(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 17/318 20150101AFI20220118BHJP
G01R 29/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H04B17/318
G01R29/08 A
G01R29/08 B
(21)【出願番号】P 2018065653
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】樫木 勘四郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】堅岡 良知
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139858(JP,A)
【文献】国際公開第2009/145326(WO,A1)
【文献】特開2016-136696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/318
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された無線信号を観測対象信号として取得する観測対象信号取得部と、
無線信号の受信タイミングの基準と当該無線信号の受信電力の大きさの基準とを示す参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記観測対象信号取得部が取得する前記観測対象信号と、前記参照信号生成部が生成する前記参照信号とを重畳した重畳信号を生成する重畳部と、
前記重畳部が生成する前記重畳信号を遅延させた遅延重畳信号と、前記重畳信号とに基づいて自己相関信号を生成する自己相関信号生成部と、
無線信号の受信タイミングと前記参照信号が示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさ、及び当該無線信号の受信電力の大きさと前記参照信号が示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と前記参照信号との間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報として記憶されている記憶部から、前記相関パターン情報を取得する相関パターン情報取得部と、
前記自己相関信号生成部が生成する前記自己相関信号と、前記相関パターン情報取得部が取得する周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、前記参照信号が示す基準電力の大きさとに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する推定部と、
前記推定部が推定する前記観測対象信号の受信電力の大きさを示す受信電力情報を出力する受信電力情報出力部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記参照信号生成部は、
前記比較結果に基づいて、前記参照信号が示す基準電力の大きさを可変に制御し、
前記推定部は、前記参照信号生成部によって制御された前記基準電力の大きさに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記参照信号は、無線信号との間の周期自己相関の奇数次高調波の出現パターンに基づいて定められている
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
受信された無線信号を観測対象信号として取得する観測対象信号取得ステップと、
無線信号の受信タイミングの基準と当該無線信号の受信電力の大きさの基準を示す参照信号を生成する参照信号生成ステップと、
前記観測対象信号取得ステップにおいて取得される前記観測対象信号と、前記参照信号生成ステップにおいて生成される前記参照信号とを重畳した重畳信号を生成する重畳ステップと、
前記重畳ステップにおいて生成される前記重畳信号を遅延させた遅延重畳信号と、前記重畳信号とに基づいて自己相関信号を生成する自己相関信号生成ステップと、
無線信号の受信タイミングと前記参照信号が示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさ、及び当該無線信号の受信電力の大きさと前記参照信号が示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と前記参照信号との間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報として記憶されている記憶部から、前記相関パターン情報を取得する相関パターン情報取得ステップと、
前記自己相関信号生成ステップにおいて生成される前記自己相関信号と、前記相関パターン情報取得ステップにおいて取得される周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、前記参照信号が示す基準電力の大きさとに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する推定ステップと、
前記推定ステップにおいて推定される前記観測対象信号の受信電力の大きさを示す受信電力情報を出力する受信電力情報出力ステップと、
を有する測定方法。
【請求項5】
測定装置が備えるコンピュータに、
受信された無線信号を観測対象信号として取得する観測対象信号取得ステップと、
無線信号の受信タイミングの基準と当該無線信号の受信電力の大きさの基準を示す参照信号を生成する参照信号生成ステップと、
前記観測対象信号取得ステップにおいて取得される前記観測対象信号と、前記参照信号生成ステップにおいて生成される前記参照信号とを重畳した重畳信号を生成する重畳ステップと、
前記重畳ステップにおいて生成される前記重畳信号を遅延させた遅延重畳信号と、前記重畳信号とに基づいて自己相関信号を生成する自己相関信号生成ステップと、
無線信号の受信タイミングと前記参照信号が示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさ、及び当該無線信号の受信電力の大きさと前記参照信号が示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と前記参照信号との間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報として記憶されている記憶部から、前記相関パターン情報を取得する相関パターン情報取得ステップと、
前記自己相関信号生成ステップにおいて生成される前記自己相関信号と、
前記相関パターン情報取得ステップにおいて取得される周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、前記参照信号が示す基準電力の大きさとに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する推定ステップと、
前記推定ステップにおいて推定される前記観測対象信号の受信電力の大きさを示す受信電力情報を出力する受信電力情報出力ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、測定装置、測定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信において、マクロセルの通信可能エリア内において、ピコセルなどのスモールセルを利用するシステムが検討されている。このようなシステムにおいては、マクロセルとスモールセルとで異なる周波数リソース(例えばLTEにおけるリソースブロック)を提供するために、OFDM(直交周波数分割多重)が用いられる。
OFDMを用いる無線通信では、前のOFDMシンボルの遅延波が次のOFDMシンボルに及ぼすシンボル干渉などを除去するため、各OFDMシンボルの先頭にガード区間であるCP(Cyclic Prefix)が付される。このCPを用いて信号検出する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OFDMを用いる無線通信のサービスエリア内の任意の測定地点において、基地局と端末装置間の通信(アップリンク、ダウンリンク)及び端末間の通信(サイドリンク)などの通信による電波の利用状況が分かれば、この電波の利用状況に基づいて、例えば、ピコセルを新設する際の設置エリアの検討を行ことができる。IoTの普及に伴い、高密度にIoT端末が配置されることが想定される。しかしながら、その分布状況は、無線通信を提供する移動通信事業者には通常不明である。例えば、IoT基地局では、ビーム内に存在する端末の数は判るが、ビーム内のどのスポットに存在するかまでは判らない。従来、これら基地局と端末装置間の無線通信の信号強度を測定する測定器は存在するものの、微小信号の信号検出のために安定した電源が必要になり、測定器が大型化し可搬性が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明は、簡易な構成により無線通信の信号強度情報を得られる測定装置、測定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、受信された無線信号を観測対象信号として取得する観測対象信号取得部と、無線信号の受信タイミングの基準と当該無線信号の受信電力の大きさの基準とを示す参照信号を生成する参照信号生成部と、前記観測対象信号取得部が取得する前記観測対象信号と、前記参照信号生成部が生成する前記参照信号とを重畳した重畳信号を生成する重畳部と、前記重畳部が生成する前記重畳信号を遅延させた遅延重畳信号と、前記重畳信号とに基づいて自己相関信号を生成する自己相関信号生成部と、無線信号の受信タイミングと前記参照信号が示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさ、及び当該無線信号の受信電力の大きさと前記参照信号が示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と前記参照信号との間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報として記憶されている記憶部から、前記相関パターン情報を取得する相関パターン情報取得部と、前記自己相関信号生成部が生成する前記自己相関信号と、前記相関パターン情報取得部が取得する周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、前記参照信号が示す基準電力の大きさとに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する推定部と、前記推定部が推定する前記観測対象信号の受信電力の大きさを示す受信電力情報を出力する受信電力情報出力部と、を備える測定装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態の測定装置において、前記参照信号生成部は、前記比較結果に基づいて、前記参照信号が示す基準電力の大きさを可変に制御し、前記推定部は、前記参照信号生成部によって制御された前記基準電力の大きさに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する。
【0009】
また、本発明の一実施形態の測定装置において、前記参照信号は、無線信号との間の周期自己相関の奇数次高調波の出現パターンに基づいて定められている。
【0010】
本発明の一実施形態は、受信された無線信号を観測対象信号として取得する観測対象信号取得ステップと、無線信号の受信タイミングの基準と当該無線信号の受信電力の大きさの基準を示す参照信号を生成する参照信号生成ステップと、前記観測対象信号取得ステップにおいて取得される前記観測対象信号と、前記参照信号生成ステップにおいて生成される前記参照信号とを重畳した重畳信号を生成する重畳ステップと、前記重畳ステップにおいて生成される前記重畳信号を遅延させた遅延重畳信号と、前記重畳信号とに基づいて自己相関信号を生成する自己相関信号生成ステップと、無線信号の受信タイミングと前記参照信号が示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさ、及び当該無線信号の受信電力の大きさと前記参照信号が示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と前記参照信号との間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報として記憶されている記憶部から、前記相関パターン情報を取得する相関パターン情報取得ステップと、前記自己相関信号生成ステップにおいて生成される前記自己相関信号と、前記相関パターン情報取得ステップにおいて取得される周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、前記参照信号が示す基準電力の大きさとに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する推定ステップと、前記推定ステップにおいて推定される前記観測対象信号の受信電力の大きさを示す受信電力情報を出力する受信電力情報出力ステップと、を有する測定方法である。
【0011】
本発明の一実施形態は、測定装置が備えるコンピュータに、受信された無線信号を観測対象信号として取得する観測対象信号取得ステップと、無線信号の受信タイミングの基準と当該無線信号の受信電力の大きさの基準を示す参照信号を生成する参照信号生成ステップと、前記観測対象信号取得ステップにおいて取得される前記観測対象信号と、前記参照信号生成ステップにおいて生成される前記参照信号とを重畳した重畳信号を生成する重畳ステップと、前記重畳ステップにおいて生成される前記重畳信号を遅延させた遅延重畳信号と、前記重畳信号とに基づいて自己相関信号を生成する自己相関信号生成ステップと、無線信号の受信タイミングと前記参照信号が示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさ、及び当該無線信号の受信電力の大きさと前記参照信号が示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と前記参照信号との間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報として記憶されている記憶部から、前記相関パターン情報を取得する相関パターン情報取得ステップと、前記自己相関信号生成ステップにおいて生成される前記自己相関信号と、前記相関パターン情報取得ステップにおいて取得される周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、前記参照信号が示す基準電力の大きさとに基づいて、前記観測対象信号の受信電力の大きさを推定する推定ステップと、前記推定ステップにおいて推定される前記観測対象信号の受信電力の大きさを示す受信電力情報を出力する受信電力情報出力ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成により無線通信の信号強度情報を得られる測定装置、測定方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の無線通信システムの概念の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の測定装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の推定部の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の測定装置の動作の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の推定部の動作の一例を模式的に示す図である。
【
図6】電力比が0である場合の自己相関信号の一例を示す図である。
【
図7】電力比が1である場合の自己相関信号の一例を示す図である。
【
図8】電力比が0.7である場合の自己相関信号の一例を示す図である。
【
図9】電力比が0.5である場合の自己相関信号の一例を示す図である。
【
図10】端末装置と基地局との間の無線波の伝搬路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、図を参照して本実施形態の測定装置10の概要について説明する。
図1は、本実施形態の無線通信システムの概念の一例を示す図である。無線通信システムにおいて、基地局BSから端末装置TMに対して無線通信を行うダウンリンクDLと、端末装置TMから基地局BSに対して無線通信を行うアップリンクULとによって、基地局BSと端末装置TMとが通信する。なお、同図には示していないが、無線通信システムには、複数の端末装置TMどうしが互いに無線通信するサイドリンクSDLが存在していてもよい。本実施形態の無線通信システムにおいて、これらアップリンクUL、ダウンリンクDL及びサイドリンクSDLは、いずれもOFDM(直交周波数分割多重)信号が用いられる。
【0015】
この一例において基地局BSとは、例えばIoT(Internet of Things)基地局である。端末装置TMとは、IoT機器である。基地局BSは、通信エリアAR1をサービスエリアとしており、通信エリアAR1内の端末装置TMとの間において無線通信を行う。ここで、通信エリアAR1には、端末装置TMの密度が低いエリア(低密度通信エリアAR21)と、端末装置TMの密度が高いエリア(高密度通信エリアAR22)とがある。
測定装置10は、通信エリアAR1内の各位置において、端末装置TMが発信するアップリンクULの無線信号を受信し、その無線信号の強度を推定する。この無線信号の強度は、ある通信エリアAR内におけるアップリンクULの密度、すなわち、ある通信エリアAR内における通信中の端末装置TMの密度を示す。測定装置10は、受信した無線信号の強度の推定結果に基づいて、ある通信エリアAR内における通信中の端末装置TMの密度を判定する。例えば、ある通信エリアAR内に測定装置10がある場合に、受信した無線信号の強度が弱ければ、測定装置10は、その通信エリアARを低密度通信エリアAR21であると判定する。また、受信した無線信号の強度が強ければ、測定装置10は、その通信エリアARを高密度通信エリアAR22であると判定する。
なお、測定装置10は、アップリンクULだけでなく、ダウンリンクDLやサイドリンクSDLの強度を推定することもできる。
この測定装置10の具体的な機能構成の一例について
図2を参照して説明する。
【0016】
[測定装置10の機能構成]
図2は、本実施形態の測定装置10の機能構成の一例を示す図である。測定装置10は、受信部20と、記憶部30と、表示装置DSPとに接続される。測定装置10は、例えば、スマートフォンやタブレットなどのパームトップ型の端末として構成されてもよいし、ノートPC(Personal Computer)などのラップトップ型の端末として構成されてもよい。なお、測定装置10は、受信部20と、記憶部30と、表示装置DSPとが一体の装置として構成されていてもよいし、これらの一部が別体の装置として構成されていてもよい。また、記憶部30がネットワークを介して接続されるサーバ装置(例えば、クラウドサーバ)として構成される場合には、測定装置10は、このサーバ装置との通信を行う機能を備えていてもよい。また、この一例において、測定装置10が可搬型の装置であるとして説明するが、これに限られない。測定装置10は、据置型や車載型の装置であってもよい。
【0017】
受信部20は、アンテナANTを備えており、無線信号を受信する。受信部20は、受信した無線信号(すなわち、受信信号RXS)を測定装置10に対して供給する。
【0018】
測定装置10は、観測対象信号取得部110と、参照信号生成部120と、相関パターン情報取得部130と、推定部140と、受信電力情報出力部150とを備える。
【0019】
観測対象信号取得部110は、受信信号RXSを観測対象信号として取得する。観測対象信号取得部110は、取得した受信信号RXSを推定部140に対して供給する。以下においては、観測対象信号取得部110が取得する受信信号RXSと、観測対象信号とが同義であるとして説明する。
参照信号生成部120は、無線信号の受信電力の大きさの基準を示す参照信号RFSを生成する。参照信号生成部120は、生成した参照信号RFSを推定部140に対して供給する。
相関パターン情報取得部130は、記憶部30から、相関パターン情報PDを取得する。ここで、相関パターン情報PDとは、無線信号の受信電力の大きさと参照信号RFSが示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と参照信号RFSとの間の周期自己相関のパターンとが対応付けられた情報である。相関パターン情報取得部130は、取得した相関パターン情報PDを推定部140に対して供給する。
【0020】
推定部140は、観測対象信号(受信信号RXS)と参照信号RFSとの間の周期自己相関のパターン(自己相関信号CAF)と、相関パターン情報PDとの比較結果に基づいて、観測対象信号の受信電力の大きさを推定する。ここで、推定部140の具体的な機能構成の一例について、
図3を参照して説明する。
【0021】
図3は、本実施形態の推定部140の機能構成の一例を示す図である。推定部140は、重畳部141と、信号遅延部142と、自己相関信号生成部143と、高速フーリエ変換部144と、二乗値算出部145と、パラメータ推定部146とを備える。
【0022】
上述したように推定部140は、観測対象信号取得部110から受信信号RXS(観測対象信号)を、参照信号生成部120から参照信号RFSを、相関パターン情報取得部130から相関パターン情報PDを、それぞれ取得する。
重畳部141は、取得した受信信号RXSと参照信号RFSとを重畳して、重畳信号SGを生成する。
信号遅延部142は、重畳部141が生成した重畳信号SGを遅延させて、遅延重畳信号DSGを生成する。
自己相関信号生成部143は、重畳部141が生成した重畳信号SGと、信号遅延部142が生成した遅延重畳信号DSGとに基づいて、時間軸自己相関信号ASを生成する。
高速フーリエ変換部144は、自己相関信号生成部143が生成した時間軸自己相関信号ASに対して時間軸・周波数軸変換を行い、周波数軸自己相関信号を生成する。
二乗値算出部145は、高速フーリエ変換部144が生成した周波数軸自己相関信号の絶対値の二乗値を算出する。以下の説明において、この二乗値算出部145が算出する値を、自己相関信号CAFと称する。なお、自己相関信号CAFは、高速フーリエ変換部144が生成する周波数軸自己相関信号、すなわち複素数の信号であってもよい。この場合、二乗値算出部145は必須ではない。
【0023】
パラメータ推定部146は、二乗値算出部145が算出する自己相関信号CAFと、相関パターン情報取得部130が取得する相関パターン情報PDとを比較する。ここで、参照信号RFSは、受信信号RXSの受信電力の大きさの基準(すなわち、基準電力の大きさ)を示す。パラメータ推定部146は、自己相関信号CAFと相関パターン情報PDとの比較の結果を、受信電力情報RDとして生成する。この受信電力情報RDには、観測対象信号の受信電力の大きさの推定結果が含まれる。
【0024】
すなわち、推定部140は、観測対象信号取得部110が取得する受信信号RXS(観測対象信号)と参照信号生成部120が生成する参照信号RFSとの間の周期自己相関のパターン(自己相関信号CAF)と、相関パターン情報取得部130が取得する周期自己相関のパターンとが比較された比較結果と、参照信号RFSが示す基準電力の大きさとに基づいて、観測対象信号の受信電力の大きさを推定する。
【0025】
受信電力情報出力部150は、推定部140が推定する受信信号RXS(観測対象信号)の受信電力の大きさを示す受信電力情報RDを出力する。
【0026】
表示装置DSPは、例えば液晶ディスプレイを備えており、測定装置10が出力する各種情報を表示する。この一例では、表示装置DSPは、受信電力情報出力部150が出力する受信電力情報RDに基づいて、測定装置10が存在する通信エリアARの端末装置TMの密度を示す画像を表示する。
【0027】
[測定装置10の動作]
次に、
図4を参照して、測定装置10の動作の一例について説明する。
図4は、本実施形態の測定装置10の動作の一例を示す図である。
【0028】
(ステップS10)観測対象信号取得部110は、受信部20から受信信号RXSを取得する。この一例において、受信信号RXSは、OFDM(直交周波数分割多重)方式の信号である。以下の説明では、OFDM方式の信号のことを、単にOFDM信号とも記載する。この受信信号RXSの構成の一例について、
図5を参照して説明する。
【0029】
図5は、本実施形態の推定部140の動作の一例を模式的に示す図である。OFDM信号においては、OFDMシンボル毎に、サイクリックプレフィクスCPと、ユーザデータUDとが含まれる。OFDMシンボルの時間長が時間長T
Uである場合において、OFDMシンボルの末尾の時間長T
CP分の波形、つまり同図に示すユーザデータUD
CPが、当該OFDMシンボルの先頭にサイクリックプレフィクスCPとして付加される。
【0030】
(ステップS20)
図4に戻り、参照信号生成部120は、参照信号RFSを生成する。この一例において、参照信号RFSは、OFDM信号である。この参照信号RFSのユーザデータUDは、受信信号RXSのユーザデータUDとの相関が低いほうが好ましい。参照信号生成部120は、例えば、ユーザデータUDをランダム値にして参照信号RFSを生成する。
【0031】
(ステップS30)推定部140は、ステップS10において取得される受信信号RXSと、ステップS20において生成される参照信号RFSとに基づいて、自己相関信号CAFを生成する。より具体的には、
図5に示すように、推定部140の重畳部141は、ステップS10において取得される受信信号RXSと、ステップS20において生成される参照信号RFSとを重畳して、重畳信号SGを生成する。
なお、同図に示す一例では、受信信号RXSが受信されたタイミングと、参照信号RFSが生成されたタイミングとが、OFDMシンボルのシンボル長SLの半分ずれている。これら2つの信号のOFDMシンボルどうしのずれ時間は、受信信号RXSが受信されたタイミングと、参照信号RFSが生成されたタイミングとの相対時刻差により変化する。
信号遅延部142は、重畳信号SGを遅延させた遅延重畳信号DSGを生成する。この遅延重畳信号DSGには、受信信号RXSを遅延させた遅延受信信号DRXSの成分と、参照信号RFSを遅延させた遅延参照信号DRFSの成分とが含まれる。
自己相関信号生成部143は、重畳信号SGと遅延重畳信号DSGとに基づいて、時間軸自己相関信号ASを生成する。
高速フーリエ変換部144及び二乗値算出部145は、時間軸自己相関信号ASを時間軸から周波数軸に変換して、その二乗値を算出し、自己相関信号CAFを生成する。
【0032】
ここで、OFDM信号x(t)における自己相関信号CAFは、次の式(1)によって示される。
【0033】
【0034】
ここで、式(1)内のαはサイクリック周波数であり、τはラグパラメータである。
自己相関信号CAFには、信号の波形の周期性に応じて、様々な特徴が出現する。例えば、OFDM信号x(t)についてのx(t)x(t-τ)においては、τ=±TUにおいて、TU+TCPの周期でピークが出現する。この結果、パラメータτ=±TU及びα=n/(TU+TCP)(ただし、nは整数)において、自己相関信号CAFはピークを有することとなる。また、これらの値以外のパラメータでは、自己相関信号CAFは、ピークを有しない(すなわち、自己相関信号CAFの値は0に近くなる)こととなる。
【0035】
ここで、自己相関信号CAFの値のピークの出現パターンは、参照信号RFSの生成タイミングを基準にした場合の受信信号RXSの受信タイミング(すなわち、受信されたOFDMシンボルのずれ量)や、参照信号RFSの振幅の大きさを基準にした場合の受信信号RXSの振幅の大きさ(すなわち、2信号間の電力比)によって変化する。なお、以下の説明において「自己相関信号CAFの値のピークの出現パターン」のことを「自己相関信号CAFの出現パターン」又は単に「出現パターン」とも記載する。
上述した記憶部30には、参照信号RFSと受信信号RXSとの間のOFDMシンボルのずれ量を様々に変化させた場合の様々な出現パターンが、相関パターン情報PDとして記憶されている。また、記憶部30には、参照信号RFSと受信信号RXSとの間の電力比を様々に変化させた場合の様々な出現パターンが、相関パターン情報PDとして記憶されている。換言すれば、相関パターン情報PDには、参照信号RFSと受信信号RXSとの様々な組み合わせによって得られる様々な自己相関信号CAFの出現パターンが、OFDMシンボルのずれ量及び電力比に対応付けられて予め記憶されている。
【0036】
すなわち、記憶部30には、無線信号の受信電力の大きさと参照信号RFSが示す基準電力の大きさとの関係を示す電力比と、当該無線信号と参照信号RFSとの間の周期自己相関のパターンとが対応付けられて相関パターン情報PDとして記憶されている。また、記憶部30には、無線信号の受信タイミングと、参照信号RFSが示す基準タイミングとのタイミングの差の大きさと、当該無線信号と参照信号RFSとの間の周期自己相関のパターンとがさらに対応付けられて相関パターン情報PDとして記憶されている。
【0037】
(ステップS40)相関パターン情報取得部130は、記憶部30から相関パターン情報PDを取得する。上述したように相関パターン情報PDとは、参照信号RFSと受信信号RXSとのOFDMシンボルのずれ量と、参照信号RFSと受信信号RXSとの電力比とをそれぞれ様々に変化させた場合の出現パターンを示す情報である。ここで、受信信号RXSに基づいて算出された出現パターンが、相関パターン情報PDとして記憶されている出現パターンの中に含まれていれば、推定部140が算出した自己相関信号CAFから、参照信号RFSと受信信号RXSとのOFDMシンボルのずれ量及び参照信号RFSと受信信号RXSとの電力比を推定することができる。
【0038】
(ステップS50)パラメータ推定部146は、受信信号RXSに基づいて算出された自己相関信号CAFの出現パターンと、相関パターン情報PDとして記憶されている自己相関信号CAFの出現パターンとをパターンマッチングする。パラメータ推定部146は、受信信号RXSに基づいて算出された自己相関信号CAFが、相関パターン情報PDとして記憶されている様々な出現パターンのいずれかにマッチングした場合には、マッチングした出現パターンに対応するOFDMシンボルのずれ量及び電力比を相関パターン情報PDから取得する。
【0039】
(ステップS60)パラメータ推定部146は、ステップS50においてマッチングした場合に取得したOFDMシンボルのずれ量及び電力比を、推定ずれ量及び推定電力比として算出する。
【0040】
[測定装置10による測定例]
図6は、電力比が0である場合の自己相関信号CAFの一例を示す図である。同図には横軸を周波数とし縦軸を振幅とした場合の自己相関信号CAFの一例を示す。測定装置10は、受信部20が無線信号を受信していない場合には、参照信号RFSのみによって自己相関信号CAFを生成する。この場合、自己相関信号CAFには、高調波hm11~高調波hm18の各高調波hmが出現する。換言すれば、この
図6に示す自己相関信号CAFの出現パターンは、測定装置10が無線信号を受信していない場合の出現パターンである。
ここで、参照信号生成部120が生成する参照信号RFSの電力の大きさを基準にした、観測対象信号取得部110が取得する受信信号RXSの電力の大きさを「2信号間の電力比」とすると、測定装置10が無線信号を受信していない場合とは、2信号間の電力比が0である場合ともいえる。すなわち、この
図6に示す自己相関信号CAFの出現パターンは、2信号間の電力比が0である場合の出現パターンであるともいえる。
パラメータ推定部146は、相関パターン情報PDとのパターンマッチング(上述したステップS50)の結果、この
図6に示す出現パターンにマッチングした場合には、電力比が0であると推定する。
【0041】
図7は、電力比が1である場合の自己相関信号CAFの一例を示す図である。ここで、電力比が1である場合とは、参照信号RFSの電力の大きさと受信信号RXSの電力の大きさとが等しい場合をいう。同図には、参照信号RFSと受信信号RXSとの間のOFDMシンボルのずれ量がシンボル長SLの半分であり、参照信号RFSの電力の大きさと、受信信号RXSの電力の大きさとが等しい場合の自己相関信号CAFの一例を示す。この一例の場合には、自己相関信号CAFには、奇数次の高調波hm(例えば、
図6に示した高調波hm11、高調波hm13、高調波hm15及び高調波hm17に相当する高調波hm)が出現しない。
パラメータ推定部146は、相関パターン情報PDとのパターンマッチング(上述したステップS50)の結果、この
図7に示す出現パターンにマッチングした場合には、電力比が1であり、OFDMシンボルのずれ量がシンボル長SLの半分であると推定する。
【0042】
図8は、電力比が0.7である場合の自己相関信号CAFの一例を示す図である。ここで、電力比が0.7である場合とは、参照信号RFSの電力の大きさと受信信号RXSの電力の大きさとの比が0.7である場合をいう。同図には、参照信号RFSと受信信号RXSとの間のOFDMシンボルのずれ量がシンボル長SLの半分であり、参照信号RFSの電力の大きさと受信信号RXSの電力の大きさとの比が0.7である場合の自己相関信号CAFの一例を示す。この一例の場合には、自己相関信号CAFは、偶数次の高調波hm(高調波hm32、高調波hm34、高調波hm36及び高調波hm38)の振幅に対して非常に小さい振幅の奇数次の高調波hm(高調波hm31、高調波hm33及び高調波hm35)が出現する。なお、この一例の場合、高調波hm36と高調波hm38との間の奇数次の高調波hm(
図6の高調波hm17に相当する高調波hm)は出現しない。
この場合、パラメータ推定部146は、相関パターン情報PDとのパターンマッチング(上述したステップS50)の結果、この
図8に示す出現パターンにマッチングした場合には、電力比が0.7であり、OFDMシンボルのずれ量がシンボル長SLの半分であると推定する。
【0043】
図9は、電力比が0.5である場合の自己相関信号CAFの一例を示す図である。ここで、電力比が0.5である場合とは、参照信号RFSの電力の大きさと受信信号RXSの電力の大きさとの比が0.5である場合をいう。同図には、参照信号RFSと受信信号RXSとの間のOFDMシンボルのずれ量がシンボル長SLの半分であり、参照信号RFSの電力の大きさと受信信号RXSの電力の大きさとの比が0.5である場合の自己相関信号CAFの一例を示す。この一例の場合には、自己相関信号CAFは、偶数次の高調波hm(高調波hm42、高調波hm44、高調波hm46及び高調波hm48)の振幅に対して小さい振幅の奇数次の高調波hm(高調波hm41、高調波hm43及び高調波hm45)が出現する。なお、この一例の場合、高調波hm46と高調波hm48との間の奇数次の高調波hm(
図6の高調波hm17に相当する高調波hm)は出現しない。
この場合、パラメータ推定部146は、相関パターン情報PDとのパターンマッチング(上述したステップS50)の結果、この
図9に示す出現パターンにマッチングした場合には、電力比が0.5であり、OFDMシンボルのずれ量がシンボル長SLの半分であると推定する。
【0044】
上述したように、自己相関信号CAFの奇数次高調波hmの出現パターンは、参照信号RFSと受信信号RXSとの間の電力比を示す。換言すれば、参照信号生成部120が生成する参照信号RFSの波形が、奇数次高調波hmの出現パターンによって受信信号RXSとの間の電力比を示すことができる波形にして定められている。すなわち、本実施形態の参照信号生成部120が生成する参照信号RFSは、受信信号RXSとの間の周期自己相関を示す自己相関信号CAFの奇数次高調波hmの出現パターンに基づいて定められている。
【0045】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の測定装置10は、受信信号RXSと参照信号RFSとの様々な組み合わせによる自己相関信号CAFの出現パターンを示す相関パターン情報PDに基づいて、参照信号RFSに対する受信信号RXSの電力比を推定する。ここで、測定装置10は、参照信号生成部120を備えており、参照信号RFSを自ら生成する。したがって、測定装置10は、参照信号RFSの信号強度(すなわち、基準電力)を既知として、受信信号RXSの電力比を推定する。つまり、本実施形態の測定装置10は、参照信号RFSを絶対基準にして受信信号RXSの電力比を推定することができる。一例として、測定装置10がアップリンクULを受信信号RXSとして受信するように設定される場合、受信信号RXS(すなわちアップリンクUL)の電力比を推定することにより、測定装置10が存在する位置の通信エリアARにおけるアップリンクULの電波の量を推定することができる。このように構成された測定装置10によれば、端末装置TMによる電波利用状況を推定することができる。この測定装置10が推定する端末装置TMの電波利用状況に基づいて、通信エリアAR内において通信中の端末装置TMの密度を求めることができるため、例えば、基地局BSの新設などの設備投資計画を立てることができる。
また、本実施形態の一例においては、測定装置10は、受信信号RXSを受信すると同時に推定部140における推定を行うものとして説明したが、これに限られない。受信信号RXSの受信タイミング及び受信振幅が記憶されていれば、測定装置10は、この記憶された受信信号RXSの情報に基づいて推定してもよい。
【0046】
また、上述したように自己相関信号CAFの高調波hmの出現パターンは、受信信号RXSと参照信号RFSとの電力比に応じている。本実施形態の参照信号RFSは、受信信号RXSとの間の自己相関信号CAFの高調波hm(例えば、奇数次高調波hm)の出現パターンに基づいて定められている。このため本実施形態の測定装置10によれば、相関パターン情報PDとして自己相関信号CAFの高調波hmの出現パターンを記憶させておくことにより、受信信号RXSと参照信号RFSとの間の電力比を容易に推定することができる。
【0047】
また、上述したように測定装置10は、参照信号RFSに対する受信信号RXSの電力比に加えて、OFDMシンボルのずれ量、すなわち、受信信号RXSの受信遅れ時間を推定することもできる。
【0048】
図10は、端末装置TMと基地局BSとの間の無線波の伝搬路の一例を示す図である。同図の一例において、測定装置10は、基地局BSの位置においてアップリンクULである直接波DWと、直接波DWが壁Wにおいて反射された反射波RWとを受信する。この一例の場合、測定装置10は、直接波DWと反射波RWとを受信信号RXSとして受信する。測定装置10は、受信した直接波DW及び反射波RWと、参照信号生成部120において生成される参照信号RFSとに基づいて自己相関信号CAFを生成することにより、直接波DWに対する反射波RWの遅れ時間を推定することができる。また、測定装置10は、直接波DWの電力の大きさに対する反射波RWの電力の大きさ、すなわち直接波DWと反射波RWとの間の電力比を推定することができる。この一例のように測定装置10は、複数の種類の無線波を受信信号RXSとして受信することにより、無線波の伝播路を推定することができる。
【0049】
なお、参照信号生成部120は、自己相関信号CAFの比較結果(例えば、上述したパターンマッチングの結果)に基づいて、参照信号RFSが示す基準電力の大きさを可変に制御してもよい。一例として、受信信号RXSと参照信号RFSとの電力比が非常に小さい又は非常に大きい場合など、相関パターン情報PDに予め記憶されている出現パターンが示す電力比の範囲に含まれない場合がある。この場合には、上述したパターンマッチングにおいて、相関パターン情報PDにマッチングしないことがある。相関パターン情報PDにマッチングしない場合には、参照信号生成部120は、相関パターン情報PDに予め記憶されている出現パターンが示す電力比の範囲に含まれるように、参照信号RFSが示す基準電力の大きさを変更する。なお、この場合には、推定部140は、参照信号生成部120によって制御された基準電力の大きさに基づいて、観測対象信号の受信電力の大きさを推定する。
【0050】
このように構成された測定装置10によれば、相関パターン情報PDにあらゆる出現パターンを記憶させておかなくても、受信信号RXSについての自己相関信号CAFの出現パターンを、相関パターン情報PDにマッチングさせることができる。したがって、測定装置10によれば、記憶部30に記憶される相関パターン情報PDの情報量を低減することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0052】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0053】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…測定装置、110…観測対象信号取得部、120…参照信号生成部、130…相関パターン情報取得部、140…推定部、141…重畳部、142…信号遅延部、143…自己相関信号生成部、144…高速フーリエ変換部、145…二乗値算出部、146…パラメータ推定部、150…受信電力情報出力部、20…受信部、30…記憶部、AR…通信エリア、BS…基地局、DL…ダウンリンク、UL…アップリンク、SDL…サイドリンク、TM…端末装置、SG…重畳信号、DSG…遅延重畳信号、AS…時間軸自己相関信号、CAF…自己相関信号、DSP…表示装置、ANT…アンテナ、RXS…受信信号、RFS…参照信号、PD…相関パターン情報、RD…受信電力情報、SL…シンボル長、hm…高調波