(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60L 53/00 20190101AFI20220203BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20220203BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20220203BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20220203BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20220203BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20220203BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220203BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220203BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20220203BHJP
H02K 21/24 20060101ALI20220203BHJP
B60K 6/28 20071001ALN20220203BHJP
B60W 10/08 20060101ALN20220203BHJP
B60W 10/26 20060101ALN20220203BHJP
B60W 20/13 20160101ALN20220203BHJP
【FI】
B60L53/00 ZHV
B60K7/00
B60L5/00 B
B60L9/18 P
B60L15/20 Z
B60M7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/90
H02K21/24 M
B60K6/28
B60W10/08 900
B60W10/26 900
B60W20/13
(21)【出願番号】P 2017171070
(22)【出願日】2017-09-06
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広行
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐貴彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真人
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-167044(JP,A)
【文献】特開2011-234451(JP,A)
【文献】特開2016-073061(JP,A)
【文献】特開2009-225656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/40
B60L 15/20
B60L 9/18
B60M 7/00
B60L 5/00
H02K 21/24
H02J 50/10
H02J 50/90
H02J 7/00
B60K 7/00
B60W 10/26
B60W 10/08
B60W 20/13
B60K 6/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
タイヤが装着されたホイールと、
前記ホイール内に配されたアキシャルギャップ型のモータジェネレータと、
前記バッテリから前記モータジェネレータに電力を供給する駆動状態と、前記ホイールの外部から前記モータジェネレータへ前記ホイールの中心軸方向に向って入力された磁界によって生じた電力を、前記バッテリに供給する給電状態とを
、給電用道路の走行中に切り換える制御部と、
を備え
、
前記磁界は、前記給電用道路において、前記ホイールに対向する高さに設けられた送電コイルから出力される車両。
【請求項2】
前記制御部は、
前記送電コイル側に位置する少なくとも1つの前記ホイールに設けられた前記モータジェネレータである第1モータジェネレータを前記給電状態とし、それ以外の前記モータジェネレータである第2モータジェネレータを前記駆動状態とする請求項
1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1モータジェネレータを交互に前記給電状態および前記駆動状態とし、前記第1モータジェネレータが前記給電状態のとき、前記第2モータジェネレータを前記駆動状態とし、前記第1モータジェネレータが前記駆動状態のとき、前記第2モータジェネレータを、前記バッテリとの電力の送受を行わないコースト状態とする請求項
2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2モータジェネレータを前記駆動状態としたときの駆動力が、前記第1モータジェネレータを前記駆動状態としたときの駆動力と同じとなるように制御する請求項
3に記載の車両。
【請求項5】
前記モータジェネレータは、
磁石と、
前記磁石と前記中心軸方向に離隔するコイルと、
を有し、
前記コイルを前記中心軸方向に移動させるアクチュエータを備える請求項1から
4のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールにモータジェネレータが配された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源としてモータジェネレータを搭載した電気自動車やハイブリッド車両が知られている。例えば、特許文献1に記載された電気自動車では、前輪のドライブシャフトの中央部近傍にアキシャルギャップ型のモータが設けられる。モータは、減速機構やディファレンシャルギヤを介してドライブシャフトに回転動力を伝達する。また、モータは、コイルが受電コイルとして機能し、送電コイルが配された路面からの非接触給電が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の電気自動車では、車体の底面側にモータが配置される。車両の種類によっては、車高を確保するために、モータの位置が高くなってしまう。この場合、モータの受電コイルと、路面に配された送電コイルとの距離が離れすぎて、送電効率が低下してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、効率的な非接触給電を実現することのできる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、バッテリと、タイヤが装着されたホイールと、ホイール内に配されたアキシャルギャップ型のモータジェネレータと、バッテリからモータジェネレータに電力を供給する駆動状態と、ホイールの外部からモータジェネレータへホイールの中心軸方向に向って入力された磁界によって生じた電力を、バッテリに供給する給電状態とを、給電用道路の走行中に切り換える制御部と、を備え、磁界は、給電用道路において、ホイールに対向する高さに設けられた送電コイルから出力される。
【0008】
制御部は、送電コイル側に位置する少なくとも1つのホイールに設けられたモータジェネレータである第1モータジェネレータを給電状態とし、それ以外のモータジェネレータである第2モータジェネレータを駆動状態としてもよい。
【0009】
制御部は、第1モータジェネレータを交互に給電状態および駆動状態とし、第1モータジェネレータが給電状態のとき、第2モータジェネレータを駆動状態とし、第1モータジェネレータが駆動状態のとき、第2モータジェネレータを、バッテリとの電力の送受を行わないコースト状態としてもよい。
【0010】
制御部は、第2モータジェネレータを駆動状態としたときの駆動力が、第1モータジェネレータを駆動状態としたときの駆動力と同じとなるように制御してもよい。
【0011】
モータジェネレータは、磁石と、磁石と中心軸方向に離隔するコイルと、を有し、コイルを中心軸方向に移動させるアクチュエータを備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、効率的な非接触給電を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】走行路を走行中の車両を前面から捉えた正面図である。
【
図4】給電処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、走行路Lを走行中の車両1の斜視図である。
図1に示すように、走行路Lの側方には、ガードレールGLが設けられる。また、走行路Lには、走行路Lが非接触式の給電が可能な道路であることを示す標識Mが設けられている。
【0016】
図2は、走行路Lを走行中の車両1を前面から捉えた正面図である。
図2に示すように、ガードレールGLには、非接触給電装置Nの送電コイルCが、例えば内蔵されている。送電コイルCは、車両1のうち、車輪2(後述するホイール3)と対向する高さに配置される。送電コイルCの中心軸は、例えば、走行路Lの幅方向に延在する。すなわち、送電コイルCの中心軸は、走行路Lを走行中の車両1に設けられた車輪2の回転軸方向と、大凡平行となる。送電コイルCに交流電力が供給されると、送電コイルCの中心軸方向に磁界が生じる。磁界は、交互に向きを反転させながら、ガードレールGL側に配された車輪2の内部を通る。
【0017】
図3は、車輪2の内部構造を説明するための図である。
図3中、破線は制御信号の流れを示し、一点鎖線は電力の流れを示す。ここでは、ガードレールGL側の前側の車輪2のみを示して説明するが、4つの車輪2は同じ構造となっている。
図3に示すように、車輪2は、ホイール3と、ホイール3の外周に装着されたタイヤ4を含んで構成される。ホイール3は、車体の中心側(
図3中、左側)が開口する円筒形状である。ホイール3のうち、車体の外側(
図3中、右側)には、底面部3aが形成される。底面部3aのうち、車体の外側の外面には、円形の窪みが形成される。底面部3aの窪みにカバー部3bが取り付けられる。
【0018】
ホイール3の内周側には、アキシャルギャップ型のモータジェネレータ5が設けられる。すなわち、モータジェネレータ5はインホイールモータである。モータジェネレータ5は、シャフト6、コイル7、および、磁石8、9を含んで構成される。
【0019】
シャフト6のうち、車体の外側の端部6aは、ホイール3の底面部3aおよびカバー部3bを貫通し、底面部3aに固定される。シャフト6の外周側には、円筒形状の支持部材10が配される。シャフト6は支持部材10に挿通される。支持部材10は、例えば、車体に固定される。支持部材10の内部には、2つの転がり軸受11、12が配される。シャフト6は、転がり軸受11、12によって軸支される。ここでは、2つの転がり軸受11、12が配される場合について説明したが、転がり軸受11、12の数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0020】
コイル7は、支持部材10の外周面に固定される。コイル7は、支持部材10の周方向の位置を異にして複数設けられる。コイル7の鉄心7aの中心軸は、車輪2の回転軸方向と平行に延在する。コイル7の巻線7bは、鉄心7aに巻き付けられる。
【0021】
磁石8は、底面部3aのうち、コイル7側の内面に固定される。また、コイル7のうち、磁石8と反対側(
図3中、左側)には、取付板13が設けられる。取付板13は、例えば、中心部に貫通孔が形成された円板形状であり、ホイール3の内周面に固定される。磁石9は、取付板13のうち、コイル7側の面に固定される。磁石8、9は、コイル7と同様、支持部材10の周方向の位置を異にして複数設けられる。磁石8、9は、鉄心7aを挟んで配置される。磁石8、9は、鉄心7aの中心軸方向(車輪2の回転軸方向)に鉄心7aから離隔して配置される。
【0022】
車両1に搭載されたバッテリ14の電力は、インバータ15を介してモータジェネレータ5に供給される。インバータ15は、モータジェネレータ5毎に設けられ、ECU16(制御部)の制御に応じて、バッテリ14から出力された直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ5のコイル7に出力する。
【0023】
モータジェネレータ5の回転軸の周りに並べて配置された複数のコイル7の各々に位相の異なる交流電力が供給されると、複数のコイル7は、モータジェネレータ5の回転軸の周りに回転する回転磁界を発生する。磁石8、9は、複数のコイル7の回転磁界の回転に同期して同方向に回転する。コイル7に交流電力が流れて磁極が切り換わると、磁力によって磁石8、9に回転動力が伝わる。こうして、ホイール3、タイヤ4、および、シャフト6は、磁石8、9と一体となって回転する。
【0024】
また、車両1の制動時、モータジェネレータ5は、車輪2の回転に伴って交流の回生電力を生じさせる。インバータ15は、ECU16の制御に応じて、交流の回生電力を直流電力に変換してバッテリ14に給電する。また、バッテリ14には、回生電力とは異なる電力による給電が可能である。
【0025】
すなわち、車両1が非接触給電用の走行路Lを走行中、ガードレールGLに設けられた送電コイルCによる給電が行われる。上記のように、送電コイルCの中心軸方向に生じた磁界は、ガードレールGL側に配された車輪2の内部を通る。車輪2の内部には、モータジェネレータ5が設けられており、モータジェネレータ5のコイル7が受電コイルとして機能する。
【0026】
送電コイルCからの磁界は、コイル7の鉄心7aを通り、送電コイルCの磁界が変化する。送電コイルCに臨むコイル7には、送電コイルCとコイル7との間の電磁誘導によって誘導起電力が生じる。磁界の反転に伴って、コイル7に交流電力が生じる。インバータ15は、ECU16の制御に応じて、誘導起電力による交流電力を直流電力に変換してバッテリ14に給電する。
【0027】
ここで、モータジェネレータ5およびインバータ15について、バッテリ14からモータジェネレータ5に電力を供給する状態を駆動状態と称する。また、ホイール3の外部の送電コイルCからの電力を、バッテリ14に供給する状態を給電状態と称する。給電状態では、電力は、モータジェネレータ5へホイール3の中心軸方向に向って入力された磁界によって生じる。
【0028】
車両1には、例えば、不図示の撮像装置が搭載されており、ECU16は、上記の標識Mを撮像装置が撮像し、非接触給電用の走行路Lを車両1が走行していることを認識したとする。ここでは、ECU16は、標識Mによって非接触給電用の走行路Lを車両1が走行していることを認識する場合について説明した。ただし、ECU16は、他の手段によって、非接触給電用の走行路Lを車両1が走行していることを認識してもよい。例えば、地図データ上に非接触給電用の走行路Lの位置情報が記録されており、GPSによって車両1の走行路Lが特定されてもよい。
【0029】
ECU16は、走行路Lを車両1が走行していることを認識すると、バッテリ14の残容量が所定閾値未満であるか否かを判定する。すなわちECU16は、バッテリ14に充電可能な空容量が残っているか否かを判定する。空容量が残っていれば、ECU16は、モータジェネレータ5およびインバータ15を駆動状態から給電状態に切り換える。車両1は、例えば、搭乗者の運転操作がなくとも自動で走行する自動走行に切り換わる。ECU16は、車両1に対するガードレールGLの位置を導出し、ガードレールGLに対して、ガードレールGL側の車輪2が所定の距離となるように、車両1の走行を制御する。ここで、所定の距離は、送電コイルCとコイル7との距離が非接触給電に最適となるように設定される。車両1の自動走行時、ガードレールGLとの距離の調整には、複数の撮像装置によって撮像された画像の視差情報を用いる処理、磁気共鳴を用いた処理、赤外線センサーを用いた処理などが用いられる。
【0030】
また、ここでは、車両1の走行中の給電について説明するが、例えば、駐車場などにおいて、車両1が所定の位置に停車して給電が行われてもよい。この場合、駐車場に送電コイルCが設置されており、例えば、磁気誘導方式によって、車両1が所定の位置に導かれてもよい。ここで、所定の位置は、送電コイルCとコイル7との距離が非接触給電に最適となるように設定される。
【0031】
そして、ECU16は、4つの車輪2のうち、ガードレールGL側の1つの車輪2のモータジェネレータ5(以下、第1モータジェネレータと称す)およびインバータ15のみを給電状態にする。ECU16は、他の3つの車輪2のモータジェネレータ5(以下、第2モータジェネレータと称す)およびインバータ15を駆動状態にする。
【0032】
ここでは、ECU16は、ガードレールGL側の1つの車輪2のモータジェネレータ5およびインバータ15のみを給電状態にする場合について説明した。ただし、ECU16は、4つの車輪2のうち、ガードレールGL側の2つの車輪2のモータジェネレータ5およびインバータ15を給電状態にしてもよい。ECU16は、例えば、要求される駆動力に応じ、駆動力が閾値より大きい場合、1つの車輪2のモータジェネレータ5を給電状態とし、駆動力が閾値より小さい場合、2つの車輪2のモータジェネレータ5を給電状態としてもよい。ここで、駆動力の閾値は、2つの車輪2のモータジェネレータ5を給電状態としたときに、他のモータジェネレータ5で出力可能な駆動力の上限値などである。
【0033】
このように、第1モータジェネレータを給電状態にし、第2モータジェネレータを駆動状態にすることで、第1モータジェネレータでバッテリ14に給電しつつ、第2モータジェネレータで車両1を駆動することが可能となる。すなわち、走行中のバッテリ14への給電が可能となる。
【0034】
また、モータジェネレータ5は、アキシャルギャップ型であるため、車両1の側方に位置するガードレールGLに設けられた送電コイルCからの電力を受電することができる。路面に送電コイルが設けられる場合に比べて、送電コイルCとの距離の調整が容易である。そのため、効率的な非接触給電を実現することが可能となる。また、コイル7の高さのバラつきは小さく、高さを調整する機構が不要となる。また、受電用に専用のコイルを設ける必要がなく、設置のための空間を別途確保する必要がなく、コストや重量を抑制することが可能となる。
【0035】
ここで、ECU16によるモータジェネレータ5の制御を詳細に説明する。ECU16は、車両1が走行路Lを走行中、第1モータジェネレータを交互に給電状態および駆動状態にする。そして、ECU16は、第1モータジェネレータが給電状態のとき、第2モータジェネレータを駆動状態にする。ECU16は、第1モータジェネレータが駆動状態のとき、第2モータジェネレータをコースト状態にする。ここで、コースト状態は、慣性力によって車輪2が回転している状態であり、モータジェネレータ5が、バッテリ14との電力の送受を行わない状態である。
【0036】
その結果、第1モータジェネレータからも駆動力が生じるため、第1モータジェネレータの駆動力と、第2モータジェネレータの駆動力との差分が抑制される。また、第2モータジェネレータをコースト状態とすることで、第1モータジェネレータの駆動力と、第2モータジェネレータの駆動力との差分がさらに抑制される。
【0037】
また、ECU16は、第2モータジェネレータを駆動状態としたときの車両1全体としての駆動力が、第1モータジェネレータを駆動状態としたときの車両1全体としての駆動力と同じとなるように、それぞれのモータジェネレータ5(すなわち、インバータ15)を制御する。その結果、車両1全体としての駆動力の変動が抑えられる。搭乗者に与える違和感をさらに抑制することができる。
【0038】
図4は、給電処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示す処理は、例えば、所定間隔を空けて繰り返し実行される。
【0039】
(S100)
ECU16は、車両1が非接触給電用の走行路Lを走行中であるか否かを判定する。車両1が走行路Lを走行中であれば、S102に処理を移す。車両1が走行路Lを走行中でなければ、当該給電処理を終了する。
【0040】
(S102)
ECU16は、バッテリ14の残容量が所定閾値未満であるか否かを判定する。所定閾値未満であれば、S104に処理を移す。所定閾値未満でなければ、当該給電処理を終了する。
【0041】
(S104)
ECU16は、ガードレールGLに対して、ガードレールGL側の車輪2が所定の距離となるように、車両1の走行を制御する。
【0042】
(S106)
ECU16は、第1モータジェネレータを交互に給電状態および駆動状態とする。同時に、ECU16は、第1モータジェネレータが給電状態のとき、第2モータジェネレータを駆動状態とし、第1モータジェネレータが駆動状態のとき、第2モータジェネレータをコースト状態とする。当該処理S106は、バッテリ14の容量が所定閾値以上となるまで継続される。
【0043】
図5は、第1変形例を説明するための図である。
図5(a)、(c)は、底面部3aおよびカバー部3bの正面図であり、
図5(b)、(d)は、底面部3aおよびカバー部3bの斜視図である。
【0044】
図5に示すように、第1変形例では、底面部3aには、周方向に離隔した複数の貫通孔3a1が形成される。貫通孔3a1は、底面部3aを車輪2の回転軸方向に貫通する。カバー部3bには、周方向に離隔した複数の貫通孔3b1が形成される。貫通孔3b1は、カバー部3bを車輪2の回転軸方向に貫通する。
【0045】
底面部3aの貫通孔3a1と、カバー部3bの貫通孔3b1は、例えば、同数、同形状である。貫通孔3a1、3b1は、例えば、周方向に等間隔に配される。隣り合う貫通孔3a1、3b1の周方向の間には、貫通孔3a1、3b1の1つ分以上の大きさが空けられている。
【0046】
モータジェネレータ5が駆動状態にあるとき、ECU16は、不図示のアクチュエータを制御し、カバー部3bを
図5(a)、
図5(b)に示す位置に配置する。すなわち、貫通孔3a1、3b1は、互いに重ならず、貫通孔3a1は、カバー部3bによって覆われる位置となる。
【0047】
モータジェネレータ5が給電状態にあるとき、ECU16は、不図示のアクチュエータを制御してカバー部3bを周方向に回転させる。カバー部3bは、
図5(c)、
図5(d)に示す位置に配置される。すなわち、貫通孔3a1、3b1は、互いに重なり合い、貫通孔3a1、3b1を介して、ホイール3の内部が露出する位置となる。
【0048】
このように、カバー部3bによって、底面部3aの貫通孔3a1が開閉する。そのため、モータジェネレータ5が駆動状態にあるとき、底面部3aの貫通孔3a1が閉じられ、モータジェネレータ5などから生じる電磁波の外部への放射が抑制される。また、モータジェネレータ5が給電状態にあるとき、送電コイルCからの電磁波(電力)は、貫通孔3a1、3b1を介して、コイル7に効率的に伝達される。
【0049】
図6は、第2変形例を説明するための図である。
図6(a)に示すように、第2変形例では、磁石9および取付板13が設けられていない。代わりに、支持部材10の外周面にアクチュエータ20が固定される。アクチュエータ20は、不図示の補機用バッテリの電力を受けて、ロッド20aが駆動する。ロッド20aのうち、アクチュエータ20の本体部から突出する突出部の長さが伸縮可能である。ロッド20aの先端部には、コイル7が固定される。コイル7は、支持部材10の外周面上を、車輪2の回転軸方向に摺動可能である。
【0050】
モータジェネレータ5が駆動状態にあるとき、ECU16は、アクチュエータ20を制御し、
図6(a)に示すように、ロッド20aの突出部が長い伸長状態とする。このとき、コイル7は、磁石8に最も近い位置となっている。
【0051】
モータジェネレータ5が給電状態にあるとき、ECU16は、アクチュエータ20を制御し、
図6(b)に示すように、ロッド20aの突出部が短い短縮状態とする。このとき、コイル7は、伸長状態のときよりも磁石8から離隔している。
【0052】
このように、アクチュエータ20によって、コイル7と磁石8との距離が可変となる。駆動状態では、コイル7と磁石8が近くなり、効率的に駆動力が生じる。給電状態では、コイル7と磁石8が遠くなり、車輪2の回転に伴う磁石8からの磁界の変化が、コイル7に影響し難くなる。そのため、効率的な給電が可能となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、ECU16は、第1モータジェネレータを交互に給電状態と駆動状態とする場合について説明した。ただし、ECU16は、給電処理の間、第1モータジェネレータを継続的に給電状態としてもよい。この場合、左右輪の駆動力にアンバランスが生じて車両1の進行方向が乱れる場合がある。そこで、ECU16は、例えば、操舵機構を自動制御して、車両1が走行路Lに沿って走行できるように舵角補正を行うとよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、ECU16がインバータ15(モータジェネレータ5)を制御する場合について説明した。ただし、インバータ15(モータジェネレータ5)を制御する制御部は、ECU16に限らず、他の制御装置に実装されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ホイールにモータジェネレータが配された車両に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
3 ホイール
4 タイヤ
5 モータジェネレータ
7 コイル
8、9 磁石
14 バッテリ
16 ECU(制御部)
20 アクチュエータ
C 送電コイル