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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20220118BHJP
   B65D 75/02 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B65D77/04 F
B65D75/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017209174
(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2019081564
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光一
(72)【発明者】
【氏名】松原 正幸
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-43685(JP,A)
【文献】特開2001-206441(JP,A)
【文献】実開平7-8292(JP,U)
【文献】国際公開第2017/146056(WO,A1)
【文献】実開昭51-45070(JP,U)
【文献】特開平11-124190(JP,A)
【文献】特開2002-70302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 85/00-85/90
E04F 19/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面のうちの一面が略平坦面である2つの部品であって、少なくとも一方の部品は他面に突出部を有する2つの部品を梱包する梱包体であって、つなぎ目で連結された2つの収容部を有して各収納部にそれぞれ一の部品を収容する内袋と、2つの部品を収容した内袋を巻いて覆うシート状物と、これら2つの部品、内袋およびシート状物を封入する外袋とからなり、前記2つの部品は、内袋の各収容部に、前記一面同士を対向させ、少なくとも一方の部品が前記他面に有する突出部を外方に突出させた状態で収容されることを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記シート状物が、部品に関する事項が記載されたものであることを特徴とする請求項1記載の梱包体。
【請求項3】
前記部品が、表面が略平坦面であり裏面に突出部を有する略同形状の一対の部材からなり、これら部材の表面同士を対向させ、裏面の突出部を両側に突出させた状態で梱包されることを特徴とする請求
項1または2記載の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一面に突出部を有する部品を梱包するに適した梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、建物などの開口部に開閉自在に設けられる引戸1には、開閉操作のために手指を掛ける引手2が設けられる。引手2としては、合成樹脂や金属から図2に示すような形状に成形された一対の引手部材3,3が広く用いられている。各引手部材3は、平板状の引手本体4の表面側から手掛部5が凹設されると共に、裏面側には連結部6が突出形成されている。引戸1の引手2取付位置に、手掛部5の平面形状に応じた取付穴(図示せず)を形成し、一対の引手部材3,3の手掛部5,5を引戸1の表裏両面側から取付穴に嵌め込み、これらを両側から押し込んで連結部6,6同士を連結させることにより一体化されて、ワンタッチで引手2が形成される。
【0003】
図2(および他図)において連結部6の詳細は図示省略されているが、一例として、図8に示すように、外面に係合爪7aを有する凸部7を、内面に係合爪8aを有する凹部8に嵌合させて一体化させるような形状を有するものとすることができる。図8では、一方の連結部6の一の凸部7を他方の連結部6の一の凹部8に嵌合させる構成が示されているが、各連結部6が有する凸部7または凹部8の数は任意である。
【0004】
ところで、板状の梱包材料を梱包する梱包体として、特許文献1に記載のものが知られている。この従来技術は、梱包材料を熱収縮性合成樹脂フィルムで被覆する梱包体において、梱包材料の保護面と合成樹脂フィルムとの間に空気緩衝部を形成することにより、梱包材料を保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-240741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような引戸部材3,3は、引手本体4,4の手掛部5,5が引戸1の表面側となるように取り付けられるので、輸送中にこの面が傷付かないように、引手本体4,4同士を対向させた状態で梱包されるのが通例であるが、このようにすると連結部6,6が両側に突出した状態となるため、輸送時に他の製品や周囲の構造物などに衝突して破損する事故の原因となっていた。特許文献1記載の梱包体を用いても、両側に突出する連結部6,6が空気緩衝部や合成樹脂フィルムを破ってしまい、問題を解決するには不十分であった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記引手部材のようにその少なくとも一面に突出部を有する部品を梱包するに適した梱包体を提供し、輸送中の破損事故を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、表裏面のうちの一面が略平坦面である2つの部品であって、少なくとも一方の部品は他面に突出部を有する2つの部品を梱包する梱包体であって、つなぎ目で連結された2つの収容部を有して各収納部にそれぞれ一の部品を収容する内袋と、2つの部品を収容した内袋を巻いて覆うシート状物と、これら2つの部品、内袋およびシート状物を封入する外袋とからなり、前記2つの部品は、内袋の各収容部に、前記一面同士を対向させ、少なくとも一方の部品が前記他面に有する突出部を外方に突出させた状態で収容されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の梱包体において、前記シート状物が、部品に関する事項が記載されたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る本発明は、請求項1または2記載の梱包体において、前記部品が、表面が略平坦面を有し裏面に突出部を有する略同形状の一対の部材からなり、これら部材の表面同士を対向させ、裏面の突出部を両側に突出させた状態で梱包されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明によれば、突出部を含めた部品全体がシート状物に覆われた状態で外袋に封入されるので、輸送時に突出部が破損するリスクを極小化して梱包することができる。
【0012】
請求項2に係る本発明によれば、部品と共に梱包されるべき取扱説明書や施工説明書などの部品に関する事項が記載されたものをシート状物として利用して部品を覆うようにしているので、このシート状物を同時に部品の保護シートとして利用することができ、保護シートを別に用意する必要がない。
【0013】
請求項3に係る本発明によれば、特に、突出部同士を連結させることにより引戸などの扉にワンタッチで取付可能とした一対の引手部材を梱包するに適した梱包体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】引手が取り付けられた引戸を示す正面図である。
図2】引手を構成する一対の引手部材を示す斜視図である。
図3】一対の引手部材を梱包した梱包体(本発明の一実施形態)を示す斜視図である。
図4】一対の引手部材を内袋に収容した状態(折り返す前の状態)を示す斜視図である。
図5】一対の引手部材を内袋に収容した状態(折り返した状態)を示す斜視図である。
図6】一対の引手部材と共に封入するA4サイズの施工説明書を2つ折りにしてA5サイズとし(a)、これを図5の状態の一対の引手部材に巻いていく作業工程を示す説明図である。
図7図6の作業工程により施工説明書で巻かれた一対の引手部材を外袋に入れる作業工程を示す説明図である。
図8図2の引手部材における連結部の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図3は、本発明の一実施例として、一対の引手部材3,3(図2)を梱包した梱包体10を示す。引手部材3,3は、個別に内袋に11,11に収容され、引手本体4,4の平滑な表面を向き合わせ、連結部6,6を両側に突出させた状態で、施工説明書12に巻かれ、これらが外袋13に収容されている。
【0016】
この梱包体10を得るには、まず、引手部材3,3を個別に内袋11,11に収容する(図4)。この実施例では、一つの引手部材3を封入するに十分な大きさを有する内袋11,11がつなぎ目14で長さ方向に連続したものが用いられ、各内袋11に引手部材3が同じ向きで収容される。この実施例における各引手部材3の寸法は、引手本体4の長さが約14cm、幅が約4cmであり、手掛部5の深さ(引手本体4の表面から手掛部5の底面までの長さ)が約2.5cmであり、連結部6の突出長が約3cmである。また、この寸法の引手部材3を収容する内袋11は、たとえば、長さが約17cm、幅が約8cmの内寸を有する透明合成樹脂(ポリエチレンなど)製のものを使用することができる。
【0017】
次に、つなぎ目14で連結されている内袋11,11を該つなぎ目14で2つ折りし、引手部材3,3の平坦な表面同士を向き合わせ、連結部6,6が両側に突出した状態とする(図5)。
【0018】
引手本体3,3を梱包する際、その施工説明書12を同梱することが慣用されているが、この梱包体10では、従来のように単に施工説明書12を折り畳んで同梱するのではなく、図5に示すような向き合わせ状態で内袋11,11に収容された引手部材3,3を施工説明書12で巻いて保護シートとしても機能させるようにしている。一例として、施工説明書12がA4サイズ(297mm×210mm)の紙である場合、これを長辺の中心線を折り目15として2つ折りすることによりA5サイズ(148mm×210mm)となる(図6(a))ので、その短辺は、図5の状態で内袋11に各々収容された引手部材3の長さ(約14cm)を覆うに十分な長さ(14.8cm)を有するものとなる。
【0019】
したがって、この2つ折りにしたA5サイズの施工説明書12の上に、引戸本体の長さ方向が施工説明書12の短辺に沿うようにして乗せた後、図6(b)に示すように、折り目15での折り畳み方向に直交する方向に施工説明書12を巻いていくことにより、図7右側に示されるような状態が得られる。2つ折りにしたA5サイズの施工説明書12は、上記したようにその短辺(14.8cm)が引手部材3,3の長さ(約14cm)より長く、且つ、その長辺(21cm)は2つ折りした引手部材3,3を巻いて一周するに十分な長さを有するので、引手部材3,3を完全に覆うことができる。また、施工説明書12は、A4サイズのものを2つ折りにした状態で巻いていくので、紙の厚さが2倍になった状態で引手部材3,3を覆う。すなわち、施工説明書12は、図5の状態のものを巻いて包み込むことにより、両側に突出する連結部6,6を保護し、その破損を防止する。施工説明書12の両端は接合せずにフリーの状態としてあるので、開梱したときにすぐに開いて読むことができる。
【0020】
そして、図7に示すように、施工説明書12にまかれた状態の内袋11,11入りの引手部材3,3を外袋13に入れ、開口端13aをヒートシールなどにより密封して、図3の梱包体10が得られる。この実施形態では、外袋13として、たとえば、長さが約20cm、幅が約10cmの内寸を有する透明合成樹脂(ポリエチレンなど)製のものを使用することができ、比較的厚手のものを用いることが好ましい。
【0021】
この梱包体10において、引手部材3,3は、個別に内袋11,11に収容され、これを2つ折りにした状態で施工説明書12で巻かれてその全体が覆われ、さらにこの状態で外袋13に収容されるので、3重に保護されている。したがって、輸送中に、他の製品や周囲の構造物などに衝突しても、連結部6,6を破損させることがない。
【0022】
上記実施形態において、引手部材3,3を個別に収容する内袋11,11は、長さ方向一端において幅方向に延長するつなぎ目14で連結されている(図4)が、これに代えて、幅方向一端において長さ方向に延長するつなぎ目で連結されるようにしても良い。つなぎ目14は、ミシン目のように形成して、開梱後に手で容易に離脱可能にすることができる。また、施工説明書12は、その大きさと、2つ折りにした引手部材3,3の寸法に応じて、そのまま(折り畳まずに)あるいは適宜に折り畳んだ状態にして用いることができる。
【0023】
以上に本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内において多種多様に変形して実施することができる。本発明は、一対の引手部材を梱包する梱包体に限らず、少なくともその一面から突出する突出部を有する部品を梱包する梱包体として適用可能である。梱包される部品を巻いて保護するシート状物は、施工説明書に限らず、該部品に関する事項が文章、図面、写真などで表現されたものであって、該部品と同梱することが要求または望まれるシート状物であって良い。
【符号の説明】
【0024】
1 引戸2 引手3 引手部材4 引手本体5 手掛部6 連結部7 凸部7a 係合爪8 凹部8a 係合爪10 梱包体11 内袋12 施工説明書(シート状物)13 外袋13a 開口端14 つなぎ目15 折り目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8