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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】位置決めシステム及び位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20220118BHJP
   B21D 5/02 20060101ALI20220118BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B21D5/02 W
B21D5/02 P
B21D43/00 W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017096226
(22)【出願日】2017-05-15
(65)【公開番号】P2018192542
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小泉 典久
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-048916(JP,U)
【文献】実開平07-015120(JP,U)
【文献】特開平09-295064(JP,A)
【文献】特開2001-347320(JP,A)
【文献】特開2013-193169(JP,A)
【文献】特開2015-128774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0092333(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160508(US,A1)
【文献】米国特許第05642291(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00-13/08
B21D 5/00- 5/04
G05B 19/4061
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークの被曲げ部がプレスブレーキにおける曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めする位置決めシステムにおいて、
ワークを保持した状態でX軸方向及びY軸方向へ移動させる曲げロボットと、
前記曲げ加工位置の後方にX軸方向に間隔を置いて設けられ、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したか否かを検出する一対のY軸センサと、
前記プレスブレーキから離隔した位置にY軸方向に間隔を置いて設けられ、ワークがX軸方向の基準位置に位置したか否かを検出する一対のX軸センサと、
ワークを保持した状態で前記X軸センサ側へ移動させるように前記曲げロボットを制御しながら、一対の前記X軸センサからの検出結果に基づいて、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になるように前記曲げロボットを制御するロボット制御部と、
前記ロボット制御部による前記曲げロボットの制御によってワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になったときにおける前記曲げロボットのX軸方向の位置に基づいて、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための位置決め動作情報を補正する動作情報補正部と、を具備し、
前記ロボット制御部は、前記動作情報補正部によって補正された前記位置決め動作情報に基づいて前記曲げロボットを制御してワークをX軸方向及びY軸方向へ移動させて、一対の前記Y軸センサによってワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、前記曲げロボットによるワークの移動を停止する
位置決めシステム。
【請求項2】
一対の前記X軸センサのY軸方向の間隔は、調整可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項3】
各X軸センサのX軸方向の位置は、調整可能になっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置決めシステム。
【請求項4】
各X軸センサは、前記曲げロボットによる保持換えを行うための保持換え装置における支持アームに設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項5】
板状のワークの被曲げ部がプレスブレーキにおける曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めする位置決め方法において、
ワークを保持した状態でX軸方向及びY軸方向へ移動させる曲げロボット、前記曲げ加工位置の後方にX軸方向に間隔を置いて設けられかつワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したか否かを検出する一対のY軸センサ、及び前記プレスブレーキから離隔した位置にY軸方向に間隔を置いて設けられかつワークがX軸方向の基準位置に位置したか否かを検出する一対のX軸センサを用い、
ワークを保持した状態で前記X軸センサ側へ移動させるように前記曲げロボットを制御しながら、一対の前記X軸センサからの検出結果に基づいて、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になるように前記曲げロボットを制御し、
ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になったときにおける前記曲げロボットのX軸方向の位置に基づいて、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための位置決め動作情報を補正し、
補正済みの前記位置決め動作情報に基づいて前記曲げロボットを制御してワークをX軸方向及びY軸方向へ移動させて、一対の前記Y軸センサによってワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、前記曲げロボットによるワークの移動を停止する
位置決め方法。
【請求項6】
ワークの側面側に段差が有る場合に、一対の前記X軸センサのX軸方向の位置がワークの段差に応じて予め調整しておくことを特徴とする請求項5に記載の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のワーク(板金)の被曲げ部(曲げ線)がプレスブレーキにおける曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めする位置決めシステム及び位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレスブレーキによる曲げ加工に用いられる位置決めシステム(ゲージングシステム)は、曲げ加工位置に前方に設けられかつワークを保持(吸着)した状態でX軸方向及びY軸方向へ移動させる曲げロボットを具備している。また、位置決めシステムは、曲げ加工位置の後方に設けられかつワークの被曲げ部を曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置させるためのバックゲージ機構を具備している。バックゲージ機構は、ワークの被曲げ部が曲げ加工位置と同じY軸方向の位置を含むY軸方向の所定位置に位置したか否かを検出する一対のY軸センサを有しており、一対のY軸センサは、X軸方向に間隔を置いて配置されている。更に、位置決めシステムは、曲げ加工位置からX軸方向に離隔した位置に設けられかつワーク(ワークの側面)をX軸方向の基準位置に位置させるためのサイドゲージ機構を具備している。サイドゲージ機構は、ワークがX軸方向の基準位置に位置したか否かを検出する1つのX軸センサを有している。
【0003】
そして、位置決めシステムによってワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めする場合には、次のように行う。
【0004】
ワークを保持した状態でY軸センサ側(後方向)へ移動させるように曲げロボットを制御しながら、一対のY軸センサからの検出結果に基づいて、ワークの被曲げ部が曲げ加工位置に対して平行になるように曲げロボットを制御する。次に、ワークをY軸センサ側の反対側(前方向)へ一旦移動させるように曲げロボットを制御する。更に、ワークをX軸センサ側(X軸方向の一方側)へ移動させるように曲げロボットを制御しながら、ワークがX軸方向の基準位置に位置したときにおける曲げロボットのX軸方向の位置に基づいて、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための位置決め動作情報(位置決め動作指令)を補正する。そして、補正済みの位置決め動作情報に基づいて曲げロボットを制御してワークをX軸方向及びY軸方向へ移動させて、一対のY軸センサによってワークの被曲げ部が曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、曲げロボットによるワークの移動(Y軸方向の移動)を停止する。これにより、ワークの被曲げ部が曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めすることができる。
【0005】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1から特許文献4に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-233229号公報
【文献】特開2003-326317号公報
【文献】特開2012-24820号公報
【文献】特開2013-173200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ワークの位置決め精度を高めて、ワークの曲げ加工精度の向上を図るには、前述のように、位置決め動作情報を補正することが不可欠である。一方、位置決め動作情報を補正するには、曲げロボットによってワークをX軸センサ側へ移動させるだけでなく、Y軸センサ側へ移動させる必要があり、曲げロボットの動作が増える傾向にある。そのため、ワークの位置決めに多くの時間を費やし、曲げ加工の生産性を高めることが困難になる。つまり、ワークの位置決め精度を高めて、ワークの曲げ加工精度の向上を図りつつ、ワークの位置決めに要する時間を短縮して、曲げ加工の生産性を高めることが困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成からなる位置決めシステム及び位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、板状のワーク(板金)の被曲げ部(曲げ線)がプレスブレーキにおける曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めする位置決めシステム(ゲージングシステム)において、ワークを保持(吸着)した状態でX軸方向及びY軸方向へ移動させる曲げロボットと、前記曲げ加工位置の後方(Y軸方向の一方側)にX軸方向に間隔を置いて設けられ、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したか否かを検出する一対のY軸センサと、前記曲げ加工位置から離隔した位置にY軸方向に間隔を置いて設けられ、ワーク(ワークの側面)がX軸方向の基準位置に位置したか否かを検出する一対のX軸センサと、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための位置決め動作情報(位置決め動作指令)に基づいて前記曲げロボットを制御し、かつ一対の前記X軸センサからの検出結果に基づいて、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になるように前記曲げロボットを制御し、かつ一対の前記Y軸センサによってワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、前記曲げロボットによるワークの移動(Y軸方向の移動)を停止するロボット制御部と、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になったときにおける前記曲げロボットのX軸方向の位置に基づいて、前記位置決め動作情報を補正する動作情報補正部と、を具備したことである。
【0010】
本発明の第1の態様によると、前記ロボット制御部は、ワークを保持した状態で前記X軸センサ側へ移動させるように前記曲げロボットを制御しながら、一対の前記X軸センサからの検出結果に基づいて、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になるように前記曲げロボットを制御する。次に、前記動作情報補正部は、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になったときにおける前記曲げロボットのX軸方向の位置に基づいて、前記位置決め動作情報を補正する。そして、前記ロボット制御部は、補正済みの前記位置決め動作情報に基づいて前記曲げロボットを制御してワークをX軸方向及びY軸方向へ移動させる。更に、一対の前記Y軸センサによってワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、前記曲げロボットによるワークの移動(Y軸方向の移動)を停止する。これにより、ワークの被曲げ部が曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めすることができる。
【0011】
つまり、本発明の第1の態様によると、前記曲げロボットによってワークを前記Y軸センサ側へ移動させることなく、前記X軸センサ側へ移動させるだけで、前記位置決め動作情報を補正することができる。換言すれば、前記曲げロボットの動作を減らして、前記位置決め動作情報を補正することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、板状のワーク(板金)の被曲げ部(曲げ線)がプレスブレーキにおける曲げ加工位置に位置するように、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めする位置決め方法(ゲージング方法)において、ワークを保持した状態でX軸方向及びY軸方向へ移動させる曲げロボット、前記曲げ加工位置の後方(Y軸方向の一方側)にX軸方向に間隔を置いて設けられかつワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したか否かを検出する一対のY軸センサ、及び前記曲げ加工位置から離隔した位置にY軸方向に間隔を置いて設けられかつワークがX軸方向の基準位置に位置したか否かを検出する一対のX軸センサを用い、ワークを保持した状態で前記X軸センサ側(X軸方向の一方側)へ移動させるように前記曲げロボットを制御しながら、一対の前記X軸センサからの検出結果に基づいて、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になるように前記曲げロボットを制御し、ワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置に対して平行になったときにおける前記曲げロボット(前記曲げロボットのロボットハンド)のX軸方向の位置に基づいて、ワークをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための位置決め動作情報(位置決め動作指令)を補正し、補正済みの前記位置決め動作情報に基づいて前記曲げロボットを制御してワークをX軸方向及びY軸方向へ移動させて、一対の前記Y軸センサによってワークの被曲げ部が前記曲げ加工位置と同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、前記曲げロボットによるワークのY軸方向の移動を停止することである。
【0013】
本発明の第2の態様によると、前記曲げロボットによってワークを前記Y軸センサ側へ移動させることなく、前記X軸センサ側へ移動させるだけで、前記位置決め動作情報を補正することができる。換言すれば、前記曲げロボットの動作を減らして、前記位置決め動作情報を補正することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワークの位置決め精度を高めて、ワークの曲げ加工精度の向上を図りつつ、ワークの位置決めに要する時間を短縮し、曲げ加工の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの動作を説明する模式的な平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムにおけるバックゲージ機構の模式的な側断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムにおける保持換え装置の模式的な平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの制御ブロック図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの動作を説明する模式的な平面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの動作を説明する模式的な平面図である。
図7図7は、ワークの側面側に段差が有る場合における、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの動作を説明する模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲の記載において、「曲げ加工位置」とは、曲げ加工を行うためにX軸方向及びY軸方向によって規定された箇所のことをいい、具体的には、ダイのV溝の中心線の箇所のことをいう。「X軸方向の基準位置」とは、ワークの位置決めの基準となるX軸方向の位置のことをいう。「X軸方向」とは、水平方向の1つである左右方向のことである。「Y軸方向」とは、水平方向の1つである前後方向のことである。「Z軸方向」とは、上下方向(鉛直方向)のことである。また、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指している。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る位置決めシステム(ゲージングシステム)10は、板状のワーク(板金)Wの被曲げ部(曲げ線)Waがプレスブレーキ(大部分を図示省略)における曲げ加工位置BPに位置するように、ワークWをX軸方向及びY軸方向に位置決めするシステムである。以下、位置決めシステム10の構成等について説明する。
【0018】
位置決めシステム10は、曲げ加工位置BPの前方に台車12を介してX軸方向へ移動可能に設けられかつワークWを保持(吸着)した状態でX軸方向及びY軸方向へ移動させる多関節の曲げロボット14を具備している。また、曲げロボット14は、その先端側に、ワークWを保持(吸着)するロボットハンド16を備えている。曲げロボットロボット14は、例えば、特開2012-101317号公報、特開2005-238280号公報、及び特開2001-287185号公報等に示す公知の構成からなる。
【0019】
位置決めシステム10は、プレスブレーキの一部であってかつ曲げ加工位置BPの後方に設けられかつワークWの被曲げ部Waを曲げ加工位置BPと同じY軸方向の位置に位置させるためのバックゲージ機構18を具備している。そして、バックゲージ機構18の具体的な構成は、次の通りである。
【0020】
図1及び図2に示すように、プレスブレーキの本体フレーム20における曲げ加工位置BPの後方には、Y軸方向へ延びた一対のY軸サポータ22(1つのみ図示)がX軸方向に離隔して設けられている。また、各Y軸サポータ22には、Y軸スライダ24(1つのみ図示)がY軸方向へ移動可能に設けられている。各Y軸スライダ24は、各Y軸サポータ22の後端部に設けられたY軸モータ26の駆動によりY軸方向へ移動する。
【0021】
各Y軸スライダ24の前側には、Z軸スライダ28(1つのみ図示)が一対のZ軸ガイド30を介してZ軸方向(上下方向)へ移動可能に設けられている。各Z軸スライダ28は、その下端部に設けられたZ軸モータ32の駆動によりZ軸方向へ移動する。また、一対のZ軸スライダ28の間には、X軸方向へ延びたストレッチ(X軸サポータ)34が連結するように設けられている。更に、ストレッチ34には、一対のX軸スライダ36が複数のX軸ガイド38を介してX軸方向へ移動可能に設けられている。各X軸スライダ36は、その後部に設けられたX軸モータ40の駆動によりX軸方向へ移動する。
【0022】
各X軸スライダ36の上面には、センサ取付部材42が設けられている。また、各センサ取付部材42の前端側(先端側)には、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPと同じY軸方向の位置に位置したか否かを検出するY軸センサとしてのY軸ポテンショメータ44が設けられている。換言すれば、曲げ加工位置BPの後方には、一対のY軸ポテンショメータ44が一対のセンサ取付部材42等を介してX軸方向に間隔を置いて設けられている。各Y軸ポテンショメータ44は、その先端側(前端側)に、ワークWの端面(後端面)Weに接触可能でかつY軸方向へ伸縮可能な接触子44aを有している。
【0023】
ここで、一対のY軸ポテンショメータ44は、一対のY軸モータ26の同期駆動によりY軸方向へ第1Y軸スライダ24等と一体的に移動する。一対のY軸ポテンショメータ44は、一対のZ軸モータ32の同期駆動によりZ軸方向へZ軸スライダ28等と一体的に移動する。各Y軸ポテンショメータ44は、各X軸モータ40の駆動によりX軸方向へX軸スライダ36等と一体的に移動する。なお、各センサ取付部材42を各X軸スライダ36に対してY軸方向へ移動可能に構成してもよい。
【0024】
位置決めシステム10は、曲げ加工位置BPからX軸方向に離隔した位置に設けられかつ曲げロボット14のロボットハンド16による保持換え(掴み変え)を行うための保持換え装置46を具備している。そして、保持換え装置46の具体的な構成は、次の通りである。
【0025】
図1及び図3に示すように、曲げ加工位置BPからX軸方向に離隔した位置には、Y軸方向へ延びた支持台48が設けられている。また、支持台48の上側には、一対の可動ブロック50がY軸方向へ移動可能に設けられている。一対の可動ブロック50は、支持台48の適宜位置に設けられたY軸モータ52の駆動により互いに接近離反するY軸方向へ移動する。更に、各可動ブロック50には、支柱54が立設されており、各支柱54の上端部には、X軸方向へ延びた支持バー56が設けられている。各支持バー56には、ワークWを吸着する複数のバキュームパッド58が設けられている。
【0026】
各支持バー56の右端側には、センサ支持部材60がX軸方向へ移動可能に設けられている。各センサ支持部材60は、バキュームパッド58の下側に位置し、かつ各支持バー56の適宜位置に設けられたX軸モータ62の駆動によりX軸方向へ移動する。また、各センサ支持部材60の右端側(先端側)には、ワークW(ワークWの側面Ws)がX軸方向の基準位置に位置したか否かを検出するX軸センサとしてX軸ポテンショメータ64が設けられている。換言すれば、各支持バー56の右端側には、X軸ポテンショメータ64がセンサ支持部材60を介してX軸方向へ移動可能に設けられている。また、換言すれば、曲げ加工位置BPからX軸方向に離隔した位置には、一対のX軸ポテンショメータ64がY軸方向に間隔を置いて設けられている。各X軸ポテンショメータ64は、バキュームパッド58の下側に位置している。各X軸ポテンショメータ64は、その先端側(右端側)に、ワークWの側面Wsに接触可能でかつX軸方向へ伸縮可能な接触子64aを有している。
【0027】
ここで、一対のX軸ポテンショメータ64は、Y軸モータ52の駆動により接近離反するY軸方向へ可動ブロック50等を一体的に移動する。換言すれば、一対のX軸ポテンショメータ64のY軸方向の間隔は、Y軸モータ52の駆動により調整可能になっている。また、各X軸ポテンショメータ64は、各X軸モータ62の駆動によりX軸方向へ各センサ支持部材60と一体的に移動する。換言すれば、各X軸ポテンショメータ64のX軸方向の位置は、各X軸モータ62の駆動により調整可能になっている。
【0028】
図4に示すように、ゲージングシステム10は、曲げロボット14、バックゲージ機構18、及び保持換え装置46を曲げ加工プログラムに基づいて制御する制御装置66を具備している。制御装置66は、1つ又は複数のコンピュータによって構成されており、曲げ加工プログラム等を記憶するメモリと、曲げ加工プログラムを解釈して実行するCPU(Central Processing Unit)とを有している。
【0029】
制御装置66のCPUは、ロボット制御部68としての機能及び動作情報補正部70としての機能を有している。そして、ロボット制御部68及び動作情報補正部70の具体的な構成は、次の通りである。
【0030】
図1及び図4に示すように、ロボット制御部68は、ワークWをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための位置決め動作情報(位置決め動作指令)に基づいて曲げロボット14を制御する。また、ロボット制御部68は、一対のX軸ポテンショメータ64からの検出結果に基づいて、ワークWの側面(左側面)WsがY軸方向に平行になるように曲げロボットを制御する。換言すれば、ロボット制御部68は、一対のX軸ポテンショメータ64からの検出結果に基づいて、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに対して平行になるように曲げロボットを制御する。更に、ロボット制御部68は、一対のY軸ポテンショメータ44によってワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPと同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、曲げロボット14によるワークWの移動(Y軸方向の移動)を停止する。
【0031】
動作情報補正部70は、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに対して平行になったときにおける曲げロボット14のX軸方向の位置に基づいて、位置決め動作情報を補正する。なお、曲げロボット14のX軸方向の位置とは、例えば、ロボットハンド16の中心のX軸方向の位置のことをいう。
【0032】
続いて、本発明の実施形態に係る位置決め方法について、本発明の実施形態の作用を含めて説明する。
【0033】
本発明の実施形態に係る位置決め方法(ゲージング方法)は、板状のワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに位置するように、ワークWをX軸方向及びY軸方向に位置決めする方法である。また、本発明の実施形態に係る位置決め方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程とを具備している。そして、本発明の実施形態に係る位置決め方法における各工程の具体的な内容は、次の通りである。
【0034】
(i) 第1工程
図1及び図4に示すように、制御装置66のCPUは、各X軸モータ40を制御して各Y軸ポテンショメータ44をX軸方向へ移動させると共に、一対のY軸モータ26を制御して一対のY軸ポテンショメータ44をY軸方向へ移動させる。すると、各Y軸ポテンショメータ44の接触子44aが曲げ加工位置BPに応じたX軸方向及びY軸方向の所定位置に位置する。また、制御装置66のCPUは、Y軸モータ52を制御して一対のX軸ポテンショメータ64のY軸方向の間隔をワークWの側面Wsの長さに応じて調整する。これにより、ワークWをX軸方向及びY軸方向に位置決めするための準備を行うことができる。
【0035】
(ii) 第2工程
第1工程の終了後に、図1図4、及び図5に示すように、ロボット制御部68は、ロボットハンド16によってワークWを保持した状態でX軸ポテンショメータ64側(X軸方向の一方側)へ移動させるように曲げロボット14を制御する。そして、ロボット制御部68は、前述のように曲げロボット14を制御しながら、一対のX軸ポテンショメータ64からの検出結果に基づいて、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに対して平行になるように曲げロボット14を制御する。
【0036】
(iii) 第3工程
第2工程の終了後に、図4及び図5に示すように、動作情報補正部70は、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに対して平行になったときにおける曲げロボット14のX軸方向の位置に基づいて、位置決め動作情報(位置決め動作指令)を補正する。
【0037】
(iv) 第4工程
第3工程の終了後に、図4から図6に示すように、ロボット制御部68は、補正済みの位置決め動作情報に基づいて曲げロボット14を制御してワークWをX軸方向及びY軸方向へ移動させる。そして、ロボット制御部68は、一対のY軸ポテンショメータ44によってワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPと同じY軸方向の位置に位置したことが検出されると、曲げロボット14によるワークWの移動(Y軸方向の移動)を停止する。
【0038】
以上により、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに位置するように、ワークWをX軸方向及びY軸方向に位置決めすることができる。
【0039】
また、図7に示すように、ワークWの側面Ws側に段差Wnが有る場合には、制御装置66のCPUは、予め、一対のX軸モータ52を制御して一対のX軸ポテンショメータ64のX軸方向の位置をワークWの段差Wnに応じて調整しておく。これにより、ワークWの側面Ws側の段差Wnの有無に関係なく、ワークWの被曲げ部Waが曲げ加工位置BPに対して平行にし、位置決め動作情報を補正することができる。
【0040】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0041】
本発明の実施形態によると、前述のように、曲げロボット14によってワークWをY軸ポテンショメータ44側へ移動させることなく、X軸ポテンショメータ64側へ移動させるだけで、位置決め動作情報を補正することができる。換言すれば、曲げロボット14の動作を減らして、位置決め動作情報を補正することができる
従って、本発明の実施形態によれば、ワークWの位置決め精度を高めて、ワークWの曲げ加工精度の向上を図りつつ、ワークWの位置決めに要する時間を短縮し、曲げ加工の生産性を高めることができる。
【0042】
特に、本発明に実施形態によれば、ワークWの側面Ws側の段差Wnの有無に関係なく、位置決め動作情報を補正することができるため、位置決めシステム10の汎用性を高めることができる。
【0043】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、種々の変更を行うことにより、その他、種々の態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0044】
10 位置決めシステム(ゲージングシステム)
12 台車
14 曲げロボット
16 ロボットハンド
18 バックゲージ機構
20 本体フレーム
22 Y軸サポータ
24 Y軸スライダ
26 Y軸モータ
28 Z軸スライダ
34 ストレッチ(X軸サポータ)
36 X軸スライダ
40 X軸モータ
42 センサ取付部材
44 Y軸ポテンショメータ(Y軸センサ)
44a 接触子
46 保持換え装置
48 支持台
50 可動ブロック
52 Y軸モータ
54 支柱
56 支持バー
58 バキュームパッド
60 センサ支持部材
62 X軸モータ
64 X軸ポテンショメータ(X軸センサ)
64a 接触子
66 制御装置
68 ロボット制御部
70 動作情報補正部
BP 曲げ加工位置
W ワーク(板金)
Wa 被曲げ部(曲げ線)
We 端面(後端面)
Ws 側面(左側面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7