(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20220118BHJP
B65G 67/04 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B65G47/52 A
B65G67/04
(21)【出願番号】P 2018046306
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】村上 奨
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-044119(JP,U)
【文献】実開昭60-053703(JP,U)
【文献】特開昭61-106321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を第1載置部と第2載置部である台車の載置面との間で載せ換える際に用いられる搬送装置であって、
被搬送物を搬送する搬送部を有する搬送手段と、
この搬送手段を上下方向に回動させる駆動手段とを備え、
前記搬送手段は、上方回動により前記搬送部が前記台車の載置面よりも上方に突出して被搬送物の底面を支持する第1状態となり、下方回動により前記搬送部が前記台車の載置面よりも上方に突出せず前記台車の移動を許容する第2状態となる
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送手段は、
駆動手段からの動力で回動する回動軸と、
この回動軸に設けられ、搬送部を支持する支持体とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
被搬送物が載せ換えられる際の移動方向である載せ換え方向と平行な方向に沿って設けられ、台車が有する複数の側面のうち一の側面と当接する第1位置決め体と、
第1載置部の端部から離れた位置で前記一の側面と直交する他の側面と当接する第2位置決め体とを備え、
回動軸の一部、支持体及び搬送部は、平面視で前記第1載置部の端部と前記第1位置決め体と前記第2位置決め体とで囲まれた台車挿入領域内に位置し、
前記回動軸の他部及び駆動手段は、平面視で前記台車挿入領域外であって前記第1位置決め体側に位置する
ことを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
回動軸の回動中心軸線は、載せ換え方向に交差し、
台車は、台車挿入領域に対して、前記回動中心軸線に沿って進入または退出する
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
搬送手段及び駆動手段は、1つの共通のベース体によって支持されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の搬送装置。
【請求項6】
搬送部は、連続する搬送面を形成する第1搬送部と第2搬送部を有し、
搬送手段は、
駆動手段からの動力で回動する回動軸と、
前記第1搬送部を支持し、前記回動軸に設けられ、この回動軸とともに回動する第1支持体と、
前記第2搬送部を支持し、前記第1支持体に対して回動する第2支持体とを備え、
前記第1支持体は、前記第2支持体を回動可能に支持する回動支軸と、前記第2支持体の下方回動を規制する規制体とを有し、
第1状態では、前記第2支持体の下方回動が前記規制体によって規制されて前記第1搬送部と前記第2搬送部とで連続する搬送面が形成され、
第2状態では、前記第2支持体が前記第1搬送部に対して上方に回動して、前記第1搬送部と前記第2搬送部が台車の載置面よりも下方に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物が第1載置部及び第2載置部である台車のいずれか一方からいずれか他方へ載せ換えられる際に用いられる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された台車(コンテナ用運搬台車)が知られており、この台車は、開口部が形成された台車本体と、この台車本体の下面の四隅付近に設けられたキャスターとを備えている。
【0003】
ところで、例えば複数個のコンテナが段積みされたコンテナ群からなる被搬送物を、第1載置部としてのコンベヤから前記台車へ載せ換える際には、作業者が被搬送物を押して台車の載置面まで移動させているが、被搬送物が重い場合等には作業者への負担が大きく、適切な載せ換えを実現できないおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、被搬送物の載せ換えの際に、被搬送物を適切に載せ換えることができる搬送装置が求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被搬送物を適切に載せ換えることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送装置は、被搬送物を第1載置部と第2載置部である台車の載置面との間で載せ換える際に用いられる搬送装置であって、被搬送物を搬送する搬送部を有する搬送手段と、この搬送手段を上下方向に回動させる駆動手段とを備え、前記搬送手段は、上方回動により前記搬送部が前記台車の載置面よりも上方に突出して被搬送物の底面を支持する第1状態となり、下方回動により前記搬送部が前記台車の載置面よりも上方に突出せず前記台車の移動を許容する第2状態となるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被搬送物を適切に載せ換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の概略構成図である。
【
図6】(a)及び(b)は同上搬送装置の要部正面図である。
【
図7】(a)ないし(c)は同上搬送装置を用いて被搬送物をコンベヤから台車へ載せ換える場合の動作説明図である。
【
図8】(d)ないし(f)は
図7に続く動作説明図である。
【
図9】(g)ないし(i)は
図8に続く動作説明図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態に係る搬送装置の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図9を参照して説明する。
【0011】
図1ないし
図6において、1は搬送装置で、この搬送装置1は、被搬送物Wが第1載置部としてのコンベヤ2及び第2載置部としての台車3のいずれか一方からいずれか他方へ載せ換えられる際、すなわち例えば被搬送物Wがコンベヤ2から台車3へ載せ換えられる際に用いられるものである。
【0012】
被搬送物Wは、例えば商品を収納した複数個のコンテナが段積みされたコンテナ群(物品群)からなる縦長の直方体状の重量物である。
【0013】
コンベヤ2は、例えば設置面(床面)5に設置された高さが低いローラコンベヤである。コンベヤ2は、被搬送物Wを水平な搬送方向に搬送する複数の搬送ローラ6と、これら複数の搬送ローラ6を支持するコンベヤフレーム7とを備えている。
【0014】
また、コンベヤ2は、このコンベヤ2の搬送終端部の近傍に位置するストッパ8と、このストッパ8を昇降させるストッパ用シリンダ9とを備えている。そして、ストッパ8は、ストッパ用シリンダ9の伸び動作で上昇して被搬送物Wの搬送方向への移動を規制する規制状態となり、ストッパ用シリンダ9の縮み動作で下降して被搬送物Wの搬送方向への移動を許容する許容状態となる。
【0015】
なお、複数の搬送ローラ6のうち、コンベヤ2の搬送終端側に位置する所定数の搬送ローラ6はフリーローラであり、残りの搬送ローラ6は駆動ローラである。すなわち例えば
図7(a)に示すように、コンベヤ2の搬送終端側の7本の搬送ローラ6(6a)がフリーローラで、残りの搬送ローラ6(6b)が駆動ローラである。
【0016】
台車3は、例えば設置面5を任意方向へ走行可能な運搬台車である。台車3は、開口部10が中間部(中央部)に大きく開口形成された平面視矩形状の台車本体11と、この台車本体11の下面の四隅付近に設けられた走行車輪であるキャスター12とを備えている。
【0017】
そして、台車本体11の上面が平面状の載置面(被搬送物載置面)13となっており、この載置面13に被搬送物Wが載置される。なお、台車3の載置面13における3辺には凸部15が突設され、また、載置面13における開口部10付近の複数箇所には薄い円板状の滑り止め部16が突設されている。
【0018】
搬送装置1は、コンベヤ2からの被搬送物Wをそのコンベヤ2の搬送方向と同じ方向に搬送する搬送手段21と、この搬送手段21を水平な回動中心軸線(コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に沿った線)Xを中心として上下方向に回動させる駆動手段22とを備えている。
【0019】
そして、これら搬送手段21及び駆動手段22は、平面視L字状をなす1つの共通のベース体23によって支持され、このベース体23が設置面5に固定的に設置されている。なお、例として、被搬送物Wの載せ換え方向をコンベヤ2の搬送方向と同じくする。
【0020】
搬送手段21は、ベース体23の複数の軸支持部24によって回動可能に支持されコンベヤ2の搬送方向と直交する方向に軸方向を有し駆動手段22からの動力で回動する回動軸26と、この回動軸26に固着され互いに離間対向する対なす支持体としての支持フレーム27と、これら両支持フレーム27に架設され被搬送物Wをコンベヤ2の搬送方向と同じ方向に搬送する複数の回転体としての搬送ローラであるフリーローラ28とを有している。
【0021】
なお、これら複数(例えば3本)のフリーローラ28によって、非駆動式の搬送部30が構成されている。なお、2体の軸支持部24は、搬送手段21の搬送部30を間に挟むように回転軸26をベース体23に固定している。さらに、2体の軸支持部24は、連結アーム37を間に挟むように回転軸26をベース体23に固定している。少なくともこれら3体の軸支持部24によって、回転軸26が支持され、ベース体23に固定されている。
【0022】
各フリーローラ28は、両支持フレーム27に架設されたローラ軸31と、このローラ軸31によって回転可能に支持された円筒状のローラ本体32とを有している。また、互いに離間対向する両支持フレーム27は、複数の連結棒33で互いに連結されている。
【0023】
駆動手段22は、伸縮可能な駆動源であるシリンダ(例えばエアーシリンダ)36と、このシリンダ36と回動軸26とを連結する連結アーム37とを有している。また、このシリンダ36は、シリンダ本体38と、このシリンダ本体38内に対して出入りするロッド39とを有し、シリンダ本体38の基端部がベース体23のシリンダ取付部40に回動可能に取り付けられ、ロッド39の先端部が連結アーム37の先端部に回動可能に連結されている。
【0024】
そして、シリンダ36が伸び動作を行うと、これに連動して連結アーム37が押し出されて回動軸26が一方向に回動するため、搬送手段21は、そのシリンダ36の伸び動作に基づく回動軸26を中心とする上方回動により、搬送部30の少なくとも一部、すなわち例えば複数のフリーローラ28の上端部のみが台車3の開口部10から台車3の載置面13よりも上方に突出する第1状態となる(
図6(a)を参照)。
【0025】
つまり、搬送手段21は、駆動手段22の動作に基づく上方回動により搬送部30が台車3の載置面13よりも上方に突出する第1状態となる。
【0026】
そして、この第1状態時において、搬送部30の載置面13に対する上方への突出寸法Aは、滑り止め部16の載置面13に対する上方への突出寸法Bよりも大きい。換言すると、台車3の載置面13とフリーローラ28の上端との間の隙間寸法(例えば5mm程度)は、台車3の滑り止め部16の厚さ寸法よりも大きい。
【0027】
また、この第1状態時において、複数のフリーローラ28の上端(搬送部30の搬送面)は、台車3の載置面13よりも上方に位置し、かつ、コンベヤ2の複数の搬送ローラ6の上端(コンベヤ2の搬送面)と同一面上(略同一面上を含む)に位置する。なおこのとき、各フリーローラ28における上端部を除く部分は、台車3の開口部10内に収納されている。
【0028】
また一方、シリンダ36が縮み動作を行うと、これに連動して連結アーム37が引き戻されて回動軸26が一方向と反対の他方向に回動するため、搬送手段21は、そのシリンダ36の縮み動作に基づく回動軸26を中心とする下方回動により、搬送部30の全部、すなわち例えば複数のフリーローラ28の全体が台車3の開口部10内から下方へ出て台車3の走行(移動)を許容する第2状態となる(
図6(b)を参照)。
【0029】
つまり、搬送手段21は、駆動手段22の動作に基づく下方回動により搬送部30が台車3の載置面13よりも上方に突出しない第2状態となる。
【0030】
そして、この第2状態時において、複数のフリーローラ28のうち最上流のフリーローラ28の上端は、台車3の台車本体11の下面11aよりも下方に位置する。また、複数のフリーローラ28のうち最下流のフリーローラ28の下端は、設置面5よりも上方に位置しており、当該フリーローラ28は設置面5には当接しない(それゆえ設置面5に凹部を設ける必要がない)。
【0031】
このように、搬送手段21は、台車3の開口部10を利用することで、駆動手段22の動作に基づく上下回動によって第1状態及び第2状態に選択的に切換可能である。そして、搬送手段21が第1状態から第2状態に切り換わる際に、搬送部30上の被搬送物Wが僅かに下降して台車3の載置面13上に載り移って載置される。
【0032】
また、搬送装置1は、矩形状の台車3が有する4つの側面のうちコンベヤ2の搬送方向(載せ換え方向)と平行な方向に沿った一の側面(台車3の挿入方向前面)と当接する細長板状の第1位置決め体41と、コンベヤ2の搬送終端部から所定距離離れた位置で台車3の一の側面と直交する他の側面(台車3の挿入方向側面であって凸部15が存在する側の側面)と当接する細長板状の第2位置決め体42とを備えている。
【0033】
そして、第1載置部の端部(載せ換え方向端部)であるコンベヤ2の搬送終端部の端板2aと第1位置決め体41と第2位置決め体42とで3方向が囲まれた領域が、残りの1方向のみに開口した台車挿入領域(内側領域)43となっており、この台車挿入領域43に台車3が取出可能に挿入される。なお、台車挿入領域43に対する台車3の挿入方向及び取出方向は、コンベヤ2の搬送方向と直交する方向である。
【0034】
また、
図1から明らかなように、搬送手段21の回動軸26の一部、支持フレーム27及びフリーローラ28は、平面視で台車挿入領域43内に位置するが、回動軸26の他部及び駆動手段22は、平面視で台車挿入領域43外であって第1位置決め体41側であり、詳しくは第1位置決め体41の外側近傍に位置しており、駆動手段22は第1位置決め体41と長手方向(シリンダロッドの伸縮方向でもある)が同方向を向いている。なお、この台車挿入領域43外に位置した回動軸26の他部及び駆動手段22は、箱状のカバー体44で覆われている。
【0035】
ここで、第1位置決め体41は、コンベヤ2の搬送方向と平行な方向に長手方向を有する板状部材からなるもので、設置面5に固定的に設置された設置板部46と、この設置板部46に立設された位置決め板部47とを有している。また、第1位置決め体41には切欠部48が形成され、この切欠部48に回動軸26及びベース体23が挿通されている。
【0036】
また、第2位置決め体42は、コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に長手方向を有する板状部材からなるもので、設置面5に固定的に設置された設置板部51と、この設置板部51に立設された位置決め板部52と、この位置決め板部52に連設された傾斜状の案内板部53とを有している。そして、案内板部53は、台車挿入領域43に対する台車3の挿入の際に、台車3を台車挿入領域43に向けて案内する。
【0037】
次に、上記搬送装置1を用いて被搬送物Wをコンベヤ2から台車3へ載せ換える場合について説明する。
【0038】
まず、
図7(a)に示すように、空の台車3が挿入方向に走行して台車挿入領域43に挿入された状態で、被搬送物Wは、コンベヤ2の搬送ローラ6によって搬送方向へ搬送される。
【0039】
次いで、
図7(b)に示すように、被搬送物Wがストッパ8に当接して所定位置で停止すると、作業者は、所定のボタン(図示せず)を操作する。
【0040】
すると、
図7(c)に示すように、搬送手段21が駆動手段22の動作に基づいて上方回動して第1状態(進出状態)となり、その結果、各フリーローラ28の上端部が台車3の載置面13よりも上方に突出する。また、ストッパ8が下降して被搬送物Wの搬送方向への移動を許容する許容状態となる。
【0041】
そして、この状態で、作業者は、コンベヤ2上の被搬送物Wを手で押して搬送方向へ移動させる。
【0042】
すると、
図8(d)~
図9(g)に示すように、被搬送物Wは、コンベヤ2の搬送ローラ(フリーローラ)6と搬送手段21のフリーローラ28とによって、被搬送物Wの搬送方向前面の下端部が台車3の凸部15に当接するまで、搬送方向に向かって搬送される。
【0043】
このとき、被搬送物Wの下面(底面)は、フリーローラ28で支持されて台車3の載置面13の上方近傍位置を移動するが、載置面13上の滑り止め部16には接触(摺接)しない。
【0044】
ここで、
図8(d)に示すように、複数のフリーローラ28のうち最上流のフリーローラ28に被搬送物Wの搬送方向前端部が載った状態では、被搬送物Wの重心Gは、コンベヤ2の上方に位置する。なお、説明上、被搬送物Wの側面視における矩形の中心を重心相当位置として考える。
【0045】
その後、
図8(e)の如く重心Gがコンベヤ2と搬送手段21との間の上方に位置する状態、及び
図8(f)の如く重心Gが搬送手段21の上流側の上方に位置する状態を経て、
図9(g)の如く重心Gが複数のフリーローラ28のうち最下流のフリーローラ28の上方に位置する状態で、被搬送物Wは台車3の凸部15に当接して停止する。搬送部30の最上流位置である最上流のフリーローラ28の位置と第1搬送部の最下流位置であるコンベヤ2の最下流のフリーローラ28との離間距離が被搬送物の搬送方向長さ(載せ換え方向長さ)の1/2よりも短くされている。
【0046】
このように被搬送物Wがコンベヤ2上から搬送手段21上へ載り移るため、重心Gがコンベヤ2から離脱する前に、被搬送物Wの前側がフリーローラ28上に位置するため、重心Gの位置がコンベヤ2からフリーローラ28に載り移る間、被搬送物Wの前側と後側が支持されて被搬送物Wの傾きが防止される。また、搬送手段21上への載り移り後は、重心Gが常にフリーローラ28上に位置するため、被搬送物Wは傾きが防止される。
【0047】
また、
図9(g)に示す状態では、被搬送物Wの重心Gは、最下流のフリーローラ28の上方に位置するが、このとき、最下流のフリーローラ28は台車3の中心に位置するため、被搬送物Wの重心Gも台車3の中心に位置する。
【0048】
そして、この状態で、作業者が所定のボタン(図示せず)を操作すると、
図9(h)に示すように、搬送手段21が駆動手段22の動作に基づいて下方回動して台車3の走行を許容する第2状態(退避状態)となり、その結果、各フリーローラ28が台車3の開口部10から退避して台車本体11の下面11aと設置面5との間に配置される。
【0049】
このとき、搬送手段21のフリーローラ28上の被搬送物Wは、僅かに下降して台車3の載置面13上にその重心Gが台車3の中心に一致した状態で載置される。
【0050】
次いで、
図9(i)に示すように、作業者は、被搬送物Wが載った台車3を取出方向に走行させることで、台車挿入領域43から取り出した後、当該台車3を用いて被搬送物Wを所定の場所まで運搬する。
【0051】
そして、このような搬送装置1によれば、上下回動可能な搬送手段21及びこれを上下回動させる駆動手段22を備えるため、作業者への負担軽減を図れるとともに、被搬送物Wをコンベヤ2から台車3へ適切かつ安定的に載せ換えることができ、被搬送物Wの重量の増加にも適切に対応でき、しかも、載せ換え時に被搬送物Wが傾くことがなく安全である。
【0052】
また、コンベヤ2の搬送方向と直交する方向に軸方向を有する回動軸26の他部及び駆動手段22が平面視で台車挿入領域43外であって第1位置決め体41の近傍に位置するため、駆動手段22が台車3の台車挿入領域43に対する挿入及び取出の邪魔にはならず、台車3が駆動手段22に干渉することもない。
【0053】
さらに、回動軸26の回動中心軸線Xは、コンベヤ2の搬送方向である載せ換え方向に交差(直交)しており、台車3が台車挿入領域43に対して、前記回動中心軸線方向に沿って進入または退出するため、キャスター12の走行面(移動面)と同一面上に回動軸26を設置したとしても、キャスター12が移動の際に回動軸26と干渉することがなく、安全に台車3を台車挿入領域43に対して出し入れすることができる。加えて、搬送手段21の搬送部30を挟んだ位置に回動軸26を設置面5に固定する軸支持部24が設けられているため、より強固に回動軸26をベース体23に固定することができる。
【0054】
また、連結アーム37および駆動手段22を台車挿入領域43外であって第1位置決め体41側に配置させたため、連結アーム37が他の物体に干渉せず、十分な回動軸26の回動角度を確保することができる。
【0055】
さらに、搬送手段21及び駆動手段22が1つの共通のベース体23で支持された構成であるから、装置のコンパクト化を図れるとともに、現地での組み立ても必要がなく設置工事も容易である。
【0056】
また、搬送手段21の第1状態時において、搬送部30の載置面13に対する突出寸法Aは、滑り止め部16の載置面13に対する突出寸法Bよりも大きいため、搬送部30による被搬送物Wの搬送時に、被搬送物Wの下面が滑り止め部16に接触することがなく、作業者は被搬送物Wをコンベヤ2の搬送方向と同方向へ容易かつスムーズに移動させることができる。
【0057】
なお、搬送装置1の搬送手段21は、被搬送物Wのより一層の安定搬送を図るべく、例えば
図10に示す構成としてもよい。
【0058】
この
図10に示す搬送手段21は、第1支持体としての支持フレーム27に支軸部60を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた第2支持体としての回動フレーム61を有し、この回動フレーム61にも複数、例えば2本のフリーローラ28が設けられている。このため、この
図10に示すものでは、
図6に示すものよりも多い5本のフリーローラ28で搬送部30が構成されている。そして、支持フレーム27には、第1搬送部としての3本の第1フリーローラ28が備えられ、回動フレーム61には、第2搬送部としての2本の第1フリーローラ28が備えられ、これら5本のフリーローラによって連続する搬送面が形成されている。
【0059】
また、支持フレーム27には、回動フレーム61の凹部62との係合により回動フレーム61の支持フレーム27に対して、上方回動を許容し、下方回動を規制する規制体としてのストッパ部63が突設されている。
【0060】
そして、
図10(a)に示す搬送手段21の第1状態時においては、回動フレーム61の下方回動がストッパ部63で規制されることで、5本のフリーローラ28が同じ高さ位置に配置され、各フリーローラ28の上端部のみが台車3の載置面13よりも上方に突出して位置している。
【0061】
この状態から支持フレーム27が回動軸26とともに回動すると、支持フレーム27と回動フレーム61とがともに回動軸26回りに回動し、所定角度回動すると、最下流のフリーローラ28が設置面5に当接し、この当接後には支持フレーム27が回動軸26回りに回動し、回動フレーム61が支持フレーム27に対して相対的に回動することで
図10(b)に示す状態となる。それゆえ、支持フレーム27は所定位置まで回動するため、最上流のフリーローラ28も台車3の開口部10内から出て、当該最上流のフリーローラ28の上端は台車本体11の下面11aよりも下方に位置する。よって、搬送手段21が台車3の走行を許容する第2状態となり、台車3を取出方向に走行させて台車挿入領域43から取り出すことが可能である。
【0062】
また、上記実施の形態では、搬送装置1は、被搬送物Wがコンベヤ2から台車3へ載せ換えられる際に用いられるものとして説明したが、被搬送物Wが台車3からコンベヤ2へ載せ換えられる際に用いることも可能であり、第1載置部は、コンベヤ2に限られず例えば台(ステージ)等でもよい。したがって、実施の形態では、コンベヤ2の下流端部で搬送方向に対して被搬送物Wの載せ換えが実施されるため、コンベヤ2の搬送方向が載せ換え方向となっているが、載せ換え方向はこれに限らず、第1載置部と第2載置部との間で被搬送物が移動する任意の方向を載せ換え方向とすることができる。
【0063】
さらに、搬送手段21の搬送部30は、フリーローラからなる非駆動式のものには限定されず、例えば駆動ローラからなる駆動式のものでもよい。
【0064】
また、搬送部30は、搬送ローラではなく、例えばベルト、コロ、ボール等で構成してもよく、台車3は、ドーリ台車に限られず、カゴ台車など各種の台車を採用可能である。
【0065】
さらに、第1位置決め体41及び第2位置決め体42は、例えば互いに連結して一体化したものでもよく、またベース体23に一体に設けてもよいし、間隔を開けて位置する複数の部材から形成されてもよい。
【0066】
また、支持体は、フリーローラを支持する一対のフレームのみならず、フリーローラが固着されるフレームと、そのフレームをさらに支持するフレームとによって組み合わされてもよい。
【0067】
さらに、載換対象物である被搬送物Wは、複数個のコンテナが段積みされたコンテナ群(物品群)には限定されず、例えば1個の物品でもよく、またその物品の種類も問わない。
【符号の説明】
【0068】
1 搬送装置
2 第1載置部であるコンベヤ
3 第2載置部である台車
13 載置面
21 搬送手段
22 駆動手段
23 ベース体
26 回動軸
27 支持体である支持フレーム(第1支持体)
30 搬送部
41 第1位置決め体
42 第2位置決め体
43 台車挿入領域
60 回動支軸である支軸部
61 第2支持体である回動フレーム
63 規制体であるストッパ部
W 被搬送物
X 回動中心軸線