(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】容器検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20220118BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G01N21/90 A
G01N21/89 T
(21)【出願番号】P 2020181129
(22)【出願日】2020-10-29
(62)【分割の表示】P 2018096796の分割
【原出願日】2018-05-21
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518178084
【氏名又は名称】亀田 博次
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】亀田 博次
【審査官】大河原 綾乃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-014040(JP,A)
【文献】特開2000-180383(JP,A)
【文献】特開2001-106337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308964(US,A1)
【文献】特開2000-214104(JP,A)
【文献】特開2017-134046(JP,A)
【文献】特開平11-037952(JP,A)
【文献】特開2001-153628(JP,A)
【文献】特開平5-196431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84 - G01N21/958
B65G47/00 - B65G47/96
B07C 5/00 - B07C 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査すべき容器を送給する容器送給域、前記容器送給域から送給された前記容器を検査する容器検査域及び前記容器を下流側に排出する容器排出域を通して前記容器を搬送するための容器搬送手段と、前記容器送給域に対応して配設され、前記容器を所定のタイミングで送給開始するための容器送給開始手段と、前記容器検査域に対応して配設され、前記容器に作用して前記容器を押上げ位置に位置付けるための容器位置決め手段と、前記押上げ位置に位置する前記容器を上方に押し上げるための容器押上げ手段と、を具備しており、
前記容器搬送手段は、前記容器を前記容器送給域、前記容器検査域及び前記容器排出域を通して搬送する搬送ベルトを備えており、
前記容器位置決め手段は、前記容器を位置決めするための位置決め部材を有し、前記位置決め部材は、
前記搬送ベルトの上走行部に載置された状態で搬送される前記容器に作用して
前記押上げ位置に位置付ける作用位置と、前記押上げ位置に位置する前記容器から後退する非作用位置との間を移動自在であり、
前記容器押上げ手段は、前記容器を上方に押し上げるための押上げ部材と、前記押上げ部材を上下方向に駆動するための押上げ駆動手段とを備え、前記押上げ部材は、前記押上げ駆動手段によって、基準位置から容器底位置を通して検査位置まで移動され、前記押上げ部材の押上面は、前記基準位置にあるときには前記押上げ位置に位置する前記容器の下方に位置し、前記容器底位置にあるときには前記押上げ位置に位置する前記容器の底面に近接乃至接触し、前記検査位置にあるときには前記押上げ位置に位置する前記容器を上方に押し上げるように構成されており、
前記押上げ部材の前記押上面は、前記基準位置から前記容器底位置まで移動する間は第1上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記容器底位置から前記検査位置まで移動する間は第2上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記第2上昇速度制御における第2立上り速度は、前記第1上昇速度制御における第1立上り速度よりも大きく、前記押上げ位置に位置する前記容器は、前記第1上昇速度制御における上昇速度よりも速い速度でもって前記押上げ位置から上方に押し上げられるように構成されており、
更に、前記容器位置決め手段の前記位置決め部材は、前記押上部材が前記検査位置に移動するまで前記作用位置に保持され、前記容器は、前記位置決め部材により前記押上げ部材に載置支持された状態で前記検査位置まで上昇されることを特徴とする容器検査装置。
【請求項2】
前記容器押上げ手段の前記押上げ部材の前記押上面は、前記基準位置から前記容器底位置まで移動する間は第1上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記容器底位置から前記検査位置まで移動する間は第2上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記第1上昇速度制御から前記第2上昇速度制御に切り替わる際にその移動速度がゼロになった後に前記第2上昇速度制御に切り替えられることを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項3】
前記容器押上げ手段の前記押上げ駆動手段は、正逆方向に回転駆動される駆動モータと前記駆動モータの回動を前記押上げ部材の上下移動に変換する回動/直線変換機構とを含む駆動アクチュエータから構成され、前記駆動モータの回転速度を制御することによって、前記押上げ部材の上下方向の移動速度が制御されることを特徴とする請求項
1又は2に記載の容器検査装置。
【請求項4】
前記容器押上げ手段の上方に、前記容器の上部を保持するための容器保持手段が
設けられ、前記押上げ部材が前記容器底位置から前記検査位置まで移動すると、前記押上げ部材により押し上げられた前記容器の上部は前記容器保持手段により
保持されることを特徴とする
請求項1~3のいずれかに記載の容器検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の外観などを検査するための容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、球状シリコンなどの物品の外観を検査する検査装置として、周方向に間隔をおいて配設された複数の搬送孔を有する回転板と、この回転板を所定方向に回動させるための駆動手段と、球状の物品を回転板の各搬送孔に供給するための物品供給手段と、回転板の搬送孔に位置決めされた物品の表面を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された画像を解析して物品の良否を判別する良否判別手段とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この検査装置においては、回転板が駆動手段により所定方向に回転駆動され、この回転板が1回転する間に、各搬送孔は供給域、撮像域、不良品回収域及び良品回収域を通して移動される。供給域においては、物品供給手段により検査すべき物品が各搬送孔に供給され、搬送孔に受け入れられた物品は、回転板の回動によって撮像域に向けて下流側に搬送される。撮像域においては、撮像手段により物品の撮像が行われ、この撮像された画像に基づいて良否判別手段が物品の外観の良否を判別する。
【0004】
そして、良否判別手段により不良(不合格)と判別された物品は、不良品回収域にて搬送孔から排出され、不良品として例えば不良品回収容器などに回収される。また、良否判別手段により良(合格)と判別された物品は、不良品回収域を通って良品回収域まで搬送され、この良品排出域にて搬送孔から排出されて良品として例えば良品回収容器などに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の検査装置では、周方向に複数の搬送孔を有する回転板が設けられ、この回転板の周囲に供給域、撮像域、不良品回収域及び良品回収域が配設される構成であり、それ故に、回転板が大きくなり、このことに関連して検査装置全体が大型化するとともに、その構造が複雑になる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、比較的簡単な構成でもって容器の良否を正確に判定することができる容器検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の容器検査装置は、検査すべき容器を送給する容器送給域、前記容器送給域から送給された前記容器を検査する容器検査域及び前記容器を下流側に排出する容器排出域を通して前記容器を搬送するための容器搬送手段と、前記容器送給域に対応して配設され、前記容器を所定のタイミングで送給開始するための容器送給開始手段と、前記容器検査域に対応して配設され、前記容器に作用して前記容器を押上げ位置に位置付けるための容器位置決め手段と、前記押上げ位置に位置する前記容器を上方に押し上げるための容器押上げ手段と、を具備しており、
前記容器搬送手段は、前記容器を前記容器送給域、前記容器検査域及び前記容器排出域を通して搬送する搬送ベルトを備えており、
前記容器位置決め手段は、前記容器を位置決めするための位置決め部材を有し、前記位置決め部材は、前記搬送ベルトの上走行部に載置された状態で搬送される前記容器に作用して前記押上げ位置に位置付ける作用位置と、前記押上げ位置に位置する前記容器から後退する非作用位置との間を移動自在であり、
前記容器押上げ手段は、前記容器を上方に押し上げるための押上げ部材と、前記押上げ部材を上下方向に駆動するための押上げ駆動手段とを備え、前記押上げ部材は、前記押上げ駆動手段によって、基準位置から容器底位置を通して検査位置まで移動され、前記押上げ部材の押上面は、前記基準位置にあるときには前記押上げ位置に位置する前記容器の下方に位置し、前記容器底位置にあるときには前記押上げ位置に位置する前記容器の底面に近接乃至接触し、前記検査位置にあるときには前記押上げ位置に位置する前記容器を上方に押し上げるように構成されており、
前記押上げ部材の前記押上面は、前記基準位置から前記容器底位置まで移動する間は第1上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記容器底位置から前記検査位置まで移動する間は第2上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記第2上昇速度制御における第2立上り速度は、前記第1上昇速度制御における第1立上り速度よりも大きく、前記押上げ位置に位置する前記容器は、前記第1上昇速度制御における上昇速度よりも速い速度でもって前記押上げ位置から上方に押し上げられるように構成されており、
更に、前記容器位置決め手段の前記位置決め部材は、前記押上部材が前記検査位置に移動するまで前記作用位置に保持され、前記容器は、前記位置決め部材により前記押上げ部材に載置支持された状態で前記検査位置まで上昇されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の容器検査装置では、前記容器押上げ手段の前記押上げ部材の前記押上面は、前記基準位置から前記容器底位置まで移動する間は第1上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記容器底位置から前記検査位置まで移動する間は第2上昇速度制御でもって制御されて上方に移動され、前記第1上昇速度制御から前記第2上昇速度制御に切り替わる際にその移動速度がゼロになった後に前記第2上昇速度制御に切り替えられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の容器検査装置では、前記容器押上げ手段の前記押上げ駆動手段は、正逆方向に回転駆動される駆動モータと前記駆動モータの回動を前記押上げ部材の上下移動に変換する回動/直線変換機構とを含む駆動アクチュエータから構成され、前記駆動モータの回転速度を制御することによって、前記押上げ部材の上下方向の移動速度が制御されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の容器検査装置では、前記容器押上げ手段の上方に、前記容器の上部を保持するための容器保持手段が設けられ、前記押上げ部材が前記容器底位置から前記検査位置まで移動すると、前記押上げ部材により押し上げられた前記容器の上部は前記容器保持手段により保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の容器検査装置によれば、検査すべき容器は、搬送ベルトの上走行部に載置された状態で容器送給域、容器検査域及び容器排出域を通して搬送され、容器送給域に対応して容器送給開始手段が配設され、容器検査域に対応して容器位置決め手段が配設され、容器検査域の押上げ位置に対応して容器押上げ手段が配設され、この容器押上げ手段は、容器を上方に押し上げるための押上げ部材と、押上げ部材を上下方向に駆動するための押上げ駆動手段とを備えている。そして、押上げ部材の押上面は、基準位置から容器底位置まで移動する間は第1上昇速度制御でもって制御され、容器底位置から検査位置まで移動する間は第2上昇速度制御でもって制御され、第2上昇速度制御における第2立上り速度は、第1上昇速度制御における第1立上り速度より大きいので、押上げ位置に位置する容器を速い上昇速度でもって短時間で押上げ位置から上方に押し上げることができる。
【0013】
また、容器位置決め手段の位置決め部材は、容器が押上げ位置に位置する状態において押上げ部材が検査位置まで移動する間にわたって作用位置に保持されるので、容器を押上げ位置に位置する状態を保ちながら検査位置まで移動させることができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の容器検査装置によれば、押上げ部材の押上面の移動制御が、第1上昇速度制御から第2上昇速度制御に切り替わる際にその移動速度がゼロになった後に切り替わるので、押上げ部材の押上面が容器に作用する当初はゆっくりした移動速度でもって作用し、これによって、押上げ部材が容器の底部に接触乃至当接する際の衝撃を非常に小さくする(換言すると、ほとんどない状態にする)ことができるとともに、押上げ位置に位置する容器をそのままの状態で上方に押し上げることができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の容器検査装置によれば、容器押上げ手段の押上げ駆動手段は、正逆方向に回転駆動される駆動モータと駆動モータの回動を押上げ部材の上下移動に変換する回動/直線変換機構とを含む駆動アクチュエータから構成されているので、駆動モータの回転速度を制御することによって、押上げ部材の上下方向の移動速度を所要の通りに制御することができる。
【0016】
更に、本発明の請求項4に記載の容器検査装置によれば、押上げ部材が容器底位置から検査位置まで移動すると、この容器の上部が容器保持手段により保持され、これにより、この容器を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に従う容器検査装置の構成を簡略的に示す正面図。
【
図3】
図1の容器検査装置による容器の良否検査の流れを示すフローチャート。
【
図4】容器が容器送給域に搬送された状態を示す平面図。
【
図5】容器が容器検査域まで搬送された状態を示す平面図。
【
図6】容器が容器検査域まで搬送された状態を示す正面図。
【
図7】容器押上げ手段の押上げ部材が容器底位置まで上昇した状態を示す正面図。
【
図8】容器押上げ手段の押上げ部材が検査位置まで上昇した状態を示す正面図。
【
図9】押上げ部材の押上面が基準位置から容器底位置まで移動する間の第1上昇速度制御を説明するための図であって、
図9(a)は、時間と速度との関係を示す図、
図9(b)は、時間と位置との関係を示す図。
【
図10】押上げ部材の押上面が容器底位置から検査位置まで移動する間の第2上昇速度制御を説明するための図であって、
図10(a)は、時間と速度との関係を示す図、
図10(b)は、時間と位置との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う容器検査装置の一実施形態について説明する。
図1及び
図2において、図示の容器検査装置は、検査すべき容器Yを搬送するための容器搬送手段2を備え、図示の容器搬送手段2は、前後方向(
図1において紙面に垂直な方向、
図2において上下方向)に間隔をおいて配設された一対の無端状の搬送ベルト4,6を備え、これら搬送ベルト4,6の上走行部8,10が所定方向(
図1及び
図2において左右方向)に水平に延びている。
【0019】
この容器搬送手段2は、略逆台形状に配置された第1~第4軸部材12,14,16,18を有し、これら第1~第4軸部材12~18が装置本体(図示せず)に回転自在に支持されている。第1軸部材12(第2~第4軸部材14~18)には、軸方向に間隔をおいて一対の第1ローラ20(第2~第4ローラ22~26)が装着され、第1~第4軸部材12~18に取り付けられた片側の第1~第4ローラ20~26に一方の搬送ベルト4が巻き掛けられ、これら第1~第4軸部材12~18に取り付けられた他側の第1~第4ローラ20~26に他方の搬送ベルト6が巻き掛けられている(
図2参照)。
【0020】
容器搬送手段2は、更に、一対の搬送ベルト4,6を搬送移動させるための主駆動モータ28(主駆動手段を構成する)を含み、この主駆動モータ28が、例えば第2軸部材14に駆動連結されている。このように構成されているので、主駆動モータ28により第2軸部材12(第2ローラ22)が矢印30で示す方向に回動されると、一対の搬送ベルト4,6を介して第1、第3及び第4軸部材12,16,18(第1、第3及び第4ローラ20,24,26)が
図1に矢印で示す方向に回動され、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10は矢印32で示す方向に移動される。
【0021】
この容器搬送手段2の一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10に関連して、矢印32で示す搬送方向に見て上流側から下流側に、容器送給域34、容器検査域36、不良容器排出域38及び容器排出域40がこの順に配設されている。容器送給域34に対応して、検査すべき容器Yを送給開始するための容器送給開始手段42が配設されている。図示の容器送給開始手段42は、容器Yの搬送を一時的に停止させるストッパ部材44と、このストッパ部材44を移動させて容器Yの送給を開始するための電磁ソレノイド46(ストッパ部材用駆動手段として機能する)とを備え、電磁ソレノイド46の出力部にストッパ部材44が装着されている。
【0022】
このように構成されているので、ストッパ部材44は、電磁ソレノイド46が付勢されないときには
図2に一点鎖線で示す突出位置に位置し、一対の搬送ベルト4,6により搬送される容器Yに作用してその移動を一時的に停止し、また電磁ソレノイド46が付勢されると
図2に実線で示す後退位置に位置し、一対の搬送ベルト4,6上の容器Yから後退し、容器Yの下流側への送給を許容する。尚、ストッパ部材用駆動手段として、電磁ソレノイド46に代えて、例えばシリンダ機構(例えば、空圧シリンダ機構)などを用いるようにしてもよい。
【0023】
また、容器検査域36に対応して、容器Yを上方に押し上げるための容器押上げ手段48及び容器Yの外観を検査するための外観検査手段50が配設されている。図示の容器押上げ手段48は、容器Yを上方に押し上げる押上げ部材52と、この押上げ部材52を上下移動させるための駆動アクチュエータ54とを備え、駆動アクチュエータ54の出力側に押上げ部材52が取り付けられている。駆動アクチュエータ54は、それ自体周知のものであり、図示しないが、正逆方向に回転駆動される駆動モータ64及び駆動モータ64の回動を直線移動(この場合、押上げ部材52の上下移動)に変換するための回転/直線変換機構65を含んでいる。従って、駆動モータ64が例えば正転駆動されると、回転/直線変換機構65を介して押上げ部材52が上方に移動され、またこの駆動モータ64が例えば逆転駆動されると、回転/直線変換機構65を介して押上げ部材52が下方に移動される。
【0024】
この実施形態では、
図1に示すように、駆動アクチュエータ54は、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10の下方に位置し、押上げ部材52は、後述するように、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10間の空間を通してそれらの上方に上昇するように構成され、容器Yを検査するときには、検査すべき容器Yは、後述するように、容器押上げ手段48により一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10の上方に押し上げられる。
【0025】
容器押上げ手段48に対応して、その上方に、容器保持手段56が配設されている。装置本体(図示せず)には取付プレート58が取り付けられ、この取付プレート58に取付支持部材60が取り付けられ、この取付支持部材60に容器保持手段56の容器保持部材62が取り付けられている。この容器保持部材62の先端部は略円錐テーパ状に形成され、容器押上げ手段48により後述するように容器Yが検査位置まで押し上げられると、容器保持部材62の先端部が容器Yの口部内に挿入され、このような挿入状態でもって、容器Yの上部(口部)を保持する。
【0026】
この実施形態では、押上げ部材52は、回転駆動手段67(例えば、電動モータの出力部)に取り付けられ、この回転駆動手段67により押上げ部材52が回転される。従って、回転駆動手段67が回転されると、押上げ部材52が回動され、これにより、押し上げられた容器Yも容器保持部材62に保持された状態で回動される。上述した構成に代えて、回転駆動手段67により容器押上げ手段48(駆動アクチュエータ54及び押上げ部材52)を回転させるようにしてもよい。
【0027】
また、図示の外観検査手段50は、上下方向に間隔をおいて配設された第1~第3撮像ユニット66,68,70を備え、第1撮像ユニット66は、検査位置に押し上げられた容器Yの口部から肩部を撮像し、第2撮像ユニット68は、この容器Yの円筒状本体部の上部を撮像し、また第3撮像ユニット70は、この容器Yの円筒状本体部の下部を撮像する。外観検査手段50は、図示していないが、更に、マイクロコンピュータなどから構成される良否検査処理手段を備え、この良否検査処理手段は、第1~第3撮像ユニット66~70からの撮像信号を所要の通りに画像処理するための画像処理手段と、画像処理手段により画像処理された画像情報に基づいて容器Yの良否を判定するための良否判定手段とを含んでいる。
【0028】
このように構成されているので、容器Yの例えば肩部(又は円筒状本体部の上部、円筒状本体部の下部)に傷などの欠陥が存在する場合、良否判定手段は、第1撮像ユニット66(又は第2撮像ユニット68、第3撮像ユニット70)からの撮像信号を画像処理した撮像情報に基づいて不良(所謂、不良品)と判定し、不良判定信号を生成する。尚、傷などの欠陥が存在しない場合、良否判定手段は、良(所謂、良品)と判定し、良判定信号を生成する。
【0029】
この実施形態では、第1~第3撮像ユニット66,68,70により容器Y全体の外観をチェックしているが、1つ又は2つ、或いは4つ以上の撮像ユニットでもって容器Yの外観をチェックするようにしてもよい。また、容器Yの全体をチェックするのではなく、容器Yの特定部位のみをチェックするようにしてもよい。
【0030】
この実施形態では、容器検査域36に対応して、更に、容器位置決め手段72が配設されている。図示の容器位置決め手段72は、容器Yを位置決めするための位置決め部材74と、この位置決め部材74を移動させるための位置決めシリンダ機構76(例えば、空圧シリンダ機構を用いることができる)(位置決め部材用駆動手段として機能する)とを備え、位置決めシリンダ機構76の出力部に位置決め部材74が取り付けられている。
【0031】
このように構成されているので、位置決めシリンダ機構76が伸張すると、位置決め部材74は
図2に実線で示す作用位置に保持され、一対の搬送ベルト4,6により搬送される容器Yに作用し、この容器Yを押上げ位置に位置決めする。また、この位置決めシリンダ機構76が収縮すると、位置決め部材74は
図2に一点鎖線で示す非作用位置に位置し、押上げ位置に位置する容器Yから後退して位置決めを解除する。尚、位置決め部材用駆動手段として、シリンダ機構76に代えて、例えば電磁ソレノイドなどを用いるようにしてもよい。
【0032】
不良容器排出域38には、不良排出ホッパ78及び不良排出機構80が配設されている。図示の不良排出機構80は、不良の容器Yに作用して不良排出ホッパ78に排出する押出し排出部材82と、この押出し排出部材82を移動させるための排出シリンダ機構84(例えば、空圧シリンダ機構を用いることができる)(排出部材用駆動手段として機能する)とを備え、この排出シリンダ機構84の出力部に押出し排出部材82が取り付けられている。
【0033】
このように構成されているので、排出シリンダ機構84が伸張すると、押出し排出部材82は
図2に一点鎖線で示す排出位置に位置付けられ、一対の搬送ベルト4,6により搬送されている容器Y(不良の容器)に作用し、この容器Yを不良排出ホッパ78に向けて押し出して排出する。また、この排出シリンダ機構84が収縮すると、押出し排出部材82は
図2に実線で示す後退位置に位置し、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10により搬送されている容器Yに作用することはない。
【0034】
尚、この実施形態では、不良容器排出域38が容器検査域36と容器排出域40との間に配設されているが、この不良容器排出域38を容器排出域40よりも更に下流側に配設するようにしてもよい。
【0035】
この容器検査装置による容器Yの良否検査は、例えば、次のようにして行われる。
図1及び
図2とともに
図3~
図8を参照して、容器Yの検査を行う場合、容器搬送手段2が作動され、主駆動モータ28により一対の搬送ベルト4,6が回動され、例えば上流側の容器製造装置(図示せず)により製造された容器Yは、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10に載置された状態で矢印32で示す方向に移動される。
【0036】
このような容器Yの搬送状態において、
図4に示すように、容器送給開始手段42のストッパ部材44が突出位置(
図2に一点鎖線で示す位置)に保持される(ステップS1)。このような状態では、ストッパ部材44が一対の搬送ベルト4,6により搬送される容器Yに作用し、この容器Yの下流側への送給が停止され、搬送されてきた容器Yは、この容器送給域34に一時的に溜められる。
【0037】
そして、所定のタイミングでもってストッパ部材44が後退位置に位置付けられ(ステップS2)、その後、このストッパ部材44が再びこの突出位置に保持される(ステップS3)。即ち、容器送給開始手段34の電磁ソレノイド46が付勢されてストッパ部材44が後退位置に位置付けられ、容器送給域34に溜まっていた容器Yの送給が開始され、一つの容器Yが下流側に送給された後にストッパ部材44が再び突出位置に保持され、このようにして検査すべき容器Yが一つずつ下流側の容器検査域36に送給される。
【0038】
このようにして容器Yの送給が開始されると、容器位置決め手段72の位置決め部材74が
図4に示す作用位置(
図2に実線で示す位置)に位置付けられる(ステップS4)。容器位置決め手段72の位置決めシリンダ機構72が伸張され、位置決め部材74が作用位置に位置付けられ、その先端側が一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10の上側に位置する。かくすると、
図5及び
図6示すように、一対の搬送ベルト4,6により搬送されてきた容器Yは、位置決め部材74に当接してその移動が阻止され、このようにして容器Yは、容器検査域36の押上げ位置に位置付けられる。
【0039】
容器Yがこのようにして押上げ位置に位置付けられると、この容器Yが上方に持ち上げられて検査位置に位置付けられる。具体的には、押上げ部材52が
図6に示す基準位置から上昇され(ステップS5)、この押上げ部材52の上昇は第1上昇速度制御でもって行われ(ステップS6)、この第1上昇速度制御は押上げ部材52の押上部92(その上面の押上面)が容器Yの底面に近接乃至接触するまで行われる(ステップS7)。即ち、容器押上げ手段48の駆動アクチュエータ54(駆動モータ64)が正転駆動され、その押上げ部材52が
図6に示す基準位置から
図7に示す容器底位置まで上昇され、この押上げ部材52の押上部92(その押上面)が一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10上の容器Yの底面に近接乃至接触する。
【0040】
このとき、押上げ部材52は、第1上昇速度制御でもって
図9に示すように上昇され、その上昇距離は、例えば3~10mm程度に設定される。例えば、
図9(a)で示すように、第1上昇速度制御の初期においては、押上げ部材52の移動速度は比例的に上昇し、その中間においてはその移動速度は一定となり、その終期においてはその移動速度は比例的に減少し、容器Yの底面に接触したときに停止する。
【0041】
押上げ部材52がこのようにして容器Yの底面に近接乃至接触すると、その上昇速度制御が切り替えられ、この押上げ部材52の上昇は続いて第2上昇速度制御でもって行われ(ステップS8)、この第2上昇速度制御は押上げ部材52の押上部92(その上面の押上面)が検査位置に上昇するまで行われる(ステップS9)。即ち、容器押上げ手段48の駆動アクチュエータ54(駆動モータ64)が再び正転駆動され、その押上げ部材52が
図7に示す容器底位置から
図8に示す検査位置まで上昇される。
【0042】
このとき、押上げ部材52は、第2上昇速度制御でもって
図10に示すように上昇され、その上昇距離は、例えば30~80mm程度に設定される。例えば、
図10(a)で示すように、第2上昇速度制御の初期においては、押上げ部材52の移動速度は比例的に上昇し、その移動速度は第1上昇速度制御の初期における移動速度よりも大きく、押上げ部材52に支持された容器Yは速い速度で上昇され、その中間においてはその移動速度は一定となり、その終期においてはその移動速度は比例的に減少し、その移動速度の減少程度は初期の上昇程度と同程度に減少し、この減速程度は、第1上昇速度制御の終期における減速程度よりも大きく減少する。
【0043】
この実施形態では、第1上昇速度制御から第2上昇速度制御に切り替わるときに、押上げ部材52の上昇速度がゼロになった後に(還元すると、押上げ部材52が一旦停止した後に)再び上昇移動するので、押上げ部材52の押上部92が容器Yの底面にゆるやかに当接乃至接触するようになり、この当接乃至接触の際の衝撃を非常に小さくする(換言すると、衝撃音がほとんどない状態にする)ことができる。また、第2上昇速度制御の初期における押上げ部材52の移動速度の上昇割合は、第1上昇速度制御の初期における移動速度の上昇割合よりも大きいので、速い速度でもって検査位置まで移動させることができ、衝撃による音の発生を抑えながら短時間で検知位置に位置付けることができる。また、このような第1上昇速度制御及び第2上昇速度制御は、駆動アクチュエータ54の作動、具体的にはその駆動モータ64の回転を制御することによって行うことができ、このような駆動アクチュエータ54を用いることにより比較的容易に且つ簡単に速度制御を行うことができる。
【0044】
この実施形態では、
図8に示すように、容器位置決め手段72の位置決め部材74は、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10の幾分上方から検査位置の幾分下方まで高さ方向に延びており、加えてこの位置決め部材74は、押上げ部材74が検査位置に上昇するまで作用位置に保持され、検査位置に位置付けられた後に非作用位置に後退する(ステップS10)ので、容器Yが検査位置まで上昇する間、この容器Yは位置決め部材74により押上げ部材52に載置支持された状態に保たれ、この容器Yを押上げ位置に位置付けた状態でもって検査位置まで上昇させることができる。尚、この位置決め部材74は、高さ方向において検査位置を超えてその上方まで延びるようにしてもよい。
【0045】
このように容器Yを検査位置まで上昇させた後、容器Yの外観検査が行われる。この外観検査においては、押上げ部材52が回転駆動手段67により回動され、この回転駆動手段67により押上げ部材52(即ち、検査位置に保持された状態の容器Y)が1回転され、この回転時に外観検査手段50により容器Yの外観検査が行われる(ステップS11)。
【0046】
この外観検査においては、第1~第3撮像ユニット66,68,70からの撮像信号が良否検査処理手段(図示せず)に送給され、良否検査処理手段(画像処理手段及び良否判定手段)がこの撮像信号を画像処理して容器Yの良否を判定する。「良(良品)」と判定されたときには、この容器Y(良品)は、容器検査装置の容器排出域40から下流側に搬送されるが、「不良(不良品)」と判定されたときには、この容器Y(不良品)は、後述する如くして不良容器排出域38にて不良排出ホッパ78に排出される。
【0047】
容器Yの外観検査が終了すると、容器押上げ手段48の押上げ部材52(押上部92)が検査位置から基準位置に下降される。具体的には、容器押上げ手段48の駆動アクチュエータ54(駆動モータ64)が逆転駆動され、その押上げ部材52が
図8に示す検査位置からの下降が行われ(ステップS12)、その下降は、第1下降速度制御でもって行われる(ステップS13)。この第1下降速度制御は、例えば、上述した第2上昇速度制御と逆になる(換言すると、時間軸が逆になる)ように制御することができる。
【0048】
このようにして押上げ部材52の押上部92(その押上面)が容器底位置まで下降する(ステップS14)と、外観検査された容器Yは、一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10上に載置され、押上げ部材52の押上部92はこの容器Yの底面に近接乃至接触した状態となり、かかる上走行部8,10への載置の直前においては、容器Yは遅い速度でもって載置される。
【0049】
容器Yがこのように搬送ベルト4,6に載置されると、その下降速度制御が切り替えられ、この押上げ部材52の下降は第2下降速度制御でもって行われ(ステップS15)、この第2下降速度制御は押上げ部材52の押上部92(その上面の押上面)が基準位置に下降するまで行われる(ステップS16)。この第2下降速度制御は、例えば、上述した第1上昇速度制御と逆になる(換言すると、時間軸が逆になる)ように制御することができる。
【0050】
この実施形態では、第1下降速度制御から第2下降速度制御に切り替わるときに、押上げ部材52の下降速度がゼロになった後に(還元すると、押上げ部材52が一旦停止した後に)再び下降移動するので、下降移動される容器Yが非常にゆるやかに一対の搬送ベルト4,6の上走行部8,10に載置されるようになり、この載置の際の衝撃を非常に小さくする(換言すると、このときの衝撃音をほとんど無い状態にする)ことができる。
【0051】
検査済みの容器Yが一対の搬送ベルト4,6上に載置されると、この容器Yは、それらの上走行部8,10の矢印32で示す方向の移動によって下流側に搬送される。そして、この容器Yが不良容器排出域38まで搬送されると、この不良容器排出域38に対応して配設された容器検知センサ94が容器Yを検知する(ステップS17)。
【0052】
このとき、搬送された容器Yが製造不良(不良品)である場合、ステップS18からステップS19に移り、容器検知センサ94の検知信号及び良否検査処理手段(良否判定手段)からの不良判定信号に基づいて、不良排出機構80が作動する。即ち、不良排出機構80の排出シリンダ機構84が作動し、押出し排出部材82が
図2に実線で示す後退位置から
図2に一点鎖線で示す排出位置に移動し、この押出し排出部材82は、一対の搬送ベルト4,6上を移動する容器Y(不良の容器)に作用し、不良排出ホッパ78に向けて押し出して不良排出ホッパ78に排出する。
【0053】
このように容器検知センサ94が外観検査終了後の容器Yを検知すると、次の容器Yについての外観検査が可能となり、次の容器Yの供給が開始される(ステップS20)。即ち、ステップS20からステップS2に戻り、容器送給開始手段42のストッパ部材44が後退位置に後退し、次の容器Yの送給が開始され、その後上述した検査動作が繰り返し遂行され、このようにして複数の容器Yに対する外観検査が連続的に繰り返し行われる。
【0054】
以上、本発明に従う容器検査装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0055】
例えば、上述した施形態では、容器Yが細長いボトル状(所謂、ペットボトル状)で1回転させたときに動き、倒れやすく、このことに関連して、押上げ手段48に対応して容器保持手段56設けているが、容器Yが動き、倒れにくい場合、この容器保持手段56を省略するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
2 容器搬送手段
4,6 搬送ベルト
34 容器送給域
36 容器検査域
38 不良容器排出域
42 容器送給開始手段
48 容器押上げ手段
50 外観検査手段
52 押上げ部材
54 駆動アクチュエータ
67 回転駆動手段
72 容器位置決め手段
80 不良排出機構