IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フルノライフベスト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ロール巻長測定装置 図1
  • 特許-ロール巻長測定装置 図2
  • 特許-ロール巻長測定装置 図3
  • 特許-ロール巻長測定装置 図4
  • 特許-ロール巻長測定装置 図5
  • 特許-ロール巻長測定装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】ロール巻長測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/02 20060101AFI20220118BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20220118BHJP
   G01B 11/06 20060101ALI20220118BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20220118BHJP
   G01B 21/08 20060101ALI20220118BHJP
   G01B 21/10 20060101ALI20220118BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20220118BHJP
   B65H 26/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G01B21/02 Z
G01B11/02 Z
G01B11/06 Z
G01B11/08 Z
G01B21/08
G01B21/10
B65H7/14
B65H26/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017192357
(22)【出願日】2017-10-02
(65)【公開番号】P2019066335
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】316019819
【氏名又は名称】フルノライフベスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】田中 勉
(72)【発明者】
【氏名】小林 武司
(72)【発明者】
【氏名】三好 猛晴
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-188180(JP,A)
【文献】特開2001-067455(JP,A)
【文献】特開平07-088550(JP,A)
【文献】特開2005-014250(JP,A)
【文献】特開2001-158558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
B65H 23/18-23/198
B65H 26/00-26/08
B65H 43/00-43/08
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートロールのシートが巻かれた部分であるロール部の軸方向端部をそれぞれが互いに異なる方向で直線状に走査する、3つ以上のセンサと、
それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向外側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の外径を計算により取得する外径取得部と、
それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向内側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の内径を計算により取得する内径取得部と、
前記センサが出力する信号の周期的な変化に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを取得する層厚み取得部と、
前記内径取得部で得られた前記内径と、前記外径取得部で得られた前記外径と、前記層厚み取得部で得られた前記1層当たりの厚みと、から前記ロール部の巻長を取得する巻長取得部と、
を備えることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項2】
請求項に記載のロール巻長測定装置であって、
前記層厚み取得部は、前記センサが出力する信号に基づいて前記ロール部の軸方向端部の形状の空間周波数を求め、この空間周波数に基づいて前記ロール部の1層当たりの厚みを求めることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項3】
請求項に記載のロール巻長測定装置であって、
前記センサは、互いに異なる複数の空間サンプリング周波数でサンプリングしながら走査を行い、
前記層厚み取得部は、複数のサンプリング結果から得られた空間周波数同士を比較することで当該空間周波数が真の信号によるものか折返し信号によるものかを判定し、真の信号に対応する空間周波数に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを求めることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項4】
請求項又はに記載のロール巻長測定装置であって、
前記センサは、前記層厚み取得部が求めた空間周波数の2倍未満の空間サンプリング周波数で第2走査を行い、
前記層厚み取得部は、前記第2走査のサンプリング結果から検出された唸り信号の空間周波数を、唸り空間周波数として求め、
前記層厚み取得部は、元の空間周波数に対して前記唸り空間周波数を加算又は減算した補正空間周波数に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを求めることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項5】
請求項に記載のロール巻長測定装置であって、
前記センサは、元の空間周波数に対して前記唸り空間周波数を加算した第1空間周波数と、減算した第2空間周波数と、のうち少なくとも何れかについて、当該空間周波数の2倍未満の空間サンプリング周波数で第3走査を行い、
前記層厚み取得部は、前記第1空間周波数及び前記第2空間周波数のうち、前記第3走査のサンプリング結果から唸り信号が検出されなかった空間周波数を前記補正空間周波数とすることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項6】
請求項1からまでの何れか一項に記載のロール巻長測定装置であって、
前記シートロールに着脱可能な取付治具を備え、
前記取付治具は、
前記シートロールの内部に着脱可能な装着部と、
前記装着部に取り付けられるセンサ支持部と、
を備え、
前記センサは前記センサ支持部に配置されていることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項7】
請求項に記載のロール巻長測定装置であって、
前記装着部は、
前記シートロールの内部に挿入される挿入部と、
前記シートロールの内部に差し込まれた状態の前記挿入部を径方向外側に向かって押し付ける弾性部材と、
を備え、
前記センサ支持部は、前記装着部に着脱可能に取り付けられることを特徴とするロール巻長測定装置。
【請求項8】
シートロールのシートが巻かれた部分であるロール部の軸方向端部を、3つ以上のセンサのそれぞれにより互いに異なる方向で直線状に走査し、
それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向外側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の外径を計算により取得し、
それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向内側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の内径を計算により取得し、
前記センサが出力する信号の周期的な変化に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを取得し、
前記ロール部の外径及び内径と、前記ロール部の1層当たりの厚みと、により前記ロール部の巻長を取得することを特徴とするロール巻長測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートが巻かれたシートロールの巻長を計測する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートロールにおいて、巻かれたシートの長さを計測する技術が知られている。例えば、特許文献1は、ロール紙の初期全長から使用済みの紙の長さを減算してロール紙の残量を求めるロール紙残量検出方法を開示する。また、特許文献2は、使用したロール紙の長さの測長を用いてロール紙の残量を演算するロール用紙の残量表示装置を開示する。
【0003】
特許文献3は、特許文献1及び2はプリンタ上で用紙の残量を計測する発明であり、使用済みの紙の長さを測定又は演算する必要があって、用紙保管倉庫で用紙の残量を測定するのには適していないという課題を指摘する。この課題を解決するために特許文献3が提案する用紙残量測定装置は、用紙が巻かれている紙管の内側と、用紙の外周面と、のそれぞれにRFID(Radio Frequency IDentifier)タグを貼って、2つのRFIDタグの間の距離を算出することにより、巻かれた用紙の肉厚を求めて用紙の残量を算出する構成となっている。
【0004】
一方で、特許文献4は、ロール状に巻かれたシートの長さを計測するものではないが、積み上げられた紙の高さ方向に沿ってラインCCD(Charge Coupled Device)センサをスキャンして得られた画像において、画像の濃淡で表れた紙境界部を抽出し、抽出した紙境界部を計数した結果に基づいて紙枚数を計測する枚数計測装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-1508号公報
【文献】特開2002-347315号公報
【文献】特開2016-121932号公報
【文献】特開2004-94442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3の構成は、用紙厚みが既知でないと、巻かれた用紙の肉厚から長さを求めることができないため、汎用性が高いといえない。また、電波を用いて用紙の肉厚を測定する構成のため、電波を遮断するフィルム、金属繊維強化織物、金属箔等を巻いたシートロールについては、計測が不可能である。
【0007】
特許文献4の構成においては、紙境界部を計数処理するために、紙1枚当たり画像を10~20回取得している。従って、大量に重なった紙を計数する場合、走査に相当な時間を要する上、大量のデータを処理する必要があった。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、シートの素材を問わずシートロールの巻長を素早く正確に計測でき、安価なロール巻長測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のロール巻長測定装置が提供される。即ち、このロール巻長測定装置は、3つ以上のセンサと、外径取得部と、内径取得部と、層厚み取得部と、巻長取得部と、を備える。3つ以上の前記センサのそれぞれは、シートロールのシートが巻かれた部分であるロール部の軸方向端部を互いに異なる方向で直線状に走査する。前記外径取得部は、それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向外側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の外径を計算により取得する。前記内径取得部は、それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向内側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の内径を計算により取得する。前記層厚み取得部は、前記センサが出力する信号の周期的な変化に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを取得する。前記巻長取得部は、前記内径取得部で得られた前記内径と、前記外径取得部で得られた前記外径と、前記層厚み取得部で得られた前記1層当たりの厚みと、から前記ロール部の巻長を取得する。
【0011】
これにより、ロール部における1層当たりの厚みを求めて、巻長を取得することができる。また、ロール部の軸方向端部を走査することで巻長を取得するため、様々な素材のシートを巻いたシートロールに対応することができる。ロール部の外径と内径を、3点を通る円の半径を求める計算により精度良く求めることができる。
【0016】
前記のロール巻長測定装置において、前記層厚み取得部は、前記センサが出力する信号に基づいて前記ロール部の軸方向端部の形状の空間周波数を求め、この空間周波数に基づいて前記ロール部の1層当たりの厚みを求めることが好ましい。
【0017】
これにより、ロール部の1層当たりの厚みを正確に求めることができる。
【0018】
前記のロール巻長測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センサは、互いに異なる複数の空間サンプリング周波数でサンプリングしながら走査を行う。前記層厚み取得部は、複数のサンプリング結果から得られた空間周波数同士を比較することで当該空間周波数が真の信号によるものか折返し信号によるものかを判定し、真の信号に対応する空間周波数に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを求める。
【0019】
これにより、サンプリング定理に従って空間サンプリング周波数を設定しなくても、折返し信号ではなく真の信号に相当する空間周波数を求めて、ロール部の1層当たりの厚みを正しく求めることができる。従って、空間サンプリング周波数を大きくする必要がないので、コストを低減でき、また、迅速な測定が可能になる。
【0020】
前記のロール巻長測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センサは、前記層厚み取得部が求めた空間周波数の2倍未満の空間サンプリング周波数で第2走査を行う。前記層厚み取得部は、前記第2走査のサンプリング結果から検出された唸り信号の空間周波数を、唸り空間周波数として求める。前記層厚み取得部は、元の空間周波数に対して前記唸り空間周波数を加算又は減算した補正空間周波数に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを求める。
【0021】
これにより、第2走査を行って、アンダーサンプリング効果に基づく唸り信号の空間周波数を求めて補正することで、より正確な空間周波数を求めることができる。
【0022】
前記のロール巻長測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記センサは、元の空間周波数に対して前記唸り空間周波数を加算した第1空間周波数と、減算した第2空間周波数と、のうち少なくとも何れかについて、当該空間周波数の2倍未満の空間サンプリング周波数で第3走査を行う。前記層厚み取得部は、前記第1空間周波数及び前記第2空間周波数のうち、前記第3走査のサンプリング結果から唸り信号が検出されなかった空間周波数を前記補正空間周波数とする。
【0023】
これにより、唸り空間周波数を加算するか減算するかを、第3走査に基づいて正しく選択して、適切な補正空間周波数を求めることができる。
【0024】
前記のロール巻長測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このロール巻長測定装置は、前記シートロールに着脱可能な取付治具を備える。前記取付治具は、装着部と、センサ支持部と、を備える。前記装着部は、前記シートロールの内部に着脱可能である。前記センサ支持部は、前記装着部に取り付けられる。前記センサは前記センサ支持部に配置されている。
【0025】
これにより、取付治具を用いて、センサを、ロール部における軸方向端部を走査し易い位置に配置することができる。また、取付治具はシートロールの内部に装着されるので、センサによる走査の際に取付治具が邪魔になりにくく、円滑な走査を実現できる。
【0026】
前記のロール巻長測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記装着部は、挿入部と、弾性部材と、を備える。前記挿入部は、前記シートロールの内部に挿入される。前記弾性部材は、前記シートロールの内部に差し込まれた状態の前記挿入部を径方向外側に向かって押し付ける。前記センサ支持部は、前記装着部に着脱可能に取り付けられる。
【0027】
これにより、様々な内径のシートロールに対しても、取付治具を容易に取り付けることができる。また、センサ支持部を装着部から取り外した状態で、装着部をシートロールに装着できるので、作業性が良好である。
【0028】
本発明の第2の観点によれば、以下のロール巻長測定方法が提供される。即ち、シートロールのシートが巻かれた部分であるロール部の軸方向端部を、3つ以上のセンサのそれぞれにより互いに異なる方向で直線状に走査する。それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向外側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の外径を計算により取得する。それぞれの前記センサが前記ロール部の径方向内側の端部の位置を検出して出力する信号に基づいて前記ロール部の内径を計算により取得する。前記センサが出力する信号の周期的な変化に基づいて、前記ロール部の1層当たりの厚みを取得する。前記ロール部の外径及び内径と、前記ロール部の1層当たりの厚みと、により前記ロール部の巻長を取得する。
【0029】
これにより、ロール部における1層当たりの厚みを求めて、巻長を取得することができる。また、ロール部の軸方向端部を走査することで巻長を取得するため、様々な素材のシートを巻いたシートロールに対応することができる。ロール部の外径と内径を、3点を通る円の半径を求める計算により精度良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係るロール巻長測定装置の構成を示すブロック図。
図2】取付治具の構成を示す斜視図。
図3】シートロールに取付治具を装着する様子を示す斜視図。
図4】センサを用いてロール部の軸方向端部の面を走査して得られた信号を説明する概念図。
図5】折返し周波数が真の信号の空間周波数よりも低い側に現れる場合を説明するグラフ。
図6】折返し周波数が真の信号の空間周波数よりも高い側に現れる場合を説明するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るロール巻長測定装置1の構成を示すブロック図である。図2は、取付治具9の構成を示す斜視図である。図3は、シートロール10に取付治具9を装着する様子を示す斜視図である。
【0032】
図1に示すロール巻長測定装置1は、センサ2と、ロール巻長測定部3と、を備える。ロール巻長測定装置1は、センサ2が配置された図2に示す取付治具9を用いて、図3に示すシートロール10の巻芯11に巻かれたシート12の巻長Lを測定できるように構成されている。
【0033】
図2に示す取付治具9は、測定対象のシートロール10に対して着脱可能に構成されている。また、取付治具9は、シートロール10のロール部13の軸方向端部の面をセンサ2により走査するセンサユニットとして構成されている。以下の説明では、ロール部13の軸方向端部の面を軸端面と呼ぶことがある。
【0034】
図2及び図3に示すように、取付治具9は、巻芯装着部(装着部)80と、センサ支持部90と、を備える。
【0035】
巻芯装着部80は、図3に示すシートロール10が有する管状(円筒状)の巻芯11に対して着脱可能に設けられている。巻芯装着部80は、3つの分割部材83と、ゼンマイバネ(弾性部材)82と、を備える。
【0036】
3つの分割部材83は、互いに同一の構成とされ、周方向で等間隔に並べて配置されている。それぞれの分割部材83は、押圧部85と、止め部84と、を備える。
【0037】
押圧部85は、巻芯11の内部に実際に差し込まれる部分である。3つの分割部材83が備える押圧部85により、巻芯11の軸方向一端から軸孔の内部に挿入可能な挿入部81が構成されている。
【0038】
それぞれの押圧部85は、細長い円弧板状に形成されている。押圧部85の円弧角は、例えば60°とすることが考えられる。押圧部85の内側には、複数のゼンマイバネ82が軸方向に並べて配置される。押圧部85の内壁には図示しない凹凸が形成されており、ゼンマイバネ82を軸方向で動かないように保持することができる。
【0039】
押圧部85の先端部には、先端に近づくに従って径を減少させる円錐状のテーパ面85aが形成されている。これにより、挿入部81を巻芯11の内部に円滑に差し込むことができる。
【0040】
止め部84は、扇形の板状に形成され、その径方向内側の端部が押圧部85の長手方向一端部と接続されている。これにより、押圧部85を巻芯11の内部に入れ過ぎるのを防止できる。止め部84の厚み方向における一側の面(具体的に言えば、押圧部85が突出する方向と反対側を向く面)には、後述のセンサ支持部90を取り付けるための磁石86が設けられている。止め部84が押圧部85と接続する部分は正確に90°をなすように形成されており、これにより、後述のセンサ支持部90がシートロール10に対して傾くのを防止することができる。
【0041】
止め部84の扇形の円弧角は、周方向で隣接する分割部材83の止め部84との間に十分な隙間を形成することができる大きさとされている。この円弧角は、例えば60°とすることが考えられる。ロール部13の軸端面のうち、この隙間から露出する部分が、センサ2によって走査される。
【0042】
ゼンマイバネ82は、分割部材83が備える3つの押圧部85の径方向内側に、軸方向に3つ並べて配置されている。それぞれのゼンマイバネ82は、3つのうち1つの押圧部85にだけ固定されている。押圧部85(言い換えれば、挿入部81)は、ゼンマイバネ82が有する拡径方向のバネ力により、巻芯11の内壁を径方向外側に向かって押圧する。これにより、取付治具9を巻芯11に対して安定して保持することができる。
【0043】
センサ支持部90は、例えば合成樹脂によって円板状に形成されている。センサ支持部90の外径は、測定対象として想定されるロール部13の外径より十分に大きく形成されている。
【0044】
センサ支持部90の厚み方向一側の面には、磁石86の位置に対応して、鉄等の金属で形成された3つの吸着板95が固定されている。吸着板95が磁石86の磁力で吸着されることにより、センサ支持部90を巻芯装着部80に取り付けて固定することができる。取付位置の目印となるように、センサ支持部90の中心には円形の小さな開口部91が形成されている。
【0045】
当該センサ支持部90の厚み方向における一側の面(具体的に言えば、巻芯装着部80に取り付けられる側を向く面)には、3つの直線状のセンサガイド部92が、当該センサ支持部90の中心から放射状に設けられている。センサガイド部92は、周方向で互いに等しい間隔で配置される。当該センサガイド部92は、センサ支持部90の中心近傍から外縁近傍まで延びる凹溝状に形成されている。
【0046】
センサガイド部92の長手方向は、巻芯装着部80に取り付けたときに、当該巻芯装着部80の軸線に対して垂直となっている。なお、センサガイド部92は、凹溝を形成することに代えて、センサ支持部90にレール部材を取り付けることにより構成されても良い。
【0047】
それぞれのセンサガイド部92には、センサ2が固定されたキャリッジ93が、当該センサガイド部92に沿ってスライドできるように取り付けられている。キャリッジ93は、図示しない移動機構(例えばベルト機構又はネジ送り機構等)により移動することができる。
【0048】
以上のように構成された取付治具9を用いることで、ロール部13における軸端面を走査できる位置にセンサ2を配置することができる。また、取付治具9は巻芯11に装着されるので、センサ2による走査の際に取付治具9が邪魔になりにくく、円滑な走査を実現できる。
【0049】
取付治具9をシートロール10に装着するには、最初に、図3に示すように、巻芯装着部80の挿入部81を巻芯11に差し込む。挿入部81は径方向の拡大/縮小が可能であり、ゼンマイバネ82による拡径方向のバネ力によって巻芯11の内壁に押し付けられるので、様々な径の巻芯11に対して取付治具9を容易に取り付けることができる。また、センサ支持部90を巻芯装着部80から取り外した状態で、巻芯装着部80を巻芯11に装着できるので、取付作業を効率良く行うことができる。
【0050】
その後、センサ支持部90を、センサガイド部92が2つの止め部84の間に位置するように、巻芯装着部80に取り付ける。この結果、センサガイド部92と止め部84とが周方向で交互に並ぶように配置されるので、止め部84がセンサ2の走査の邪魔になることを防止できる。
【0051】
センサ2は、ロール部13の軸端面を走査して、その形状を電気信号として出力する。センサ2としては、例えば、発光部と受光部とを備え、発光部からの光が反射した反射光を受光部で検出するフォトセンサを用いることができる。
【0052】
センサ2は、モータ20が上記の移動機構を駆動することにより、センサガイド部92に沿ってキャリッジ93とともにスライドし、ロール部13の軸端面を、ほぼ径方向に沿って直線状に走査する。この走査により、当該ロール部13の径方向両端部(径方向外側の端部及び内側の端部)の位置に関する情報と、ロール部13の軸端面の凹凸に関する情報と、を検出することができる。
【0053】
センサ2が走査する方向は、巻芯11に装着された取付治具9によって、巻芯11の軸に対して垂直となるように向けられる。これにより、巻長Lの計測を正確に行うことができる。
【0054】
センサガイド部92に取り付けられた3つのセンサ2のそれぞれは、各センサガイド部92に沿って、互いに異なる方向でロール部13を走査する。これにより、局所的な巻ムラによる影響を低減することができ、ロール部13の巻き情報をより正確に検出することができる。
【0055】
ロール巻長測定部3は、図1に示すように、外径取得部4と、内径取得部5と、層厚み取得部6と、巻長取得部7と、を備える。
【0056】
具体的には、ロール巻長測定部3は公知のコンピュータとして構成されており、図略のCPU、ROM、RAM等を備える。また、前記ROMには、本発明のロール巻長測定方法を実現するためのプログラムが予め記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、ロール巻長測定部3を、外径取得部4、内径取得部5、層厚み取得部6及び巻長取得部7として動作させることができる。
【0057】
外径取得部4は、センサ2が検出したロール部13の径方向外側の端部の位置に基づいて、ロール部13の外径bを計算により取得する。具体的に説明すると、この外径bは、3つのセンサ2のそれぞれがロール部13の径方向外側の端部を検出したタイミングでの位置を用いて、当該3つの位置を通る円の半径を求めることで得ることができる。
【0058】
内径取得部5は、センサ2が検出したロール部13の径方向内側の端部の位置に基づいて、ロール部13の内径aを計算により取得する。この内径aは、上記の外径bと全く同様に求めることができる。
【0059】
このように、外径取得部4及び内径取得部5は、ロール部13の径方向外側及び内側の端部の位置に基づいて、ロール部13の外径b及び内径aを、簡単な計算処理により得ることができる。また、3つのセンサ2が互いに異なる方向で直線状に走査して、ロール部13の径方向外側及び内側の端部の位置を取得するので、ロール部13の外径b及び内径aを、3点を通る円の半径を求める計算により精度良く求めることができる。
【0060】
層厚み取得部6は、センサ2がロール部13の軸端面の凹凸を検出して出力する信号の周期的な変化に基づいて、ロール部13の1層当たりの厚みdを取得する。具体的には、層厚み取得部6は、モータ20で駆動されるキャリッジの速度に基づいて、センサ2の出力信号を位置に対する関係で表し、更にFFT等による公知の周波数解析を行うことで、ロール部13の軸端面の形状の空間周波数Fdを求める。
【0061】
ロール部13の軸端面には、シート12が1層ずつ巻かれて形成された巻層の端部の凹凸が現れている。従って、この凹凸をセンサ2により検出して得られた信号を位置に対する関係で表すと、図4に概念的に示すように、周期的な変化が現れる。層厚み取得部6は、この周期的な変化に関する空間周波数Fdを用いることで、1層当たりの厚みdを正確に求めることができる。
【0062】
巻長取得部7は、外径取得部4で取得された外径bと、内径取得部5で取得された内径aと、層厚み取得部で取得された厚みdと、に基づいて、下記の式(1)及び(2)を用いた計算によりロール部13の巻長Lを取得する。
【数1】
【数2】
なお、上記の式は、厚みがdで長さがLの長方形の面積と、ロール部13の軸端面の面積と、が等しいと考えることで導くことができる。
【0063】
続いて、層厚み取得部6による空間周波数Fdの取得について詳細に説明する。
【0064】
先ず、層厚み取得部6は、センサ2を用いて、互いに異なる3つの空間サンプリング周波数Fa,Fb,Fcで、ロール部13の軸端面をサンプリングする(第1走査)。具体的な空間サンプリング周波数としては、例えば、Fa=9(回/mm)、Fb=10(回/mm)、Fc=11(回/mm)とすることができるが、これに限られない。なお、空間サンプリング周波数の変更は、サンプリングの時間間隔を一定とした上で、モータ20によるキャリッジ93の移動速度を変更することで実現することができる。
【0065】
3つのデータの取得は、1つのセンサ2によって走査速度を異ならせながら3回サンプリングすることで得ることができる。ただし、3つのセンサ2がそれぞれ走査速度を互いに異ならせながら同時にサンプリングしても良い。層厚み取得部6は、上記の3種類のデータについてそれぞれ周波数解析を行うことにより、ロール部13の軸端面の凹凸を表す空間周波数Fda,Fdb,Fdcを求める。以下の説明では、ロール部13の軸端面の凹凸を表す空間周波数を凹凸空間周波数と呼ぶことがある。
【0066】
ロール部13の1層当たりの厚みd(言い換えれば、シート12の厚み)は未知であるので、空間サンプリング周波数Fa,Fb,Fcがサンプリング定理を満たしている場合と、そうでない場合と、の両方が考えられる。サンプリング定理を満たさない場合は、いわゆる折返し周波数が前記の凹凸空間周波数Fda,Fdb,Fdcとして検出されてしまう場合がある。そこで、層厚み取得部6は、以下のようにして、折返し周波数を除外し、正しい凹凸空間周波数を取得している。
【0067】
先ず、層厚み取得部6は、2つの空間サンプリング周波数Fa,Fbでサンプリングしてそれぞれ得られた凹凸空間周波数Fda,Fdbを比較する。凹凸空間周波数Fda,Fdbの値がほぼ同じであれば、この凹凸空間周波数Fda,Fdbを、1層当たりの厚みdを表す空間周波数Fdとして採用して良いと考えられる。
【0068】
一方、2つの凹凸空間周波数Fda,Fdbの差が大きいときは、2つの凹凸空間周波数Fda,Fdbの一方だけが折返し周波数である場合、又は、両方が折返し周波数である場合が考えられる。そこで、凹凸空間周波数FdaとFdbとの差が大きい場合は、層厚み取得部6は、観測された凹凸空間周波数Fdaが折返し周波数であったと仮定して、凹凸空間周波数Fda及び空間サンプリング周波数Faに基づき、対応する(真の)凹凸空間周波数Fda1を計算する。
【0069】
真の信号の周波数と、折返し信号の周波数とは、サンプリング周波数の1/2の周波数を中心として対称に現れる性質がある。観測された凹凸空間周波数Fdaが折返し周波数であった場合の真の凹凸空間周波数Fda1は、上記の性質を用いて容易に計算することができる。得られた凹凸空間周波数Fda1が前述の凹凸空間周波数Fdbと一致していれば、この凹凸空間周波数Fda1,Fdbを、1層当たりの厚みdを表す空間周波数Fdとして採用して良いと考えられる。
【0070】
上記でも一致していない場合、層厚み取得部6は、観測された凹凸空間周波数Fdbが折返し周波数であったと仮定して、凹凸空間周波数Fdb及び空間サンプリング周波数Fbに基づき、対応する(真の)凹凸空間周波数Fdb1を計算する。
【0071】
得られた凹凸空間周波数Fdb1が凹凸空間周波数Fdaと一致していれば、層厚み取得部6は、当該凹凸空間周波数Fda,Fdb1を、1層当たりの厚みdを表す空間周波数Fdとして採用する。また、凹凸空間周波数Fdb1が上記の凹凸空間周波数Fda1と一致していれば、層厚み取得部6は、当該凹凸空間周波数Fda1,Fdb1を、1層当たりの厚みdを表す空間周波数Fdとして採用する。
【0072】
層厚み取得部6は、上記の比較による空間周波数Fdの取得を、凹凸空間周波数Fda,Fdbの間だけでなく、凹凸空間周波数Fdb,Fdcの間、凹凸空間周波数Fda,Fdcの間についても同様に行う。空間周波数Fdとして得られた幾つかの値を平均することで、1層当たりの空間周波数Fdを精度良く求めることができる。
【0073】
真の凹凸空間周波数と折返し周波数との関係について、グラフを用いて説明する。図5は、折返し周波数が真の信号の空間周波数よりも低い側に現れる場合を説明するグラフである。図6は、折返し周波数が真の信号の空間周波数よりも高い側に現れる場合を説明するグラフである。
【0074】
センサ2が出力する信号を周波数領域で表現すると、図5及び図6に示すように、真の信号を観測できた場合、観測により得られた凹凸空間周波数Fda,Fdb,Fdcは互いに一致する。一方、折返し信号を観測してしまった場合は、観測により得られた凹凸空間周波数Fda,Fdb,Fdcは互いに異なる。従って、異なる複数の空間周波数でサンプリングして得られた凹凸空間周波数Fda,Fdb,Fdcを互いに比較することで、センサ2の出力信号を解析して得られた凹凸空間周波数が、真の信号による空間周波数であるか、折返し信号による周波数であるかを容易に判断することができる。
【0075】
続いて、上記のようにサンプリングを行って空間周波数Fdを求めることによる効果について説明する。
【0076】
上述したとおりシートの厚みは未知であるが、例えば、薄い紙は0.01mm程度の厚さである。この薄い紙を巻いたロール部13をサンプリングする場合、サンプリング定理に従えば、サンプリング周波数は200(回/mm)以上とする必要がある。
【0077】
しかし、そのような大きなサンプリング周波数でサンプリングしようとすると、走査に要する時間の増大、及び、センサ2の高価格化等の原因となってしまう。また、サンプリングしたデータが多いために、データ処理に時間を要してしまう。
【0078】
この点、本実施形態においては、層厚み取得部6は、サンプリング定理を満たさないアンダーサンプリングが生じることを想定して、折返し信号ではなく真の信号に相当する空間周波数Fdを求めている。このため、センサ2として安価なフォトセンサを用いた構成でも、十分な精度で、かつ高速に、ロール部13の1層当たりの厚みdを求めることができる。
【0079】
次に、1層当たりの空間周波数をより精密に測定する方法について説明する。
【0080】
上述の第1走査により得られた空間周波数は、真の空間周波数に対して多少の誤差を生じていると考えられる。そこで、層厚み取得部6は、第1走査により得られた空間周波数を仮空間周波数Fdpとおき、この仮空間周波数Fdpに対してサンプリング定理を満たさない空間サンプリング周波数で、ロール部13の軸端面を再びサンプリングする(第2走査)。このときの空間サンプリング周波数は、仮空間周波数Fdpに対してサンプリング定理を満たさなければ良く、原理的には仮空間周波数Fdpの2倍未満であれば良い。空間サンプリング周波数は、仮空間周波数Fdpの1/n(ただし、nは2以上の整数)、例えば1/5とすることが考えられる。
【0081】
真の空間周波数Fdと、仮空間周波数Fdpと、の間に誤差がある場合、上記の第2走査では、アンダーサンプリング効果により、当該誤差(Fd-Fdpの絶対値)に相当する低い周波数の唸りのような信号が現れる。以下の説明では、この信号を唸り信号と呼ぶことがある。層厚み取得部6は、唸り信号の空間周波数である唸り空間周波数Ferrを求める。
【0082】
唸り空間周波数Ferrを求めるだけでは、仮空間周波数Fdpが真の空間周波数Fdに対して大きいのか小さいのかはわからない。そこで、層厚み取得部6は、元の空間周波数である仮空間周波数Fdpに対して唸り空間周波数Ferrを加算した第1空間周波数Fd1と、仮空間周波数Fdpから唸り空間周波数Ferrを減算した第2空間周波数Fd2と、を求める。即ち、Fd1=Fdp+Ferr、Fd2=Fdp-Ferrとなる。
【0083】
層厚み取得部6は、上記のようにして求めた第1空間周波数Fd1について、当該第1空間周波数Fd1に対してサンプリング定理を満たさない空間サンプリング周波数で、再び走査を行う(第3走査)。具体的な空間サンプリング周波数としては、上述と同様の考え方で、第1空間周波数Fd1の1/n(ただし、nは2以上の整数)、例えば1/5とすることが考えられる。
【0084】
第1空間周波数Fd1が真の空間周波数Fdと一致していれば、アンダーサンプリング効果による唸り信号は現れないはずである。従って、層厚み取得部6は、上記の唸り信号を検出できない場合は、第1空間周波数Fd1を、補正空間周波数Fdmとする。
【0085】
層厚み取得部6が唸り信号を検出した場合は、第2空間周波数Fd2が空間周波数Fdと一致することを意味するので、層厚み取得部6は、第2空間周波数Fd2を、補正空間周波数Fdmとする。なお、第2空間周波数Fd2に対してサンプリング定理を満たさない空間サンプリング周波数で、再度第3走査を行って、唸り信号が検出されないことを確認しても良い。
【0086】
上記した第2走査及び第3走査は、唸り信号の周波数又は唸り信号の有無を検出できれば良いので、ロール部13の軸端面をセンサ2により全部走査する必要はない。一部のみの走査とすることで、精度の良い空間周波数Fdを素早く求めることができる。
【0087】
このように、第2走査及び第3走査を行うことにより、第1走査で得られた仮空間周波数Fdpを、求められた唸り空間周波数Ferrにより補正して、適切な補正空間周波数Fdmを空間周波数Fdとして求めることができる。これにより、ロール部13の1層当たりの厚みdを正確に得ることができる。また、唸り空間周波数Ferrを仮空間周波数Fdpに対して加算するか減算するかを、第3走査に基づいて正しく選択して、適切な補正空間周波数Fdmを求めることができる。
【0088】
以上に説明したように、本実施形態のロール巻長測定装置1は、センサ2と、外径取得部4と、内径取得部5と、層厚み取得部6と、巻長取得部7と、を備える。センサ2は、シートロール10のシート12が巻かれた部分であるロール部13の軸方向端部を走査する。外径取得部4は、センサ2が出力する信号に基づいてロール部13の外径bを取得する。内径取得部5は、センサ2が出力する信号に基づいてロール部13の内径aを取得する。層厚み取得部6は、センサ2が出力する信号の周期的な変化に基づいて、ロール部13の1層当たりの厚みdを取得する。巻長取得部7は、内径取得部5で得られた内径aと、外径取得部4で得られた外径bと、層厚み取得部6で得られた1層当たりの厚みdと、からロール部13の巻長Lを取得する。
【0089】
また、本実施形態では、シートロール10のシート12が巻かれた部分であるロール部13の巻長Lを、以下のような方法で測定している。即ち、ロール部13の軸方向端部をセンサ2により走査する。センサ2が出力する信号に基づいてロール部13の外径bを取得する。センサ2が出力する信号に基づいてロール部13の内径aを取得する。センサ2が出力する信号の周期的な変化に基づいて、ロール部13の1層当たりの厚みdを取得する。ロール部13の外径b及び内径aと、ロール部13の1層当たりの厚みdと、によりロール部13の巻長Lを取得する。
【0090】
これにより、ロール部13における1層当たりの厚みdを求めて、巻長Lを取得することができる。また、ロール部13の軸方向端部を走査することで巻長Lを取得するため、様々な素材のシート12を巻いたシートロール10に対応することができる。
【0091】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0092】
第1走査において、3つの空間サンプリング周波数Fa,Fb,Fcで走査することに代えて、2つの空間サンプリング周波数Fa,Fbでサンプリングを行っても良い。また、2つの空間サンプリング周波数Fa,Fbで求めたFda,Fdbによっても、確からしい凹凸空間周波数Fdが得られなかった場合に、もう1つの空間サンプリング周波数Fcで第1走査を行っても良い。
【0093】
上記の第2走査及び第3走査を省略して、第1走査により得られた凹凸空間周波数Fdを用いて、ロール部13の1層当たりの厚みdを求めても良い。
【0094】
円筒状に形成された巻芯11の厚みが予め分かっている場合、内径取得部5は、ゼンマイバネ82による押圧部85の径方向への変位量を適宜のセンサで測定することで巻芯11の内径を求め、この内径に上記の厚みを加算することで、ロール部13の内径aを取得することもできる。
【0095】
ロール巻長測定装置1は、巻芯11なしで単にシートを巻いただけのシートロールについても、巻長を測定するために用いることができる。この場合、巻芯装着部80を、巻芯の内部でなく、シートが巻かれた部分(ロール部)の内部に直接挿入することになる。
【0096】
巻芯装着部80とセンサ支持部90との着脱は、磁石86によるものに代えて、凹凸構造やピン結合等による機械的な着脱によって実現されても良い。また、巻芯装着部80とセンサ支持部90とが一体的に形成されても良い。
【0097】
分割部材83は、周方向に3つでなく、2つ又は4つ以上に分割された形状となっていても良い。
【0098】
押圧部85の構成としては、円弧板状とすることに代えて、例えば丸棒状とすることもできる。
【0099】
センサ支持部90の形状は、上記の構成に限定されない。例えば、センサ支持部90を円板状とする代わりに、放射状に配置された3本の直線状のアームによってセンサガイド部92を支持する構成とすることが考えられる。
【0100】
センサ2としては、フォトセンサの代わりに、例えばラインセンサ等を用いることができる。
【0101】
センサ2の数は、1つ又は2つでも良いし、4つ以上でも良い。また、センサ2が1つの場合、センサ支持部90をアーム状に形成し、このアームを巻芯装着部80に対して回転可能に構成することで、3方向以上の走査を実現しても良い。
【0102】
ゼンマイバネ82の代わりに、例えばゴム等を用いても良い。
【0103】
本発明のロール巻長測定装置1は、どのようなシート12を巻いたシートロール10であっても、原則として巻長Lを計測することができる。例えば、紙のほか、ビニールシート等のプラスチックフィルム、金属繊維強化織物、金属箔、鋼鉄シート等を巻いたシートロールに適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 ロール巻長測定装置
2 センサ
4 外径取得部
5 内径取得部
6 層厚み取得部
7 巻長取得部
10 シートロール
11 巻芯
12 シート
13 ロール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6