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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/06 20060101AFI20220118BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
E06B7/06
E06B3/48
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018030775
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019143436
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】大庭 崇嗣
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-011846(JP,A)
【文献】特開2015-227563(JP,A)
【文献】特開平08-068275(JP,A)
【文献】特開2017-082589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/06
E06B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と脱衣室との間に設置される建具であって、
前記浴室と前記脱衣室とを連通させる開口部を有する枠体と、
前記枠体に軸支される軸支部と、前記軸支部から横方向に離れた位置に設けられた戸先部と、を有し、前記枠体に対して前記軸支部を軸に前記浴室側へ動くことで前記開口部を開閉可能に支持される折り戸又は開き戸である障子と、
前記枠体と前記障子との間に設けられ、前記障子で仕切られる前記浴室側と前記脱衣室側とを連通させる通気部と、
前記枠体に設けられ、前記通気部を開閉する開閉部材と、
を備え、
前記開閉部材は、前記浴室側から操作可能であり、
前記開閉部材は、一端側に設けれた軸部と、他端側に設けられた先端部と、を有し、
前記軸部は、前記枠体に回動可能に軸支され、
前記先端部は、前記枠体から前記浴室側へ突出するように延出していることを特徴とする建具。
【請求項2】
記軸部は、前記枠体内に設けられることを特徴とする請求項1記載の建具。
【請求項3】
前記開閉部材は、前記先端部と前記軸部との間に設けられた当接部をさらに有し、
前記当接部は、前記開閉部材が前記通気部を閉じた閉状態において、前記障子と当接し、
前記先端部は、前記閉状態において、前記障子と当接せず、前記当接部よりも浴室側に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の建具。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記障子が前記開口部を開いた全開位置に移動した際に、前記通気部を開いた開状態となり、前記障子が前記全開位置から移動した後にも、前記開状態を維持するように構成されたことを特徴とする請求項3記載の建具。
【請求項5】
前記開閉部材は、前記当接部と前記軸部との間に設けられ、前記脱衣室側に向かって延出した延出部をさらに有することを特徴とする請求項3又は4に記載の建具。
【請求項6】
前記枠体は、前記障子に向かって延出した延出部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の建具。
【請求項7】
前記障子は、前記枠体に向かって延出した延出部を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の建具。
【請求項8】
前記開閉部材を前記脱衣所側から操作可能とする操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室と脱衣室との間の開口部に設置される折り戸や開き戸の建具がある。こうした建具において、浴室内での換気扇などの駆動に応じて脱衣室側から自動的に浴室内に通気するための通気部(換気経路)を設けることが知られている。
【0003】
一方で、例えば、浴室内に湯水を噴霧することで、ミストサウナを楽しめる浴室も知られている。ミストサウナを実施するためには、上述した通気部を閉じ、ミストが脱衣室側に出ないようにしなければ、脱衣室側にミストが充満してしまい、脱衣室が濡れてしまったり、カビなどの発生の原因となったりしてしまう可能性がある。従って、通気部を開閉する開閉部材及びこの開閉部材を動作させるための操作部が必要である。
【0004】
通気部を開閉する開閉部材を動作させるための操作部を建具の脱衣室側に設けると、例えば、入浴者が入浴途中にミストサウナを動作させようとした場合に、ミストサウナを実施するために一度脱衣室に移動しなければならず、非常に使い勝手が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-227563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使い勝手を向上させた建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、浴室と脱衣室との間に設置される建具であって、前記浴室と前記脱衣室とを連通させる開口部を有する枠体と、前記枠体に軸支される軸支部と、前記軸支部から横方向に離れた位置に設けられた戸先部と、を有し、前記枠体に対して前記軸支部を軸に前記浴室側へ動くことで前記開口部を開閉可能に支持される折り戸又は開き戸である障子と、前記枠体と前記障子との間に設けられ、前記障子で仕切られる前記浴室側と前記脱衣室側とを連通させる通気部と、前記枠体に設けられ、前記通気部を開閉する開閉部材と、を備え、前記開閉部材は、前記浴室側から操作可能であることを特徴とする建具である。
【0008】
この建具によれば、開閉部材が浴室側から操作可能であることにより、入浴者が入浴途中にミストサウナを実施しようとした場合にも、一度脱衣室側に移動する必要がなくなり、使い勝手を向上させることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記開閉部材は、一端側に設けれた軸部と、他端側に設けられた先端部と、を有し、前記軸部は、前記枠体内に設けられ、前記枠体に回動可能に軸支され、前記先端部は、前記枠体から前記浴室側へ突出するように延出していることを特徴とする建具である。
【0010】
この建具によれば、先端部が枠体から浴室側へ突出するように延出しているため、開閉部材を操作中に脱衣室側から誤って折り戸又は開き戸である障子が開かれた場合にも、開閉部材を操作している指が、開閉部材と枠体との間で挟まってしまう可能性を低減させることができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記開閉部材は、前記先端部と前記軸部との間に設けられた当接部をさらに有し、前記当接部は、前記開閉部材が前記通気部を閉じた閉状態において、前記障子と当接し、前記先端部は、前記閉状態において、前記障子と当接せず、前記当接部よりも浴室側に位置することを特徴とする建具である。
【0012】
この建具によれば、先端部が、閉状態において障子と当接せず、当接部よりも浴室側に位置することにより、開閉部材を操作中に脱衣室側から誤って折り戸又は開き戸である障子が開かれた場合にも、開閉部材を操作している指が、開閉部材と枠体との間で挟まってしまう可能性をより低減させることができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記開閉部材は、前記障子が前記開口部を開いた全開位置に移動した際に、前記通気部を開いた開状態となり、前記障子が前記全開位置から移動した後にも、前記開状態を維持するように構成されたことを特徴とする建具である。
【0014】
この建具によれば、開閉部材は、障子が開いた際に自動的に開状態となるため、浴室利用後に開閉部材を開状態にし忘れてしまい、浴室内の換気効率が低下してしまうことを抑制することができる。
【0015】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、前記開閉部材は、前記当接部と前記軸部との間に設けられ、前記脱衣室側に向かって延出した延出部をさらに有することを特徴とする建具である。
【0016】
この建具によれば、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部の部分にかかったとしても、通気部を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0017】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記枠体は、前記障子に向かって延出した延出部を有することを特徴とする建具である。
【0018】
この建具によれば、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部の部分にかかったとしても、通気部を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0019】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記障子は、前記枠体に向かって延出した延出部を有することを特徴とする建具である。
【0020】
この建具によれば、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部の部分にかかったとしても、通気部を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0021】
第8の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明において、前記開閉部材を前記脱衣所側から操作可能とする操作部をさらに備えたことを特徴とする建具である。
【0022】
この建具によれば、脱衣室にいる人が、操作部を視認することで、開閉部材の開閉の状態を認識することができる。例えば、入浴者が入浴中である際に、ミストサウナを実施している可能性があることを、操作部の状態を視認することで、脱衣室にいる人に認識させることができる。これにより、ミストサウナの実施中に誤って障子を開けてしまい、ミストを脱衣室側に漏らしてしまうなどの事態の発生を抑制することができる。さらには、入浴前などに操作部を操作することによって、脱衣室側から開閉部材を操作することもでき、より使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の態様によれば、使い勝手を向上させた建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る建具を模式的に表す正面図である。
図2】実施形態に係る建具を模式的に表す正面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
図5図5(a)~図5(c)は、実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0026】
図1及び図2は、実施形態に係る建具を模式的に表す正面図である。
図1及び図2に表したように、建具10は、枠体20と、障子30と、を備える。建具10は、浴室と脱衣室との間に設置して使用される浴室用の建具である。
【0027】
枠体20は、浴室と脱衣室とを連通させる開口部22を有する。開口部22は、例えば、略矩形状である。枠体20は、例えば、略矩形の枠状である。
【0028】
障子30は、第1扉部31と、第2扉部32と、を有する。第1扉部31は、枠体20に軸支される軸支部33を有する。軸支部33は、上下方向を軸に枠体20に軸支される。第2扉部32は、軸支部33から横方向に離れた位置に設けられた戸先部34を有する。軸支部33は、換言すれば、障子30の一方の側端であり、戸先部34は、換言すれば、障子30の他方の側端である。障子30は、枠体20に対して軸支部33を軸に浴室側へ動くことで開口部22を開閉可能に軸支される。
【0029】
第1扉部31及び第2扉部32は、例えば、略矩形の平板状である。第1扉部31及び第2扉部32の上下方向の長さは、開口部22の上下方向の長さと実質的に同じか、僅かに短い程度である。第1扉部31及び第2扉部32の横方向の長さは、開口部22の横方向の長さの半分の長さと実質的に同じか、僅かに短い程度である。これにより、図1に表したように、第1扉部31と第2扉部32とを横に並べて配置することで、開口部22を閉じることができる。
【0030】
上記のように、軸支部33は、上下方向を軸に枠体20に軸支されている。第1扉部31の軸支部33と反対側の側端は、第2扉部32の戸先部34と反対側の端部と回動可能に接続されている。第2扉部32の戸先部34は、上下方向を軸に回動可能、且つ横方向にスライド移動可能に枠体20に支持されている。これにより、図2に表したように、第1扉部31を軸支部33を軸に回動させるとともに、第2扉部32を回動させながら軸支部33側にスライド移動させることにより、開口部22を開くことができる。
【0031】
このように、障子30は、開口部22を閉じた全閉位置(図1に表した位置)と、開口部22を開いた全開位置(図2に表した位置)と、に移動する。障子30で開口部22を閉じることにより、浴室と脱衣室とを仕切ることができる。そして、障子30で開口部22を開くことにより、浴室への入退室が可能になる。
【0032】
この例において、障子30は、いわゆる折り戸である。第1扉部31及び第2扉部32は、全開位置に移動する際、浴室側(図1及び図2において紙面手前側)に向かって回動する。これにより、障子30を開いた際に、第1扉部31及び第2扉部32の浴室側の面に付着した水滴が、脱衣室側に垂れ落ちてしまうことを抑制することができる。
【0033】
なお、障子30は、折り戸に限ることなく、開口部22の形状に対応した一枚の扉部で開口部22を開閉する開き戸でもよい。開き戸の場合には、一枚の扉部の一方の側端が軸支部33となり、他方の側端が戸先部34となる。また、開き戸の場合も同様に、障子30は、浴室側に向かって回動する。
【0034】
図3(a)、図3(b)、図4(a)、及び図4(b)は、実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
図3(a)、図3(b)、図4(a)、及び図4(b)は、図1のA1-A2線断面を模式的に表す。図3(a)、図3(b)、及び図4(b)は、障子30が全閉位置にある状態を模式的に表し、図4(a)は、障子30が全開位置にある状態を模式的に表す。
【0035】
図3(a)、図3(b)、図4(a)、及び図4(b)に表したように、建具10は、通気部40と、開閉部材42と、をさらに備える。通気部40は、枠体20と障子30との間に設けられ、障子30で仕切られる浴室側と脱衣室側とを連通させる。これにより、例えば、浴室内で換気扇などを駆動した際に、脱衣室側から浴室側へ向かう空気の流れを通気部40を介して形成し、浴室内の換気効率を向上させることができる。通気部40は、換言すれば、換気経路である。通気部40は、例えば、枠体20と軸支部33との間に設けられる。但し、通気部40の位置は、これに限ることなく、枠体20と障子30との間の任意の位置でよい。例えば、通気部40は、枠体20と戸先部34との間に設けてもよい。
【0036】
枠体20のうち、軸支部33と隣接する隣接部24は、軸支部33と反対側に向かって凹む凹状である。隣接部24は、換言すれば、軸支部33と対向する面を開放させた四角筒状である。この例では、この隣接部24の内部の空間が、通気部40となる。
【0037】
開閉部材42は、枠体20に設けられ、通気部40を開閉する。通気部40を開いた場合には、前述のように、浴室内の換気効率を向上させることができる。一方、通気部40を閉じた場合には、例えば、浴室内でミストサウナを実施する際に、ミストが脱衣室側に漏れてしまうことを抑制することができる。
【0038】
開閉部材42は、例えば、上下方向に延びる板状である。通気部40及び開閉部材42の上下方向の長さは、例えば、開口部22(軸支部33)の上下方向の長さに対して僅かに短い程度である。通気部40及び開閉部材42は、例えば、開口部22の上下方向の略全体に設けられる。但し、通気部40及び開閉部材42の上下方向の長さは、開口部22の上下方向の長さよりも短くてもよい。通気部40及び開閉部材42は、枠体20と障子30との間の少なくとも一部に設けられていればよい。枠体20と障子30との間の一部は、例えば、パッキンなどで気密性を有するように塞がれていてもよい。通気部40及び開閉部材42の上下方向の長さは、例えば、浴室において必要な換気量を満たすことができる任意の長さでよい。
【0039】
開閉部材42は、図3(a)に表したように通気部40を閉じた閉状態と、図3(b)に表したように通気部40を開いた開状態と、に移動する。開閉部材42は、浴室側から操作可能である。開閉部材42は、入浴者などが浴室側から直接的に操作できるように枠体20に設けられている。開閉部材42は、入浴者などの手動操作により、上記の閉状態と開状態とに移動する。
【0040】
開閉部材42は、一端側に設けられた軸部42aと、他端側に設けられた先端部42bと、有する。軸部42aは、枠体20内に設けられ、枠体20に回動可能に軸支される。先端部42bは、枠体20から浴室側へ突出するように延出している。
【0041】
また、開閉部材42は、先端部42bと軸部42aとの間に設けられた当接部42cをさらに有する。当接部42cは、開閉部材42が通気部40を閉じた閉状態において、障子30と当接する。当接部42cは、例えば、閉状態において障子30の軸支部33に当接する。先端部42bは、閉状態において、障子30と当接せず、当接部42cよりも浴室側に位置する。
【0042】
図4(a)に表したように、開閉部材42は、障子30が開口部22を開いた全開位置に移動した際に、通気部40を開いた開状態となる。そして、図4(b)に表したように、開閉部材42は、障子30が全開位置から移動した後にも、開状態を維持するように構成されている。すなわち、建具10は、障子30が全開位置から移動した後にも、開閉部材42の開状態を維持する開状態維持手段を備える。開状態維持手段は、例えば、軸部42aの回動の摩擦力を調整することによって実現することができる。あるいは、開閉部材42を開状態に維持するためのラッチ機構などで実現してもよい。ラッチ機構には、例えば、爪などを係合させて保持する機構や、磁石によって吸着保持する機構などを用いることができる。
【0043】
以上、説明したように、本実施形態に係る建具10では、開閉部材42が浴室側から操作可能であることにより、入浴者が入浴途中にミストサウナを実施しようとした場合にも、一度脱衣室側に移動する必要がなくなり、使い勝手を向上させることができる。
【0044】
また、建具10では、先端部42bが枠体20から浴室側へ突出するように延出しているため、開閉部材42を操作中に脱衣室側から誤って折り戸又は開き戸である障子30が開かれた場合にも、開閉部材42を操作している指が、開閉部材42と枠体20との間で挟まってしまう可能性を低減させることができる。また、先端部42bを掴みやすくし、開閉部材42の操作性を向上させることもできる。
【0045】
また、建具10では、先端部42bが、閉状態において障子30と当接せず、当接部42cよりも浴室側に位置することにより、開閉部材42を操作中に脱衣室側から誤って折り戸又は開き戸である障子30が開かれた場合にも、開閉部材42を操作している指が、開閉部材42と枠体20との間で挟まってしまう可能性をより低減させることができる。また、先端部42bを掴みやすくし、開閉部材42の操作性をより向上させることもできる。
【0046】
また、建具10では、開閉部材42は、障子30が開いた際に自動的に開状態となるため、浴室利用後に開閉部材42を開状態にし忘れてしまい、浴室内の換気効率が低下してしまうことを抑制することができる。
【0047】
図5(a)~図5(c)は、実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。また、図5(a)~図5(c)は、図3及び図4と同様に、図1のA1-A2線断面に相当する。
図5(a)に表したように、この例では、開閉部材42が、延出部50をさらに有する。延出部50は、当接部42cと軸部42aとの間に設けられ、脱衣室側に向かって延出している。
【0048】
このように、開閉部材42に延出部50を設けることにより、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部40の部分にかかったとしても、通気部40を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0049】
図5(b)に表したように、この例では、枠体20が、障子30に向かって延出した延出部52を有する。延出部52は、例えば、軸支部33に向かって延出する。このように、枠体20に延出部52を設けた場合にも、上記と同様に、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部40の部分にかかったとしても、通気部40を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0050】
図5(c)に表したように、この例では、障子30が、枠体20(通気部40)に向かって延出した延出部54を有する。延出部54は、例えば、軸支部33から枠体20に向かって延出する。このように、障子30に延出部54を設けた場合にも、上記と同様に、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部40の部分にかかったとしても、通気部40を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0051】
延出部54は、例えば、第1部分54aと、第2部分54bと、を有する。第1部分54aは、障子30が全閉位置にある状態において、枠体20に向かって延びる。第2部分54bは、障子30が全閉位置にある状態において、第1部分54aの枠体20側の端部から前後方向に延びる。この例において、第2部分54bは、障子30が全閉位置にある状態において、浴室側に向かって延びる。第1部分54aの枠体20側の端部は、通気部40内に位置する。第2部分54bは、通気部40内に位置する。
【0052】
このように、第1部分54a及び第2部分54bを設けることにより、通気部40の部分の水の通り抜けを、より確実に抑制することができる。但し、延出部54の構成は、上記に限ることなく、通気部40の部分の水の通り抜けを抑制可能な任意の構成でよい。
【0053】
また、建具10は、延出部50、52、54のそれぞれを有してもよいし、延出部50、52、54のいずれかを組み合わせて有してもよい。これにより、通気部40の部分の水の通り抜けを、より確実に抑制することができる。
【0054】
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、図6(a)及び図6(b)は、図3及び図4と同様に、図1のA1-A2線断面に相当する。
図6(a)及び図6(b)に表したように、この例では、建具10が、操作部60をさらに備える。操作部60は、開閉部材42を脱衣所側から操作可能とする。操作部60の一端は、開閉部材42に接続されている。操作部60の他端は、枠体20から脱衣室側へ突出するように延出している。操作部60は、例えば、棒状である。これにより、操作部60の他端側を把持して操作することで、脱衣室側から開閉部材42の開閉動作を操作することができる。操作部60は、例えば、開閉部材42の軸部42aを軸に回動する。なお、図6(b)に表したように、当接部42cが軸支部33から離間している状態においては、操作部60と軸支部33との間には、隙間が設けられており、浴室と脱衣室とを通気できる状態となっている。
【0055】
この例において、枠体20は、切り欠き部26を有する。切り欠き部26は、枠体20の脱衣室側の面に設けられる。切り欠き部26は、操作部60を挿通可能とし、開閉部材42の開状態と閉状態とに対応した操作部60の回動を許容する。換言すれば、切り欠き部26は、枠体20と開閉部材42との干渉を抑制する。
【0056】
このように、操作部60の回転軌道が大きく、枠体20と干渉する場合などには、操作部60の移動を許容するための切り欠き部26などを枠体20に設けてもよい。但し、枠体20と操作部60とが干渉しない場合には、切り欠き部26を設ける必要は無い。切り欠き部26は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0057】
このように、操作部60を設けることにより、脱衣室にいる人が、操作部60を視認することで、開閉部材42の開閉の状態を認識することができる。例えば、入浴者が入浴中である際に、ミストサウナを実施している可能性があることを、操作部60の状態を視認することで、脱衣室にいる人に認識させることができる。これにより、ミストサウナの実施中に誤って障子を開けてしまい、ミストを脱衣室側に漏らしてしまうなどの事態の発生を抑制することができる。さらには、入浴前などに操作部60を操作することによって、脱衣室側から開閉部材42を操作することもでき、より使い勝手を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、建具10、100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0059】
10 建具、 20 枠体、 22 開口部、 24 隣接部、 30 障子、 31 第1扉部、 32 第2扉部、 33 軸支部、 34 戸先部、 40 通気部、 42 開閉部材、 50、52、54 延出部、 60 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6