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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】入浴者監視装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
A61H33/00 C
A61H33/00 310Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017154881
(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2018057833
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2016196753
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大祐
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-052626(JP,A)
【文献】特開2010-142389(JP,A)
【文献】特開2014-138634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の水に対する入浴者の顔の浸水度合を検出する浸水度合検出部と、
前記浸水度合検出部が検出した浸水度合が大きくなるに従って出力態様を切替える第1の報知を行う報知部と
前記浴槽内の入浴者の身体状態を検出する身体状態検出部と、
を備え、
前記報知部は、前記身体状態検出部により検出された入浴者の身体状態が所定状態であるときに第2の報知を行い、
前記身体状態検出部は、前記浴槽において給湯又は給水が実施されているか否かを判定し、実施されていると判定したときは、前記浴槽内の入浴者の身体状態の検出を中止することを特徴とする入浴者監視装置。
【請求項2】
浴槽内の水に対する入浴者の顔の浸水度合を検出する浸水度合検出部と、
前記浸水度合検出部が検出した浸水度合が大きくなるに従って出力態様を切替える第1の報知を行う報知部と
前記浴槽内の入浴者の身体状態を、複数の所定数の因子を用いて検出する身体状態検出部と、
前記複数の所定数の因子のうちの一部の因子を無効にする因子無効部と、
を備え、
前記報知部は、前記身体状態検出部により検出された入浴者の身体状態が所定状態であるときに第2の報知を行うことを特徴とする入浴者監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の入浴者監視装置において、
前記浴槽内の入浴者の顔と水面とが含まれるように撮影範囲が設定されたカメラを備え、
前記浸水度合検出部は、前記浸水度合を前記カメラの撮像画像に基づいて検出し、
前記身体状態検出部は、前記身体状態としての顔の表情又は姿勢を前記カメラの撮像画像に基づいて検出することを特徴とする入浴者監視装置。
【請求項4】
浴槽内の水に対する入浴者の顔の浸水度合を検出する浸水度合検出部と、
前記浸水度合検出部が検出した浸水度合が大きくなるに従って出力態様を切替える第1の報知を行う報知部と
前記浴槽内の入浴者が子供であるか否かを判断する子供判断部と、
を備え、
前記報知部は、前記子供判断部が前記浴槽内の入浴者が子供と判断したときは、前記第1の報知を中止することを特徴とする入浴者監視装置。
【請求項5】
浴槽内の水に対する入浴者の顔の浸水度合を検出する浸水度合検出部と、
前記浸水度合検出部が検出した浸水度合が大きくなるに従って出力態様を切替える第1の報知を行う報知部と
を備え、
前記報知部は、前記浸水度合検出部により検出された浸水度合が増大方向から減少方向に切替わって、切替り後の浸水度合の減少量が所定量以上になったとき、第3の報知を行うことを特徴とする入浴者監視装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の入浴者監視装置において、
前記浸水度合検出部は、前記浸水度合として、前記浴槽内の水面下に位置する入浴者の顔部分の水位方向長さである水面下顔長さを検出し、
前記報知部は、前記浸水度合検出部により検出される水面下顔長さが予め設定された複数の長さ閾値に達する毎に、前記第1の報知の出力態様を切替え、
複数の入浴者に対して、前記複数の長さ閾値を個別に設定する長さ閾値設定部を備えることを特徴とする入浴者監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内の入浴者の事故を監視する入浴者監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
お年寄りが浴室の浴槽内で溺れる事故が増大している。このため、入浴者が浴槽内で溺れていないかを監視する入浴者監視装置が知られている(例:特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1は、浴槽内での入浴者の水没状態を監視する入浴者監視装置を開示する。該入浴者監視装置は、浴槽内の水面下で超音波信号を送受する第1位置検出手段と、浴槽の上端より上の位置で超音波信号を送受する第2位置検出手段とを備え、第1位置検出手段により浴槽内の入浴者の水面下の身体部分の有無を検出し、第2位置検出手段により浴槽内の入浴者の水面より上の身体部分の有無を検出する。そして、水面下の身体部分が検出されている状態で、水面よりも上の身体部分が検出されなくなったときに、入浴者が溺れていると判断する。
【0004】
特許文献2は、浴室内に設置したカメラにより浴槽内の入浴者の動きを監視し、浴槽内の入浴者が設定時間以上動かないときは、警報を発生する入浴者監視装置を開示する。該入浴者監視装置において、浴室の天井に設置された超音波式の水面位置検出手段により浴槽内の水面の高さを検出している。そして、カメラにより検出された入浴者の頭部の高さが水面より下となっていると判断したときは、設定時間の経過に関係なく、直ちに警報を発生するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-217728号公報
【文献】特開2014-138634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2等の浴槽内での身体状態の事故を監視する従来の入浴者監視装置は、浴槽内の入浴者が溺れていない状態から溺れた状態に変化したと判断したときに、報知を行う。したがって、従来の入浴者監視装置は、報知が遅れて、入浴者の救護に遅れが生じ易い。
【0007】
本発明の目的は、入浴者の溺れに対する救護の遅れを防止し得る報知を実施できる入浴者監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の入浴者監視装置は、
浴槽内の水に対する入浴者の顔の浸水度合を繰り返し検出する浸水度合検出部と、
前記浸水度合検出部が検出した浸水度合が大きくなるに従って出力態様を切替える第1の報知を行う報知部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、浴槽内の水に対する入浴者の顔の浸水度合が大きくなるに従って出力態様が切替わる第1の報知が行われる。すなわち入浴者が浴槽内で溺れ状態になる前の予兆段階で第1の報知が行われるので、溺れるおそれがある入浴者に対する救護活動の遅れを防止することができる。
【0010】
本発明の入浴者監視装置において、前記浸水度合検出部は、前記浸水度合として、前記浴槽内の水面下に位置する入浴者の顔部分の水位方向長さである水面下顔長さを検出し、前記報知部は、前記浸水度合検出部により検出される水面下顔長さが予め設定された複数の長さ閾値に達する毎に、前記第1の報知の出力態様を切替え、複数の入浴者に対して、前記複数の長さ閾値を個別に設定する長さ閾値設定部を備えることが好ましい。
【0011】
顔の長さは、個人差があるので、顔の同一の浸水度合に対しては個人差に関係なく同一の出力態様の第1の報知を行おうとする場合、第1の報知の出力態様を切替えるときの長さ閾値は個人ごとに相違した値を設定しなければならない。上記構成では、閾値設定部が、複数の入浴者に対して、複数の長さ閾値を個別に設定するので、顔の同一の浸水度合に対して個人差に関係なく同一の出力態様の第1の報知を行うことができる。
【0012】
本発明の入浴者監視装置は、前記浴槽内の入浴者の身体状態を検出する身体状態検出部を備え、前記報知部は、前記身体状態検出部により検出された入浴者の身体状態が所定状態であるときに第2の報知を行うことが好ましい。
【0013】
浴槽内の入浴者が溺れる状態になる前の予兆は、顔の浸水度合の増大とは別に、入浴者の身体状態(例:顔の表情や脈拍等)からも把握することができる。上記構成によれば、浴室内の入浴者に対して、身体状態を検出し、身体状態が所定状態であるときには、第2の報知が行われるので、ユーザは、浴槽内の入浴者が溺れる状態になる前の予兆を第2の報知からも的確に把握して、入浴者に対して、救護活動を効率化することができる。
【0014】
本発明の入浴者監視装置において、前記身体状態検出部は、前記浴槽において給湯又は給水が実施されているか否かを判定し、実施されていると判定したときは、前記浴槽内の入浴者の身体状態の検出を中止することが好ましい。
【0015】
浴槽において給湯又は給水が実施されている期間では、浴槽内の水位は上昇するので、入浴者の身体は、溺れ時と同様に、浴槽の湯内に沈み込んでいく。このことは、入浴者の身体状態は健全であるにもかかわらず、報知部が第2の報知を誤報してしまう可能性が高くなることを意味する。前述の構成によれば、身体状態検出部は、浴槽において給湯又は給水が実施されていると判定したときは、浴槽内の入浴者の身体状態の検出を中止するので、報知部が第2の報知を誤報することが防止される。
【0016】
本発明の入浴者監視装置において、前記身体状態検出部は、複数の所定数の因子を用いて前記身体状態を検出し、前記複数の所定数の因子のうちの一部の因子を無効にする因子無効部を備えることが好ましい。
【0017】
入浴者の身体状態は、デフォルトでは、一般的な入浴者に対して溺れ状態になる前の予兆を検出できる身体状態の複数の因子が設定されている。しかしながら、こうして設定された身体状態の複数の因子に対して一部の因子が、特定の入浴者の身体状態を検出する場合に、逆に誤検出の原因になることがある。例えば、浴槽内での入浴状態について一般的な入浴者の入浴状態とは異なる入浴状態で入浴する習慣等をもつ入浴者が存在する。具体的には、一般的な入浴者は、浴槽内で目を開いて入浴し、意識の喪失時に目を閉じるが、入浴中、目を閉じる習慣をもつ入浴者も存在する。このような特定の入浴者の身体状態を検出する場合に、一般的な入浴者に対して設定したデフォルトの複数の因子を用いて身体状態を検出すると、誤った身体状態を検出してしまう。上記構成によれば、複数の因子のうちから一部の因子を無効することができるので、特定の入浴者に対し誤った身体状態を検出することを防止することができる。
【0018】
本発明の入浴者監視装置は、前記浴槽内の入浴者の顔と水面とが含まれるように撮影範囲が設定されたカメラを備え、前記浸水度合検出部は、前記浸水度合を前記カメラの撮像画像に基づいて検出し、前記身体状態検出部は、前記身体状態としての顔の表情又は姿勢を前記カメラの撮像画像に基づいて検出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、浴槽内の入浴者の浸水度合及び身体状態が共にカメラの撮像画像に基づいて検出されるので、入浴者監視装置が装備しなればならない機器の数を低減することができる。
【0020】
本発明の入浴者監視装置は、前記浴槽内の水面位置を検出する水位センサと、前記浴槽内の入浴者の顔が含まれるように撮影範囲が設定されたカメラとを備え、前記浸水度合検出部は、前記浸水度合を前記水位センサにより検出される水面位置と前記カメラの撮像画像とに基づいて検出し、前記身体状態検出部は、前記身体状態としての顔の表情又は姿勢を前記カメラの撮像画像に基づいて検出することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、水面位置は水位センサにより正確に検出できるとともに、カメラの撮像画像により入浴者の身体状態を正確に検出できる。
【0022】
本発明の入浴者監視装置において、前記浴槽内の入浴者が子供であるか否かを判断する子供判断部を備え、前記報知部は、前記子供判断部が前記浴槽内の入浴者が子供と判断したときは、前記第1の報知を中止することが好ましい。
【0023】
子供は、浴槽内で湯の中に潜って遊ぶことがある。上記構成によれば、入浴者が子供であると検出されたときは、第1の報知が中止されるので、入浴者が意図的に潜水しているのを入浴者が溺れたと誤判断して、第1の報知が誤報となることを防止することができる。
【0024】
本発明の入浴者監視装置において、前記報知部は、前記浸水度合検出部により検出された浸水度合が増大方向から減少方向に切替わって、切替り後の浸水度合の減少量が所定量以上になったとき、第3の報知を行うことが好ましい。
【0025】
入浴者がうっかりと身体を水面下に沈めたり、水面が一時的に大きく揺らいだりして、第1の報知が行われることがある。この構成によれば、浸水度合検出部により検出された浸水度合が増大方向から減少方向に切替わって、切替わり後の浸水度合の減少量が所定量以上になったとき、第3の報知が行われる。このような第3の報知は、第1の報知の修正として機能するので、入浴者監視装置に対する全体的な信頼性を維持しつつ、第1の報知を早めて(第1の報知の開始条件を多少緩めて)、救護の遅れを防止することができる。
【0026】
本発明の入浴者監視装置は、前記浸水度合検出部が検出した浸水度合が所定レベル以上に達したときは、前記浴槽内の水を強制排水する強制排水部を備えることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、浴槽内の強制排水が行われることにより、ユーザが浴室に到着することが多少遅れても、入浴者の安全を確保することができる。
【0028】
本発明の別の入浴者監視装置は、
浴槽内の入浴者の身体状態を検出する身体状態検出部と、
前記身体状態検出部により検出された入浴者の身体状態が所定状態であるときに第2の報知を行う報知部とを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の別の入浴者監視装置によれば、身体状態検出部により入浴者の身体状態を検出して、入浴者が浴槽内で溺れているか否かを判断する。そして、溺れているおそれがある入浴者に対して、報知部により第2の報知を行うので、救護活動の遅れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一般家庭に配備された給湯システムを例示する図。
図2】入浴者監視装置のブロック図。
図3】入浴者監視装置で使用する各閾値についての説明図。
図4】カメラの撮像画像内に設定した所定の基準位置に基づいて水位方向長さを測定する処理についての説明図。
図5】カメラの撮像画像内に設定した所定の基準位置に基づいて縦方向画角を測定する処理についての説明図。
図6図6A図6Cは入浴者の意識レベルの低下する順に正面視で顔の表情及び姿勢を示す図。
図7図7A及び図7Bは入浴者の意識レベルの低下する順に側面視で顔の表情及び姿勢を示す図。
図8図8A図8Dは入浴者の浸水度合が段階的に大きくなるときの順で顔の水位方向位置及び表情等を示した図。
図9】入浴者監視装置が実施する浴槽内の入浴者の存否判断処理のフローチャート。
図10】入浴者監視装置が浴槽内の入浴者の意識レベルを認識及び確定する処理のフローチャート。
図11】入浴者監視装置が水面警告レベルの段階を検出及び確定する処理のフローチャート。
図12】入浴者監視装置が実施する報知実行処理のフローチャート。
図13】報知部が浴室外リモコンにおいて行う具体的な出力態様を示す図。
図14】報知部が浴室外リモコンにおいて行う具体的な別の出力態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、一般家庭に配備された給湯システム1を例示している。給湯システム1は、屋外に配設された給湯器2と、屋内の浴室3内に配設された浴槽4と、屋内の台所5に配設された給湯栓6と、給湯器2で生成された湯を給湯栓6等の屋内の給湯箇所に導く給湯管8とを備える。
【0032】
給湯システム1は、さらに、給湯器2に内蔵された制御装置10と、浴室3内に配備された浴室内リモコン11と、台所5内に配備された浴室外リモコン12とを備える。浴室内リモコン11及び浴室外リモコン12は、リモコンケーブル13を介して制御装置10に接続されている。
【0033】
給湯システム1は、浴槽4内の入浴者の安全を監視する入浴者監視装置9の構成を含んでいる。浴室内リモコン11及び浴室外リモコン12は、入浴者監視装置9の構成要素にもなっている。また、制御装置10は、入浴者監視装置9の制御部としての入浴者監視制御部15を備える。
【0034】
制御装置10は、具体的な構成としては、図示しないCPU及びメモリ等により構成された電子回路ユニットである。CPUは、メモリに保持された給湯システム1の各種の制御用プログラム(入浴者監視装置9の制御用プログラムも含まれる)を実行する。
【0035】
カメラ16は、入浴者監視装置9の専用機器として、浴室内リモコン11に装備される。カメラ16の撮影範囲Asには、入浴者18の顔と水面20の少なくとも一部とが含まれるように、カメラ16の仕様(例:画角)、位置及び向きが設定されている。
【0036】
カメラ16の例は、典型的な可視光カメラであるが、これに限らず、赤外線カメラでもよい。カメラ16として赤外線カメラを採用する利点は、赤外線カメラの撮像画像は、可視光カメラの撮像画像に比して適度に不鮮明になる(ぼやける)ので、浴室3での入浴者18のプライバシーを守ることできることである。なお、可視光カメラに所定の散乱フィルタを装着して、撮像画像をぼかして、赤外線カメラと同様な効果を得ることも可能である。
【0037】
図2は、入浴者監視装置9に関連する部分のブロック図である。入浴者監視制御部15は、給湯システム1の制御装置10の一部として構成される。
【0038】
入浴者監視制御部15は、浴室内リモコン11及び浴室外リモコン12とデータを送受する。浴室内リモコン11はカメラ16を備える。浴室外リモコン12は、表示部41及びスピーカ49(図13及び図14)を備える。なお、浴室外リモコン12の詳細については、図13及び図14で後述する。
【0039】
入浴者監視制御部15は、入浴者監視装置9用のプログラムを制御装置10のCPUで実行することによって、浸水度合検出部22、長さ閾値設定部23、身体状態検出部24、因子無効部25、子供判断部26、報知部27及び強制排水部28として機能する。該機能の詳細は、図9図12において後述する。
【0040】
図3は、入浴者監視装置9で使用する各諸元の定義についての説明図である。浴槽4内の入浴者18に対して入浴者18の顔(顔には、頭も含める)の複数の顔部位として顎下端Fc、口Fm、鼻(詳細には鼻孔)Fn、目Fe及び頭部上端Fsが設定される。
【0041】
これら5つの因子は、入浴者18の顔の浸水度合を検出する際に水面下顔長さ(以下、「Hc」を水面下顔長さと定義する)と対比する因子として用いられ、後述するように、入浴者18別に各因子の値としての長さ閾値が個別に設定される。なお、浸水度合とは、例えば、入浴者18の顔全体の水位方向長さに対する水面20より下に存在する顔部分の水位方向長さの割合である。入浴者18が浴槽4内で溺れるときは、入浴者18は、浴槽4内において身体を沈めて行く。これに伴い、入浴者18の顔が水面下になる度合(浸水度合)が増大する。
【0042】
図3は、入浴者18が浴槽4内で安全状態にあるときを図示している。したがって、入浴者18は、顔全体を水面20より十分上に出しており、鼻Fn又は口Fmからの呼吸に支障が生じることはない。
【0043】
図3において、Hw,H0-H4の定義は次のとおりである。
Hw:水面20の水位方向位置(以下、「水面位置」という)
H0:入浴者18の顎下端Fcの水位方向位置
H1:入浴者18の口Fmの水位方向位置
H2:入浴者18の鼻Fnの水位方向位置
H3:入浴者18の目Feの水位方向位置
H4:入浴者18の頭部上端Fsの水位方向位置
この実施形態では、水位方向位置は、鉛直方向に高い位置ほど、大きい値として定義され、H0<H1<H2<H3<H4の関係がある。
【0044】
L0-L4は次のように定義されている。
L0:水面位置HwがH0より下になっているときのHw-H0間の水位方向の長さ
L1:H0-H1間の水位方向の長さ
L2:H0-H2間の水位方向の長さ
L3:H0-H3間の水位方向の長さ
L4:H0-H4間の水位方向の長さ
【0045】
図3には、目Fe、鼻Fn及び口Fmのそれぞれに対して外接長方形が記載されている。該外接長方形は、カメラ16の撮像画像に含まれる顔画像に基づいて入浴者18の意識レベルを検出する際に撮像画像から切り出される区分として使用される。画像区分ごとに、該画像区分からの抽出形状が、予め登録された複数の形状パターンと照合され、相関性の高い形状パターンの形状であると認定される。
【0046】
図4は、カメラ16の撮像画像内に設定した所定の基準位置に基づいて水位方向長さを測定する処理についての説明図である。前述の図3の例では、浸水度合検出部22は、基本的に、カメラ16の撮像画像において浴槽4の水面20と入浴者18の顔の所望の部位との水位方向距離を測定する。したがって、水面20が上昇している場合に、入浴者18が浴槽4内に沈み込んで、水面20が上昇しているのか、それとも、浴槽4内への湯水の供給により水面20が上昇しているのか、区別できないことがある。
【0047】
これに対し、図4では、浸水度合検出部22は、カメラ16の撮像画像内に所定の基準位置を設定して、該基準位置からの入浴者18の顔の所望の部位までの水位方向長さを測定する。
【0048】
具体的には、カメラ16の撮影画像には、図4に示されるように、入浴者18及び水面20と共に、入浴者18の背中側に存在するタイル壁71や浴槽4とタイル壁71との境界線73が含まれる。この例では、タイル壁71は、矩形タイルを格子状に縦横に並べたものから成り、目地72が縦横に延在している。
【0049】
タイル壁71や境界線73は、入浴者18及び水面20とは異なり、水位方向位置が固定されている。そこで、所定の基準位置として例えば、図中のPa又はPbが設定される。基準位置Paは、目地72の縦横線の交差位置として選択されている。基準位置Pbは、境界線73の右端の位置として選択されている。基準位置Pa,Pbは、共に浴槽4内の入浴者18の後ろに隠れていない撮像画像部分内に設定される。
【0050】
浸水度合検出部22は、撮像画像から基準位置Pa又はPb、及び水面20や入浴者18の顔の所望部位として頭部上端Fsや顎下端Fc等を抽出する。次に、基準位置Pa又はPbと所望部位との間の推移方向長さ(鉛直方向長さ)を撮像画像における縦方向長さに基づいて算出する。撮像画像における縦方向長さに代えて、撮像画像において基準位置Pa又はPbと入浴者18の顔の所望部位との間に存在するタイル壁71の矩形タイルの個数を抽出して、該個数に基づいて両者間の縦方向長さを算出することもできる。
【0051】
浸水度合検出部22は、カメラ16の撮像画像を一定時間間隔で分析し、撮像画像における基準位置Pa又はPbから入浴者18の所定部位や水面20までの縦方向長さの測定値の変化により、鉛直方向の浴槽4内の入浴者18の顔や水面20の移動量及び移動速度を検出する。
【0052】
図4において、各符号の意味は次のとおりである。
Ha0:基準位置Paから入浴者18の顎下端Fcまでの水位方向長さ
Ha4:基準位置Paから入浴者18の頭部上端Fsまでの水位方向長さ
Haw:基準位置Paから水面20までの水位方向長さ
Hb0:基準位置Pbから入浴者18の顎下端Fcまでの水位方向長さ
Hb4:基準位置Pbから入浴者18の頭部上端Fsまでの水位方向長さ
Hbw:基準位置Pbから水面20までの水位方向長さ
なお、基準位置Pa又はPbに対して下側に存在する位置までの長さは正、下側の存在する位置までの長さは負としている。
【0053】
図5は、カメラ16の撮像画像内に設定した所定の基準位置に基づいて縦方向画角を測定する処理についての説明図である。図5はカメラ16の撮像画像を示しているが、水位方向のカメラ16の撮影範囲As(図1)は固定されている。したがって、境界線73又は撮像画像の上辺78から水面20や入浴者18の顔の所望部位としての頭部上端Fsや顎下端Fc等までの縦方向画角(カメラ16から見た縦方向の角度差を意味し、縦方向画角は撮像画像における縦方向長さに対応する。)を測定することができる。
【0054】
図5の撮像画像に映されている壁77は、タイル壁71(図4)だけでなく、タイル以外の壁材で構成される壁も含むものとする。境界線73は、浴槽4と壁77との境界線として、図5の撮像画像内に存在している。
【0055】
浸水度合検出部22は、カメラ16の撮像画像を一定時間間隔で分析し、撮像画像における境界線73又は上辺78と、水面20や入浴者18の頭部上端Fsや顎下端Fc等の所望部位との画角の変化から鉛直方向の浴槽4内の入浴者18の顔や水面20の移動量及び移動速度を検出する。
【0056】
図5において、各符号の意味は次のとおりである。
γb0:境界線73と入浴者18の顎下端Fcとの間の縦方向画角
γb4:境界線73と入浴者18の入浴者18の頭部上端Fsとの間の縦方向画角
γbw:境界線73と水面20との間の縦方向画角
γc0:撮像画像の上辺78と入浴者18の顎下端Fcとの間の縦方向画角
γc4:撮像画像の上辺78と入浴者18の入浴者18の頭部上端Fsとの間の縦方向画角
γcw:撮像画像の上辺78と水面20との間の縦方向画角
なお、撮像画像の上辺78の代わりに、撮像画像の下辺を選択することもできる。
【0057】
図6A図6Cは入浴者18の意識レベルの低下する順に正面視で顔の表情及び姿勢を示す図、図7A及び図7Bは入浴者18の意識レベルの低下する順に側面視で顔の表情及び姿勢を示す図である。なお、顔の姿勢とは、例えば、鉛直方向に対する顔の傾きである。図3のカメラ16が生成する撮像画像は図6の正面視の顔を撮影したものになる。図1では、浴室内リモコン11が取付けられる浴室3内の壁は、浴槽4の足先側の壁になっている。これに対し、図7のように、入浴者18の横顔を映す場合には、カメラ16は横壁に取付けられる。
【0058】
図6Aでは、目Feは開き、口Fmは閉じている。顔の姿勢は正面視で直立状態(鉛直線に対する顔の正面視の中心線の傾斜角度=0°)にある。すなわち、顔の中心線は、鉛直方向にほぼ平行になっている。顔についての図6Aの表情及び姿勢は、入浴者18の意識が正常であるときのものである。
【0059】
図6Bでは、目Feは閉じ、口Fmは開いている。顔の姿勢は、正面視で直立状態に維持されている。顔についての図6Bの表情及び姿勢は、顔が直立状態に維持されているものの、入浴者18が居眠り又は意識喪失の状態であり、意識無しの状態としては初期又は浅い状態であるときのものである。
【0060】
図6Cでは、図6Bと同様に、目Feは閉じ、口Fmは開いている。さらに、顔の姿勢は、正面視で右に所定角度以上傾いている。この表情は、入浴者18が居眠り又は意識喪失の意識無しの状態であり、かつ意識無しの状態としては、図6Bの状態よりも深い状態であることを示す。
【0061】
入浴者18の意識(覚醒)レベルは、図6Aの意識レベル(以下、「Lc0」という)>図6Bの意識レベル(以下、「Lc1」という)>図6Cの意識レベル(以下、「Lc2」という)となる。逆に、入浴者18の危険レベルは、図6Cの危険レベル>図6Bの危険レベル>図6Aの危険レベルとなる。
【0062】
図7Aでは、目Feは開き、口Fmは閉じている。顔の姿勢は側面視でほぼ直立状態(鉛直線に対する顔の前傾角度=0°)にある。この表情は、入浴者18の意識が正常であることを示す。
【0063】
図7Bでは、目Feは閉じ、口Fmは開いている。また、顔は、前傾している。この表情は、入浴者18が居眠りや気絶等で意識無しの状態になっていることを示している。図7Bの表情は、また、前述の図6Cの状態と同様に、意識無しの状態としては、図7Aの状態よりも深い状態であることを示す。
【0064】
図7A及び図7Bにおける入浴者18の意識レベルは、それぞれ図6A及び図6Cにおける意識レベルに対応しているので、それぞれ意識レベルLc0,Lc2となる。
【0065】
図8A図8Dは、浴槽4内の入浴者18がその危険状態を段階的に大きくしている各段階における浸水度合や顔の表情等を示した図である。図8A図8Dの各図において、左は浴槽4における入浴者18の浸水度合、右はカメラ16から見た入浴者18の表情を示している。入浴者18の表情から入浴者18の意識レベルが読取れる。目Fe、鼻Fn及び口Fmについては、撮像画像の抽出処理に使用する外接長方形も示している。
【0066】
入浴者監視装置9は、入浴者18の顔の浸水度合を、水面位置HwとH0-H4との対比に基づいて検出する。浸水度合は、H0-H4を複数(例:5個)の区分点(長さ閾値)として入浴者18の顔を水位方向に複数(例:6個)の区分に区分化し、水面位置Hwが存在する区分を浸水度合の段階(計6段階)で表現する。水面位置Hwが水位方向の上側の区分にあるときほど、浸水度合が大きい段階として定義される。
【0067】
なお、H0から上方へのL1-L4の長さは、入浴者18の体格等により異なるので、水面位置Hwが同一の高さであっても、入浴者18が違えば、水面位置Hwが含まれる区分としての浸水度合の段階は通常、相違する。
【0068】
水面位置Hwが含まれる浸水度合の区分と水面警告レベルLvとの関係は次のように設定される。Hw<H0であるとき、水面警告レベルLv=0(以下、「Lv0」という)。H0≦Hw<H1であるとき、水面警告レベルLv=1(以下、「Lv1」という)。H1≦Hw<H2であるとき、水面警告レベルLv=2(以下、「Lv2」という)。H2≦Hw<H3であるとき、水面警告レベルLv=3(以下、「Lv3」という)。H3≦Hw<H4であるとき、水面警告レベルLv=4(以下、「Lv4」という)。H4≦Hwであるとき、水面警告レベルLv=5(以下、「Lv5」という)。
【0069】
この入浴者監視装置9では、警告レベルLv≧3であるとき、すなわち水面位置Hwが入浴者18の鼻Fnより上になって、入浴者18が鼻Fnから呼吸できない状態にあるとき、入浴者18が浴槽4内で溺れた状態になっていると判定する。
【0070】
図8A図8Dにおいて図示されている水面位置Hwは、それぞれHw<H0、H0≦Hw<H1、H1≦Hw<H2及びH3≦Hw<H4の範囲に存在するものとして記載されている。したがって、水面警告レベルLvでは、それぞれLv0,Lv1,Lv2,Lv4である。
【0071】
図8A図8Dは、図6及び図7で説明した意識レベルでは、入浴者18は、図8Aでは、意識レベルLc=Lc0にあり、図8B図8Dでは、意識レベルLc=Lc1にある。Lc0は、危険無しの意識レベルであり、Lc1は危険有りの意識レベルである。
【0072】
図8Aでは、水面位置Hwは入浴者18の顎下端Fcから十分に下にある。また、入浴者18の目Feは開いた状態にあり、口Fmは閉じている。したがって、水面警告レベルLv=Lv0及び意識レベルLc=Lc0にあり、水面警告レベルLv及び意識レベルLc共に危険無しの状態である。
【0073】
図8Bでは、水面位置Hwが、入浴者18の顎下端Fcを上回り、口Fmのすぐ下に迫って来ている。また、入浴者18の目Feは閉じられており、口Fmは開いている。したがって、水面警告レベルLv=Lv1及び意識レベルLc=Lc1にある。
【0074】
図8Cでは、水面位置Hwが入浴者18の口Fmよりは上で鼻Fnよりは下になっている。また、入浴者18の目Feは閉じられており、口Fmは開いている。したがって、水面警告レベルLv=Lv2及び意識レベルLc=Lc1にある。
【0075】
図8Dでは、水面位置Hwが入浴者18の目Feより上で頭部上端Fsより下になっている。また、入浴者18の目Feは閉じられており、口Fmは開いている。したがって、水面警告レベルLv=Lv4及び意識レベルLc=Lc1にある。
【0076】
図9は、入浴者監視装置9が実施する浴槽4内の入浴者18の存否判断処理のフローチャートである。
【0077】
STEP10では、浸水度合検出部22は、浴槽4への入浴者18の出入りを判定し、入浴者18が浴槽4に入ったと判定したときは、処理をSTEP11へ進ませ、入浴者18が浴槽4から出たと判定したときは、処理をSTEP15へ進ませる。
【0078】
浸水度合検出部22は、具体的には、水面位置Hwの水位方向の変化量(Hwの上昇量又は下降量)に基づいて浴槽4への入浴者18の出入りを判定する。すなわち、入浴者18が浴槽4に入った時は、浴槽4内の水面位置Hwが所定量Δ1以上、上昇する。逆に、入浴者18が浴槽4から出た時は、浴槽4内の水面位置Hwが所定量Δ1以上、下降する。
【0079】
浸水度合検出部22は、後述の図12のSTEP47の子供判断部26を兼ねている。すなわち、浸水度合検出部22は、水面位置Hwの変化量から浴槽4に入った入浴者18が大人であるか子供であるかの判断も行うことができる。大人は子供より体積が大きいので、浴槽4に入った入浴者18が大人であるときは、水面位置Hwの上昇量は所定量Δ2(ただし、Δ2>Δ1)以上となり、浴槽4に入った入浴者18が子供であるときは、水面位置Hwの上昇量は所定量Δ2未満でかつΔ1以上となる。
【0080】
STEP11では、浸水度合検出部22は、入浴者18が浴槽4内に存在すると認定する。なお、図示を省略しているが、STEP11の実施と共に、後述のSTEP24のタイマQc及びSTEP38のタイマQlのリセットが行われる。タイマQc,Qlは、入浴者18が浴槽4内に存在する期間、計時を継続し、リセットされるたびに(例:STEP29,42)、計時時間を0に戻して、計時を再スタートする。
【0081】
STEP12では、浸水度合検出部22は、カメラ16の撮像画像に含まれる入浴者18の顔画像に基づいて入浴者18を特定する。入浴者18の特定には、例えば入浴者18別に顔の特徴をパターン化したパターン画像と対比する周知のパターン認識が使用される。なお、STEP12における入浴者18の特定は、ユーザが入浴者18の入浴後、浴室外リモコン12を使って手動で行うことも可能である。
【0082】
STEP13では、浸水度合検出部22は、STEP12で特定された人物についての入浴者別因子値をメモリから読取る。入浴者別因子値とは、浸水度合検出部22が、入浴者18の顔の浸水度合を検出する際に用いる因子の値、具体的にはL0-L4である。L0-L4は本発明の「長さ閾値」に相当する。
【0083】
図3のL0-L4は、顔の各部位(顎下端Fc、口Fm、鼻Fn、目Fe及び頭部上端Fs)に対応付けられた因子の例である。L1-L4は、水面位置Hwが顔の各部位に来た時の水面20より下の顔の浴槽4内の水面下に位置する入浴者の顔部分の水位方向長さとしての水面下顔長さHcとなっており、入浴者18毎に値が設定されている。L0は、入浴者18が浴槽4内に入った時の水面位置Hwと入浴者18の顎下端Fcとの水位方向長さである。L0を顎下端Fcより下の入浴者18の複数の身体部位(例:肩及び胸)の顎下露出長さで設定し、安全レベルを段階化して報知してもよい。この場合、顎下露出長さが大きいほど、安全レベルが高くなる。
【0084】
L0-L4は、入浴者18ごとに相違する。したがって、ユーザは、家族の各構成員ごとに浴室外リモコン12のモードスイッチ46~ダウンスイッチ48(図13及び図14)を使って予めL0-L4の数値(単位:cm)又は段階を入力し、入浴者監視制御部15の長さ閾値設定部23を介してメモリに設定しておく。そして、メモリに登録されたこれらの数値又は段階がSTEP13で浸水度合検出部22により読取られる。
【0085】
ユーザがスイッチで数値や段階を入力するのではなく、証明写真撮影機のように、画面に画像を、例えば後述の図13の表示部41に映し出し、水面位置及び顔の各部位の自動認識値を画面上に一緒に提示する。具体的には、水面位置の線、顔の各部位の外接長方形を提示する。提示された自動認識値がずれていたら、ユーザは、アップスイッチ47及びダウンスイッチ48(図13)に対するボタンスイッチ操作などによりキャリブレーションする。画面上に映し出す画像は、倫理上、抽象的に加工されていてもよい。
【0086】
なお、長さ閾値設定部23が因子としてのL0-L4の各構成員毎の数値等を設定する際、各構成員毎の嗜好等(例:湯温、水位及びたし湯や追いだきの時間間隔)も設定し、設定値を入浴者監視制御以外の入浴管理に利用することもできる。浸水度合検出部22は、STEP13を終了し次第、図9の一連の処理を終了する。
【0087】
一方、STEP15では、浸水度合検出部22は、入浴者18が浴槽4内に非存在と認定する。浸水度合検出部22は、STEP15を終了し次第、図9の一連の処理を終了する。
【0088】
図9の存否判断により、現時点が、入浴者18が浴槽4内に存在する期間であるか、又は存在しない期間であるかが判明する。すなわち、図9のSTEP10において、入浴者18が浴槽4内に入ったと判定した時刻から、入浴者18が浴槽4から出たと判定した時刻までの期間は、入浴者18が浴槽4内に存在する期間である。後述の図10図12の処理は、図9の一連の処理により入浴者18が浴槽4内に存在すると判明した期間に入浴者監視装置9が実施する処理である。
【0089】
図10は、入浴者監視装置9が浴槽4内の入浴者18の意識レベルを検出及び確定する処理のフローチャートである。なお、意識レベルは、浴槽4内の入浴者18の身体状態の一例である。入浴者監視装置9は、図10の処理を一定時間間隔で実施する。
【0090】
STEP18では、身体状態検出部24は、給湯システム1が「たし湯」又は「たし水」の運転中であるか否かを判定する。身体状態検出部24は、具体的には、入浴者18が浴室内リモコン11で「たし湯」又は「たし水」を指示し、その後、浴槽4内への給湯又は給水が終了することなく、なお継続しているか否かに基づいて、上記判定を行う。身体状態検出部24は、判定が肯定的であるときは、図10の一連の処理を終了し、判定が否定的であるときは、処理をSTEP19に進める。
【0091】
STEP18の意義は、入浴者18の身体状態の誤検出を防止することである。すなわち、浴槽4の顔と浴槽4内の入浴者18との水位方向長さが減少しても、該水位方向長さの減少は、入浴者18の意識レベルの低下による浴槽4内への入浴者18の沈み込みによるとは限らず、たし湯又はたし水によって水面20が上昇することがあるからである。
【0092】
STEP19では、身体状態検出部24は、落とし込み(浴槽4に湯や水を供給するカラン(図1には図示されていない。)の開放)による水位上昇の有無を判定する。身体状態検出部24は、落とし込みによる水位上昇が有ると判定したときは、図10の一連の処理を終了し、無しと判定したときは、処理をSTEP20に進める。
【0093】
身体状態検出部24は、落とし込みによる水位上昇の有無を、具体的には、Haw,Ha0(図4)やγcw,γc0(図5)に基づいて判定する。落とし込みによる水位上昇の有りのときは、Ha0又はγc0は不変であるにもかかわらず、Hawまたはγcwが変化する。
【0094】
STEP19の意義は、入浴者18の身体状態の誤検出を防止することである。すなわち、浴槽4の顔と浴槽4内の入浴者18との水位方向長さが減少しても、該水位方向長さの減少は、入浴者18の意識レベルの低下による浴槽4内への入浴者18の沈み込みによるとは限らず、落とし込みによって水面20が上昇することがあるからである。
【0095】
STEP20では、因子無効部25は、身体状態検出部24が意識レベルを検出するためにデフォルトで設定されている複数の所定数の因子のうちからユーザにより無効が選択されている因子を読込む。なお、ユーザが無効にする因子を選択する具体的な方法は、図13及び図14を参照して後述する。図6A図6Cの例では、複数の所定数の因子とは、口Fmの開閉状態、目Feの開閉状態及び顔の傾斜状態の3つである。
【0096】
例えば、浴槽4内で目Feを閉じる習慣や癖をもつ入浴者18が存在する。因子としての目Feはデフォルトに含まれているので、このような入浴者18に対して、身体状態検出部24が、デフォルトの因子で身体状態を検出しようとすると、入浴者18が意識を喪失していると判断してしまう。これに対処し、因子無効部25がSTEP20で読取った無効因子は、身体状態検出部24が入浴者18の意識レベルを検出する際に使用不可、すなわち無効にされる。
【0097】
STEP21では、身体状態検出部24は、入浴者18の意識レベルについて今回の仮意識レベルLccを検出する。単に意識レベルでなく、「仮」を付けたのは、検出する意識レベルの信頼性を確保するために、仮意識レベルLccに対して継続性の検証(STEP24)を行ってから、意識レベルを確定する(STEP25)からである。
【0098】
STEP21における身体状態検出部24による仮意識レベルLccの検出処理では、STEP20で読取った無効因子は使用されない。例えば、無効因子として目Feが選択されているときは、身体状態検出部24は、目Feの開閉状態以外の因子として残っている口Fmの開閉状態や頭部の傾斜状態のみにより入浴者18の意識レベルを検出することになる。なお、ユーザが無効因子を選択していないときは、身体状態検出部24はデフォルトの因子の全てを用いて、入浴者18の意識レベルを判断する。
【0099】
STEP22では、身体状態検出部24は、メモリから前回の仮意識レベルLcpを読取る。入浴者監視制御部15は一定時間間隔で図10の一連の処理を実行し、メモリには、入浴者18の意識レベルが最後に切替わった時の切替わり後の意識レベルが、前回の仮意識レベルとして記憶され続ける。
【0100】
STEP23では、身体状態検出部24は今回の仮意識レベルLccと前回の意識レベルLcpとが一致するか相違するかを判定し、一致していれば、処理をSTEP24に進ませ、相違すれば、処理をSTEP28に進ませる。
【0101】
STEP23以降の処理は、今回の仮意識レベルLccが所定時間Tc以上継続することを確認するための処理である。入浴者18の意識レベルは、ノイズや入浴者18の不安定な表情変化のために、一時的なことがあるので、仮意識レベルLccが所定時間Tc以上継続することを確認してから、該仮意識レベルLccを正式の今回の意識レベルとすることにより、検出した意識レベルの信頼性を確保している。
【0102】
STEP24では、身体状態検出部24は、タイマQcの計時時間が所定時間Tc以上であるか否かを判定し、所定時間Tc以上であれば、処理をSTEP25に進ませ、所定時間Tc未満であれば、図10の一連の処理を終了する。タイマQcの計時時間は、今回の意識レベルLcaの継続時間を意味する。
【0103】
身体状態検出部24は、STEP25で今回の意識レベルLcaを今回の仮意識レベルLccに確定してから、図10の一連の処理を終了する。
【0104】
STEP28では、身体状態検出部24は、前回の仮意識レベルLcpを今回の仮意識レベルLccに置き換える。身体状態検出部24は、STEP29で、タイマQcをリセットしてから、図10の一連の処理を終了する。
【0105】
図11は、入浴者監視装置9が水面警告レベルLvを検出及び確定する処理のフローチャートである。なお、水面警告レベルは、段階(前述の図3ではLv0-Lv5の6つの段階)で示されるものである。入浴者監視装置9は、図11の処理を一定時間間隔で実施するか、図10の一連の処理を終了し次第、実施する。
【0106】
STEP31では、浸水度合検出部22は、浴槽4内の水面位置Hwを検出する。浸水度合検出部22は、具体的には、カメラ16の撮像画像に含まれる水面20の画像に基づいて水面位置Hw及び入浴者18の水面下顔長さHcを検出することができる。なお、給湯器2は、自動湯張り用に浴槽4内の水面位置Hwを検出する水圧センサが装備されており、浸水度合検出部22は、該水圧センサを水位センサとして用いて、水面位置Hwを検出することもできる。
【0107】
水面位置Hwをカメラ以外で検出する水位センサとしては、水圧センサ以外に、例えば、超音波センサが存在する。超音波センサは、超音波を水面に向けて発射し、超音波が水面に反射して戻ってくる時間から水面位置Hwを検出する。
【0108】
STEP32では、浸水度合検出部22は、水面位置Hwより下に位置する入浴者18の顔部分の水位方向長さを算出する。浸水度合検出部22は、具体的には、カメラ16の撮像画像に含まれる入浴者18の顎下端Fc及び水面位置Hwの位置に基づいて該水位方向長さを算出することができる。カメラ16の撮像画像に含まれる水面20の画像に基づいて水面位置Hwと水面下顔長さHcとの検出精度を上げるために、浴槽4の内面に水位方向に等間隔でマークを付けて、該マークの個数から水面位置Hwと水面下顔長さHcとを検出してもよい。
【0109】
STEP33では、浸水度合検出部22は、今回の仮水面警告レベルLvcを検出する。単に水面警告レベルでなく、「仮」を付けたのは、検出する水面警告レベルの信頼性を確保するために、仮水面警告レベルLvcに対して継続性の検証(STEP38)を行ってから、正式の水面警告レベルを確定する(STEP39)からである。
【0110】
STEP34では、浸水度合検出部22は、メモリから前回の仮水面警告レベルLvpを読取る。STEP35では、浸水度合検出部22は、LvcとLvpとが同一であるか相違するかを判定し、同一であれば、STEP38に処理を進ませ、相違していれば、STEP41に処理を進ませる。
【0111】
STEP38では、浸水度合検出部22は、タイマQlの計時時間が所定値Tl以上であるか否かを判定し、所定値Tl以上であると判定した場合は、処理をSTEP39に進ませ、所定値Tl未満であると判定した場合は、図11の一連の処理を終了する。タイマQlの計時時間は、今回の水面警告レベルLvaの継続時間を意味する。
【0112】
STEP39では、浸水度合検出部22は、今回の水面警告レベルLvaを今回の仮水面警告レベルLvcに確定する。この後、浸水度合検出部22は図11の一連の処理を終了する。
【0113】
STEP41では、浸水度合検出部22は、前回の仮水面警告レベルLvpを今回の仮水面警告レベルLvcに置き換える。STEP42では、浸水度合検出部22は、タイマQlをリセットする。この後、浸水度合検出部22は、図11の一連の処理を終了させる。
【0114】
図12は、入浴者監視装置9が実施する報知実行処理のフローチャートである。報知部27は、図12の報知実行処理を一定時間間隔か、図11のSTEP39が終了するのに続けて、実行する。
【0115】
STEP47では、子供判断部26は、浴槽4内の入浴者18が大人であるか子供であるかを判定し、大人であると判定したときは、処理をSTEP48に進ませ、子供であると判定したときは、処理をSTEP53に進ませる。
【0116】
STEP53では、報知部27は報知を中止する。この後、入浴者監視装置9は、図12の一連の処理を終了する。
【0117】
STEP47,53の意義は、入浴者18が子供であると、子供は、浴槽4内で潜水して遊ぶことがあり、そのようなときに、報知部27が、入浴者18が溺れている誤報を出力するのを防止することである。
【0118】
STEP48では、報知部27は、今回及び前回の確定水面警告レベルLvをそれぞれ水面警告レベルLva,Lvbとしてメモリから読取る。STEP49では、報知部27は、今回及び前回の確定意識レベルLcをそれぞれ意識レベルLca,Lcbとしてメモリから読取る。
【0119】
STEP50では、報知部27は、LvaとLvbとが相違するか、又はLcaとLcbとが相違するかを判定し、正(YES)と判定したときは、処理をSTEP55へ進ませ、否(NO)と判定したときは、処理をSTEP58に進ませる。
【0120】
STEP55では、報知部27は、報知の出力態様を切替える。報知部27による具体的な報知は、浴室外リモコン12の表示部41における視覚表示とスピーカ49における音声又は音響の出力により行われる。なお、出力態様の切替えは、水面下顔長さHcが、L1-L4に対応する各長さ閾値に達する毎に行われる。
【0121】
STEP56では、報知部27は、前回の確定水面警告レベルLvb及び確定意識レベルLcbをそれぞれ今回の確定水面警告レベルLva及び確定意識レベルLcaに置き換える。
【0122】
STEP58では、報知部27は報知の出力態様を維持する。STEP58により、浴室外リモコン12の表示部41における視覚表示とスピーカ49における音声又は音響の出力は、次のSTEP55の実施まで出力態様を維持することになる。
【0123】
表示部41からの視覚表示では、STEP55における出力態様の切替わり後、次のSTEP55の実施により出力態様の切替わり時までの期間は、STEP58の出力態様が維持される。この結果、ユーザは該期間、視覚表示の出力態様をいつでも見ることができる。
【0124】
これに対し、音声又は音響の出力は、1回だけとなるので、STEP55の切替わり時に出力されると、次のSTEP55の実施時までの期間は無音状態になってしまう。変形例として、切替わり時に1回又は複数の所定回数、出力されるとともに、次の出力態様の切替わり時までの期間、一定時間間隔で同一の内容を繰り返し出力することも可能である。
【0125】
以下、浴槽4内の入浴者18の状況が、安全状態から溺れの危険の進む方向を「危険増大方向」といい、その逆方向を「危険減少方向」という。水面警告レベルLvがLv0→Lv1→Lv2→Lv3→Lv4→Lv5と変化する方向は危険増大方向である。水面警告レベルLvがLv5→Lv4→Lv3→Lv2→Lv14→Lv0と変化する方向は危険減少方向である。意識レベルLcがLc0→Lc1→Lc2と変化する方向は危険増大方向である。意識レベルLcがLc2→Lc1→Lc0と変化する方向は危険減少方向である。
【0126】
水面警告レベルLvが危険増大方向に変化していくときに、変化後の各レベルの段階に応じて出力態様を切替える報知は第1の報知に相当する。水面警告レベルLvが危険減少方向に変化していくときに、変化後の各レベルの段階に応じて出力態様を切替える報知は第3の報知に相当する。入浴者18の身体状態の一例としての意識レベルLcが所定状態(例:意識レベルLc=Lc1又はLc2)であると検出されたときの報知は第2の報知に相当する。
【0127】
入浴者監視装置9によれば、浴槽4内の水に対する入浴者18の顔の浸水度合が大きくなる(浸水度合が危険増大方向へ変化する)に従って出力態様が切替わる第1の報知(Lv0-Lv5に対応する報知)が行われる。すなわち入浴者18が浴槽4内で溺れ状態になる前の予兆段階(前述では、鼻Fnからの呼吸に支障が生じる段階Lv3-Lv5を入浴者18の溺れ段階としているので、予兆段階とはLv1,Lv2に対応する段階)でも第1の報知が行われるので、溺れるおそれがある入浴者18に対する救護活動の遅れを防止することができる。
【0128】
さらに、ユーザは、浴槽4内の入浴者18の状況が危険増大方向に変化していきときに、危険増大方向の各段階間(例:Lv0-Lv1、Lv1-Lv2、Lv2-Lv3又はLv3-Lv4)の出力態様の時間間隔を調べる。該時間間隔が短ければ、浴槽4内の入浴者18の状況が溺れの危険が急激に高まっている状況であり、長ければ、さほど急激でもない状況であると判断できる。これにより、入浴者18の救護が手遅れにならない程度に、適切な救護の準備を行うことができる。
【0129】
入浴者監視装置9によれば、図12のSTEP50,55,56,58から分かるように、入浴者監視装置9の予兆段階における報知は、浴槽4内の入浴者18の状況が、危険増大方向に段階が切替わったときに各段階(Lv1,Lv2に対応する状態)で第1の報知で報知される。また、危険減少方向に段階が切替わったときにも各段階で第3の報知で報知される。この結果、ユーザは、浴槽4内の入浴者18の状況が危険増大方向に、ある程度進んだ後、危険減少方向に戻したことも把握することができ、浴槽4内の入浴者18に対する救護の対応の仕方を適切化することできる。
【0130】
第1の報知における水面警告レベルLvの段階と、第3の報知における水面警告レベルLvの段階とが同一の段階(以下、「段階Lvx」という)であっても、危険増大方向に変化した後の段階Lvxと危険減少方向に変化したときの段階Lvxとの出力態様を、ユーザが方向を識別できるようにする。例えば、色、マーク、音の高低や長さ等により相違させることにより該方向が識別される。
【0131】
実施形態としての図12の報知実行処理では、浴槽4内の入浴者18の段階的な危険レベルについて水面警告レベルLvの複数段階(Lv0-Lv5に相当)と意識レベルLcの複数段階(Lc0-Lc2に相当)とで別々に独立設定している。しかしながら、本発明の水面警告レベルLvの複数段階と意識レベルLcの複数段とを総合した段階的な危険レベルLtを設定し、危険増大方向及び危険減少方向の変化方向に段階的でかつ総合的な危険レベルLtを設定して、各危険レベルLtの段階毎に出力態様を切替えることもできる。
【0132】
図13及び図14は、報知部27が浴室外リモコン12において行う具体的な出力態様を示す図である。具体的な出力態様の例を説明する前に、浴室外リモコン12の構成について説明する。なお、この浴室外リモコン12は、入浴者監視装置9の専用のリモコンではなく、給湯システム1のリモコンも兼ねている。また、浴室内リモコン11の詳細な構成については、図示しないが、典型的な浴室外リモコン12と同一である。また、浴室内リモコン11でも、浴室外リモコン12についてこれから述べる報知と同一の報知が同時に行われてもよい。
【0133】
浴室外リモコン12は、上側の表示部41と下側の操作部及びスピーカ49とを備えている。操作部は、通話スイッチ42~ダウンスイッチ48を含む。表示部41は、例えば液晶表示器からなる。報知部27による出力態様は、表示部41の表示と、スピーカ49からの音声出力とを含む。
【0134】
通話スイッチ42~ダウンスイッチ48は、浴室外リモコン12においていずれも周知の機能であるので、簡単に説明する。通話スイッチ42は、台所5の家族が浴室3の入浴者18と通話するときに操作される。おいだきスイッチ43は、浴槽4の残り湯をおいだきするときに操作される。自動スイッチ44は、浴槽4の湯張りを行うときに操作される。運転入/切スイッチ45は、給湯システム1の給電を入又は切にするときに使用される。
【0135】
モードスイッチ46は、ユーザが、浴槽4の湯温や給湯栓6の湯温を設定するときに、設定対象を選択するために操作される。モードスイッチ46は、また、ユーザが、アップスイッチ47及びダウンスイッチ48により長さ閾値設定部23や因子無効部25に関連する設定や選択の入力を行うときに、設定対象や選択対象を選択するために操作される。アップスイッチ47及びダウンスイッチ48は、ユーザが、表示部41に表示される数値をそれぞれ上昇及び下降させるときや、表示部41に縦に表示されているリストの複数の項目の中から選択項目から1つを選択するときに操作される。
【0136】
図13の表示部41には、「水面警告Lv1」、「入浴姿勢異常」及び「入浴者の頭部が傾き、水面と近付いています。入浴者の状態を確認してください。」のテキストと、このテキスト内容に対応する入浴者18の状態の図案とが表示される。すなわち、浴槽4内の入浴者18の段階的な危険レベルについて水面警告レベルLvの段階と意識レベルLcの段階とに分けて、同時に表示されている。
【0137】
図14の表示部41には、「水面警告Lv4」及び「入浴者の頭が目元まで沈んでいます。至急入浴者の状態を確認してください。5秒間で強制排水動作に移行します。」のテキストと、このテキスト内容に対応する入浴者18の状態の図案とが表示される。
【0138】
なお、図12のフローチャートでは、水面警告Lv4に切替わり後、5秒経過後の浴槽4の強制排水処理が記載されていないが、STEP55で、Lva=Lv3、Lv4又は5と判断されるときは、LvbをLvaに置き換えた後、強制排水部28が、5秒経過してから、浴槽4内の強制排水動作を実施することができる。さらに、強制排水部28がLva=Lv3、Lv4又はLv5が確定された時から浴槽4内の強制排水動作を開始するまでの経過時間を設定する。強制排水部28は、Lva=Lv3のときは、ユーザが浴室3に駆け付けて入浴者18の状況を確認するまでの時間以上(例:前述の5秒より長い時間)にし、Lva=Lv4又はLv5のときは、駆け付け時間未満(例:前述の5秒より短い時間)にすることもできる。さらに、強制排水量もLv3,Lv4,Lv5の順に増大させることもできる。
【0139】
本発明は、図示の実施例以外にも種々の変形例を包含する。変形例には次のようなものがある。
【0140】
実施形態では、入浴者18の身体状態として入浴者18の顔の表情(例:口Fmの開閉)や姿勢(例:頭の傾斜度合)を検出している。本発明の入浴者の身体状態には、その他として、入院患者の病室で採用されている周知の無接触式検出器を用いて、入浴者18の脈異常や呼吸異常等の所定状態を含めることができる。
【0141】
実施態様の図12のフローチャートのSTEP50では、水面警告レベルLv又は意識レベルLcのいずれか一方の段階が変化した否かを判定しているが、意識レベルLcについては省略することができる。また、STEP55及びSTEP58における報知は、表示部41の視覚表示による報知及びスピーカ49からの音響(例:ブザー音)又は音声出力による報知の一方を省略したり、危険レベルの低いときのみ一方を省略したりすることもできる。
【0142】
実施形態では、STEP50で、Lva≠Lvbと判断されると、水面警告レベルLvが危険増大方向の変化であれば、STEP58で第1の報知が行われ、水面警告レベルLvが危険減少方向の変化であれば、STEP58で第3の報知が行われ、その時の水面下顔長さは同一である。
【0143】
これに対し、本発明では、水面警告レベルLvが危険増大方向の変化であるときのSTEP58で第1の報知と、水面警告レベルLvが危険減少方向の変化であるときのSTEP58で第3の報知とにおける切替わり時の水面下顔長さを異ならせてもよい。
【0144】
本発明において、「浸水度合が増大方向から減少方向に切替わって、切替り後の浸水度合の減少量」とは、例えば、前述した浸水度合の段階(計6段階)の段階数に相当する。「切替り後の浸水度合の減少量が所定量以上になった」とは、例えば浸水度合の段階が低い方の段階へ所定値以上の変化したことに相当する。「浸水度合が所定レベル以上に達した」とは、浸水度合の段階が所定の段階以上の段階に達したことに相当する。
【0145】
実施形態の入浴者監視装置9は、浸水度合検出部22及び身体状態検出部24の両方を備え、報知部27において、浸水度合検出部22が検出した入浴者18の顔の浸水度合に基づく第1の報知と、身体状態検出部24が検出した入浴者18の身体状態に基づく第2の報知との両方を行っている。しかしながら、本発明の入浴者監視装置は、浸水度合検出部が検出した入浴者の顔の浸水度合に基づく第1の報知と、身体状態検出部が検出した入浴者の身体状態に基づく第2報知とのいずれか一方のみとすることもできる。
【0146】
実施形態として説明した図10のSTEP18のたし湯及びたし水、並びにSTEP19の落とし込みは、本発明において浴槽における給湯又は給水の一例である。実施形態では、たし湯及びたし水が実施されているか否かを、浴室内リモコン11における「たし湯」等のユーザ指示や給湯システム1の作動等により検出している。また、落とし込みが実施されていることを、入浴者18の顔の所定部位と水面20との水位方向長さの変化等から検出している。本発明では、これらに代えて、給湯口の給水口の水流や、給湯栓や給水栓の開閉を検出するセンサを設け、これらセンサの検出に基づいて、浴槽において給湯又は給水が実施されているか否かを判定することもできる。
【符号の説明】
【0147】
3・・・浴室、4・・・浴槽、9・・・入浴者監視装置、10・・・制御装置、11・・・浴室内リモコン、12・・・浴室外リモコン、16・・・カメラ、18・・・入浴者、20・・・水面、22・・・浸水度合検出部、23・・・長さ閾値設定部、24・・・身体状態検出部、25・・・因子無効部、26・・・子供判断部、27・・・報知部、28・・・強制排水部、41・・・表示部、49・・・スピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14