IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社to youの特許一覧

特許7007769ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法
<>
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図1
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図2
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図3
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図4
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図5
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図6
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図7
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図8
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図9
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図10
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図11
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図12
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図13
  • 特許-ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20220118BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20220118BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61B5/11 110
A61B5/107 400
A61B5/00 102A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021088288
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2021-07-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521186144
【氏名又は名称】株式会社to you
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕明
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003954(WO,A1)
【文献】特表2014-525064(JP,A)
【文献】国際公開第2021/014938(WO,A1)
【文献】特開2017-091498(JP,A)
【文献】特開2016-066308(JP,A)
【文献】特開2020-135132(JP,A)
【文献】特開2012-212407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/103 - 5/113
A61B 5/00
G08B 19/00 - 31/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廊下または室内の人物の歩行の速度を測定するための測定装置と、
前記測定装置からのデータに基づいて前記人物の歩行の速度を取得して、前記人物の歩行の速度の時系列のデータに基づいて前記人物の歩行の速度が遅くなってきたことを判断するためのサーバと、を備え
前記測定装置は、天井に設置されて、下方の物体までの距離を測定するための少なくとも2つのセンサを含み、
前記少なくとも2つのセンサの測定データは、人物を検知した測定日時のデータを含み、
前記測定装置は、前記少なくとも2つのセンサの測定データにおける前記少なくとも2つのセンサの前記測定日時の間の時間と、前記少なくとも2つのセンサ間の距離と、に基づいて前記人物の歩行の速度を計算し、
前記サーバは、前記少なくとも2つのセンサのいずれかによる人物までの測定距離に基づいて前記人物の身長を取得することによって前記人物を特定し、当該人物毎に、前記歩行の速度が遅くなってきたことを判断する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記サーバは、前記少なくとも2つのセンサのいずれかによる人物までの測定距離に基づいて、前記人物の身長を取得して、当該身長が短くなってきたことを判断する、請求項に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
少なくとも2つのセンサを有する測定装置と通信するための通信インターフェイスと、
前記通信インターフェイスを利用することによって前記測定装置から前記少なくとも2つのセンサの下方の物体までの距離と測定日時を含む測定データを受信して、前記少なくとも2つのセンサの測定データにおける前記少なくとも2つのセンサの前記測定日時の間の時間と、前記少なくとも2つのセンサ間の距離と、に基づいて前記人物の歩行の速度を計算し、前記少なくとも2つのセンサのいずれかによる人物までの測定距離に基づいて前記人物の身長を取得することによって前記人物を特定し、前記人物毎に、歩行の速度の時系列のデータに基づいて前記歩行の速度が遅くなってきたことを判断するプロセッサと、を備えるサーバ。
【請求項4】
サーバによる人物の状態の検知方法であって、
少なくとも2つのセンサを有する測定装置から、前記少なくとも2つのセンサの下方の物体までの距離と測定日時を含む測定データを受信するステップと、
前記少なくとも2つのセンサの測定データにおける前記少なくとも2つのセンサの前記測定日時の間の時間と、前記少なくとも2つのセンサ間の距離と、に基づいて前記人物の歩行の速度を計算するステップと、
前記少なくとも2つのセンサのいずれかによる人物までの測定距離に基づいて前記人物の身長を取得することによって前記人物を特定するステップと、
前記人物毎に、歩行の速度の時系列のデータに基づいて前記歩行の速度が遅くなってきたことを判断するステップと、を備える人物の状態の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や住民などの歩行速度を測定するためのネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、高齢者や介護を必要とする虚弱者などの下肢筋力を測定するための技術が知られている。たとえば、特開2007-130190号公報(特許文献1)には、下肢筋力測定装置が開示されている。特許文献1によると、フレームと、このフレームに載置される座席部と、座席部に略水平に対向して傾動可能に前記フレームに枢設される筋力測定器とを備える下肢筋力測定装置であって、筋力測定器は、座席部に腰掛けた被験者が両足を載せる踏み付け板と、その下面に設けられた圧力センサと、この圧力センサを保持するベースプレートと、踏み付け板をフレームに傾動可能に枢設する支持脚及び傾動軸と、踏み付け板の傾斜角度を調節可能に枢設される支持ボルトとを有し、圧力センサの出力を変換して筋力を解析する演算部と、この演算部で解析された結果を表示する表示部とを有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-130190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、被測定者の歩行速度を測定することができるネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に従うと、廊下または室内の人物の歩行の速度を測定するための測定装置と、測定装置からのデータに基づいて人物の歩行の速度を取得して、人物の歩行の速度の時系列のデータに基づいて人物の歩行の速度が遅くなってきたことを判断するためのサーバと、を備えるネットワークシステムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、被測定者の歩行速度を測定することができるネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態にかかるネットワークシステムの全体構成を示すイメージ図である。
図2】第1の実施の形態にかかる測定装置の主な構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施の形態にかかる被測定者データを示すイメージ図である。
図4】第1の実施の形態にかかる測定データを示すイメージ図である。
図5】第1の実施の形態にかかる測定装置の制御処理を示すフローチャートである。
図6】第1の実施の形態にかかるサーバの主な構成を表わすブロック図である。
図7】第1の実施の形態にかかる被測定者データを示すイメージ図である。
図8】第1の実施の形態にかかる歩行速度データを示すイメージ図である。
図9】第1の実施の形態にかかるサーバの制御処理を示すフローチャートである。
図10】第3の実施の形態にかかる測定装置の制御処理を示すフローチャートである。
図11】第4の実施の形態にかかる測定装置の制御処理を示すフローチャートである。
図12】第5の実施の形態にかかるネットワークシステムの全体構成を示すイメージ図である。
図13】第5の実施の形態にかかる別のネットワークシステムの全体構成を示すイメージ図である。
図14】第6の実施の形態にかかるサーバの制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
<ネットワークシステムの全体構成>
【0009】
まず図1を参照して、本実施の形態にかかるネットワークシステム1の全体構成について説明する。ネットワークシステム1は、主たる装置として、歩行速度測定サービスを提供するためのサーバ100と、高齢者やリハビリ中の患者などの被測定者の住宅や病院や施設に設置されて被測定者の歩行速度を測定して当該情報をサーバ100にアップロートする測定装置200と、被測定者の健康状態や虚弱状態を管理する家族や病院や施設などが利用する通信端末300などを含む。
<ネットワークシステムの動作概要>
【0010】
図1を参照して、本実施の形態にかかるネットワークシステム1においては、被測定者の住宅や施設の廊下や部屋の天井に複数の測距センサ250,250・・・・・・が取り付けられる。そして、いずれかの測距センサ250が、下方の物体を検知した際に、たとえば床面までの距離よりも短い距離を検知した際に、測定装置200が、当該距離に基づいて下方を通過した人物の身長を計算して、被測定者を特定する。そして、別の測距センサ250が当該人物を検知した際に、測定装置200は、測距センサ250,250・・・の間隔と、移動時間とに基づいて、移動速度すなわち歩行速度を計算して、サーバ100にアップロードする。サーバ100は、数日間に関する歩行速度の推移や、数週間に関する歩行速度の推移や、数か月間に関する歩行速度の推移に基づいて、被測定者の歩行速度が遅くなっていることを検知した場合に、当該被測定者に対応付けられている通信端末300に検知結果を提供する。
【0011】
以下では、このような機能を実現するためのネットワークシステム1の各装置の構成について詳述する。
<測定装置200の構成>
【0012】
図2を参照して、被測定者の住宅や施設に設置される測定装置200の構成の一態様について説明する。測定装置200は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)210と、メモリ220と、操作部240と、通信インターフェイス260と、タイマ290と、複数の測距センサ250,250・・・などを含む。
【0013】
CPU210は、メモリ220あるいは外部の記憶媒体に記憶されているプログラムを実行することによって、測定装置200の各部を制御する。
【0014】
メモリ220は、各種のRAMや、各種のROMなどによって実現される。メモリ220は、CPU210によって実行される制御プログラムや、測距センサ250,250・・・から床までの距離や、測距センサ250,250・・・間の距離や、被測定者データ221や、測定データ222や、サーバ100や他の装置から受信したデータなどを記憶する。
【0015】
ここで、被測定者データ221は、図3に示すように、登録されている被測定者毎に、被測定者の識別情報と、名前と、年齢と、性別と、被測定者の身長などの対応関係を格納する。
【0016】
測定データ222は、図4に示すように、被測定者の歩行速度が取得されるたびにデータが蓄積されていく。1つのレコードには、1つ目の測距センサ250の識別情報と、1つ目の測距センサ250で測定された距離と、検知された日・時・分・秒などのタイミングと、計算された身長と、身長に対応する被測定者の識別情報と、2つ目の測距センサ250の識別情報と、2つ目の測距センサ250で検知されたタイミングと、歩行速度などの対応関係を格納する。
【0017】
図2に戻って、通信インターフェイス260は、無線アンテナや有線コネクタなどによって実現され、WiFiルータや、キャリア網や、インターネットなどを介して、サーバ100などの他の装置との間でデータをやり取りする。たとえば、CPU210は、検知した被測定者や、歩行速度などを、通信インターフェイス260を介して、サーバ100にアップロードする。
【0018】
タイマ290は、現在の日・時・分・秒をCPU210に入力したり、所定のタイミングからの経過時間を測定したりする。
【0019】
測距センサ250,250・・・は、超音波センサや、赤外線センサや、ライダーセンサや、ミリ波センサによって実現され、被測定者の住宅や施設の廊下や部屋の天井に設置される。測距センサ250は、下方にある物体までの距離を測定して、CPU210に入力する。
【0020】
本実施の形態においては、CPU210と、メモリ220と、操作部240と、通信インターフェイス260とが、制御装置201に収納される。測距センサ250,250・・・は、制御装置201から離れた位置に配置され、制御装置201との間で無線接続または有線接続される。
<測定装置200の情報処理>
【0021】
次に、図5を参照して、本実施の形態における測定装置200の情報処理について説明する。測定装置200のCPU210は、電源がONされると、測距センサ250,250・・・を起動する。CPU210は、メモリ120のプログラムに従って以下のような処理を実行する。
【0022】
まず、CPU210は、1つ目の測距センサ250で物体を検知する(ステップS202)。たとえば、リビングの入り口の測距センサ250が、所定距離未満、たとえば1mなど、の距離を測定する。
【0023】
CPU210は、物体までの測定距離と、測定した日時とを測定データ222に記憶する(ステップS204)。
【0024】
CPU210は、床から天井までの高さから、当該距離を減ずることによって、検知した人物の身長を計算する(ステップS206)。
【0025】
CPU210は、被測定者データ221に基づいて、当該身長に対応する被測定者を特定して、測定データ222に記憶する(ステップS208)。
【0026】
CPU210は、2つ目の測距センサ250で、当該距離と同じ距離を検知する(ステップS210)。たとえば、トイレの入り口付近の測距センサ250が、1つ目の測距センサ250の測定距離と略同じ測定距離を測定する。
【0027】
CPU210は、測定した日時を測定データ222に記憶する(ステップS212)。
【0028】
CPU210は、2つの測距センサ250,250の距離を、経過時間すなわち測定日時と測定日時との間の時間で、割ることによって、歩行速度を計算して、測定データ222に記憶する(ステップS214)。
【0029】
CPU210は、通信インターフェイス260を介して、被測定者のIDと、身長と、歩行速度と、をサーバ100に送信する(ステップS216)。
<サーバ100の構成>
【0030】
次に、図6を参照して、サーバ100の構成の一態様について説明する。本実施の形態にかかるサーバ100は、主たる構成要素として、CPU110と、メモリ120と、操作部140と、通信インターフェイス160とを含む。
【0031】
CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムを実行することによって、サーバ100の各部を制御する。たとえば、CPU110は、メモリ120に格納されているプログラムを実行し、各種のデータを参照することによって、後述する各種の処理を実行する。
【0032】
メモリ120は、各種のRAM、各種のROMなどによって実現され、サーバ100に内包されているものであってもよいし、サーバ100の各種インターフェイスに着脱可能なものであってもよいし、サーバ100からアクセス可能な他の装置の記録媒体であってもよい。メモリ120は、CPU110によって実行されるプログラムや、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、複数の被測定者に関する被測定者データ121や、歩行速度データ122や、その他の歩行速度測定サービスに必要なデータを記憶する。
【0033】
図7を参照して、被測定者データ121は、本サービスに登録されている被測定者毎に、被測定者の識別情報と、被測定者の名前と、被測定者の身長と、測定装置200の識別情報と、通知先としての通信端末300の情報などの対応関係を格納する。
【0034】
図8を参照して、歩行速度データ122は、被測定者毎に、歩行速度と測定日時と身長とを含む履歴情報と、最近1週間の歩行速度や身長の中央値と、その前の1週間の歩行速度や身長の中央値と、さらにその前の1週間の歩行速度や身長の中央値などの対応関係を格納する。
【0035】
図6に戻って、操作部140は、サービスの管理者などからの操作を受け付けて、各種の命令をCPU110に入力する。
【0036】
通信インターフェイス160は、インターネット、キャリア網、ルータなどを介して測定装置200や通信端末300などの他の装置と、各種データをやり取りする。CPU110は、通信インターフェイス160を介して測定装置200から、測定距離や、被測定者の識別情報や、測定日時や、歩行速度などの情報を受信する。逆に、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、通信端末300に、被測定者の歩行速度が遅くなっている旨の情報や、被測定者の足腰が弱っている旨の情報などを送信する。
<サーバ100の情報処理>
【0037】
次に、本実施の形態におけるサーバ100の情報処理について説明する。サーバ100のCPU110は、測定装置200からデータを受信するたびに、メモリ120のプログラムに従って以下のような処理を実行する。
【0038】
図9を参照して、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、測定装置200から、情報を受信する(ステップS102)。
【0039】
CPU110は、歩行速度と身長と測定日時とを履歴情報として、被測定者の識別情報に対応付けて、歩行速度データ122に記憶する(ステップS104)。
【0040】
CPU110は、直近1週間の歩行速度の中央値を計算して、歩行速度データ122に記憶する(ステップS106)。
【0041】
CPU110は、歩行速度データ122を参照して、直近1週間の歩行速度の中央値が、その前の1週間の歩行速度の中央値、または、さらにその前の1週間の中央値よりも有意に遅くなっているか否かを判断する(ステップS108)。
【0042】
歩行速度が以前よりも遅くなっている場合(ステップS108にてYESである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、被測定者の歩行速度が遅くなっている旨の情報や、被測定者の足腰が弱っている旨の情報などを送信する(ステップS110)。
【0043】
これによって、通信端末300のCPUは、受信したデータに基づいて、ディスプレイやスピーカから、被測定者の歩行速度が遅くなっている旨の情報や、被測定者の足腰が弱っている旨の情報を出力することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態においては、CPU110は、歩行速度データ122を参照して、直近1週間の身長の中央値が、その前の1週間の身長の中央値、または、さらにその前の1週間の身長の中央値よりも有意に、たとえば2cm~5cm程度、遅くなっているか否かを判断する(ステップS112)。
【0045】
身長が短くなっている場合(ステップS112にてYESである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、被測定者の姿勢が悪くなっている旨の情報や、被測定者の筋力が弱っている旨の情報などを送信する(ステップS114)。
【0046】
これによって、通信端末300のCPUは、受信したデータに基づいて、ディスプレイやスピーカから、被測定者の身長が低くなっている旨の情報や、被測定者の姿勢が悪くなっている旨の情報を出力することができる。
【0047】
また、サーバ100のCPU110は、所定の期間以上、たとえば24時間以上など、測定装置200から人物の検知データを受信しなかった場合、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、通信インターフェイス160を介して、被測定者の移動が検知できない旨の情報を送信することが好ましい。
【0048】
以上の通り、本実施の形態においては、測距センサ250,250・・・を、リビングとトイレの間の廊下に配置したり、玄関からリビングまでの間の廊下に配置したり、寝室からトイレの間の廊下に配置したりすることによって、被測定者が当該廊下を歩くたびに自動的に歩行速度や身長が測定される。そして、数週間単位で、被測定者の足腰が弱ってきていることを検知することができる。その結果、被測定者の異常に早期に気が付いたり、孤独死を防止したりすることができる。
<第2の実施の形態>
【0049】
上記の実施の形態においては、数週間単位で、歩行速度や身長の変化を判断するものであった。しかしながら、もっと長い単位で判断をしてもよいし、最も短い単位で判断してもよい。たとえば、数か月単位で歩行速度や身長の変化を判断してもよいし、数日単位で歩行速度や身長の変化を判断してもよい。
【0050】
また、上記の実施の形態においては、直近1週間の歩行速度や身長の中央値と、その前の1週間の歩行速度や身長の中央値とを比較するものであった。しかしながら、比較対象のパラメータは別の数値を利用してもよい。たとえば、直近1週間の歩行速度の平均値と、その前の1週間の歩行速度の平均値とを比較してもよい。また、直近1週間の身長の平均値と、その前の1週間の身長の平均値とを比較してもよい。
<第3の実施の形態>
【0051】
上記の実施の形態においては、測定装置200において、被測定者を特定して、歩行速度をサーバ100にアップロードするものであった。しかしながら、測距センサ250,250・・・を配置する場所を歩行するのが、主に、1人である場合は、測定装置200は被測定者を特定できなくてもよい。
【0052】
より詳細には、本実施の形態においては、図10に示すように、CPU210は、1つ目の測距センサ250で物体を検知する(ステップS202)。たとえば、リビングの入り口の測距センサ250が、所定距離未満、たとえば1mなど、の距離を測定する。
【0053】
CPU210は、物体までの測定距離と、測定した日時とを測定データ222に記憶する(ステップS204)。
【0054】
CPU210は、別の測距センサ250,250・・・で物体を検知する(ステップS210)。
【0055】
CPU210は、測定した日時を測定データ222に記憶する(ステップS212)。
【0056】
CPU210は、2つの測距センサ250,250の距離を、経過時間で、割ることによって、歩行速度を計算して、測定データ222に記憶する(ステップS214)。
【0057】
CPU210は、通信インターフェイス260を介して、歩行速度と身長と、をサーバ100に送信する(ステップS216)。
【0058】
本実施の形態においては、サーバ100では、測定装置200に対応する被測定者が1対1で決まっているため、測定装置200のそれぞれから受信する歩行速度と身長とに基づいて被測定者毎の歩行速度と身長を蓄積していくことができる。
<第4の実施の形態>
【0059】
また、多数の測距センサ250,250・・・を部屋の天井に分散して取り付けてもよい。この場合は、測定装置200のメモリ220には、測距センサ250,250・・・の組み合わせ毎の距離が記憶されている。
【0060】
図11を参照して、まず、CPU210は、1つ目の測距センサ250で物体を検知する(ステップS202)。
【0061】
CPU210は、物体までの測定距離と、測定した日時とを測定データ222に記憶する(ステップS204)。
【0062】
CPU210は、床から天井までの高さから、当該距離を減ずることによって、検知した人物の身長を計算する(ステップS206)。
【0063】
CPU210は、被測定者データ221に基づいて、当該身長に対応する被測定者を特定して、測定データ222に記憶する(ステップS208)。
【0064】
CPU210は、2つ目の測距センサ250で、当該距離と同じ距離を検知する(ステップS210)。
【0065】
CPU210は、測定した日時を測定データ222に記憶する(ステップS212)。
【0066】
CPU210は、メモリ220から、1つ目の測距センサ250と2つ目の測距センサ250との間の距離を読み出す(ステップS213)。
【0067】
CPU210は、今回の測距センサ250,250間の距離を、経過時間で割ることによって、歩行速度を計算して、測定データ222に記憶する(ステップS214)。
【0068】
CPU210は、通信インターフェイス260を介して、被測定者のIDと、歩行速度と、身長と、をサーバ100に送信する(ステップS216)。
【0069】
本実施の形態においても、サーバ100のCPU110は、所定の期間以上、たとえば24時間以上など、測定装置200から人物の検知データを受信しなかった場合、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、通信インターフェイス160を介して、被測定者の移動が検知できない旨の情報を送信することが好ましい。
<第5の実施の形態>
【0070】
上記の実施の形態においては、測距センサ250,250・・・を天井に取り付けることによって、被測定者の歩行速度を測定するものであった。しかしながら、測距センサ250,250・・・を廊下や部屋の壁面に取り付けることによって、被測定者の歩行速度を測定してもよい。
【0071】
たとえば、図12に示すように、廊下の側面に測距センサ250,250・・・を取り付けて、物体の通過を検知してもよい。測定装置200は、1つの測距センサ250で物体を検知してから別の測距センサ250で物体を検知するまでの時間と、測距センサ250,250間の距離と、に基づいて歩行速度を計算して、サーバ100にアップロードすることができる。
【0072】
あるいは、図13に示すように、廊下の進行方向の端部に測距センサ250を取り付けて、迫ってくる人物の速度を測定したり、離れていく人物の速度を測定したりしてもよい。たとえば、本実施の形態においては、測定装置200のCPU210は、人物を検知した第1のタイミングにおける測距センサ250からの第1の距離を測定する。CPU210は、所定時間、たとえば3秒など、経過後の第2のタイミングにおける測距センサ250からの第2の距離を測定する。測定装置200のCPU210またはサーバ100のCPU110は、第1の距離と第2の距離の差を、2つのタイミングの間の時間で割ることによって、歩行速度を計測することができる。
<第6の実施の形態>
【0073】
上記の実施の形態のネットワークシステム1のサーバ100や測定装置200や通信端末300などの各装置の役割の一部または全部を他の装置が実行してもよい。たとえば、サーバ100の処理の一部または全部を測定装置200や通信端末300やクラウド上の多数のサーバが担ったり、測定装置200の機能の一部をサーバ100や通信端末300が担ったりしてもよい。
【0074】
逆に、測定装置200の処理の一部がサーバ100によって実行されてもよい。たとえば、サーバ100が歩行速度を計算してもよい。より詳細には、サーバ100は、測距センサ250,250・・・の組み合わせ毎の離間距離や、測距センサ250,250・・・毎の測定データ222なども記憶する。そして、測定装置200は、測距センサ250,250・・・の識別情報と、測定された物体までの距離と、測定日時と、をサーバ100にアップロードする。
【0075】
本実施の形態においては、サーバ100のCPU110は、メモリ120のプログラムに従って、図14に示す処理を実行する。
【0076】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、測定装置200から、1つ目の測距センサ250の識別情報と、物体までの距離と、測定日時とを受信して、それらを測定データ222に記憶する(ステップS152)。
【0077】
CPU110は、床から天井までの高さから、当該測定距離を減ずることによって、検知した人物の身長を計算する(ステップS154)。
【0078】
CPU110は、被測定者データ121に基づいて、当該身長に対応する被測定者を特定して、測定データ222に記憶する(ステップS156)。
【0079】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、測定装置200から、2つ目の測距センサ250の識別情報と、物体までの測定距離と、測定日時とを受信して、それらを測定データ222に記憶する(ステップS158)。
【0080】
CPU110は、メモリ220から、1つ目の測距センサ250と2つ目の測距センサ250との間の距離を読み出す(ステップS159)。
【0081】
CPU110は、当該距離を、2つの測定日時の間の時間で、割ることによって、歩行速度を計算して、測定データ222に記憶する(ステップS160)。
【0082】
CPU110は、歩行速度と身長と測定日時とを履歴情報として、被測定者の識別情報に対応付けて、歩行速度データ122に記憶する(ステップS162)。
【0083】
CPU110は、直近1週間の歩行速度の平均値または中央値を計算して、歩行速度データ122に記憶する(ステップS164)。
【0084】
CPU110は、直近1週間の歩行速度の平均値または中央値が、その前の1週間の歩行速度の平均値または中央値、または、さらにその前の1週間の平均値または中央値よりも有意に遅くなっているか否かを判断する(ステップS166)。
【0085】
歩行速度が以前よりも遅くなっている場合(ステップS166にてYESである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、被測定者の歩行速度が遅くなっている旨の情報や、被測定者の足腰が弱っている旨の情報などを送信する(ステップS168)。
【0086】
CPU110は、直近1週間の身長の平均値または中央値が、その前の1週間の身長の平均値または中央値、または、さらにその前の1週間の身長の平均値または中央値よりも有意に、たとえば2cm~5cm程度、遅くなっているか否かを判断する(ステップS170)。
【0087】
身長が短くなっている場合(ステップS170にてYESである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、被測定者の姿勢が悪くなっている旨の情報や、被測定者の筋力が弱っている旨の情報などを送信する(ステップS172)。
【0088】
また、サーバ100のCPU110は、所定の期間以上、たとえば24時間以上など、測定装置200から人物の検知データを受信しなかった場合、被測定者に対応する通知先として登録されている通信端末300に、通信インターフェイス160を介して、被測定者の移動が検知できない旨の情報を送信することが好ましい。
<まとめ>
【0089】
上記の実施の形態においては、廊下または室内の人物の歩行の速度を測定するための測定装置と、測定装置からのデータに基づいて人物の歩行の速度を取得して、人物の歩行の速度の時系列のデータに基づいて人物の歩行の速度が遅くなってきたことを判断するためのサーバと、を備えるネットワークシステムが提供される。
【0090】
好ましくは、測定装置は、天井に設置されて、下方の物体までの距離を測定するための複数のセンサと、少なくとも2つのセンサの測定データと、少なくとも2つのセンサ間の距離と、に基づいて人物の歩行の速度を計算する制御部とを含む。
【0091】
好ましくは、サーバは、複数のセンサのいずれかからの測定データに基づいて、人物の身長を取得して、当該身長が短くなってきたことを判断する。
【0092】
好ましくは、サーバは、複数のセンサのいずれかからの測定データに基づいて、人物の身長を取得することによって人物を特定し、人物毎に、歩行の速度が遅くなってきたことを判断する。
【0093】
好ましくは、測定装置は、壁面に設置されて、側方の物体までの距離を測定するための複数のセンサと、第1のセンサの測定データと、第2のセンサの測定データと、第1のセンサと第2のセンサの距離と、に基づいて人物の歩行の速度を計算する制御部とを含む。
【0094】
好ましくは、測定装置は、壁面に設置されて、側方の物体までの距離を測定するためのセンサと、センサからの複数のタイミングにおける物体までの距離のデータに基づいて人物の歩行の速度を計算する制御部とを含む。
【0095】
上記の実施の形態においては、測定装置と通信するための通信インターフェイスと、通信インターフェイスを利用することによって測定装置からのデータに基づいて人物の歩行の速度のデータを取得して、人物の歩行の速度の時系列のデータに基づいて人物の歩行の速度が遅くなってきたことを判断するプロセッサと、を備えるサーバが提供される。
【0096】
上記の実施の形態においては、サーバによる人物の状態の検知方法が提供される。当該方法は、測定装置から、人物の歩行の速度のデータを受信するステップと、人物の歩行の速度の時系列のデータに基づいて人物の歩行の速度が遅くなってきたことを判断するステップと、を備える。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 :ネットワークシステム
100 :サーバ
110 :CPU
120 :メモリ
121 :被測定者データ
122 :歩行速度データ
140 :操作部
160 :通信インターフェイス
200 :測定装置
201 :制御装置
210 :CPU
220 :メモリ
221 :被測定者データ
222 :測定データ
240 :操作部
250 :測距センサ
260 :通信インターフェイス
290 :タイマ
300 :通信端末
【要約】
【課題】被測定者の歩行速度を測定することができるネットワークシステム、サーバ、および歩行速度測定方法を提供することにある。
【解決手段】廊下または室内の人物の歩行の速度を測定するための測定装置200と、測定装置200からのデータに基づいて人物の歩行の速度を取得して、人物の歩行の速度の時系列のデータに基づいて人物の歩行の速度が遅くなってきたことを判断するためのサーバ100と、を備えるネットワークシステム1が提供される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14