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特許7008106無線LAN用リピータ、および無線LANシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】無線LAN用リピータ、および無線LANシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20220118BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220118BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20220118BHJP
【FI】
H04W72/04 132
H04W84/12
H04W16/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020116144
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2020-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】狩谷 祐一
(72)【発明者】
【氏名】出浦 弘善
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-012798(JP,A)
【文献】特開2018-098644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、1または複数のホストと屋内通信経路により接続される場合に使用される、離れ家モードを備える無線LAN用リピータであって、
前記無線LAN用リピータは2.4GHz帯で通信可能な1つの無線通信回路と5GHzW52帯,W53帯,およびW56帯を切り換えていずれか1つの通信帯域で通信可能な1つの無線通信回路とを備え、
前記離れ家モードでは、
前記無線LAN用リピータが前記無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続が可能な場合には、前記無線LAN用リピータは前記無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接するとともに、前記ホストに対しては2.4GHz帯および/または5GHzW56帯で接続し、
前記無線LAN用リピータが前記無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続が不可能な場合には、前記無線LAN用リピータは前記無線LAN用ルータに対して2.4GHz帯で接続するとともに、前記ホストに対しては2.4GHz帯、および/または、5GHzW52帯、W53帯、W56帯のうちいずれか1つで接続する、無線LAN用リピータ
【請求項2】
前記無線LAN用リピータが前記無線LAN用ルータと5GHzW56帯で接続していて、かつ、前記無線LAN用ルータまたは前記無線LAN用リピータが5GHzW56帯でのレーダーの電波を検出した場合に、
前記無線LAN用リピータと前記無線LAN用ルータとの接続を2.4GHz帯に切り替えるとともに、前記無線LAN用リピータは前記レーダーの電波の検出を継続し、一定時間前記レーダーの電波が検出されなかった場合には、再度前記無線LAN用リピータと前記無線LAN用ルータとの接続を5GHzW56帯に戻す工程をさらに備える、請求項に記載の無線LAN用リピータ
【請求項3】
前記無線LAN用リピータは、前記無線LAN用ルータおよび前記1または複数のホストと屋内通信経路により接続される場合に使用される通常モードをさらに備え、
前記通常モードでは、前記無線LAN用ルータおよび前記ホストに対して、2.4GHz帯、および/または、5GHzW52帯、W53帯、W56帯のうちいずれか1つで接続する、請求項1または2に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項4】
母屋に配置された無線LAN用ルータと、
離れ家に配置された、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、
前記請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータは、前記離れ家モードに設定され、前記無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、前記1または複数のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【請求項5】
母屋に配置された無線LAN用ルータおよび第2の無線LAN用リピータと、
離れ家に配置された、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、
前記第2の無線LAN用リピータは、前記無線LAN用ルータと屋内通信経路により接続され、
前記請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータは、前記離れ家モードに設定され、前記第2の無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、前記1または複数のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【請求項6】
母屋に配置された無線LAN用ルータと、
離れ家に配置された、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータ、第3の無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、
前記請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータは、前記離れ家モードに設定され、前記無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続され、
前記第3の無線LAN用リピータは、前記請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータと屋内通信経路により接続されるとともに、前記1または複数のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【請求項7】
母屋に配置された無線LAN用ルータと、
第1の離れ家に配置された第4の無線LAN用リピータと、
第2の離れ家に配置された、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、
前記第4の無線LAN用リピータは、前記無線LAN用ルータと2.4GHz帯または5GHzW56帯で、屋外通信経路を経由して接続され、
前記請求項1から3のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータは、前記離れ家モードに設定され、前記第4の無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、前記1または複数のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN周波数帯域切換方法、無線LAN周波数帯域切換方法を備えた無線LAN用リピータ、および無線LANシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANの周波数帯域切換方法に関しては、以下の発明が出願されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003-333640号公報)には、5.2GHz帯と2.4GHz帯など、複数の周波数帯に対応させた無線通信装置において、無線通信装置の制御部が、当該装置が屋内にあるか屋外にあるかを判断して通信周波数帯を適法に選択できるようにする方法として、ベース装置との間で無線通信システムを構成する表示端末50に、一方向に指向感度の高い検出用アンテナ62を、その指向感度の高い方向が重力の方向と逆の方向に向くように設け、検出用アンテナ62から検出用送信信号を放射させ、その電波による反射物からの反射波を検出用アンテナ62で受信し、処理回路で処理する。その処理結果から、制御部(CPU)は、表示端末50が屋内にあるか否かを判断して通信周波数帯を選択する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2015-192315号公報)には、中継機能をもつ無線通信装置において、小型で簡易な構成、かつ確実な判定手段に基づいて、法令などで禁止されている周波数帯を使用せず、適切な周波数による通信を行う無線通信装置として、所定の通信条件に従い第1の無線信号で接続先と通信する第1の無線通信部と、第2の無線信号で通信する第2の無線通信部と、前記通信条件として可能なものを判定し、その判定結果を出力する通信方式判定部と、前記判定結果を含む所定の許否基準に基づき前記第2の無線通信部に対し所定の周波数帯の使用の許否を指示する制限部と、を備える無線通信装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3(特開2004-336351号公報)には、所定条件下での使用が禁止されている周波数帯でも送受信が可能な無線LAN機器を使用する際の警告方法に関し、所定条件下での使用が禁止されている周波数帯を利用して、無線LAN機器が通信を開始しようとしているか否か検出し、前記周波数帯を利用して通信を開始しようとしている場合には、前記所定条件下では前記周波数帯の使用が禁止されていることを示す警告を発することを特徴とする無線LAN機器使用時の警告方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4(国際公開2012/137908号公報)には、異なる周波数帯の中から、位置情報に即した周波数帯を採用する無線通信方式を選択して無線サービスエリアを形成する機能を備えた無線通信装置であって、外部ネットワークと接続する第1の無線通信部と、それぞれ異なる第1の周波数帯と、第2の周波数帯とのいずれかを用いて、前記外部ネットワークと接続可能なサービスエリアを形成する第2の無線通信部と、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて、前記第1の周波数帯と、第2の周波数帯とのいずれかを選択する選択部と、を備える無線通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-333640号公報
【文献】特開2015-192315号公報
【文献】特開2004-336351号公報
【文献】国際公開2012/137908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、無線LANにおいて、2.4GHz帯と5GHz帯とが使用可能となり、さらに5GHz帯では、5.2GHz帯のW52、5.3GHz帯のW53、5.6GHz帯のW56が使用可能となっている。これに伴って、無線LANの通信機能を搭載した、ルータ、リピータ(ルータとホストとを接続する中継機能を有する通信機)、およびコンピュータ等のホストにおいても、2.4G、W52、W53、W56のすべての周波数での通信機能を備えたものが広く提供されている。
しかし、5.2GHz帯の周波数は、衛星通信システムのフィーダリンクと周波数が重複し、また、5.3GHz帯および5.6GHz帯は気象レーダーと周波数が重複ないし隣接するために、家庭用の無線LANでは、各周波数帯域ごとに使用上の制限が課されている。下記表1に周波数帯域ごとの制約を示す。
【0009】
【表1】
【0010】
表1に記載のように、2.4GHz帯およびW56帯は屋内および屋外で使用可能であるが、W52帯およびW53帯は屋内でのみ使用可能である。
また、DFS(Dynamic Frequency Selection)とは主に気象観測用として使われているCバンドレーダーへの悪影響を避けるため、無線LAN機器にレーダー電波の検出と、検出時の発信停止(および他チャンネルへの移動)を義務付けたものであるが、W53帯、およびW56帯においてDFSの機能の搭載が義務付けられている。
また、TPC(Transmit Power Control)とは干渉回避のために必要に応じて送信出力を下げる規定であるが、同様にW53帯、およびW56帯においてTPCの機能の搭載が義務付けられている。
【0011】
最近、無線LANの利用法として、図6に描かれているように、母屋にルータを置き、離れ家にリピータを置いて、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間を無線LANで通信し、さらに無線LAN用リピータと離れ家の屋内にあるホストとの間をまた無線LANで通信するとの利用法が始まっている。
この場合、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間は屋外通信経路に相当するため、2.4GHz帯またはW56帯を用いて通信しなければならない。しかし、従来の無線LAN用ルータおよび無線LAN用リピータではW52帯およびW53帯でも技術的には通信可能であるため、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間を屋外通信経路を経由してW52帯またはW53帯で接続し、結果的に法律違反を犯している場合もあると考えられる。
また、初期設定時、屋外使用が法律で認められていてかつ通信容量が大きいW56でルータとリピータの間を通信している場合において、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータでレーダー電波が検出された場合に、無線LAN用ルータおよび無線LAN用リピータの制御アルゴリズムによっては、屋外使用が禁止されているW52またはW53に無線周波数帯域が切り換えられる可能性もある。
【0012】
特許文献1に記載の発明では、ベース装置との間で無線通信システムを構成する表示端末50に当該装置が屋内にあるか屋外にあるかを判断するための検出器を搭載している。しかし、特許文献1に記載の検出器が検出するのは当該装置が屋内にあるか屋外にあるかであって、図6に描かれているような、無線LAN用リピータは屋内にあり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が屋外である場合には屋内と判断されてしまう。
【0013】
また、特許文献2に記載の発明の無線通信装置(無線LAN用リピータ)では、ルータと接続される第1の通信部11がW52帯またはW53帯を使用中である場合、すなわち、ルータとリピータの間が屋内通信経路であると判断される場合にのみ、ホストと接続される第2の通信部12に対してW52帯とW53帯の使用が許可されている。しかし、図6に描かれているような、無線LAN用リピータとホストは屋内にあり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が屋外通信経路である場合には、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が2.4GHzまたはW56帯を使用中であっても、無線LAN用リピータとホストとの間はW52帯またはW53帯を使用することが可能である。したがって、特許文献2に記載の発明の制御アルゴリズムは、図6に描かれているような使用法に対しては適切でない。
【0014】
また、特許文献3に記載の発明は、無線LANを搭載した情報通信装置の発明であって、無線LAN用リピータにおいて必須の機能であるホストとの通信に関する記載がないこと、また、レーダー電波が検出された場合についての記載がないことから、本発明が解決しようとする課題の解決策とはならない。
【0015】
また、特許文献4に記載の発明では自装置の位置情報を取得し、自機の位置が、屋外で利用されている可能性が高い位置である場合、第1の周波数帯と第2の周波数帯のうち、屋外での利用が認められている周波数帯を用いた無線通信方式を選択する。しかし、特許文献4に記載の発明の場合も位置情報を検出するのは自装置のみであり、したがって、図6に描かれているような、無線LAN用リピータとホストは屋内にあり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が屋外である場合には使用できる無線通信方式に関する判断を誤る可能性がある。
また、特許文献4にもレーダー電波が検出された場合についての記載はない。
【0016】
本発明の主な目的は、離れ家などに配置されて、母屋などに配置された無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータにおいて、法律で定められた屋外で使用可能な電波帯域を使用し、かつ、より通信容量の大きな帯域を優先的に使用することのできる、無線LANチャンネル切換方法、無線LANチャンネル切換方法を備えた無線LAN用リピータ、および無線LANシステムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、母屋などに配置された無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータにおいて、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータでW56帯のレーザー電波が検出された場合に、いったん2.4GHz帯に切り替えるが、通信容量の大きいW56帯への復帰を最大限早めることのできる無線LANチャンネル切換方法、無線LANチャンネル切換方法を備えた無線LAN用リピータ、および無線LANシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)
一局面に従う無線周波数帯域切換方法は、無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、1または複数のホストと屋内通信経路により接続される無線LAN用リピータの無線周波数帯域切換方法であって、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯での接続を試みる工程と、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続できた場合には、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯での接続を継続し、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続できなかった場合には、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに対して2.4GHz帯で接続する工程と、を備える。
【0018】
無線LAN用ルータを母屋に配置し、無線LAN用リピータを母屋と独立した離れ家に配置した場合、無線LAN用リピータは屋外通信経路を経由して無線LAN用ルータと接続されるため、5GHzW52帯またはW53帯を屋外で使用した場合には法律違反となる。しかし、一局面に従う無線周波数帯域切換方法では、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの間の通信に5GHzW56帯または2.4GHz帯のみを使用するため、衛星通信システムおよび気象レーダーに影響を与える可能性がなく、法律違反となることがない。
また、一局面に従う無線周波数帯域切換方法ではまず5GHzW56帯で無線LAN用ルータと接続を試み、5GHzW56帯で接続できない場合にのみ2.4GHzで無線LAN用ルータと接続するため、より通信容量の大きな5GHzW56帯を優先的に使用することができる。
【0019】
(2)
第2の発明にかかる無線周波数帯域切換方法は、一局面に従う無線周波数帯域切換方法において、さらに、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続できた場合には、無線LAN用リピータはホストに対して2.4GHz帯および/または5GHzW56帯で接続が可能であることを通知し、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続できなかった場合には、無線LAN用リピータはホストに対して2.4GHz帯、および/または、5GHzW52帯、W53帯、W56帯のうちいずれか1つで接続が可能であることを通知する工程を備えてもよい。
【0020】
この場合、無線LAN用ルータと5GHzW56帯での接続が可能な場合と不可能な場合のどちらにおいても、ともに2.4GHz帯と、5GHz帯のW52帯,W53帯,W56帯のうちの1つのみを使用することになるため、無線LAN用リピータの5GHzの通信帯域を1つに限定し、無線LAN用リピータの回路を簡略化することができる。
【0021】
(3)
第3の発明にかかる無線周波数帯域切換方法は、一局面から第2の発明にかかる無線周波数帯域切換方法において、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータと5GHzW56帯で接続していて、かつ、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータが5GHzW56帯でのレーダーの電波を検出した場合に、無線LAN用リピータと無線LAN用ルータとの接続を2.4GHz帯に切り替えるとともに、無線LAN用リピータはレーダーの電波の検出を継続し、一定時間レーダーの電波が検出されなかった場合には、再度無線LAN用リピータと無線LAN用ルータとの接続を5GHzW56帯に戻す工程をさらに備えてもよい。
【0022】
この場合、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータが5GHzW56帯でのレーダーの電波を検出した場合に、無線周波数帯域を屋外での使用が禁止されているW52帯、またはW53帯に切り替えることがないため、衛星通信システムおよび気象レーダーに影響を与える可能性がなく、法律違反となることがない。
また、無線LAN用リピータと無線LAN用ルータとの接続を2.4GHz帯に切り替えた場合において、レーダーの電波の検出を継続し、一定時間レーダーの電波が検出されなかった場合には、無線LAN用リピータと無線LAN用ルータとの接続を5GHzW56帯に戻すことにより、最短の時間で通信容量の大きなW56に復帰することができる。
【0023】
(4)
他の局面に従う無線LAN用リピータは、一局面から第3の発明にかかる無線周波数帯域切換方法を使用することができる。
【0024】
この場合、他の局面に従う無線LAN用リピータは、一局面から第3の発明にかかる無線周波数帯域切換方法に設定することによって、衛星通信システムおよび気象レーダーに影響を与える可能性がなく、法律違反がなく、かつ最大限通信容量の大きな通信を実現することができる。
また、他の局面に従う無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータと屋内通信経路を経由して接続されるように無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータの配置が変更された場合には、通常の無線周波数帯域切換方法に切り替えることによって、W52帯、W53帯を使用することができるようになる。
【0025】
(5)
さらに他の局面に従う無線LANシステムは、母屋に配置された無線LAN用ルータと、離れ家に配置された第4の発明に係る無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、第4の発明にかかる無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、1または複数のホストと屋内通信経路により接続される。
【0026】
この場合、無線LAN用リピータを一局面から第3の発明にかかる無線周波数帯域切換方法に設定することによって、衛星通信システムおよび気象レーダーに影響を与える可能性がなく、法律違反がなく、かつ最大限通信容量の大きな通信システムを構成することができる。
なお、母屋と離れ家とは、図6に描かれているように、一般には1つの住居が2つ以上の独立した建物で構成されている場合に、そのうちの主要な建物が母屋に相当し、より小規模な建物が離れ家に相当する。しかし、本明細書では、2つ以上の独立した建物のうち、建物の規模にかかわらず、無線LAN用ルータの配置されている建物が母屋である。
【0027】
(6)
第6の発明にかかる無線LANシステムは、母屋に配置された無線LAN用ルータおよび第2の無線LAN用リピータと、離れ家に配置された、第4の発明にかかる無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、第2の無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータと屋内通信経路により接続され、第4の発明にかかる無線LAN用リピータは、第2の無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、1または複数のホストと屋内通信経路により接続されてもよい。
【0028】
この場合、無線LAN用ルータと第2の無線LAN用リピータを1つの屋内に備えることによって、同じ屋内に配置されたより広い範囲、およびより多い台数のホストと通信ができるようになる。
【0029】
(7)
第7の発明にかかる無線LANシステムは、母屋に配置された無線LAN用ルータと、離れ家に配置された、第4の発明にかかる無線LAN用リピータ、第3の無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、第4の発明にかかる無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続され、第3の無線LAN用リピータは、第4の発明にかかる無線LAN用リピータと屋内通信経路により接続されるとともに、1または複数のホストと屋内通信経路により接続されてもよい。
【0030】
この場合、第4の発明にかかる無線LAN用リピータと第3の無線LAN用リピータとを1つの屋内に備えることによって、同じ屋内に配置されたより広い範囲、およびより多い台数のホストと通信ができるようになる。
【0031】
(8)
第8の発明にかかる無線LANシステムは、母屋に配置された無線LAN用ルータと、第1の離れ家に配置された第4の無線LAN用リピータと、第2の離れ家に配置された、第4の発明にかかる無線LAN用リピータ、および、1または複数のホストと、から構成され、第4の無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続され、一局面から第3の発明にかかる無線周波数帯域切換方法を使用することができ、第4の発明にかかる無線LAN用リピータは、第4の無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、1または複数のホストと屋内通信経路により接続されてもよい。
【0032】
この場合、例えば、無線LAN用ルータを母屋に配置し、第4の発明にかかる無線LAN用リピータを第1の離れ家に配置し、さらなる第4の発明にかかる無線LAN用リピータを第2の離れ家に配置することによって、互いに独立した3つの建物のホストを1つのルータに接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1の実施形態の、無線LAN用ルータ、無線LAN用リピータ、およびホストで構成される無線LANシステムの模式的構成図である。
図2】無線周波数帯域切換方法の模式的フローチャートである。
図3】第2の実施形態の無線LANシステムの模式的構成図である。
図4】第3の実施形態の無線LANシステムの模式的構成図である。
図5】第4の実施形態の無線LANシステムの模式的構成図である。
図6】母屋に無線LAN用ルータを置き、離れ家に無線LAN用リピータを置いて使用する無線LANの使用法の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0035】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の、無線LAN用ルータ20、無線LAN用リピータ10、およびホスト30で構成される無線LANシステム100の模式的構成図であり、図2は本発明の無線周波数帯域切換方法の模式的フローチャートである。本発明の無線周波数帯域切換方法(以降、離れ家モードの無線周波数帯域切換方法とも称する)は、図1の無線LAN用リピータ10に搭載されて用いられる。
【0036】
第1の実施形態の無線LANシステム100では、無線LAN用ルータ20は第1の建物(以降母屋40と称する)の中に配置され、無線LAN用リピータ10とホスト30とは第2の建物(以降離れ家50と称する)の中に配置されている。なお、ホスト30とは、例えば、無線LANを備えたパーソナルコンピュータ、プリンタ、スマートフォンなどである。
無線LAN用ルータ20と無線LAN用リピータ10とは別々の建物に配置されているため、屋外通信経路60を経由して通信が行われており、無線LAN用リピータ10とホスト30とは同一の建物の内部に配置されているため、屋内通信経路70を経由して通信が行われている。
無線LAN用リピータ10は、2.4GHz帯の無線LAN通信回路と5GHzW52、W53、W56帯の無線通信回路を備えており、無線LAN用ルータ20およびホスト30と、2.4GHz帯、5GHzW52、W53、W56帯のすべての帯域で通信が可能である。ただし、2.4GHz帯と5GHz帯のそれぞれにおいて通信することができるのは1つのチャンネルのみである。
したがって、例えば、無線LAN用ルータ20と無線LAN用リピータ10との通信(以下、バックホールともいう)が2.4GHz帯で行われている場合は、無線LAN用ルータ20とホスト30との通信は、2.4GHz帯と5GHzW52、W53、W56帯のすべての帯域で行うことができるが、バックホールが5GHzW56で行われている場合は、無線LAN用ルータ20とホスト30との通信は2.4GHz帯と5GHzW56帯とでしか行うことができない。これは、無線LAN用リピータの5GHzの通信帯域を1つに限定し、無線LANリピータの回路を簡略化するためである。
【0037】
(離れ家モードの無線周波数帯域切換方法のフローチャート)
離れ家モードの無線周波数帯域切換方法のフローチャートを図2に示す。
以下、本発明の無線LAN用リピータ10の無線周波数帯域切換方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。
まず、無線LAN用リピータ10の電源が投入される、またはリセットボタンが押されると無線周波数帯域切換方法の工程が開始される(ステップS1)。
無線LAN用リピータ10は無線LAN用ルータ20のビーコンを入手し、無線LAN用ルータ20との接続が可能な周波数帯域の情報を得る(ステップS2)。
無線LAN用リピータ10は無線LAN用ルータ20との接続が2.4GHz帯と5GHz帯W56の両方で可能かどうかを確認する(ステップS3)
無線LAN用ルータ20との接続が2.4GHz帯と5GHzW56帯の両方で可能な場合、無線LAN用リピータ10は無線LAN用ルータ20と5GHzW56帯で接続するとともに、ホスト30に対してビーコンにより2.4GHz帯と5GHz帯W56の両方で接続が可能であることを通知する(ステップS4)。
無線LAN用リピータ10は5GHzW56帯でのレーダーの電波をモニターする(ステップS5)。
5GHzW56帯でのレーダーの電波が検知されない場合は、レーダーの電波を継続してモニターする(ステップS6)。
【0038】
ステップS6で5GHzW56帯でのレーダーの電波が検知された場合は、無線LAN用リピータ10は無線LAN用ルータ20との接続を2.4GHz帯に切り替えるとともに、ホスト30に対してビーコンにより2.4GHz帯のみで接続が可能であることを通知する(ステップS7)。
無線LAN用ルータ20との接続を2.4GHz帯に切り替えた後も、無線LAN用リピータ10は継続して5GHzW56帯でのレーダーの電波をモニターする(ステップS8)。
5GHzW56帯でのレーダーの電波が検知された場合は、レーダーの電波を継続してモニターする(ステップS9)。
ステップS9で、一定時間レーダーの電波が検知されない場合はステップS4に戻り、無線LAN用リピータ10は無線LAN用ルータ20と5GHzW56帯で接続するとともに、ホスト30に対してビーコンにより2.4GHz帯と5GHz帯W56の両方で接続が可能であることを通知する。
以降、ステップS4からステップS9を繰り返す。
【0039】
ステップS3で、無線LAN用ルータ20との接続が2.4GHz帯では可能で、5GHz帯W56では不可能である場合は、無線LAN用リピータ10は無線LAN用ルータ20と2.4GHz帯で接続するとともに、ホスト30に対してビーコンにより2.4GHz帯と5GHz帯W52,W53,W56のすべての帯域で接続が可能であることを通知する(ステップS10)。
接続先の無線LAN用ルータ20との接続が5GHz帯W56で不可能である場合は、以後も無線周波数帯域切換は不要なので、無線周波数帯域切換方法の全工程を終了する(ステップS11)。
【0040】
(離れ家モードの無線周波数帯域切換方法のメリット)
母屋40の中に配置された無線LAN用ルータ20と屋外通信経路60を経由して接続され、同じ離れ家50に配置された1または複数のホスト30と屋内通信経路70を経由して接続された無線LAN用リピータ10に、本発明の無線周波数帯域切換方法を設定した場合、以下のメリットがある。
1)無線LAN用ルータ20との接続に屋外使用が禁じられている5GHzW52帯、W53帯を使用することがないため、法律に違反することがない。
2)無線LAN用ルータ20との接続に5GHzW56帯を優先的に使用するため、無線LAN用ルータ20との接続の通信容量をより大きくすることができる。
3)5GHzW56帯においてレーダーの電波が検出された場合無線LAN用ルータ20との接続は2.4GHz帯に切り替えられるが、2.4GHz帯に切り替えた後でも継続してレーダーの電波を検出し、一定時間レーダーの電波が検出されない場合には直ちに5GHzW56帯に戻すため、無線LAN用ルータ20と接続を最短時間で通信容量の大きな5GHzW56帯に戻すことができ、累積の通信容量を大きくすることができる。
【0041】
なお、無線LAN用ルータ20および無線LAN用リピータ10の配置は当初の配置位置から変更することがある。したがって、無線LAN用リピータ10には、離れ家モードの無線周波数帯域切換方法だけではなく、無線LAN用ルータ20との接続に2.4GHz帯、5GHzW52帯、W53帯、W56帯のすべての周波数帯域を使用する、通常モードの無線周波数帯域切換方法も備えておくのが望ましい。また、2種類の無線周波数帯域切換方法の切換は、無線LAN用リピータ10がどちらの無線周波数帯域切換方法で使用されているかがよくわかる、スイッチ等で2種類の無線周波数帯域切換方法を切り換えて使用できるようにすることが望ましい。
【0042】
[第2の実施形態]
図3は第2の実施形態の、無線LAN用ルータ20、第2の無線LAN用リピータ12、無線LAN用リピータ10、およびホスト30で構成される無線LANシステム100の模式的構成図である。
図3の構成では、無線LAN用ルータ20と第2の無線LAN用リピータ12との間は屋内通信経路72であり、第2の無線LAN用リピータ12と無線LAN用リピータ10との間は屋外通信経路60であることから、第2の無線LAN用リピータ12は通常モードの無線周波数帯域切換方法に設定し、無線LAN用リピータ10を離れ家モードの無線周波数帯域切換方法に設定することが望ましい。
この場合、無線LAN用ルータ20とホスト30との間を、法律違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる。
【0043】
[第3の実施形態]
図4は第3の実施形態の、無線LAN用ルータ20、無線LAN用リピータ10、第3の無線LAN用リピータ13、およびホスト30で構成される無線LANシステム100の模式的構成図である。
図4の構成では、無線LAN用ルータ20と無線LAN用リピータ10との間が屋外通信経路60であり、無線LAN用リピータ10と第3の無線LAN用リピータ13との間は屋内通信経路73であることから、無線LAN用リピータ10を離れ家モードの無線周波数帯域切換方法に設定し、第3の無線LAN用リピータ13は通常モードの無線周波数帯域切換方法に設定することが望ましい。
この場合、無線LAN用ルータ20とホスト30との間を、法律違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる。
【0044】
[第4の実施形態]
図5は第3の実施形態の、無線LAN用ルータ20、第4の無線LAN用リピータ14、無線LAN用リピータ10、およびホスト30で構成される無線LANシステム100の模式的構成図である。
図5の構成では、無線LAN用ルータ20と第4の無線LAN用リピータ14との間が屋外通信経路64であり、第4の無線LAN用リピータ14と無線LAN用リピータ10との間も屋外通信経路60であることから、第4の無線LAN用リピータ14と無線LAN用リピータ10をともに離れ家モードの無線周波数帯域切換方法に設定する必要がある。
この場合、無線LAN用ルータ20とホスト30との間を、法律違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる。
【0045】
本発明において、無線LAN用ルータ20が『無線LAN用ルータ』に相当し、無線LAN用リピータ10,12,13,14が『無線LAN用リピータ』に相当し、ホスト30が『ホスト』に相当し、屋外通信経路60,64が『屋外通信経路』に相当し、屋内通信経路70,72,73が『屋内通信経路』に相当し、母屋40が『母屋』に相当し、離れ家50,51が『離れ家』に相当し、無線LANシステム100が『無線LANシステム』に相当する。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0047】
10、12、13、14 無線LAN用リピータ
20 無線LAN用ルータ
30 ホスト
40 母屋
50、51 離れ家
60、64 屋外通信経路
70、72、73 屋内通信経路
100 無線LANシステム
【要約】      (修正有)
【課題】無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータにおいて、法律違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる無線周波数帯域切換方法を提供する。
【解決手段】無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯での接続を試みる工程と、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続できた場合には、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに対して5GHzW56での接続を継続し、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータに対して5GHzW56帯で接続できなかった場合には、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに対して2.4GHz帯で接続する工程と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6