(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
A63F5/04 650
A63F5/04 611B
(21)【出願番号】P 2020187075
(22)【出願日】2020-11-10
(62)【分割の表示】P 2016092041の分割
【原出願日】2016-04-28
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【審査官】松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049272(JP,A)
【文献】特開2016-032602(JP,A)
【文献】特開2012-232032(JP,A)
【文献】特開2016-047322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の事象の発生回数を計数する第1計数処理を実行可能であるとともに、該第1計数処理の後に第2の事象の発生回数を計数する第2計数処理を実行可能な計数手段と、
前記第1の事象の発生回数が計数を許容しなくなる上限値に達した
か否かを判定し、上限値に達したときに特定フラグを設定する第1判定処理を実行可能な第1判定手段と、
前記第2の事象の発生回数が計数を許容しなくなる上限値に達した
か否かを判定し、上限値に達したときに特定フラグを設定する第2判定処理を実行可能な第2判定手段と、
を備え、
前記計数手段は、前記第1計数処理を実行する前に前記特定フラグが設定されているか否かを判定し、前記特定フラグが設定されていない場合に前記第1計数処理と前記第2計数処理とを実行し、前記特定フラグが設定されている場合に前記第1計数処理と前記第2計数処理のいずれも実行せず、
前記第1計数処理と前記第2計数処理により計数された計数結果を出力するための出力処理を実行可能な出力手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記特定フラグが設定されているか否かにかかわらず、前記出力処理を行う、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機で発生した事象の計数結果を2次元コードで出力するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲーム数に対する大当り回数の正しい比率を導き出せないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、正しい比率を導くことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(A)第1の事象の発生回数を計数する第1計数処理を実行可能であるとともに、該第1計数処理の後に第2の事象の発生回数を計数する第2計数処理を実行可能な計数手段と、
前記第1の事象の発生回数が計数を許容しなくなる上限値に達した
か否かを判定し、上限値に達したときに特定フラグを設定する第1判定処理を実行可能な第1判定手段と、
前記第2の事象の発生回数が計数を許容しなくなる上限値に達した
か否かを判定し、上限値に達したときに特定フラグを設定する第2判定処理を実行可能な第2判定手段と、
を備え、
前記計数手段は、前記第1計数処理を実行する前に前記特定フラグが設定されているか否かを判定し、前記特定フラグが設定されていない場合に前記第1計数処理と前記第2計数処理とを実行し、前記特定フラグが設定されている場合に前記第1計数処理と前記第2計数処理のいずれも実行せず、
前記第1計数処理と前記第2計数処理により計数された計数結果を出力するための出力処理を実行可能な出力手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記特定フラグが設定されているか否かにかかわらず、前記出力処理を行う。
(1)他の態様に係る遊技機は、遊技を行うことが可能な遊技機(例えば、スロットマシン1、パチンコ遊技機等)であって、所定事象(例えば、1ゲームが行われたこと、当選役に当選したこと等)の発生回数を計数するための計数処理(例えば、
図8、9の計数処理等)を実行する計数処理実行手段(例えば、サブ制御部91等)と、前記計数処理により計数された計数結果を出力するための出力処理(例えば、
図10の出力処理等)を実行する出力処理実行手段(例えば、サブ制御部91等)と、を備え、前記出力処理において一の所定事象の発生回数を格納するための第1領域(例えばコード側領域等)の容量(例えば、9バイト等)よりも、前記計数処理において前記一の所定事象の発生回数を格納するための第2領域(例えば、
図7に示したカウンタcnt_rb、cnt_bb1、cnt_bb2、cnt_rp、cnt_sk、cnt_cr、及びcnt_bl等)の容量(例えば、16バイト等)を大きく確保したことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、出力するデータ容量を節減しつつ、データの扱いを容易とすることができる。
【0008】
(2)上記(1)の遊技機であって、前記出力処理において、前記第2領域に格納された情報(例えば、
図7に示したカウンタcnt_rb、cnt_bb1、cnt_bb2、cnt_rp、cnt_sk、cnt_cr、及びcnt_blが示す2バイトのデータ等)を、前記第1領域に格納可能な情報(例えば、
図7に示した「2次元コード」に示されるビット数のデータ)に変換する。
【0009】
このような構成によれば、出力するデータ容量を節減しつつ、データの扱いを容易とすることができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)の遊技機であって、前記計数処理において、前記所定事象の発生回数を計数する上限値(例えば、
図6の上限値等)を、前記第1領域に格納可能な数値の上限値(例えば、
図6の最大値等)以下の値とする。
【0011】
このような構成によれば、余裕を持たせて計数を止められ、正しい計数結果を出力することができる。
【0012】
(4)上記(3)の遊技機であって、所定事象として第1の事象(例えば、1ゲームが行われたこと等)と第2の事象(例えば、当選役に当選したこと等)とがあり、前記出力処理において第1の事象の発生回数(例えば、ゲーム数等)を格納するための領域(例えば、14ビットの領域等)と第2の事象の発生回数(例えば、当選役の当選回数等)を格納するための領域(例えば、当選役がRBの場合は5ビットの領域等)の容量は異なる一方、前記計数処理において第1の事象の発生回数を格納するための領域と第2の事象の発生回数を格納するための領域の容量は同一(例えば、2バイト等)である。
【0013】
このような構成によれば、第1の事象と第2の事象の計数について扱いが変わらない。
【0014】
(5)上記(4)の遊技機であって、前記第1の事象の発生回数が前記上限値に達した否かを判定する判定手段(例えば、
図8の計数処理におけるステップS106等)を備え、前記計数処理では、前記判定手段により判定された判定結果に応じて、前記第1の事象の発生回数の計数と前記第2の事象の発生回数の計数とを停止させる(例えば、
図8のステップS101等)。
【0015】
このような構成により、第1の事象と第2の事象の比率として、正しい比率を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明が適用された実施形態のスロットマシンの正面図である。
【
図4】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【
図5】入賞として定められた役の構成を示す図である。
【
図6】コード側領域の容量等を説明するための図である。
【
図7】スロ側領域とコード側領域の容量を示す図である。
【
図8】計数処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】計数処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】符号化対応表と、文字への符号化例とを示す図である。
【
図13】URLを示す2次元コードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を以下に説明する。
図1は、スロットマシン1の正面図である。
図2は、スロットマシン1の内部構造図である。
図3は、リールの図柄配列を示す図である。スロットマシン1は、
図1及び
図2に示すように、前面が開口する筐体1aと、筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
【0018】
筐体1aの内部には、
図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、
図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0019】
リール2L、2C、2Rの外周部には、
図3に示すように、それぞれ「黒7」、「網7(図中網掛け7)」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」、「オレンジ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0020】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(
図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0021】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0022】
前面扉1bにおける各リール2L、2C、2Rに対応する位置には、リール2L、2C、2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
【0023】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(例えば3枚)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0024】
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
【0025】
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(
図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(
図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0026】
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のBB終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のBB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(
図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(
図4参照)が設けられている。
【0027】
筐体1a内部には、
図2に示すように、上述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(
図4参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板200、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0028】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0029】
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0030】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1~L5(
図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施形態では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1~L5が有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0031】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施形態では、
図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
【0032】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0033】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化され入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(例えば50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(
図1参照)から払い出されるようになっている。なお、有効化され複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化され入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(例えば15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化され入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0034】
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、
図4に示すように、遊技制御基板40、演出中継基板80、演出制御基板90、電源基板101、外部出力基板200が設けられている。電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、遊技制御基板40によってスロットマシン1の遊技状態が制御され、遊技制御基板40から演出中継基板80を介して演出制御基板90にコマンドが送信されることによってスロットマシン1の遊技状態に応じた演出が制御される。
【0035】
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、AC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。また、電源基板101には、上述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0036】
遊技制御基板40には、上述したMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して上述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0037】
また、遊技制御基板40には、上述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、遊技用表示部13、1~3BETLED14~16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して上述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0038】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(例えば0~65535)の乱数を生成する乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0039】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0040】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0041】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、上述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(例えば、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0042】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。
【0043】
演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。演出用スイッチ56は、内部にLEDを備えており、点灯および消灯により、操作を受け付けるか否かを報知することができる。例えば、演出用スイッチ56を点灯させることで、演出用スイッチ56は操作を受け付けることを報知する。また、例えば、演出用スイッチ56を消灯させることで、演出用スイッチ56は操作を受け付けないことを報知する。
【0044】
また、演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(
図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54(
図1、4参照)、上述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0045】
なお、本実施形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
【0046】
また、本実施形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
【0047】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日時情報等の時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0048】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0049】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0050】
本実施形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1~6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0051】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0052】
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすればよい。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
【0053】
本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施形態では、後に説明するが、遊技状態として、レギュラーボーナス(以下ではRBと呼ぶ)、ビッグボーナス(以下ではBBと呼ぶ)、通常遊技状態(非当選中、当選中)があり、いずれの遊技状態であっても賭数の規定数として3が定められており、遊技状態に関わらず、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。なお、本実施形態では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1~L5の全てが有効化されることとなる。
【0054】
本実施形態のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(以下、単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであってもよいし、異なる図柄を含む組合せであってもよい。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0055】
なお、各役の当選フラグのうち、小役及び再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、例え、当該フラグにより許容された役の組合せを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されることとなる。
【0056】
図5は、入賞として定められた役の構成を示す図である。スロットマシン1における役としては、
図5に示すように、特別役としてRB、BB(1)、BB(2)が定められ、小役としてスイカ、チェリー、ベルが定められ、再遊技役としてリプレイが定められている。
【0057】
RBは、入賞ラインのいずれかに「網7-網7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となり、遊技状態がRBに移行する。RBは、小役、特にベルの当選確率が高まることによって他の遊技状態よりも遊技者にとって有利となる遊技状態であり、RBが開始した後、12ゲームを消化したとき、または4ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。
【0058】
BB(1)は、入賞ラインのいずれかに「黒7-黒7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB(2)は、RB以外の遊技状態において入賞ラインのいずれかに「網7-網7-網7」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0059】
BB(1)(2)が入賞すると、遊技状態がBBに移行するとともに同時にRBに移行し、RBが終了した際に、BBが終了していなければ、再度RBに移行し、BBが終了するまで繰り返しRBに制御される。すなわちBB中は、常にRBに制御されることとなる。そして、BBは、当該BB中において遊技者に払い出したメダルの総数が480枚を超えたときに終了する。BBの終了時には、RBの終了条件が成立しているか否かに関わらずRBも終了する。
【0060】
リプレイは、入賞ラインのいずれかに「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイが入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0061】
スイカは、入賞ラインのいずれかに「スイカ-スイカ-スイカ」の組合せが揃ったときに入賞となり、15枚のメダルが払い出される。
【0062】
チェリーは、入賞ラインのいずれかに「チェリー-ANY-ベル」または「チェリー-ANY-リプレイ」の組合せが揃ったとき、すなわち左リールにおいて入賞ラインのいずれかに「チェリー」の図柄が導出され、左リールに「チェリー」が導出された入賞ラインの右リールに「ベル」または「リプレイ」の図柄が導出されたときに入賞となり、2枚のメダルが払い出される。
【0063】
ベルは、入賞ラインのいずれかに「ベル-ベル-ベル」の組合せが揃ったときに入賞となり、12枚のメダルが払い出される。
【0064】
以下、本実施形態の内部抽選について説明する。内部抽選は、上述した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。
【0065】
本実施形態では、遊技状態が、通常遊技状態であるか、RB(BB)であるか、によって内部抽選の対象となる役(対象役)が異なり、さらに通常遊技状態においては、特別役の持越中か否か(非当選中:特別役の持ち越されていない通常遊技状態、当選中:特別役の持ち越されている通常遊技状態)によっても内部抽選となる対象役が異なる。
【0066】
遊技状態が通常遊技状態であり、特別役が持ち越されていない状態であれば、RB、BB(1)、BB(2)、RB+スイカ、RB+チェリー、BB(1)+スイカ、BB(1)+チェリー、BB(2)+スイカ、BB(2)+チェリー、リプレイ、スイカ、チェリー、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0067】
遊技状態が通常遊技状態であり、特別役が持ち越されている状態であれば、リプレイ、スイカ、チェリー、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0068】
遊技状態がRB又はBBであれば、スイカ、チェリー、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0069】
なお、本実施形態では、いずれの遊技状態においても、特別役と再遊技役の同時当選(RB+リプレイ、BB(1)+リプレイ、BB(2)+リプレイ)を内部抽選の対象役としていないが、例えば通常遊技状態(非当選中)において特別役と再遊技役の同時当選を内部抽選の対象役としてもよい。
【0070】
内部抽選では、まず、内部抽選用の乱数(0~65535の整数)が取得される。そして、内部抽選の対象役、現在の遊技状態及び設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。
【0071】
内部抽選において、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。なお、いずれの役及び役の組合せにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
【0072】
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
【0073】
メインCPU41aは、リールの回転が開始したとき、及びリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
【0074】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0075】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
【0076】
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、さらに、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
【0077】
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0~167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0~20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0~20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0~20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
【0078】
上述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
【0079】
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0080】
本実施形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
【0081】
また、本実施形態では、滑りコマ数として0~4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0082】
つまり、いずれかの役に当選している場合には、当選役をいずれかの入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役がいずれの入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も入賞ライン上に揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、いずれかの入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
【0083】
なお、本実施形態では、特別役と小役が同時に当選している場合に、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる構成であるが、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる構成としてもよい。
【0084】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と再遊技役が同時に当選した場合など、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行われる。なお、この場合、再遊技役を構成する図柄は、リール2L、2C、2Rのいずれについても5図柄以内、すなわち4コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引込範囲で必ず任意の位置に停止させることができるので、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。
【0085】
本実施形態においてメインCPU41aは、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。なお、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
【0086】
次に、メインCPU41aが演出制御基板90に対して送信するコマンドについて説明する。
【0087】
本実施形態では、メインCPU41aが演出制御基板90に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、復帰コマンド、設定開始コマンド、確認開始コマンド、確認終了コマンド、操作検出コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。
【0088】
これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブCPU91aは、種類データからコマンドの種類を判別できるようになっている。
【0089】
BETコマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されていない状態において、メダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、BETコマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるので、BETコマンドを受信することで賭数の設定操作がなされたことを特定可能である。
【0090】
クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。
【0091】
内部当選コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
【0092】
リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。
【0093】
リール停止コマンドは、停止するリールが左リール、中リール、右リールのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止操作に伴う停止制御が行われる毎に送信される。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるので、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。
【0094】
入賞判定コマンドは、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行われた後に送信される。
【0095】
払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞及びクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに送信される。
【0096】
遊技状態コマンドは、次ゲームの遊技状態を特定可能なコマンドであり、設定変更状態の終了時及びゲームの終了時に送信される。
【0097】
待機コマンドは、待機状態へ移行する旨を示すコマンドであり、1ゲーム終了後、賭数が設定されずに一定時間経過して待機状態に移行するとき、クレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が終了し、払出終了コマンドが送信された後に送信される。
【0098】
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、BB終了後、エンディング演出待ち時間が経過した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
【0099】
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除、エラー状態の種類を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生及びその種類を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
【0100】
復帰コマンドは、メインCPU41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドであり、メインCPU41aの起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信される。
【0101】
設定開始コマンドは、設定変更状態の開始を示すコマンドであり、設定変更状態に移行する際に送信される。また、設定変更状態への移行に伴ってメインCPU41の制御状態が初期化されるため、設定開始コマンドによりメインCPU41の制御状態が初期化されたことを特定可能である。
【0102】
確認開始コマンドは、設定確認状態の開始を示すコマンドであり、設定確認状態に移行する際に送信される。確認終了コマンドは、設定確認状態の終了を示すコマンドであり、設定確認状態の終了時に送信される。
【0103】
操作検出コマンドは、操作スイッチ類(MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R)の検出状態(ON/OFF)を示すコマンドであり、一定間隔毎に送信される。
【0104】
これらコマンドのうち設定開始コマンド、RAM異常を示すエラーコマンド、復帰コマンドは、起動処理において割込が許可される前の段階で生成され、RAM41cの特別ワークに割り当てられた特定コマンド送信用バッファに格納され、直ちに送信される。
【0105】
設定開始コマンド、RAM異常を示すエラーコマンド、復帰コマンド、操作検出コマンド以外のコマンドは、ゲーム処理においてゲームの進行状況に応じて生成され、RAM41cの特別ワークに設けられた通常コマンド送信用バッファに一時格納され、タイマ割込処理(メイン)において送信される。
【0106】
本実施形態では、ゲーム処理においてコマンドが生成され、通常コマンド送信用バッファに格納される。タイマ割込2内のコマンド送信処理においてコマンド送信用バッファに格納された未送信のコマンドが検知されると、通常コマンド送信用バッファに格納された未送信のコマンドが送信される。
【0107】
また、通常コマンド送信用バッファには、複数のコマンドを格納可能な領域が設けられており、通常コマンド送信用バッファに格納された未送信のコマンドの送信を待たずに、新たに生成したコマンドを通常コマンド送信用バッファの空き領域に格納することが可能とされている。すなわち通常コマンド送信用バッファには複数のコマンドを蓄積できるようになっている。
【0108】
また、ゲーム処理において通常コマンド送信用バッファにコマンドを格納する際に、これらコマンドをその生成順に格納するとともに、コマンド送信処理では通常コマンド送信用バッファに生成・格納された順番でコマンドを送信するようになっている。すなわち通常コマンド送信用バッファに格納されたコマンドは、生成・格納された順番で送信されるようになっている。
【0109】
操作検出コマンドは、コマンド送信処理が5回実行される毎に生成され、上述の特定コマンド送信用バッファに格納され、直ちに送信される。また、通常コマンド送信用バッファに未送信のコマンドが格納されている状態で操作検出コマンドの送信時期に到達した場合には、操作検出コマンドの送信を優先し、通常コマンド送信用バッファに格納されている未送信のコマンドは、次回のコマンド送信処理において送信されるようになっており、1度のコマンド送信処理において複数のコマンドが送信されることがないようになっている。
【0110】
次に、メインCPU41aが演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。
【0111】
サブCPU91aは、メインCPU41aからのコマンドの送信を示すストローブ信号を入力した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。
【0112】
サブCPU91aは、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の各種演出装置の出力制御を行う。
【0113】
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターン毎に、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様等、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブCPU91aは、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。これにより演出パターン及び遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
【0114】
なお、サブCPU91aは、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
【0115】
特に、本実施形態では、演出の実行中に賭数の設定操作がなされたとき、すなわちサブCPU91aが、賭数が設定された旨を示すBETコマンドを受信したときに、実行中の演出を中止するようになっている。このため、遊技者が、演出を最後まで見るよりも次のゲームを進めたい場合には、演出がキャンセルされ、次のゲームを開始できるので、このような遊技者に対して煩わしい思いをさせることがない。また、演出の実行中にクレジットまたは賭数の精算操作がなされたとき、すなわちサブCPU91aが、ゲームの終了を示す遊技状態コマンドを受信した後、ゲームの開始を示す内部当選コマンドを受信する前に、払出開始コマンドを受信した場合には、実行中の演出を中止するようになっている。クレジットや賭数の精算を行うのは、遊技を終了する場合であり、このような場合に実行中の演出を終了させることで、遊技を終了する意志があるのに、不要に演出が継続してしまわないようになっている。
【0116】
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブCPU91aは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果、後述するレベル及び演出設定に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても内部当選コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行われることがある。
【0117】
本実施形態では、メインCPU41aが、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能な操作検出コマンドをサブCPU91aに対して送信することで、サブCPU91aが、それぞれの制御状態においてゲームの進行制御に関与する操作スイッチであるか否かに関わらず、メインCPU41aにより検出される操作スイッチが操作されたことが特定できるようになっており、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの操作に応じて演出を実行したり、メニュー画面の操作を行うことが可能である。
【0118】
次に、スロットマシン1における所定事象の発生回数の計数について説明する。まず、所定事象について説明する。本実施形態における所定事象とは、遊技機で発生する事象であり、かつ計数可能な事象である。以下の説明では、所定事象の例として、1ゲームが行われたことや当選役(RB、BB(1)、BB(2)、リプレイ、スイカ、チェリー、ベル)に当選したことを用いている。スロットマシン1は、発生回数を計数する計数処理において計数された計数結果を、2次元コードとして出力する出力処理を行う。上記計数処理及び出力処理は、サブ制御部91により行われる。
【0119】
出力された2次元コードは、スマートフォン等の携帯端末に読み取らせることで、スロットマシン1と携帯端末とで上記計数結果のような遊技に関する情報を連動させることができる。また、携帯端末が不図示の管理サーバと通信可能なように構成されている場合には、携帯端末により読み取られた情報を管理サーバに送信することで、スロットマシン1と管理サーバとで遊技に関する情報を連動させることができる。
【0120】
スロットマシン1と携帯端末との携帯連動の具体例として、携帯端末が遊技に関する情報をスロットマシン1から取得して、携帯端末の画面に遊技に関する情報を表示することなどが挙げられる。また、スロットマシン1と管理サーバとで遊技に関する情報を連動させる具体例として、携帯端末がスロットマシン1から取得した遊技に関する情報を管理サーバに送信することで、管理サーバが遊技に関する情報にもとづく例えば遊技履歴を記録することなどが挙げられる。
【0121】
まず、スロットマシン1における所定事象の発生回数の計数方法について説明する。上述した各当選役の当選確率は異なるので、あるゲーム数だけゲームを行った時点での各々の当選役の発生回数は一般的には異なるものとなる。そのため、本実施形態では、2次元コードとして出力する際に、各々の所定事象の発生回数を格納するための領域の容量を、当選確率に応じた容量としている。以下の説明では、2次元コードとして出力する出力処理において、一の所定事象の発生回数を格納するための領域をコード側領域と称することがある。これに対し、サブ制御部91による、発生回数を計数する計数処理において一の所定事象の発生回数を格納するための領域をスロ側領域と称することがある。
【0122】
図6は、コード側領域の容量等を説明するための図である。
図6には、当選役、確率分母、想定発生回数、想定発生回数×1.2、最小ビット数、最大値、及び上限値が示されている。
【0123】
確率分母は、スロットマシン1において予め定められている、通常遊技状態の1ゲームで各々の当選役が発生する確率の逆数を示す。
図6の場合には、RBの発生確率は、1/450である。BB(1)の発生確率は、1/550である。BB(2)の発生確率は、1/1000である。リプレイの発生確率は、1/8である。スイカの発生確率は、1/90である。チェリーの発生確率は、1/100である。ベルの発生確率は、1/10である。
【0124】
想定発生回数については、1日の遊技場の営業時間内に遊技者が遊技可能なゲーム数を10000回と想定し、このゲーム数にもとづき、想定発生回数を(当選役が発生する確率)×10000としている。そして、想定発生回数×1.2は、余裕を持たせるために、2割増しした発生回数である。
【0125】
最小ビット数は、想定発生回数×1.2の数値を表現可能な最小のビット数を示す。具体的には、想定発生回数×1.2≦(2のn乗)-1を満たす最小のnである。この最小ビット数が、2次元コードにおいて、発生回数が格納される格納領域の大きさとなる。従って、本実施形態において、RBの発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、5ビットである。BB(1)の発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、5ビットである。BB(2)の発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、4ビットである。リプレイの発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、11ビットである。スイカの発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、8ビットである。チェリーの発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、7ビットである。ベルの発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、11ビットである。ゲームの発生回数を格納するためのコード側領域の容量は、14ビットである。
【0126】
最大値は、最小ビット数で表現可能な最大値を示す。上限値は、サブ制御部91において、計数を許容しなくなる値を示す。すなわち、本実施形態では、最小ビット数で表現可能な最大値まで計数せずに、余裕をもって上限値まで計数を行う。このように、本実施形態では、所定事象の発生回数を計数する上限値を、コード側領域に格納可能な数値の上限値以下の値とする。例えば、ゲーム数の計数は、ゲーム数カウンタに14ビットが割り当てられているため、16383まで計数可能であるが、計数を許容する上限値は12000(GM_MAX)である。なお、上限値は、想定発生回数×1.2を目安にしている。
【0127】
図6に示されるように、RBの発生回数の計数を許容する上限値は27(RB_MAX)である。BB(1)の発生回数の計数を許容する上限値は22(BB1_MAX)である。BB(2)の発生回数の計数を許容する上限値は12(BB2_MAX)である。リプレイの発生回数の計数を許容する上限値は1500(RP_MAX)である。スイカの発生回数の計数を許容する上限値は135(SK_MAX)である。チェリーの発生回数の計数を許容する上限値は127(CR_MAX)である。ベルの発生回数の計数を許容する上限値は1200(BL_MAX)である。以下の説明では、RB_MAX、BB1_MAX、BB2_MAX、RP_MAX、SK_MAX、CR_MAX、及びBL_MAXをまとめて表現する場合には、「XX_MAX」と表現することがある。
【0128】
このように、本実施形態における上限値は、コード側領域に格納可能な数値(最小ビット数で表現可能な数値)の上限値よりも小さい。また、1ゲームの発生回数の計数を許容しなくなる上限値(12000)と、当選役の発生回数の計数を許容しなくなる上限値(例えばベルは2047)とが異なる。このように上限値を異なるようにすることで、事象に応じて好適に上限値を管理することができる。
【0129】
本実施形態では、1ゲームが行われたことを第1の事象、当選役の当選を第2の事象としている。この場合、1ゲームの発生回数は、当選役を発生させるための試行が行われた回数であり、当選役の発生回数は、試行の結果が特定回数(各当選役が当選)となった回数である。
【0130】
図7は、スロ側領域とコード側領域の容量を示す図である。コード側領域の容量については、
図6で説明した通りで、それらの容量の合計は65ビットある。一方、スロ側領域は、RAM91cに設けられ、スロ側領域の容量は全ての所定事象において16ビット(2バイト)であり、容量が同一となっている。また、それらの容量の合計は16バイトである。全ての所定事象を格納する領域の容量は16ビットであるので、上述した第1の事象、及び第2の事象の発生回数を格納するための領域は同じ容量である。従って、第1の事象と第2の事象の計数について扱いが変わらない。なお、全ての所定事象を格納する領域の容量は16ビットであるので、第1の事象と第2の事象とをいずれの所定事象とした場合でも、第1の事象と第2の事象の計数について扱いが変わらない。
【0131】
当選役の発生回数をカウントするカウンタとして、cnt_rb、cnt_bb1、cnt_bb2、cnt_rp、cnt_sk、cnt_cr、及びcnt_blが設けられている。そして、いずれも2バイトのカウンタである。cnt_rbは、RBの発生回数をカウントするカウンタである。cnt_bb1は、BB(1)の発生回数をカウントするカウンタである。cnt_bb2は、BB(2)の発生回数をカウントするカウンタである。cnt_rpは、リプレイの発生回数をカウントするカウンタである。cnt_skは、スイカの発生回数をカウントするカウンタである。cnt_crは、チェリーの発生回数をカウントするカウンタである。cnt_blは、ベルの発生回数をカウントするカウンタである。cnt_gmは、ゲームの発生回数をカウントするカウンタである。
【0132】
このように、本実施形態では、コード側領域の容量よりも、スロ側領域の容量を大きく確保している。これにより、2次元コードとして出力するデータ容量を節減しつつ、スロットマシン1においてはデータの扱いを容易とすることができる。データの扱いが容易となる理由については後述する。また、
図7に示されるように、本実施形態では、2次元コードとして出力する出力処理においてゲームの発生回数を格納するための領域(14ビットの領域)と第2の事象(当選役)の発生回数を格納するための領域(例えば、当選役がRBの場合は5ビットの領域)の容量は異なる。
【0133】
図8は、計数処理の一例を示すフローチャートである。計数処理は、内部当選コマンドを受信した際に、サブ制御部91により行われる。サブ制御部91は、オーバーフローフラグが1か否かを判定する(ステップS101)。オーバーフローフラグは、計数が停止されている旨を示すフラグであり、初期値が0で、いずれかのカウンタが上限値に達した場合に1となるフラグである。オーバーフローフラグが1の場合は(ステップS101:YES)、オーバーフローフラグにより計数が停止されている旨が示されているので、サブ制御部91は処理を終了する。
【0134】
オーバーフローフラグが0の場合は(ステップS101:NO)、サブ制御部91は、ゲーム数カウンタを1増分する(ステップS102)。サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、RBに当選したか否かを判定する(ステップS103)。RBに当選した場合には(ステップS103:YES)、サブ制御部91は、RBカウンタを1増分する(ステップS104)。
【0135】
サブ制御部91は、RBカウンタが最大値RB_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS105)。RBカウンタが最大値RB_MAXと等しい場合には(ステップS105:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、RBカウンタが最大値RB_MAXと等しくない場合には(ステップS105:NO)、サブ制御部91は、ゲーム数カウンタが最大値GM_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS106)。
【0136】
ゲーム数カウンタが最大値GM_MAXと等しい場合には(ステップS106:YES)、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、ゲーム数カウンタが最大値GM_MAXと等しくない場合には(ステップS106:NO)、サブ制御部91は、本処理を終了する。
【0137】
ステップS103において、RBに当選していない場合には(ステップS103:NO)、サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、BB(1)に当選したか否かを判定する(ステップS108)。BB(1)に当選した場合には(ステップS108:YES)、サブ制御部91は、BB1カウンタを1増分する(ステップS109)。
【0138】
サブ制御部91は、BB1カウンタが最大値BB1_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS110)。BB1カウンタが最大値BB1_MAXと等しい場合には(ステップS110:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、BB1カウンタが最大値BB1_MAXと等しくない場合には(ステップS110:NO)、サブ制御部91は、上記ステップS106に進む。
【0139】
ステップS108において、BB(1)に当選していない場合には(ステップS108:NO)、サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、BB(2)に当選したか否かを判定する(ステップS111)。BB(2)に当選した場合には(ステップS111:YES)、サブ制御部91は、BB2カウンタを1増分する(ステップS112)。
【0140】
サブ制御部91は、BB2カウンタが最大値BB2_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS113)。BB2カウンタが最大値BB2_MAXと等しい場合には(ステップS113:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、BB2カウンタが最大値BB2_MAXと等しくない場合には(ステップS113:NO)、サブ制御部91は、上記ステップS106に進む。
【0141】
ステップS111において、BB(2)に当選していない場合には(ステップS111:NO)、
図9のステップS114において、サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、リプレイに当選したか否かを判定する(ステップS114)。リプレイに当選した場合には(ステップS114:YES)、サブ制御部91は、リプレイカウンタを1増分する(ステップS115)。
【0142】
サブ制御部91は、リプレイカウンタが最大値RP_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS116)。リプレイカウンタが最大値RP_MAXと等しい場合には(ステップS116:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、リプレイカウンタが最大値RP_MAXと等しくない場合には(ステップS116:NO)、サブ制御部91は、上記ステップS106に進む。
【0143】
ステップS114において、リプレイに当選していない場合には(ステップS114:NO)、サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、スイカに当選したか否かを判定する(ステップS117)。スイカに当選した場合には(ステップS117:YES)、サブ制御部91は、スイカカウンタを1増分する(ステップS118)。
【0144】
サブ制御部91は、スイカカウンタが最大値SK_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS119)。スイカカウンタが最大値SK_MAXと等しい場合には(ステップS119:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、スイカカウンタが最大値SK_MAXと等しくない場合には(ステップS119:NO)、サブ制御部91は、上記ステップS106に進む。
【0145】
ステップS117において、スイカに当選していない場合には(ステップS117:NO)、サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、チェリーに当選したか否かを判定する(ステップS120)。チェリーに当選した場合には(ステップS120:YES)、サブ制御部91は、チェリーカウンタを1増分する(ステップS121)。
【0146】
サブ制御部91は、チェリーカウンタが最大値CR_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS122)。チェリーカウンタが最大値CR_MAXと等しい場合には(ステップS122:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、チェリーカウンタが最大値CR_MAXと等しくない場合には(ステップS122:NO)、サブ制御部91は、上記ステップS106に進む。
【0147】
ステップS120において、チェリーに当選していない場合には(ステップS120:NO)、サブ制御部91は、内部当選コマンドを参照し、ベルに当選したか否かを判定する(ステップS123)。ベルに当選した場合には(ステップS123:YES)、サブ制御部91は、ベルカウンタを1増分する(ステップS124)。
【0148】
サブ制御部91は、ベルカウンタが最大値BL_MAXと等しいか否かを判定する(ステップS125)。ベルカウンタが最大値BL_MAXと等しい場合には(ステップS125:YES)、サブ制御部91は、オーバーフローフラグに1をセットして(ステップS107)、本処理を終了する。一方、ベルカウンタが最大値BL_MAXと等しくない場合には(ステップS125:NO)、サブ制御部91は、上記ステップS106に進む。
【0149】
ステップS123において、ベルに当選していない場合には(ステップS123:NO)、いずれの役にも当選していないため、サブ制御部91は、ステップS106に進む。いずれの役にも当選していない場合は、ステップS102でゲーム数カウンタのみが増分される。
【0150】
上述した計数処理では、ゲーム数カウンタが、計数を許容しなくなる上限値GM_MAXに達したか否かを判定し、この判定結果に応じてオーバーフローフラグを1とすることで、計数を停止させる。さらに、計数処理では、各当選役のカウンタが、計数を許容しなくなる上限値XX_MAXに達したか否かを判定し、判定結果に応じてオーバーフローフラグを1とすることで、計数を停止させる。このように、ゲーム数及び当選役のカウンタのうちのいずれか1つでも計数を許容しなくなる上限値に達した場合に、ゲーム数及び当選役のカウンタの計数を停止することで、スロットマシン1は、ゲーム数と各当選役との正しい比率を導き出すことができる。
【0151】
ここで、ある所定事象の発生回数が上限値に達した場合に、他の所定事象の発生回数の計数を停止せずに、計数を継続した場合に正しい比率が導き出せない例について説明する。一例として、第1の所定事象の発生回数の上限値を1000とし、第2の所定事象の発生回数の上限値を200とする。このとき、実際の遊技において、第1の所定事象の発生回数が2000となり、第2の所定事象の発生回数が100となった場合の正しい比率は、100/2000となり5%であるが、第1の所定事象の発生回数の上限値が1000であるので、100/1000となり10%となる。このように、本実施形態を適用せずに、比率を出力する対象となっている所定事象の発生回数が上限値に達した場合には、正しい比率を出力することができないが、本実施形態によれば正しい比率を出力することができる。
【0152】
上述した計数処理により計数された各所定事象の発生回数は、出力処理により2次元コードとして出力される。
図10は、出力処理の一例を示すフローチャートである。出力処理は、例えば遊技者により2次元コードを表示させるための操作が行われた場合に、サブ制御部91により行われる。
【0153】
サブ制御部91は、まず9バイト分の領域をヒープ領域に取得する(ステップS201)。
図7で説明したように、コード側領域の合計は65ビット(8バイト+1ビット)であるが、領域を取得する場合には、バイト単位で取得するため、ここでは9バイト分の領域をサブ制御部91が取得する。以下の説明では、ステップS201で取得した領域を取得領域と称する。サブ制御部91は、取得領域をNULLクリアする(ステップS202)。このNULLクリアは、取得領域に既に記憶されているデータ(いわゆるゴミ)をクリアするものである。
【0154】
サブ制御部91は、各カウンタに格納されているデータを変換して、取得領域に格納する(ステップS203)。このステップS203におけるデータの変換についての詳細は後述する。次いで、サブ制御部91は、取得領域に格納されたデータを2次元コードに符号化する(ステップS204)。サブ制御部91は、2次元コードを液晶表示器51に表示して(ステップS205)、本処理を終了する。
【0155】
図11は、出力処理のステップS203において、スロ側領域に格納されたデータを、コード側領域に格納可能なデータに変換する変換例を示す図である。
図11では、一例としてRBの発生回数を5回、BB(1)の発生回数を4回、BB(2)の発生回数を2回、リプレイの発生回数を312回、スイカの発生回数を27回、チェリーの発生回数を25回、ベルの発生回数を250回、ゲーム数を2500回としている。この場合、当選役とゲーム数をカウントする各カウンタには、以下の値(いずれも2進数表示)が格納されている。
【0156】
まず、cnt_rbには、「0000000000000101」が格納されている。cnt_bb1には、「0000000000000100」が格納されている。cnt_bb2には、「0000000000000010」が格納されている。cnt_rpには、「0000000100111000」が格納されている。cnt_skには、「0000000000011011」が格納されている。cnt_crには、「0000000000011001」が格納されている。cnt_blには、「0000000011111010」が格納されている。cnt_gmには、「0000100111000100」が格納されている。
【0157】
これら16ビットのデータは、いずれもコード側領域に格納できないため、サブ制御部91は、16ビットのデータをコード側領域に格納するためのデータに変換する。具体的には、RBの発生回数を格納するコード側領域の容量は5ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを5ビットのデータに変換する。cnt_rbの場合、サブ制御部91は、下位5ビットのみのデータに変換する。BB(1)の発生回数を格納するコード側領域の容量は5ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを5ビットのデータに変換する。cnt_bb1の場合、サブ制御部91は、下位5ビットのみのデータに変換する。BB(2)の発生回数を格納するコード側領域の容量は4ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを4ビットのデータに変換する。cnt_bb2の場合、サブ制御部91は、下位4ビットのみのデータに変換する。リプレイの発生回数を格納するコード側領域の容量は11ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを11ビットのデータに変換する。cnt_rpの場合、サブ制御部91は、下位11ビットのみのデータに変換する。スイカの発生回数を格納するコード側領域の容量は8ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを8ビットのデータに変換する。cnt_skの場合、サブ制御部91は、下位8ビットのみのデータに変換する。チェリーの発生回数を格納するコード側領域の容量は7ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを7ビットのデータに変換する。cnt_crの場合、サブ制御部91は、下位7ビットのみのデータに変換する。ベルの発生回数を格納するコード側領域の容量は11ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを11ビットのデータに変換する。cnt_blの場合、サブ制御部91は、下位11ビットのみのデータに変換する。ゲームの発生回数を格納するコード側領域の容量は14ビットであるため、サブ制御部91は、16ビットのデータを14ビットのデータに変換する。cnt_gmの場合、サブ制御部91は、下位14ビットのみのデータに変換する。
【0158】
以上のようにして変換されたデータは、取得領域に格納される。
図11に示したデータの場合、取得領域に格納されたデータは、以下のようになる。なお、以下のデータ(ビット列Zとする)における括弧は、分かりやすくするために1バイト区切りを示している。(00101001)(00001000)(10011100)(00001101)(10011001)(00011111)(01000100)(11100010)(00000000)…合計9バイト
【0159】
本実施形態では、上記ステップS204において、領域に格納されたデータを2次元コードに符号化する際に、ビット列Zのようなバイナリデータのまま2次元コードに符号化する。これにより、スロ側領域の合計である16バイトより大幅に少ない9バイトのデータを含む2次元コードを出力することができる。
【0160】
なお、本実施形態では、スロ側領域のカウンタは全て2バイトであったが、サブCPU91aが32ビットCPUの場合には、C言語のint型は4バイトの変数となるため、スロ側領域のカウンタを4バイトとしてもよい。この場合、スロ側領域の合計は32バイトとなるが、2次元コードに出力されるデータは同じ9バイトとなるため、サブCPU91aが32ビットCPUの場合には、より大きな減少効果が得られる。
【0161】
さらに、サブCPU91aが32ビットCPUの場合には、ビット列Zを一旦文字コードに変換し、その文字コードを2次元コードに符号化するようにしてもよい。
【0162】
図12は、符号化対応表と、文字への符号化例とを示す図である。まず
図12(a)の符号化対応表について説明する。符号化対応表は、ROM91bに記憶されている。本実施形態における文字への符号化では、まず符号化対象のビット列を4ビットずつのブロックに区切る。4ビットのブロックは、「0000」から「1111」までの16通り存在する。そこで、符号化対応表に示されるように、「0000」から、アルファベット順に、アルファベットの小文字を割り当てる。このようにすることで、任意の4ビットのデータを文字コードに符号化できる。
【0163】
図12(b)の符号化例は、ビット列Zの文字への符号化例を示す図である。符号化されたことにより生成された文字列は、「cjaijmanjjbpeeocaa」である。ビット列Zは、9バイトのため、4ビットのブロックに区切った場合、合計で18個のブロックとなることから、18個のアルファベットに符号化される。1つの文字は1バイトであるため、文字への符号化を行った場合のコード側領域の合計は18バイトとなるが、スロ側領域の合計は32バイトであるため、コード側領域よりもスロ側領域の容量が大きく確保されている。
【0164】
こうした文字への符号化によるメリットは、文字列を含むURLを携帯端末に表示させることにより、管理サーバへ誘導することができるので、遊技者に情報を提供可能となることである。遊技者に提供可能な情報としては、例えば機種に関する情報や、専用アプリケーション(専用アプリ)のプログラムがある。
【0165】
専用アプリは、2次元コードから取得された情報に対して所定の判定を行い、その判定結果に応じた処理を行うアプリケーションである。上記「所定の判定」とは、2次元コードから取得された情報がURLか否かの判定以外の判定である。例えば、2次元コードから取得された情報に、上記「cjaijmanjjbpeeocaa」のようなスロットマシン1における計数情報が含まれるか否かや、管理サーバなどの外部装置へのアクセスを許可するか否かなどが「所定の判定」に該当する。そして、「判定結果に応じた処理」の一例として、例えば2次元コードから取得された情報に、例えば計数情報が含まれるという判定結果が得られた場合には、その情報を外部装置に送信する処理が挙げられる。また、「判定結果に応じた処理」の他の一例として、外部装置へのアクセスを許可するという判定結果が得られた場合には、外部装置にアクセスする処理が挙げられる。なお、専用アプリは、表示内容がURLか否かを判定することを排除するものではなく、表示内容がURLか否かの判定を行ってもよい。この場合、専用アプリは、表示内容がURLか否かの判定に加え、上記「所定の判定」を行うアプリである。
【0166】
例えば、「cjaijmanjjbpeeocaa」を含むURLとして、「http://***.jp/***.php?data=cjaijmanjjbpeeocaa」が挙げられる。このURLのドメインは管理サーバを示す。スロットマシン1は、上記URLを示す2次元コードとして、
図13に示される2次元コードを出力する。
【0167】
携帯端末に専用アプリがインストールされている場合には、URLを表示せずに、「cjaijmanjjbpeeocaa」を管理サーバへ送信する。一方、汎用的な2次元コード読み取りアプリケーションが
図13に示される2次元コードを読み取ると、携帯端末に上記URLが表示される。遊技者が携帯端末に表示されたURLをタッチすると、管理サーバは「cjaijmanjjbpeeocaa」が計数結果であることを判定し、専用アプリ以外では計数結果を受け付けないため、携帯端末に専用アプリをダウンロードするための画面を表示させる。このようにして管理サーバは、専用アプリをインストールしていない遊技者に対して、専用アプリのダウンロードを促すことができる。
【0168】
以上、上記実施形態による遊技機は、(1)遊技を行うことが可能な遊技機(例えば、スロットマシン1、パチンコ遊技機等)であって、所定事象(例えば、1ゲームが行われたこと、当選役に当選したこと等)の発生回数を計数するための計数処理(例えば、
図8、9の計数処理等)を実行する計数処理実行手段(例えば、サブ制御部91等)と、前記計数処理により計数された計数結果を出力するための出力処理(例えば、
図10の出力処理等)を実行する出力処理実行手段(例えば、サブ制御部91等)と、を備え、前記出力処理において一の所定事象の発生回数を格納するための第1領域(例えばコード側領域等)の容量(例えば、9バイト等)よりも、前記計数処理において前記一の所定事象の発生回数を格納するための第2領域(例えば、
図7に示したカウンタcnt_rb、cnt_bb1、cnt_bb2、cnt_rp、cnt_sk、cnt_cr、及びcnt_bl等)の容量(例えば、16バイト等)を大きく確保したことを特徴とする。
【0169】
このような構成によれば、出力するデータ容量を節減しつつ、データの扱いを容易とすることができる。
【0170】
2次元コードは、格納される情報量が増加するにつれて、携帯端末での読み取りが困難となる。従って、出力するデータ量を節減することにより、より多くの携帯端末で読み取ることが可能な2次元コードを出力することができる。これにより、より多くの遊技者の携帯端末に対応することができる。
【0171】
次に、データの扱いが容易になることについて説明する。C言語では、変数を用いる場合、プログラム内で変数の型が宣言される。変数の型として、整数型のintやshort、文字型のcharなどがある。そして、変数同士の加減乗除は、基本的に同一の型の変数同士でなければ行うことができず、異なる型の変数を加減乗除する場合、キャストが必要となる。例えば、int型で変数x、yを宣言し、char型で変数zを宣言した場合、x=y+z;と記載されたプログラムをコンパイルすると、警告が発生する。この警告を解除するために、x=y+z;の例では、zをintでキャストした、x=y+(int)z;とする必要がある。
【0172】
こうした加算等に関し、スロットマシン1では、合成発生率(例えば、BBとRBの合成発生率や、小役全体の発生率等)を求めることがある。この場合、それぞれの変数の型が異なっていると、上述したキャストを行わなければならない。そこで、本実施形態のように、全てのカウンタを2バイトの型で宣言された変数とすることにより、キャストは不要となることから、データの扱いを容易にすることができる。なお、2バイトの型は、16ビットCPUではint型であり、32ビットCPUではshort型であることが一般的である。
【0173】
また、例えばRBの想定発生回数が22.2(
図6参照)であることから、スロ側領域の容量を節約するために、RBのカウンタをchar型(1バイトの型)とすることも考えられる。しかし、RBをカウンタをchar型としたとしても、スロ側領域の容量が節約されるとは限らない。これはパディングが発生する可能性があるためである。C言語において、複数のデータをひとまとめで扱う場合には、構造体が用いられる。2バイト型の変数x、1バイト型の変数yをメンバに持つ構造体に含まれる変数の合計は3バイトであるが、実際には4バイトのメモリが使用される。これは、バイト境界(この場合は4バイト)に合わせるために、1バイトの空間が強制的に入れられるためである。この入れられた空間がパディングである。一方、2バイト型の変数x、同じく2バイト型の変数yをメンバに持つ構造体に含まれる変数の合計は4バイトであるので、バイト境界と一致することから、そのまま4バイトのメモリが使用される。
【0174】
このように、スロ側領域を節約するために、変数の型のサイズを小さいものとした場合でも、必ずしも節約されるとは限らないことを鑑みると、全て(あるいは大半の)の変数を同じ型にしてデータの扱いを容易にした方が合理的である。
【0175】
以上説明した実施形態では、事象の例として、1ゲームが行われたことや当選役に当選したことを用いているが、これに限るものではない。事象の他の例として、ART(AT)ゲーム、押し順ナビ、ゲーム数上乗せ、チャンスゾーンなどが挙げられる。また、パチンコ遊技機の場合には、大当り、確変大当り、通常大当り、ラウンド昇格などが挙げられる。さらに、スロットマシン及びパチンコ遊技機で共通の事象の例として、演出が挙げられる。この演出には、液晶表示器で行われる演出、スピーカにより行われる音による演出、演出効果LEDにより行われる光による演出、リール演出(スロットマシンの場合はフリーズ等のリールによる演出、パチンコ遊技機の場合は、ドラムや飾り図柄による演出)などが例として挙げられる。
【0176】
さらに、上記2つ以上の事象を組み合わせたものを事象としてもよい。事象を組み合わせた事象として、例えば、ある演出(事象1)でART(AT)当選(パチンコ遊技機の場合には大当り)(事象2)という組み合わせや、ある当選役(事象1)でART当選(事象2)というような、事象1、2の組み合わせなどが例として挙げられる。
【0177】
上述した実施形態において、スロットマシン1は、計数結果を2次元コードとして出力しているが、バーコードなどの他のコードとして出力するようにしてもよいし、計数結果を有線接続、無線接続、赤外線接続などによって出力してもよい。
【0178】
また、スロットマシン1は可視光を発光する発光手段を備え、携帯端末は当該可視光を受光する受光手段を備えることにより、携帯端末はスロットマシン1から情報を取得してもよい。なお、可視光通信とは、人の目に見える光(具体的には、例えば波長が380nm~780nmの光)を高速に点滅させることによる無線通信である。可視光通信のメリットを幾つか挙げる。例えば、可視光は、人間にとって安全な波長領域なので、電波や赤外線と違って高い電力のまま送信できる。また、遊技者の医療機器や心臓ペースメーカー、スロットマシン1の精密機器等に悪影響を与えない。また、スロットマシン1には照明が至るところに設置可能であることから、簡単に無線通信環境を構築できる。また、無線通信を実現する上で、電波法の制約を受けない。
【0179】
(2)上記(1)の遊技機であって、前記出力処理において、前記第2領域に格納された情報(例えば、
図7に示したカウンタcnt_rb、cnt_bb1、cnt_bb2、cnt_rp、cnt_sk、cnt_cr、及びcnt_blが示す2バイトのデータ等)を、前記第1領域に格納可能な情報(例えば、
図7に示した「2次元コード」に示されるビット数のデータ)に変換する。
【0180】
このような構成によれば、出力するデータ容量を節減しつつ、データの扱いを容易とすることができる。
【0181】
(3)上記(1)または(2)の遊技機であって、前記計数処理において、前記所定事象の発生回数を計数する上限値(例えば、
図6の上限値等)を、前記第1領域に格納可能な数値の上限値(例えば、
図6の最大値等)以下の値とする。
【0182】
このような構成によれば、余裕を持たせて計数を止められ、正しい計数結果を出力することができる。
【0183】
(4)上記(3)の遊技機であって、所定事象として第1の事象(例えば、1ゲームが行われたこと等)と第2の事象(例えば、当選役に当選したこと等)とがあり、前記出力処理において第1の事象の発生回数(例えば、ゲーム数等)を格納するための領域(例えば、14ビットの領域等)と第2の事象の発生回数(例えば、当選役の当選回数等)を格納するための領域(例えば、当選役がRBの場合は5ビットの領域等)の容量は異なる一方、前記計数処理において第1の事象の発生回数を格納するための領域と第2の事象の発生回数を格納するための領域の容量は同一(例えば、2バイト等)である。
【0184】
このような構成によれば、第1の事象と第2の事象の計数について扱いが変わらない。これにより、上述したキャストが不要となるので、データの扱いを容易とすることができる。
【0185】
(5)上記(4)の遊技機であって、前記第1の事象の発生回数が前記上限値に達した否かを判定する判定手段(例えば、
図8の計数処理におけるステップS106等)を備え、前記計数処理では、前記判定手段により判定された判定結果に応じて、前記第1の事象の発生回数の計数と前記第2の事象の発生回数の計数とを停止させる(例えば、
図8のステップS101等)。
【0186】
このような構成により、第1の事象と第2の事象の比率として、正しい比率を出力することができる。
【0187】
図8の計数処理にて計数を停止した場合には、計数を停止した旨を遊技者に表示するようにしてもよい。表示方法としては、液晶表示器51に表示させる可視表示の他に、スピーカ53、54から音を出力する可聴表示等の方法がある。これにより、計数が停止されたことを遊技者が認識できるため、いったん遊技を中断して、2次元コードを出力させ、2次元コードを携帯端末で読み取り、読み取った計数結果を管理サーバへ送信したのちに遊技を再開することができる。また、遊技機では、計数を停止した旨を遊技者に表示するとともに、遊技者が遊技を継続する場合には、2次元コードを出力させ、管理サーバに計数結果を送信したのちに再開するように遊技者を促すような表示を行ってもよい。さらに、継続する場合には、2次元コードに継続することを示す情報を格納しておき、管理サーバにて、継続されたことで得られる複数の計数結果をまとめて1つの計数結果とするようにしてもよい。
【0188】
なお、本実施形態では、遊技機としてスロットマシン1を示しているが、本実施形態における遊技機は、遊技機での計数結果を出力可能な遊技機であればよい。例えば、遊技機として、遊技場に設置されるパチンコ遊技機であってもよい。また、本実施形態における遊技機は、各種商業施設(ゲームセンター、ショッピングモール等)に設置される設置型のゲーム機であってもよい。
【0189】
パチンコ遊技機に本実施形態を適用した場合、所定事象として特図ゲームや、可変表示ゲームが行われたこと、大当り(通常、確変)が発生したこと、突確が発生したこと等が挙げられる。これら所定事象を、パチンコ遊技機では、本実施形態のように例えば2バイトのカウンタでカウントする。そして、2次元コードで出力する場合には、
図6に示したように、確率に応じて定まるビット数にて出力することで、データの扱いを容易とするとともに、出力するデータ容量を節減可能となる。
【0190】
そして、例えば、特図ゲームが行われたことを第1の事象とし、大当りを第2の事象とし、本実施形態を適用することにより、特図ゲームの発生回数(スタート回数とも言われる)と大当りの発生回数との比率として、正しい比率を出力することができる。
【0191】
以上、本発明の本実施形態を図面により説明してきたが、本発明はこの本実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0192】
1 スロットマシン
2L、2C、2R リール
6 MAXBETスイッチ
7 スタートスイッチ
8L、8C、8R ストップスイッチ
41 メイン制御部
91 サブ制御部