IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シチズンファインテックミヨタ株式会社の特許一覧 ▶ シチズンホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液晶プロジェクター 図1
  • 特許-液晶プロジェクター 図2
  • 特許-液晶プロジェクター 図3
  • 特許-液晶プロジェクター 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】液晶プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20220118BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220118BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20220118BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220118BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220118BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20220118BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220118BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/13357
G02F1/133 535
G03B21/00 E
G03B21/14 Z
G09G3/36
G09G3/20 680C
G09G3/34 J
G09G3/20 642J
G09G3/20 680E
G09G3/20 621A
G09G3/20 633Q
G09G3/20 621B
G09G3/20 611E
G09G3/20 641R
G09G3/20 642A
G09G3/20 641E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017023953
(22)【出願日】2017-02-13
(65)【公開番号】P2018092112
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2016230235
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 鈴太郎
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-072403(JP,A)
【文献】特開2003-241164(JP,A)
【文献】特開2000-180823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0109537(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101514804(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/13357
G02F 1/133
G03B 21/00
G03B 21/14
G09G 3/36
G09G 3/20
G09G 3/34
H04N 9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルを照明する光源とを備え、フィールドシーケンシャルカラー方式により画像を投影する液晶プロジェクターにおいて、
前記液晶パネルは、第1強誘電性液晶パネル及び第2強誘電性液晶パネルを含み、
前記光源は、第1、第2及び第3色でそれぞれ発光する第1、第2及び第3発光素子を含み、
1つの画像と他の1つの画像を連続して投影するとき、前記1つの画像を投影する期間では、前記第1、第2及び第3色に基づいて前記1つの画像を分解して得た第1、第2及び第3色画像を投影する3つの投影期間が連続し、
前記他の1つの画像を再構成する期間では、前記第1、第2及び第3色に基づいて前記他の1つの画像を分解して得た第1、第2及び第3色画像を投影する3つの投影期間が連続し、
前記1つの画像を投影する期間と前記他の1つの画像を投影する期間を合わせた期間では、前記第1強誘電性液晶パネルは、投影のため、前記6つの投影期間のうち3つの投影期間で、前記1つの画像を分解して得た前記第1、第2及び第3色画像並びに前記他の1つの画像を分解して得た前記第1、第2及び第3色画像のうち3つの画像を表示し、
前記第2強誘電性液晶パネルは、投影のため、残りの3つの投影期間で残りの3つの画像を表示し、
前記光源は、前記第1強誘電性液晶パネルを照明する第1光源及び前記第2強誘電性液晶パネルを照明する第2光源を含み、
前記第1強誘電性液晶パネル及び前記第2強誘電性液晶パネルは、反射型であり、
前記第1強誘電性液晶パネルの前方に、前記第1光源から出射された一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる第1ビームスプリッターが配置され、且つ、前記第2強誘電性液晶パネルの前方に、前記第2光源から出射された他方の偏光成分を反射し、
一方の偏光成分を透過させる第2ビームスプリッターが配置され、
前記第1ビームスプリッターに対して前記第1強誘電性液晶パネルと前記第1光源とが直交する配置をとり、且つ、前記第2ビームスプリッターに対して前記第2強誘電性液晶パネルと前記第2光源とが直交する配置をとり、
前記第1ビームスプリッターの光出射面及び前記第2ビームスプリッターの光出射面と対向する位置に、前記第1ビームスプリッターから出射された他方の偏光成分を反射し、
前記第2ビームスプリッターから出射された一方の偏光成分を透過させる第3ビームスプリッターが配置され、
前記第3ビームスプリッターに対して前記第1ビームスプリッターと前記第2ビームスプリッターとが直交する配置をとる、
ことを特徴とする液晶プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強誘電性液晶パネルを使用しフィールドシーケンシャルカラー方式により画像投影を行う液晶プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
1つの画像を、色彩に基づいて、赤画像、緑画像及び青画像に分割し、分割した赤、緑及び青画像を高速で時分割表示し、1つの画像を再構成するフィールドシーケンシャルカラー方式(以下「FSC方式」と呼ぶことがある)が知られている。このFSC方式のなかで、液晶パネルに時分割表示された赤、緑及び青画像をスクリーンに投影してフルカラー画像を得る液晶プロジェクターが提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
そこで特許文献1の図5図3に再掲示し、特許文献1に示されている液晶プロジェクター100について説明する。なお、図3では符号を変えている。図3は従来例として示す液晶プロジェクター100の概略図である。図3に示すように、液晶プロジェクター100は、小アークタイプCNT光源108、109、110、リフレクタ114、偏光ビームスプリッター115、反射型液晶パネル116、投影レンズ112からなる。
【0004】
小アークタイプCNT光源108、109、110は、それぞれ赤、緑、青で発光する。リフレクタ114は、光を効率よく反射型液晶パネル116へ送り込む。偏光ビームスプリッター115は、光をP、S偏光に分離し、一方を透過し、他方を反射する。反射型液晶パネル116には、赤画像、緑画像、青画像が時分割で表示される。投影レンズ112は、反射型液晶パネル116上に表示された画像をスクリーンに投影する。
【0005】
液晶プロジェクター100では、反射型液晶パネル116が赤画像を表示しているとき、赤色発光する小アークタイプCNT光源108が点灯し、スクリーンに赤画像が投影される。同様に反射型液晶パネル116が緑画像(青画像)を表示しているとき、緑(青)発光する小アークタイプCNT光源109(110)が点灯し、スクリーンに緑(青)画像が投影される。なお()は読み換えを示す。これらの赤画像、緑画像、青画像を高速で切り換えることにより自然なフルカラー画像(1つの画像)が得られる。さらに複数のフルカラー画像を準備し、これらのフルカラー画像を連続的に切り換えることで動画投影が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-40388号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のようなFSC方式の液晶プロジェクターでは、液晶パネルに表示する画像を高速で書き換えなければならない。この点に関し高速で表示画像を書き換えられる液晶パネルとして強誘電性液晶パネルが知られている(以下「FLCパネル」と呼ぶことがある)。このFLCパネルは、広く用いられているTN(ツイストネマチック)液晶パネルの10~100倍程度の高速で画像を書き換えられる。
【0008】
しかしながらFLCパネルは、いわゆる交流駆動のため、1つの画像を表示したら、同じ期間、逆符号の電圧を液晶に印加しなければならない。この逆符号の電圧を印加している期間は、当該画像が正常に表示されない。このためFLCパネルとFSC方式を組み合
わせた液晶プロジェクターでは、この期間はFLCパネルを照明しないようにしている。すなわち図3に示した液晶プロジェクターにFLCパネルを適用すると、スクリーン上では投影期間と同じ長さの非投影期間が現れる。この非投影期間は、スクリーン上で、チラツキを起こしたり、カラーブレーク(動きのある画像のエッジに発生する色ノイズ)を目立たせたりする。とくにカラーブレークは動画投影において著しいことが知られている。
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、強誘電性液晶パネルを使用しフィールドシーケンシャルカラー方式により画像投影するとき、簡単な構成でありながら良好な動画を投影できる液晶プロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液晶パネルと、前記液晶パネルを照明する光源とを備え、フィールドシーケンシャルカラー方式により画像を投影する液晶プロジェクターにおいて、前記液晶パネルは、第1強誘電性液晶パネル及び第2強誘電性液晶パネルを含み、前記光源は第1、第2及び第3色でそれぞれ発光する第1、第2及び第3発光素子を含み、1つの画像と他の1つの画像を連続して投影するとき、前記1つの画像を投影する期間では、前記第1、第2及び第3色に基づいて前記1つの画像を分解して得た第1、第2及び第3色画像を投影する3つの投影期間が連続し、前記他の1つの画像を再構成する期間では、前記第1、第2及び第3色に基づいて前記他の1つの画像を分解して得た第1、第2及び第3色画像を投影する3つの投影期間が連続し、前記1つの画像を投影する期間と前記他の1つの画像を投影する期間を合わせた期間では、前記第1強誘電性液晶パネルは、投影のため、前記6つの投影期間のうち3つの投影期間で、前記1つの画像を分解して得た前記第1、第2及び第3色画像並びに前記他の1つの画像を分解して得た前記第1、第2及び第3色画像のうち3つの画像を表示し、前記第2強誘電性液晶パネルは、投影のため、残りの3つの投影期間で残りの3つの画像を表示し、前記光源は、前記第1強誘電性液晶パネルを照明する第1光源及び前記第2強誘電性液晶パネルを照明する第2光源を含み、前記第1強誘電性液晶パネル及び前記第2強誘電性液晶パネルは、反射型であり、前記第1強誘電性液晶パネルの前方に、前記第1光源から出射された一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる第1ビームスプリッターが配置され、且つ、前記第2強誘電性液晶パネルの前方に、前記第2光源から出射された他方の偏光成分を反射し、一方の偏光成分を透過させる第2ビームスプリッターが配置され、前記第1ビームスプリッターに対して前記第1強誘電性液晶パネルと前記第1光源とが直交する配置をとり、且つ、前記第2ビームスプリッターに対して前記第2強誘電性液晶パネルと前記第2光源とが直交する配置をとり、前記第1ビームスプリッターの光出射面及び前記第2ビームスプリッターの光出射面と対向する位置に、前記第1ビームスプリッターから出射された他方の偏光成分を反射し、前記第2ビームスプリッターから出射された一方の偏光成分を透過させる第3ビームスプリッターが配置され、前記第3ビームスプリッターに対して前記第1ビームスプリッターと前記第2ビームスプリッターとが直交する配置をとる、液晶プロジェクターとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液晶プロジェクターは、1つの画像を、第1色に対応する第1色画像と、第2色に対応する第2色画像と、第3色に対応する第3色画像に分解し、FSC方式で各色画像をスクリーン上に投影し1つの画像を再構成する。このとき、1つの画像を再構成する1フレーム期間は、第1色画像を投影するフィールド(投影期間)、第2色画像を投影するフィールド及び第3色画像を投影するフィールドから構成される。
【0017】
1つの画像を再構成する第1フレーム期間では、1つの画像を分解して得た第1、第2及び第3色画像が連続して投影される。同様に、他の1つの画像を再構成する第2フレーム期間では、他の1つの画像を分解して得た第1、第2及び第3色画像が連続して投影される。このとき第1及び第2フレーム期間をあわせた6つのフィールドでは、任意の3フィールドでこれら6つの色画像のうち3つの色画像が第1強誘電性液晶パネルに表示され、残りのフィールドで残りの色画像が第2強誘電性液晶パネルに表示される。このようにして本発明の液晶プロジェクターは、1つの画像と他の1つの画像をスクリーンに連続投影して動画投影を行う。
【0018】
さらに本発明の液晶プロジェクターは、一方の強誘電性液晶パネルが投影用の画像を表示しているとき、他方の強誘電性液晶パネルは、交流駆動の条件を満足させるための画像であって、投影しない画像を表示する。
【0019】
すなわち本発明の液晶プロジェクターは、1フレーム期間でフィールドシーケンシャルカラー方式によるフルカラー投影が完結するとともに、2フレーム期間で第1、第2強誘電性液晶パネルに対する交流駆動が完結する。したがってスクリーン上では、非投影期間がなくなるとともに、少ないフィールドで1フレーム期間が構成される。この結果、チラツキやモーションブレークが大幅に改善する。
【0020】
以上のように、本発明の液晶プロジェクターは、強誘電性液晶パネルを使用しフィールドシーケンシャルカラー方式により画像投影するとき、簡単な構成でありながら良好な動画を再構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態として示す液晶プロジェクターの概略図である。
図2図1で示す液晶プロジェクターのタイミングチャートである。
図3】従来技術として示す液晶プロジェクターの概略図である。
図4】本発明の第2実施形態として示す液晶プロジェクターの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図1、2、4を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、()に特許請求の範囲で示す発明特定事項を記載する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態として示す液晶プロジェクター10の概略図である。なお、図中に光線L1、L2を書き加えている。液晶プロジェクター10は、FLCパネル14(第1強誘電性液晶パネル)及びFLCパネル24(第2強誘電性液晶パネル)と、
FLCパネル14を照明するRGB光源11(第1光源)及びFLCパネル24を照明するRGB光源21(第2光源)とを備えている。RGB光源11は、赤色(第1色)で発光するLED11r(第1発光素子)と、青色(第2色)で発光するLED11b(第2発光素子)と、緑色(第3色)で発光するLED11g(第3発光素子)を含み、LED11r、11b、11gを個別に発光させられる。同様にRGB光源21は、赤色で発光するLED21r(第1発光素子)と、青色で発光するLED21b(第2発光素子)と、緑色で発光するLED21g(第3発光素子)を含み、LED21r、21b、21gを個別に発光させられる。
【0024】
RGB光源11は反射鏡12の焦点位置に配置されている。反射鏡12はRGB光源11の発光を平行な光線L1とする。光線L1は、ビームスプリッター13(第1ビームスプリッター)で反射しFLCパネル14に達する。さらに光線L1は、FLCパネル14で反射し、ビームスプリッター13を抜け、ハーフミラー15で反射し、投影レンズ16により図示していないスクリーンで結像する。
【0025】
なお、ビームスプリッター13は、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過する。したがってFLCパネル14には光線L1の一方の偏光成分だけが到達する。FLCパネル14ではFLC層のリタデーションにより偏光状態が変わり他方の偏光成分が現れる。この他方の偏光成分がビームスプリッター13を透過しハーフミラー15に達する。なお、FLCパネル14に表示された画像は、ビームスプリッター13越しに目視できる。
【0026】
同様にRGB光源21は反射鏡22の焦点位置に配置されている。反射鏡22はRGB光源21の発光を平行な光線L2とする。光線L2は、ビームスプリッター23(第2ビームスプリッター)で反射しFLCパネル24に達する。さらに光線L2は、FLCパネル24で反射し、ビームスプリッター23を抜け、ハーフミラー15を透過し、投影レンズ16により図示していないスクリーンで結像する。FLCパネル24に表示された画像は、ビームスプリッター23越しに目視できる。
【0027】
なお、ビームスプリッター23は、他方の偏光成分を反射し、一方の偏光成分を透過させるようにすると良い。このときFLCパネル24には光線L2の他方の偏光成分だけが到達する。この他方の偏光成分は、FLCパネル24のFLC層のリタデーションにより偏光状態が変わり一方の偏光成分を生じる。この一方の偏光成分がビームスプリッター23を透過しハーフミラー15に達する。すなわちハーフミラー15が一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射させるようにする(ビームスプリッター23と同じ機能)と、FLCパネル14から到達した光線L1は全て反射し、FLCパネル24から到達する光線L2は全て透過する。このようにすれば、いわゆる銀薄膜からなるハーフミラーに比べハーフミラー15は損失を大幅に低減できる。
【0028】
液晶プロジェクター10では、反射鏡12、22により平行な光線L1、L2を得ている。しかしながらRGB光源11として、その発光が前方(ビームスプリッター13側)にのみ出射するパッケージを採用する場合、平行な光線を得るのに反射鏡12ではなくレンズを使用できる(RGB光源21も同様)。また、RGB光源11は、LED11r、11g、11bが1つのパッケージとなったものであっても良いし、LED11r、11g、11bがそれぞれ別々のパッケージであり、これらが密集したものであっても良い(RGB光源21も同様)。RGB光源11においてLED11r、11g、11bはそれぞれ単数であっても複数であっても良い(RGB光源21も同様)。
【0029】
FLCパネル14、24は、いわゆるLCOS(Liquid Crystal on
Silicon)の液晶層に強誘電液晶(FLC)を採用したものである。LCOSは
Si基板上に表示領域と回路領域を備えている。表示領域には、マトリクス状に配列した反射電極(画素)と、各反射電極に接続するスイッチ素子とが備えられ、液晶層と透明なガラスが積層している。スイッチ素子は、各反射電極(画素)が保持している電圧を書き換えるとき導通する。回路領域には画像メモリ、タイミング制御回路、レベルシフタなどが含まれる。
【0030】
コントローラ17は、1つの画像から、赤成分だけの赤画像(第1色画像)、青赤成分だけの青画像(第2色画像)、緑成分だけの緑画像(第3色画像)を生成し、各画像のデータをFLCパネル14、24に送る。さらにコントローラ17は、FLCパネル14、24の表示タイミングを制御するとともに、このタイミングに同期してLED11r、11g、11b、21r、21g、21bを点灯制御する。
【0031】
図2は、液晶プロジェクター10のタイミングチャートである。図2(a)はFLCパネル14、図2(b)はFLCパネル24の表示状態を示している。ここで整数nに対し、投影のため第n画像(第n番目の画像)を表示する期間を第nフレーム期間Anとする。この場合、図2には、第1フレーム期間A1と第2フレーム期間A2が示されている。なお第1、第2フレーム期間A1、A2の前後に第0フレーム期間A0、第3フレーム期間A3の一部が示されている。
【0032】
図2において、Rn+、Gn+、Bn+は、それぞれ第n画像を分解して得た赤画像、緑画像、青画像を表示する期間を示している。Rn―、Gn―、Bn-は、交流駆動の条件を満たすため、期間Rn+、Gn+、Bn+と同じ時間で逆極性の電圧を印加する期間である。なお逆極性の電圧とは、各画素において絶対値が等しく正負が逆になっているものをいう。図2では、第1、第2画像を分解して得た赤画像を表示する期間R1+、R2+、及び逆極性の電圧を印加する期間R1-、R2-が示されている。同様に、第1、第2画像を分解して得た青画像、緑画像を表示する期間B1+、B2+、G1+、G2+及び逆極性の電圧を印加する期間B1-、B2-、G1-、G2-が示されている。
【0033】
前述のようにFSC方式では、1つの画像を色に基づいて分解して得た赤画像、緑画像、青画像を時系列投影し、1つの画像を再構成する。FSC方式でスクリーン上にフルカラーの動画を投影する液晶プロジェクター10は、第nフレーム期間Anにおいて、順に、赤画像、緑画像、青画像を投影して第n画像を再構成する。図2では、第1フレーム期間A1を3つのフィールドB1、B2、B3に分け、それぞれのフィールドB1、B2、B3を、赤画像、緑画像、青画像を投影する期間としている。同様に第2フレーム期間A2はフィールドB4、B5、B6で、赤画像、緑画像、青画像を投影する。
【0034】
図2に示すように、フィールドB1では、FLCパネル14は第1画像を分解して得た赤画像が表示され(期間R1+)、FLCパネル24は第0画像から得られた青画像に対する逆極性の電圧が印加される(期間B0-)。フィールドB2では、FLCパネル14は第1画像を分解して得た赤画像に対する逆極性の電圧が印加され(期間R1-)、FLCパネル24は第1画像を分解して得た緑画像が表示される(期間G1+)。フィールドB3では、FLCパネル14は第1画像を分解して得た青画像が表示され(期間B1+)、FLCパネル24は第1画像を分解して得た緑画像に対する逆極性の電圧が印加される(期間G1-)。
【0035】
第1フレーム期間A1に対し第2フレーム期間A2ではFLCパネル14、24と表示画像及び逆電圧印加の関係が逆転する。すなわちフィールドB4では、FLCパネル24は第2画像を分解して得た赤画像が表示され(期間R2+)、FLCパネル14は第1画像を分解して得た青画像に対する逆極性の電圧が印加される(期間B1-)。フィールドB5では、FLCパネル24は第2画像を分解して得た赤画像に対する逆極性の電圧が印
加され(期間R2-)、FLCパネル14は第2画像を分解して得た緑画像が表示される(期間G2+)。フィールドB6では、FLCパネル24は第2画像を分解して得た青画像が表示され(期間B2+)、FLCパネル14は第2画像を分解して得た緑画像に対する逆極性の電圧が印加される(期間G2-)。
【0036】
この間、フィールドB1~6では、それぞれLED11r、21g、11b、21r、11g、21bが順に点灯する。
【0037】
なお、図2に示したようにFLCパネル14は、第1フレーム期間A1と第2フレーム期間A2で交流駆動が完結している。これに対し、FLCパネル24は、第1フレーム期間A1の2番目のフィールドB2から第3フレーム期間A3の最初のフィールドで交流駆動が完結している。すなわちFLCパネル14、24は2フレーム期間で交流駆動が完結しているが、FLCパネル14、24の間では交流駆動が完結する期間が1フィールド分ずれている。
【0038】
FLCパネル14、24の間で交流駆動が完結する期間を一致させるには、例えば、第1、第2フレーム期間A1、A2において、FLCパネル14、24の表示期間をそれぞれ、
R1+、R1-、B1+、B1-、G2+、G2-
と、
G1-、G1+、R2-、R2+、B2-、B2+、
としても良い。
【0039】
また、非投影期間を無くし、2フレーム期間で交流駆動を完結させるだけであれば、例えば、第1及び第2フレーム期間A1、A2をそれぞれ3フィールドで構成し、FLCパネル14、24の表示に係る期間をそれぞれ、
R1+、B1+、R1-、B1-、G2-、G2+、
と、
B0-、G1-、G1+、R2+、B2+、R2-、(B2―)、
とすることも考えられる(()は、参考のため第3フレーム期間A3の先頭のフィールドを示したものである。)。しかしながら前述の例のように、第k色(kは1、2、3)の画像表示の前後に第k色画像の逆電圧を印加する(例えば、FLCパネル14において期間R1+の直後に期間R-を設ける)と、データ処理が簡単化するとともに、FLC層のヒステリシス(印加電圧と表示される階調との間に生じるもの)の影響を緩和できる。
【0040】
また、非表示期間を無くし、2フレーム期間で交流駆動を完結させるのに、第1及び第2フレーム期間A1、A2でFLCパネル14、24の表示期間をそれぞれ、
R1+、B1+、G1+、R1-、B1-、G1-、
と、
R2-、B2-、G2-、R2+、B2+、G2+、
とすることも考えられる。これはスクリーン上で第1フレーム期間A1の投影像と第2フレーム期間A2の投影像の偏光を異ならせることができるので立体視投影表示に都合が良い。
【0041】
なお、立体視投影表示では右目用のフレーム(例えば第1フレーム期間A1)と左目用のフレーム(例えば第2フレーム期間A2)を組みにしてデータ処理することが多い。そこで、第1及び第2フレーム期間A1、A2でFLCパネル14、24の表示期間をそれぞれ、
R1+、R1-、B1+、B1-、G1+、G1-
と、
G2-、G2+、R2-、R2+、B2-、B2+、
としても良い。すなわち第2画像を構成する緑画面を第1フレームで投影し(期間G2+)、第1画像を構成する緑画像を第2フレーム期間A2で投影する(期間G1+)。このようにすると、右目用投影表示が他方の偏光(FLCパネル14の反射光、光線L1)、左目用投影表示が一方の偏光(FLCパネル24の反射光、光線L2)となる。各FLCパネル14、24では、表示期間と逆電圧を印加する期間が交互に現れるためヒステリシスが現れにくい。
【0042】
以上のようにして液晶プロジェクター10は、第1フレーム期間A1及び第2フレーム期間A2をそれぞれ3つのフィールドで構成し、スクリーン上に第1、第2及び第3色画面を投影するとともに、2フレーム期間で交流駆動を完結している。すなわち液晶プロジェクター10は、スクリーン上で非投影期間がなくなるとともに、1フレーム期間に含まれるフィールドを少なくしているためフレーム周波数を高速化できる。この結果、投影画像は、チラツキやカラーブレークが目立たなくなる。
【0043】
なお、FLCパネル14、24の各画素が保持する電圧を書き換える期間は、1つのフィールドの最初の部分に割り当てられる。この期間は、1つのフィールドの中で短時間であるが表示ノイズを発生する。液晶プロジェクター10は、このノイズを目立たせないため、書き換えている期間、LED11r等を消灯している。
【0044】
液晶プロジェクター10の作用効果を明確にするため図3に示した液晶プロジェクター100と比較する。液晶プロジェクター100では、交流駆動を満足させるため1フレーム期間を6フィールドで構成しなければならない。これに対し液晶プロジェクター10は、1フレーム期間が3フィールドで構成されるため、フレーム周波数を大きくできる。フレーム周波数を高くできれば、チラツキやカラーブレークが目立たなくなる。
【0045】
また、液晶プロジェクター100では1フレーム期間の半分を非投影期間としなければならないのに対し、液晶プロジェクター10ではスクリーン上で非投影期間がない。このため液晶プロジェクター10では、液晶プロジェクター100にくらべ、点灯時のLED11r等の明るさを1/2にできる。すなわち、LED11r等の要求仕様を緩めることが可能になる。
【0046】
また、液晶プロジェクター10ではFLCパネル14、24は反射型であった。本発明の液晶プロジェクターでは、FLCパネルを透過型としても良い。このとき第1、第2光源を背面照明、第1、2ビームスプリッターを偏光板にできるため構造が簡単になる。
【0047】
(第2実施形態)
図1に示した液晶プロジェクター10は、偏光の処理及び光の合成にビームスプリッター13、23とハーフミラー15を使用していた。偏光の処理及び光の合成は、この構成に限られず、例えば1つのビームスプリッターだけでも実現できる。そこで、図4により、本発明の第2実施形態として、1つのビームスプリッター45(第3ビームスプリッター)で偏光の処理及び光の合成を行う液晶プロジェクター40を説明する。
【0048】
図4は、液晶プロジェクター40の概略図である。なお、図中に光線L3、L4を書き加えている。液晶プロジェクター40は、FLCパネル43(第1強誘電性液晶パネル)と、FLCパネル44(第2強誘電性液晶パネル)と、四角柱状のビームスプリッター45と、赤色(第1色)で発光するLED41r(第1発光素子)、青色(第2色)で発光するLED41b(第2発光素子)及び緑色(第3色)で発光するLED41g(第3発光素子)を含むRGB光源41(光源)と、投影レンズ16を備えている。
【0049】
ビームスプリッター45の4つの側面(第1、第2、第3及び第4側面)には、それぞれFLCパネル43、FLCパネル44、RGB光源41及び投影レンズ46が対向して配置されている。RGB光源41は反射鏡42の焦点位置に配置されている。ビームスプリッター45の側面(第3側面)とRGB光源41の間には、偏光板48とFLCパネル49(第3強誘電性液晶パネル)が配置されている。
【0050】
反射鏡42はRGB光源41の発光を平行な光線L3、L4とする。偏光板48とFLCパネル49は、p波を出射させるか、s波を出射させるか、を切り替える。すなわち、FLCパネル49を出射した時点で、光線L3はp波(第1実施形態では一方の偏光と呼んでいた)、光線L4はs波(第1実施形態では他方の偏光と呼んでいた)である。光線L3は、ビームスプリッター45を透過しFLCパネル43に達する。さらに光線L3は、FLCパネル43とビームスプリッター45で反射し、投影レンズ46により図示していないスクリーンで結像する。光線L4は、ビームスプリッター45で反射しFLCパネル44に達する。さらに光線L4は、FLCパネル44で反射してから、ビームスプリッター45を透過し、投影レンズ46により図示していないスクリーンで結像する。
【0051】
FLCパネル49が、p波を出射させるか、s波を出射させるか、を切り替える手法は、以下の通りとなる。なお、FLCパネル49は、ベタ電極を備える2枚のガラス板の間に強誘電性液晶を挟持したものである。また偏光板48からFLCパネル49にp波が入射するものとして説明する。FLCパネル49で偏光をs-p変換するためには、FLCパネル49を位相差板として用いる。このためには強誘電液晶層の複屈折量を1/2λとする(λは媒質中の光の波長)。具体的には現状入手可能な液晶材料においてセルギャップを1.4μm程度にする。さらにFLCパネル49に入射させる直線偏光(p波)が液晶分子に対して垂直又は平行となるようにする。さらに強誘電電液晶層に電圧を印加した時、液晶分子が45°スイッチングする構成とする。このようにすると電圧無印加時にはFLCパネル45からp波が出射し、電圧印加時にはs波が出射する。
【0052】
ビームスプリッター45は、p波を透過し、s波を反射する。したがってFLCパネル43に到達する光線L3はp波となる。FLCパネル43ではFLC層のリタデーションにより偏光状態が変わりs波が現れる。このs波成分がビームスプリッター45で反射し、投影レンズ46を経てスクリーンに達する。同様に、FLCパネル44に到達する光線L3はs波となる。FLCパネル44ではFLC層のリタデーションにより偏光状態が変わりp波が現れる。このp波成分がビームスプリッター45を透過し、投影レンズ46を経てスクリーンに達する。
【0053】
液晶プロジェクター40では、反射鏡42により平行な光線L3、L4を得ている。しかしながらRGB光源41として、その発光が前方(ビームスプリッター45側)にのみ光を出射するパッケージを採用する場合、平行な光線を得るのに反射鏡42ではなくレンズを使用すればよい。
【0054】
FLCパネル43,44は、図1に示した液晶プロジェクター10に含まれるFLCパネル14、24と同じものである。コントローラ47は、s-p変換のためFLCパネル49に電圧を印加したり、しなかったりする機能を備えている点を除き、液晶プロジェクター10に含まれるコントローラ17と同じものである。
【0055】
図2により、液晶プロジェクター40の動作を説明する。すなわち図2を、液晶プロジェクター40のタイミングチャートとみなす。図2(a)はFLCパネル43、図2(b)はFLCパネル44の表示状態を示している。図2において期間R1+等、フレーム期間A0~3、フィールドB1~6は、プロジェクター10における期間等と同じである。
【0056】
フレーム期間A1の最初のフィールドB1において、FLCパネル43に第1画像を構成する赤画像が表示されたら、赤色発光するLED41rを点灯させる。この赤色発光は、FLCパネル49から出射するときp波となっている。また、フィールドB1において、FLCパネル44には第0画像を構成する青画像の逆極性電圧が印加されている(期間B0-)。
【0057】
第2番目のフィールドB2において、FLCパネル44に第1画像を構成する緑画像が表示されたら、緑色発光するLED41gを点灯させる。この緑色発光は、FLCパネル49から出射するときs波となっている。また、フィールドB2において、FLCパネル43には第1画像を構成する赤画像の逆極性電圧が印加されている(期間R1-)。
【0058】
第3番目のフィールドB3において、FLCパネル43に第1画像を構成する青画像が表示されたら、青色発光するLED41bを点灯させる。この青色発光は、FLCパネル49から出射するときp波となっている。また、フィールドB3において、FLCパネル44には、第1画像を構成する緑画像の逆極性電圧が印加されている(期間G1-)。
【0059】
フレーム期間A2の最初のフィールドB4において、FLCパネル44に第2画像を構成する赤画像が表示されたら、赤色発光するLED41gを点灯させる。この赤色発光は、FLCパネル49から出射するときs波となっている。また、フィールドB4において、FLCパネル43には、第1画像を構成する青画像の逆極性電圧が印加されている(期間B1-)。
【0060】
フィールドB5において、FLCパネル43に第2画像を構成する緑画像が表示されたら、緑色発光するLED41gを点灯させる。この緑色発光は、FLCパネル49から出射するときp波となっている。また、フィールドB5において、FLCパネル44には第2画像を構成する赤画像の逆極性電圧が印加されている(期間R2-)。
【0061】
最後のフィールドB6において、FLCパネル44に第2像を構成する青画像が表示されたら、青色発光するLED41bを点灯させる。この青色発光は、FLCパネル49から出射するときs波となっている。また、フィールドB6において、FLCパネル43には、第2画像を構成する緑画像の逆極性電圧が印加されている(期間G2-)。
【0062】
以上のように液晶プロジェクター40は、図1に示した液晶プロジェクター10に比べ、s-p変換を可能とする偏光板48及びFLCパネル49を用いたことにより、光学系を簡単化できた。また、液晶プロジェクター40は、液晶プロジェクター10と同様に、FLCパネル43、44を透過型にすることができる。この場合、RGB光源をFLCパネル43、44の背面に配置すればよい。FLCパネル43、44の背面に配置したRGB光源は、それぞれp波、s波を出射する。また、液晶プロジェクター40は、液晶プロジェクター10と同様に、立体視に適した投影も可能である。
【符号の説明】
【0063】
10、40…液晶プロジェクター、
11、21…RGB光源(第1、2光源)、
11r、11b、11g…LED(第1、2,3発光素子)、
12、22、42…反射鏡、
13、23、45…ビームスプリッター(第1、2、3ビームスプリッター)、
14、43…FLCパネル(第1強誘電性液晶パネル)、
15…ハーフミラー、
16、46…投影レンズ、
17、47…コントローラ、
21r、21b、21g…LED(第1、2、3発光素子)、
24、44…FLCパネル(第2強誘電性液晶パネル)、
41…RGB光源(光源)、
41r、41b、41g…LED(第1、2、3発光素子)、
48…偏光板、
49…FLCパネル(第3強誘電性液晶パネル)
L1、L2、L3、L4…光線、
Rn+…第nフレームの赤画像(第1色画像)を投影する期間、
Gn+…第nフレームの緑画像(第3色画像)を投影する期間、
Bn+…第nフレームの青画像(第2色画像)を投影する期間、
Rn-…第nフレームの赤画像表示に対し交流駆動の条件を満足させるための期間、
Gn-…第nフレームの緑画像表示に対し交流駆動の条件を満足させるための期間、
Bn-…第nフレームの青画像表示に対し交流駆動の条件を満足させるための期間、
A1、A2…フレーム期間、
B1~6…フィールド。
図1
図2
図3
図4