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特許7008079無人移動体制御装置、無人移動体制御方法、及び無人移動体システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】無人移動体制御装置、無人移動体制御方法、及び無人移動体システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20220118BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20220118BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220118BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20220118BHJP
   G08G 5/04 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G05D1/10
B64C13/18 Z
B64C39/02
B64D27/24
G08G5/04 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019545408
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2017034667
(87)【国際公開番号】W WO2019064329
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 敦
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-37369(JP,A)
【文献】特開2005-230044(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013842(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/10
B64C 13/18
B64C 39/02
B64D 27/24
G08G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた目的で予め定められた目的地に着地するように自律制御された無人移動体が複数用いられる際に、当該無人移動体が、前記目的地に達するまでの間において予め定められた着地地点に誘導するように遠隔操作する無人移動体制御装置であって、
前記無人移動体は蓄電池を動力源とし、
前記着地地点には前記蓄電池の充電を行うための設備が設けられ、
複数の前記無人移動体の各々における識別情報、前記目的、前記目的地、前記蓄電池の電池残量、及び位置情報を含む無人移動体情報を記憶するデータ記憶手段と、
前記無人移動体情報を参照することによって、各前記無人移動体を、互いの衝突が抑制されるように前記着地地点に誘導する制御を行う制御手段と、
を具備し、
前記制御手段は、
前記着地地点において充電中の第1の前記無人移動体の前記電池残量及び前記目的地と、当該着地地点に誘導される第2の前記無人移動体の前記電池残量及び前記目的地に基づき、前記第1の前記無人移動体の前記目的及び前記目的地と、前記第2の前記無人移動体の前記目的及び前記目的地とを入れ替える指示を出すことを特徴とする無人移動体制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
鉛直方向、水平方向の少なくともどちらか一方において、前記無人移動体の飛行を禁止する領域を前記無人移動体に指示することを特徴とする請求項1に記載の無人移動体制御装置。
【請求項3】
複数の前記着地地点が設定され、
前記制御手段は、
前記無人移動体の各々が誘導される前記着地地点を定めることを特徴とする請求項1に記載の無人移動体制御装置。
【請求項4】
前記無人移動体は配送のために用いられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の無人移動体制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の無人移動体制御装置が用いられ、
前記制御手段は、
前記無人移動体の各々と、前記着地地点の各々との間の距離に応じて、前記無人移動体の各々が誘導される前記着地地点を定めることを特徴とする無人移動体制御方法。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記無人移動体における前記電池残量に応じて、前記無人移動体の各々が誘導される前記着地地点を定めることを特徴とする請求項5に記載の無人移動体制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の無人移動体制御装置を複数具備し、前記無人移動体情報が全ての前記無人移動体制御装置間で共有されることを特徴とする無人移動体システム。
【請求項8】
請求項3に記載の無人移動体制御装置が前記着地地点毎に設けられ、前記無人移動体情報が全ての前記無人移動体制御装置間で共有されることを特徴とする無人移動体システム。
【請求項9】
前記無人移動体制御装置は、前記着地地点における地上と、前記着地地点の上空の2カ所にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項8に記載の無人移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同時に活動する複数の無人移動体(例えばドローン)を適切に制御する無人移動体制御装置、無人移動体制御方法、及び無人移動体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人の飛行体であるドローンが、近年、空中撮影、農薬散布等の農業上の利用、物流分野、災害時の監視用等に広く用いられており、更に、これら以外でも様々な分野での使用も進んでいる。ドローンの飛行の制御には、ユーザの直接的な遠隔操縦(無線操縦)によるものと、ユーザによる直接的な制御を不要とした自律的な制御が行われるのものがある。また、特定の目的のために複数のドローンを同時に飛行させることも行われ、特許文献1には、災害時において複数のドローンの制御を避難誘導のために最適に制御するシステムが記載されている。
【0003】
また、一般にはドローンは電動の動力で飛行し、その動力源としてはバッテリ(蓄電池)が用いられる。このため、電池残量が少なくなった場合には、ドローンを充電設備のある場所に着地させ、この着地地点で充電を行う作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-56899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
充電を行わせるためには、所定の場所に正確にドローンを着地させることが必要となる。この際、電力の無駄な消費を低減するためには、着地に要するまでの時間を極力短くすることが必要となる。更に、複数のドローンが同時に飛行している場合には、この動作の際に互いの衝突を防止することも要求される。こうした動作を自律的に行わせることができることが求められた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、予め定められた目的で予め定められた目的地に着地するように自律制御された無人移動体が複数用いられる際に、当該無人移動体が、前記目的地に達するまでの間において予め定められた着地地点に誘導するように遠隔操作する無人移動体制御装置であって、前記無人移動体は蓄電池を動力源とし、前記着地地点には前記蓄電池の充電を行うための設備が設けられ、複数の前記無人移動体の各々における識別情報、前記目的、前記目的地、前記蓄電池の電池残量、及び位置情報を含む無人移動体情報を記憶するデータ記憶手段と、前記無人移動体情報を参照することによって、各前記無人移動体を、互いの衝突が抑制されるように前記着地地点に誘導する制御を行う制御手段と、を具備し、前記制御手段は、前記着地地点において充電中の第1の前記無人移動体の前記電池残量及び前記目的地と、当該着地地点に誘導される第2の前記無人移動体の前記電池残量及び前記目的地に基づき、前記第1の前記無人移動体の前記目的及び前記目的地と、前記第2の前記無人移動体の前記目的及び前記目的地とを入れ替える指示を出す。
また、前記制御手段は、鉛直方向、水平方向の少なくともどちらか一方において、前記無人移動体の飛行を禁止する領域を前記無人移動体に指示する。
また、複数の前記着地地点が設定され、前記制御手段は、前記無人移動体の各々が誘導される前記着地地点を定める。
また、前記無人移動体は配送のために用いられる。
また、本発明の無人移動体制御方法は、前記無人移動体制御装置が用いられ、前記制御手段は、前記無人移動体の各々と、前記着地地点の各々との間の距離に応じて、前記無人移動体の各々が誘導される前記着地地点を定める。
また、前記制御手段は、前記無人移動体における前記電池残量に応じて、前記無人移動体の各々が誘導される前記着地地点を定める。
また、本発明の無人移動体システムにおいては、前記無人移動体制御装置を複数具備し、前記無人移動体情報が全ての前記無人移動体制御装置間で共有される。
また、前記無人移動体制御装置が前記着地地点毎に設けられ、前記無人移動体情報が全ての前記無人移動体制御装置間で共有される。
また、前記無人移動体制御装置は、前記着地地点における地上と、前記着地地点の上空の2カ所にそれぞれ設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、無人移動体を定められた場所に正確かつ効率的に着地させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る無人移動体システムにおける、地上側着地装置(無人移動体制御装置)の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る無人移動体システムにおける、上空側着地装置(無人移動体制御装置)の構成を示すブロック図である。
図3】2機のドローンが同一の着地地点に着地しようとしている際の飛行ルートを鉛直方向において示す図である。
図4】2機のドローンが同一の着地地点に着地しようとしている際の飛行ルートを水平方向において示す図である。
図5】地上と上空に無人移動体制御装置を配した際に2機のドローンが同一の着地地点に着地しようとしている際の状況を鉛直方向において示す図である。
図6】1機のドローンに対して2つの着地地点が存在する場合の状況を鉛直方向において示す図である。
図7】2機のドローンに対して2つの着地地点が存在する場合の状況を水平方向において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を、図面を参照して具体的に説明する。ここでは、無人移動体として、無人飛行体であるドローンが荷物の配送のために複数同時に用いられるものとする。各ドローンには、それぞれの目的のために目的地が設定されて飛行するが、使用される蓄電池の電池残量に応じ、ある定まった地点(着地地点)に着地して蓄電池に対して充電が行われるものとする。ここで、本発明の実施の形態に係る無人移動体システムは、着地地点(地上)側に設けられた地上側着地装置と、上空(飛行体)に設けられた上空側着地装置とで構成される。また、このような着地地点は、地上における異なる箇所に複数設けられていてもよく、この場合にはこれに応じて地上側着地装置も複数設けられる。
【0011】
また、ここで制御の対象となるドローンは、自律的な制御によって飛行する。このため、このドローンは、GPS信号を受信する、あるいは各種のセンサを具備することによって自己の位置を認識し、設定された航路に沿って目的地まで飛行することができるものとする。この際、地上側着地装置、上空側着地装置は、共にドローンと通信することによってドローンの現在の位置を認識することができる。こうしたドローンの構成は、例えば特許文献1に記載されたものと同様である。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る無人移動体システムにおける、地上側着地装置(無人移動体制御装置)10の構成を示すブロック図である。この地上側着地装置10は、後述する上空側着地装置20や各ドローンと相互通信を行う。このため、地上側着地装置10においては、データの送信機能を具備する送信部11、データの受信機能を具備する受信部12、送受信アンテナ13が設けられる。また、後述する各種のデータを記憶するデータ記憶部(データ記憶手段)14、地上側着地装置10全体の制御を行いデータの送受信を行わせるCPUである制御部(制御手段)15が用いられる。着地地点が離間した箇所に複数設定される場合には、その各々に地上側着地装置10が設けられる。
【0013】
図2は、上空側着地装置(無人移動体制御装置)20の構成を示すブロック図である。上空側着地装置20においても、データの送信機能を具備する送信部21、データの受信機能を具備する受信部22、送受信アンテナ23が設けられる。また、データを記憶するデータ記憶部(データ記憶手段)24、上空側着地装置20全体の制御を行いデータの送受信を行わせるCPUである制御部(制御手段)25が用いられる。上空側着地装置20は、地上側着地装置10の上空、例えばドローンの飛行高度よりも高い領域に設けられる。この際、前記の地上側着地装置10が離間した箇所に複数設けられる場合には、各々の上空に上空側着地装置20も設けられる。
【0014】
また、制御部15、制御部25は、ドローンの飛行に関する指示、例えば飛行が禁止される領域の指示をドローンに送信することができる。各ドローンは、自律的な制御によって通常は目的地までの最短距離をほぼ直線的に飛行するが、制御部15、25からこの情報を受け取った場合には、飛行が禁止される領域を避けた上での最短距離で飛行するように制御される。
【0015】
地上のデータ記憶部14に記憶され、ドローンの制御に利用される情報について説明する。この情報は、地上側着地装置10が設置された着地地点に関する情報である基地情報と、現在この着地地点に着地しているドローンに関する情報である着地中ドローン情報(無人移動体情報)とに大別される。
【0016】
基地情報としては、この着地地点の識別情報(個別ID)、位置情報(座標)等がある。これらの情報は、この着地地点に応じて定められ、以降の説明においては書き換えられることはない状態でデータ記憶部14に記憶されている。着地地点及び地上側着地装置10が複数設定される場合には、互いに異なる識別情報、位置情報が設定される。
【0017】
また、各ドローンには、識別情報(個別ID)が設定されており、着地中ドローン情報は、現在この着地地点に着地中のドローンの識別情報、及びそのドローンにおける現時点での蓄電池の充電状況を示す充電ステータス(電池残量)等がある。また、着地中のドローンが例えば配送のために用いられる場合には、現時点から配送までに要求される時間(移動要求時間)、目的、目的地も、この着地中ドローン情報に含まれる。
【0018】
上空のデータ記憶部24においても、上記の基地情報が記憶される。また、データ記憶部24は、現在飛行中のドローンに関する情報である周辺ドローン情報(無人移動体情報)も記憶される。周辺ドローン情報は、制御部25が周辺のドローンと通信することによって入手された現在飛行中のドローンに関する情報であり、その中には、上記の着地中ドローン情報と同様に、現在飛行中の各ドローンにおける識別情報、充電ステータス(電池残量)、移動要求時間、目的、目的地等が含まれる。
【0019】
地上の制御部15と上空の制御部25とは常時通信が可能であるため、実際には、地上の制御部15が上空のデータ記憶部24内の情報を、上空の制御部25が地上のデータ記憶部14内の情報を、それぞれアクセスすることがで、上記の各種情報は、全ての地上側着地装置10、上空側着地装置20間で共有することができる。
【0020】
これらの情報を用いたドローンの制御の例について説明する。ここで、以降に説明する制御においては、複数の制御部15、制御部25が用いられるが、上記の情報はどの制御部15、制御部25も共用されるため、共通の着地中ドローン情報、周辺ドローン情報を用いて、実際にはどの制御部15、制御部25を用いても同様の制御を行うことができる。このため、実際には、以下に説明するような、ドローンに対する直接的な制御はこれらのうちで一つの制御部15又は制御部25が行うものとし、他の制御部15、制御部25は、これ以外の制御のみを行う設定としてもよい。
【0021】
図3は、2機のドローンD1、D2が地上側着地装置10が設置された着地地点Aに充電のために着地しようとしている状況を鉛直面に沿って模式的に示す図である。ここでは、便宜上着地地点Aよりも地上側着地装置10が大きく記載されているが、実際には着地地点Aは一定の面積をもつ領域であり、地上側着地装置10はその中に設置されている。以降の図においても同様である。前記の通り、ドローンD1、D2は共に自律的に飛行するために、共に着地地点Aに向けて飛行をすることができる。ここでは、着地地点Aにおける地上側着地装置10における制御部15は、直接あるいはその上空の上空側着地装置20を介してドローンD1、D2の現在の位置を認識することができ、かつ、共に目的地が着地地点Aであることを認識することができる。
【0022】
このため、制御部15は、ドローンD1とドローンD2とが同時に着地地点Aに向かっていることを認識することができる。ここで、例えばドローンD1を優先させる場合には、図3において、飛行可能ゾーンV1と、衝突回避ゾーンV2を設定することができる。制御部15は、この旨をドローンD1とドローンD2に送信することができる。ドローンD1、ドローンD2は、それぞれこの情報と自己の位置情報に基づいて飛行をすることができる。
【0023】
図3より、衝突回避ゾーンV2は、優先されるドローンD1の飛行には無関係であり、ドローンD2の飛行のみに影響を及ぼす。このため、ドローンD1は、飛行可能ゾーンV1内をほぼ最短距離で直線的に着地地点Aに向けて飛行することができる。一方、ドローンD2は、進行方向において衝突回避ゾーンV2が設けられたために、最短距離で直線的に着地地点Aに向けて飛行することが禁止され、飛行可能ゾーンV1内で、衝突回避ゾーンV2の上を水平飛行した後に着地地点Aに向けて降下するように制御される。制御部15又は制御部25は、ドローンD1、D2の飛行速度やこれらの軌道の位置精度等に応じて、衝突回避ゾーンV2の大きさ(高さ)を設定することができる。特に、上記のような衝突を回避するための制御を、衝突回避ゾーンV2を設定することのみによって行うことができる。
【0024】
図3においては、ドローンD1、D2の飛行状況が鉛直面に沿って示されていたが、水平方向においても同様である。図4においては、下降中のドローンD1、D2に対する、飛行可能な領域である飛行可能ゾーンH1、飛行が禁止された領域である衝突回避ゾーンH2を設定した一例である。ここでは、飛行可能ゾーンH1、衝突回避ゾーンH2は、着地地点Aを中心とした周囲を分割して形成されている。この場合には、ドローンD1が飛行する飛行可能ゾーンH1(図中上側)とドローンD2が飛行する飛行可能ゾーンH1(図中下側)とを、衝突回避ゾーンH2によって分断することができる。このため、上記と同様に、衝突回避ゾーンH2を設けることによって、ドローンD1、D2の飛行中の衝突を防止することができる。
【0025】
上記の例では、ドローンD1、D2は、着地地点Aにある地上側着地装置10(制御部15)から衝突回避ゾーンに関する指示を受けることができる。しかしながら、実際には、地上側着地装置10は地上に設置されるため、特にドローンD1、D2と着地地点Aとの間の距離が遠い場合には、ドローンD1、D2と地上側着地装置10との間の通信に対して、建造物等が障害となる場合も多い。こうした場合においては、図5にその鉛直面に沿った構成を示すように、高高度にある上空側着地装置20(制御部25)を上記の地上側着地装置10(制御部15)の代わりに用いて、同様の操作を行うことができる。ここで、上記のようなドローンD1、D2と地上側着地装置10との間の位置関係とは異なり、上空側着地装置20を地上側着地装置10の直上とすれば、上空側着地装置20と地上側着地装置10との間の通信の障害を少なくすることができるため、地上側着地装置10におけるデータ記憶部14内の情報を利用して上空側着地装置20がドローンD1、D2に指示を出すことに対する障害は少ない。
【0026】
次に、着地地点が複数ある場合における制御について説明する。図6は、2つの着地地点A1、A2が設定され、1機のドローンD1がその周囲を飛行する状況を鉛直面に沿って示す図である。ドローンD1の電池残量が少なく、充電の必要性が高まった場合には、着地地点A1における地上側着地装置10、着地地点A2における地上側着地装置10は、直接あるいはそれぞれに対応した上空側着地装置20を介して、共にこれを認識することができ、着地地点A1とドローンD1との間の距離、着地地点A2とドローンD2との間の距離も認識することができる。このため、制御部15あるいは制御部25は、着地地点A1、A2のうちドローンD1との間の距離が近い方を、それぞれ目的地とするようにドローンD1に指示をすることができる。
【0027】
ただし、例えば着地地点A2の方がこの距離が短いが、各々の着地地点における地上側着地装置10において制御部15が着地中ドローン情報を参照し、着地地点A2においては多くのドローンが既に着地しており充電設備に空きがなく着地地点A1においては空きがあると認識された場合には、より距離が遠くともドローンD1を着地地点A1に誘導することが好ましい。この場合には、いずれかの箇所にある制御部15あるいは制御部25は、着地地点A1、A2における着地中ドローン情報に基づいて、こうした指示をドローンD1に対して行うことができる。
【0028】
次に、2つの着地地点A1、A2が設定され、2つのドローンD1、D2が用いられる場合の例について説明する。ここで、着地地点A1、A2のどちらにおいても、充電設備には十分空きがある(着地中のドローンの数が少ない)ものとする。この場合には、ドローンD1、D2と着地地点A1、A2までの距離と、ドローンD1、D2における電池残量を考慮して、ドローンD1、D2が着地する目的地を定めることができる。
【0029】
図7は、こうした状況を示す平面図である。ここで、着地地点A1、A2における地上側着地装置10は上空側着地装置20と重複するため、その記載は省略されている。着地地点A2の近傍にいるドローンD1の電池残量は90%(電池残量が大きい状態)であり、着地地点A1よりも着地地点A2に近い。一方、着地地点A2までの距離がドローンD1よりも遠いドローンD2の電池残量は20%(電池残量が小さい状態)であるものとする。この場合、制御部15、制御部25は、上記の周辺ドローン情報を参照して、ドローンD1、D2の電池残量を認識することができる。また、上記の通り、ドローンD1、D2の位置と着地地点A1、A2の位置を認識することができるため、ドローンD1、D2と着地地点A1、A2との間の現在の距離も認識することができる。
【0030】
制御部15、制御部25は、この電池残量とこの距離とを考慮した上で、ドローンD1、D2の向かうべき着地地点を決定することができる。例えば、電池残量が20%以下である場合にはこのドローンの充電に対する緊急性が高く、他のドローンの位置に関わらず、電池残量が20%以下であるドローンを最も近くの着地地点に誘導することを優先的に決定することができる。この場合、他のドローンはこの着地地点以外の着地地点に誘導すればよく、この着地地点とこのドローンとを除外した残りのドローンと残りの着地地点について、例えば距離に応じて着地地点を設定すればよい。こうした制御によって、図7において、ドローンD2を着地地点A2に誘導し、ドローンD1を着地地点A1に誘導することができる。
【0031】
また、図7の例において、例えば着地地点A2において、多数のドローンが着地しており充電設備に現在空きがない場合がある。こうした場合においては、制御部15、制御部25は、着地中ドローン情報を参照し、現在充電中のドローンの目的地を認識することによって目的地までの飛行距離や移動要求時間を認識する。これらのデータと現在の電池残量を考慮し、現状の電池残量でもこの飛行が十分に可能であると認識されたドローンに対する充電作業を中止して離陸させ、その後にドローンD2を着地地点A2に着地させることができる。
【0032】
また、特に多数のドローンが用いられる場合において、制御部15、制御部25は、共通の着地中ドローン情報、周辺ドローン情報によって、各着地地点に着地中のドローン、飛行中のドローンの配送における目的、目的地を認識することができる。このため、配送を効率的に行わせるために、ドローンの目的、目的地を適宜入れ替えることが可能であり、制御部15、制御部25は、この制御をする、あるいはこの指示を管理者に対して行わせることもできる。
【0033】
例えば、図7において、着地地点A2において充電中のドローンは存在しているものの充電設備に空きがあり、上記のようにドローンD2を着地地点A2に着地させた場合において、制御部15、制御部25は、着地中ドローン情報を参照し、現在充電中のドローンの移動要求時間、新たに着地したドローンD2の移動要求時間を認識することができる。ここで、後者の移動要求時間が前者の移動要求時間よりも大幅に短い場合には、現在充電中のドローンの目的、目的地と、新たに着地したドローンD2の目的、目的地とを入れ替えることが可能である。すなわち、充電中のドローンに委ねられた配送と、新たに着地したドローンD2に委ねられた配送とを入れ替えることによって、配送作業全体を効率化することができる。
【0034】
この場合には、着地地点A2における制御部15は、着地地点A2の管理者(人間)に対して、ディスプレイ等を介して、これらのドローンの積荷を入れ替えるように指示することができる。各ドローンにおけるデータとしての目的、目的地の入れ替えは、制御部15が行っても、制御部15がこの指示を管理者に対して行う設定としてもよい。
【0035】
すなわち、上記の着地装置を用いることにより、特に複数のドローンを同時に用いて配送を行う際に、充電作業、配送作業を、効率的に行うことができる。ただし、配送以外の目的、例えば地上の監視等の目的においても、同様の制御が可能であることは明らかである。
【0036】
更に、上記の例では、着地地点で充電が行われるものとしたが、充電に限らず、ある定められた着地地点に複数のドローンを着地させる場合には、図3、4に示した制御が有効であることも明らかである。上記の例における着地中ドローン情報、周辺ドローン情報の内容は、ドローンの目的や着地地点で行われる作業内容等に応じて適宜設定される。
【0037】
更に、上記の例では、無人移動体がドローンであるものとしたが、複数同時に飛行し、自律的な制御が行われる無人の移動体に対して、同様の制御を行うことが可能である。なお、ここで、「無人」とは、移動体の制御をするための人間が搭乗しないことを意味し、移動体の制御を行わない人間がこの移動体に登場する場合には、「無人」であるものとする。
【0038】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0039】
10 地上側着地装置(無人移動体制御装置)
11、21 送信部
12、22 受信部
13、23 送受信アンテナ
14、24 データ記憶部(データ記憶手段)
15、25 制御部(制御手段)
20 上空側着地装置(無人移動体制御装置)
A、A1、A2 着地地点
D1、D2 ドローン(無人移動体)
V1、H1 飛行可能ゾーン
V2、H2 衝突回避ゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7