(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】止着テープ、止着テープを備えた使い捨ておむつ、および止着テープの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20220118BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/15 360
A61F13/56 213
(21)【出願番号】P 2020118557
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2020-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多 雄吾
(72)【発明者】
【氏名】久次米 逸平
(72)【発明者】
【氏名】田路 広
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-516807(JP,A)
【文献】特開2008-154701(JP,A)
【文献】特開2006-280679(JP,A)
【文献】特表平10-511276(JP,A)
【文献】特開2009-050694(JP,A)
【文献】特開2010-220872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A44B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向とこれと直交する第2の方向を有する止着テープであって、
テープ本体部と、前記テープ本体部から第1の方向に延出し、第2の方向に対する長さが前記テープ本体部よりも短く形成されたつまみ部を有するテープ基材と、
前記テープ基材に設けられ
、止着対象箇所に止着するための第1留め具と第2留め具とを有し、
前記第1留め具は、前記つまみ部の第1の方向の先端部に設けられ、
前記第2留め具は、前記第1留め具から第1の方向に離隔して、前記つまみ部から前記テープ本体部にかけて設けられるとともに、前記テープ本体部において前記つまみ部よりも第2の方向の一方側および/または他方側に延在していることを特徴とする止着テープ。
【請求項2】
前記つまみ部は、第2の方向に複数並んで配置され、
前記第1留め具は、複数の前記つまみ部の第1の方向の先端部にそれぞれ設けられ、
前記第2留め具は、前記テープ本体部において前記つまみ部よりも第2の方向の一方側および/または他方側に延在し複数の前記つまみ部に跨って設けられてい
る請求項1に記載の止着テープ。
【請求項3】
前記第2留め具は、前記テープ本体部の第2の方向の一方端から他方端まで延在している請求項1または2に記載の止着テープ。
【請求項4】
前記第2留め具の第1の方向の長さは、前記第1留め具の第1の方向の長さよりも長い請求項1~3のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項5】
前記第1留め具と前記第2留め具はともに面ファスナーのフック部材または粘着テープである請求項1~4のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項6】
前記つまみ部は、第1の方向に折り返され、前記第1留め具および/または前記第2留め具が前記テープ基材に仮留めされている請求項1~
5のいずれか一項に記載の止着テープ。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の止着テープを備えた使い捨ておむつ。
【請求項8】
請求項
6に記載の止着テープがおむつ本体に取り付けられた使い捨ておむつであって、
前記止着テープは、前記第1留め具と前記第2留め具の間で第1の方向に折り返され、前記第1留め具および前記第2留め具が前記テープ基材に仮留めされ、さらに前記テープ本体部で第1の方向に折り返され、前記第2留め具が前記おむつ本体に仮留めされている使い捨ておむつ。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の止着テープの製造方法であって、
テープ基材の長尺体を搬送方向に繰り出す工程と、
第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体を前記搬送方向に繰り出し、幅方向に互いに離隔させて前記テープ基材の長尺体に取り付けて、止着テープの前駆体を得る工程と、
前記止着テープの前駆体を、前記搬送方向に延びる蛇行線状であって、振幅の頂点が前記第1留め具の長尺体上と前記第2留め具の長尺体上にある蛇行線状の切断線で切断して、前記止着テープの前駆体を幅方向に2つに分割し、止着テープの連続体を得る工程と、
前記止着テープの連続体を、前記蛇行線状の切断線の谷部で幅方向に延びる切断線で切断し、個別の止着テープを得る工程と
を有することを特徴とする止着テープの製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載の止着テープの製造方法であって、
テープ基材の長尺体を搬送方向に繰り出す工程と、
第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体を前記搬送方向に繰り出し、幅方向に互いに離隔させて前記テープ基材の長尺体に取り付けて、止着テープの前駆体を得る工程と、
前記止着テープの前駆体を、前記搬送方向に延びる蛇行線状であって、振幅の頂点が前記第1留め具の長尺体上と前記第2留め具の長尺体上にある蛇行線状の切断線で切断して、前記止着テープの前駆体を幅方向に2つに分割し、止着テープの連続体を得る工程と、
前記止着テープの連続体を、蛇行線状の切断線で切断された前記第1留め具の長尺体と前記第2留め具の長尺体の間で幅方向に折り返す工程
と、
前記止着テープの連続体を、前記蛇行線状の切断線の谷部で幅方向に延びる切断線で切断し、個別の止着テープを得る工程
と
を有することを特徴とする止着テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止着テープと、この止着テープを備えた使い捨ておむつ、および止着テープの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、止着テープを備えた使い捨ておむつが広く知られており、様々な形状や構成の止着テープが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平10-511276号公報
【文献】特開2013-153816号公報
【文献】特開2016-104078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、様々な止着テープが知られているが、止着テープは取り扱い性に優れ、止着対象箇所に安定して止着できることが望まれる。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り扱い性に優れ、止着対象箇所に安定して止着することができる止着テープと当該止着テープを備えた使い捨ておむつを提供することにある。本発明はまた、本発明の止着テープを効率的に製造することができる止着テープの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の止着テープとは、第1の方向とこれと直交する第2の方向を有し、テープ本体部と、テープ本体部から第1の方向に延出し、第2の方向に対する長さがテープ本体部よりも短く形成されたつまみ部を有するテープ基材と、テープ基材に設けられた第1留め具と第2留め具とを有する止着テープであって、第1留め具は、つまみ部の第1の方向の先端部に設けられ、第2留め具は、第1留め具から第1の方向に離隔して、つまみ部からテープ本体部にかけて設けられるとともに、テープ本体部においてつまみ部よりも第2の方向の一方側および/または他方側に延在しているところに特徴を有する。
【0006】
本発明の止着テープは、つまみ部の先端部に第1留め具が設けられることにより、つまみ部の先端部の剛性が高まり、つまみ部の先端部を指で摘まみやすくなる。また、留め具がつまみ部の先端部から離れた位置に設けられる場合は、つまみ部の先端部が折れ曲がって意図せず留め具に止着してしまうことが起こりやすくなるが、本発明の止着テープはそのようなことも起こりにくい。そして、第2留め具がつまみ部からテープ本体部にかけて設けられることにより、止着テープがつまみ部とテープ本体部の境で折れ曲がりにくくなる。そのため、本発明の止着テープは取り扱い性に優れるものとなる。
【0007】
止着テープを止着対象箇所、例えば使い捨ておむつの止着対応部に止着した後は、第1留め具によってつまみ部の先端部が捲り上がりにくくなるとともに、第2留め具によってテープ本体部が捲れ上がりにくくなる。そのため、止着テープを安定して止着対象箇所に止着することができる。また、第1留め具と第2留め具が第1の方向に互いに離隔して設けられているため、止着対象箇所が曲面状であっても、つまみ部を曲面状の止着対象箇所に沿って安定して止着することができる。
【0008】
止着テープは、つまみ部が第2の方向に複数並んで配置されているものであってもよい。この場合、第1留め具は、複数のつまみ部の第1の方向の先端部にそれぞれ設けられ、第2留め具は、テープ本体部においてつまみ部よりも第2の方向の一方側および/または他方側に延在し複数のつまみ部に跨って設けられていることが好ましい。このように形成された止着テープは、複数のつまみ部が第2留め具を介して繋がることにより、複数のつまみ部の一体性を高めることができ、止着テープの取り扱い性が高まる。また、テープ本体部が複数のつまみ部の間の部分で裂けたりすることが起こりにくくなる。
【0009】
第2留め具は、テープ本体部の第2の方向の一方端から他方端まで延在していることが好ましい。このように第2留め具が設けられていれば、テープ本体部の先端側の端縁全体に第2留め具が存在し、止着テープを止着対象箇所に止着した際、テープ本体部が捲れ上がることなく安定して止着対象箇所に止着することができる。
【0010】
第2留め具の第1の方向の長さは、第1留め具の第1の方向の長さよりも長いことが好ましい。このように第2留め具が形成されていれば、止着テープはつまみ部とテープ本体部の境近傍のより広い範囲で剛性が確保され、止着テープの取り扱い性が高まる。一方、第1留め具は第1の方向の長さが短く形成されることにより、止着テープを止着対象箇所に止着した際に、第1留め具を止着し直す作業を行うことが容易になり、つまみ部の止着位置を適切に調整しやすくなる。
【0011】
つまみ部は、第1の方向に折り返され、第1留め具および/または第2留め具がテープ基材に仮留めされていてもよい。これにより、止着テープの使用前、第1留め具や第2留め具が他の部材に意図せず止着しにくくなり、止着テープの取り扱い性が向上する。
【0012】
本発明は、本発明の止着テープを備えた使い捨ておむつも提供する。本発明の使い捨ておむつは、止着テープの取り扱い性に優れ、使い捨ておむつの止着対応部に安定して止着することができる。
【0013】
使い捨ておむつはおむつ本体に止着テープが取り付けられて構成され、使用前、止着テープが、第1留め具と第2留め具の間で第1の方向に折り返され、第1留め具および第2留め具がテープ基材に仮留めされ、さらにテープ本体部で第1の方向に折り返され、第2留め具がおむつ本体に仮留めされていることが好ましい。このように止着テープが折り返されていれば、使い捨ておむつの使用前、止着テープをおむつ本体と重ねて折り返した状態を安定して維持することができる。
【0014】
本発明はまた、止着テープの製造方法も提供する。本発明の止着テープの製造方法は、テープ基材の長尺体を搬送方向に繰り出す工程と、第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体を搬送方向に繰り出し、幅方向に互いに離隔させてテープ基材の長尺体に取り付けて、止着テープの前駆体を得る工程と、止着テープの前駆体を、搬送方向に延びる蛇行線状であって、振幅の頂点が第1留め具の長尺体上と第2留め具の長尺体上にある蛇行線状の切断線で切断して、止着テープの前駆体を幅方向に2つに分割し、止着テープの連続体を得る工程と、止着テープの連続体を、蛇行線状の切断線の谷部で幅方向に延びる切断線で切断し、個別の止着テープを得る工程とを有するものである。本発明の止着テープの製造方法は、止着テープの連続体を、蛇行線状の切断線で切断された第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体の間で幅方向に折り返す工程をさらに有し、その後、個別の止着テープを得る工程を行うものであってもよい。本発明の止着テープの製造方法によれば、本発明の止着テープを効率的に製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の止着テープは、取り扱い性に優れ、止着対象箇所に安定して止着することができる。本発明の使い捨ておむつは、止着テープの取り扱い性に優れ、使い捨ておむつの止着対応部に安定して止着することができる。また、本発明の止着テープの製造方法によれば、本発明の止着テープを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の止着テープの一例を表し、止着テープの平面図を表す。
【
図2】本発明の止着テープの他の一例を表し、止着テープの平面図を表す。
【
図3】
図1および
図2に示した止着テープのIII-III断面図を表す。
【
図4】
図1に示した止着テープを第1の方向に折り返した状態の平面図を表す。
【
図5】
図2に示した止着テープを備えた使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表す。
【
図6】
図5に示した使い捨ておむつのVI-VI断面図を表す。
【
図7】本発明の止着テープの製造方法の一例を表す。
【
図8】本発明の止着テープの製造方法の他の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の止着テープについて、図面を参照して説明する。なお本発明の止着テープは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0018】
図1~
図3には、本発明の止着テープの構成例を示した。
図1は止着テープの平面図の一例を表し、
図2は止着テープの平面図の他の一例を表し、
図3は
図1および
図2に示した止着テープのIII-III断面図を表す。
図1~
図3では、矢印xが第1の方向、矢印yが第2の方向を表し、第2の方向yは第1の方向xに対して直交しており、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
【0019】
止着テープ1は、テープ基材2に第1留め具5と第2留め具6が設けられて構成される。テープ基材2は、テープ本体部3と、テープ本体部3から第1の方向xに延出するつまみ部4とを有する。テープ本体部3は、テープ基材2の第1の方向xの一方側に形成され、つまみ部4はテープ基材2の第1の方向xの他方側に形成され、第2の方向yに対する長さがテープ本体部3よりも短く形成されている。止着テープ1を使い捨ておむつのおむつ本体に取り付ける場合は、テープ本体部3の一方側の端部をおむつ本体に取り付けて固定する。なお、止着テープ1において、第1の方向xの一方側、すなわちテープ本体部3側を「根元側」と称し、第1の方向xの他方側、すなわちつまみ部4側を「先端側」と称する。
【0020】
つまみ部4は、1つのテープ本体部3に対して1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。後者の場合、つまみ部4は第2の方向yに複数並んで配置される。
図1では、1つのテープ本体部3に対してつまみ部4が1つ設けられており、
図2では、1つのテープ本体部3に対してつまみ部4が2つ設けられている。つまみ部4が複数設けられる場合、複数のつまみ部4の第1の方向xの長さは互いに同じであっても異なっていてもよいが、互いに同じであることが好ましい。
【0021】
つまみ部4の第1の方向xの長さは、テープ本体部3の第1の方向xの長さよりも短いことが好ましい。これにより、止着テープ1を第1の方向xに折り返すことで、つまみ部4を保護するように止着テープ1をコンパクトに折り畳むことができる。
【0022】
テープ基材2は、
図3に示すように、第1留め具5と第2留め具6が設けられる第1面2Aと、第1面2Aの反対側の第2面2Bを有する。止着テープ1を使い捨ておむつのおむつ本体に取り付ける場合、テープ基材2の第1面2Aは肌面側の面に対応し、テープ基材2の第2面2Bは外側の面に対応する。
【0023】
テープ基材2としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。なお、テープ基材2の剛性を確保し、止着テープ1の取り扱い性を高める点から、テープ基材2は、織布、編布または不織布から構成されていることが好ましく、不織布から構成されていることがより好ましい。また、テープ基材2が不織布から構成されていれば、テープ基材2を折り返すことが容易になり、例えば止着テープ1の使用前、止着テープ1を安定して折り畳むことができる。
【0024】
テープ基材2に不織布を用いる場合、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることができるが、テープ基材2としては、スパンボンド不織布またはSMS不織布を用いることが好ましく、スパンボンド不織布を用いることがより好ましい。このような不織布を用いれば、テープ基材2の強度を高めやすくなる。また、テープ基材2に用いられる不織布はエンボス加工されていることが好ましく、これによりテープ基材2の剛性が高まり、止着テープ1の取り扱い性が向上する。
【0025】
テープ基材2の単位面積あたりの質量は、50g/m2以上が好ましく、55g/m2以上がより好ましく、また120g/m2以下が好ましく、100g/m2以下がより好ましい。テープ基材2の単位面積あたりの質量が50g/m2以上であれば、テープ基材2が十分な剛性を有するようになり、テープ基材2の単位面積あたりの質量が120g/m2以下であれば、テープ基材2が厚くなりすぎず、取り扱い性が向上する。
【0026】
テープ基材2には、第1留め具5と第2留め具6が設けられる。第1留め具5と第2留め具6としては、面ファスナー(フック・ループ・ファスナー)や粘着テープを用いることができる。面ファスナーとしてはフック部材やループ部材を用いることができる。第1留め具5と第2留め具6としては、面ファスナーのフック部材を用いることが好ましく、これにより、止着テープ1の使用前、止着テープ1を折り返して第1留め具5や第2留め具6をテープ基材2等に仮留めすることができる。面ファスナーのフック部材は、例えば、基盤から、錨形、鉤形、きのこ形、柱形等の形状のフックが多数突出して構成される。
【0027】
第1留め具5は、つまみ部4の第1の方向xの先端部に設けられる。止着テープ1につまみ部4が複数設けられる場合は、第1留め具5は複数のつまみ部4の第1の方向xの先端部にそれぞれ設けられることが好ましい。つまみ部4の先端部に第1留め具5が設けられることにより、つまみ部4の先端部の剛性が高まり、つまみ部4の先端部を指で摘まみやすくなる。また、止着テープ1によってはつまみ部4の先端部に留め具が設けられず、留め具がつまみ部4の先端部から離れた位置に設けられるような場合があるが、その場合、つまみ部4の先端部が折れ曲がりやすくなり、折れ曲がった先端部が意図せず留め具に止着しやすくなる。しかし、つまみ部4の先端部に第1留め具5が設けられていれば、そのようなことも起こりにくくなる。止着テープ1を止着対象箇所、例えば使い捨ておむつの止着対応部に止着した後は、つまみ部4の先端部が止着対象箇所に止着することにより、つまみ部4の先端部が捲り上がりにくくなり、安定して止着テープ1を止着対象箇所に止着することができる。
【0028】
つまみ部4において、先端部は、つまみ部4の先端側の端縁を含み、第1の方向xに対して所定の長さを有する部分として規定される。第1留め具5の第1の方向xの長さは、つまみ部4の第1の方向xの長さの10%以上が好ましく、15%がより好ましく、また40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。
【0029】
第1留め具5は、つまみ部4において、テープ基材2を第2の方向yに横切るように設けられることが好ましい。これにより、第1留め具5が第2の方向yに対してより広い範囲で設けられ、第1留め具5を安定して止着対象箇所に止着することができる。また、第1留め具5を止着対象箇所に止着した際に、つまみ部4の先端部が捲れ上がることが抑えられ、止着テープ1を安定して止着対象箇所に止着することができる。
【0030】
第1留め具5はまた、止着テープ1の根元側の端縁が第2の方向yに略平行に延びるように形成されていることが好ましい。このように第1留め具5が設けられていれば、第1留め具5を止着対象箇所に止着した際、第1留め具5に根元側から剥がれる力が作用しても、第1留め具5がその力に対して広い範囲で対抗して、第1留め具5が不用意に止着対象箇所から剥がれにくくなる。
【0031】
第2留め具6は、第1留め具5から第1の方向xに離隔して、つまみ部4からテープ本体部3にかけて設けられるとともに、テープ本体部3においてつまみ部4よりも第2の方向yの一方側および/または他方側に延在するように設けられる。第2留め具6がつまみ部4からテープ本体部3にかけて設けられることにより、止着テープ1がつまみ部4とテープ本体部3の境で折れ曲がりにくくなり、止着テープ1の取り扱い性が高まる。また、テープ本体部3の先端側の端縁に第2留め具6が存在することにより、止着テープ1を止着対象箇所に止着した際、テープ本体部3が捲れ上がりにくくなり、止着テープ1を安定して止着対象箇所に止着することができる。好ましくは、第2留め具6は、テープ本体部3においてつまみ部4よりも第2の方向yの一方側および他方側に延在するように設けられる。
【0032】
図2に示すように止着テープ1につまみ部4が複数設けられる場合は、第2留め具6は、テープ本体部3においてつまみ部4よりも第2の方向yの一方側および/または他方側に延在し複数のつまみ部4に跨って設けられることが好ましい。これにより、複数のつまみ部4が第2留め具6を介して繋がり、複数のつまみ部4の一体性を高めることができる。例えば、1つのつまみ部4を掴んだ際に、他のつまみ部4もテープ本体部3との境で折れることなくテープ本体部3からつまみ部4にかけての平面性が保たれやすくなり、止着テープ1の取り扱い性が良好となる。また、テープ本体部3が複数のつまみ部4の間の部分で裂けたりすることが起こりにくくなる。好ましくは、第2留め具6は、テープ本体部3においてつまみ部4よりも第2の方向yの一方側および他方側に延在し複数のつまみ部4に跨って設けられる。
【0033】
止着テープ1はまた、第1留め具5と第2留め具6が第1の方向xに互いに離隔して設けられているため、つまみ部4の全体の剛性が過度に高まることが抑えられる。そのため、止着対象箇所が曲面状であっても、つまみ部4を曲面状の止着対象箇所に沿って安定して止着することができる。例えば止着テープ1を使い捨ておむつの止着対応部に止着する場合は、止着対応部は着用者の腹部付近で曲面状に形成されるが、そのような場合でも止着テープ1のつまみ部4を止着対応部に安定して止着することができる。
【0034】
第2留め具6のつまみ部4における第1の方向xの長さは、つまみ部4の第1の方向xの長さの10%以上が好ましく、15%がより好ましく、また40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。第1留め具5と第2留め具6の第1の方向xの離隔長さは、つまみ部4の第1の方向xの長さの20%以上が好ましく、40%がより好ましく、また80%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
【0035】
第2留め具6のテープ本体部3における第1の方向xの長さは、テープ本体部3の第1の方向xの長さの50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。これによりテープ本体部3の限られた箇所に第2留め具6が設けられることとなり、テープ本体部3の柔軟性を確保しやすくなる。一方、第2留め具6のテープ本体部3における第1の方向xの長さは、テープ本体部3の第1の方向xの長さの1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましく、これによりテープ本体部3を止着対象箇所に安定して止着しやすくなる。また、第2留め具6のつまみ部4における第1の方向xの長さは、第2留め具6のテープ本体部3における第1の方向xの長さの0.5倍以上が好ましく、0.8倍以上がより好ましく、1倍以上がさらに好ましく、また5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。第2留め具6のつまみ部4における第1の方向xの長さは、第2留め具6のテープ本体部3における第1の方向xの長さよりも長いことも好ましい。
【0036】
第2留め具6の第1の方向xの長さは、第1留め具5の第1の方向xの長さよりも長いことが好ましい。このように第2留め具6が形成されていれば、止着テープ1はつまみ部4とテープ本体部3の境近傍のより広い範囲で剛性が確保され、止着テープ1の取り扱い性が高まる。一方、第1留め具5は第1の方向xの長さが短く形成されることにより、止着テープ1を止着対象箇所に止着した際に、第1留め具5を止着し直す作業を行うことが容易になり、つまみ部4の止着位置を適切に調整しやすくなる。
【0037】
第2留め具6は、つまみ部4において、テープ基材2を第2の方向yに横切るように設けられることが好ましい。これにより、第2留め具6が第2の方向yに対してより広い範囲で設けられ、第2留め具6を安定して止着対象箇所に止着することができる。第2留め具6はまた、止着テープ1の先端側の端縁が第2の方向yに略平行に延びるように形成されていることが好ましい。このように第2留め具6が形成されていれば、第2留め具6を止着対象箇所に止着した際、第2留め具6に先端側から剥がれる力が作用しても、第2留め具6がその力に対して広い範囲で対抗して、第2留め具6が止着対象箇所から剥がれにくくなる。
【0038】
第2留め具6は、テープ本体部3において、テープ基材2を第2の方向yに横切るように設けられることが好ましい。すなわち、第2留め具6は、テープ本体部3の第2の方向yの一方端から他方端まで延在していることが好ましい。このように第2留め具6が設けられていれば、テープ本体部3の先端側の端縁全体に第2留め具6が存在し、止着テープ1を止着対象箇所に止着した際、テープ本体部3が捲れ上がることなく安定して止着対象箇所に止着することができる。第2留め具6はまた、止着テープ1の根元側の端縁が第2の方向yに略平行に延びるように形成されていることが好ましい。このように第2留め具6が設けられていれば、第2留め具6を止着対象箇所に止着した際、第2留め具6につまみ部4の根元側から剥がれる力が作用しても、第2留め具6がその力に対して広い範囲で対抗して、第2留め具6が止着対象箇所から剥がれにくくなる。
【0039】
第1留め具5と第2留め具6は、テープ基材2からはみ出ないように設けられることが好ましい。第1留め具5は、各つまみ部4のテープ基材2上で連続して設けられてもよく、複数に分割して設けられてもよい。第2留め具6は、テープ基材2上で連続して設けられてもよく、複数に分割して設けられてもよい。第1留め具5または第2留め具6が連続して設けられるとは、第1留め具5または第2留め具6が1つの留め具から構成されることを意味する。第1留め具5または第2留め具6が複数に分割して設けられるとは、第1留め具5または第2留め具6が複数の留め具から構成され、かつ複数の留め具が隙間なく配置されることを意味する。好ましくは、第1留め具5は各つまみ部4のテープ基材2上で連続して設けられ、第2留め具6もテープ基材2上で連続して設けられる。
【0040】
止着テープ1は、使用前、第1の方向xに折り返されて、第1留め具5および/または第2留め具6がテープ基材2に仮留めされていることが好ましい。詳細には、止着テープ1は、第1留め具5と第2留め具6を内側にして、第1の方向xに折り返されて、第1留め具5および/または第2留め具6がテープ基材2に仮留めされていることが好ましい。これにより、止着テープ1の使用前、第1留め具5や第2留め具6が他の部材に意図せず止着しにくくなり、止着テープ1の取り扱い性が向上する。なお、第1留め具5または第2留め具6による仮留めとは、止着テープ1の使用前に、第1留め具5や第2留め具6が止着対象箇所以外に脱着可能に止着されることを意味する。
【0041】
図4には、
図1に示した止着テープを折り返した状態の平面図の例を示した。
図4(a)に示すように、止着テープ1は、第1留め具5と第2留め具6の間の折り目F1で第1の方向xに折り返されてもよく、
図4(b)に示すように、止着テープ1は、第2留め具6よりも根元側に形成された折り目F1で第1の方向xに折り返されてもよい。折り目F1は、第2の方向yに略平行に延びるように形成されていることが好ましく、例えば第2の方向yに対して10°以内の角度で延びるように形成されることが好ましく、5°以内の角度がより好ましい。
【0042】
折り目F1は、第2留め具6の第1の方向xの端縁に沿って形成されることが好ましい。
図4(a)では、折り目F1は、第2留め具6の先端側の端縁に沿って形成されており、
図4(b)では、折り目F1は、第2留め具6の根元側の端縁に沿って形成されている。このように折り目F1が形成されていれば、止着テープ1を第2留め具6の端縁に沿って、第1の方向xに折り返すことが容易になる。なお、折り目F1は、第2留め具6とは重なって形成されないことが好ましい。折り目F1は、第2留め具6の端縁から3mm以内に形成されることが好ましく、2mm以内がより好ましい。
【0043】
図4(a)のように止着テープ1が折り返される場合、第2留め具6の第1の方向xの長さは、第1留め具5と第2留め具6の第1の方向xの離隔長さよりも短いことが好ましい。これにより、止着テープ1を折り目F1で折り返した際に、第1留め具5と第2留め具6が互いに重なることが起こりにくくなり、第1留め具5と第2留め具6を好適にテープ基材2に仮留めすることができる。
【0044】
止着テープ1は、
図4(a)に示すように第1留め具5と第2留め具6の間の折り目F1で折り返されていると、第2留め具6の一部がテープ基材2と仮留めされずに露出して形成されるため、この一部露出した第2留め具6をさらに別の部材に仮留めするのに利用することができる。例えば、止着テープ1を使い捨ておむつのおむつ本体に取り付けた場合は、止着テープ1を、
図4(a)に示すように第1留め具5と第2留め具6の間の折り目F1で第1の方向xに折り返した上で、さらにテープ本体部3で第2留め具6を内側にして第1の方向xに折り返すことで、一部露出した第2留め具6をおむつ本体に仮留めすることが可能となる。これにより、止着テープ1をおむつ本体と重ねて折り返した状態を安定して維持することができる。なお、止着テープ1をテープ本体部3で折り返す折り目は、折り目F1で折り返されたつまみ部4とは重ならない位置に形成されることが好ましい。
【0045】
本発明の止着テープは、使い捨ておむつに取り付けて好適に用いることができる。従って、本発明は、上記に説明した止着テープを備えた使い捨ておむつも提供する。以下、本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明の使い捨ておむつは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0046】
図5および
図6には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。
図5は使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、
図6は
図5に示した使い捨ておむつのVI-VI断面図を表す。
図5および
図6には、
図2に示した止着テープを備えた使い捨ておむつが示されている。
図5および
図6において、矢印Xが幅方向、矢印Yが前後方向を表し、矢印X,Yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向Zを表す。なお
図5では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
【0047】
使い捨ておむつ11は、おむつ本体12と、おむつ本体12の幅方向Xの両側に取り付けられた止着テープ1とを有する。おむつ本体12は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープ1はおむつ本体12の後側部の両側に取り付けられている。
図5では、おむつ本体12の右側に取り付けられた止着テープ1は展開状態となっており、おむつ本体12の左側に取り付けられた止着テープ1は折り畳まれた状態となっている。使い捨ておむつ11は、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、止着テープ1を展開した状態でおむつ本体12の前側部に止着することで、パンツ形状に形成して使用する。例えば、おむつ本体12の前側部の外側面に止着対応部20が設けられ、止着テープ1を止着対応部20に止着することで使い捨ておむつ11を着用することができる。
【0048】
使い捨ておむつ11は、前後方向Yと幅方向Xを有する。前後方向Yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向Xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向Yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0049】
おむつ本体12は、トップシート13と、バックシート14と、これらの間に配された吸収体15とを有する。トップシート13は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、バックシート14は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート13を透過して吸収体15に収容される。バックシート14は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0050】
トップシート13は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート13として、織布、編布、有孔樹脂フィルム等を用いてもよい。
【0051】
バックシート14は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等を用いることができる。またバックシート14として、不織布とフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0052】
吸収体15は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体15としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0053】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0054】
吸収体15は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0055】
吸収体15の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体(あるいは吸収体を構成する成形体)の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体が着用者の大腿部に挟まれて幅方向に圧迫されても歪みにくくする点から、吸収体、あるいは吸収体を構成する成形体は、砂時計形に形成されていることが好ましい。
【0056】
おむつ本体12には、トップシート13の幅方向Xの両側に、トップシート13よりも幅方向Xの外方に延在するサイドシート16が接合していることが好ましい。サイドシート16は液不透過性であることが好ましく、バックシート14に使用可能なシート材料から構成することができる。
【0057】
使い捨ておむつ11は、サイドシート16により、トップシート13の幅方向Xの両側に、立ち上がりフラップ17が形成されることが好ましい。この場合、サイドシート16には、
図6に示すように、トップシート13との接合部19よりも幅方向Xの内方部分に前後方向Yに延びる起立用弾性部材18が設けられることが好ましく、起立用弾性部材18の収縮力によってサイドシート16の内方部分が立ち上げられて、立ち上がりフラップ17を形成することができる。立ち上がりフラップ17を設けることにより、尿等の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ17は前後方向Yの端部の内面がトップシート13上に接合されてもよく、これにより、おむつを着用の際に立ち上がりフラップ17が着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。
【0058】
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
【0059】
おむつ本体12には、幅方向Xの両側にそれぞれ、前後方向Yに延びる脚部弾性部材21が設けられることが好ましい(
図5を参照)。脚部弾性部材21を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
【0060】
おむつ本体12には、前後方向Yの端部に、幅方向Xに延びるウェスト用弾性部材22を設けてもよい。ウェスト用弾性部材22の収縮力により、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0061】
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0062】
止着対応部20は、止着テープ1の第1留め具5と第2留め具6と着脱可能に形成される。例えば、第1留め具5と第2留め具6として面ファスナーのフック部材を用いた場合は、止着対応部20として面ファスナーのループ部材を用いたり、おむつ本体12の前側部の外側面をループ部材として機能する材料(例えば、不織布、織布、編布等)で構成し、これを止着対応部20とすることができる。第1留め具5と第2留め具6として粘着テープを用いる場合は、止着対応部20として、おむつ本体12の前側部の外側面に樹脂フィルムを設けたり、おむつ本体12の前側部の外側面を樹脂フィルムで構成し、これを止着対応部20としてもよい。
【0063】
止着テープ1は、テープ本体部3がおむつ本体12に取り付けられる。具体的には、テープ本体部3の幅方向X(第1の方向xに相当)の内方部分がおむつ本体12に取り付けられ、当該内方部分から幅方向Xの外方にテープ本体部3がさらに延出している。第2留め具6は、テープ本体部3のおむつ本体12から延出した部分に設けられることが好ましい。テープ本体部3はサイドシート16とバックシート14の間に配されることが好ましく、これにより止着テープ1をおむつ本体12に安定して取り付けることができる。
【0064】
テープ本体部3のおむつ本体12から延出した部分の幅方向Xの長さは、つまみ部4の幅方向Xの長さよりも長いことが好ましい。このように止着テープ1がおむつ本体12に取り付けられていれば、止着テープ1を
図4(a)に示すように第1留め具5と第2留め具6の間の折り目F1で幅方向Xに折り返した際、第1留め具5の全体をテープ本体部3に仮留めすることができ、止着テープ1を折り畳んだときの取り扱い性を高めることができる。
【0065】
使い捨ておむつ11は、止着テープ1を、
図4(a)に示すように第1留め具5と第2留め具6の間の折り目F1で幅方向Xに折り返して、第1留め具5と第2留め具6をテープ基材2に仮留めした上で、さらにテープ本体部3の折り目F2で幅方向Xに折り返して、第2留め具6をおむつ本体12に仮留めすることが好ましい(
図5のおむつ本体12の左側に取り付けられた止着テープ1を参照)。上記に説明したように、止着テープ1を
図4(a)に示すように折り目F1で折り返すと、第2留め具6の一部がテープ基材2に仮留めされずに露出して形成されるため、この一部露出した第2留め具6を利用して、止着テープ1をさらにテープ本体部3の折り目F2で折り返して、第2留め具6をおむつ本体12に仮留めすることができる。これにより、止着テープ1をおむつ本体12と重ねてコンパクトに折り畳むことができるとともに、止着テープ1をこのように折り畳んだ状態を安定して維持することができる。
【0066】
上記のように止着テープ1を折り畳む場合、折り目F2は前後方向Yに略平行に延びるように形成されることが好ましく、例えば前後方向Yに対して10°以内の角度で延びるように形成されることが好ましく、5°以内の角度がより好ましい。また、折り目F2は、おむつ本体12の幅方向Xの測縁から3mm以内に形成されることが好ましく、2mm以内がより好ましい。折り目F2はまた、折り目F1で折り返されたつまみ部4と重ならないように形成されることが好ましい。
【0067】
次に、本発明の止着テープの製造方法について説明する。本発明の止着テープの製造方法は、テープ基材の長尺体を搬送方向に繰り出す工程(テープ基材搬送工程)と、第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体を前記搬送方向に繰り出し、幅方向に互いに離隔させてテープ基材の長尺体に取り付けて、止着テープの前駆体を得る工程(留め具設置工程)と、止着テープの前駆体を、前記搬送方向に延びる蛇行線状であって、振幅の頂点が第1留め具の長尺体上と第2留め具の長尺体上にある蛇行線状の切断線で切断して、止着テープの前駆体を幅方向に2つに分割し、止着テープの連続体を得る工程(蛇行線切断工程)と、止着テープの連続体を、蛇行線状の切断線の谷部で幅方向に延びる切断線で切断し、個別の止着テープを得る工程(個別切断工程)とを有するものである。本発明の止着テープの製造方法によれば、本発明の止着テープを効率的に製造することができ、例えば、無駄な端材を出すことなく本発明の止着テープを製造することができる。
【0068】
テープ基材搬送工程では、テープ基材の長尺体を搬送方向に繰り出す。テープ基材の長尺体は、上記に説明した止着テープのテープ基材が第2の方向に連続的に繋がったものであり、搬送方向は上記に説明した第2の方向に対応する。なお、テープ基材の長尺体上であって搬送方向に垂直な方向を幅方向と称し、当該幅方向は上記に説明した第1の方向に対応する。テープ基材の長尺体は、幅方向に対して両側部とそれらの間の中央部とを有する。両側部は、テープ基材の長尺体の幅方向の側縁を含み、当該側縁から幅方向に所定の長さの領域として定められる。
【0069】
留め具設置工程では、第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体を搬送方向に繰り出し、幅方向に互いに離隔させてテープ基材の長尺体に取り付けて、止着テープの前駆体を得る。第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体は、その後の蛇行線切断工程により、上記に説明した止着テープの第1留め具と第2留め具を形成する。第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体は、テープ基材の長尺体の幅方向の中央部に幅方向に互いに離隔して配置され、テープ基材の長尺体に取り付けられる。第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体は、テープ基材の長尺体の幅方向の中央部の一方側と他方側に配置され、接着剤等の公知の接合手段によりテープ基材の長尺体に取り付けられる。第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体は略同幅であることが好ましい。
【0070】
蛇行線切断工程では、留め具設置工程で得られた止着テープの前駆体を、搬送方向に延びる蛇行線状の切断線で切断して、止着テープの前駆体を幅方向に2つに分割し、これにより止着テープの連続体を得ることができる。蛇行線状の切断線は、テープ基材の長尺体の幅方向の中央部を蛇行するように形成され、詳細には、蛇行線の振幅の頂点が第1留め具の長尺体上と第2留め具の長尺体上にくるように形成される。蛇行線の振幅の頂点は、搬送方向に延びる直線部を含むものであってもよい。このように止着テープの前駆体を蛇行線状の切断線で切断することにより、蛇行線の振幅範囲の部分からつまみ部が形成され、振幅範囲よりも幅方向の外方部分からテープ本体部が形成される。
【0071】
止着テープの連続体はテープ基材の幅方向の側縁から蛇行線状の切断線までの距離が周期的に変化し、蛇行線状の切断線によって形成された端縁のうち、テープ基材の幅方向の側縁から蛇行線状の切断線までの距離が短い頂点を含む部分が谷部、テープ基材の幅方向の側縁から蛇行線状の切断線までの距離が長い頂点を含む部分が山部となる。蛇行線は、振幅と波長が略一定であることが好ましい。
【0072】
個別切断工程では、蛇行線切断工程で得られた止着テープの連続体を、蛇行線状の切断線の谷部で幅方向に延びる切断線で切断し、これにより個別の止着テープ得ることができる。止着テープの連続体を個別の止着テープに分ける切断線は、谷部ごとに形成してもよく、谷部1つおき(またはそれ以上)に形成してもよい。これにより止着テープのつまみ部の数を変えることができる。
【0073】
個別切断工程の前に、蛇行線切断工程で得られた止着テープの連続体を、蛇行線状の切断線で切断された第1留め具の長尺体と第2留め具の長尺体の間で幅方向に折り返す工程(折り返し工程)を設けてもよい。これにより、つまみ部が折り返された止着テープの連続体を得ることができる。この場合、個別切断工程では、折り返し工程で得られたつまみ部が折り返された連続体を、蛇行線状の切断線の谷部で幅方向に延びる切断線で切断することにより、個別の止着テープ得ることができる。
【0074】
本発明の止着テープの製造方法の例について、
図7および
図8を参照して説明する。なお本発明の止着テープの製造方法は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0075】
図7に示した製造方法は、テープ基材搬送工程31と、留め具設置工程32と、蛇行線切断工程33と、個別切断工程35を有する。
図8に示した製造方法はさらに、蛇行線切断工程33の後、個別切断工程35の前に、折り返し工程34を有する。
【0076】
テープ基材搬送工程31では、テープ基材の長尺体41を搬送方向vに繰り出す。テープ基材の長尺体41は、搬送方向vに長い形状を有する。
【0077】
留め具設置工程32では、第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43を搬送方向vに繰り出し、幅方向wに互いに離隔させてテープ基材の長尺体41に取り付けて、止着テープの前駆体を得る。第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43は搬送方向vに長い形状を有し、テープ基材の長尺体41の幅方向wの中央部に、幅方向wに互いに間隔を開けて配置される。第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43は、テープ基材の長尺体41上に配置する前に、テープ基材の長尺体41との対向面に接着剤が塗布されることが好ましい。第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43は、テープ基材の長尺体41上に幅方向wに略対称に配置されることが好ましい。
【0078】
蛇行線切断工程33では、止着テープの前駆体を、搬送方向vに延びる蛇行線状であって、振幅の頂点が第1留め具の長尺体42上と第2留め具の長尺体43上にある蛇行線状の切断線44で切断する。これにより、止着テープの前駆体が幅方向wに2つに分割され、止着テープの連続体45(45A,45B)が得られる。蛇行線状の切断線44は、止着テープのつまみ部の外縁を形成する。止着テープの連続体45Aでは、第1留め具の長尺体42から、つまみ部の先端部に設けられる第1留め具が形成され、第2留め具の長尺体43から、つまみ部からテープ本体部にかけて設けられる第2留め具が形成される。止着テープの連続体45Bでは、第2留め具の長尺体43から、つまみ部の先端部に設けられる第1留め具が形成され、第1留め具の長尺体42から、つまみ部からテープ本体部にかけて設けられる第2留め具が形成される。
【0079】
図7では、蛇行線切断工程33の後、個別切断工程35において、止着テープの連続体45を、蛇行線状の切断線44の谷部で幅方向wに延びる切断線47で切断して、個別の止着テープ48を得る。
図7では、蛇行線状の切断線44の谷部1つおきに切断線47を形成しており、これにより1つのテープ本体部に2つのつまみ部を有する止着テープ48が得られる。
【0080】
図7では、蛇行線状の切断線44の谷部の搬送方向vの中央から幅方向wに延びる切断線47で切断することにより、第2留め具がテープ本体部においてつまみ部よりも第2の方向の一方側と他方側の両方に延在するように形成される。なお、例えば蛇行線状の切断線44の谷部の搬送方向vの端から幅方向wに延びる切断線47で切断すれば、第2留め具がテープ本体部においてつまみ部よりも第2の方向の一方側のみに延在した止着テープ48を得ることができる。
【0081】
図8では、蛇行線切断工程33の後、折り返し工程34を行っている。折り返し工程34では、止着テープの連続体45(45A,45B)を、蛇行線状の切断線44で切断された第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43の間で幅方向wに折り返す。止着テープの連続体45は、第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43を内側にして折り返し線46で幅方向wに折り返され、これにより第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43がテープ基材の長尺体41に仮留めされる。このように止着テープの連続体45が折り返されることにより、第1留め具の長尺体42と第2留め具の長尺体43が不用意に他の部材に止着しにくくなる。
【0082】
図8では、折り返し工程34の後、個別切断工程35において、幅方向wに折り返された止着テープの連続体45を、蛇行線状の切断線44の谷部で幅方向wに延びる切断線47で切断して、個別の止着テープ48を得る。
図8においても、蛇行線状の切断線44の谷部1つおきに切断線47を形成しており、これにより1つのテープ本体部に2つのつまみ部を有し、つまみ部が幅方向wに折り返された止着テープ48が得られる。
【符号の説明】
【0083】
1: 止着テープ
2: テープ基材
3: テープ本体部
4: つまみ部
5: 第1留め具
6: 第2留め具
11: 使い捨ておむつ
12: おむつ本体
13: トップシート
14: バックシート
15: 吸収体
20: 止着対応部
31: テープ基材搬送工程
32: 留め具配置工程
33: 蛇行線切断工程
34: 折り返し工程
35: 個別切断工程
41: テープ基材の長尺体
42: 第1留め具の長尺体
43: 第2留め具の長尺体
44: 蛇行線状の切断線
45: 止着テープの連続体
46: 折り返し線
47: (個別)切断線
48: 個別の止着テープ
【要約】
【課題】取り扱い性に優れ、止着対象箇所に安定して止着することができる止着テープを提供する。
【解決手段】テープ本体部3と、テープ本体部3から第1の方向xに延出し、第2の方向yに対する長さがテープ本体部3よりも短く形成されたつまみ部4を有するテープ基材2と、テープ基材2に設けられた第1留め具5と第2留め具6とを有する止着テープ1であって、第1留め具5は、つまみ部4の第1の方向xの先端部に設けられ、第2留め具6は、第1留め具5から第1の方向xに離隔して、つまみ部4からテープ本体部3にかけて設けられるとともに、テープ本体部3においてつまみ部4よりも第2の方向yの一方側および/または他方側に延在している。
【選択図】
図2