(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】製パン器
(51)【国際特許分類】
A47J 37/00 20060101AFI20220118BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20220118BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20220118BHJP
【FI】
A47J37/00 301
F24C1/00 320B
F24C7/04 A
(21)【出願番号】P 2017171883
(22)【出願日】2017-09-07
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】507152202
【氏名又は名称】吉村 清己
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 清己
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020780(JP,A)
【文献】特開2008-178461(JP,A)
【文献】特開2011-097829(JP,A)
【文献】特開2002-272604(JP,A)
【文献】特開2006-149593(JP,A)
【文献】特開2018-161260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00
F24C 1/00
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室と、
前記加熱室の底部に
配置したメッシュ材からなる台座と、
前記台座の下に設けた乾燥した蒸気の蒸気発生室と、
前記加熱室内に設けたヒーターとを
備え、
前記蒸気発生室は貯水部と、前記貯水部には水中及びその水面から上側に突出した状態で配設された加熱ヒーターを有し、
前記加熱室内に設けたヒーターは前記加熱室の内壁に沿って水平方向の枠状に形成してあることを特徴とする製パン器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン生地の発酵又はパンの焼き上げに用いる製パン器に関する。
【背景技術】
【0002】
パンの製造には、パン生地をこねた後に、パン生地を30~60℃にて発酵する工程を経て、130~200℃にて焼き上げる工程を有する。
従来の製パン器においては、例えば特許文献1~3に示すように、焼成室内等にヒーターや電磁誘導加熱手段を備えたものであり、焼成室内には空気が充満しており、パン生地等が空気で酸化されるために日持ちが悪かったり、早期に変色する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-116525号公報
【文献】特開2001-17062号公報
【文献】特開2015-58068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ふっくらした状態に仕上がり、日持ちが良い製パン器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る製パン器は、加熱室と、前記加熱室の底部に設けた、乾燥した蒸気の蒸気発生室と、前記加熱室内に設けたヒーターとを備えたことを特徴とする。
ここで加熱室は、必要に応じて温度センサーを有し、パン生地の発酵条件あるいは焼き上げ条件に合せて温度制御されている。
【0006】
本発明において蒸気発生室は、貯水部と前記貯水部に配設した加熱ヒーターを有するのが好ましい。
また、加熱室内に設けたヒーターは前記加熱室の内壁に沿って枠状に形成してあるのが好ましい。
【0007】
本発明において、蒸気発生室を設けたのは、加熱室の内部を還元雰囲気にすることで、従来の空気による酸化を防止するためである。
よって、本発明に用いる蒸気は、湿り気のあるミスト状ではなく、透明に近い乾燥した過熱蒸気であるのが好ましい。
このような蒸気の状態は、貯水部に設けた加熱ヒーターと、加熱室に設けたヒーターとの組み合せにて達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る製パン器は、加熱室内に過熱蒸気等の乾燥した蒸気を充満させることで、相対的に空気中の酸素濃度が低くなり、還元状態になる。
このような還元状態にてパン生地を発酵させると、ふっくらとしたモチモチ感があるだけでなく、従来のパンの2~3倍以上の日持ちが長くなる。
また、本発明に係る製パン器で発酵させ、次に焼き上げると、さらに日持ちが良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る製パン器の構造例を示し、(a)は加熱室の断面図、(b)は加熱室内部の平面図、(c)はメッシュ状の台座を取り外した平面図を示す。
【
図2】製パン器の外観斜視図を示し、(a)は蓋部を開けた状態、(b)は閉じた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る製パン器の構造例を以下、図に基づいて説明する。
図2に外観図を示し、
図1に加熱室の内部構造を示す。
製パン器は、本体11に設けた加熱室12と、この加熱室12を開閉する蓋部13を有している。
本体部11には、加熱温度,加熱時間等の条件を設定,入力する操作部18と、内部に制御部とを有する。
上面には、蓋部の開閉操作部18aを有する。
【0011】
加熱室12の内部には、上段側と下段側の2段に枠状のヒーター14a,14bが取り付けられている。
この枠状のヒーターの内側に、パン生地や二次発酵したパン生地を入れるパンケースが納まるようになっている。
そこで、パンケースを載置できるように、ステンレス製等のメッシュ材からなる台座15を加熱室12の底部に配置し、その下側に蒸気発生室16を設けた。
蒸気発生室16は、水Wを貯水できる凹部形状になっており、水平方向に加熱ヒーター17を設けてある。
加熱ヒーター17は、高さ方向の幅が広く、加熱ヒーター17の上部側が貯水凹部に入れた水Wの水面から上側に突出する状態になっている。
これにより、水を単に加熱するだけでなく、発生した蒸気が上昇する際に100℃以上に過熱された乾燥蒸気となる。
また、加熱室内の枠状のヒーター14a,14bにても乾燥した蒸気となる。
本発明において過熱蒸気は、加熱室内を還元状態にするためであり、空気中の酸素濃度が相対的に低減できればよいので、僅かな量でよい。
従って水の量は、発酵,焼き上げの1回当たりの使用量でよい。
【0012】
ステンレス等のパンケースに二次発酵したパン生地を入れ、これを加熱室12に入れ、焼き上げたところ、約1週間経てもそのままふっくらとしたモチモチ感があり、風味にも変化がなかった。
本発明に係る製パン器は、パン生地の発酵から焼き上げまでを連続的に行うこともできる。
【符号の説明】
【0013】
11 本体部
12 加熱室
13 蓋部
14a ヒーター
14b ヒーター
15 台座
16 蒸気発生室
17 加熱ヒーター
18 操作部