(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】粘着材を利用した再封可能な包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/24 20060101AFI20220117BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B65D33/24
B65D30/22 E
(21)【出願番号】P 2018027821
(22)【出願日】2018-02-20
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592128803
【氏名又は名称】サキョ-株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068663
【氏名又は名称】松波 祥文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勉
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3049248(JP,U)
【文献】特開2008-280068(JP,A)
【文献】実開昭56-150744(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02346609(GB,A)
【文献】特開2008-265826(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020994(JP,U)
【文献】米国特許第5480230(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/24
B65D 30/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと背面シートから成る袋本体の上部に、背面シートと連続するヘッダーが設けられ、該ヘッダーの下端封着部と表面シートの上端とにより形成される開口部は、ヘッダーの下端封着部に設けられたリップが表面シートに貼着されることにより封止される包装袋であって、表面シートの表面にはリップを貼着する粘着部材が設けられ、リップにはヘッダーの下端封着部近傍に易切除手段が施され、ヘッダーは折り曲げられて、前記粘着部材により表面シートへ貼着されて、開口部を再封できることを特徴とする再封可能な包装袋。
【請求項2】
袋本体の内側に収納ポケットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の再封可能な包装袋。
【請求項3】
前記易切除手段はミシン目であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再封可能な包装袋。
【請求項4】
表面シート及び背面シートには銀系抗菌剤が配合されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の再封可能な包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品の包装袋に係り、特に、封止手段として粘着材を用いた再封可能な包装袋に係る。
【背景技術】
【0002】
各種物品の包装袋は、各種物品を収納し、開口部を封止して収納物を保護すると共に、保管・輸送や展示・陳列などに供するために用いられる。この場合、包装袋を開封し、開口部から収納物を取り出した後、包装袋は不要物として廃棄されるだけでなく、収納物の一部を取り出し、残った収納物を再度包装袋に収納し、開口部を再封して保存することにも使用されている。特に、衛生マスクなどの衛生用品では複数枚が一つの包装袋に収納されることが多く、開封後、着用するために一枚ずつ取り出し、残品は汚染を防止するために、包装袋に収納し再封して保存される。その他、乾物やプリント用紙などのように、湿度によって変質したりや劣化したりする物品が複数収納される場合では、必要数量のみ取り出して、残品は同様にして再封して保存されることが多い。
【0003】
上記のような再封可能な包装袋における封止手段として、開口部に開閉蓋の役割を担うリップ(フラップ)を設け、このリップの接着と剥離を自在に行うことができる粘着部材を用いて、リップを袋本体に貼着して開口部を封止したり、剥離して開封したりすることが行われており、この手段は封止と開封が容易にでき、かつ構造が簡単であり、再封可能な包装袋における封止手段としてよく用いられている(例えば特許文献1、2を参照)。しかし、これらの包装袋では、リップと袋本体との接着部を剥離し開封した後に、剥離したリップが残っており、収納物の出し入れの邪魔をして、支障を来たすことが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-58651号公報
【文献】特開2011-73772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、リップと粘着部材を用いた再封止可能な包装袋において、収納物の出し入れに際して、リップに邪魔をされることなく収納物の出し入れがスムーズにできる包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の再封可能な包装袋は、表面シートと背面シートから成る袋本体の上部に、背面シートと連続するヘッダーが設けられ、該ヘッダーの下端封着部と表面シートの上端とにより形成される開口部は、ヘッダーの下端封着部に設けられたリップが表面シートに貼着されることにより封止される包装袋であって、表面シートの表面にはリップを貼着する粘着部材が設けられ、リップにはヘッダーの下端封着部近傍に易切除手段が施され、ヘッダーは折り曲げられて、前記粘着部材により表面シートへ貼着されて、開口部を再封できることを特徴とする。
【0007】
そして、上記の包装袋は、袋本体の内側に収納ポケットが設けられていることが好ましく、さらに、易切除手段はミシン目であることが好ましい。また、表面シート及び背面シートには銀系抗菌剤が配合されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装袋は開口部を封止するためのリップにはミシン目などの易切除手段が施されており、粘着部材による貼着を剥離し開封した後に、このリップを切除することで、収納物の出し入れをスムーズに行うことができる。そして、リップを切除しても、ヘッダーを折り曲げて、リップの代わりに開口部を再封することができる。
【0009】
また、収納ポケットを設けた包装袋は、衛生マスクの包装袋として好適に用いられ、未使用の衛生マスクを再封して保管できるだけでなく、使用中の衛生マスクを収納ポケットに保管することで、未使用の衛生マスクとは分離して保管することができるため、衛生マスクの包装・保管袋として好ましく用いることができ、袋本体を構成するシートに銀系抗菌剤を配合することで、収納部での細菌による汚染の防止も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の包装袋の正面模式説明図と断面模式説明図。
【
図2】同上包装袋におけるリップの除去とヘッダーによる再封の断面模式説明図。
【
図3】従来の粘着部材を用いた再封止可能な包装袋の模式説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に付、以下、図を基に詳細な説明を行う。
図1は本発明の再封可能な包装袋1を模式的に示したものである。
図1(a)は平面模式説明図、(b)は断面模式説明図であり、包装袋1の袋本体は前面シート11と背面シート12とから成り、底部14と両方の側部19は封着されて袋状になっており、本実施例では仕切りシート13が設けられ、袋本体内部が収納部2と収納ポケット3とに仕切られている。本図に示すように、前面シート11と背面シート12は連続したシートを用いて、このシートを底部14にて折り返し、底部14にてこのシートと仕切りシート13とを熱融着するか、接着剤にて接着し、さらに両方の側部19を同様に接着することで封着し、収納部2と収納ポケット3を有する袋本体を作成できる。また、前面シート11と背面シート12と2枚のシートを用いて、底部14を熱融着するか、接着剤にて接着して封着してもよく、この場合では、この封着と同時に仕切りシート13も接着される。
【0012】
さらに包装袋1には、背面シート12と連続するヘッダー10が設けられており、背面シート12を伸ばし、折り曲げて下端封着部15で封着することで設けられる。また、別途作成したヘッダー10を背面シート12の先端に熱融着や接着剤により取り付けて設けることでもよい。ヘッダー10には、収納商品の名称等を表示するラベルが封入されたり、フック孔などの吊り下げ陳列手段が設けられたりする。尚、
図1においては、ヘッダー10の下端封着部15は概念を示したものであり、ヘッダーを構成するシートは、通常この下端封着部15にて、接着剤や熱融着等で一体化されており、
図1(b)に示されるような具体的な大きさを持つものではなく、
図1(c)に示すようにヘッダーを構成するシートは近接するか、あるいは密着して封着されている。さらに、下端封着部15には、ヘッダー10を構成するシートを延伸してリップ16が設けられている。
【0013】
そして、ヘッダー10の下端封着部15と表面シート上端11aとにより形成される開口部5は、下端封着部15に設けられたリップ16を、粘着部材18により表面シート11に貼着することで封止される。この粘着部材18による貼着は脱着自在であり、開封と封止を繰り返して行うことができる。リップ16には易切除手段としてのミシン目17が下端封着部15の近傍に施されており、開封後の収納物の出し入れにリップが邪魔な場合には、粘着部材18からリップ16を剥離するとともに、ミシン目17を利用して容易に切除することができる。リップ16を切除した場合には、
図1(c)に示すように、ヘッダー10を折り曲げて粘着部材18に貼着することで再封することができる。
【0014】
図2は上記したリップ16の除去とヘッダー10による再封を模式的に示したものであり、
図2(a)に示すように、開口部5を封止するリップ16を粘着部材18から剥離し、次いで、
図2(b)に示すようにミシン目17においてリップ16を切除する。そして
図2(c)に示すようにヘッダー10を折り曲げて粘着部材18に貼着して再封を行う。
図3は従来の包装袋4を示しており、この包装袋4ではリップ46にはミシン目などの易切除手段が施されていないので、開封後リップ46が切除されず、収納物の出し入れに際して邪魔になる。
【0015】
リップ16やヘッダー10を表面シート11の表面に貼着するための粘着部材18は、図に示すように表面シートの表面に設けられており、その表面の粘着性によりリップ16やヘッダー10とは脱着自在となっており、再封可能となっている。そして、粘着部材18に用いられる粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系などの公知の粘着剤組成物を用いることができ、このような粘着剤組成物を表面シート11の表面に帯状に塗布したり、粘着剤組成物を基材に塗布した粘着テープを貼付したりすることにより、表面シート11の表面に帯状の粘着部材18を設けることができる。ここで用いられる粘着剤は感圧接着剤とも称されるように、圧着することで貼着でき、一旦剥離しても再度圧着することで貼着ができるものである。
【0016】
以上のように、本発明の包装袋は開口部を封止するリップにミシン目等の易切除手段が施されているために、開封後リップを簡単に切除することができ、支障なく収納物の出し入れが行えるものである。そして、リップを切除した後でも、ヘッダーを利用して再封が可能な包装袋である。易切除手段としてはミシン目が好ましく用いられるが、リップの端部にノッチを設けることでもよく、これらを併用することでもよい。
【0017】
また、収納ポケットが設けられた包装袋は衛生マスクの包装に好ましく用いられる。
図1は衛生マスクを収納した包装袋1を示しており、未使用の衛生マスク30は収納部2に収納され、使用中の衛生マスク31は収納ポケット3に収納されている。このように収納ポケット3が設けられた包装袋1は、未使用の衛生マスク30を再封して保管できるだけでなく、使用中の衛生マスク31を分別して保管できるために、未使用の衛生マスク30が汚染されるのを防ぐだけでなく、使用中の衛生マスク31の更なる汚染を防いで保管できる包装袋となる。
【0018】
本発明の包装袋を構成するシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのプラスチックフィルム、紙、及びこれらの複合シート、並びにアルミ箔などとの複合シートを例示することができる。これらのシートを加工して、袋本体の側部や底部、ヘッダーの下端封着部などを構成するには接着剤による接着や熱融着など公知の方法で行うことができ、さらに、ガゼット袋や角底袋としてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 包装袋 2 収納部
3 収納ポケット 4 包装袋(従来品)
5 開口部
10、40 ヘッダー 11、41 前面シート
11a、41a 前面シート上端
12、42 背面シート 13 仕切りシート
14、44 底部 15、45 下端封着部
16、46 リップ 17 ミシン目
18、48 粘着部材 19、49 側部
30 衛生マスク(未使用) 31 衛生マスク(使用中)