(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】セルフピアシングコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2433 20180101AFI20220118BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01R4/2433
F01N3/08 B
(21)【出願番号】P 2020526131
(86)(22)【出願日】2018-04-05
(86)【国際出願番号】 US2018026183
(87)【国際公開番号】W WO2019099058
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-06-25
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】バッシー,パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ワーネク,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】グラント,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】モス,トーマス エス. サード
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-148196(JP,A)
【文献】特開平10-321268(JP,A)
【文献】実開平06-044030(JP,U)
【文献】特開2002-075483(JP,A)
【文献】特表2012-518138(JP,A)
【文献】特開平02-106881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0227529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/2433
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1本体と、
第2本体とを備え、
前記第1本体は、流体管絶縁層を貫通して流体管の第1伝導体を係合させるための第1切断部材を備え、
前記第2本体は、流体管絶縁層を貫通して流体管の第2伝導体を係合させるための第2切断部材を備え、
前記第1切断部材は、半円形状を呈し、前記第1切断部材の各端部から接線方向に延出する部分を備え、
前記第2切断部材は、半円形状を呈し、前記第2切断部材の各端部から接線方向に延出する部分を備え、
前記第1切断部材と前記第2切断部材は、互いに電気的に絶縁され、
前記第1本体は、第2本体に設けられる協働する第2連結部材と係合する第1連結部材を備え、
前記第1切断部材に連結可能な電気伝導体を受け入れる第1本体収容部と、
前記第2切断部材に連結可能な電気伝導体を受け入れる第2本体収容部とを備える
ことを特徴とするセルフピアシングコネクタ。
【請求項2】
前記第1本体と前記第2本体が電気伝導性を備えないことを特徴とする請求項1に記載のセルフピアシングコネクタ。
【請求項3】
前記流体管が液体を輸送することを特徴とする請求項1に記載のセルフピアシングコネクタ。
【請求項4】
前記第1連結部材がラッチを含むことを特徴とする請求項1に記載のセルフピアシングコネクタ。
【請求項5】
前記第2連結部材がフックを含むことを特徴とする請求項4に記載のセルフピアシングコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフピアシングコネクタに関し、より詳細には、半円形状を呈し、各端部から接線方向に延出する部分を有する第1切断部材と、半円形状を呈し、各端部から接線方向に延出する部分を有する第2切断部材とを備え、第1切断部材と第2切断部材が互いに電気的に絶縁されたセルフピアシングコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
選択接触還元(SCR)車両(ビークル)は、ディーゼル式自動車(ビークル)であり、排出物を低減するために使用される流体とともに利用される。一般的に、SCR車両は、燃料タンクから独立して尿素タンクを備え、自動車用尿素溶液などの流体を保持するのに用いられる。自動車用尿素溶液(AUS)は、高い純度の尿素を含むミネラル除去水からなる溶液である。AUSは、SCR車両の尿素タンクに貯留され、窒素酸化物を窒素元素と水に変換するために、車両の排気ガス中に噴霧される。これによりSCR車両は、ユーロV排出基準などの様々な排気ガス基準を有利に満足する。
【0003】
問題として、AUSは、約摂氏マイナス11度の温度で凍結する。この方法での排出物の低減をSCR車両において確実に有効に維持するには、AUSを噴射が可能な液体に維持する必要がある。
【0004】
SCR車両は、一般に、加熱ワイヤなどに頼っており、AUSの凍結を防止するため加熱ワイヤはAUSホースや配管に埋め込まれるか、その周りに巻かれる。この解決策は、その加温特性を変更するのに、流体ラインの完全な再設計が必要であり、やや不効率で柔軟性に欠ける解決策である。そのため、内部ワイヤアセンブリの加温特性を変更するには、ホースの別の製造工程を作出する必要があり、1フィート当たりの抵抗は、ワイヤピッチ、ワイヤサイズ、システムへの更なるワイヤの追加、あるいは、この3つの組み合わせの何れかにより変更される。
【0005】
SCRホースは、電源に接続される必要がある。一般的に絶縁ピアシング(IP)コネクタが絶縁ケーブル同士の間の機械的かつ電気的な接続を行うのに使用される。IPコネクタは一般的に、端部のそれぞれに一組の歯を備える金属ピアシングブレードを備える。ピアシングブレードは、ハウジング部材に取り付けられる(例えば、環境シーリング部品とともに)。ハウジング部材が絶縁ケーブル周りにクランプされることにより、ピアシングブレードの1組の歯は、メインケーブルに係合し、ピアシングブレードの他の組の歯は、別の伝動体に係合可能である。歯は、絶縁層を貫通し、下に敷かれた伝動体に接触し、ピアシングブレードを通して伝動体間の電気的導通を提供する。
【0006】
この技術の代表は、絶縁層により被覆された長尺の電気伝導体を含む第1および第2ケーブルを機械的および電気的に接続するための電気コネクタアセンブリを開示する米国特許第8444431号明細書であり、これらのケーブルを収容するように構成されたハウジング、ハウジング内の電気伝導性バス部材、ハウジング内の電気伝導性を有し、各々内部端、外部端、更に外部端に絶縁体貫通機構を備える第1、第2編組部材を備える。内部端は、バス部材に連結され、絶縁体貫通機構は、ケーブルの絶縁カバーを貫通してケーブル伝導体を電気的に係合するように構成された少なくとも1つの歯を各々備える。バス部材は、第1、第2ブレード部材の間の電気的な導通を提供し、それにより第1、第2ケーブルの伝導体は、伝導体同士が、第1、第2編組部材の絶縁貫通機構により係合されたときに導通する。
【0007】
必要とされているのは、半円形状を呈し、各端部から接線方向に延出する部分を有する第1切断部材と、半円形状を呈し、各端部から接線方向に延出する部分を有する第2切断部材とを備え、第1切断部材と第2切断部材が互いに電気的に絶縁されたセルフピアシングコネクタである。本発明はこの要求に合致する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の特徴は、半円形状を呈し、各端部から接線方向に延出する部分を備える第1切断部材と、半円形状を呈し、各端部から接線方向に延出する部分を備える第2切断部材とを備え、第1切断部材と第2切断部材が、互いに電気的に絶縁されているセルフピアシングコネクタを提供することである。
【0009】
本発明のその他の特徴は、以下の本発明の詳細な説明と添付された図面により明らかにされる。
【0010】
本発明は、第1本体と、第2本体とを備え、第1本体が流体管絶縁層を貫通して流体管の第1伝導体を係合させるための第1切断部材を備え、第2本体が流体管絶縁層を貫通して流体管の第2伝導体を係合させるための第2切断部材を備え、第1切断部材が半円形状を呈し、第1切断部材の各端部から接線方向に延出する部分を備え、第2切断部材が半円形状を呈し、第2切断部材の各端部から接線方向に延出する部分を備え、第1切断部材と第2切断部材が互いに電気的に絶縁され、第1本体が、第2本体に設けられる協働する第2連結部材と係合する第1連結部材を備え、第1切断部材に連結可能な電気伝導体を受け入れる第1本体収容部と、第2切断部材に連結可能な電気伝導体を受け入れる第2本体収容部とを備えるセルフピアシングコネクタを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を例示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、クランプ本体の斜視図である。コネクタ100は、2つのクランプ本体を備える。クランプ本体10は、半円形状を有する。クランプ本体10は、内側面11と外側面12を備える。溝13と溝14は、各々放射状に延出し、周方向に内側面11を形成する。
【0013】
各クランプ本体10は、ラッチ15a、15bと、クランプ本体20上に協働するフック26a、26bを備える。完成されたコネクタの閉包体(クロージャ)は、クランプ本体10と協働するクランプ本体20が結合されたものである。クランプ本体10のフック16aは、対応するクランプ本体20のラッチ25aと係合する。クランプ本体10とクランプ本体20は、実質的に相手方に対する鏡像である。
【0014】
切断部材30は、溝14に配置される。切断部材30は、半円形状を呈し、クランプ本体20に係合するためクランプ本体10を超えて接線方向に突出する延長部31a、31bを備える。切断部材30は、切断部材30の径方向内側に尖頭エッジ31を備える。尖頭エッジ31は、クランプが流体管90に適用されたときに絶縁層を切断あるいは貫通する。
【0015】
切断部材40は、クランプ本体20内の溝19内に取り付けられる。対応する切断部材40a、40bは、コネクタが流体管の上で閉じられるとき、各々溝13に嵌合する。対応する切断部材30a、30bは、コネクタが流体管の上で閉じられるとき、各々クランプ本体20内の協働する溝に嵌合する。
【0016】
クランプ本体10は、それを通して電気伝導体が切断部材30に接続可能な収容穴(第1本体収容部)17を備える。切断部材30は伝導体である。
【0017】
流体管90は、水、尿素、作動液、ディーゼル燃料、あるいは他の如何なる液体も流体管90が両立できるものとともに輸送するのに使用できる。
【0018】
各クランプ本体10、20は、プラスチックなどの電気絶縁素材を含む。
【0019】
図2は、組立てられたコネクタの側面図である。コネクタ本体10は、コネクタ本体20に結合されている。ラッチ25aはフック16aと係合されている。ラッチ25bはフック16bと係合されている。
【0020】
切断部材30と切断部材40は、互いに電気的に絶縁されように、距離x離れている。距離xは、切断部材30が切断部材40と電気的に接触することを防止する。切断部材30は、溝14内に配置される。切断部材40は、溝19内に配置される。
【0021】
図3は、クランプ本体の端面図である。流体管90は、コネクタ内に組み付けられた配置で示される。切断部材30は、絶縁層91を切断あるいは貫通して示される。切断部材30は、半円形状を呈し、クランプ本体10を超えて周方向に延出する延長部31a、31bを備える。絶縁層91内に配置されるのは、流体管90の長さ方向に延在する伝導体92aである。切断部材30は、伝導体92a同士を電気的に接触させるのに十分、絶縁層91を貫通する。切断部材30は伝動性があるため、一度装着されると切断部材30は全ての伝導体92aを電気的に接続する。しかし、それが半円形状をしていることから、切断部材30は、流体管90内の全ての伝導体92に接触するわけではなく、伝導体の一部、すなわち、92aとのみ接触する。
【0022】
図4は、クランプ本体の端面図である。流体管90は、コネクタ内で組み付けられた配置で示される。切断部材40は、絶縁層91を切断あるいは貫通して示される。切断部材40は、半円形状を呈し、クランプ本体20を超えて周方向に延出する延長部41a、41bを備える。絶縁層91内に配置されるのは、流体管90の長さ方向に延在する伝導体92bである。切断部材40は、伝導体92b同士を電気的に接触させるのに十分、絶縁層91を貫通する。切断部材40は伝動性があるため、一度装着されると切断部材40は全ての伝導体92bを電気的に接続する。切断部材40は、流体管90内の全ての伝導体92に接触するわけではなく、伝導体の一部、すなわち、92bとのみ接触する。伝導体92aと伝導体92bは、流体管90内の全ての伝導体92を含む。
【0023】
クランプ本体20は、それを通して電気伝導体81が切断部材40に接続可能な収容穴(第2本体収容部)18を備える。
【0024】
図5は、組立てられたコネクタの端面図である。クランプ本体20は、ここで説明されたラッチとフックによりクランプ本体10と結合される。コネクタ100は、流体管90の周りに閉塞される。切断部材30は、伝導体92aと回路を完成する。切断部材40は、伝導体92bと回路を完成する。切断部材30と切断部材40は、互いに電気的に連結されていない。伝導体92aは、伝導体92bから電気的に絶縁されている。
【0025】
図6は、流体管に結合されたクランプの斜視図である。クランプ本体10は、流体管90上の所望の位置において反対側のクランプ本体20に取り付けられる。クランプ本体10は、クランプ本体10のラッチがクランプ本体20のフックに係合するまで圧着され、逆も同様である。
【0026】
部分30a、30b、40a、40bは、それぞれのクランプ本体20、10内の協働する溝と提携してコネクタの最終的な組立を容易にする。
【0027】
その後、所望の回路を完成するのに必要とされる場合、電気伝導体80、81が切断部材30と切断部材40にそれぞれ接続できる。コネクタ85は、伝導体92a、92bの各々に電力を供給するため、伝導体80、81を電源システムに接続する。伝導体80または81を、要求される回路とアプリケーションに応じて単一で使用してもよい。伝導体92a、92bは、流体管90内の温度を上昇させるのに使用される抵抗加熱素子を備え、これにより例えば流体の凍結を防止する。電源は、車両の電気システムや他の適当な電源により供給可能である。
【0028】
図7は、流体管に結合されたクランプの斜視図である。コネクタ100は、流体管90に完全に噛み合った状態で示される。コネクタ85は、電源(不図示)に連結可能である。
【0029】
ここで本発明の一形態が説明されたが、当業者であれば、ここで説明された発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その構成、パーツや方法間の関係に様々な変更ができることは明らかである。