(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】源自己蛍光を低減させ、均一性を改良するための散乱を伴う撮像システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20220118BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20220118BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20220118BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/00
G02B21/36
G02B5/02 A
(21)【出願番号】P 2018545878
(86)(22)【出願日】2017-02-15
(86)【国際出願番号】 US2017017957
(87)【国際公開番号】W WO2017151317
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2019-11-27
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511227336
【氏名又は名称】モレキュラー デバイシーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チャン, マシュー
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-158011(JP,A)
【文献】特開2002-189174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0211460(US,A1)
【文献】特開2013-218310(JP,A)
【文献】特開2013-029836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システムであって、前記撮像システムは、
照明光の異なる色で検査領域を照射するように構成されている複数の光学構成要素を含む複数の照明光源と、
前記複数の照明光源から前記検査領域までの各光学経路内に存在する拡散体と、
励起光で前記検査領域を照射するように構成されている励起光源と、
前記検査領域の複数のグレースケール画像を検出するように構成されている画像検出器と、
前記複数のグレースケール画像からカラー画像を作成するように構成されているプロセッサと
を備え、
前記撮像システムは、前記複数の照明光源の各々からの照明光で前記検査領域を照射し、前記複数の照明光源から前記検査領域までの前記光学経路のいずれか内の1つ以上の部品を移動させることなく、前記励起光源からの励起光で前記検査領域を照射するように構成されており、
前記拡散体は、前記画像検出器によって検出された前記複数の光学構成要素からの背景自己蛍光を低減させ、前記複数の照明光源の各々から照明光が伝送され、前記検査領域を通過する、撮像システム。
【請求項2】
前記複数の照明光源は、赤色の光源と緑色の光源と青色の光源とを含み、前記赤色の光源および前記青色の光源は、前記緑色の光源を通る中心光学軸に対してオフセットされており、前記赤色の光源および前記青色の光源からの照明光は、それぞれのオフセットされた光学経路をたどる、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記拡散体は、少なくともπステラジアンまたは約2πステラジアンの立体角にわたって実質的に等方的に前記励起光源および前記複数の照明光源の各々からの光を散乱させるように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記励起光源によって生成された励起光は、前記複数の照明光源を含む光源アセンブリに伝送されるが、0.1%未満の効率を伴う、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記光源アセンブリは、1つ以上のフォトルミネセンス物質を含み、前記1つ以上のフォトルミネセンス物質からのフォトルミネセンスは、0.1%未満の効率を伴って前記画像検出器に伝送される、請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記複数の照明光源の各々は、発光ダイオードを含み、前記複数の照明光源の各々からの照明光は、前記照明光が前記複数の照明光源の各々から前記検査領域まで進行するにつれて2つの開口を通過する、請求項5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記複数の照明光源は、赤色光源と緑色光源と青色光源とを含む、請求項6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記複数のグレースケール画像の各々は、前記複数の照明光源の各々からの照明光を用いる別個の照射中に検出され、前記カラー画像は、前記複数のグレースケール画像を互いに組み合わせることによって作成される、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記撮像システムは、前記複数の照明光源の各々から前記検査領域までの光学経路が変更されないままで、前記複数の照明光源の各々からの照明光で前記検査領域を照射するように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記撮像システムは、前記
撮像システムの任意の光源または光学要素を移動させることなく、前記複数の照明光源の各々からの照明光で前記検査領域を照射するように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記撮像システムは、光源から前記検査領域までの任意の光学経路を変更することなく、照明モードから落射照明モードに切り替えるように構成されており、落射照明モードから照明モードに切り替えるようにも構成されており、
前記照明モードにおいて、前記複数の照明光源の各々から照明光が伝送され、前記検査領域を通過し、前記落射照明モードにおいて、前記励起光源から前記検査領域に励起光が伝送されることにより、前記検査領域のフォトルミネセンスを誘起する、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項12】
撮像の方法であって、前記方法は、
複数の光学構成要素を含む複数の照明光源によって生成された異なる色の照明光でサンプルを照射することであって、前記複数の照明光源から前記サンプルまでの各光学経路内に拡散体が存在する、ことと、
励起光源からの励起光で前記サンプルを照射することにより、フォトルミネセンスを誘起することと、
画像検出器が、前記サンプルのフォトルミネセンス画像を検出することと、
前記画像検出器が、前記複数の照明光源の異なるサブセットを用いた照射を表す複数のグレースケール画像を検出することと、
前記複数のグレースケール画像からの画像データを使用して、カラー画像を作成することと
を含み、
照射するステップの両方は、前記複数の照明光源から前記サンプルまでの各光学経路が同一のままで行われ、
前記拡散体は、前記画像検出器によって検出された前記複数の光学構成要素からの背景自己蛍光を低減させ、前記複数の照明光源の各々から照明光が伝送され、前記サンプルを通過する、方法。
【請求項13】
前記複数の照明光源は、赤色の光源と緑色の光源と青色の光源とを含み、前記照明光でサンプルを照射するステップは、
前記赤色の光源および前記青色の光源が、前記緑色の光源を通る中心光学軸に対してオフセットされている間に行われ
、前記赤色の光源および前記青色の光源からの照明光は、それぞれのオフセットされた光学経路をたどる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記拡散体を用いて前記複数の照明光源の各々からの前記照明光を実質的に等方的に少なくともπステラジアンの立体角にわたって散乱させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記励起光で前記サンプルを照射するステップは、0.1%未満の効率を伴って、前記励起光源からの励起光を前記複数の照明光源を含む光源アセンブリに伝送するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記励起光で前記サンプルを照射するステップは、0.1%未満の効率を伴って、フォトルミネセンスを前記光源アセンブリから画像検出器に伝送するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記照明光でサンプルを照射するステップは、少なくとも3つの照明光源の各々を用いて、前記サンプルを別個に照射するステップを含み、前記カラー画像を作成するステップは、前記少なくとも3つの照明光源の各々を用いた照射中に検出されたそれぞれのグレースケール画像を組み合わせるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記複数の照明光源の各々から生じる照明光を反射散乱させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記複数の照明光源の各々からの照明光が2つの開口を通過するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のグレースケール画像の各々は、前記複数の照明光源の各々からの照明光を用いる別個の照射中に検出され、前記カラー画像は、前記複数のグレースケール画像を互いに組み合わせることによって作成される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮出願第62/301,760号(2016年3月1日出願)に対する優先権を主張し、上記出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡撮像システムは、細胞等の小物体を含むサンプルの画像を収集することができる。撮像システムは、異なる照明モードでサンプルの画像を収集するように装備され得る。例えば、システムは、サンプルを通過した光が検出される照明モードにおける照明画像と、サンプルからの蛍光放出が検出される落射照明モードにおける蛍光画像とを収集するように構成され得る。
【0003】
照明および落射照明モードの同一撮像システムの中への組み込みは、課題を呈する。照明画像は、好ましくは、カラーであり、カラーは、コントラストを改良し、サンプル成分および特徴を区別するための染料の効果的使用を可能にする。それにもかかわらず、システムが1つのみのカメラを有する場合、モノクロカメラが、概して、従来のカラーカメラよりも弱蛍光を検出するためのそのより高い感度およびそのより高い空間分解能のために必要とされる。カラー照明画像は、対応する源からの赤色、緑色、および青色光を用いた別個の照明中に検出されるグレースケール画像からデジタル的に作成されることができる。しかしながら、3つの源の適切な整列は、問題となり得る。また、シャッタまたはフィルタ等の部品を移動させることが、照明モードの光学経路を互いに隔離するために、および落射照明モードから隔離するために必要とされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、源自己蛍光を低減させ、均一性を改良するための散乱を伴う撮像システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態では、システムは、拡散体が、照明光源から検査領域までの各光学経路内に存在したまま、照明光の異なる色で検査領域を照射するように構成されている複数の照明光源を含み得る。システムは、励起光で検査領域を照射するように構成されている励起光源も備え得る。システムは、照明光源の各々を用いて検査領域を照射するように構成され、随意に、照明光源からの光学経路のいずれか内に可動部品を伴わずに、励起光源を用いて検査領域を照射するように構成され得る。システムは、検査領域のグレースケール画像を検出するように構成されている画像検出器と、カラー照明画像をグレースケール画像から作成するように構成されているプロセッサとをさらに備え得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
撮像システムであって、前記撮像システムは、
照明明光の異なる色で検査領域を照射するように構成されている複数の照明明光源と、
前記照明明光源から前記検査領域までの各光学経路内に存在する拡散体と、
励起光で前記検査領域を照射するように構成されている励起光源と、
前記検査領域のグレースケール画像を検出するように構成されている画像検出器と、
カラー照明画像をグレースケール画像から作成するように構成されているプロセッサと
を備え、
前記撮像システムは、前記照明光源の各々からの照明光で前記検査領域を照射し、前記照明光源から前記検査領域までの前記光学経路のいずれか内の1つ以上の部品を移動させずに、前記励起光源からの励起光で前記検査領域を照射するように構成されている、撮像システム。
(項目2)
前記複数の照明光源は、赤色の光源と緑色の光源と青色の光源とを含み、前記赤色の光源および前記青色の光源は、前記緑色の光源を通る中心光学軸に対してオフセットされており、前記赤色の光源および前記青色の光源からの照明光は、それぞれのオフセットされた光学経路をたどる、項目1に記載の撮像システム。
(項目3)
前記拡散体は、少なくともπステラジアンまたは約2πステラジアンの立体角にわたって実質的に等方的に前記励起光源および各照明光源からの光を散乱させるように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目4)
前記励起光源によって生産された励起光は、前記複数の照明光源を含む源アセンブリに進行することを可能にされるが、0.1%未満の効率を伴う、項目1に記載の撮像システム。
(項目5)
前記光源アセンブリは、1つ以上のフォトルミネセンス物質を含み、前記1つ以上のフォトルミネセンス物質からのフォトルミネセンスは、0.1%未満の効率を伴って前記画像検出器に伝送される、項目4に記載の撮像システム。
(項目6)
前記複数の照明光源の各々は、発光ダイオードを含み、各照明光源からの照明光は、前記照明光が前記照明光源から前記検査領域まで進行するにつれて、同一開口を2回通過する、項目5に記載の撮像システム。
(項目7)
前記複数の照明光源は、赤色光源、緑色光源、および青色光源を含む、項目6に記載の撮像システム。
(項目8)
前記プロセッサは、前記検査領域のグレースケール画像を組み合わせることによってカラー画像を作成するように構成され、前記検査領域のグレースケール画像は、他の照明光源の各々が光を実質的に生産していない間の前記照明光源の各々からの照明光での照射中に別個に検出される、項目1に記載の撮像システム。
(項目9)
前記撮像システムは、各照明光源から前記検査領域までの光学経路が変更されないままで、前記照明光源の各々からの照明光で前記検査領域を照射するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目10)
前記撮像システムは、前記システムの任意の光源または光学要素を移動させずに、前記照明光源の各々からの照明光で前記検査領域を照射するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目11)
前記撮像システムは、光源から前記検査領域までの任意の光学経路を変更せずに、照明モードから落射照明モードに切り替えるように構成され、落射照明モードから照明モードに切り替えるようにも構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目12)
撮像方法であって、前記方法は、
複数の照明光源によって生産された異なる色の照明光でサンプルを照射することであって、拡散体が、前記照明光源から前記検査領域までの各光学経路内に存在する、ことと、
励起光源からの励起光で前記サンプルを照射し、フォトルミネセンスを誘起することと、
前記サンプルのフォトルミネセンス画像を検出することと、
前記照明光源の異なるサブセットを用いた照射を表すグレースケール画像を検出することと、
複数の前記グレースケール画像からの画像データを使用して、カラー画像を作成することと
を含み、
両照射するステップは、前記照明光源から前記検査領域までの各光学経路が同一のままで行われる、方法。
(項目13)
前記複数の照明光源は、赤色の光源と緑色の光源と青色の光源とを含み、前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記赤色の光源および前記青色の光源が、前記緑色の光源を通る中心光学軸に対してオフセットされている間に行われ、前記赤色の光源および前記青色の光源からの照明光は、それぞれのオフセットされた光学経路をたどる、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記拡散体を用いて各光源からの照明光を実質的に等方的に少なくともπステラジアンの立体角にわたって散乱させるステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記励起光で前記サンプルを照射するステップは、0.1%未満の効率を伴って、前記励起光源からの励起光を前記複数の照明光源を含む光源アセンブリに伝送するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記励起光で前記サンプルを照射するステップは、0.1%未満の効率を伴って、フォトルミネセンスを前記光源アセンブリから画像検出器に伝送するステップを含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記照明光でサンプルを照射するステップは、少なくとも3つの照明光源の各々を用いて、前記サンプルを別個に照射するステップを含み、前記カラー画像を作成するステップは、前記少なくとも3つの照明光源の各々を用いた照射の中に検出されたそれぞれのグレースケール画像を組み合わせるステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目18)
前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記照明光源の各々から生じる照明光を反射散乱させるステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目19)
前記照明光でサンプルを照射するステップは、前記照明光源の各々からの照明光を同一開口に2回通すステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目20)
前記カラー画像を作成するステップは、他の照明光源の各々が光を実質的に生産していない間の前記照明光源の各々からの照明光での照射中に別個に検出されたグレースケール画像を組み合わせるステップを含む、項目12に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、本開示の側面による、グレースケール画像検出器を用いて、検査領域の
照明画像およびフォトルミネセンス画像を検出し、複数のグレースケール
照明画像からカラー画像を作成するように構成される例示的撮像システムの概略図であり、システムは、
照明光が、
照明光源から拡散体、拡散体から検査領域、および検査領域から画像検出器に進行する
照明モードで動作する。
【
図1B】
図1Bは、本開示の側面による、
図1Aの撮像システムの別の概略図であり、システムは、励起光が、励起光源から検査領域に進行し、フォトルミネセンスを誘起し、順に、検査領域から画像検出器に進行する落射照明モードで動作する。
【
図2】
図2A-2Cは、拡散体を伴わずに構築された
図1Aおよび1Bの撮像システムの
照明のみの実施形態の概略簡略図であり、拡散体がないことが、どのように赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)
照明光源からの
照明光によって辿られるオフセット光学経路をもたらし得るかを図示する。
【
図3】
図3A-3Cは、それぞれ、概して、
図2A-2Cの線3A-3A、3B-3B、3C-3Cに沿って得られた
図2A-2Cの撮像システムの図であり、
図2A-2Cのオフセット光学経路が検査領域の非均一照射をどのように生産し得るかを図示する。
【
図4】
図4A-4Cは、拡散体を伴って構築された
図1Aおよび1Bの撮像システムの
照明のみの実施形態の概略簡略図であり、
図2A-2Cと対照的に、拡散体の存在が、どのように赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)
照明光源からの
照明光によって辿られる光学経路を整列させ得るかを図示する。
【
図5】
図5A-5Cは、それぞれ、概して、
図4A-4Cの線5A-5A、5B-5B、5C-5Cに沿って得られた
図4A-4Cの撮像システムの図であり、
図4A-4Cの整列させられた光学経路が各
照明光源を用いて検査領域の均一照射をどのように生産し得るかを図示する。
【
図6】
図6は、拡散体を伴わずに構築された
図1Aおよび1Bの撮像システムの実施形態の概略図であり、励起光源からの励起光が、どのように
照明光源のアセンブリに進行し、そこから自己蛍光を誘起し得、順に、画像検出器に進行し、背景を増加させ得るかを図示する。
【
図7】
図7は、
図1Aおよび1Bの撮像システムの概略図であり、
図6と比較して、励起光源からの励起光が、どのように
照明光源のアセンブリからあまり効率的にフォトルミネセンスを誘起せず、順に、画像検出器にあまり効率的に進行せず、あまり背景をもたらさないかを図示する。
【
図8】
図8は、
図7の選択された部分の概略図であり、励起光が、励起光が殆ど
照明光源に入射しないように、どのように拡散体によって散乱させられ得るかを図示する。
【
図9】
図9は、
図7の選択された部分の別の概略図であり、
照明光源からのフォトルミネセンスが、フォトルミネセンスが殆ど画像検出器に到達しないように、どのように拡散体によって散乱させられ得るかを図示する。
【
図10】
図10は、画像自動焦点合わせ光源と、比色撮像光源の組とを含む
照明部分を伴う
図1Aおよび1Bの撮像システムの実施形態の
照明部分の概略図であり、比色撮像光源から検査領域までの光学経路を図示する。
【
図11】
図11は、
図10の
照明部分の別の概略図であり、画像自動焦点合わせ光源から検査領域までの光学経路を図示する。
【
図12】
図12は、概して、
図10の線12-12に沿って得られた比色撮像光源を含む源アセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、源自己蛍光を低減させ、均一性を改良するための散乱を伴う、撮像システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態では、システムは、拡散体が照明光源から検査領域までの各光学経路内に存在したまま、照明光の異なる色で検査領域を照射するように構成されている複数の照明光源を含み得る。システムは、励起光で検査領域を照射するように構成される励起光源も備え得る。システムは、照明光源の各々を用いて、随意に、励起光源を用いて、照明光源からの光学経路のいずれか内の1つ以上の部品を移動させずに、検査領域を照射するように構成され得る。システムは、検査領域のグレースケール画像を検出するように構成される画像検出器と、カラー照明画像をグレースケール画像から作成するように構成されるプロセッサとをさらに備え得る。
【0007】
本開示のシステムおよび方法は、従来の撮像システムに優る種々の利点をもたらし得る。照明光源に入射する励起光は、これらの光源の近傍またはその中の蛍光体/燐光体から背景蛍光/燐光を励起させることができる。この光放出は、本明細書では、源「自己蛍光」として説明される。放出される光の一部は、少なくとも、概して、照明光源から画像検出器までの光学経路のうちの1つ以上のものを辿り、それは、雑音を検出された蛍光画像内で増加させ得る。本開示のシステムおよび方法は、シャッタまたはフィルタの代わりに、拡散体を利用し、励起光が照明光源に到達する効率を低減させ、それによって、源自己蛍光を減少させる。拡散体はまた、源自己蛍光によって放出される光が画像検出器に進行する効率を低減させる。拡散体は、さらに、または代替として、検査領域における赤色、緑色、および青色照明光ビームの均一性および重複を増加させ、グレースケール検出器を用いた比色撮像を可能にし得る。いくつかの実施形態では、拡散体は、照明光源が、赤色、緑色、および青色光を生産するダイのアレイを有する4チャネルLEDによって提供されることを可能にし得る。拡散体は、照明光源が、システムの光学の再整列の必要なく、異なる照明光源(例えば、紫外線および/または赤外線光源)に変更されることも可能にし得る。拡散体は、システムが、より少ない可動部品を伴って、よりコンパクトであることも可能にし得る。
【0008】
本開示のさらなる側面が、以下の節:(I)散乱を伴う比色撮像システムの概要、(II)比色撮像システムの概略比較、および(III)実施例に説明される。
【0009】
(I.散乱を伴う比色撮像システムの概要)
本節は、
照明(例えば、明視野)比色撮像および落射照明(例えば、フォトルミネセンス)撮像のための例示的顕微鏡撮像システム50の概要を提供する。
図1Aおよび1Bを参照されたい。システム50は、
図1Aでは、
照明モードで、
図1Bでは、落射照明モードで動作している。
【0010】
撮像システム50は、照明部分52と、落射照明部分54とを含み、各々は、光で検査領域56を照射するように構成され、検出部分58も含み、検出部分58は、検査領域からの光を収集および検出するように構成される。部分52および54の各々は、モジュールまたはアセンブリとして説明され得る。用語「照射」および「照明」ならびにそれらの対応する派生語は、本開示では、同義的に使用される。用語「光」は、本明細書で使用される場合、任意の好適な波長の光学放射を含み得る。故に、光は、可視放射、紫外線放射、赤外線放射、または任意のそれらの組み合わせであり得る。
【0011】
照明および落射照明部分52および54の各々は、光を生産し、光の一部を検査領域に向かわせることによって、検査領域を照射する。照明部分52は、比色源60、62、および64等の複数の照明光源を含み得、落射照明部分は、励起光源66等の少なくとも1つの落射照明光源を含み得る。照明光源は、互いから異なるスペクトル帯域および/または異なる色を表す光を発生させる2つ以上の光源を含み得る。例えば、描写される実施形態では、照明部分52は、3つの可視光源、すなわち、赤色(R)光源60と、緑色(G)光源62と、青色(B)光源を含む。いくつかの実施形態では、システムは、各色の複数の照明光源、例えば、2つ以上の赤色光源60、2つ以上の緑色光源62、および/または2つ以上の青色光源64を含み得る。各光源は、発光ダイオード、水銀灯、レーザ等の任意の好適なタイプであり得る。
【0012】
検出部分58は、画像検出器68を備えていることにより、特に、サンプルホルダ72によって保持されるサンプル70が検査領域内に存在する間、検査領域56の画像を検出する。サンプル70は、検査領域によって画定された試料平面74、概して、水平平面(xy平面とも呼ばれる)内に配置され得る。サンプルホルダ72は、ステージ76によって、検査領域56内に支持され得る。
【0013】
画像検出器は、グレースケール(モノクロ)画像検出器またはカラー画像検出器であり得る。グレースケール画像検出器は、グレースケール画像を検出し、各画像ピクセルは、強度情報のみを運ぶ一方、カラー画像検出器は、カラー画像を検出し、各画像ピクセルは、強度および波長/色情報(例えば、3つのそれぞれの波長/色のための3つの強度)を運ぶ。画像検出器68は、サンプルの画像(および/または検査領域)を収集するための任意のデバイスであり得る。例示的画像検出器は、電荷結合素子(CCD)センサ、能動ピクセルセンサ(例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、N型金属酸化物半導体(NMOS)センサ等)等のアレイ検出器である。
【0014】
図1Aおよび1Bにそれぞれ示される
照明および落射照明モードは、照射および収集/検出が実施される試料平面74の側に従って画定される。
図1Aの
照明モードでは、照射と収集/検出とは、試料平面の反対側で生じる一方、
図1Bの落射照明モードでは、照射と収集/検出とは、試料平面の同じ側で生じる。例えば、描写される実施形態では、
照明光源60、62、および64は、試料平面74の上方に配置され、画像検出器68は、試料平面の下方に配置される。対照的に、励起光源66および画像検出器68は両方とも、試料平面の下方に配置される。他の実施形態では、システムは、
照明光源が試料平面の下方に位置し、励起光源および画像検出器が試料平面の上方に位置するように反転され得る。
【0015】
図1Aおよび1Bにおける破線矢印によって示される光は、各光源から検査領域まで照射光学経路に沿って進行し、検査領域から画像検出器68まで検出光学経路に沿って進行する。各照射光学経路は、同じz-軸等、z-軸に沿ってサンプル70に接近し得る。各照射光学経路は、光源と1つ以上の光学要素から成る動作可能に関連付けられた光学とによって決定される。
【0016】
光学要素は、光を収集し、向かわせ、および/または集中させ、ならびに/もしくは少なくとも部分的に光を遮断する、任意のデバイスまたは構造であり得る。光学要素は、とりわけ、光を反射すること、屈折させること、散乱させること、回折すること、吸収すること、および/またはフィルタ処理する等を行う任意の好適な機構によって機能し得る。例示的光学要素は、レンズ、ミラー、拡散体、格子、プリズム、フィルタ、開口、マスク、ビームスプリッタ、透過ファイバ(光ファイバ)等を含む。各光学要素は、単一光学経路に専用であるか、または2つ以上の光学経路によって共有され得る。システム50の光学要素は、任意の好適な画像拡大度を提供し得る。
【0017】
図1Aは、緑色光源62のみが活性化されている
照明モードで動作する撮像システム50を示す。源62によって発生させられた
照明光(λ
T)は、光学経路上で、光学開口78、透過拡散体80、集光レンズ82、別の光学開口84、別のレンズ86を通して、検査領域まで進行し得る。光は、サンプルを通過する間、サンプル70と相互作用し、次いで、対物レンズ88およびビームスプリッタ90を通過し、ビームスプリッタの下流に光学的に位置付けられる画像検出器68の感光性エリアに入射する。画像検出器は、伝送される光を検出することによって、サンプル70の画像を収集する。
照明モードで取得された画像は、
照明画像または明視野画像と同義的に呼ばれ得る。
【0018】
サンプル70(および/または検査領域56)と対物レンズ88との互いに対する位置関係は、システムの焦点位置(焦点とも呼ばれる)を画定する。サンプルからのz-軸に沿った対物レンズの距離は、焦点位置を調節可能に変化させ、サンプルが画像検出器の画像平面内で焦点が合っているか、焦点がはずれているかを決定する。焦点位置は、サンプル70、対物レンズ88、または両方を移動させることによって、調節され得る。例示的実施形態では、焦点位置は、対物レンズを移動させることによって調節される。対物レンズは、ステージ76(およびサンプル70)が静止したまま、対物レンズに動作可能に接続される駆動機構92によって、z-軸に沿って移動させられ得る。他の実施形態では、駆動機構92は、対物レンズが静止したまま、z-軸に沿ったステージの位置が調節されるように、ステージ76に動作可能に接続され得る。ステージ水平駆動機構94も、ステージ76と動作可能に関連付けられ、試料平面74と平行な2つの次元においてステージ(およびサンプル70)を移動させ得る。
【0019】
照明光は、サンプルの上流の位置における拡散体80によって散乱させられ、それは、光を均質化し、視野内の検査領域の照射の均一性を改良する。拡散体は、少なくともπステラジアンまたは約2πステラジアンの立体角等、任意の好適な立体角にわたって、光を各照明光源(および励起光源)から実質的に等方的に散乱させるように構成され得る。以下により詳細に説明されるように、拡散体は、源の各々からの光が拡散体からサンプルまで同一光学経路を辿るように、光源60、62、および64の光学経路を互いに融合するようにも機能し得る。光源は、アレイ内に配置され得、光源60、62、および64(集合的に考慮される)から検査領域まで延びている中心光学軸に対して横方向に互いからオフセットされ得る。拡散体80による光学経路の融合は、検査領域における源60、62、および64からの光ビームの互いとの整列を改良し得る(重複を増加させる)。
【0020】
拡散体80は、任意の好適な構造および性質を有し得る。拡散体は、実質的にランバート反射、すなわち、視野の任意の角度において実質的に同じ見掛け明るさである放射輝度を生産し得る。システム50の拡散体は、光が拡散体を通して伝送されるにつれて光を散乱させる、透過拡散体である。例示的透過拡散体は、とりわけ、ホログラフィック拡散体、オパールガラス拡散体、研磨ガラス拡散体、および艶消しガラス拡散体を含む。他の実施形態では(例えば、実施例1参照)、拡散体は、光が拡散体によって反射されるにつれて、光を散乱させる反射拡散体であり得る。例示的反射拡散体は、不規則反射表面を含む。
【0021】
光源60、62、および64は、グレースケール画像検出器68を用いて、比色撮像を可能にするように構成され得る。各光源は、異なるスペクトル帯域(または波長領域)を表す光を生産し得、それは、サンプルによって異なって吸収され得る。サンプルが光源60、62、および64(別個に、R、G、およびB)の各々からの光で別個に照射されている間に別個に収集されるグレースケール画像からの画像データの組み合わせは、カラー画像が作成されることを可能にする。より一般的には、カラー画像は(R、R+G、およびR+G+B)、(R+G、R+B、およびG+B)等、R、G、およびB光源の異なるサブセット/組み合わせを用いてサンプルを順次照射する間に検出されたグレースケール画像から作成されることができる。
【0022】
照明部分52は、光源60、62、および64から検査領域までの光学経路のいずれか内の1つ以上の部品を移動させずに、光源を連続的に、または異なる組み合わせで制御(例えば、活性化)することによって、光源60、62、および64(および/または異なるそれらの組み合わせ)を用いてサンプル70(および/または検査領域56)の連続比色照射を可能にするように構成され得る。言い換えると、連続放射は、光源60、62、および64から検査領域までの光学経路の各々が、同一のまま(可能である場合のステージを垂直に移動させることによる焦点の任意の調節を無視する)、行われ得る。
【0023】
システム50は、プロセッサ96を含み得、プロセッサ96は、システム50の任意の好適な組み合わせのデバイスと通信し得、および/または、その動作を制御し得、システムの動作を自動化するための任意の好適なアルゴリズムを装備し得る。プロセッサは、画像データを画像検出器68から受信し、処理し得、画像検出のタイミング等の画像検出器の動作を制御し得る。プロセッサは、カラー画像も画像検出器によって検出されたグレースケール画像から作成し得る。プロセッサ96は、対物レンズおよびステージ駆動機構92、94をさらに制御し得る。駆動機構92、94の制御は、システムが、複数のサンプルおよび/または同一サンプル内の複数の場所の撮像を自動化することを可能にし得る。プロセッサは、照明光源間、および/または、照明モードと落射照明モードとの間、したがって、明視野画像の収集とフォトルミネセンス画像の収集との間の切り替えも制御し得る。
【0024】
プロセッサ96は、コンピューティングシステムまたはコンピュータ98によって提供され得る。コンピュータは、ディスプレイ100と、ユーザインターフェース102と、アルゴリズムおよびデータを記憶するためのメモリと等を含み得る。
【0025】
図1Bは、励起光源66によって生産された励起光(λ
X)でのサンプル70の落射照明の間の撮像システム50を示す。(光源60、62、および64は、活性化されない。)励起光は、サンプル中の蛍光物質(例えば、蛍光性色素)を励起させ得、それは、蛍光発光すること、すなわち、画像検出器68によって検出される放出光(λ
M)を発生させることを蛍光物質に行わせる。画像検出器は、サンプル70(および/または検査領域56)のフォトルミネセンス画像を検出する。フォトルミネセンスは、蛍光、燐光等、光の任意の光誘起放出を含む。
【0026】
励起光および放出光は、部分的に重複する光学経路に沿って進行し得る。励起光は、励起光源66から、集光レンズ104、スペクトルフィルタ、ビームスプリッタ90、および対物レンズ88等の1つ以上の光学要素を介してサンプル70まで進行し得る。放出光は、画像検出器に到達する前、対物レンズ88、ビームスプリッタ90、およびスペクトルフィルタを通過し得る。
【0027】
システム50は、光源60、62、および64と検査領域との間の各光学経路が開放したまま、落射照明モードで動作し得る。故に、一部の励起光は、光源60、62、64の各々を含む源アセンブリに到達し、源アセンブリ内に存在する1つ以上のフォトルミネセンス物質によって、背景自己蛍光を誘起し得る。しかしながら、励起光が源アセンブリに入射する効率および源アセンブリからのフォトルミネセンスが画像検出器68に到達する効率は、以下により詳細に説明されるように、部分的に、拡散体80の存在に起因して、非常に低い。
【0028】
システム50は、一方向または両方向(すなわち、
照明から落射および/または落射から
照明)に、光源60、62、および64から検査領域56までの光学経路のいずれか内の任意の部品を移動させずに、随意に、励起光源66から検査領域56までの光学経路内の任意の部品を移動させずに、
図1Aおよび1Bの
照明および落射照明モード間で切り替わり得る。
【0029】
サンプル70は、任意の好適な材料、物質、分離株、抽出物、粒子等であり得る。サンプルは、撮像されるべき生物学的細胞および/または組織を含み得る。生物学的細胞は、真核性または原核性であり得、生存していることも、死滅していることもある(例えば、固定される)。例示的生物学的細胞は、確立された細胞(細胞株)、一次細胞、組織サンプルからの細胞、臨床サンプルからの細胞(例えば、血液サンプル、流体吸引物、組織断片等)、細菌細胞等を含む。細胞は、フォトルミネセンス物質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))を生成し得るか、またはフォトルミネセンス物質で染色され得る(例えば、細胞が固定された後)。
【0030】
サンプルホルダ72は、少なくとも1つのサンプルまたは空間的に隔離されたサンプルの任意のアレイを保持するための任意のデバイスであり得る。サンプルホルダは、サンプルの生物学的細胞または組織が、置かれる、および/または取り付けられ得る少なくとも1つの水平の上向きに面した表面領域(場所)を有する、基板を提供し得る。サンプルホルダは、細胞/組織取り付けのための1つのみの表面領域または互いから分離される複数の表面領域もしくはコンパートメントを有し得る。各表面領域は、細胞/組織取り付けを促すためのコーティングを含み得る。コーティングは、例えば、ポリリジン、コラーゲン等であり得る。コーティングは、とりわけ、透明プラスチックまたはガラスから形成され得るサンプルホルダの本体上に位置し得る。例示的サンプルホルダは、スライド、培養皿、マルチウェルプレート(例えば、とりわけ、4、6、8、12、24、32、48、または96ウェルを有する)等を含む。
【0031】
(II.比色撮像システムの概略比較)
本節は、拡散体の有無によって互いに異なる例示的撮像システムの概略比較を説明し、拡散体によってもたらされる潜在的利点を図示する。
図2A-2C、3A-3C、4A-4C、5A-5C、および6-9を参照されたい。
【0032】
図2A-2Cおよび3A-3Cは、拡散体80を伴わずに構築された撮像システム50の
照明のみの実施形態110の概略簡略図を示す。拡散体80がないことは、検査領域56内のサンプル70まで、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)
照明光源60、62、および64からの
照明光によって辿られるオフセット光学経路をもたらす。より具体的には、
図2Aおよび2Cでは、光源60からの赤色光ビームおよび光源64からの青色光ビームは、それぞれ、光源62からの緑色光ビームに対して、サンプル70において左右にオフセットされる。これらのオフセットの結果は、検出器68の感光性エリア112に対して
図3A-3Cに示される。赤色、緑色、および青色光ビーム114、116、および118は、互いからオフセットされてエリア112に入射し、緑色光ビーム116のみエリア112上において中心に置かれる。
【0033】
図4A-4Cおよび5A-5Cは、撮像システム50の別の
照明のみの実施形態120の概略簡略図を示すが、システム110との比較のために、拡散体80を用いて構築された。
図4A-4Cは、拡散体80において、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)
照明光源60、62、および64からの
照明光によって辿られる光学経路を融合する拡散体80の能力を図示する。
図4A-4Cでは、光源60からの赤色光ビームおよび光源64からの青色光ビームは、ここでは、サンプル70および検出器68において光源62からの緑色光ビームと整列させられる(システム110と比較して)。
図5A-5Cでは、赤色、緑色、および青色光ビーム114、116、および118の各々は、エリア112上で中心に置かれ、システム110におけるより均一照明を提供する。
【0034】
図6は、
照明光源60、62、および64からの光学経路の各々が開放されたまま、拡散体80を伴わずに構築され、落射照明モードで動作する
図1Aおよび1Bの撮像システム50の130の実施形態を示す。言い換えると、光学経路の各々は、光が対応する源から検査領域に進行することを可能にするその
照明構成にある。
図1Aおよび1Bに存在するサンプルホルダおよびサンプルは、ここでおよび
図7では省略され、光源60、62、および64を含む源アセンブリ132から生じるサンプルから独立した源自己蛍光に関する議論に焦点を当てる。源アセンブリ132は、光源66からの励起光で照射されると、光を放出する少なくとも1つのフォトルミネセンス物質134を含み得る。物質134は、例えば、光源自体(例えば、ドープ剤)、光源を支持体に搭載する接着剤、支持体、および/または同等物中に存在し得る。故に、励起光源66からの励起光は、源アセンブリ132に進行し、自己蛍光を誘起し得る。結果として生じる放出光136(λ
M-背景)は、概して、
照明光学経路のうちの1つ以上のものに沿ってステージ76に、次いで、画像検出器68に進行し、望ましくなく、検出される背景光のレベルを増加させ得る。
【0035】
図7は、
図6との比較のために、その落射照明モードにあり、サンプルまたはサンプルホルダを伴わないシステム50を示す。励起光源66からの励起光は、源アセンブリ132に入射する。しかしながら、拡散体80は、励起光を散乱させることによって、源アセンブリ132が光源66によって照射される効率を低減させる。(開口78も、散乱させられた励起光の一部を遮断し、源アセンブリへの結合をさらに低減させる。)故に、背景光136は、破線矢印の代わりに、点線矢印によって示されるように、自己蛍光によって殆ど生産されない(
図6と比較して)。開口78および拡散体80は、背景光136が概して
照明経路に沿って画像検出器に進行する効率も低減させ、殆ど背景をもたらさない。
【0036】
図8および9は、それぞれ、
図7の励起および放出経路の部品を図式的に示す。(源アセンブリ132の光源62のみが提示を簡略化するために示される。)源アセンブリ132の照射を低減させることにおける開口78および拡散体80の役割(
図8)と、画像検出器への放出光136の伝搬を低減させることにおける開口78および拡散体80の役割(
図9)とが、描写される。
【0037】
(III.実施例)
以下の実施例は、光を散乱させるための拡散体を含む例示的比色撮像システムおよび方法のさらなる側面を説明する。これらの実施例は、例証のために意図され、本開示の範囲全体を定義または限定するべきではない。
【0038】
(反射拡散体を伴う比色撮像システム)
本実施例は、一対の反射拡散体80a、80bを有する例示的比色撮像システム140を説明する。
図10-12を参照されたい。
【0039】
図10および11は、システム140の
照明部分のみを示す。システムはシステム50(例えば、
図1Aおよび1B参照)に関して上で説明されるように、ステージ76の下方に位置する落射照明部分54および検出部分58の両方を有する。より一般的には、システム140は、第I節の撮像システム50内に存在する要素および特徴の任意の好適な組み合わせを有し得る。
【0040】
システム140は、検査領域の
照明のために、
照明源アセンブリ142と、別個の画像自動焦点合わせ源144とを含む(
図10および12参照)。源アセンブリ142は、赤色、緑色、および青色光源60、62、および64のアレイ(
図12参照)を含む源アセンブリ132(
図7参照)に関して上で説明される要素および特徴のいずれかを有し得る。白色光源146も、源アセンブリ142によって提供され得る。源60、62、64、および146の各々は、ダイ(チップとも呼ばれる)によって形成される発光ダイオードであり得る。ここでは長方形として示される各ダイは、同一支持体148上に搭載され得る。ダイは、とりわけ、示されるように、2×2アレイ等の2次元アレイで配置され得るか、またはラインで配列され得る。ダイは、集合的に、支持体148に取り付けられるポリマーカバー下に配置され、および/またはその中に埋め込まれ得る。ポリマーカバーは、ダイを保護し、ダイからの光を源アセンブリ142から伝送する光学要素として機能し得る。いくつかの実施形態では、源アセンブリ142が、画像自動焦点合わせ源144の代わりに、自動焦点合わせのために使用される
照明光を生産し得る。
【0041】
図10は、源アセンブリ142から検査領域56まで光によって辿られる光学経路を示す。提示を簡略化するために、源アセンブリ142は、ここでは、単一光源として図示される。比色撮像のための
照明光は、源アセンブリから反射拡散体80aまで進行し、反射拡散体は、拡散体の不規則反射表面に入射する光を反射散乱させる。光を反射する、反射表面のサイズは、拡散体80aと動作可能に関連付けられた開口画定マスク150によって制限され得る。反射された光は、順に、半球集光レンズ152、開口画定要素154を通過し、ビームスプリッタ156に進行し得る。ビームスプリッタは、光の一部のみが一対のレンズ158、160によって形成される集光器に反射され、順に、光を検査領域56に伝送するように、部分的に反射性(R)および部分的に透過性(T)(例えば、70%R、30%T)であり得る。源アセンブリ142からの光線は、互いに平行に検査領域56を通過し、Kohler照明を提供し得る。光は、次いで、上で説明されるように、画像検出器上に収集および集中させられる。
【0042】
図11は、画像自動焦点合わせ源144から検査領域56までの光によって辿られる光学経路を示す。画像自動焦点合わせのための
照明光は、源144からミラー162まで進行し、それは、光をビームスプリッタ156に向かって反射する。光の一部は、ビームスプリッタ156によって反射拡散体80bに向かって反射され、それは、拡散体の不規則反射表面で受け取られた光を反射散乱させる。光を反射する反射表面のサイズは、拡散体80bと動作可能に関連付けられた開口画定マスクによって制限されることも、そうでないこともある(拡散体80aに関してのように)。反射され、散乱させられた光の一部は、ビームスプリッタ156、レンズ158、160、および検査領域56を通過し得る。光は、次いで、上で説明されるように、画像検出器上に収集および集中させられる。
【0043】
システム140内に含まれ得る、画像自動焦点合わせのさらなる側面は、2015年10月19日に出願された米国特許出願第14/886,998号に説明され、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0044】
上記に記載される本開示は、独立した有用性を伴って、1つ以上の明確に異なる発明を包含し得る。これらの発明の各々は、その好ましい形態で開示されている。本明細書に開示および図示されるようなその具体的実施形態を含むこれらの好ましい形態は、多数の変形例が可能性として考えられるので、限定的意味と見なされることを意図するものではない。本発明の主題は、本明細書に開示される種々の要素、特徴、機能、および/または性質の全ての新規および非明白な組み合わせならびに副次的組み合わせを含む。