(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2018050087
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148895
【氏名又は名称】荒木 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】芦田 克己
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 和孝
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-025674(JP,A)
【文献】特開2016-170233(JP,A)
【文献】特開2009-244362(JP,A)
【文献】特開2017-111341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射対象物上の矩形状の照射エリアに対して光を照射する光照射装置であって、
基板上に、第1方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、前記第1方向と直交する第2方向にN個(Nは、2以上の整数)並んだM×N個の発光素子と、
前記各発光素子の光路中にそれぞれ配置され、該発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、
前記M×N個の発光素子の光軸を矩形状に囲むように形成された第1のミラー面を有し、前記レンズユニットから出射される光を導光する第1の導光部材と、
前記基板の四隅に配置された発光素子を前記第1方向及び前記第2方向に仕切るように配置され、前記四隅に配置された発光素子からの光を導光する第2のミラー面と、前記四隅に配置された発光素子に隣接する発光素子からの光を導光する第3のミラー面とが形成された第2の導光部材と、
を備え
、
前記第2の導光部材の、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の長さが、前記四隅に配置された発光素子から出射された光の少なくとも一部が、前記第2のミラー面で1回のみ反射し、かつ前記第2のミラー面で反射された光が、前記照射エリア内において、前記基板の四隅に配置された発光素子の光軸よりも外側を照射するように設定されている
ことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
照射対象物上の矩形状の照射エリアに対して光を照射する光照射装置であって、
基板上に、第1方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、前記第1方向と直交する第2方向にN個(Nは、2以上の整数)並んだM×N個の発光素子と、
前記各発光素子の光路中にそれぞれ配置され、該発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、
前記M×N個の発光素子の光軸を矩形状に囲むように形成された第1のミラー面を有し、前記レンズユニットから出射される光を導光する第1の導光部材と、
前記基板の四隅に配置された発光素子を前記第1方向及び前記第2方向に仕切るように配置され、前記四隅に配置された発光素子からの光を導光する第2のミラー面と、前記四隅に配置された発光素子に隣接する発光素子からの光を導光する第3のミラー面とが形成された第2の導光部材と、
を備え、
前記第2のミラー面の反射率が、前記第1のミラー面の反射率以下であることを特徴とする光照射装置。
【請求項3】
前記第2のミラー面の反射率が、90%以下であることを特徴とする請求項
2に記載の光照射装置。
【請求項4】
照射対象物上の矩形状の照射エリアに対して光を照射する光照射装置であって、
基板上に、第1方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、前記第1方向と直交する第2方向にN個(Nは、2以上の整数)並んだM×N個の発光素子と、
前記各発光素子の光路中にそれぞれ配置され、該発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、
前記M×N個の発光素子の光軸を矩形状に囲むように形成された第1のミラー面を有し、前記レンズユニットから出射される光を導光する第1の導光部材と、
前記基板の四隅に配置された発光素子を前記第1方向及び前記第2方向に仕切るように配置され、前記四隅に配置された発光素子からの光を導光する第2のミラー面と、前記四隅に配置された発光素子に隣接する発光素子からの光を導光する第3のミラー面とが形成された第2の導光部材と、
を備え、
前記第1のミラー面は、前記照射対象物に向って広がるように、前記第1の導光部材の光軸に対して、前記広がり角よりも小さい所定の角度で傾斜しており、
前記広がり角が0.5°以上50°以下の範囲であり、前記所定の角度が前記広がり角の1/2よりも小さいことを特徴とする光照射装置。
【請求項5】
前記光は、紫外線波長域の光であることを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性レジストを塗布した基板(例えば、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板)の周辺露光装置等に用いられる光照射装置に関し、特に、照射対象物上の矩形状の照射エリアを均一に照射する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体(例えば、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integrated circuit))の製造工程においては、半導体ウエハの表面に感光性のレジストを塗布し、このレジスト層にマスクを介して露光・現像することにより、回路パターンを形成することが行われている。
【0003】
半導体ウエハの表面にレジストを塗布する方法としては、一般に、ウエハを回転台上に載置し、このウエハの表面の中心付近にレジストを滴下して回転させ、遠心力によってウエハの表面全体にレジストを塗布するスピンコート法が用いられている。
【0004】
このようなスピンコート法においては、レジストは、ウエハ中央部の回路パターン形成領域だけではなく、回路パターンが形成されていないウエハの端縁部にも塗布されることになる。しかしながら、ウエハの端縁部は、ウエハを搬送するために搬送装置等によって把持されることが多く、ウエハの端縁部のレジストを残したままにしておくと、ウエハの搬送中にその一部が剥がれ、欠落するといった問題がある。そして、ウエハの端縁部のレジストが欠落し、それがウエハの回路パターン形成領域に付着してしまうと、所望の回路パターンが形成されず、歩留まりが低下するといった問題が発生する。このため、一般に、ウエハの端縁部を含むその周辺に紫外光を照射する周辺露光装置を使用してレジストの露光を行い、ウエハの端縁部に塗布された不要レジストを除去することが行われている。
【0005】
このような周辺露光装置による露光後、エッチング等によってウエハの端縁部の不要レジストが除去されるが、不要レジストが完全に除去されず、ウエハ上に薄く残ってしまうと(いわゆるグレーゾーンと呼ばれる領域が生じてしまうと)、後工程におけるレジストの欠落の原因となる。このため、不要レジストが除去された後のレジスト端部の断面形状(つまり、回路パターン形成領域に残るレジスト端部の断面形状)は、回路パターン形成領域とウエハの端縁部との間で急峻に立ち上がる(つまり、ダレの少ない)形状となることが望ましい。
【0006】
このようなグレーゾーン領域の発生は、周辺露光装置から基板の端縁部に投影される紫外光の照射強度分布に起因することが知られている。つまり、周辺露光装置から基板の端縁部に投影される紫外光の照射強度分布が、回路パターン形成領域とウエハの端縁部との間でなだらかに変化するものであると、回路パターン形成領域とウエハの端縁部との間で露光の不十分な領域ができてしまい、回路パターン形成領域に残るレジスト端部の断面形状もなだらかなものとなってしまう(つまり、グレーゾーン領域が発生する)。このため、周辺露光装置から基板の端縁部に投影される紫外光の照射強度分布は、回路パターン形成領域とウエハの端縁部との間で急峻に立ち上がる(つまり、ダレの少ない)ものが望ましく、このような照射強度分布を有する周辺露光装置が実用に供されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の周辺露光装置は、基板上に二次元配置された複数の発光素子と、各発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、レンズユニットから出射された光をミキシングして導光する筒状の導光部材と、導光部材と被照射対象物との間に配置される開口絞りと、を備えている。そして、導光部材の内面のミラー面を、照射対象物に向って所定の角度で広がるように構成し、レンズユニットから出射された光の少なくとも一部が、ミラー面によって反射され、開口絞りの開口の端面部近傍を通過し、照射エリアに対して略垂直に入射するように構成されている。
【0009】
特許文献1に記載の周辺露光装置によれば、回路パターン形成領域とウエハの端縁部との間で急峻に立ち上がる紫外光が得られるため、グレーゾーン領域の発生を抑制することができる。しかしながら、特許文献1に記載の構成においては、照射エリアの四隅において照射強度が高くなる傾向を示すため、不要レジストをより安定、かつ確実に除去するとの観点からは、より均一な紫外光を照射可能な光照射装置が求められている。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、急峻に立ち上がる照射強度分布を有しつつも、照射エリア内において略均一な光を照射することが可能な光照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の光照射装置は、照射対象物上の矩形状の照射エリアに対して光を照射する光照射装置であって、基板上に、第1方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、第1方向と直交する第2方向にN個(Nは、2以上の整数)並んだM×N個の発光素子と、各発光素子の光路中にそれぞれ配置され、該発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、M×N個の発光素子の光軸を矩形状に囲むように形成された第1のミラー面を有し、レンズユニットから出射される光を導光する第1の導光部材と、基板の四隅に配置された発光素子を第1方向及び第2方向に仕切るように配置され、四隅に配置された発光素子からの光を導光する第2のミラー面と、四隅に配置された発光素子に隣接する発光素子からの光を導光する第3のミラー面とが形成された第2の導光部材と、を備え、第2の導光部材の、第1方向及び第2方向と直交する第3方向の長さが、四隅に配置された発光素子から出射された光の少なくとも一部が、第2のミラー面で1回のみ反射し、かつ第2のミラー面で反射された光が、照射エリア内において、基板の四隅に配置された発光素子の光軸よりも外側を照射するように設定されていることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、第2の導光部材によって四隅のLED素子から照射エリアPの四隅に向かう紫外光の照射強度を低下させることができるため、照射エリアの四隅の照射強度を略均一とすることができる。
【0014】
また、別の観点からは、本発明の光照射装置は、照射対象物上の矩形状の照射エリアに対して光を照射する光照射装置であって、基板上に、第1方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、第1方向と直交する第2方向にN個(Nは、2以上の整数)並んだM×N個の発光素子と、各発光素子の光路中にそれぞれ配置され、該発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、M×N個の発光素子の光軸を矩形状に囲むように形成された第1のミラー面を有し、レンズユニットから出射される光を導光する第1の導光部材と、基板の四隅に配置された発光素子を第1方向及び第2方向に仕切るように配置され、四隅に配置された発光素子からの光を導光する第2のミラー面と、四隅に配置された発光素子に隣接する発光素子からの光を導光する第3のミラー面とが形成された第2の導光部材と、を備え、第2のミラー面の反射率が、第1のミラー面の反射率以下であることを特徴とする。また、この場合、第2のミラー面の反射率が、90%以下であることが望ましい。
【0015】
また、別の観点からは、本発明の光照射装置は、照射対象物上の矩形状の照射エリアに対して光を照射する光照射装置であって、基板上に、第1方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、第1方向と直交する第2方向にN個(Nは、2以上の整数)並んだM×N個の発光素子と、各発光素子の光路中にそれぞれ配置され、該発光素子から出射された光を所定の広がり角の光に成形するレンズユニットと、M×N個の発光素子の光軸を矩形状に囲むように形成された第1のミラー面を有し、レンズユニットから出射される光を導光する第1の導光部材と、基板の四隅に配置された発光素子を第1方向及び第2方向に仕切るように配置され、四隅に配置された発光素子からの光を導光する第2のミラー面と、四隅に配置された発光素子に隣接する発光素子からの光を導光する第3のミラー面とが形成された第2の導光部材と、を備え、第1のミラー面は、照射対象物に向って広がるように、第1の導光部材の光軸に対して、広がり角よりも小さい所定の角度で傾斜しており、広がり角が0.5°以上50°以下の範囲であり、所定の角度が広がり角の1/2よりも小さいことを特徴とする。
【0016】
また、光は、紫外線波長域の光であることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、急峻に立ち上がる照射強度分布を有しつつも、照射エリア内において略均一な光を照射することが可能な光照射装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置に備えられたレンズユニットから出射される紫外光の光路図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置に備えられたレンズユニットから出射される紫外光の光路図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置に備えられたレンズユニットから出射される紫外光の光路図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置に備えられたレンズユニットから出射される紫外光の光路図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置から出射される紫外光の照射強度分布である。
【
図7】本発明の第1の変形例に係る光照射装置の構成を示す模式図及び光路図である。
【
図8】本発明の第2の変形例に係る光照射装置の構成を示す模式図及び光路図である。
【
図9】本発明の第3の変形例に係る光照射装置の構成を示す模式図及び光路図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置において、第1導光部材のミラー面の反射率と、第2導光部材のミラー面の反射率を変更したときの照射強度分布である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る光照射装置の構成を示す模式図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る光照射装置から出射される紫外光の照射強度分布である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光照射装置100の構成を示す模式図である。
図1(a)は、光照射装置100の出射口側から見たときの光照射装置100の正面図である。
図1(b)は、
図1(a)のA-A線による断面図である。本実施形態の光照射装置100は、周辺露光装置等に組み込まれて、照射対象物W(例えば、ガラス基板上のレジスト)上の矩形状の照射エリアP(例えば、約70mm×約70mm)に対し、紫外線波長域の略平行光を照射する装置である。
【0021】
図1に示すように、光照射装置100は、LEDユニット110と、レンズユニット120と、第1導光部材130と、第2導光部材140と、これらの部品を収容するケース(不図示)とを備えている。LEDユニット110、レンズユニット120、第1導光部材130、第2導光部材140は、照射対象物Wに向かって、光軸AX(光照射装置100から出射される光の中心を通る軸)に沿って順番に配置されている。なお、本実施形態においては、光照射装置100のワーキングディスタンスWD(第1導光部材130の出射開口130fから照射対象物Wまでの距離)は、約10mmに設定されており、光照射装置100から出射される紫外線波長域の光(以下、「紫外光」という。)は、照射エリアPを均一な光量分布で照射している(詳細は後述)。なお、
図1に示すように、本明細書においては、光照射装置100から出射される紫外光の進行方向(つまり、光軸AXに平行な方向)をZ軸方向とし、Z軸方向と直交し、かつ互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向と定義して説明する。
【0022】
本実施形態のLEDユニット110は、X軸に平行な2辺とY軸に平行な2辺を有する矩形状の基板112と、基板112上に、X軸方向に所定のピッチ(例えば、26mm)でM個(Mは、2以上の整数)並び、Y軸方向に所定のピッチ(例えば、26mm)でN個(Nは、2以上の整数)並び、Z軸方向に光軸を揃えて配置されたM×N個のLED素子114(発光素子)とを備えている。なお、X軸方向の所定のピッチとY軸方向の所定のピッチとが、異なっていてもよい。また、X軸方向の所定のピッチおよびY軸方向の所定のピッチはそれぞれ、X軸方向またはY軸方向に沿って均等でなくてもよく、例えば、所定のピッチがLEDユニットの中心に近づくにつれ、広がるように構成してもよい。
図1においては、M=3、N=3の場合、つまり9個のLED素子114が配置された場合を示している。
【0023】
各LED素子114には、任意の形状のものを使用することができるが、本実施形態では、2mm(X軸方向長さ)×2mm(Y軸方向長さ)の矩形状の外形を有するものを使用している。各LED素子114は、基板112上に搭載されて、基板112と電気的に接続されている。基板112は、ガラスエポキシ樹脂、セラミックス等から成る電子回路基板であり、不図示のLED駆動回路に接続されており、各LED素子114には、基板112を介してLED駆動回路からの駆動電流が供給されるようになっている。各LED素子114に駆動電流が供給されると、各LED素子114が駆動電流に応じた光量で発光し、所定の光量の紫外光が出射される。なお、本実施形態においては、各LED素子114は、LED駆動回路から駆動電流の供給を受けて、波長395nmの紫外光を出射するように構成されている。
【0024】
なお、本実施形態の各LED素子114は、略等しい光量の紫外光を出射するように各LED素子114に供給される駆動電流が調整されている。また、本実施形態においては、LEDユニット110の中心C(つまり、基板112の中心)が、光軸AXと略一致するように配置されている(
図1(a))。
【0025】
本実施形態の各レンズユニット120は、LED素子114から出射された紫外光を所定の広がり角の紫外光に成形するレンズである。本明細書において、「広がり角」とは、LED素子114から出射される紫外光の一方向の広がり角と、該一方向と相反する方向の広がり角の合計の角度(つまり、全角)をいう。なお、成形された紫外光の広がり角は、LED素子114から出射された紫外光が有する広がり角よりも、小さければよく、例えば、0.5°以上50°以下、5°以上30°以下等であってよく、例えば、9°または25°であってもよい。すなわち、レンズユニット120は、レンズユニットから出た紫外光の広がり角が、発光素子から出射された際の広がり角よりも狭くなるように、紫外光を成形している。
【0026】
本実施形態の各レンズユニット120は、共通の光軸を有する、第1レンズ122、第2レンズ124及び第3レンズ126によって構成されている。
図1(b)に示すように、本実施形態においては、第1レンズ122、第2レンズ124及び第3レンズ126は、共に平凸レンズである。第1レンズ122、第2レンズ124及び第3レンズ126は、不図示の鏡筒フレームによって支持され、その光軸がLED素子114の光軸と略一致するように位置調整され、所定の間隔をおいて配置される。各レンズユニット120を通った紫外光は、後段の第1導光部材130に向けて出射される。なお、第1レンズ122、第2レンズ124及び第3レンズ126の光軸は、必ずしもLED素子114の光軸と一致している必要はなく、第1レンズ122、第2レンズ124及び第3レンズ126の光路中に配置されていればよい。
【0027】
第1導光部材130は、内面に4つのミラー面130a、130b、130c、130d(第1のミラー面)が形成された矩形筒状の部材である。
図1(a)に示すように、本実施形態の4つのミラー面130a、130b、130c、130dは、Z軸方向から見たときに、LEDユニット110及び9個のレンズユニット120を矩形状に囲むように配置され(つまり、LED素子114及びレンズユニット120の光軸を矩形状に囲むように配置され)、レンズユニット120から出射された全ての紫外光が第1導光部材130を通るように構成されている。
【0028】
第2導光部材140は、Z軸方向から見たときに、基板112の四隅に配置されたLED素子114及びレンズユニット120を、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ仕切るように、第1導光部材130の内部に配置される断面L字状の部材である(
図1(a))。各第2導光部材140は、第1導光部材130の入射開口130eから第1導光部材130の内面に沿ってZ軸方向に延び、四隅のLED素子114側の面には、四隅のLED素子114からの紫外光を導光するミラー面140a(第2のミラー面)が形成され、四隅のLED素子114に隣接するLED素子114側の面には、該隣接するLED素子114からの紫外光を導光するミラー面140b(第3のミラー面)が形成されている。第2導光部材140のZ軸方向の長さLは、四隅のLED素子114から出射された紫外光の少なくとも一部がミラー面140aで1回のみ反射し、かつミラー面140aで反射された反射光が、照射エリアPにおいて、四隅のLED素子114の光軸BXよりも外側を照射するように設定されている(詳細は後述)。
【0029】
上述したように、レンズユニット120から出射される紫外光は、所定の広がり角(例えば、9°)を有しているため、第1導光部材130及び第2導光部材140によって各角度成分の紫外光がそれぞれ反射されながら導光され、第1導光部材130からは略均一な光量分布の紫外光が出射される。なお、詳細は後述するが、本実施形態においては、第1導光部材130の内部に、四隅のLED素子114からの紫外光を導光する第2導光部材140が設けられており、これによって照射エリアPの四隅に向かう光束が制御されるため、照射エリアPの四隅の照射強度も略均一となるように調整されている。
【0030】
第1導光部材130を通った紫外光は、第1導光部材130の出射開口130fから出射され、照射対象物W上の矩形状の照射エリアPが照射されるように構成されている。
【0031】
次に、本実施形態の各レンズユニット120から出射される紫外光の光路を説明する。なお、
図1(a)に示すように、本実施形態の各構成は、LEDユニット110の中心C(つまり、基板112の中心)を対象点として点対称に配置されているため、基板112の各辺に沿うように位置する外側8個のLED素子114及びレンズユニット120から出射される紫外光の光路については、
図1(b)に示す3個のLED素子114及びレンズユニット120(つまり、
図1(a)のA-A線上のLED素子114及びレンズユニット120)から出射される紫外光の光路を代表的に用いて説明する。また、基板112のX軸方向中央に位置する3個のLED素子114及びレンズユニット120については、Y軸方向に第2導光部材140がなく、また、基板112のY軸方向中央に位置する3個のLED素子114及びレンズユニット120については、X軸方向に第2導光部材140がないため、第2導光部材140がない場合の光路の説明として、基板112のX軸方向中央に位置する3個のLED素子114及びレンズユニット120(つまり、
図1(a)のB-B線上のLED素子114及びレンズユニット120)から出射される紫外光の光路を代表的に用いて説明する。
【0032】
図2及び
図3は、
図1(b)に示す各レンズユニット120から出射される紫外光の光路図であり、
図2は、基板112の四隅のLED素子114からの紫外光の光路を示し、
図3は、四隅のLED素子114に隣接する(つまり、第2導光部材140によって挟まれた)LED素子114からの紫外光の光路を示している。また、
図4及び
図5は、基板112のX軸方向の中央に位置する3個のLED素子114及びレンズユニット120(つまり、
図1(a)のB-B線上のLED素子114及びレンズユニット120)からの紫外光の光路図であり、
図4は、基板112の両端のLED素子114からの紫外光の光路を示し、
図5は、基板112の中央のLED素子114からの紫外光の光路を示している。
【0033】
図2~
図5において、紫外光の光路は破線を用いて示しており、a1、a2、a3、a4は、各レンズユニット120から出射される最大広がり角の光線を示し、a1´、a2´、a3´、a4´は、それぞれa1、a2、a3、a4の反射光を示している。
図2および
図3において、b2は、四隅のレンズユニット120から出射され、ミラー面140aで反射される光のうち、最も広がり角の小さい(角度成分の小さい)光線を示し、b2´は、b2の反射光を示している。また、b1は、b2と同じ広がり角の光線であって、第1導光部材130のミラー面130a、130bに入射する光線を示し、b1´は、b1の反射光を示している。
図4および
図5において、b1およびb2は、
図2および
図3のb1およびb2と同じ広がり角の光線を示しており、b1´、b2´は、それぞれ、b1、b2の反射光を示している。
【0034】
図2および
図3において、b3、b4は、中央のレンズユニット120から出射され、ミラー面140bで反射される光のうち、最も広がり角の小さい(角度成分の小さい)光線を示し、b3´、b4´は、それぞれ、b3、b4の反射光を示している。
図4および
図5において、b3およびb4は、
図2および
図3のb3およびb4と同じ広がり角の光線を示しており、b3´、b4´は、それぞれ、b3、b4の反射光を示している。
【0035】
先ず、
図4及び
図5を用いて、隣接するLED素子114間に第2導光部材140がない場合について説明する。
図4に示すように、基板112のX軸方向の中央、Y軸方向両端に位置するLED素子114からの紫外光は、各レンズユニット120を通って、所定の広がり角で広がり、その一部(光線a1、b1)は、ミラー面130a、130bによって1回のみ反射され(光線a1´、b1´)、照射対象物W上の矩形状の照射エリアPの中央部Pcに向かって照射される。また、基板112のX軸方向の中央、Y軸方向両端に位置するLED素子114からの紫外光の他の一部(光線a2、b2)は、ミラー面130a、130bに当たることなく照射対象物W上の矩形状の照射エリアPの中央部Pcに向かって照射される。このように、基板112のX軸方向の中央、Y軸方向両端に位置するLED素子114からの光線a1と光線b1の範囲の紫外光(つまり、光線b1の広がり角以上光線a1の広がり角以下の範囲の広がり角を有する紫外光)、及び光線a2と光線b2の範囲の紫外光(つまり、光線b2の広がり角以上光線a2の広がり角以下の範囲の広がり角を有する紫外光)は、照射エリアPの中央部Pcを照射するように構成されている。なお、レンズユニット120から出射される光のうち、光線b1、b2よりも広がり角の小さい(角度成分の小さい)光については、ミラー面130a、130bによって1回のみ反射されるか、又は反射されることなく照射エリアPを照射する。
【0036】
図5に示すように、基板112の中央(X軸方向及びY軸方向の中央)に位置するLED素子114からの紫外光は、レンズユニット120を通って、所定の広がり角で広がり(光線a3、a4、b3、b4)、ミラー面130a、130bに当たることなく照射対象物W上の矩形状の照射エリアPに向かって照射される。そして、光線a3と光線b3の範囲の紫外光(つまり、光線b3の広がり角以上光線a3の広がり角以下の範囲の広がり角を有する紫外光)、及び光線a4と光線b4の範囲の紫外光(つまり、光線b4の広がり角以上光線a4の広がり角以下の範囲の広がり角を有する紫外光)は、照射エリアPの周辺部Peを照射し、光線b3、b4よりも広がり角の小さい(角度成分の小さい)光は、照射エリアPの中央部Pcを照射するように構成されている。
【0037】
このように、隣接するLED素子114間に第2導光部材140がないと、照射エリアPの周辺部Peには、基板112のY軸方向中央に位置するLED素子114からの紫外光(
図5の光線a3、a4、b3、b4)が直接入射する。
【0038】
次に、
図2及び
図3を用いて、隣接するLED素子114間に第2導光部材140がある場合について説明する。
図2に示すように、基板112の四隅のLED素子114からの紫外光は、各レンズユニット120を通って、所定の広がり角で広がり、その一部は、ミラー面130a、130bによって1回のみ反射され(光線a1、b1)、また他の一部は、ミラー面140aによって1回のみ反射される(光線a2、b2)。そして、ミラー面130a、130bによって反射された光(光線a1´、b1´)は、照射対象物W上の矩形状の照射エリアPの中央部Pc(四隅のLED素子114の光軸BXよりも内側の領域)に向かって照射され、ミラー面140aによって反射された光(光線a2´、b2´)は、照射対象物W上の矩形状の照射エリアPの周辺部Pe(四隅のLED素子114の光軸BXよりも外側の領域)に向かって照射される。このように、本実施形態においては、ミラー面140aによって反射された光(つまり、光線a2´とb2´の範囲の光)によって照射エリアPの周辺部Peを照射することで、照射エリアPの四隅の照射強度を略均一となるように調整している。なお、レンズユニット120から出射される光のうち、光線b1、b2よりも広がり角の小さい(角度成分の小さい)光については、
図4と同様(つまり、隣接するLED素子114間に第2導光部材140がない場合と同様)、ミラー面130a、130bによって1回のみ反射されるか、又は反射されることなく照射エリアPを照射する。
【0039】
図3に示すように、四隅のLED素子114に隣接する(つまり、第2導光部材140によって挟まれた)LED素子114からの紫外光は、レンズユニット120を通って、所定の広がり角で広がり、その一部は、四隅のLED素子114との間に設けられた第2導光部材140のミラー面140bによって1回のみ反射される(光線a3、a4、b3、b4)。そして、ミラー面140bによって反射された光(光線a3´、a4´、b3´、b4´)は、照射対象物W上の矩形状の照射エリアPの中央部Pcに向かって照射される。このように、本実施形態においては、ミラー面140bによって反射された光(光線a3´と光線b3´の範囲の紫外光、及び光線a4´と光線b4´の範囲の紫外光)が照射エリアPの周辺部Peを照射することがないように構成している。なお、光線b3、b4よりも広がり角の小さい(角度成分の小さい)光は、
図5と同様(つまり、隣接するLED素子114間に第2導光部材140がない場合と同様)、照射エリアPの中央部Pcを照射し、周辺部Peを照射することがないように構成されている。
【0040】
上述のように、本実施形態においては、隣接するLED素子114間に第2導光部材140がないと、照射エリアPの周辺部Peには、基板112のY軸方向中央に位置するLED素子114からの紫外光(
図5の光線a3と光線b3の範囲の紫外光、及び光線a4と光線b4の範囲の紫外光)が直接入射する。一方、隣接するLED素子114間に第2導光部材140があると、照射エリアPの周辺部Peには、Y軸方向両端(つまり、四隅のLED素子114)に位置するLED素子114からの紫外光(
図2の光線a2と光線b2の範囲の紫外光)の反射光(
図2の光線a2´と光線b2´の範囲の紫外光)が入射する。つまり、照射エリアPの四隅の周辺部Peは、ミラー面140bによる反射光によって照射されるため、LED素子114からの紫外光が直接入射する場合(つまり、第2導光部材140がない場合)と比較して、ミラー面140bの反射率の分だけ照射強度が低くなることとなる。
【0041】
このように、本実施形態においては、四隅のLED素子114からの紫外光を導光する第2導光部材140を設けることにより、照射エリアPの四隅に向かう紫外光の照射強度を低下させ、これによって照射エリアPの四隅の照射強度も略均一となるように調整している。
【0042】
図6は、本実施形態の光照射装置100から出射される紫外光のシミュレーション結果であり、
図1(a)のA-A線上の3つのLED素子114から出射される紫外光の照射エリアP上におけるY軸方向の照射強度分布である。
図6の縦軸は、照射強度(mW)であり、横軸は、基板112のY軸方向の中心を0とするY軸方向の距離(mm)である。また、
図6中、実線αが、本実施形態の光照射装置100の照射強度分布を示し、破線βは、本実施形態の光照射装置100から第2導光部材140を取り外した場合(つまり、比較例)の照射強度分布を示している。なお、
図6のシミュレーションにおいては、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を90%とし、第2導光部材140のミラー面140a及びミラー面140bの反射率も90%としている。
【0043】
図6に示すように、第2導光部材140を設けることにより、Y軸方向±35mmの位置で急峻に立ち上がる特性を維持しながらも、照射エリアPの中央の強度を維持しつつ照射エリアPの四隅(
図6中、-20~-35mmの位置、+20~+35mmの位置)の照射強度を低下させ、照射エリアP全体で略均一な照射強度分布が得られているのが分かる。
【0044】
以上が本実施形態の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
【0045】
例えば、本実施形態においては、LED素子114がX軸方向に沿って3個並び、Y軸方向に3個並ぶ構成について説明したが、基板112の四隅のLED素子114に対して第2導光部材140を設ければよく、LED素子114が、X軸方向に沿ってM個(Mは、2以上の整数)並び、Y軸方向にN個(Nは、2以上の整数)並ぶ構成に適用することも可能である。
【0046】
(変形例)
図7~9は、本実施形態の光照射装置100の第1~第3の変形例に係る光照射装置101~103を説明する図である。
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)は、光照射装置101~103を出射口側から見たときの正面図であり、
図7(b)、
図8(b)、
図9(b)は、
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)のC-C線上のLED素子114から出射される紫外光の照射エリアP上におけるY軸方向の照射強度分布(シミュレーション)である。なお、
図7(b)、
図8(b)、
図9(b)の縦軸は、照射強度(mW)であり、横軸は、基板112のY軸方向の中心を0とするY軸方向の距離(mm)である。また、
図7(b)、
図8(b)、
図9(b)中、実線αが、各変形例の照射強度分布を示し、破線βは、各変形例から第2導光部材140を取り外した場合(つまり、比較例)の照射強度分布を示している。なお、
図7(b)、
図8(b)、
図9(b)のシミュレーションにおいては、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を90%とし、第2導光部材140のミラー面140a及びミラー面140bの反射率も90%としている。
【0047】
(第1の変形例)
図7(a)に示すように、第1の変形例に係る光照射装置101は、LED素子114が2個(X軸方向)×2個(Y軸方向)の態様で配置されており、第2導光部材140が十字状に一体的に形成されている点で、第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と異なっており、LEDユニット110、レンズユニット120、第1導光部材130等、その他の構成は第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と同様である。本変形例においては、4個のLED素子114が全て基板112の各四隅に位置し、第2導光部材140によって仕切られているため、第2導光部材140には、四隅のLED素子114からの紫外光を導光するミラー面140a(第2のミラー面)のみが形成されている。
【0048】
図7(b)に示すように、第1の変形例に係る光照射装置101においても、第2導光部材140を設けることにより、Y軸方向±20mmの位置で急峻に立ち上がる特性を維持しながらも、照射エリアPの四隅(
図7(b)中、-5~-15mmの位置、+5~+15mmの位置)の照射強度を低下させ、照射エリアP全体で略均一な照射強度分布が得られているのが分かる。
【0049】
(第2の変形例)
図8(a)に示すように、第2の変形例に係る光照射装置102は、LED素子114が4個(X軸方向)×4個(Y軸方向)の態様で配置されている点で、第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と異なっており、LEDユニット110、レンズユニット120、第1導光部材130、第2導光部材140等、その他の構成は第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と同様である。本変形例においても、第1の実施形態に係る光照射装置100と同様、基板112上の四隅のLED素子114が第2導光部材140によって仕切られている。そして、
図8(b)に示すように、第2の変形例に係る光照射装置102においても、第2導光部材140を設けることにより、Y軸方向±45mmの位置で急峻に立ち上がる特性を維持しながらも、照射エリアPの四隅(
図8(b)中、-30~-45mmの位置、+30~+45mmの位置)の照射強度を低下させ、照射エリアP全体で略均一な照射強度分布が得られているのが分かる。
【0050】
(第3の変形例)
図9(a)に示すように、第3の変形例に係る光照射装置103は、LED素子114が5個(X軸方向)×5個(Y軸方向)の態様で配置されている点で、第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と異なっており、LEDユニット110、レンズユニット120、第1導光部材130、第2導光部材140等、その他の構成は第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と同様である。本変形例においても、第1の実施形態に係る光照射装置100と同様、基板112上の四隅のLED素子114が第2導光部材140によって仕切られている。そして、
図9(b)に示すように、第3の変形例に係る光照射装置103においても、第2導光部材140を設けることにより、Y軸方向±60mmの位置で急峻に立ち上がる特性を維持しながらも、照射エリアPの四隅(
図9(b)中、-40~-55mmの位置、+40~+55mmの位置)の照射強度を低下させ、照射エリアP全体で略均一な照射強度分布が得られているのが分かる。
【0051】
また、第1の実施形態、第1~第3の変形例においては、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を90%とし、第2導光部材140のミラー面140a及びミラー面140bの反射率も90%としたが、第2導光部材140のミラー面140aの反射率は、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率以下であればよく、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を調整することで、照射エリアPの四隅の照射強度をより均一となるように調整することができる。
【0052】
図10は、第1の実施形態に係る光照射装置100において、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率と、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を変更したときの照射強度分布(シミュレーション)である。なお、
図10は、
図6と同様、
図1(a)のA-A線上の3つのLED素子114から出射される紫外光の照射エリアP上におけるY軸方向の照射強度分布であり、縦軸は、照射強度(mW)であり、横軸は、基板112のY軸方向の中心を0とするY軸方向の距離(mm)である。
【0053】
図10中、(ア)は、本実施形態の光照射装置100(つまり、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率が90%、第2導光部材140のミラー面140aの反射率が90%のとき)の照射強度分布である。このとき、横軸-33~+33mmの範囲を有効照射エリアとすると、有効照射エリア内の均一度((最大強度-最小強度)/(最大強度+最小強度)×100(%))は8.4%であった。
【0054】
図10中、(イ)は、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を90%、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を75%としたときの変形例の照射強度分布である。このとき、有効照射エリア内の均一度は8.7%となった。
【0055】
図10中、(ウ)は、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を90%とし、本実施形態の光照射装置100から第2導光部材140を取り外した場合の比較例の照射強度分布である。このとき、有効照射エリア内の均一度は10.9%となった。
【0056】
図10中、(エ)は、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を80%、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を90%としたときの比較例の照射強度分布である。このとき、有効照射エリア内の均一度は9.6%となった。
【0057】
図10中、(オ)は、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率を70%、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を90%としたときの比較例の照射強度分布である。このとき、有効照射エリア内の均一度は11.0%となった。
【0058】
このように、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率以下に設定すると、有効照射エリア内の均一度を9.0%以下にすることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る光照射装置200の構成を示す模式図である。
図11(a)は、光照射装置200の出射口側から見たときの光照射装置200の正面図である。
図11(b)は、
図11(a)のA-A線による断面図である。本実施形態の光照射装置200は、第1導光部材230のミラー面230a、230bが、光軸AXに対して所定の角度θ(例えば、1.2°)だけY軸方向に傾いており、第1導光部材230のミラー面230c、230dが、光軸AXに対して所定の角度θ(例えば、1.2°)だけX軸方向に傾いている点で、第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と異なっており、LEDユニット110、レンズユニット120、第2導光部材140等、その他の構成は第1の実施形態に係る光照射装置100の構成と同様である。
【0060】
図12は、本実施形態の光照射装置200から出射される紫外光のシミュレーション結果であり、
図11(a)のA-A線上の3つのLED素子114から出射される紫外光の照射エリアP上におけるY軸方向の照射強度分布である。
図12の縦軸は、照射強度(mW)であり、横軸は、基板112のY軸方向の中心を0とするY軸方向の距離(mm)である。また、
図12中、実線αが、本実施形態の光照射装置200の照射強度分布を示し、破線βは、本実施形態の光照射装置200から第2導光部材140を取り外した場合(つまり、比較例)の照射強度分布を示している。なお、
図12のシミュレーションにおいては、第1導光部材230のミラー面230a、230b、230c、230dの反射率を90%とし、第2導光部材140のミラー面140a及びミラー面140bの反射率も90%としている。
【0061】
図12に示すように、本実施形態においても、第2導光部材140を設けることにより、Y軸方向±35mmの位置で急峻に立ち上がる特性を維持しながらも、照射エリアPの四隅(
図12中、-15~-35mmの位置、+15~+35mmの位置)の照射強度を低下させ、照射エリアP全体で略均一な照射強度分布が得られているのが分かる。また、
図6と
図12を比較すると、本実施形態の構成の方が第1の実施形態と比較して、照射エリアPの四隅の照射強度をより均一にすることができるのが分かる。
【0062】
なお、本実施形態においては、第1導光部材230のミラー面230a、230b、230c、230dが、光軸AXに対して所定の角度θ(例えば、1.2°)だけ傾斜しているとしたが、ミラー面230a、230b、230c、230dの傾斜角度は、求められる光量、照射強度分布の立ち上がり特性等を考慮して、適宜設定される。なお、ミラー面230a、230b、230c、230dの傾斜角度は、レンズユニット120から出射される紫外光の広がり角よりも小さい角度であることが望ましく、レンズユニット120から出射される紫外光の広がり角が5~20°の範囲であり、傾斜角度が広がり角の1/2よりも小さいことがより望ましい。
【0063】
また、第1の実施形態において説明したように、本実施形態においても、LED素子114の個数、配置を適宜変更することができる。また、第2導光部材140のミラー面140aの反射率を、第1導光部材130のミラー面130a、130b、130c、130dの反射率以下に設定することが望ましい。
【0064】
また、第1及び第2の実施形態のLED素子114は、波長395nmの紫外光を出射するものとしたが、このような構成に限定されるものではなく、他の波長(例えば、波長365nm、波長385nm、波長405nm)の紫外光を出射するものであってもよく、また波長の異なる複数種類のLED素子を組み合わせて(つまり、複数の波長を混ぜて)構成してもよい。
【0065】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
100、200 光照射装置
110 LEDユニット
112 基板
114 LED素子
120 レンズユニット
122 第1レンズ
124 第2レンズ
126 第3レンズ
130、230 第1導光部材
130a、130b、130c、130d、230a、230b、230c、230d ミラー面
130e 入射開口
130f 出射開口
140 第2導光部材
140a、140b ミラー面
150 開口絞り