鋼材13の先端部を支持する先端部ガイド枠27が、所定の距離をもって設置される。
これらの基部支持枠26と先端部ガイド枠27を、地盤コンクリート台などの基盤11に固定的に設置するために、基部支持枠26の設置位置と先端部ガイド枠27の設置位置にそれぞれ基部固定板24と先端部固定板25をアンカー16で固定的に取り付け、基部固定板24の上に基部支持枠26を、先端部固定板25の上に先端部ガイド枠27を固定的に取り付ける。
【0025】
前記基部支持枠26には、複数本(実施例では12本)のPC鋼材13が所定間隔で貫通し、端部で定着部21により固定されている。
前記先端部ガイド枠27は、たて梁28とよこ梁29と垂直梁30とで枠組みされ、両側部がそれぞれジャッキ20の取り付けられるジャッキ取り付け空間40となり、中央部がPC鋼材支持空間41となっている。
前記PC鋼材支持空間41には、中央部から両側のジャッキ取り付け空間40まで延びた鋼材支持材17が、上下の摺動部材36を介在して進退自在に設けられている。この鋼材支持材17には、前記基部支持枠26に固着されたPC鋼材13が貫通し、先端部の定着部21で固定的に結合されている。
【0026】
前記基部支持枠26の両側部に圧縮材22が固定的に取り付けられ、この圧縮材22の先端部が前記ジャッキ取り付け空間40内まで延びて嵌合している。この圧縮材22の先端部には、図4に示すように、圧縮材受け板31とジャッキ受け台18とジャッキ受け板32を介在してジャッキ20のシリンダーの基部に固定的に取り付けられている。前記ジャッキ受け台18の内部には、角パイプの外周に補強板を溶接した井桁状の補強材33が設けられている。前記ジャッキ20のピストン37は、ピストン受け板38を介在して、前記鋼材支持材17の両側のジャッキ取り付け空間40まで延びたジャッキ受け部42に固着されている。
前記ジャッキ20のシリンダー部分は、ジャッキ受け板32を介在してジャッキ受け台18に固定的に取り付けられている。
このジャッキ受け台18は、ジャッキ20の底部と圧縮材22の外形がかなり違うので、これらの間に介在されている。しかし、ジャッキ20の底部を圧縮材22の外形の合わせることにより、互いに直結した場合には、ジャッキ受け台18を省くことができる。
【0027】
前記ジャッキ受け部42の下面に摺動部材36を一体に設け、この摺動部材36下面のたて梁28との摺動面の両側に下方に突起した横ずれ防止のガイド部39を設ける。前記ジャッキ受け部42の上下面の摺動部材36は、板状のものや車輪などであってもよい。
【0028】
以上のような構成において、基部支持枠26と先端部ガイド枠27の鋼材支持材17との間に必要な本数のPC鋼材13を配置し、それぞれの定着部21で固着する。前記先端部ガイド枠27における左右のジャッキ取り付け空間40との間に取り付けたジャッキ20のピストン37を押し出すと、鋼材支持材17が図2の鎖線で示すように摺動し、前記PC鋼材13に所定のテンションが付加される。このとき、ジャッキ受け台18に受けた反力が両側の圧縮材22で受け、この圧縮材22が収縮し、収縮分だけジャッキ受け台18がジャッキ取り付け空間40の間で図2の鎖線のようにわずかに圧縮されて移動する。
このとき、圧縮材22は、図2に示すように、圧縮材22と垂直梁30に介在した滑り板34により円滑に収縮移動する。
【0029】
両側のジャッキ20によりすべてのPC鋼材13に所定のテンションをかけたら、基部支持枠26と先端部ガイド枠27との間のPC鋼材13に型枠を取り付けてコンクリートを打設する。コンクリートが固まったらジャッキ20を開放すると、ストレスが入ったPCコンクリート35となる。
コンクリートが固まってからジャッキ20を開放してPCコンクリート35の両端のPC鋼材13を切断し、ジャッキ20を元に戻すと、鋼材支持材17とジャッキ受け台18は、図2の実線状態に復帰し、次の作業に移行する。
【0030】
前記実施例では、PC鋼材13は、12本の例を示したがこれに限られるものではなく。12本以上でも、以下でもよい。
【0031】
前記実施例では、圧縮材22は、1本の角柱状で形成したが、これに限られるものではなく、本出願人が先に提案した特開2016-182715号公報に記載されているように、圧縮材の途中の、この圧縮材の固有の許容座屈応力が発生座屈応力より小さくならない位置に座屈防止材を設置し、この座屈防止材に形成した挿通空間に前記圧縮材を摺動可能に遊嵌した構成についてもそのまま利用することができる。
【0032】
前記実施例では、よこ梁29における左右2列のジャッキ取り付け空間40の位置にそれぞれ1枚ずつ先端部固定板25を設けたが、この左右の先端部固定板25は、1枚ものであってもよい。
【0033】
前記実施例では、左右2列に圧縮材22とジャッキを設け、これらの圧縮材22の間にPC鋼材13を張り渡してテンションをかけ、PCコンクリート35を作るようにしたが、これに限られるものではなく、中央に1列の圧縮材22とジャッキを設け、この圧縮材22の両側にPC鋼材13を張り渡してテンションをかけ、両側でPCコンクリート35を作るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…摺動案内板、11…基盤、12…テンション用フレーム、13…PC鋼材、14…台座、15…摺動支持具、16…アンカー、17…鋼材支持材、18…ジャッキ受け台、19…鋼材固定材、20…ジャッキ、21…定着部、22…圧縮材、23…座屈防止材、24…基部固定板、25…先端部固定板、26…基部支持枠、27…先端部ガイド枠、28…たて梁、29…よこ梁、30…垂直梁3、31…圧縮材受け板、32…ジャッキ受け板、33…補強材、34…滑り板、35…PCコンクリート、36…摺動部材、37…ピストン、38…ピストン受け板、39…ガイド部、40…ジャッキ取り付け空間、41…PC鋼材支持空間、42…ジャッキ受け部、43…PC鋼材支持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6