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特許7007730FRCプラズマ位置安定性のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】FRCプラズマ位置安定性のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G21B 1/11 20060101AFI20220117BHJP
   H05H 1/14 20060101ALI20220117BHJP
   H05H 1/00 20060101ALI20220117BHJP
   H05H 1/22 20060101ALI20220117BHJP
   G21B 1/05 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G21B1/11 C
H05H1/14
H05H1/00 A
H05H1/22
G21B1/05
G21B1/11 A
G21B1/11 K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018524255
(86)(22)【出願日】2016-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 US2016061730
(87)【国際公開番号】W WO2017083796
(87)【国際公開日】2017-05-18
【審査請求日】2019-11-07
(31)【優先権主張番号】62/255,258
(32)【優先日】2015-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/309,344
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515056990
【氏名又は名称】ティーエーイー テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス, ジーザス アントニオ ロメロ
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/048092(WO,A1)
【文献】Jesus Antonio Romero,Sliding mode control of an FRC plasma axial position,Bulletin of the American Physical Society, 57 th Annual Meeting of the APS Division of Plasma Physics,米国,2015年11月16日,Vol.60, No.19,https://www.researchgate.net/publication/287128577_Sliding_Mode_Control_of_an_FRC_plasma_axial_position,Session BP12:Poster Session I, Abstruct:BP12.00030
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21B 1/11
H05H 1/14
H05H 1/00
H05H 1/22
G21B 1/05
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場反転配位(FRC)プラズマを安定化させるための方法であって、
閉じ込めチャンバ内で回転プラズマの周りにFRC磁場を形成することにより、前記閉じ込めチャンバの中央平面に隣接する前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿って位置付けられるFRCプラズマを形成するステップと、
前記閉じ込めチャンバの長手方向軸の周りに延在し、かつ、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿って延在する擬似直流コイルを用いて、前記閉じ込めチャンバ内に印加される磁場を生成するステップと、
前記FRCプラズマを前記閉じ込めチャンバの長手方向軸の周りに軸対称に位置付けるために、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に対して直角の半径方向において前記FRCプラズマを安定化させ、かつ、前記FRCプラズマを前記閉じ込めチャンバの中央平面の周りに軸対称に位置付けるために、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿った軸方向において前記FRCプラズマを安定化させるステップであって、前記FRCプラズマを前記半径方向に安定化させることは、前記印加される磁場を調整することにより、半径方向安定性および軸方向不安定性を前記FRCプラズマ内に誘発することを含み、前記FRCプラズマを軸方向に安定化させることは、第1の半径方向磁場および第2の半径方向磁場を生成することを含み、前記第1の半径方向磁場および前記第2の半径方向磁場は、前記FRCプラズマと相互作用することにより、前記FRCプラズマを軸方向に移動させ、前記FRCプラズマを前記閉じ込めチャンバの中央平面の周りに軸対称に位置付け、前記第1の半径方向磁場および前記第2の半径方向磁場は、前記閉じ込めチャンバの中央平面の周りに反対称である、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の半径方向磁場および前記第2の半径方向磁場は、前記閉じ込めチャンバの周りに位置付けられる第1の半径方向コイルおよび第2の半径方向コイル内で逆方向に誘発される電流に起因して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記FRCプラズマを安定化させるステップは、前記プラズマの位置を監視することを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマの位置を監視するステップは、前記FRCプラズマに関連付けられた磁気測定値を監視することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記第1の半径方向コイルおよび前記第2の半径方向コイル内の電流を測定するステップをさらに含み、前記FRCプラズマを安定化させるステップは、前記プラズマの位置を監視することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記第1の半径方向コイルおよび前記第2の半径方向コイル内の電流を測定するステップをさらに含み、前記FRCプラズマを安定化させるステップは、前記プラズマの位置を監視することを含み、前記プラズマの位置を監視するステップは、前記FRCプラズマに関連付けられた磁気測定値を監視することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記FRCプラズマの速度を監視するステップをさらに含む、請求項5~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前高速中性原子のビームを中性ビーム注入器から前記FRCプラズマの中に、前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かってある角度で注入し、コンパクトトロイドプラズマを前記FRCプラズマの中に注入することによって、前記FRCプラズマの減衰を伴うことなく、前記FRCプラズマを一定値またはほぼ一定値に維持することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前前記閉じ込めチャンバの対向端の周りに延在する擬似直流ミラーコイルを用いて、ミラー磁場を前記閉じ込めチャンバの前記対向端内に生成するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記FRCプラズマを形成するステップは、前記閉じ込めチャンバの端部に結合されている第1の形成区分内に形成FRCを形成することと、前記形成FRCを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって加速させることにより、前記FRCプラズマを形成することとを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記FRCプラズマを形成するステップは、前記閉じ込めチャンバの第2の端部に結合されている第2の形成区分内に第2の形成FRCを形成することと、前記第2の形成FRCを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって加速させることとを含み、前記2つの形成FRCは、前記FRCプラズマを形成するように融合する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記FRCプラズマを形成するステップは、前記形成FRCを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって加速させながら、形成FRCを形成することと、形成FRCを形成し、次いで、前記形成FRCを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって加速させることとのうちの1つを含む、請求項10~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記FRCプラズマの磁束表面を前記第1の形成区分および前記第2の形成区分の端部に結合されているダイバータの中に誘導するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、ゲッタリングシステムを用いて、前記閉じ込めチャンバの内部表面および形成区分およびダイバータを調整するステップをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲッタリングシステムは、チタン堆積システムおよびリチウム堆積システムのうちの1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿って搭載されているプラズマガンから前記FRCプラズマの中に前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿ってプラズマを注入するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記FRCプラズマの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記FRCプラズマの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップは、バイアス電極を用いて、前記FRCプラズマの開磁束面群に電位分布を印加することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
磁場反転配位(FRC)プラズマを生成および安定化させるためのシステムであって、
閉じ込めチャンバと、
前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿って対向されており、かつ、前記閉じ込めチャンバに結合されている第1のFRC形成区分および第2のFRC形成区分であって、前記第1のFRC形成区分および前記第2のFRC形成区分は、前記FRCプラズマを生成し、前記FRCプラズマを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって平行移動させるためのモジュール式形成システムを含む、第1のFRC形成区分および第2のFRC形成区分と、
前記第1のFRC形成区分および前記第2のFRC形成区分に結合されている第1のダイバータおよび第2のダイバータと、
前記第1のダイバータおよび前記第2のダイバータと、前記第1のFRC形成区分および前記第2のFRC形成区分と、前記閉じ込めチャンバとに動作可能に結合されている第1の軸方向プラズマガンおよび第2の軸方向プラズマガンと、
前記閉じ込めチャンバに結合されており、かつ、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に対して直角未満の角度で前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって中性原子ビームを注入するように配向されている複数の中性原子ビーム注入器と、
前記閉じ込めチャンバの長手方向軸および前記第1のFRC形成区分および前記第2のFRC形成区分および前記第1のダイバータおよび前記第2のダイバータに沿って前記閉じ込めチャンバの長手方向軸の周りに位置付けられている複数の擬似直流コイルと、前記閉じ込めチャンバと前記第1のFRC形成区分および前記第2のFRC形成区分との間に位置付けられている第1の擬似直流ミラーコイルおよび第2の擬似直流ミラーコイルのセットと、前記第1のFRC形成区分および前記第2のFRC形成区分と前記第1のダイバータおよび前記第2のダイバータとの間に位置付けられている第1のミラープラグおよび第2のミラープラグとを含む磁気システムと、
前記閉じ込めチャンバと前記第1のダイバータおよび前記第2のダイバータとに結合されているゲッタリングシステムと、
第1の半径方向磁場および第2の半径方向磁場を前記閉じ込めチャンバ内に生成するように構成されている第1の半径方向磁場コイルおよび第2の半径方向磁場コイルのセットであって、前記第1の半径方向磁場および前記第2の半径方向磁場は、前記閉じ込めチャンバの中央平面の周りに反対称である、第1の半径方向磁場コイルおよび第2の半径方向磁場コイルのセットと、
前記擬似直流コイルと前記第1の半径方向磁場コイルおよび前記第2の半径方向磁場コイルにと動作可能に結合されている制御システムであって、前記制御システムは、複数の命令を含む非一過性のメモリに結合されているプロセッサを含み、前記複数の命令は、実行されると、FRCプラズマを前記閉じ込めチャンバの長手方向軸の周りに軸対称に位置付けるために、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に対して直角の半径方向において前記FRCプラズマを安定化させ、かつ、前記FRCプラズマを前記閉じ込めチャンバの中央平面の周りに軸対称に位置付けるために、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿った軸方向において前記FRCプラズマを安定化させるために、前記複数の擬似直流コイルと前記第1の半径方向磁場コイルおよび前記第2の半径方向磁場コイルとによって生成された磁場を調整することを前記プロセッサに行わせる、制御システムと
を備える、システム。
【請求項20】
前記システムは、前記FRCプラズマを生成し、中性原子ビームが前記FRCプラズマの中に注入される間、前記FRCプラズマの減衰を伴うことなく、前記FRCプラズマを一定値またはほぼ一定値に維持するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本明細書に説明される主題は、概して、磁場反転配位(FRC)を有する磁気プラズマ閉じ込めシステムに関し、より具体的には、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの位置制御とを促進する、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
磁場反転配位(FRC)は、コンパクト・トロイド(CT)として公知の磁気プラズマ閉じ込めトポロジーの分類に属する。FRCは、主にポロイダル磁場を示し、自然発生のトロイダル磁場がない、または少ない(M.Tuszewski、Nucl.Fusion 28、2033(1988)参照)。このような構造の魅力は、構築および維持が容易なその単純な形状、エネルギーの抽出および灰の除去を促進する無制限の自然ダイバータ、ならびに非常に高いβ(βはFRC内部の平均磁場圧力に対する平均プラズマ圧力の割合である)、すなわち、高出力密度である。高いβ特性は、経済運用、ならびにD-Heおよびp-B11などの進化した非中性子燃料の使用に有利である。
【0003】
FRCデバイスは、とりわけ、熱核融合エネルギーを生成する目的のために、高温プラズマを閉じ込めるために磁場に依拠する、閉鎖された高真空デバイスである。磁場の成分は、必然的に、プラズマに対して外部のコイルによって生産される磁場と相互作用する、プラズマ中の強力なトロイダル電流によって生産されなければならない。他の磁気閉じ込めデバイスと対照的に、FRCデバイスは、トロイダル場を生産するための外部コイルを有していない。典型的FRCプラズマは、外部コイル軸に沿った軸を伴う回転楕円体に類似する。楕円境界は、プラズマ区分線であり、これは、楕円の回転軸に沿った対称軸を伴うコンパクトトロイダルプラズマを境界する。
【0004】
トロイダル磁場の欠如に起因して、FRCプラズマは、軸対称性の破れを受けやすく、これは、何らかの是正措置が講じられない場合、増加したエネルギー、密度、および閉じ込めの損失につながり得る。最も基本的不安定性は、FRCプラズマにおいて、プラズマ電流が外部コイル電流と反対方向に流動し、これが、プラズマ電流ループを外部場と整合させる方向に作用するトルクを生成するという事実に関連する(傾斜不安定性)。他の軸対称性の破れは、半径方向に偏移するプラズマ回転軸(半径方向偏移)、FRC中央部の楕円変形(回転モード)、半径方向偏移と回転との組み合わせ(揺動モード)、プラズマ微小乱流、およびその他に関する。これらの軸対称性の破れはまた、プラズマ不安定性として知られ、プラズマ質量およびエネルギーの良好な閉じ込めを有するために、回避されなければならない。
【0005】
半径方向における安定性を達成するために提案される解決策の1つは、FRC平衡が、プラズマ位置が、横方向または半径方向において不安定となることを犠牲として、軸方向において安定するか、または軸方向に不安定となることを犠牲として、半径方向に安定するかのいずれかであるが、同時に両方ではないという解決策を含むという事実に基づく。一見すると、プラズマ位置が横方向に安定する平衡は、軸方向に不安定となることを犠牲として、軸対称となる所望の性質を有する。しかしながら、軸方向位置不安定性は、軸方向および半径方向の両方において安定性を得るために、外部軸対称コイルのセットを使用して能動的に制御されることができる。
【0006】
前述に照らして、したがって、その平衡の軸方向安定性性質から独立した方法でFRCプラズマの軸方向位置の制御を促進する、システムおよび方法を提供することが望ましい。これは、平衡が、例えば、軸方向不安定性シナリオが、一時的に喪失され、プラズマ放電の間に回復される場合、FRC放電の異なる位相上で軸方向安定および不安定平衡間で遷移する必要があり得るため、重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に提供される本実施形態は、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマの平衡の軸方向安定性性質から独立して、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法を対象とする。一見すると、プラズマ位置が横方向にまたは半径方向に安定する平衡は、軸方向に不安定になることを犠牲として、軸対称である所望の性質を有する。しかしながら、軸方向位置不安定性は、FRCプラズマ軸方向位置を制御する外部軸対称コイルのセットを使用して、能動的に制御されることができる。
【0008】
本明細書に提示される実施形態は、FRCの軸方向に不安定平衡を利用して、軸方向不安定性を安定化または制御しながら、半径方向安定性を強制する。このように、軸方向および半径方向の両方における安定性が、得られることができる。制御方法論は、外部または平衡磁場を改変し、軸方向に不安定になることを犠牲として、FRCプラズマを半径方向または横方向に安定させ、次いで、閉じ込めチャンバの中央平面の周囲のオーバーシュートおよび/または発振を最小限にしながら、FRCプラズマ位置を中央平面に向かって即座に回復するために、半径方向場コイル電流に作用するように設計される。本解決策の利点は、制御のために要求されるアクチュエータの複雑性を低減させることである。複数の自由度を伴う従来の解決策と比較して、本明細書に提示される実施形態の方法論は、1自由度を用いて、FRCプラズマ回転軸に沿った制御問題に対する複雑性を低減させる。
【0009】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、有利には、プラズマと同心の外部コイルのセットに印加される電圧に作用することによる、FRCプラズマ軸方向位置のフィードバック制御と、非線形制御技法を使用した、FRC軸方向位置のフィードバック制御と、プラズマ平衡の安定性性質から独立した、FRC軸方向位置のフィードバック制御とを提供する。これは、例えば、軸方向不安定性シナリオが一時的に喪失され、プラズマ放電の間に回復される場合、平衡が、FRC放電の異なる位相上で軸方向に安な平衡と不安定な平衡との間で遷移する必要があり得るため、有利である。
【0010】
例示的実施形態のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図およびならびに発明を実施するための形態の吟味に応じて、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、付随の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。また、特許請求の範囲は、例示的実施形態の詳細を要求するように限定されないことも意図される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
磁場反転配位(FRC)プラズマを安定化させるための方法であって、
閉じ込めチャンバ内で回転プラズマの周りにFRC磁場を形成することにより、前記閉じ込めチャンバの中央平面に隣接する前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に沿って位置付けられるFRCプラズマを形成するステップと、
前記FRCプラズマを前記長手方向軸の周りに軸対称に位置付けるために、前記長手方向軸に対して直角の半径方向と、前記FRCプラズマを前記中央平面の周りに軸対称に位置付けるために、前記長手方向軸に沿った軸方向とにおいて前記FRCプラズマを安定化させるステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記チャンバの周りに延在する擬似直流コイルを用いて、印加される磁場を前記チャンバ内に生成するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記FRCプラズマを前記半径方向に安定化させるステップは、前記印加される磁場を調整することにより、半径方向安定性および軸方向不安定性を前記FRCプラズマ内に誘発することを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記FRCプラズマを軸方向に安定化させるステップは、第1および第2の半径方向磁場を生成することを含み、前記第1および第2の半径方向磁場は、前記FRCと相互作用することにより、前記FRCプラズマを軸方向に移動させ、前記FRCプラズマを前記中央平面の周りに軸対称に位置付ける、項目1~3に記載の方法。
(項目5)
前記第1および第2の半径方向磁場は、前記中央平面の周りに反対称である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記第1および第2の半径方向磁場は、前記閉じ込めチャンバの周りに位置付けられる第1および第2の半径方向コイル内で逆方向に誘発される電流に起因して生成される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記FRCプラズマを安定化させるステップは、前記プラズマの位置を監視することを含む、項目1~6に記載の方法。
(項目8)
前記プラズマの位置を監視するステップは、前記FRCプラズマと関連付けられた磁気測定値を監視することを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記第1および第2の半径方向コイル内の電流を測定するステップをさらに含む、項目7~8に記載の方法。
(項目10)
前記FRCプラズマの速度を監視するステップをさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
高速中性原子のビームを中性ビーム注入器から前記FRCプラズマの中に、前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かってある角度で注入し、コンパクトトロイドプラズマを前記FRCの中に注入することによって、減衰を伴わずに、前記FRCを一定値またはほぼ一定値に維持することをさらに含む、項目1~10に記載の方法。
(項目12)
前記チャンバの対向端の周りに延在する擬似直流ミラーコイルを用いて、ミラー磁場を前記チャンバの前記対向端内に生成するステップをさらに含む、項目11に記載の方法。(項目13)
前記FRCを形成するステップは、前記閉じ込めチャンバの端部に結合される形成区分内に形成FRCを形成することと、前記形成FRCを前記チャンバの中央平面に向かって加速させることにより、前記FRCを形成することとを含む、項目1~12に記載の方法。
(項目14)
前記FRCを形成するステップは、前記閉じ込めチャンバの第2の端部に結合される第2の形成区分内に第2の形成FRCを形成することと、前記第2の形成FRCを前記チャンバの中央平面に向かって加速させることとを含み、前記2つの形成FRCは、前記FRCを形成するように融合する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記FRCを形成するステップは、前記形成FRCを前記チャンバの中央平面に向かって加速させながら、形成FRCを形成することと、形成FRCを形成し、次いで、前記形成FRCを前記チャンバの中央平面に向かって加速させることとのうちの1つを含む、項目13および14に記載の方法。
(項目16)
前前記FRCの磁束表面を前記第1および第2の形成区分の端部に結合されるダイバータの中に誘導するステップをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
ゲッタリングシステムを用いて、前記チャンバの内部表面、形成区分、およびダイバータを調整するステップをさらに含む、項目1~16に記載の方法。
(項目18)
前記ゲッタリングシステムは、チタン堆積システムおよびリチウム堆積システムのうちの1つを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
プラズマを軸方向に搭載されるプラズマガンから前記FRCの中に軸方向に注入するステップをさらに含む、項目1~17に記載の方法。
(項目20)
前記FRCの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップをさらに含む、項目1~19に記載の方法。
(項目21)
前記FRCの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップは、バイアス電極を用いて、前記FRCの開磁束面群に電位分布を印加することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
磁場反転配位(FRC)を伴う磁場を生成および安定化させるためのシステムであって、
閉じ込めチャンバと、
前記閉じ込めチャンバに結合される第1および第2の直径方向に対向するFRC形成区分であって、前記形成区分は、FRCを生成し、前記FRCを前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって平行移動させるためのモジュール式形成システムを備える、形成区分と、
前記第1および第2の形成区分に結合される第1および第2のダイバータと、
前記第1および第2のダイバータ、前記第1および第2の形成区分、ならびに前記閉じ込めチャンバに動作可能に結合される、第1および第2の軸方向プラズマガンと、
前記閉じ込めチャンバに結合され、前記閉じ込めチャンバの長手方向軸に対して直角未満の角度で前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって中性原子ビームを注入するように配向される、複数の中性原子ビーム注入器と、
前記閉じ込めチャンバ、前記第1および第2の形成区分、ならびに前記第1および第2のダイバータの周囲に位置付けられる複数の擬似直流コイルと、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2の形成区分との間に位置付けられる第1および第2の擬似直流ミラーコイルのセットと、前記第1および第2の形成区分と前記第1および第2のダイバータとの間に位置付けられる第1および第2のミラープラグとを備える磁気システムと、
前記閉じ込めチャンバならびに前記第1および第2のダイバータに結合されるゲッタリングシステムと、
第1および第2の半径方向磁場をチャンバ内に生成するように構成される第1および第2の半径方向磁場コイルのセットと、
前記擬似直流コイルならびに前記第1および第2の半径方向磁場コイルに動作可能に結合される制御システムであって、前記制御システムは、複数の命令を備える非一過性メモリに結合されるプロセッサを含み、前記複数の命令は、実行されると、FRCプラズマを前記長手方向軸の周りに軸対称に位置付けるために、前記チャンバの長手方向軸に対して直角の半径方向と、前記FRCプラズマを前記中央平面の周りに軸対称に位置付けるために、前記長手方向軸に沿った軸方向とにおいて前記FRCプラズマを安定化させるために、前記複数の擬似直流コイルならびに前記第1および第2の半径方向場コイルによって生成された磁場を調整することを前記プロセッサに行わせる、制御システムと
を備える、システム。
(項目23)
前記システムは、FRCを生成し、中性原子ビームが前記FRCの中に注入される間、減衰を伴わずに、前記FRCを一定値またはほぼ一定値に維持するように構成される、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記第1および第2の半径方向磁場は、前記中央平面の周りに反対称である、項目22に記載のシステム。
【0011】
添付図面は本明細書の一部として含まれ、この例示的な実施形態を示し、上に提供された概要および以下に提供される例示的な実施形態の詳述と共に、本発明の原理を説明し教示する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】高性能のFRCレジーム(HPF)下と従来のFRCレジーム(CR)下との関係、および他の従来のFRC実験との関係において、本FRCシステムにおける粒子閉じ込めを示す図である。
【0013】
図2】本FRCシステムの構成要素、および本FRCシステムにおけるFRCを生産可能な磁気トポロジーを示す図である。
【0014】
図3A図3Aは、中性ビーム、電極、プラズマガン、ミラープラグ、およびペレット注入器の好ましい配列を含む、上部から見た本FRCシステムの基本レイアウトを図示する。
【0015】
図3B図3Bは、上部から見た中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して直角である角度で配列される、中性ビームを示す。
【0016】
図3C図3Cは、上部から見た中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して直角未満である角度で配列され、粒子を中心閉じ込め容器の中央平面に向かって注入するように指向される、中性ビームを示す。
図3D】(記載なし)
図3E】(記載なし)
【0017】
図4】形成部分に対するパルス電力システムの構成要素の概略を示す図である。
【0018】
図5】個々のパルス電力形成スキッドのアイソメ図である。
【0019】
図6】形成管アセンブリのアイソメ図である。
【0020】
図7】中性ビームシステムおよび主要構成要素の部分断面アイソメ図である。
【0021】
図8】閉じ込めチャンバ上の中性ビーム配置のアイソメ図である。
【0022】
図9】TiおよびLiゲッタリング・システムの好ましい配置の部分断面アイソメ図である。
【0023】
図10】ダイバータ・チャンバに搭載されたプラズマガンの部分断面アイソメ図である。また、関連した磁気ミラープラグおよびダイバータ電極アセンブリも示す。
【0024】
図11】閉じ込めチャンバの軸方向端部における環状バイアス電極の好ましい配置を示す図である。
【0025】
図12】2つの磁場反転シータピンチ形成部分における一連の外部反磁性ループおよび中央金属閉じ込めチャンバ内に組み込んだ磁界プローブから獲得した、FRCシステムにおける排除磁束半径の展開を示す図である。時間は、形成源内の同期された磁場反転の瞬間から測定され、距離zは、機械の軸方向の中央平面に対して与えられる。
【0026】
図13図13(a)は、本FRCシステム上の代表的な非HPFの非持続放出からのデータを示す図であり、中央平面における排除磁束半径が、時間関数として示されている。図13(b)は、本FRCシステム上の代表的な非HPFの非持続放出からのデータを示す図であり、中央平面CO2干渉計からの線集積密度の6つのコードが、時間関数として示されている。図13(c)は、本FRCシステム上の代表的な非HPFの非持続放出からのデータを示す図であり、CO2干渉計データからのアーベル逆変換密度半径の外形が、時間関数として示されている。図13(d)は、本FRCシステム上の代表的な非HPFの非持続放出からのデータを示す図であり、圧力平衡からの合計プラズマ温度が、時間関数として示されている。
【0027】
図14図13に示された本FRCシステムの同じ放出に対して、選択された時間における排除磁束の軸方向の外形を示す図である。
【0028】
図15】閉じ込めチャンバの外側に装着されたサドルコイルのアイソメ図である。
【0029】
図16】FRCの耐用期間および入射された中性ビームのパルス長の相互関係を示す図である。示されたように、ビームパルスが長いほど、より長く耐用するFRCを生成する。
【0030】
図17】FRC性能のFRCシステムの異なる構成要素の個々の効果および組み合わせた効果、ならびにHPFレジームの達成を示す図である。
【0031】
図18図18(a)は、本FRCシステム上の代表的なHPFの非持続放出からのデータを示す図であり、中央平面における排除磁束半径が、時間関数として示されている。図18(b)は、本FRCシステム上の代表的なHPFの非持続放出からのデータを示す図であり、中央平面CO2干渉計からの線集積密度の6つのコードが、時間関数として示されている。図18(c)は、本FRCシステム上の代表的なHPFの非持続放出からのデータを示す図であり、CO2干渉計データからのアーベル逆変換密度半径の外径が、時間関数として示されている。図18(d)は、本FRCシステム上の代表的なHPFの非持続放出からのデータを示す図であり、圧力平衡からの合計プラズマ温度が、時間関数として示されている。
【0032】
図19】電子温度(T)の関数として、磁束閉じ込めを示す図である。これは、HPF放出に対して新しく確立された優れたスケーリングレジームを表すグラフを示す。
【0033】
図20図20は、角度付けられていないおよび角度付けられた注入される中性ビームのパルス長に対応する、FRC寿命時間を図示する。
【0034】
図21図21Aおよび21Bは、コンパクトトロイド(CT)注入器の基本レイアウトを図示する。
【0035】
図22図22Aおよび22Bは、中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器に搭載されたCT注入器を示す。
【0036】
図23図23Aおよび23Bは、CT注入器の代替実施形態の基本レイアウトを図示し、CT注入器にドリフトチューブがを結合される。
【0037】
図24図24は、閉じ込め容器(CV)内のFRCプラズマの軸方向位置制御機構を図示する、概略図である。
【0038】
図25図25は、一般的スライディングモード制御スキームのフロー図である。
【0039】
図26図26は、スライディングモード軸方向位置制御シミュレーションの実施例の複合グラフである。
【0040】
図27図27は、スライディングモード軸方向位置制御シミュレーションの実施例の複合グラフである。
【0041】
図は必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、同様の構造または機能の要素は、説明のために図を通して同じ参照番号で概ね表されていることに留意されたい。また図は、本明細書に記載された様々な実施形態の説明を容易にすることを意図するに過ぎないことにも留意されたい。図は、必ずしも本明細書に開示された教示のすべての態様を説明せず、特許請求の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(詳細な説明)
本明細書に提供される本実施形態は、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマの平衡の軸方向安定性性質から独立して、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法を対象とする。別個および組み合わせの両方において、これらの付加的特徴および教示の多くを利用する、本明細書に説明される実施形態の代表的実施例が、ここで、添付の図面を参照して説明される。この詳細な説明は、単に、当業者に、本教示の好ましい側面を実践するためのさらなる詳細を教示することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、以下の詳細な説明に開示される特徴およびステップの組み合わせは、最も広義には、本発明を実践するために必要ではなくてもよく、代わりに、本教示の代表的実施例を特に説明するためだけに教示される。
【0043】
さらに、代表的実施例および従属請求項の種々の特徴は、本教示の付加的な有用な実施形態を提供するために、具体的かつ明示的には列挙されない方法で組み合わせられてもよい。加えて、説明および/または請求項に開示される全ての特徴は、元来の開示の目的のために、ならびに実施形態および/または請求項における特徴の複合物から独立して、請求される主題を制限する目的のために、相互から別個かつ独立して開示されることが意図されることが明示的に留意される。また、全ての値範囲またはエンティティの群のインジケーションは、元来の開示の目的のために、ならびに請求される主題を制限する目的のために、あらゆる可能な中間値または中間エンティティを開示することも明示的に留意される。
【0044】
FRC不安定性の従来の解決策は、典型的には、半径方向に不安定になることを犠牲として、軸方向における安定性を提供する、または軸方向に不安定になることを犠牲として、半径方向に安定性を提供するが、安定性を同時に両方向に提供しない。一見すると、プラズマ位置が横方向または半径方向に安定する平衡が、軸方向に不安定になることを犠牲として、軸対称性となる所望の性質を有する。前述に照らして、本明細書に提供される実施形態は、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマの平衡の軸方向安定性性質から独立して、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法を対象とする。しかしながら、軸方向位置不安定性は、FRCプラズマ軸方向位置を制御する外部軸対称コイルのセットを使用して能動的に制御される。本システムおよび方法は、プラズマと同心の外部コイルのセットに印加される電圧に作用し、非線形制御技法を使用することによって、プラズマ平衡の安定性性質から独立して、FRCプラズマ軸方向位置のフィードバック制御を提供する。
【0045】
本明細書に提示される実施形態は、FRCの軸方向に不安定な平衡を利用して、軸方向不安定性を安定化または制御しながら、半径方向安定性を強制する。このように、軸方向および半径方向の両方における安定性が、得られることができる。制御方法論は、外部または平衡磁場を改変し、軸方向に不安定になることを犠牲として、FRCプラズマを半径方向または横方向に安定させ、次いで、閉じ込めチャンバの中央平面の周囲のオーバーシュートおよび/または発振を最小限にしながら、FRCプラズマ位置を中央平面に向かって即座に回復するために、半径方向場コイル電流に作用するように設計される。本解決策の利点は、制御のために要求されるアクチュエータの複雑性を低減させることである。複数の自由度を伴う従来の解決策と比較して、本明細書に提示される実施形態の方法論は、1自由度を用いて、FRCプラズマ回転軸に沿った制御問題に対する複雑性を低減させる。
【0046】
軸方向不安定プラズマをもたらす、コイル電流中の波形、燃料補給、および中性ビームパワーの組み合わせは、プラズマを軸方向不安定状況に設定する、プラズマ制御シナリオを定義する。本シナリオは、シミュレーションもしくは実験における以前の知識、または軸方向に不安定な平衡を維持するように制御されたフィードバックを使用して、事前にプログラムされることができる。プラズマ位置は、平衡の安定性性質から独立して、放電の間に制御されるべきであり、例えば、制御スキームは、軸方向に安定または軸方向に不安定なプラズマのいずれかに対して限界まで作用すべきである。制御され得る最も軸方向に不安定なプラズマは、容器の表皮時間に匹敵する、成長時間を有する。
【0047】
半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法に目を向ける前に、従来のFRCに優る優れた安定性ならびに優れた粒子、エネルギー、および束の閉じ込めを伴う、高性能FRCを形成および維持するためのシステムおよび方法の議論が、提供される。そのような高性能FRCは、コンパクト中性子源(医療用同位体生産、核廃棄物浄化、材料研究、中性子放射線撮影、および断層撮影のため)、コンパクト光子源(化学生産および処理のため)、質量分離および濃縮システム、ならびに将来のエネルギー生成のための軽核の融合用炉心を含む、あらゆる種々の用途への経路を提供する。
【0048】
様々な付随システムおよび作動モードが、FRC内に優れた閉じ込めレジームが存在するかどうかを評価するために調査されてきた。これらの努力は、本明細書に説明された高性能のFRCパラダイムの画期的な発見および発展をもたらした。この新しいパラダイムによれば、本システムおよび方法は、多くの新規の発想と、図1に示したように、FRC閉じ込めを劇的に向上させ、かつ負の副作用のない安定制御を提供する手段を組み合わせる。以下により詳細に論じるように、図1は、以下に説明する(図2および3参照)FRCシステム10における粒子閉じ込めを示し、FRCを形成し維持するために従来のレジームCRによる作動に対して、また他の実施形態で使用されるFRCを形成し維持するために従来のレジームによる粒子閉じ込めに対して、FRCを形成し維持するための高性能のFRCレジーム(HPF)により作動する。本開示は、FRCシステム10の革新的な個々の構成要素および方法、ならびにそれらの集合効果の概要を説明し詳述する。
【0049】
(FRCシステムの説明)
真空システム
図2および3は、本FRCシステム10の概略を示す。FRCシステム10は、2つの直径方向に対向する磁場反転シータピンチ形成部分200、およびその形成部分200を超えた、中性密度および不純物汚染を制御するための2つのダイバータ・チャンバ300によって包囲された中央閉じ込め容器100を含む。本FRCシステム10は、超高真空を収容するように構築されており、一般的な基準圧10-8トルで作動する。このような真空圧は、嵌合構成要素、金属Oリング、高純度の内壁の間のダブルポンプの嵌合フランジを使用し、ならびに物理的および化学的洗浄に続き、24時間250℃での真空焼成および水素グロー放電洗浄などの、組立て前にすべての部分を最初に慎重に表面調整する必要がある。
【0050】
磁場反転シータピンチ形成部分200は、以下に詳しく論じる(図4~6参照)進化したパルス電力形成システムを備えているが、標準磁場反転シータピンチ(FRTP)である。各形成部分200は、超高純度石英の2ミリメートルの内壁を特色とする、標準純度工業グレードの石英管から作成される。閉じ込めチャンバ100は、ステンレス鋼から作成されて、複数の径方向および接線方向のポートが可能になる。また閉じ込めチャンバ100は、以下に説明される実験の時間スケール上で磁束保存器として働き、高速過渡磁場を制限する。真空は、ドライスクロール粗引きポンプ、ターボ分子ポンプおよびクライオポンプのセットを備える、FRCシステム10内に生成され維持される。
【0051】
磁気システム
磁気システム400は、図2および3に示されている。図2は、他の特徴の中でとりわけ、FRCシステム10によって生産可能なFRC450に関する、FRC磁束および密度等高線(径方向および軸方向座標の関数として)を示す。これらの等高線は、FRCシステム10に対応するシステムおよび方法をシミュレーションするために開発されたコードを使用して、二次元抵抗性Hall-MHD数値シミュレーションによって獲得されたものであり、測定された実験データとよく合致する。図2に見られるように、FRC450は、セパラトリックス451の内側のFRC450の内部453で、閉じた磁力線のトーラス、およびセパラトリックス451のすぐ外側の開いた磁力線452上の環状縁層456からなる。縁層456は、FRCの長さを超えて集結してジェット454になり、自然ダイバータを提供する。
【0052】
主磁気システム410は、構成要素に沿って、すなわち、FRCシステム10の閉じ込めチャンバ100、形成部分200およびダイバータ300に沿って、特に軸方向位置にある一連の疑似直流コイル412、414、および416を含む。疑似直流コイル412、414、および416は、疑似直流スイッチング電源によって供給され、閉じ込めチャンバ100、形成部分200およびダイバータ300内に約0.1Tの基本磁気バイアス磁場を生成する。疑似直流コイル412、414、および416に加えて、主磁気システム410は、閉じ込めチャンバ100のいずれかの端部と隣接した形成部分200との間に疑似直流ミラーコイル420(スイッチング電源によって供給される)を含む。疑似直流ミラーコイル420は、最高5までの磁気ミラー比を提供し、平衡形状制御のために単独で活性化されることが可能である。加えて、ミラープラグ440は、それぞれの形成部分200とダイバータ300との間に位置付けられる。ミラープラグ440は、小型の疑似直流ミラーコイル430およびミラープラグコイル444を備える。疑似直流ミラーコイル430は、ミラープラグコイル444を通過して短い直径の通路442に向かって磁束表面455の焦点を合わせるために、追加のガイド磁場を生成する3つのコイル432、434および436(スイッチング電源によって供給される)を含む。ミラープラグコイル444は、短い直径の通路442を中心に巻き付き、LCパルス電力回路によって供給され、最高4Tまでの強いミラー磁場を生成する。このコイル配置全体の目的は、堅く束ね、磁束表面455および端部に流れるプラズマジェット454を、ダイバータ300の遠隔チャンバ310に導くことである。最後に、サドルコイル「アンテナ」460のセット(図15参照)は、中央平面の各側面上に2つずつ、閉じ込めチャンバ100の外側に配置され、直流電源によって供給される。サドルコイル・アンテナ460を、回転不安定性の制御および/または電子電流制御のために、約0.01Tの準静的磁気双極子または四重極磁場を提供するように構成することができる。サドルコイル・アンテナ460は、印加電流の方向に依存して、中央平面に対して対称または反対称のいずれかである、磁場を柔軟に提供できる。
【0053】
パルス電力形成システム
パルス電力形成システム210は、修正シータピンチ原理に基づいて作動する。それぞれが形成部分200の1つに電力を供給する、2つのシステムが存在する。図4~6は、形成システム210の主な構築ブロックおよび配置を示す。形成システム210は、個々のユニット(=スキッド)220からなるモジュラーパルス電力配置から構成され、スキッド220のそれぞれは、形成石英管240を中心に巻き付くストラップアセンブリ230(=ストラップ)のコイル232のサブセットを活性化する。各スキッド220は、コンデンサ221、インダクタ223、高速大電流スイッチ225および関連トリガー222ならびにダンプ回路224から構成される。全体で、各形成システム210は、350~400kJの容量エネルギーを保存し、この容量エネルギーは、最高35GWまでの電力を提供してFRCを形成し加速する。これらの構成要素の協調された作動は、最先端のトリガーおよび制御システム222および224を介して達成され、それによって各形成部分200上の形成システム210間のタイミングを同期することが可能になり、スイッチングジッタを数十ナノ秒に最小化する。このモジュラー設計の利点は、その柔軟な作動である。すなわち、FRCをその場で形成でき、次いで加速し照射する(=静的形成)、または形成し同時に加速する(=動的形成)ことができる。
【0054】
中性ビーム注入器
中性原子ビーム600が、FRCシステム10上に展開され、加熱および電流駆動を提供し、高速粒子圧力を発生させる。図3A、3B、および8に示されるように、中性原子ビーム注入器システム610および640を構成する、個々のビーム線は、標的捕捉ゾーンが十分に区分線451(図2参照)の範囲内にあるように、衝突パラメータを用いて、中心閉じ込めチャンバ100の周囲に位置し、高速粒子をFRCプラズマに対して接線方向に(かつ、中心閉じ込め容器100内の対称長軸に対して垂直または直角である角度で)注入する。各注入器システム610および640は、20~40keVの粒子エネルギーを用いて、最大1MWの中性ビームパワーをFRCプラズマの中に注入可能である。システム610および640は、正イオン多開口抽出源に基づき、幾何学的集束、イオン抽出グリッドの慣性冷却、および差動ポンプを利用する。異なるプラズマ源の使用は別として、システム610および640は、主に、側方および上方注入能力をもたらす、その個別の搭載場所を満たすようなその物理的設計によって区別される。これらの中性ビーム注入器の典型的構成要素は、側方注入器システム610に関する図7に具体的に図示される。図7に示されるように、各個々の中性ビームシステム610は、端部を被覆する磁気遮蔽614とともに、入力端部(これは、システム640内のアーク源で代用される)にRFプラズマ源612を含む。イオン光学源および加速グリッド616は、プラズマ源612に結合され、ゲート弁620は、イオン光学源および加速グリッド616と中和装置622との間に位置付けられる。偏向磁石624およびイオンダンプ628は、中和装置622と出口端部における照準デバイス630との間に位置する。冷却システムは、2つの低温冷凍機634と、2つのクライオパネル636と、LN2シュラウド638とを備える。本柔軟性のある設計は、広範囲のFRCパラメータにわたる動作を可能にする。
【0055】
中性原子ビーム注入器600のための代替構成は、高速粒子をFRCプラズマに対して接線方向に注入するが、角度Aは、中心閉じ込め容器100内の対称長軸に対して90°未満であるものである。ビーム注入器615のこれらのタイプの配向は、図3Cに示される。加えて、ビーム注入器615は、中心閉じ込め容器100の中央平面の両側のビーム注入器615が、その粒子を中央平面に向かって注入するように配向されてもよい。最後に、これらのビームシステム600の軸方向位置は、中央平面により近接するように選定されてもよい。これらの代替注入実施形態は、より中心における燃料補給選択肢を促進し、ビームのより優れた結合および注入される高速粒子のより高い捕捉効率を提供する。さらに、角度および軸方向位置に応じて、ビーム注入器615の本配列は、FRC450の軸方向伸長および他の特性のより直接的かつ独立した制御を可能にする。例えば、ビームを容器の対称長軸に対して浅角Aで注入することは、より長い軸方向伸展およびより低い温度を伴うFRCプラズマを作成するであろう一方、より垂直な角度Aで取り上げることは、軸方向により短いが、より高温のプラズマにつながるであろう。本方式では、ビーム注入器615の注入角度Aおよび場所は、異なる目的のために最適化されることができる。加えて、ビーム注入器615のそのような角度付けおよび位置付けは、より高いエネルギーのビーム(概して、より少ないビーム分散を伴う、より多くのパワーを堆積させるためにより好ましい)が、そうでなければ、そのようなビームを捕捉するために必要となるであろうものより低い磁場の中に注入されることを可能にすることができる。これは、高速イオン軌道スケールを判定するのが、エネルギーの方位角成分(容器の対称長軸に対する注入角度が一定ビームエネルギーで低減されるにつれて、徐々に小さくなる)という事実に起因する。さらに、中央平面に向かって角度付けられた注入および中央平面に近接する軸方向ビーム位置は、注入周期の間、FRCプラズマが収縮または別様に軸方向に縮小しても、ビーム-プラズマ結合を改良する。
【0056】
図3Dおよび3Eに目を向けると、別の代替構成は、角度付けられたビーム注入器615に加え、内側ダイバータ302を含む。内側ダイバータ302は、形成区分200と閉じ込めチャンバ100との間に位置付けられ、外側ダイバータ300と実質的に同様に構成され、動作する。高速切替磁気コイルをその中に含む、内側ダイバータ302は、形成プロセスの間、事実上、非アクティブであり、形成FRCが閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって平行移動するにつれて、形成FRCが、内側ダイバータ302を通過することを可能にする。いったん形成FRCが内側ダイバータ302を通過して閉じ込めチャンバ100の中に入ると、内側ダイバータは、アクティブ化され、外側ダイバータと実質的に同様に動作し、閉じ込めチャンバ100を形成区分200から隔離する。
【0057】
ペレット照射装置
新しい粒子を照射し、FRCの粒子インベントリをより良好に制御する手段を提供するために、12バレルペレット照射装置700(例えば、I.Vinyarら、「Pellet Injectors Developed at PELIN for JET, TAE, and HL-2A(JET、TAE、およびHL-2Aに対してPELINで開発されたペレット照射装置)」第26回Fusion Science and Technology Symposium(核融合科学技術シンポジウム)の報告書、9月27日~10月1日(2010)参照)がFRCシステム10上に利用される。図3は、FRCシステム10上のペレット照射装置700の配置を示す。円筒形ペレット(Dは約1mm、Lは約1~2mm)は、FRCに速度150~250km/sの範囲で照射される。個々のペレットはそれぞれ、約5×1019の水素原子を含み、これはFRCの粒子インベントリに匹敵する。
【0058】
ゲッタリング・システム
中性ハロガスは、すべての閉じ込めシステムにおいて深刻な問題であることは周知である。電荷交換および再利用(壁からの低温の不純物材料の放出)プロセスは、エネルギーおよび粒子閉じ込めに壊滅的な影響を与える可能性がある。加えて、縁部におけるまたは縁部付近のいかなる高濃度の中性ガスも、照射された大きい軌道(高エネルギー)の粒子(大きい軌道は、FRCトポロジーの規模の軌道、または少なくとも特性磁界勾配長さスケールよりはるかに大きい軌道半径を有する粒子を指す)の耐用期間を即座に喪失させる、または少なくとも大幅に短くする、すなわち、これは、補助ビーム加熱を介する融合を含め、すべてのエネルギープラズマの適用に弊害をもたらす。
【0059】
表面調整は、それによって中性ガスおよび不純物の悪影響を、閉じ込めシステムにおいて制御または低減できる手段である。この目的を達成するために、本明細書に提供されたFRCシステム10は、チタニウム(Ti)およびリチウム(Li)成膜システム810および820を利用し、閉じ込めチャンバ(または容器)100およびダイバータ300のプラズマ対向面をTiおよび/またはLiの薄膜(厚さ数十マイクロメートル)で被覆する。被覆は蒸着技法により達成される。中実のLiおよび/またはTiは、被覆を形成するために近傍表面上に蒸着され、かつ/または昇華されまた噴霧される。源は、ガイドノズル(Liの場合)822を備える原子炉、またはガイドシュラウド(Tiの場合)812を備える中実の加熱球である。Li蒸着システムは、通常、連続モードで作動するが、Ti昇華装置は、普通はプラズマ作動の間に断続的に作動される。これらのシステムの作動温度は、速い蒸着速度を得るために600℃を超える。良好な壁被覆を達成するために、複数の戦略的に配置された蒸着/昇華システムが必要とされる。図9は、FRCシステム10におけるゲッタリング蒸着システム810および820の好ましい配置を詳しく示す。被覆は、ゲッタリング表面ならびに有効なポンプの原子および分子の水素種(HおよびD)として作用する。また被覆は、炭素および酸素などの他の通常の不純物をかなりの水準で低減する。
【0060】
ミラープラグ
上述のように、FRCシステム10は、図2および3に示したように、ミラーコイル420、430、および444のセットを利用する。ミラーコイル420の第1のセットは、閉じ込めチャンバ100の2つの軸方向端部に配置され、主磁気システム410の閉じ込めコイル412、414および416から単独に活性化される。ミラーコイル420の第1のセットは、主に融合中にFRC450を進め軸方向に包含する助けとなり、持続している間に平衡成形制御を提供する。第1のミラーコイルセット420は、中央閉じ込めコイル412によって生成された中央閉じ込め磁場より名目上高い磁場(約0.4~0.5T)を生成する。ミラーコイル430の第2のセットは、3つの小型の疑似直流ミラーコイル432、434および436を含み、形成部分200とダイバータ300との間に配置され、一般的なスイッチ電源によって駆動される。ミラーコイル432、434および436は、より小型のパルスミラープラグコイル444(容量電源によって供給される)および物理的収縮部442と一緒に、狭い低ガス伝導通路を非常に高い磁場(約10~20msの立上り時間で2~4T)で提供する、ミラープラグ440を形成する。最も小型のパルスミラーコイル444は、閉じ込めコイル412、414および416のメートルプラススケールの孔およびパンケーキ型設計に比べて、小型の径方向寸法、20cmの孔および同様の長さである。ミラープラグ440の目的は、以下のように多種多様である。(1)コイル432、434、436および444を堅く束ね、磁束表面452および端部に流れるプラズマジェット454を、遠隔ダイバータ・チャンバ300に導く。これは、排出粒子がダイバータ300に適切に到着し、中央FRC450の開いた磁力線452領域からダイバータ300までずっと追跡する、連続した磁束表面455が存在することを確実にする。(2)FRCシステム10における物理的収縮部442は、それを通ってコイル432、434、436および444が磁束表面452およびプラズマジェット454を通過することができ、ダイバータ300内に着座するプラズマガン350からの中性ガス流を妨げる。同じように、収縮部442は、形成部分200からダイバータ300へのガスの逆流を防止し、それによってFRCの起動を開始するときに、FRCシステム10全体に導入しなければならない中性粒子の数が低減する。(3)コイル432、434、436および444によって生成された強い軸方向のミラーは軸方向の粒子損失を低減し、それによって開いた磁力線上の平行な粒子拡散係数が低減する。
【0061】
図3Dおよび3Eに示される代替構成では、薄型縮径コイル421のセットが、内側ダイバータ302と形成区分200との間に位置付けられる。
【0062】
軸方向のプラズマガン
ダイバータ300のダイバータ・チャンバ310内に装着されたガン350からのプラズマ流は、安定性および中性ビーム性能を向上させることを意図する。ガン350は、図3および10に示したように、ダイバータ300のチャンバ310の内側の軸上に装着され、プラズマ流をダイバータ300内の開いた磁力線452に沿って、閉じ込めチャンバ100の中心に向かって生成する。ガン350は、ワッシャー積層チャネル内に高濃度ガス放出で作動し、5~10msに完全にイオン化されたプラズマを数キロアンペア生成するように設計されている。ガン350は、出力プラズマ流を閉じ込めチャンバ100内の所望のサイズのプラズマに一致させる、パルス磁気コイルを含む。ガン350の技術パラメータは、5~13cmの外径、および最高10cmまでの内径を有するチャネルを特徴とし、ガンの内部磁場は0.5~2.3Tで、400~600Vで10~15kAの放電電流を提供する。
【0063】
ガンプラズマ流は、ミラープラグ440の磁場を貫通し、形成部分200および閉じ込めチャンバ100に流入することができる。ミラープラグ440を通るプラズマ移動の効率は、ガン350とプラグ440との間の距離を低減し、プラグ440をより広く短くすることによって高まる。妥当な条件下で、ガン350はそれぞれ、約150~300eVおよび約40~50eVの高いイオン温度および電子温度で、2~4Tのミラープラグ440を通り約1022プロトン/sを送達する。ガン350は、FRCの縁層456の著しい燃料補給および改良されたFRC全体の粒子閉じ込めを提供する。
【0064】
プラズマ密度をさらに高めるために、ガスボックスを利用して、追加のガスをガン350からプラズマ流に吹き入れることが可能である。この技法により、照射されたプラズマ密度を数倍に高めることができる。FRCシステム10では、ミラープラグ440の側部のダイバータ300上に搭載されたガスボックスは、FRCの縁層456の燃料補給、FRC450の形成、およびプラズマ磁力線短絡を向上させる。
【0065】
上に論じたすべての調整パラメータを所与とし、また、一方のみまたは両方のガンを備えた作動が可能であることを考慮すると、広いスペクトルの作動モードが利用可能であることがすぐにわかる。
【0066】
バイアス電極
開いた磁束表面の電気バイアスは、方位E×B運動を起こす径方向電位を提供することができ、方位E×B運動は、開いた磁力線プラズマの回転、ならびに速度シアを介して実際のFRCコア450を制御するための、ノブを回すのに類似した制御機構を提供する。この制御を達成させるために、FRCシステム10は、機械の様々な部分に配置された様々な電極を戦略的に利用する。図3は、FRCシステム10内の好ましい場所に位置付けられたバイアス電極を示す。
【0067】
原則として、以下の4つの分類の電極がある。(1)局所電荷を提供するために、FRC450の縁部において特定の開いた磁力線452に接触させる、閉じ込めチャンバ100内の点電極905、(2)方位が対称的な形で遠端磁束層456に帯電させるための、閉じ込めチャンバ100と形成部分200との間の環状電極900、(3)複数の同心磁束層455(それによって層の選択は、ダイバータ磁場を調節するためにコイル416を調節することによって制御可能であり、その結果、適切な電極910上で所望の磁束層456を終了する)に帯電させるための、ダイバータ300内の同心電極910の積層、および最後に(4)プラズマガン350自体(これは、FRC450のセパラトリックス付近で内部の開いた磁束表面455を遮断する)の陽極920(図10参照)。図10および11は、これらの一部に対するいくつかの典型的な設計を示す。
【0068】
すべての場合において、これらの電極は、最高約800Vまでの電圧でパルスまたは直流電源によって駆動される。電極のサイズおよびどの磁束表面が交差しているかに依存して、電流をキロアンペア範囲で引くことができる。
【0069】
(FRCシステムの非持続作動-従来のレジーム)
良好に開発された磁場反転シータピンチ技法の後に、FRCシステム10上の標準プラズマ形成が続く。FRCを開始するための通常のプロセスは、定常状態作動のために疑似直流コイル412、414、416、420、432、434および436を駆動することにより開始する。次いでパルス電力形成システム210のRFTPパルス電力回路は、パルス高速磁場反転コイル232を駆動して、形成部分200内に約-0.05Tの一時的な逆バイアスを生成する。この点で、9~20psiの所定の量の中性ガスを、形成部分200の外端上に配置されたフランジにおいて方位角に配向されたパフ弁のセットを介して、(北および南の)形成部分200の石英管チャンバ240によって画定された2つの形成容積の中に照射する。次に、小さいRF(約数百キロヘルツ)の磁場を、石英管240の表面上のアンテナのセットから生成して、中性ガス柱内に局所シードイオン化領域(local seed ionization region)の形でプレプレイオン化(pre-pre-ionization)を生成する。これに続いて、パルス高速磁場反転コイル232を駆動する電流上にシータリング変調を加え、これによりガス柱のより広範囲のプレイオン化がもたらされる。最後に、パルス電力形成システム210の主要パルスパワーバンクを燃やして、最高0.4Tまでの順方向バイアス磁場を生成するためにパルス高速磁場反転コイル232を駆動する。このステップは、順方向バイアス磁場が形成管240の全長に亘って均一に生成されるように(静的形成)、または連続蠕動磁場変調が、形成管240の軸に沿って達成されるように(動的形成)、時系列にすることができる。
【0070】
この形成プロセス全体で、プラズマ内の実際の磁場反転が約5μs内で急速に起きる。形成プラズマに容易に送達されたマルチギガワットのパルス電力は、高温のFRCを生成し、次いで高温のFRCは形成部分200から順方向磁場(磁場蠕動)の時系列の装着、または形成管210(閉じ込めチャンバ100に向かって軸方向を指す、軸方向の磁場勾配を形成する)の軸方向の外端近傍のコイルセット232の最後のコイル内の一時的に増加した電流のいずれかの適用によって、形成部分200から照射される。そのように形成され、加速された2つ(北および南)の形成FRCは、より大きい直径閉じ込めチャンバ100に拡大し、この場合、疑似直流コイル412は、順方向バイアス磁場を生成して、径方向の拡大を制御し平衡外部磁束を提供する。
【0071】
一旦北および南の形成FRCが閉じ込めチャンバ100の中央平面近傍に到達すると、FRCは衝突する。衝突中、北および南の形成FRCの軸方向の運動エネルギーは、FRCが単一のFRC450に最終的に融合すると、大きく熱化される。プラズマ診断の大きいセットは、FRC450の平衡を調査するために閉じ込めチャンバ100の内で利用可能である。FRCシステム10内の通常の作動条件は、セパラトリックスの半径が約0.4mおよび軸方向に約3m延在する化合したFRCを生成する。さらなる特性は、約0.1Tの外部磁場、約5×1019-3のプラズマ密度および最高1keVまでの合計プラズマ温度である。いかなる持続もなしに、すなわち中性ビーム照射または他の補助手段によって加熱および/または電流駆動なしに、これらのFRCの耐用期間は、本来の特性構成減衰時間の約1msに制限される。
【0072】
(非持続作動の実験データ-従来のレジーム)
図12は、FRC450のシータピンチ融合プロセスの力学を示すために、セパラトリックスの半径rに近づく、排除磁束半径rΔФの通常の時間発展を示す。2つ(北および南)の個々のプラズモイドは、同時に生成され、次いでそれぞれの形成部分200から出て超音速v約250km/sで加速され、中央平面近傍でz=0で衝突する。衝突中、プラズモイドは軸方向に圧迫し、続いて即座に径方向および軸方向に拡大し、最後に融合してFRC450を形成する。融合するFRC450の径方向および軸方向の力学の両方は、詳しく示した密度プロファイルの測定およびボロメータに基づいた断層撮影によって証明される。
【0073】
FRCシステム10の代表的な非持続放出からのデータは、図13に時間関数として示されている。FRCは、t=0で開始される。機械の軸方向の中央平面における排除磁束半径は、図13(a)に示されている。このデータは、磁気プローブのアレイから得られ、閉じ込めチャンバのステンレス鋼壁のすぐ内側に配置され、これは軸方向磁場を測定する。鋼壁は、この放出の時間スケール上の良好な磁束保存器である。
【0074】
線集積密度は、z=0に配置された6つのコードのCO/He-Ne干渉計から図13(b)に示されている。垂直(y)FRC変位を考慮すると、ボロメータの断層撮影によって測定されたように、アーベル逆変換は図13(c)の密度等高線をもたらす。初めの0.1ms間に一部の軸方向および径方向のスロッシング後、FRCは、中空密度プロファイルを有して定着する。このプロファイルは極めて平坦であり、必要に応じて通常の二次元FRC平衡により実質的な密度を軸上にもつ。
【0075】
圧力平衡から得られ、トムソン散乱分光測定と完全に一致する、合計プラズマ温度が、図13(d)に示されている。
【0076】
排除磁束アレイ全体からの分析は、FRCのセパラトリックス(排除磁束軸方向プロファイルによって見積もられる)の形状が、レーストラック型から楕円形に次第に進化することを示す。図14に示されたこの進化は、2つのFRCから単一のFRCへの段階的な磁気再結合に一致する。実際に、概算は、この特定の場合では、最初の2つのFRC磁束の約10%が、衝突中に再結合すると示唆している。
【0077】
FRCの長さは、FRCの耐用期間中に3m~約1mに確実に収縮する。この収縮は図14に見られ、ほとんどの対流エネルギー損失は、FRC閉じ込めより優先されることを示唆する。セパラトリックスの内側のプラズマ圧力は、外部磁気圧力より急速に低減するので、端部領域における磁力線張力は、FRCを軸方向に圧迫し、軸方向および径方向の平衡を回復する。図13および14に論じた放出に対して、FRCの磁束、粒子インベントリ、および熱エネルギー(それぞれ、約10mWb、7×1019粒子、および7kJ)は、FRC平衡が低下するように見えたとき、最初のミリ秒後におよそ1桁低減する。
【0078】
(持続作動-HPFレジーム)
図12~14における例は、いかなる持続もなしにFRCを減衰する特性である。しかし、いくつかの技法は、FRCシステム10に展開されて、さらにFRC閉じ込め(内部コアおよび縁層)をHPFレジームに向上させ、閉じ込めを持続させる。
【0079】
中性ビーム
まず、高速(H)中性を8個の中性ビーム照射装置600からビーム内のBに垂直に照射する。高速中性のビームは、北および南の形成FRCが閉じ込めチャンバ100内で融合した瞬間から1つのFRC450の中に照射される。高速イオンは電荷交換によって主に生成され、FRC450の方位電流に加えるベータトロン軌道(FRCトポロジーのスケール上または特性磁場勾配長さスケールよりはるかに長い主要半径を有する)を有する。放出のわずか後(照射の0.5~0.8ms後)、充分に大きい高速イオン集団は、内部FRCの安定性および閉じ込め特性を著しく向上させる(例えば、M.W.BinderbauerおよびN.Rostoker、Plasma Phys.56、part 3、451(1996)参照)。さらに、持続の観点から、中性ビーム照射装置600からのビームも、電流を駆動しFRCプラズマを加熱する主な手段である。
【0080】
FRCシステム10のプラズマレジームでは、高速イオンはプラズマ電子上で主に減速する。放出の初期の間、高速イオンの通常の軌道の平均減速時間は0.3~0.5msであり、これは著しいFRCの主に電子の加熱をもたらす。高速イオンは、内部FRC磁場が本質的に低いので(0.1Tの外部軸方向磁場に対して平均約0.03T)、セパラトリックスの外側の径方向の偏位を大きくする。高速イオンは、中性ガス濃度がセパラトリックスの外側で高過ぎた場合、電荷交換損失に対して弱いはずである。したがって、FRCシステム10上に展開した壁ゲッタリングおよび他の技法(とりわけガス制御に寄与するプラズマガン350およびミラープラグ440など)は、端中性を最小にし、高速イオン電流の必要な構築を可能にする。
【0081】
ペレット照射
電子がより高温でFRCの耐用期間がより長い、超高速イオン集団がFRC450内に構築される際、冷凍のHまたはDペレットは、ペレット照射装置700からFRC450の中に照射されて、FRC450のFRC粒子インベントリを持続させる。予想されるアブレーション時間スケールは充分に短いので、かなりのFRC粒子源を提供する。またこの速度は、個々のペレットをより小さい片に砕くことにより、照射された片の表面積を拡大することによって増大させることができるが、ペレット照射装置700のバレルまたは照射管内で、また閉じ込めチャンバ100に入る前に、閉じ込めチャンバ100の中に入る直前に照射管の最後の部分の曲げ半径を締め付けることにより、ペレットと照射管の壁との間の片を増加させることによってステップを達成できる。12バレル(照射管)の燃焼順序および速度、ならびに粉砕を変化させる恩恵により、ペレット照射システム700を調整して、まさに所望のレベルの粒子インベントリの持続を提供することができる。その結果、これはFRC450内の内部動圧ならびにFRC450の持続作動および耐用期間を維持する役に立つ。
【0082】
一旦、除去された原子がFRC450内で著しいプラズマに衝突すると、除去された原子は完全にイオン化される。次いで得られた低温のプラズマ構成要素は、本来のFRCプラズマにより衝突して加熱される。所望のFRC温度を維持するために必要なエネルギーは、ビーム照射装置600により最終的に供給される。この意味で、ペレット照射装置700は中性ビーム照射装置600と一緒に、定常状態を維持しFRC450を持続するシステムを形成する。
【0083】
(CT注入器)
ペレット注入器の代替として、コンパクトトロイド(CT)注入器が、主に、磁場反転配位(FRC)プラズマに燃料補給するために提供される。CT注入器720は、図21に示されるように、同軸円筒形内側および外側電極722および724と、内側電極の内部に位置付けられるバイアスコイル726と、CT注入器720の放電の反対の端部における電気遮断器728とを含む、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備える。ガスが、ガス注入ポート730を通して内側電極722と外側電極724との間の空間の中に注入され、スフェロマック状プラズマが、放電によって生成され、ローレンツ力によってガンから押し出される。図22Aおよび22Bに示されるように、一対のCT注入器720が容器100の中央平面の近傍および対向側において閉じ込め容器100に結合され、CTを閉じ込め容器100内の中心FRCプラズマの中に注入する。CT注入器720の放電端は、中性ビーム注入器615と同様に、閉じ込め容器100の長手方向軸に対してある角度で閉じ込め容器100の中央平面に向かって指向される。
【0084】
代替実施形態では、CT注入器720は、図23Aおよび23Bに示されるように、CT注入器720の放電端に結合される伸長円筒形管を備える、ドリフトチューブ740を含む。描写されるように、ドリフトチューブ740は、チューブの周りに位置付けられ、チューブに沿って軸方向に離間される、ドリフトチューブコイル742を含む。複数の診断ポート744が、チューブの長さに沿って描写される。
【0085】
CT注入器720の利点は、(1)注入されるCTあたりの粒子装荷量の制御および調節性と、(2)高温プラズマが堆積されること(極低温ペレットの代わりに)と、(3)システムが、連続燃料補給を可能にするように、繰り返し率モードで動作されることができることと、(4)システムがまた、注入されるCTが埋設磁場を搬送するにつれて、ある程度の磁束を復元し得ることとである。実験使用のためのある実施形態では、外側電極の内径は、83.1mmであり、内側電極の外径は、54.0mmである。内側電極722の表面は、好ましくは、電極722から生じる不純物を低減させるために、タングステンでコーティングされる。描写されるように、バイアスコイル726が、内側電極722の内側に搭載される。
【0086】
最近の実験では、最大約100km/秒の超音波CT平行移動速度が、達成された。他の典型的プラズマパラメータは、以下の通りである。電子密度約5×1021m-3、電子温度約30-50eV、および粒子装荷量約0.5~1.0×1019。CTの高動圧は、注入されるプラズマがFRCの中に深くまで透過し、粒子を区分線の内側に堆積させることを可能にする。最近の実験では、FRC粒子燃料補給は、FRC粒子装荷量の約10~20%がCT注入器によって正常に提供される結果をもたらし、燃料補給がFRCプラズマを中断させずに容易に実施され得ることを実証した。
【0087】
サドルコイル
定常状態の電流駆動を達成し、必要なイオン電流を維持するために、電子イオン摩擦力(衝突イオン電子運動量移動からもたらされる)に起因する電子スピンを防止するまたは著しく低減することが望ましい。FRCシステム10は、外部印加された静磁場双極子または四重極磁場を介して、電子遮断を提供する革新的な技法を利用する。これは、図15に示した外部サドルコイル460を介して実現される。サドルコイル460から横方向に印加された径方向の磁場は、回転するFRCプラズマ内の軸方向の電界を誘導する。得られる軸方向の電子電流は、径方向の磁場と相互作用して、電子上に方位遮断力Fθ=-σVeθ<|B>を生成する。FRCシステム10における典型的な条件に対して、プラズマ内部に必要な印加された磁場双極子(または四重極磁場)は、適切な電子遮断を提供するために約0.001Tのみであることが必要である。約0.015Tの対応する外部磁場は充分に小さいので、多くの高速粒子損失あるいは閉じ込めに悪影響をもたらすことはない。事実、印加された磁場双極子(または四重極磁場)は、不安定性の抑制に寄与する。接線中性ビーム照射と軸方向プラズマ照射を組み合わせて、サドルコイル460は、電流の維持および安定性に関して追加レベルの制御を提供する。
【0088】
ミラープラグ
ミラープラグ440内のパルスコイル444の設計により、適度(約100kJ)の容量エネルギーで高磁場(2~4T)の局所発生が可能になる。FRCシステム10のこの作動の通常の磁場形成に対して、形成容積内のすべての磁力線は、図2における磁力線によって示唆されたように、ミラープラグ440で収縮部442を通過し、プラズマ壁の接触は起きない。さらに、疑似直流ダイバータ磁気416と連動してミラープラグ440を、磁力線をダイバータ電極910の上に導く、または磁力線を端部カスプ配位(図示せず)内で燃焼させるように、調節することができる。後者は安定性を向上させ、平行な電子熱伝導を抑圧する。
【0089】
またミラープラグ440自体も、中性ガス制御に寄与する。ミラープラグ440は、ダイバータ300の中へのガス逆流が、プラグの少量のガスコンダクタンス(わずか500L/s)によって著しく低減するので、FRC形成中に石英管に吹き入れられる重水素ガスのより良好な利用が可能になる。形成管210内部の残りの吹き入れられたガスのほとんどは、急速にイオン化される。加えて、ミラープラグ440を通って流れる高密度プラズマは、有効な中性イオン化、ひいては有効なガス障壁を提供する。結果として、FRC縁層456からダイバータ300内に再利用されたほとんどの中性は、閉じ込めチャンバ100に戻らない。加えて、プラズマガン350の作動に関連した中性は(以下に論じるように)、ダイバータ300に大部分が閉じ込められることになる。
【0090】
最後に、ミラープラグ440は、FRC縁層閉じ込めを向上する傾向がある。ミラー比(プラグ/閉じ込め磁場)が20~40の範囲で、北と南のミラープラグ440の間の長さが15mで、縁層粒子閉じ込め時間
【数4】

は、最高10倍まで増加する。向上する
【数5】

は、FRC粒子閉じ込めを容易に増加させる。
【0091】
セパラトリックス容積453からの径方向の拡散(D)粒子損失が、縁層456からの軸方向損失
【数6】

によって均衡がとられたと仮定すると、
【数7】

が得られ、そこからセパラトリックス密度勾配長さを
【数8】

と書き換えることができる。式中、r、Lおよびnはそれぞれ、セパラトリックス半径、セパラトリックス長さおよびセパラトリックス密度である。FRC粒子閉じ込め時間は、
【数9】

であり、式中、τ=a/Dであり、a=r/4である。物理的に、
【数10】

が向上すると、δが増加し(セパラトリックス密度勾配およびドリフトパラメータが低減し)、したがってFRC粒子損失が低減する。FRC粒子閉じ込めにおける全体の向上は、n
【数11】

と共に増加するので、概ね二次方程式より若干少ない。
【0092】

【数12】

における著しい向上はまた、縁層456が大幅な安定(すなわち、n=1のフルート、ファイアホース、または開放システムに特有の他のMHDの不安定性がない)を維持することも必要とする。プラズマガン350の使用は、この好ましい縁部の安定性を提供する。この意味では、ミラープラグ440およびプラズマガン350は、有効な縁部制御システムを形成する。
【0093】
プラズマガン
プラズマガン350は、磁力線短絡によりFRC排除ジェット454の安定性を向上させる。プラズマガン350からのガンプラズマは、方位角運動量なしに生成され、これはFRC回転不安定性の制御に有用であることがわかる。したがって、ガン350は、より古い四重極の安定化技術を必要としない、FRCの安定性を制御する有効な手段である。結果として、プラズマガン350は、高速粒子の有益な効果を利用する、または本開示に概要を述べたように、進化したハイブリッド運動FRCレジームに近づくことを可能にする。したがって、プラズマガン350により、FRCシステム10がまさに電子遮断に適切だが、FRCの不安定性を引き起こす、かつ/または劇的な高速粒子拡散をもたらすはずである閾値より低い、サドルコイル電流で作動されることが可能になる。
【0094】
上に論じたミラープラグで述べたように、
【数13】

を著しく向上できる場合、供給されたガンプラズマは、縁層粒子損失速度(約1022/s)に匹敵するはずである。FRCシステム10内のガンを生成したプラズマの耐用期間は、ミリ秒の範囲である。実際には、密度n約1013cm-3およびイオン温度約200eVのガンプラズマが、端部ミラープラグ440の間に閉じ込められるとみなしていただきたい。トラップ長さLおよびミラー率Rは、それぞれ約15mおよび20である。クーロン衝突によるイオン平均自由行程は、λii約6×10cmであり、λiiInR/R<Lであるので、イオンはガス動的レジーム内に閉じ込められる。このレジームにおけるプラズマ閉じ込め時間は、τgd約RL/2V約2msであり、式中、Vはイオン音速である。比較のために、これらのプラズマパラメータに対する古典的イオン閉じ込め時間は、τ約0.5τii(lnR+(lnR)0.5)約0.7msであるはずである。異常横拡散は、原則としてプラズマ閉じ込め時間を短縮してもよい。しかし、FRCシステム10では、ボーム拡散速度を前提とする場合、ガンプラズマに対する見積もられた横閉じ込め時間は、τ>τgd約2msである。それ故、ガンは、FRC縁層456の著しい燃料補給、および全体が改良されたFRC粒子閉じ込めを提供するはずである。
【0095】
さらに、ガンプラズマ流を、約150~200マイクロ秒後にオンすることができ、それによってFRCの起動、移動および閉じ込めチャンバ100への融合に使用可能になる。tが約0でオンする場合(FRC主要バンク開始)、ガンプラズマは、この動的に形成され融合されたFRC450を持続する役に立つ。形成FRCから、およびガンから組み合わせた粒子インベントリは、中性ビームの捕捉、プラズマの加熱、および長い持続に充分である。tが-1~0msの範囲でオンする場合、ガンプラズマは、プラズマで石英管210を充填できる、または石英管の中に吹き入れたガスをイオン化でき、したがって、吹き入れたガスを低減する、または恐らく0でさえあるFRC形成が可能になる。後者は、逆バイアス磁場の高速拡散が可能になるために、充分に低温の形成プラズマが必要な場合がある。tが<-2msでオンする場合、プラズマ流は、形成の約1~3mの磁力線容積ならびに形成部分200の閉じ込め領域および目標プラズマ密度がわずか1013cm-3である閉じ込めチャンバ100を充填することができ、FRCの到達前に中性ビームの構築が充分に可能である。次いで形成FRCを形成し、得られる閉じ込め容器プラズマの中に移動できる。このような方法で、プラズマガン350は、広範囲の作動条件およびパラメータレジームが可能である。
【0096】
電気的バイアス
縁層456内の径方向電界の制御は、FRCの安定性および閉じ込めに様々な方法で有利である。FRCシステム10に展開した革新的なバイアス構成要素の恩恵により、電位の様々な意図的な分散を閉じ込めチャンバ100内の中央閉じ込め領域の充分に外側の領域から機械全体に亘って開いた磁束表面の群に印加することができる。このような方法で、径方向磁場を、FRC450のすぐ外側の縁層456を横切って生成することができる。次いでこれらの径方向電界は、縁層456の方位回転を修正し、E×B速度シアによってその閉じ込めをもたらす。次いで縁層456とFRCコア453との間のあらゆる差動回転を、シアによりFRCプラズマの内側に移動できる。結果として、縁層456を制御することは、FRCコア453に直接影響を与える。さらに、プラズマ回転における自由エネルギーも不安定性に関与できるので、この技法は、不安定性の開始および成長を制御する直接手段を提供する。FRCシステム10では、適切な縁バイアスは、開いた磁力線の移動および回転、ならびにFRCコア回転の有効な制御を提供する。様々な提供された電極900、905、910および920の場所および形状により、磁束表面455の異なる群の制御が異なる独立した電位で可能になる。このような方法で、多様な異なる電界構成および強度を認識でき、それぞれはプラズマ性能に対する異なる性質の影響をもつ。
【0097】
すべてのこれらの革新的バイアス技法の主要な利点は、コアおよび縁部のプラズマ挙動が、FRCプラズマの充分に外側から影響を与えることができる、すなわち、いかなる物理的な構成要素も中央高温プラズマ(中央高温プラズマは、エネルギー、磁束および粒子の損失に深刻な影響をもつはずである)に接触させる必要がないという事実である。これは、HPFの概念の性能およびすべての潜在用途に対して主要な有利な影響を有する。
【0098】
(実験データ-HPF作動)
中性ビームガン600からのビームによる高速粒子の照射は、HPFレジームを可能にする重要な役割を果たす。図16はこの事実を示す。示されているのは、FRCの耐用期間がビームパルスの長さにどのように関連するかを示す曲線のセットである。すべての他の作動条件は、この研究を含むすべての放出に対して一定に保たれる。データは、多くの照射に亘って平均し、したがって、通常の挙動を表す。ビーム期間が長いほど、より長く存続するFRCを生成させることが極めて明白である。この証拠ならびにこの研究中の他の診断を見ると、ビームは安定性を高め、損失を低減することを実証している。ビームパルス長さとFRCの耐用期間との間の相互関係は、ビームトラッピングがある種のプラズマサイズ未満で効力がないので、すなわち、照射されたビームのすべての物理的サイズにおけるFRC450の収縮が、捕捉されるまたはトラッピングされるわけではないので、完全ではない。FRCの収縮は、主に、放電の間のFRCプラズマからの正味エネルギー損失(放電のほぼ中間で約4MW)が、特定の実験設定に関して、中性ビーム(約2.5MW)を介してFRCの中に給送される総パワーより幾分大きいという事実に起因する。ビームを容器100の中央平面により近接する場所に位置させることは、これらの損失を低減させ、FRC寿命時間を延長させる傾向となるであろう。
【0099】
図17は、HPFレジームを達成するための異なる構成要素の効果を示す。図17は、時間関数としてFRC450の耐用期間を示す典型的な曲線族を示す。すべての場合において、ビーム電力の一定の適度の量(約2.5MW)が、各放出の全期間照射される。各曲線は、構成要素の異なる組合せを表す。例えば、ミラープラグ440、プラズマガン350またはゲッタリング・システム800からのゲッタリングのいずれもなしにFRCシステム10を作動させると、回転の不安定性の急激な発生およびFRCトポロジーの損失をもたらす。ミラープラグ440のみを加えると、不安定性の発生を遅らせ、閉じ込めを増加させる。ミラープラグ440とプラズマガン350の組合せを利用すると、さらに不安定性を低減し、FRCの耐用期間を増加させる。最後にガン350およびプラグ440の上にゲッタリング(この場合Ti)を加えると、最良の結果を得る、すなわち、得られるFRCは、不安定性がなく、最長の耐用期間を示す。構成要素の完全な組合せが最良の効果を生み出し、最良の目標条件をもつビームを提供することが、この実験証明から明らかである。
【0100】
図1に示したように、最近発見されたHPFレジームは、劇的に改良された移動挙動を示す。図1は、従来のレジームとHPFレジームとの間のFRCシステム10における粒子閉じ込め時間の変化を示す。見てわかるように、これは、HPFレジームにおいて5倍をはるかに超えて改良されている。加えて、図1は、従来のFRC実験前の粒子閉じ込め時間に対して、FRCシステム10における粒子閉じ込め時間を詳しく示す。これらの他の機械に関して、FRCシステム10のHPFレジームは、5倍~ほぼ20倍に閉じ込めを改良してきた。最後に最も重要なことだが、HPFレジームにおけるFRCシステム10の閉じ込めスケーリングの本質は、すべての以前の測定とは劇的に異なる。FRCシステム10におけるHPFレジームの確立前に、様々な実証的スケーリング則が、以前のFRC実験における閉じ込め時間を予測するためにデータから導き出された。これらのすべてのスケーリング則は、割合R/ρに主に依存する。式中、Rは磁場のない半径(機械の物理的スケールの粗測)であり、ρは外部印加磁場において評価されたイオン・ラーモア半径(印加磁場の粗測)である。従来のFRCにおける長い閉じ込めは、大型機械のサイズおよび/または高磁場のみで可能であることが図1から明らかである。従来のFRCレジームCRにおいてFRCシステム10を作動することは、図1に示したように、これらのスケーリング則に従う傾向がある。しかし、HPFレジームは非常に優れており、はるかに良好な閉じ込めが、大型機械のサイズまたは高磁場なしに達成可能である。より重要なことには、HPFレジームは、CRレジームに比べて低減したプラズマサイズをもつ、改良された閉じ込め時間をもたらすことも図1から明らかである。また、同様の傾向は、以下に説明するように磁束およびエネルギー閉じ込め時間にも見られ、その上、磁束およびエネルギー閉じ込め時間は、FRCシステム10において3~8倍を超えて増加した。したがって、HPFレジームの進歩は、FRCシステム10におけるFRC平衡を持続し維持するために、わずかなビーム電力、より低い磁場およびより小さいサイズの使用、ならびに未来のより高エネルギーの機械の使用が可能になる。これらの改良に関連して、作動および構築費用を下げ、ならびに工学の複雑さを減らす。
【0101】
さらなる比較のために、図18は、FRCシステム10における代表的なHPFレジーム放出からのデータを時間関数として示す。図18(a)は、中央平面での排除磁束半径を示す。これらのより長い時間スケールに対して、誘導鋼鉄壁は、もはや磁束保存器のように良好ではなく、壁の内部にある磁気プローブは、鋼鉄を通る磁束拡散を適切に構成する壁の外側のプローブで増大される。図13に示したように、従来のレジームCRにおける通常の性能と比較して、HPFレジームの作動モードは、400%を超える長い耐用期間を示す。
【0102】
線集積密度追跡の代表的コードは、図18(c)におけるそのアーベル逆変換相補、密度等高線と共に、図18(b)に示されている。従来のFRCレジームCRと比較して、図13に示したように、プラズマは、非常に安定した作動を示し、パルス全体を通してより不活発である。またピーク濃度は、HPF照射においてわずかに低く、これは、図18(d)に示したように、より高い合計プラズマ温度(最高2倍まで)の結果である。
【0103】
図18に示されたそれぞれの放出に対して、エネルギー、粒子および磁束閉じ込め時間はそれぞれ、0.5ms、1msおよび1msである。放出への基準時間1msで、保存されたプラズマエネルギーは2kJであるが、損失は約4MWであり、この目標を中性ビーム持続に非常に適合させる。
【0104】
図19は、新しく確立された実験用HPF磁束閉じ込めスケーリングの形態における、HPF体系の全利点を要約する。図19から分かるように、t=0.5ms、すなわち、t0.5msおよびt>0.5msの前後で測定された測定値に基づいて、磁束閉じ込め(同様に、粒子閉じ込めおよびエネルギー閉じ込め)は、所与の区分線半径(r)に対して電子温度(T)のほぼ2乗に伴って変化する。Tの正の指数(負の指数ではない)に伴う本強スケーリングは、閉じ込めが、典型的には、電子温度のある指数に反比例する、従来のトカマクによって呈されるものと完全に反対である。本スケーリングの現れは、HPF状態および大軌道(すなわち、FRCトポロジのスケールおよび/または少なくとも特性磁場勾配長スケール上の軌道)イオン集団の直接的結果である。基本的には、本新しいスケーリングは、高動作温度に実質的に有利に働き、比較的に中程度のサイズの炉を可能にする。
【0105】
HPF体系が提示する利点によって、中性ビームによって駆動され、適切なペレット注入を使用する、FRC持続または定常状態が、達成可能であって、プラズマ熱エネルギー、総粒子数、プラズマ半径および長さ、ならびに磁束等の包括的プラズマパラメータが、実質的減衰を伴わずに、合理的レベルで持続可能であることを意味する。比較のために、図20は、プロットAには、時間の関数としてのFRCシステム10内の代表的HPF体系放電からのデータを、プロットBには、FRC450が、中性ビームパルスの持続時間を通して、減衰を伴わずに持続される、時間の関数としてのFRCシステム10内の投影された代表的HPF体系放電のデータを示す。プロットAに関しては、約2.5~2.9MWの範囲内の総パワーを伴う中性ビームが、約6msの活性ビームパルス長のために、FRC450の中に注入された。プロットAに描写される反磁性寿命時間は、約5.2msであった。より最近のデータは、約7.2msのプラズマ反磁性寿命時間が、約7msの活性ビームパルス長を用いて達成可能であることを示す。
【0106】
図16に関して前述のように、ビームパルス長とFRC寿命時間との間の相関は、ビーム捕捉が、あるプラズマサイズを下回ると非効率的となるため、完璧ではない、すなわち、FRC450の物理的サイズが収縮するにつれて、注入されるビーム全てが、奪取および捕捉されることはない。FRCの収縮または減衰は、主に、放電の間のFRCプラズマからの正味エネルギー損失(放電のほぼ中間で-4MW)が、特定の実験設定に関して、中性ビーム(約-2.5MW)を介してFRCの中に給送される総パワーより幾分大きいという事実に起因する。図3Cに関して記載のように、ビーム注入が中性ビームガン600から中央平面に向かって角度付けられることによって、注入周期の間、FRCプラズマが収縮または別様に軸方向に縮小しても、ビーム-プラズマ結合を改良する。加えて、適切なペレット燃料補給は、必要プラズマ密度を維持するであろう。
【0107】
プロットBは、約6msの活性ビームパルス長および約10MWを若干上回る中性ビームガン600からの総ビームパワーを使用して行われたシミュレーションの結果であって、中性ビームは、約15keVの粒子エネルギーを伴うH(または、D)中性粒子を注入するものとする。ビームのそれぞれによって注入される等価電流は、約110Aである。プロットBに関して、デバイス軸に対するビーム注入角度は、約20°、標的半径0.19mであった。注入角度は、範囲15°~25°内で変更されることができる。ビームは、方位角的に並流方向に注入されるものとする。中性ビーム運動量注入からの正味側方力ならびに正味軸方向力は、最小限にされるものとする。プロットAと同様に、高速(H)中性粒子が、北側および南側形成FRCが閉じ込めチャンバ100内で融合する瞬間から、中性ビーム注入器600から1つのFRC450の中に注入される。
【0108】
プロットBのための基礎となったシミュレーションは、背景プラズマおよび平衡のための多次元ホールMHDソルバ、エネルギー性ビーム成分および全散乱プロセスのための完全動態学的モンテカルロベースのソルバ、ならびに全プラズマ種に対して結合された輸送方程式集合を使用して、双方向損失プロセスをモデル化する。輸送成分は、実験的に較正され、実験データベースに対して広範囲にわたってベンチマークされる。
【0109】
プロットBによって示されるように、FRC450の定常状態反磁性寿命時間は、ビームパルスの長さとなるであろう。しかしながら、重要となる相関プロットBは、ビームがオフにされると、プラズマまたはFRCが、その前ではなく、その時間において、減衰し始めることを示すことに留意することが重要である。減衰は、ビーム支援ではない(おそらく、ビームオフ時間を約1ms超える)、放電中に観察され、単に、固有の損失プロセスによって駆動されるプラズマの特性減衰時間の反映であるものと類似するであろう。
【0110】
(プラズマ安定性および軸方向位置制御)
ここで、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法に目を向けると、図24は、簡略化されたスキームを示し、軸方向位置制御機構510の例示的実施形態を図示する。閉じ込めチャンバ100内に示される回転FRCプラズマ520は、プラズマ電流522と、軸方向変位方向524とを有する。平衡場(図示せず)が、例えば、擬似直流コイル412(図2および3参照)等の対称電流成分によってチャンバ100内に生産される。平衡場は、軸変位方向524に正味力を生産しないが、横方向/半径方向または軸方向のいずれかに安定プラズマを生産するように調整されることができる。本明細書に提示される実施形態の目的のために、平衡場は、横方向/半径方向安定FRCプラズマ520を生産するように調整される。前述のように、これは、軸方向不安定性をもたらし、したがって、軸変位方向524におけるFRCプラズマ520の軸変位をもたらす。FRCプラズマ520が、軸方向に移動するにつれて、反対称である、すなわち、閉じ込めチャンバ100の中央平面の両側の閉じ込めチャンバ100の壁において逆方向にある、電流514および516を誘発する。FRCプラズマ520は、これらのタイプの電流成分を容器内と、また、外部コイル内との両方に誘発する。本反対称電流成分514および516は、半径方向場を生産し、これは、トロイダルプラズマ電流522と相互作用し、FRCプラズマ520の移動に対向する力を生産し、本力の結果は、プラズマ軸変位を減速させることである。これらの電流514および516は、閉じ込めチャンバ100の抵抗率に起因して、時間に伴って、徐々に消散する。
【0111】
中央平面の両側に閉じ込めチャンバ100の周りに配置される、半径方向場コイル530および531は、コイル530および531内で逆方向に誘発される電流532ならびに534に起因して、付加的半径方向場成分を提供する。半径方向場コイル530および531は、含有容器100の内部または外部に位置付けられ得る、軸対称コイルのセットを備えてもよい。半径方向コイル530および531は、擬似直流コイル412(図2および3参照)と同様に、含有容器100の外部に位置付けられるように示される。コイル530および531のそれぞれまたはコイルのセットは、中央平面の対向側のコイルと異なる電流を搬送し得るが、電流は、含有容器100の中央平面に対して反対称であり、中央平面に沿ってB≠0、B=0を伴う磁場構造を生産する。半径方向場コイル530および531は、トロイダルプラズマ電流522と相互作用し、軸方向力を生産する、補完的半径方向場成分を生成する。軸方向力は、順に、プラズマを閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって後退させる。
【0112】
制御機構510は、機械中央平面の周囲のオーバーシュートおよび/または発振を最小限にしながら、プラズマ位置を中央平面に向かって即座に復元させるために、半径方向場コイル電流に作用するように構成される、制御システムを含む。制御システムは、半径方向場コイル530および531、擬似直流コイル412、それらのそれぞれの電力供給源、および例えば、磁気センサ等の他の構成要素に動作可能に結合されるプロセッサを含み、プラズマ位置、プラズマ速度、およびアクティブコイル電流測定値を提供する。プロセッサは、本願に説明される算出および分析を行うように構成されてもよく、非一過性コンピュータ可読媒体を含む、1つまたは複数のメモリを含む、または、1つまたは複数のメモリに通信可能に結合されてもよい。これは、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に説明される機能を実行可能な任意の他の回路またはプロセッサを使用するシステムを含む、プロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースのシステムを含んでもよい。前述の実施例は、例示にすぎず、したがって、用語「プロセッサ」または「コンピュータ」の定義および/もしくは意味をいかようにも限定することを意図するものではない。
【0113】
プロセッサの機能は、ソフトウェアルーチン、ハードウェア構成要素、またはそれらの組み合わせのいずれかを使用して実装されてもよい。ハードウェア構成要素は、例えば、集積回路または離散電子構成要素を含む、種々の技術を使用して実装されてもよい。プロセッサユニットは、典型的には、可読/書込可能メモリ記憶デバイスを含み、典型的には、メモリ記憶デバイスに書き込みかつ/またはメモリ記憶デバイスを読み取るためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。
【0114】
プロセッサは、コンピューティングデバイス、入力デバイス、ディスプレイユニット、および、例えば、インターネットにアクセスするためのインターフェースを含んでもよい。コンピュータまたはプロセッサは、マイクロプロセッサを含んでもよい。マイクロプロセッサは、通信バスに接続されてもよい。コンピュータまたはプロセッサはまた、メモリを含んでもよい。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読取専用メモリ(ROM)を含んでもよい。コンピュータまたはプロセッサはまた、ハードディスクドライブ、または、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブ、および同等物等のリムーバブル記憶ドライブであり得る、記憶デバイスを含んでもよい。記憶デバイスはまた、コンピュータプログラムまたは他の命令をコンピュータもしくはプロセッサの中にロードするための他の類似手段であってもよい。
【0115】
プロセッサは、入力データを処理するために、1つまたは複数の記憶要素内に記憶される、命令のセットを実行する。記憶要素はまた、所望または必要とされるデータもしくは他の情報を記憶してもよい。記憶要素は、処理機械内の情報源または物理的メモリ要素の形態であってもよい。
【0116】
半径方向場コイルアクチュエータを使用して、軸方向に安定または不安定FRC構成の位置を制御する問題は、スライディングモード制御として知られる非線形制御理論の分岐を使用して解決される。システム状態(スライディング表面)の線形関数は、所望の漸近的安定(スライディング)挙動を伴うエラー信号として作用する。スライディング表面は、広範囲のFRC動的パラメータ内で漸近的安定性を呈するためのリアプノフ理論を使用して設計される。提案される制御スキームは、次いで、スライディング表面において使用されるパラメータを再調整する必要なく、軸方向に安定および不安定の両方のプラズマのために使用されることができる。本性質は、前述のように、平衡が、FRC放電の異なる位相において軸方向に安定な平衡と軸方向に不安定な平衡との間で遷移する必要があり得るため、有利である。
【0117】
制御スキーム500の構成は、図25に示される。低域通過フィルタは、所望の制御帯域幅内の切替周波数を制限する。1サンプル遅延を伴うサンプリングおよび信号伝送を要求する、デジタル制御ループが、仮定される。エラー信号(スライディング表面)は、コイル電流、プラズマ位置、およびプラズマ速度の線形組み合わせである。プラズマ位置およびプラズマの速度は、外部磁気測定から得られ得る。アクティブコイルシステム内の電流は、標準的方法によって測定されることができる。
【0118】
コイル電流およびプラズマ位置が、位置制御を実装するために要求される。プラズマ速度が、性能を改良するために要求されるが、随意である。本エラー信号の非線形関数(リレー制御法則)は、中央平面対称コイルに接続される電力供給源の対毎の離散電圧レベルを生成する。中央平面対称コイルは、同一強度であるが、反対の符号のリレー電圧を供給される。これは、半径方向場成分を生成し、プラズマ位置を中央平面に向かって復元させる。
【0119】
制御スキームの実行可能性を実証するために、精密なプラズマモデルが、プラズマ動態をシミュレートするために使用される。モデルは、磁石幾何学形状を利用する。プラズマ電流分布は、プラズマおよび容器のみが検討されるとき、2msの成長時間を伴う軸方向に不安定な平衡に対応する。電力供給源は、離散電圧レベル、典型的には、800Vステップを用いて作用すると仮定される。
【0120】
図26は、20cmだけ軸方向に変位されたプラズマを中央平面に戻すために要求されるコイルピーク電流およびランプ率とともに、コイルに印加される電圧とプラズマ位置整定時間との間の関係を強調する、いくつかのプラズマ制御シミュレーションを示す。これらのスライディングモード軸方向位置制御シミュレーション実施例は、4つの対の外部トリムコイルを使用して、0.3Tで実行された。4つの例は、200V(黒正方形)、400V(黒円形)、800V(黒三角形)、および1600V(白正方形)刻みの離散電圧レベルを伴う電力供給源と対応するように示される。全ての4つの例に関して、制御帯域幅は、16kHzであり、サンプリング周波数は、32kHzである。プラズマ位置(上)、最外コイル対内の電流(中央)、およびコイル電流ランプ率(下)が、示される。プラズマ変位は、20cmに到達するまで、不安定のままである。本時点で、フィードバック制御が、印加される。
【0121】
シミュレーション結果は、以下を示す。
1. 5ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒正方形トレース)、0.5MA/sのコイルランプアップ率が十分であり、200V電力供給源を要求する。
2. 2.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒円形トレース)、1MA/sのコイルランプアップ率が十分であり、400V電力供給源を要求する。
3. 1.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒三角形トレース)、2MA/sのコイルランプアップ率が十分であり、800V電力供給源を要求する。
4. 1.0ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(白正方形トレース)、4MA/sのコイルランプアップ率が十分であり、1600V電力供給源を要求する。
【0122】
上方に位置する第3の例(2MA/sランプ率例)に関する全てのトリムコイルのためのピーク電流はまた、トリムコイル位置の関数として図27に示される。スライディングモード軸方向位置制御シミュレーション実施例は、3つのレベル(+800V、0、-800V)を伴う電力供給源、制御帯域幅16kHz、およびサンプリングレート32kHzを使用して、4つの対の外部トリムコイルを使用して0.3Tで実行される。1.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために、2MA/sのコイルランプアップ率が、要求される。全てのコイル対において要求されるピーク電流は、1.5kA未満である。要求される実際の切替周波数(約2kHz)は、制御システム帯域幅を優に下回る。
【0123】
制御システムはまた、プラズマ位置を伴わない、コイル電流およびプラズマ速度のみの関数である、標的表面を実装されることができる。この場合、軸方向位置制御ループは、制御ではなく、軸方向動態の安定化のみを提供する。これは、プラズマが、準安定状況にあり、その軸に沿ってゆっくりとドリフトし得ることを意味する。位置制御が、次いで、プラズマ区分線と容器との間のプラズマ間隙を制御する、付加的フィードバックループを使用して提供され、故に、これは、プラズマ形状および位置制御を同時に行う。
【0124】
類似制御システムが使用される、別のプラズマ閉じ込めデバイスは、トカマク型である。プラズマ閉じ込めを維持するために、トカマク型におけるプラズマ電流は、それぞれ、プラズマ密度およびトロイダル場にほぼ比例する、下限と上限との間に保たれなければならない。高プラズマ密度で動作するために、プラズマ電流は、増加されなければならない。同時に、ポロイダル場は、可能な限り低く保たれなければならず、したがって、q安全率は、q=2を上回る。これは機械軸方向に沿ってプラズマを伸長させることによって達成され、境界磁場をその安全限界を上回って増加させずに、大プラズマ電流に適合することを可能にする(故に、高プラズマ密度を可能にする)。これらの伸長プラズマは、機械軸方向(トカマク型用語では、垂直方向として知られる)に沿って不安定であり、また、プラズマ安定化機構を要求する。トカマク型における垂直プラズマ位置制御もまた、半径方向場コイルのセットを使用して復元され、したがって、RFC位置制御問題に非常に類似する。しかしながら、トカマク型において安定化を要求する理由およびFRCにおいて安定化を要求する理由は、異なる。トカマク型では、プラズマ垂直不安定性は、大プラズマ電流で動作するために課される犠牲であり、高トロイダル場を伴って動作するためにプラズマ伸長を要求する。FRCの場合、プラズマ不安定性は、横方向安定性を得るために課される犠牲である。トカマク型は、構成を安定化させる、トロイダル場を有し、したがって、それらは、横方向安定化を必要としない。
【0125】
本明細書に提供される例示的実施形態は、米国仮特許出願第62/255,258号および米国仮特許出願第62/309,344号に説明されており、それらの出願は、参照することによって組み込まれる。
【0126】
しかしながら、本明細書に提供される例示的実施形態は、単に、例証的実施例として意図され、いかようにも限定されない。
【0127】
本明細書に提供される任意の実施形態に関して説明される全ての特徴、要素、構成要素、機能、およびステップは、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能かつ代用可能であることを意図している。ある特徴、要素、構成要素、機能、またはステップが、一実施形態のみに関して説明される場合、特徴、要素、構成要素、機能、またはステップは、別様に明示的に記述されない限り、本明細書に説明される全ての他の実施形態とともに使用され得ることを理解されたい。本段落は、したがって、常に、異なる実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを組み合わせる、または、一実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを別のもので代用する、請求項の導入の先行する基礎ならびに書面による支援としての役割を果たし、仮に以下の説明が、特定の事例において、そのような組み合わせまたは代用が可能であることを明示的に記述しなくても、そのような役割を果たす。特に、本説明を読んだ当業者が、ありとあらゆるそのような組み合わせおよび代用の許容性が容易に認識されるであろうことを考えれば、可能性な全ての組み合わせおよび代用を明示的に記載することは、過度の負担である。
【0128】
多くの事例では、エンティティは、他のエンティティに結合されるように本明細書に説明される。用語「結合される」および「接続される」(またはその形態のいずれか)は、本明細書では同義的に使用され、両場合では、2つのエンティティの直接結合(任意の無視不可能である(例えば、寄生)介在エンティティを伴わずに)および2つのエンティティの間接結合(1つまたは複数の無視不可能である介在エンティティを伴う)に包括的であることを理解されたい。エンティティが、ともに直接結合されるように示される、または任意の介在エンティティの説明を伴わずに、とともに結合されるように説明される場合、それらのエンティティは、文脈によって明確に別様に示されない限り、同様に、ともに間接的に結合されることができることを理解されたい。
【0129】
実施形態は、種々の修正および代替形態を被るが、その具体的実施例が、図面に示され、本明細書に詳細に説明されている。しかしながら、これらの実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではなく、対照的に、これらの実施形態は、本開示の精神内にある全ての修正、均等物、および代替案を網羅するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素、ならびにその範囲内にない特徴、機能、ステップ、または要素によって請求項の範囲を定義する消極的限定が、請求項に記載もしくは追加されてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27