(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】制御装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
G11C 5/14 20060101AFI20220118BHJP
G06F 1/30 20060101ALI20220118BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G11C5/14 320
G06F1/30
G11C16/30
(21)【出願番号】P 2018003593
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2017033393
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】野間 仁
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115171(JP,A)
【文献】特開2014-63209(JP,A)
【文献】特開平7-298489(JP,A)
【文献】特開平6-276677(JP,A)
【文献】特開2014-123187(JP,A)
【文献】特開平11-15571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 5/14
G11C 16/30
G06F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御に用いる各種データを保存する不揮発性メモリに対してメモリ電源を供給する回路として、
電源回路から供給された動作電源に基づいて、不揮発性メモリの動作に用いるメモリ電源を生成するメモリ電源生成部と、
前記メモリ電源生成部で生成された前記メモリ電源をバックアップするコンデンサと、
前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給/停止を制御する供給制御部と、
前記メモリ電源生成部と前記コンデンサとの間に接続されて、前記動作電源の電圧が前記コンデンサの充電電圧を上回った場合には、前記メモリ電源生成部の出力電圧を前記コンデンサに供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部へ流れる逆流電流を防止する逆流防止部とを備え、
前記メモリ電源生成部は、前記動作電源の供給開始時に所定の割合で前記出力電圧を上昇させることにより、前記コンデンサに対して前記メモリ電源を徐々に供給し、
前記供給制御部は、前記充電電圧が第1の電圧以上である場合に、前記不揮発性メモリに対して前記メモリ電源を供給し、前記充電電圧が第2の電圧以下である場合に、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を停止する
メモリ電源供給回路
を備える制御装置において、
前記動作電源の生成に用いられる主電源の主電源電圧が第4の電圧を下回った場合、前記主電源の遮断を予告する主電源低下出力を出力する電源断予告部と、
前記動作電源の電圧が第5の電圧を下回った場合、前記動作電源の電圧低下を示す動作電源低下出力を出力する電源電圧検出部と、
前記主電源低下出力が前記主電源の遮断を予告しているとともに、前記動作電源低下出力が前記動作電源の電圧低下を示していない場合、前記動作電源の電源供給状態が電源低下状態にあると判定する電源状態判定部と、
前記主電源低下出力により前記主電源の遮断が予告された場合、前記不揮発性メモリへ書き込むべきデータの有無を確認し、得られた確認結果に基づいて、前記メモリ電源に関する強制遮断の要否を示す強制遮断制御出力を出力する演算制御回路と、
前記電源状態判定部により前記動作電源が前記電源低下状態にあると判定されている期間において、前記演算制御回路から出力された新たな強制遮断制御出力を取り込んで、前記供給制御部へ保持出力する強制遮断保持部とをさらに備え、
前記供給制御部は、前記強制遮断保持部からの保持出力が強制遮断要を示す場合、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を強制的に遮断する
制御装置。
【請求項2】
前記メモリ電源供給回路
は、
前記逆流防止部に代えて、前記電源回路と前記メモリ電源生成部との間に接続されて、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を上回った場合には、前記動作電源を前記メモリ電源生成部に供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部を介して前記電源回路へ流れる逆流電流を防止する逆流防止部を備えることを特徴とする
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記メモリ電源生成部は、前記電源回路の電圧が第3の電圧以上になった場合に、前記出力電圧の出力を開始することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記電源断予告部は、前記主電源の復旧に応じて前記主電源電圧が第6の電圧以上に上昇した場合、前記主電源低下出力の出力を停止し、
前記電源状態判定部は、前記主電源低下出力の出力が停止しているとともに、前記動作電源低下出力が前記動作電源の電圧低下を示していない場合、前記動作電源の電源供給状態が電源供給状態にあると判定し、
前記強制遮断保持部は、前記電源状態判定部での判定結果が前記電源低下状態から前記電源供給状態に変化した場合、強制遮断不要を前記供給制御部へ保持出力し、
前記供給制御部は、前記強制遮断保持部からの保持出力が強制遮断不要を示す場合、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の強制遮断を解除する
ことを特徴とする
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
制御に用いる各種データを保存する不揮発性メモリに対するメモリ電源の供給を制御する制御装置において実行される制御方法において、
メモリ電源生成部が、電源回路から供給された動作電源に基づいて、不揮発性メモリの動作に用いるメモリ電源を生成するメモリ電源生成ステップと、
コンデンサが、前記メモリ電源生成部で生成された前記メモリ電源をバックアップするステップと、
供給制御部が、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給/停止を制御する供給制御ステップと、
前記メモリ電源生成部と前記コンデンサとの間に接続された逆流防止部が、前記動作電源の電圧が前記コンデンサの充電電圧を上回った場合には、前記メモリ電源生成部の出力電圧を前記コンデンサに供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部へ流れる逆流電流を防止する逆流防止ステップとを備え、
前記メモリ電源生成ステップは、前記動作電源の供給開始時に所定の割合で前記出力電圧を上昇させることにより、前記コンデンサに対して前記メモリ電源を徐々に供給し、
前記供給制御ステップは、前記充電電圧が第1の電圧以上である場合に、前記不揮発性メモリに対して前記メモリ電源を供給し、前記充電電圧が第2の電圧以下である場合に、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を停止
し、
電源断予告部が、前記動作電源の生成に用いられる主電源の主電源電圧が第4の電圧を下回った場合、前記主電源の遮断を予告する主電源低下出力を出力する電源断予告ステップと、
電源電圧検出部が、前記動作電源の電圧が第5の電圧を下回った場合、前記動作電源の電圧低下を示す動作電源低下出力を出力する電源電圧検出ステップと、
電源状態判定部が、前記主電源低下出力が前記主電源の遮断を予告しているとともに、前記動作電源低下出力が前記動作電源の電圧低下を示していない場合、前記動作電源の電源供給状態が電源低下状態にあると判定する電源状態判定ステップと、
演算制御回路が、前記主電源低下出力により前記主電源の遮断が予告された場合、前記不揮発性メモリへ書き込むべきデータの有無を確認し、得られた確認結果に基づいて、前記メモリ電源に関する強制遮断の要否を示す強制遮断制御出力を出力する演算制御ステップと、
強制遮断保持部が、前記電源状態判定部により前記動作電源が前記電源低下状態にあると判定されている期間において、前記演算制御回路から出力された新たな強制遮断制御出力を取り込んで、前記供給制御部へ保持出力する強制遮断保持ステップと
をさらに備え、
前記供給制御ステップは、前記強制遮断保持部からの保持出力が強制遮断要を示す場合、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を強制的に遮断する
制御方法。
【請求項6】
前記逆流防止ステップに代えて、前記電源回路と前記メモリ電源生成部との間に接続された前記逆流防止部が、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を上回った場合には、前記動作電源を前記メモリ電源生成部に供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部を介して前記電源回路へ流れる逆流電流を防止する逆流防止ステップを備えることを特徴とする
請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記メモリ電源生成ステップは、前記電源回路の電圧が第3の電圧以上になった場合に、前記出力電圧の出力を開始する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記電源断予告ステップは、前記主電源の復旧に応じて前記主電源電圧が第6の電圧以上に上昇した場合、前記主電源低下出力の出力を停止し、
前記電源状態判定ステップは、前記主電源低下出力の出力が停止しているとともに、前記動作電源低下出力が前記動作電源の電圧低下を示していない場合、前記動作電源の電源供給状態が電源供給状態にあると判定し、
前記強制遮断保持ステップは、前記電源状態判定部での判定結果が前記電源低下状態から前記電源供給状態に変化した場合、強制遮断不要を前記供給制御部へ保持出力し、
前記供給制御ステップは、前記強制遮断保持部からの保持出力が強制遮断不要を示す場合、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の強制遮断を解除する
ことを特徴とする請求項5~請求項7の何れか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ保存用の不揮発性メモリに電源を供給するための電源供給技術に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用のコントローラやフィールド機器などの下位機器を制御する、サーバ装置や上位コントローラなどの制御装置では、制御対象となる下位機器の制御、監視、管理などの各種処理に用いる各種データを、SDカードなどの不揮発性メモリに保存する機能を有しているものがある。このような制御装置では、不揮発性メモリへのデータ書き込み時に動作電源が低下した場合、データの欠損やフォーマットの破損が発生する可能性がある。
【0003】
従来、このようなデータ保存技術として、動作電源が供給されている通常動作時に、不揮発性メモリに供給しているメモリ電源をコンデンサ(キャパシタ)にバックアップしておき、動作電源が低下した場合には、不揮発性メモリで実行中の書き込み動作が完了するまでの期間分のメモリ電源を、コンデンサから不揮発性メモリに対して供給する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
のような従来技術では、不揮発性メモリにおける記憶容量の増大に応じて、メモリ電源の消費量も増大するため、動作電源の低下時に、不揮発性メモリで実行中の書き込み動作が完了するまで期間分の動作を保証するには、コンデンサの大容量化が必要となる。しかしながら、動作電源の供給が再開されてメモリ電源がコンデンサに充電される際、コンデンサの大容量化に伴って動作電源からコンデンサへ流れる突入電流が増大し、動作電源を供給する電源回路に悪影響を及ぼす場合や、メモリ電源の電圧立ち上がりが遅くなって不揮発性メモリが動作しない場合があるという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、動作電源の供給再開時に、不揮発性メモリのメモリ電源をバックアップするためのコンデンサ(キャパシタ)へ流れる突入電流を抑制できるとともに、メモリ電源の電圧立ち上がり時間を短縮できる電源供給技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかるメモリ電源供給回路は、電源回路から供給された動作電源に基づいて、不揮発性メモリの動作に用いるメモリ電源を生成するメモリ電源生成部と、前記メモリ電源生成部で生成された前記メモリ電源をバックアップするコンデンサと、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給/停止を制御する供給制御部と、前記メモリ電源生成部と前記コンデンサとの間に接続されて、前記動作電源の電圧が前記コンデンサの充電電圧を上回った場合には、前記メモリ電源生成部の出力電圧を前記コンデンサに供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部へ流れる逆流電流を防止する逆流防止部とを備え、前記メモリ電源生成部は、前記動作電源の供給開始時に所定の割合で前記出力電圧を上昇させることにより、前記コンデンサに対して前記メモリ電源を徐々に供給し、前記供給制御部は、前記充電電圧が第1の電圧以上である場合に、前記不揮発性メモリに対して前記メモリ電源を供給し、前記充電電圧が第2の電圧以下である場合に、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を停止するようにしたものである。
【0008】
また、本発明にかかる上記メモリ電源供給回路の一構成例は、前記逆流防止部に代えて、前記電源回路と前記メモリ電源生成部との間に接続されて、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を上回った場合には、前記動作電源を前記メモリ電源生成部に供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部を介して前記電源回路へ流れる逆流電流を防止する逆流防止部を備えるものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記メモリ電源供給回路の一構成例は、前記メモリ電源生成部が、前記電源回路の電圧が第3の電圧以上になった場合に、前記出力電圧の出力を開始するようにしたものである。
【0010】
また、本発明にかかる制御装置は、制御に用いる各種データを不揮発性メモリで保存する制御装置であって、前記不揮発性メモリに対してメモリ電源を供給する回路として、前述したいずれかのメモリ電源供給回路を備えている。
【0011】
また、本発明にかかる上記制御装置の一構成例は、前記動作電源の生成に用いられる主電源の主電源電圧が第4の電圧を下回った場合、前記主電源の遮断を予告する主電源低下出力を出力する電源断予告部と、前記動作電源の電圧が第5の電圧の低下を下回った場合、前記動作電源の電圧低下を示す動作電源低下出力を出力する電源電圧検出部と、前記主電源低下出力が前記主電源の遮断を予告しているとともに、前記動作電源低下出力が前記動作電源の電圧低下を示していない場合、前記動作電源の電源供給状態が電源低下状態にあると判定する電源状態判定部と、前記主電源低下出力により前記主電源の遮断が予告された場合、前記不揮発性メモリへ書き込むべきデータの有無を確認し、得られた確認結果に基づいて、前記メモリ電源に関する強制遮断の要否を示す強制遮断制御出力を出力する演算制御回路と、前記電源状態判定部により前記動作電源が前記電源低下状態にあると判定されている期間において、前記演算制御回路から出力された新たな強制遮断制御出力を取り込んで、前記供給制御部へ保持出力する強制遮断保持部とをさらに備え、前記供給制御部は、前記強制遮断保持部からの保持出力が強制遮断要を示す場合、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を強制的に遮断するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる上記制御装置の一構成例は、前記電源断予告部が、前記主電源の復旧に応じて前記主電源電圧が第6の電圧以上に上昇した場合、前記主電源低下出力の出力を停止し、前記電源状態判定部は、前記主電源低下出力の出力が停止しているとともに、前記動作電源低下出力が前記動作電源の電圧低下を示していない場合、前記動作電源の電源供給状態が電源供給状態にあると判定し、前記強制遮断保持部は、前記電源状態判定部での判定結果が前記電源低下状態から前記電源供給状態に変化した場合、強制遮断不要を前記供給制御部へ保持出力し、前記供給制御部は、前記強制遮断保持部からの保持出力が強制遮断不要を示す場合、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の強制遮断を解除するようにしたものである。
【0013】
また、本発明にかかるメモリ電源供給方法は、メモリ電源生成部が、電源回路から供給された動作電源に基づいて、不揮発性メモリの動作に用いるメモリ電源を生成するメモリ電源生成ステップと、コンデンサが、前記メモリ電源生成部で生成された前記メモリ電源をバックアップするステップと、供給制御部が、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給/停止を制御する供給制御ステップと、前記メモリ電源生成部と前記コンデンサとの間に接続された逆流防止部が、前記動作電源の電圧が前記コンデンサの充電電圧を上回った場合には、前記メモリ電源生成部の出力電圧を前記コンデンサに供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部へ流れる逆流電流を防止する逆流防止ステップとを備え、前記メモリ電源生成ステップは、前記動作電源の供給開始時に所定の割合で前記出力電圧を上昇させることにより、前記コンデンサに対して前記メモリ電源を徐々に供給し、前記供給制御ステップは、前記充電電圧が第1の電圧以上である場合に、前記不揮発性メモリに対して前記メモリ電源を供給し、前記充電電圧が第2の電圧以下である場合に、前記不揮発性メモリに対する前記メモリ電源の供給を停止するようにしたものである。
【0014】
また、本発明にかかる上記メモリ電源供給方法の一構成例は、前記逆流防止ステップに代えて、前記電源回路と前記メモリ電源生成部との間に接続された前記逆流防止部が、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を上回った場合には、前記動作電源を前記メモリ電源生成部に供給し、前記動作電源の電圧が前記充電電圧を下回った場合には、前記コンデンサから前記メモリ電源生成部を介して前記電源回路へ流れる逆流電流を防止する逆流防止ステップを備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、動作電源供給開始時には、コンデンサに供給される出力電圧の上昇する傾きが、メモリ電源生成部により抑制されるため、コンデンサへの突入電流が抑制されるとともに、コンデンサの充電電圧が不揮発性メモリの動作開始電圧以上に達した時点から、不揮発性メモリへのメモリ電源の供給が開始される。したがって、不揮発性メモリの記憶容量増大に応じてコンデンサを大容量化しても、動作電源からコンデンサへ流れる突入電流を抑制でき、動作電源を供給する電源回路に対する悪影響を回避することができるとともに、不揮発性メモリに供給されるメモリ電源の電圧立ち上がり時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】動作電源供給開始時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【
図3】動作電源供給停止時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【
図4】動作電源供給再開時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【
図5】第2の実施の形態にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】電源状態判定時における回路電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【
図7】第2の実施の形態にかかる電源状態判定時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【
図8】第3の実施の形態にかかる電源状態判定時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる制御装置1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
この制御装置1は、例えば産業用のコントローラやフィールド機器などの下位機器を制御する、サーバ装置や上位コントローラなどの制御装置からなり、制御対象となる下位機器の制御、監視、管理などの各種処理に用いる各種データを不揮発性メモリに保存する機能を有している。
図1に示すように、制御装置1には、主な内部回路として、演算制御回路CNT、不揮発性メモリROM、電源回路SP、およびメモリ電源供給回路10が設けられている。
【0019】
演算制御回路CNTは、CPUやその周辺回路を有し、これらハードウェアとプログラムとが協働することにより、制御対象となる下位機器の制御、監視、管理などの各種処理を行う機能と、これら処理に用いる各種データを不揮発性メモリROMに保存する機能とを有している。
不揮発性メモリROMは、例えばSDカードなどのNVRAM(Non-Volatile RAM)からなり、メモリ電源供給回路10から供給されたメモリ電源により、演算制御回路CNTからのデータの書き込み動作や読み出し動作を行う機能を有している。
【0020】
電源回路SPは、一般的な電源回路からなり、例えば商用AC電源などからなる外部からの主電源Pinに基づいて動作電源Pwを生成し、演算制御回路CNTおよびメモリ電源供給回路10を含む内部回路のそれぞれに供給する機能を有している。
【0021】
[メモリ電源供給回路]
メモリ電源供給回路10は、電源回路SPの動作電源Pwに基づいて、不揮発性メモリROMで用いるメモリ電源Pmを生成して出力する機能を有しており、主な回路部として、電源監視部11、メモリ電源生成部12、電圧比較部13、逆流防止部14、コンデンサ15、電圧監視部16、および供給制御部17とが設けられている。
【0022】
電源監視部11は、動作電源Pwの供給開始時に動作電源Pwの動作電源電圧Vwが予め設定した出力開始電圧Vmon(第3の電圧)以上に上昇した場合に、メモリ電源生成部12に対してメモリ電源Pmの出力開始を指示する機能を有している。以下では、メモリ電源Pmが、メモリ電源生成部12から逆流防止部14、コンデンサ15、供給制御部17へ経て不揮発性メモリROMに対して供給される一連の電源系統を指すものとする。なお、便宜上、メモリ電源Pmのうち、コンデンサ15でバックアップされるメモリ電源をPcと呼び、供給制御部17から不揮発性メモリROMに対して供給されるメモリ電源をPromと呼ぶこともある。
【0023】
メモリ電源生成部12は、電源回路SPから供給された動作電源Pwに基づいて、不揮発性メモリROMの動作に用いるメモリ電源Pmを生成する機能と、動作電源Pwの供給開始時には、電源監視部11からの出力開始の指示に応じて、所定の割合でメモリ電源Pmの出力電圧Vmを上昇させることにより、コンデンサ15に対してメモリ電源Pmを徐々に供給する機能とを有している。
【0024】
電圧比較部13は、メモリ電源Pm(Pc)のメモリ電源電圧、すなわちコンデンサ15の充電電圧Vcと動作電源Pwの動作電源電圧Vwとを比較する機能を有している。
【0025】
逆流防止部14は、メモリ電源生成部12とコンデンサ15との間に接続されて、電圧比較部13により動作電源Pwの動作電源電圧Vwがコンデンサ15の充電電圧Vcを上回ったことが検出された場合には、メモリ電源生成部12からの出力電圧Vmをコンデンサ15に供給する機能と、電圧比較部13により動作電源電圧Vwが充電電圧Vcを下回ったことが検出された場合には、コンデンサ15から逆流防止部14へ流れる逆流電流を防止する機能とを有している。
【0026】
なお、本実施の形態では、
図1に示したように、逆流防止部14がメモリ電源生成部12とコンデンサ15との間に接続されている場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。例えば、メモリ電源生成部12と電源回路SPとの間に逆流防止部14を接続してもよい。この場合、逆流防止部14は、電圧比較部13によりVwがVcを上回ったことが検出された場合には、動作電源Pwをメモリ電源生成部12に供給し、VwがVcを下回ったことが検出された場合には、コンデンサ15からメモリ電源生成部12を介して逆流防止部14へ電源回路SPへ流れる逆流電流を防止することになる。このような構成であっても、
図1と場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0027】
コンデンサ15は、電源バックアップ用の一般的なコンデンサやキャパシタからなり、逆流防止部14を介してメモリ電源生成部12から供給された出力電圧Vmを常時充電することにより、不揮発性メモリROMで用いるメモリ電源Pmを(メモリ電源Pcとして)バックアップする機能を有している。
【0028】
電圧監視部16は、コンデンサ15の充電電圧Vcを監視し、Vcが予め設定した、不揮発性メモリROMの動作開始電圧(第1の電圧)以上の電圧を示す、供給開始電圧Vcon以上に上昇した場合に、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)の供給を指示する機能と、Vcが予め設定した供給停止電圧Vcoff(第2の電圧)以下に低下した場合に、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)の供給停止を指示する機能とを有している。
【0029】
供給制御部17は、コンデンサ15と不揮発性メモリROMとの間に設けられて、電圧監視部16からの供給指示に応じて、メモリ電源Pmを不揮発性メモリROMへ供給する(Pc→Prom)機能と、電圧監視部16からの供給停止指示に応じて、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pmの供給(Pc→Prom)を停止する機能とを有している。
【0030】
[動作電源供給開始時の回路動作]
次に、
図2を参照して、本実施の形態にかかる制御装置1における、動作電源供給開始時の回路動作について説明する。
図2は、動作電源供給開始時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【0031】
まず、時刻T1において、制御装置1に対して主電源Pinの供給が開始された場合、動作電源Pwの動作電源電圧Vwが徐々に上昇する。この際、動作電源電圧Vwは十分上昇していないため、メモリ電源生成部12から出力電圧Vmは出力されておらず、コンデンサ15の充電電圧Vcは0Vである。
【0032】
その後、時刻T2において、動作電源電圧Vwが出力開始電圧Vmonまで上昇した時点で、電源監視部11から出力開始が指示されて、メモリ電源生成部12から所定の割合で規定電源電圧Vccまで上昇する出力電圧Vmが出力される。この際、電圧比較部13により、Vwが充電電圧Vcより高いことが検出されているため、Vmは逆流防止部14を介してコンデンサ15に供給されてVcとして徐々に充電される。この割合、すなわち単位時間当たりの上昇電圧については、コンデンサ15の容量、動作電源Pwの規定電源電圧Vcc、電源回路SPで許容される瞬時電流などの回路条件に基づいて、予め設定しておけばよい。
【0033】
続く時刻T3に、動作電源電圧Vwが規定電源電圧Vccに到達して一定となり、その後の時刻T4において、Vcが供給開始電圧Vconまで上昇した時点で、電圧監視部16から供給開始が指示されて、供給制御部17により、不揮発性メモリROMに対して、メモリ電源Pmの供給(Pc→Prom)が開始される。これにより、時刻T5にVcがVccに到達して一定となるとともに、不揮発性メモリROMのROM電源電圧VromもVccに到達して一定となる。この際、コンデンサ15に十分な電荷が充電されているため、不揮発性メモリROMが動作を開始してもVromはほぼ安定している。
【0034】
これにより、動作電源供給開始時には、コンデンサ15に供給される出力電圧Vmの上昇する割合が、メモリ電源生成部12により抑制されるため、コンデンサ15への突入電流も抑制されることになる。したがって、不揮発性メモリROMの記憶容量増大に応じてコンデンサ15を大容量化しても、動作電源Pwからコンデンサ15へ流れる突入電流を抑制でき、動作電源Pwを供給する電源回路SPに対する悪影響を回避することが可能となる。
【0035】
[動作電源供給停止時の回路動作]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかる制御装置1における、動作電源供給停止時の回路動作について説明する。
図3は、動作電源供給停止時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【0036】
まず、時刻T1において、制御装置1に対する主電源Pinの供給が停止された場合、電源回路SPからの動作電源Pwの動作電源電圧Vwが徐々に低下する。なお、時刻T1以前では、Vwは規定電源電圧Vccまで十分上昇しており、メモリ電源生成部12からVccとほぼ等しい出力電圧Vmが出力されており、コンデンサ15の充電電圧VcもVccとほぼ等しい値を示している。
【0037】
続く、時刻T2において、電圧比較部13により、動作電源電圧Vwが充電電圧Vcより低下したことが検出された場合、逆流防止部14によりコンデンサ15からメモリ電源生成部12への逆流電流が防止される。これにより、Vwに連れてVcが低下するため、コンデンサ15に対するメモリ電源Pmの供給が停止するが、逆流電流によるVcの低下を回避できる。したがって、メモリ電源生成部12からのPmの供給が停止した後も、一定の期間にわたり、コンデンサ15にバックアップされているPmを不揮発性メモリROMに供給することができ(Pc→Prom)、不揮発性メモリROMの動作を保証することができる。
【0038】
この後、時刻T3において、Vcが供給停止電圧Vcoffまで低下した時点で、電圧監視部16から供給停止が指示されて、供給制御部17により、不揮発性メモリROMに対するPmの供給(Pc→Prom)が停止される。これにより、不揮発性メモリROMのROM電源電圧Vromは時刻T5に0Vまで低下するが、VcはVcoffとほぼ等しい電圧に保持されることになる。
【0039】
この際、Vcoffとして不揮発性メモリROMの最低動作電圧を用いた場合、時刻T2から時刻T3まで不揮発性メモリROMの動作が保証されることになる。したがって、不揮発性メモリROMで消費される電力やコンデンサ15の容量を適切に選択することにより、時刻T2から時刻T3までの期間、すなわち必要となる不揮発性メモリROMの動作保証期間を得ることができる。
【0040】
[動作電源供給再開時の回路動作]
次に、
図4を参照して、本実施の形態にかかる制御装置1における、動作電源供給再開時の回路動作について説明する。
図4は、動作電源供給再開時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【0041】
まず、時刻T1において、制御装置1に対して主電源Pinの供給が再開された場合、動作電源Pwの動作電源電圧Vwが徐々に上昇する。この際、動作電源電圧Vwは十分上昇していないため、メモリ電源生成部12から出力電圧Vmは出力されていないが、コンデンサ15には直前動作における充電電圧Vcが保持されている。
【0042】
その後、時刻T2において、動作電源電圧Vwが出力開始電圧Vmonまで上昇した時点で、電源監視部11から出力開始が指示されて、メモリ電源生成部12から所定の割合で規定電源電圧Vccまで上昇する出力電圧Vmが出力される。この際、電圧比較部13により、VcがVmより高いことが検出されているため、コンデンサ15に対する充電は行われない。
【0043】
続く時刻T3に、動作電源電圧Vwが規定電源電圧Vccに到達して一定となり、その後の時刻T4においてVmがVcに到達して、電圧比較部13により、VcがVmより低いことが検出された後、コンデンサ15が徐々に充電され、Vcが上昇を開始する。これにより、時刻T5に、Vcが供給開始電圧Vconまで上昇した時点で、電圧監視部16から供給開始が指示されて、供給制御部17により、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pcの供給が開始される。その後、時刻T6にVcがVccに到達して一定となるとともに、不揮発性メモリROMで用いるメモリ電源Pm(Prom)の電圧VromもVccに到達して一定となる。この際、コンデンサ15に十分な電荷が充電されているため、不揮発性メモリROMが動作を開始してもVromはほぼ安定している。
【0044】
これにより、動作電源供給再開時には、コンデンサ15に直前動作の充電電圧Vcが保持されており、出力電圧VmがVcに到達するまでコンデンサ15に対する充電電流は流れないため、コンデンサ15への突入電流も抑制されることになる。また、VmがVcに到達した後については、コンデンサ15に供給される出力電圧Vmの上昇する割合が、メモリ電源生成部12により抑制されるため、コンデンサ15への突入電流も抑制されることになる。したがって、不揮発性メモリROMの記憶容量増大に応じてコンデンサ15を大容量化しても、動作電源Pwからコンデンサ15へ流れる突入電流を抑制でき、動作電源Pwを供給する電源回路SPに対する悪影響を回避することが可能となる。
【0045】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電源回路SPから供給された動作電源Pwに基づいて、不揮発性メモリROMで用いるメモリ電源Pmを生成するメモリ電源生成部12と、メモリ電源生成部12で生成されたメモリ電源Pmを(Pcとして)バックアップするコンデンサ15と、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)の供給/停止を制御する供給制御部17とを備え、メモリ電源生成部12が、Pwの供給開始時に所定の割合で出力電圧Vmを上昇させることにより、コンデンサ15に対してメモリ電源Pmを徐々に供給し、供給制御部17が、コンデンサ15でバックアップされている不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc)の充電電圧Vcが供給開始電圧Vcon以上である場合に、不揮発性メモリROMに対してメモリ電源Pcを供給するようにしたものである。
【0046】
これにより、動作電源供給開始時には、コンデンサ15に供給される出力電圧Vmの上昇する割合が、メモリ電源生成部12により抑制されるため、コンデンサ15への突入電流も抑制されるとともに、コンデンサ15の充電電圧Vcが不揮発性メモリROMの動作開始電圧以上に達した時点から、不揮発性メモリROMへのメモリ電源Pm(Pc→Prom)の供給が開始される。したがって、不揮発性メモリROMの記憶容量増大に応じてコンデンサ15を大容量化しても、動作電源Pwからコンデンサ15へ流れる突入電流を抑制でき、動作電源Pwを供給する電源回路SPに対する悪影響を回避することが可能となる。
【0047】
これに加えて、本実施の形態は、メモリ電源生成部12とコンデンサ15との間に接続された逆流防止部14が、メモリ電源生成部12とコンデンサ15との間に接続されて、動作電源Pwの動作電源電圧Vwがコンデンサ15の充電電圧Vcを上回った場合には、メモリ電源生成部12の出力電圧Vmをコンデンサ15に供給し、VmがVcを下回った場合には、コンデンサ15からメモリ電源生成部12へ流れる逆流電流を防止するようにしたものである。
【0048】
これにより、動作電源供給停止後にVmがVcより低下した時点で、逆流防止部14によりコンデンサ15からメモリ電源生成部12への逆流電流が防止される。したがって、逆流電流によるVcの低下を回避でき、電源回路SPからの動作電源Pwの供給が停止した後も、一定の期間にわたり、コンデンサ15にバックアップされているPmを不揮発性メモリROMに供給することができ(Pc→Prom)、不揮発性メモリROMの動作を保証することができる。
【0049】
さらに、本実施の形態において、充電電圧Vcが供給停止電圧Vcoff以下に低下した場合に、供給制御部17が不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pmの供給を停止するようにしたものである。
これにより、動作電源供給停止時には、一定の期間にわたり不揮発性メモリROMの動作を保証した後、不揮発性メモリROMのメモリ電源Pm(Prom)の電圧Vromを0Vにすることができる。
【0050】
また、動作電源供給再開時、電圧監視部16からの供給指示に応じて供給制御部17が不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pmの供給(Pc→Prom)を開始した時点で、メモリ電源Pm(Prom)の電圧VromがVconまで上昇するので、供給制御部17がない場合と比較して、メモリ電源Pm(Prom)が0VからVconまで立ち上がる時間を短縮できる。
【0051】
供給制御部17がない場合、コンデンサ15が常時不揮発性メモリROMと接続されていることになるため、Vromが0Vから立ち上がる場合は、前述した
図2のVmと同様に上昇することになり、立ち上がり時間はコンデンサ15の充電時間の設定に依存することになる。供給制御部17がある場合には、コンデンサ15が、不揮発性メモリROMを電源遮断時に動作させるのに十分な容量を持っているため、瞬時にVromを立ち上げることができる。また、メモリ電源生成部12からの出力電圧VmがVcに到達するまでコンデンサ15に対する充電電流は流れないため、コンデンサ15への突入電流を抑制することができる。
【0052】
また、本実施の形態において、電源監視部11が、動作電源Pwの供給開始時に動作電源Pwの動作電源電圧Vwが予め設定した出力開始電圧Vmon以上に上昇した場合に、メモリ電源生成部12に対してメモリ電源Pmの出力開始を指示するようにしてもよい。これにより、電源回路SPの電源電圧V2が十分立ち上がってからメモリ電源生成部12が動作することで電源回路SPへの影響を軽減することができる。
【0053】
[第2の実施の形態]
次に、
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる制御装置1について説明する。
図5は、第2の実施の形態にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。
【0054】
第1の実施の形態にかかる制御装置1では、
図3に示したように、電源遮断直後、コンデンサ15にバックアップされているメモリ電源Pmを不揮発性メモリROMに供給すれば、時刻T2から時刻T3までの動作保証期間に、不揮発性メモリROMの動作を保証することができる。これにより、電源遮断時に、必要となるデータを不揮発性メモリROMにバックアップすることが可能となる。
【0055】
不揮発性メモリROMがSDカードなどの挿抜可能なメディアであれば、電源遮断後、不揮発性メモリROMを制御装置1から抜き取る場合が考えられる。メディアやメディア接続用のインターフェースによっては、いわゆるホットプラグ対応のものもあるが、不揮発性メモリROMの回路保護の観点からすれば、不揮発性メモリROMに供給されているメモリ電源の電圧が低下するまで、不揮発性メモリROMの抜き取りを待つことが望ましい。
【0056】
前述した、電源遮断直後における動作保証期間にデータを不揮発性メモリROMに書き込んだ場合、コンデンサ15にバックアップされているPmが消費される。このため、電源遮断後から数秒以内の比較的短い時間でVcが低下し、供給停止電圧Vcoffまで低下した時点で、供給制御部17により、Pmの供給が停止される。したがって、書込終了後、比較的短い時間で、不揮発性メモリROMを制御装置1から安全に抜き取ることができる。
【0057】
一方、動作保証期間にデータを不揮発性メモリROMに書き込まない場合、コンデンサ15にバックアップされているPmは消費されない。このため、電源遮断後から、例えば1分前後にわたる比較的長い時間をかけてVcが供給停止電圧Vcoffまで低下することになる。したがって、電源遮断後、データを不揮発性メモリROMに書き込まない場合には、不揮発性メモリROMに対するPmの供給を強制的に遮断して、不揮発性メモリROMの抜き取りまでの待ち時間を短縮することが望ましい。
本実施の形態は、電源遮断後、不揮発性メモリROMに対するデータの書き込み要否に応じて、不揮発性メモリROMに対するPmの供給を制御するようにしたものである。
【0058】
図5に示すように、本実施の形態にかかる制御装置1のメモリ電源供給回路10において、新たな回路構成として、電源断予告部20、電源電圧検出部21、電源状態判定部22、および強制遮断保持部23を備えている。また、演算制御回路CNTおよび供給制御部17に新たな機能が追加されている。
【0059】
電源断予告部20は、主電源Pinの主電源電圧Vinを監視し、Vinが予め設定した主電源低下電圧Vinoff(第4の電圧)を下回った場合、Vinさらには動作電源電圧Vwの低下に先立ってPinの遮断を予告する主電源低下出力Sin(Sin=Lowレベル)を、演算制御回路CNTおよび電源状態判定部22へ出力する機能と、Vinが予め設定した主電源安定電圧Vinon(第6の電圧)以上に上昇した場合、演算制御回路CNTおよび電源状態判定部22に対する主電源低下出力Sinの出力を停止する(Sin=Highレベル)機能とを有している。VinoffとVinonの電圧値については、同じ値Vinoff=Vinonに設定してもよいが、回路の安定動作を考慮して、ヒステリシス特性Vinoff<Vinonを持たせてもよい。
【0060】
電源電圧検出部21は、動作電源Pwの動作電源電圧Vwを監視し、Vwが予め設定した動作電源低下電圧Vwoff(第5の電圧)を下回った場合、電源状態判定部22に対してVwの低下を示す動作電源低下出力Sw(Sw=Lowレベル)を出力する機能と、Vwが予め設定した動作電源安定電圧Vwonに達している場合、電源状態判定部22に対する動作電源低下出力Swの出力を停止する(Sw=Highレベル)機能とを有している。VwoffとVwonの電圧値については、同じ値Vwoff=Vwonに設定してもよいが、回路の安定動作を考慮して、ヒステリシス特性Vwoff<Vwonを持たせてもよい。
【0061】
電源状態判定部22は、電源断予告部20からの主電源低下出力Sinと、電源電圧検出部21からの動作電源低下出力Swとに基づいて、メモリ電源供給回路10における電源供給状態が、電源供給状態(ON)、電源低下状態(DOWN)、電源停止状態(OFF)のいずれであるかを判定する機能と、得られた判定結果に基づいて電源状態判定出力Spwを強制遮断保持部23へ出力する機能とを有している。具体的には、Sin=HighレベルでSw=Highレベルの場合にはSpw=ONと判定し、Sin=LowレベルでSw=Highレベルの場合にはSpw=DOWNと判定し、Sw=Lowレベルの場合にはSpw=OFFと判定する。
【0062】
演算制御回路CNTは、電源断予告部20からの主電源低下出力Sinにより主電源Pinの遮断が予告された場合、不揮発性メモリROMに対して書き込むべき対象データがバッファ(図示せず)に蓄積されているか確認する機能と、得られた確認結果に基づいて、不揮発性メモリROMに供給するメモリ電源Pmに関する強制遮断の要否を示す強制遮断制御出力Scut(強制遮断要:Scut=Highレベル,強制遮断不要:Scut=Lowレベル)を強制遮断保持部23へ出力する機能とを有している。
【0063】
なお、不揮発性メモリROMに対する対象データの書き込みについては、他の制御回路(CPU)で実行してもよいが、演算制御回路CNTで実行してもよい。この場合、演算制御回路CNTは、不揮発性メモリROMに対する対象データの書込動作に関連して、書込要求なし、書込要求あり、書き込み中、書込完了などの動作状態を管理し、これら動作状態に基づいて、対象データの有無や書き込みの正常終了を確認すればよい。対象データを正常に書き込みできる保証はないため、これら動作状態を用いて書き込みが正常終了したか確認し、正常終了しなかった場合は、正常終了するよう書き込みをリトライする。例えば、書き込み中を示す状態が一定時間を超えた場合には異常と判断してリトライし、書き込みが完了したら正常終了/異常終了を確認し、異常終了であればリトライする。
【0064】
強制遮断保持部23は、電源状態判定部22からの電源状態判定出力Spwが電源低下状態(Spw=DOWN)を示す場合、演算制御回路CNTからの強制遮断制御出力Scutを保持し、保持した強制遮断制御出力Scutの指示内容を示す強制遮断保持出力Sq(Sq=Scut)を供給制御部17へ出力する機能と、Spwが電源供給状態(Spw=ON)を示す場合、Scutに関係なく強制遮断不要(Sq=Lowレベル)を出力する機能とを有している。
【0065】
供給制御部17は、強制遮断保持部23から出力される強制遮断保持出力Sqが、強制遮断要を示す場合、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)を強制的に遮断する機能を有している。
【0066】
[電源状態判定時の回路動作]
次に、
図6を参照して、本実施の形態にかかる制御装置1における、電源状態判定時の回路動作について説明する。
図6は、電源状態判定時における回路電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【0067】
まず、主電源遮断時には、時刻T1以前において、主電源Pinの主電源電圧Vinは、主電源低下電圧Vinoff以上であり、電源断予告部20からPinの遮断を予告する主電源低下出力Sinは出力されていない(Sin=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22は、Vinが安定して供給されていることから、電源供給状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=ON)を出力する。
【0068】
一方、Pinが遮断されて、時刻T1にVinがVinoffを下回った場合、電源断予告部20からPinの遮断を予告するSinが出力される(Sin=Lowレベル)。この時点において、動作電源電圧VwはVwoff以上を示しており、電源電圧検出部21からVwの低下を示す動作電源低下出力Swは出力されていない(Sw=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22は、Vwは安定供給されているもののPinの遮断予告が通知されたため、電源低下状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=DOWN)を出力する。
【0069】
この後、Vwが徐々に低下して、時刻T2にVwがVwoffを下回った場合、電源電圧検出部21からVwの低下を示す動作電源低下出力Sw(Sw=Lowレベル)が出力される。これにより、電源状態判定部22は、Pinの遮断予告が通知されているとともに、Vwの低下が通知されているため、電源停止状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=OFF)を出力する。
【0070】
また、主電源供給開始時には、時刻T3以前において、主電源Pinの主電源電圧Vinは主電源安定電圧Vinonを下回っており、電源断予告部20からPinの遮断を予告する主電源低下出力Sin(Sin=Lowレベル)が出力されている。同じく、時刻T3以前において、動作電源電圧Vwは動作電源安定電圧Vwonを下回っており、電源電圧検出部21からVwの低下を示す動作電源低下出力Sw(Sw=Lowレベル)が出力されている。これにより、電源状態判定部22から、電源停止状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=OFF)が出力されている。
【0071】
この後、時刻T3に、VinがVinonに達した時点で、電源断予告部20はSinの出力を停止する(Sin=Highレベル)。この場合、電源状態判定部22は、Spw(Spw=OFF)を出力を継続する。
続いて、時刻T4に、VwがVwonに達した時点で、電源電圧検出部21は、Swの出力を停止する(Sw=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22は、Spw(Spw=ON)を出力する。
【0072】
[メモリ電源強制遮断動作]
次に、
図7を参照して、本実施の形態にかかる制御装置1における、電源状態判定時の回路動作について説明する。
図7は、第2の実施の形態にかかる電源状態判定時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【0073】
まず、時刻Ta以前において、主電源Pinの主電源電圧Vinは、主電源低下電圧Vinoff以上であり、電源断予告部20から主電源低下出力Sinは出力されていない(Sin=Highレベル)。同じく、時刻T1以前において、動作電源Pwの動作電源電圧Vwは、動作電源低下電圧Vwoff以上であり、電源電圧検出部21から動作電源低下出力Swは出力されていない(Sw=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22から、電源供給状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=ON)が出力されている。
【0074】
時刻TaにおいてPinが遮断されてVinの低下が始まり、その後の時刻TbにVinがVinoffを下回った場合、電源断予告部20からPinの遮断を予告するSin(Sin=Lowレベル)が出力される。この時点において、Vwは動作電源安定電圧Vwon以上を示しており、Swは出力されていない(Sw=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22から、電源低下状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=DOWN)が出力される。
【0075】
時刻Tb以降、Vinの低下に応じてVwが徐々に低下し、その後の時刻Tcにおいて、Vwがコンデンサ15の充電電圧Vcより低下したことが電圧比較部13で検出された場合、前述の
図3で述べたように、逆流防止部14によりコンデンサ15からメモリ電源生成部12への逆流電流が防止される。これにより、VcがVwから切り離されて、時刻Tc以降、Vwの低下と比べてVcの低下が緩やかになる。
【0076】
一方、演算制御回路CNTは、時刻Tbに電源断予告部20から出力された主電源低下出力Sin(Sin=Lowレベル)に応じて、メモリ電源Pmに関する強制遮断の要否判定を開始する。ここで、不揮発性メモリROMに対して書き込むべきデータがバッファに蓄積されておらず、例えば時刻Tcより後の時刻Tdにおいて、メモリ電源Pm(Pc→Prom)の強制遮断が必要と判定された場合、演算制御回路CNTから強制遮断要を示す強制遮断制御出力Scut(Scut=Highレベル)が出力される。
【0077】
時刻Tdにおいて、強制遮断保持部23は、電源状態判定部22からの電源状態判定出力Spwが電源低下状態(Spw=DOWN)を示しているため、演算制御回路CNTからの強制遮断制御出力Scutを保持し、強制遮断要を示す強制遮断保持出力Sqを供給制御部17へ出力する。
供給制御部17は、強制遮断保持部23から出力された強制遮断要を示す強制遮断保持出力Sqに応じて、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)を強制遮断する。
【0078】
これにより、時刻Tdにおいて、不揮発性メモリROMのROM電源電圧VromがVcから切り離されることになる。このため、不揮発性メモリROMへの書き込み動作が行われず、不揮発性メモリROMでの消費電力が極めて小さい場合でも、VromがVcの低下に比較して急峻に低下することになる。
この後、時刻TeにVwが動作電源低下電圧Vwoff下回った場合、電源状態判定部22から、電源停止状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=OFF)が出力される。
【0079】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、演算制御回路CNTが、電源断予告部20から主電源Pinの遮断が予告された場合、不揮発性メモリROMへ書き込むべきデータの有無に基づいて、メモリ電源Promに関する強制遮断の要否を示す強制遮断制御出力Scutを出力し、電源状態判定部22により、動作電源Pwの電源供給状態が電源低下状態(Spw=DOWN)にあると判定されている場合、強制遮断保持部23が、新たなScutを取り込んで供給制御部17へ保持出力するようにしたものである。
【0080】
これにより、Pinが遮断されてPwが低下している状態で、演算制御回路CNTからPromに関する強制遮断が指示された場合には、不揮発性メモリROMのROM電源電圧Vromがコンデンサ15の充電電圧Vcから切り離される。このため、Pin遮断時に、不揮発性メモリROMへの書き込み動作が行われず、不揮発性メモリROMでの消費電力が極めて小さい場合でも、VromがVcの低下に比較して急峻に低下することになる。したがって、不揮発性メモリROMへの書き込み動作が行われない場合でも、早期に不揮発性メモリROMを抜き取ることが可能となる。
【0081】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる制御装置1について説明する。
第2の実施の形態において、不揮発性メモリROMのメモリ電源Promを強制遮断した直後に、主電源Pinが復旧した場合、コンデンサ15の充電電圧Vcにより不揮発性メモリROMを動作させることができるにも関わらず、メモリ電源Promが遮断されたままとなって、不揮発性メモリROMが動作しない状態となる場合が考えられる。
本実施の形態では、このような状態に対応するため、主電源Pinが復旧した場合には、メモリ電源Promの強制遮断を解除するようにしたものである。
【0082】
本実施の形態にかかる制御装置1のメモリ電源供給回路10は、前述した
図5と同様の構成を有している。
これに加えて、強制遮断保持部23は、電源状態判定部22からの電源状態判定出力Spwが電源低下状態(Spw=DOWN)から電源供給状態(Spw=ON)に変化した場合、演算制御回路CNTからの強制遮断制御出力Scutに関係なく強制遮断不要(Sq=Lowレベル)を出力する機能とを有している。
【0083】
[メモリ電源強制遮断動作]
次に、
図8を参照して、本実施の形態にかかる制御装置1における、電源状態判定時の回路動作について説明する。
図8は、第3の実施の形態にかかる電源状態判定時における回路電圧の変化を示すグラフである。
【0084】
まず、時刻Ta以前において、主電源Pinの主電源電圧Vinは、主電源低下電圧Vinoff以上であり、電源断予告部20から主電源低下出力Sinは出力されていない(Sin=Highレベル)。同じく、時刻T1以前において、動作電源Pwの動作電源電圧Vwは、動作電源低下電圧Vwoff以上であり、電源電圧検出部21から動作電源低下出力Swは出力されていない(Sw=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22から、電源供給状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=ON)が出力されている。
【0085】
時刻TaにおいてPinが遮断されてVinの低下が始まり、その後の時刻TbにVinがVinoffを下回った場合、電源断予告部20からPinの遮断を予告するSin(Sin=Lowレベル)が出力される。この時点において、Vwは動作電源安定電圧Vwon以上を示しており、Swは出力されていない(Sw=Highレベル)。これにより、電源状態判定部22から、電源低下状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=DOWN)が出力される。
【0086】
時刻Tb以降、Vinの低下に応じてVwが徐々に低下し、その後の時刻Tcにおいて、Vwがコンデンサ15の充電電圧Vcより低下したことが電圧比較部13で検出された場合、前述の
図3で述べたように、逆流防止部14によりコンデンサ15からメモリ電源生成部12への逆流電流が防止される。これにより、VcがVwから切り離されて、時刻Tc以降、Vwの低下と比べてVcの低下が緩やかになる。
【0087】
一方、演算制御回路CNTは、時刻Tbに電源断予告部20から出力された主電源低下出力Sin(Sin=Lowレベル)に応じて、メモリ電源Pmに関する強制遮断の要否判定を開始する。ここで、不揮発性メモリROMに対して書き込むべきデータがバッファに蓄積されておらず、例えば時刻Tcより後の時刻Tdにおいて、メモリ電源Pm(Pc→Prom)の強制遮断が必要と判定された場合、演算制御回路CNTから強制遮断要を示す強制遮断制御出力Scut(Scut=Highレベル)が出力される。
【0088】
時刻Tdにおいて、強制遮断保持部23は、電源状態判定部22からの電源状態判定出力Spwが電源低下状態(Spw=DOWN)を示しているため、演算制御回路CNTからの強制遮断制御出力Scutを保持し、強制遮断要を示す強制遮断保持出力Sqを供給制御部17へ出力する。
供給制御部17は、強制遮断保持部23から出力された強制遮断要を示す強制遮断保持出力Sqに応じて、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)を強制遮断する。
【0089】
これにより、時刻Tdにおいて、不揮発性メモリROMのROM電源電圧VromがVcから切り離されることになる。このため、不揮発性メモリROMへの書き込み動作が行われず、不揮発性メモリROMでの消費電力が極めて小さい場合でも、VromがVcの低下に比較して急峻に低下することになる。
【0090】
この後、時刻TeにPinが復旧してVinの上昇が始まり、その後の時刻TfにVinがVinonに達した場合、電源断予告部20からPinの遮断を予告するSinの出力が停止される(Sin=Hightレベル)。この時点において、Vwは動作電源安定電圧Vwon以上を示しており、Swは出力されていない(Sw=Highレベル)。これにより、時刻Tfにおいて、電源状態判定部22から、電源供給状態を示す電源状態判定出力Spw(Spw=ON)が出力される。
【0091】
時刻Tfにおいて、強制遮断保持部23は、電源状態判定部22からの電源状態判定出力Spwが電源供給状態(Spw=ON)に変化したため、演算制御回路CNTからの強制遮断制御出力Scutに関係なく強制遮断不要(Sq=Lowレベル)を出力する。
供給制御部17は、強制遮断保持部23から出力された強制遮断不要を示す強制遮断保持出力Sqに応じて、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)の強制遮断を解除して、コンデンサ15の充電電圧VcをROM電源電圧Vromに接続する。これにより、VromはVcまで上昇し、不揮発性メモリROMの動作が可能となる。
【0092】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、強制遮断保持部23が、電源状態判定部22からの電源状態判定出力Spwが電源低下状態(Spw=DOWN)から電源供給状態(Spw=ON)に変化した場合、演算制御回路CNTからの強制遮断制御出力Scutに関係なく強制遮断不要(Sq=Lowレベル)を出力するようにしたものである。
これにより、不揮発性メモリROMのメモリ電源Promを強制遮断した直後に、主電源Pinが復旧した場合には、メモリ電源Pmの強制遮断が解除されて、コンデンサ15の充電電圧Vcにより不揮発性メモリROMを動作させることが可能となる。
【0093】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0094】
前述した第2の実施の形態では、電源遮断時に不揮発性メモリROMへ書き込むべき対象データがない場合を例として説明したが、充電電圧Vcの低下は、対象データのデータ量に依存するため、対象データのデータ量が少ない場合は対象データがない場合と同様に、Vcの低下に時間がかかることになる。このような場合には、不揮発性メモリROMの消費電流をモニタし、消費電流が一定時間にわたり低下した場合には、対象データの書込動作が終了したものと判断して、メモリ電源Pm(Pc→Prom)を遮断してもよい。
【0095】
具体的には、供給制御部17から不揮発性メモリROMへ流れるメモリ電流を検出するメモリ電流検出部を設け、電源状態判定部22の電源状態判定出力Spwが、電圧低下状態(Spw=DOWN)または電源停止状態(Spw=OFF)であって、かつ、メモリ電流検出部により、メモリ電流が予め設定されている書込動作電流値を下回ったことを一定時間にわたって検出された場合、供給制御部17により、不揮発性メモリROMに対するメモリ電源Pm(Pc→Prom)を強制的に遮断すればよい。
【0096】
これにより、対象データが少ない場合でも、書込動作終了から一定時間経過後にメモリ電源Pm(Pc→Prom)を強制的に遮断できる。また、演算制御回路CNTでの対象データの書込要否を判定する必要もなくなる。
不揮発性メモリの種類によっては、外部からの書込指令を受け取らなくても、内部処理として書込動作が発生する場合がある。上記のうよにメモリ電流をモニタすれば、内部処理により書込動作が発生した場合、メモリ電源Pm(Pc→Prom)を供給し、内部・外部処理による書込動作がない場合、メモリ電源Pm(Pc→Prom)を遮断することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…制御装置、10…メモリ電源供給回路、11…電源監視部、12…メモリ電源生成部、13…電圧比較部、14…逆流防止部、15…コンデンサ、16…電圧監視部、17…供給制御部、20…電源断予告部、21…電源電圧検出部、22…電源状態判定部、23…強制遮断保持部、CNT…演算制御回路、ROM…不揮発性メモリ、SP…電源回路、Pin…主電源、Pw…動作電源、Pm,Pc,Prom…メモリ電源、Vin…主電源電圧、Vw…動作電源電圧、Vm…出力電圧、Vc…充電電圧、Vrom…ROM電源電圧、Vmon…出力開始電圧、Vcon…供給開始電圧、Vcoff…供給停止電圧、Sin…主電源低下出力、Sw…動作電源低下出力、Spw…電源状態判定出力、Scut…強制遮断制御出力、Sq…強制遮断保持出力、Vinoff…主電源低下電圧、Vinon…主電源安定電圧、Vwoff…動作電源低下電圧、Vwon…動作電源安定電圧。