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特許7008034放熱器に少なくとも1つの通気開口を有する回転電気機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】放熱器に少なくとも1つの通気開口を有する回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20220118BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20220118BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20220118BHJP
【FI】
H02K9/06 C
H02K9/02 B
H02K11/33
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018558497
(86)(22)【出願日】2017-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 FR2017050206
(87)【国際公開番号】W WO2017134375
(87)【国際公開日】2017-08-10
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】1650822
(32)【優先日】2016-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、フェイク
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、マッソン
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504386(JP,A)
【文献】特開2007-300729(JP,A)
【文献】特開2014-168333(JP,A)
【文献】特開2014-143833(JP,A)
【文献】特開2015-092799(JP,A)
【文献】特許第5661167(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/02
H02K 9/06
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両に給電するように少なくともオルタネータモードで作動可能な回転電気機械(100)であって、
‐後方軸受(4)と、
‐少なくとも前記後方軸受(4)により支持される回転シャフト(2)に固定されるロータ(1)と、
‐前記ロータ(1)を取り囲むステータ(3)であって、前記電気機械の相を構成する巻線を有する電機子巻線(7)を含むステータ(3)と、
‐前記後方軸受(4)は、冷却流体の出口用の側方開口(4b)と、前記冷却流体の前記ステータ(3)内への入口用の少なくとも1つの軸方向開口(4a)とを含み、
‐前記ステータ(3)の前記相巻線に電気的に接続されるパワーエレクトロニクス回路(15)と、
‐前記パワーエレクトロニクス回路(15)が装着される第1面を一方で有するとともに、前記第1面に対向する第2面であって前記後方軸受(4)に向かって配向される第2面を他方で有する放熱器(16)と、
‐少なくとも1つの軸方向開口(11b)を有する保護カバー(11)と、
を含む回転電気機械において、
前記放熱器(16)は、前記回転シャフト(2)の通過のための少なくとも1つの主開口(16a)と、前記冷却流体が前記カバー(11)の前記軸方向開口(11b)から前記後方軸受(4)の前記軸方向開口(4a)に流れることを許容する少なくとも1つの通気開口(16b)とを有する、
ことを特徴とする回転電気機械。
【請求項2】
前記放熱器(16)は、複数の通気開口(16b)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電気機械。
【請求項3】
少なくとも1つの通気開口(16b)は、前記回転シャフト(2)の周囲の角度部分に亘って延在する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電気機械。
【請求項4】
前記回転シャフト(2)の周囲に配置されて前記主開口(16a)を少なくとも部分的に閉鎖する位置センサ(23)を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項5】
前記位置センサ(23)は、前記回転軸(2)の全周に従って前記主開口(16a)を閉鎖するレゾルバである、
ことを特徴とする請求項4に記載の回転電気機械。
【請求項6】
前記位置センサ(23)は、ホール効果センサである、
ことを特徴とする請求項4に記載の回転電気機械。
【請求項7】
前記放熱器(16)は、前記位置センサ(23)を組み込むための径方向切欠(16c)を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の回転電気機械。
【請求項8】
前記後方軸受(4)は、前記後方軸受(4)の側方開口(4b)の出口に配置される少なくとも1つのデフレクタ(24)を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項9】
前記保護カバー(11)は、前記パワーエレクトロニクス回路(15)及び前記放熱器(16)を覆う、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項10】
前記保護カバー(11)は、前記デフレクタ(24)を形成するように、少なくとも1つの立ち上げられた端部を有する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の回転電気機械。
【請求項11】
前記回転電気機械は、前記放熱器(16)に向かって配向される前記後方軸受(4)の上面と前記放熱器(16)の前記第2面との間における冷却流体の流れのための流路(17)を含み、
前記放熱器(16)の前記第2面は、冷却フィン(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’)を有し、
フィン(18)の少なくとも1つの軸方向端部は、少なくとも前記後方軸受(4)の前記上面まで軸方向に延在する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項12】
少なくとも1つのフィン(18、18’’’’)は、前記後方軸受(4)の前記軸方向開口(4a)の内部に位置する部分(182)を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の回転電気機械。
【請求項13】
前記フィン(18’’’’)は、前記後方軸受(4)の前記軸方向開口(4a)のみに対向して延在する、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の回転電気機械。
【請求項14】
前記少なくとも1つのフィン(18)は、前記後方軸受(4)の前記中実上面に対向する部分(181)を更に有する、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項15】
前記後方軸受(4)の前記軸方向開口(4a)に対向して配置されるとともに、前記後方軸受(4)の前記上面から離間する少なくとも1つの第2フィン(18’’)を更に含む、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱器に少なくとも1つの通気開口を有する回転電気機械に関する。本発明は、少なくともオルタネータモードにおいて作動する回転電気機械への適用が特に有利であるが、これに限られない。
【0002】
公知の態様において、回転電気機械は、ステータと、シャフトと一体のロータと、を含む。ロータは、駆動及び/又は従動シャフトと一体であり得る。
【0003】
ステータは、軸受上のシャフトを転がり軸受によって回転させるように構成されたハウジングに装着される。ロータは本体を含み、この本体は、適切な固定システムにより一組の形態にされた複数のメタルプレートシートによって形成される。ロータは極を有し、この極は、例えば、ロータの磁性物質に配設されたキャビティに収容される永久磁石によって形成される。或いは、いわゆる「突出」極の構成において、極は、ロータのアームに捲回されたコイルによって形成される。
【0004】
また、ステータは、クラウンを形成する複数の薄形メタルプレートによって構成される本体を含む。その内面には、相巻線を受容するように内部に向かって開放するノッチが設けられる。これらの巻線は、ステータ本体のノッチを通り抜けて、ステータ本体の両側から突出するシニョン(コイル)を形成する。相巻線は、例えば、エナメルで被覆された連続ワイヤから、又は、溶接によって互いに接続されたピンの形状にある導電要素から得られる。このような巻線は、星又は三角形状に接続された多相巻線であり、その出力は、オルタネータの場合、特に整流ブリッジを有するパワーエレクトロニクス回路に接続される。このタイプの整流ブリッジは、およそ150Wのエネルギーを散逸可能である。
【0005】
文書FR2847085号に記載のように、整流ブリッジを冷却するように、放熱器は、パワーエレクトロニクス回路が装着される面と、後方軸受に向かって配向される反対側の面とを有する。本例においてロータにより支持されたファンによって移動する空気である冷却流体流用の通路が、放熱器に向かって配向される後方軸受の面と放熱器とは反対側の面との間に配置される。
【0006】
空気入口と同じ側に配置された空気出口を介した流路を通流した後に空気が排出されるように、空気は横方向に集められる。しかしながら、横方向の空気入口および出口が近接しているため、加熱された空気の一部が電気機械に再導入されてしまう場合がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、
自動車両に給電するように少なくともオルタネータモードにおいて作動可能な回転電気機械であって、
‐後方軸受と、
‐少なくとも前記後方軸受により支持される回転シャフトに固定されるロータと、
‐前記ロータを取り囲むステータであって、前記電気機械の相を構成する巻線を有する電機子巻線を含むステータと、
‐前記後方軸受は、冷却流体の出口用の側方開口と、前記冷却流体の前記ステータ内への入口用の少なくとも1つの軸方向開口とを含み、
‐前記ステータの前記相巻線に電気的に接続されるパワーエレクトロニクス回路と、
‐前記パワーエレクトロニクス回路が装着される第1面を一方で含むとともに、前記第1面に対向する第2面であって前記後方軸受に向かって配向される第2面を他方で含む放熱器と、
‐少なくとも1つの軸方向開口を含む保護カバーと、
を含む回転電気機械において、
前記放熱器は、前記回転シャフトの通過のための少なくとも1つの主開口と、前記冷却流体が前記カバーの前記軸方向開口から前記後方軸受の前記軸方向開口に流れることを許容する少なくとも1つの通気開口とを含む、
ことを特徴とする回転電気機械を提案することにより、上記デメリットを効果的に排除することである。
【0008】
したがって、本発明によれば、電気機械の内部に投入される流体の温度を低下させて冷却を向上させるように、低温流体が電気機械内をカバーの軸方向開口を介して通過することが可能となる。流体が放熱器の開口を通過することにより、流体の流路において放熱器の交換表面を大きくすることが可能となる。したがって、放熱器ブリッジはよりよく冷却される。
【0009】
一実施形態によれば、前記放熱器は、複数の通気開口を含む。これにより、電気機械の内部において軸方向の空気流が触れる放熱器の軸方向表面が最大とされ得る。
【0010】
一実施形態によれば、少なくとも1つの通気開口は、前記回転シャフトの周囲の角度部分に亘って延在する。これにより、放熱器の開口と冷却流体の軸方向チャネルとの間の熱交換領域が増大され得る。したがって、放熱器のより大きい領域が、軸方向流れによって冷却される。
【0011】
本実施形態の一例によれば、開口は互いにずらされている(分散配置されている)。これにより、熱冷却が向上し得る。
【0012】
一実施形態によれば、前記電気機械は、前記回転シャフトの周囲に配置されて前記主開口を少なくとも部分的に閉鎖する位置センサを含む。これにより、放熱器の冷却を得つつ、センサを放熱器の厚さに位置センサを組込むことで軸方向寸法を抑えることができる。
【0013】
一実施形態によれば、前記位置センサは、前記回転軸の全周に従って前記主開口を閉鎖するレゾルバである。これにより、流体を、放熱器とシャフトとの間ではなく、放熱器の開口に強制的に流れ込むようにすることができる。
【0014】
一実施形態によれば、前記位置センサは、ホール効果センサである。
【0015】
一実施形態によれば、前記放熱器は、前記位置センサを組み込むための径方向切欠を含む。
【0016】
一実施形態によれば、前記後方軸受は、前記後方軸受の側方開口の出口に配置される少なくとも1つのデフレクタを含む。これにより、高温空気のループバックが減少され得る、すなわち、軸受の径方向開口を介して流出した高温空気が再吸入されることが回避され得る。
【0017】
一実施形態によれば、前記保護カバーは、前記パワーエレクトロニクス回路及び前記放熱器を覆う。
【0018】
一実施形態によれば、前記保護カバーは、前記デフレクタを形成するように、少なくとも1つの立ち上げられた端部を有する。
【0019】
一実施形態によれば、前記回転電気機械は、前記放熱器に向かって配向される前記後方軸受の上面と前記放熱器の前記第2面との間における冷却流体の流れのための流路を有し、前記放熱器の前記第2面は、冷却フィンを有し、フィンの少なくとも1つの軸方向端部は、少なくとも前記後方軸受の前記上面まで軸方向に延在する。これにより、電気機械の軸方向寸法を増大させることなく、フィンを延長させることで交換表面を増大させ得るとともに、電気機械の冷却を効果的に向上させ得る。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1つのフィンは、前記後方軸受の前記軸方向開口の内部に位置する部分を含む。
【0021】
一実施形態によれば、前記フィンは、前記後方軸受の前記軸方向開口のみに対向して延在する。
【0022】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィンは、前記後方軸受の前記中実上面に対向する部分を更に含む。
【0023】
一実施形態によれば、前記回転電気機械は、前記後方軸受の前記軸方向開口に対向して配置されるとともに、前記後方軸受の前記上面から離間する少なくとも1つの第2フィンを更に含む。
【0024】
一実施形態によれば、前記機械はブラシホルダを更に有し、前記ブラシホルダは、径方向において前記ロータと前記放熱器との間に、具体的には前記放熱器のプレートと前記ロータとの間に、且つ軸方向において前記軸受と前記位置センサとの間に配置される。これにより、軸方向寸法を抑えることができる。他の実施形態によれば、前記機械は、ブラシホルダを更に有し、前記ブラシホルダは、径方向において前記ロータと前記パワーエレクトロニクスとの間に、且つ軸方向において前記放熱器と前記カバーとの間に配置される。
【0025】
一実施形態によれば、前記パワーエレクトロニクスは、前記電子部品にオーバーモールドされたモジュール内に、及びハウジングにオーバーモールドされたトラックであって前記電子部品に接続されたトラック内にある。
【0026】
本発明は以下の説明を読みこれに付属する図面を精査することによってより良く理解されるであろう。これらの図面は、完全に本発明の例としてのものであり本発明を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】本発明によるオルタネータ-スタータの後部の部分断面図。
図1b図1aのオルタネータ-スタータの変形実施形態を示す図。
図2図1aのオルタネータ-スタータに使用される冷却フィンの側面図。
図3a】冷却フィンの変形実施形態を示す側面図。
図3b】冷却フィンの変形実施形態を示す側面図。
図4】パワーエレクトロニクスが載置される中二階を有するオルタネータ-スタータの後部を示す図。
図5】後方ベアリングの詳細図であって、冷却フィンの少なくとも一部が対向して延在する開口を示す図。
図6】通気開口を設けられた本発明による放熱器を含む本発明によるオルタネータ-スタータの変形実施形態の部分断面図。
図7図6の放熱器を上方から見た図。
図8a】本発明による放熱器の変形実施形態を上方から見た図。
図8b】本発明による放熱器の変形実施形態を上方から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同一の、類似する又は相似である要素は、図面を通して同じ符号を有する。
【0029】
図1aは、本発明による冷却装置を含むオルタネータ-スタータ100の後方からの断面図である。このオルタネータ-スタータ100は、発電機モードにおいて、車両のバッテリ及び車載ネットワークに給電するように、そしてモータモードにおいて、機械的な力を特に車両の熱機関に与えてその始動を保証するように、可逆的に作動可能である。
【0030】
オルタネータ-スタータ100は、回転シャフト2に固定された、軸Xを有するロータ1を含む。このロータ1は、電機子巻線7を設けられたステータ3によって囲まれる。ステータ3は、後方軸受4と、回転シャフト2を転がり軸受6により保持する前方軸受(図示せず)とによって支持される。
【0031】
オルタネータ-スタータ100は、MOS電力トランジスタを有する整流ブリッジを含む。整流ブリッジは、これらの電力トランジスタの制御のためのユニットに関連付けられている。この整流ブリッジ及びこれらの制御ユニットは、符号15が付される、オルタネータ-スタータのパワーエレクトロニクスを共に形成する。パワーエレクトロニクス15は、放熱器16の上面に装着される。パワーエレクトロニクス回路15は、ステータ3の相巻線に、直接的に又はコネクタを用いて電気的に接続され得る。
【0032】
具体的には、コネクタ(図示せず)は、相に接続するように、且つプラスチック材料でオーバーモールドされるように、トラックを含み得る。コネクタは、軸受4において、軸受4と放熱器16のフィン181との間で固定され得る。
【0033】
放熱器16の後方軸受4に向かって軸方向に配向される面は、オルタネータ-スタータ100における冷却流体の流路17の壁を形成する。この流路17の他方の壁は、放熱器16に向かって配向される後方軸受4の上面によって形成される。
【0034】
保護カバー11は、流体の流路17に対向して配置される開口11aを含む。これにより、冷却流体、具体的には空気が、オルタネータ-スタータ100の後方に、これらの開口11aを介して横方向に導入され、次いで、放熱器16の下方において流路17を通流してパワーエレクトロニクス15を冷却する。回転シャフト2又はロータ1に固定されたファン5が、流路17内部における空気又は他の流体の吸引を確保する。空気は、軸受4の側方開口4bを介して排出される前に、軸受4の軸方向開口4aに向かって流れる。
【0035】
放熱器16は、パワーエレクトロニクスを支持する面とは反対側のその下面に、冷却フィン18、18’、18’’、18’’’、18’’’’を含む。図1a及び2の実施形態において、フィン18は、軸受4の中実面に対向して延在する第1部分181と、第1部分181より軸方向に長い第2部分182とを含む。この場合、第2部分182は、軸受4の対応する開口4aに対向して配置され、少なくとも部分的に開口4a内に延在する。フィン18の部分182は、放熱器16の面に直交して部分182を通過する直線がまた対応する軸方向開口4aを通過する場合に、中央開口4aに「対向する」ものとして考えられる。
【0036】
図2に示すように、放熱器16は、また、軸受4の中実面に対向して配置されるフィン18’を含む。フィン18’は、軸受4の面から離間して配置される軸方向端部を有する。
【0037】
図3aの実施形態において、フィン18’’は、開口4aに対向して配置されるとともに、軸受4の上面から離間している。より具体的には、図5に更に明瞭に示すように、各開口4aは、第1側方縁部41と第2側方縁部42とを含み、第1縁部41は第2縁部42より軸Xに対して近接している。更に、各開口4aは、第1縁部41と第2縁部42とを接続する2つの他の端縁部43、44を含む。フィン18’’は、開口4aを画定する2つの端縁部43、44のうちの一方に最も近接して配置されるフィンに対応する。これにより、対応する開口4aの内部の空気が2つの連続する開口4aを隔てるアーム45を介して流れること、が容易となる。
【0038】
図3bの実施形態において、開口4aに対向配置されたフィン18’’’は、実質的に後方軸受4の上面まで軸方向に延在する端部を有する。
【0039】
図1bの実施形態において、フィン18’’’’は、対応する開口4aのみに対向して延在する。すなわち、フィン18’’’’は、放熱器16に対面する軸受4の中実面に対向して延在する部分181を有さない。
【0040】
隣接するフィンは、流路17において冷却流体を案内する径方向チャネルを形成する。したがって、これらのチャネルは、後方軸受4により形成される下面と、2つの隣接するフィンに対向する2つの側部と、並びに、2つの隣接するフィンの間に形成される放熱器16の「U」形状のベースとを含む。有利には、フィン18、18’、18’’、18’’’、18’’’’は、後方軸受4の軸方向開口4aに向かって集中する流体の流れの方向において径方向に配設される。したがって、フィンの長さに沿って空気流が流れるフィン18を介した放熱器16の冷却後、パワーエレクトロニクス15は伝導によって冷却される。
【0041】
また、放熱器16は、回転シャフト2の通過を許容するように、主開口16aを含む。図1a及び1bの実施形態において、主軸方向開口16aは、回転シャフト2と放熱器16との間にスペース22が存在し、このスペース22を介して空気がまた通流可能となるように、構成される。このスペース22は、シャフト2をパワーエレクトロニクス15から隔てるスペースとともに、流体の流れのための軸方向チャネルを形成する。
【0042】
保護カバー11のベースに軸方向開口11bが設けられているため、空気はオルタネータ-スタータのこれらの開口11bを介して吸引され、放熱器16の下方の流路17に合流するように、スペース22を介して回転シャフト2に沿って流れる。
【0043】
変形例として、図7に示すように、回転シャフト2の角度位置を測定するためのセンサ23が、回転シャフト2の周囲に配置される。この場合、位置センサ23は、ロータ2のシャフトの全周を囲んで開口16aを閉鎖するレゾルバである。
【0044】
この場合、放熱器16は、図6にも示す通気開口16bを含む。通気開口16bは、空気が、カバー11の軸方向開口11bから後方軸受4の軸方向開口4aに流れることを許容する。したがって、これにより、機械の内部において軸方向空気流が接触する放熱器16の軸方向表面が最大となる。
【0045】
図7及び8aに示すように、通気開口16bは円形状を有し得る。図7の実施形態において、開口16bは互いに対して整列している。これに対し、図8aの実施形態において、開口16bは主開口16aの周囲で周方向に配置される。したがって、開口は軸の周囲で角度方向に延在する。
【0046】
変形例として、開口16bは、回転シャフト2の周囲の角度部分であって、特に円の一部上に整列する角度部分に亘って延在するような細長形状を有し得る(図8b参照)。
【0047】
図示しない別の例によれば、開口は、軸Xの周囲で角度方向にずらされて分散配置される。
【0048】
図8a及び8bの実施形態において、放熱器16は、レゾルバに代えてホール効果位置センサを組み込むための、径方向切欠16cを含む。
【0049】
変形例として、放熱器16は、単独の通気開口16bを含む。
【0050】
したがって、パワーエレクトロニクス15は、最初に流路17を介して横方向に、そして次に、外部から得た空気が流路17に合流するように、流路22又は開口16bを介して径方向に冷却される。この追加の軸方向の空気流は、機械内の全体空気流量を増大させることで、電機子巻線のシニョン(コイル)等のオルタネータの内部部品のより良い冷却を得ることを可能とする。
【0051】
オルタネータ-スタータの後部における冷却流体の流路は、図1a、1b及び6において矢印と点線で示されている。
【0052】
デフレクタ24が、後方軸受4に設けられた開口4bの下流に配置される。デフレクタ24により、流体流出口から流体流入口を遠ざけることが可能になり、これにより、オルタネータ-スタータから流出する流体は、流路17に直ちに再導入されない。したがって、オルタネータ-スタータから得られる高温の流体が実質的に再循環することが、回避される。
【0053】
デフレクタ24は、軸受4において開口4bの近傍に固定され得る。また、デフレクタ24は、図1a、1b及び6に示すように、例えば保護カバーの端部を立ち上げることによって、保護カバー11に作製することも可能である。また、後方軸受4が、後方軸受4の側方開口4bの出口に配置される少なくとも1つのデフレクタ24を含んでもよい。
【0054】
保護カバー11は、オルタネータ-スタータの後部の全てを覆い得る。すなわち、保護カバー11は、放熱器16に装着されたパワーエレクトロニクス15、及び後方軸受4の全てを覆う。この場合、保護カバー11は、後方軸受4の側方開口4bの下流に位置する開口であって、流体がオルタネータ-スタータから排出されることを許容するように設計される開口を含み得る。
【0055】
放熱器16は、後方軸受4に、組付タイロッド(組付連結棒)20によって固定される。一実施形態によれば、タイロッド20は、軸受をスタータ3の磁気回路に固定するために通常使用されるものと同じものである。
【0056】
図4に明瞭に示すように、後方軸受4と放熱器16とは、軸受4上の中二階(メザニン)を形成する。中二階は、軸受4に固定スタッド21によって確保される。少なくとも2つの固定スタッド21が存在する。それらは、フィン18の間に分散配置される。
【0057】
また、電気機械は、放熱器16の下面と後方軸受4との間に、これら2つの要素同士が電気接触する危険性を回避するように配置される電気的絶縁材料層を含み得る。有利には、この絶縁材料層は、後方軸受4の外面に固定されるとともに、冷却流体の通過のために、後方軸受4の空気通過用の開口に対向する空気通過用の開口を有する。
【0058】
一実施形態によれば、機械は、図示しないブラシホルダを更に有し、ブラシホルダは、径方向においてロータと放熱器との間に、具体的には放熱器のプレートとロータとの間に、且つ軸方向において軸受と位置センサとの間に配置される。これにより、軸方向寸法を抑えることができる。他の実施形態によれば、図示しないブラシホルダは、径方向においてロータとパワーエレクトロニクスとの間に、且つ軸方向において前記放熱器と前記カバーとの間に配置される。
【0059】
一実施形態によれば、パワーエレクトロニクスは、電子部品にオーバーモールドされたモジュール内に、及びハウジングにオーバーモールドされたトラックであって電子部品に接続されたトラック内にある。
【0060】
オルタネータ-スタータ用の上述の冷却装置は、概して、特に爪又は突出ポールを有するロータを含むいかなるタイプのオルタネータにおいても、実現され得る。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b