(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/06 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
E06B7/06
(21)【出願番号】P 2018030777
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】石間 敦
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-227563(JP,A)
【文献】特開平07-011846(JP,A)
【文献】特開平08-068275(JP,A)
【文献】特開2017-082589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と脱衣室との間に設置される建具であって、
前記浴室と前記脱衣室とを連通させる開口部を有する枠体と、
前記枠体に軸支される軸支部と、前記軸支部から横方向に離れた位置に設けられた戸先部と、を有し、前記枠体に対して前記軸支部を軸に前記浴室側へ動くことで前記開口部を開閉可能に支持される折り戸又は開き戸である障子と、
前記枠体と前記障子との間に設けられ、前記障子で仕切られる前記浴室側と前記脱衣室側とを連通させる通気部と、
前記通気部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材を開閉動作させるための操作部と、
前記枠体の前記脱衣室側に設けられ、前記操作部に連動する連動部と、
を備え、
前記開閉部材は、前記枠体に設けられ、
前記操作部は、前記枠体の前記浴室側に設けられており、前記浴室側から操作可能であるように構成され
、
前記開閉部材が前記通気部を開いた開状態となる位置へ前記操作部が移動した際は、前記連動部も前記開閉部材が前記開状態となる位置へ移動し、
前記開閉部材が前記通気部を閉じた閉状態となる位置へ前記操作部が移動した際は、前記連動部も前記開閉部材が前記閉状態となる位置へ移動するように構成されたことを特徴とする建具。
【請求項2】
浴室と脱衣室との間に設置される建具であって、
前記浴室と前記脱衣室とを連通させる開口部を有する枠体と、
前記枠体に軸支される軸支部と、前記軸支部から横方向に離れた位置に設けられた戸先部と、を有し、前記枠体に対して前記軸支部を軸に前記浴室側へ動くことで前記開口部を開閉可能に支持される折り戸又は開き戸である障子と、
前記枠体と前記障子との間に設けられ、前記障子で仕切られる前記浴室側と前記脱衣室側とを連通させる通気部と、
前記通気部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材を開閉動作させるための操作部と、
を備え、
前記開閉部材は、前記枠体に設けられ、
前記操作部は、前記枠体の前記浴室側に設けられており、前記浴室側から操作可能であるように構成され、
前記開閉部材及び前記操作部は、前記枠体の前記浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動可能に前記枠体に取り付けられ、
前記操作部を前記浴室側へ引くことで、前記開閉部材が前記浴室側へ動いて前記障子の側端面に当接し、前記通気部を閉じた閉状態となり、
前記操作部を前記枠体側へ押し込むことで、前記開閉部材が前記枠体側へ動いて前記障子の側端面から離れ、前記通気部を開いた開状態となるように構成されたことを特徴とす
る建具。
【請求項3】
浴室と脱衣室との間に設置される建具であって、
前記浴室と前記脱衣室とを連通させる開口部を有する枠体と、
前記枠体に軸支される軸支部と、前記軸支部から横方向に離れた位置に設けられた戸先部と、を有し、前記枠体に対して前記軸支部を軸に前記浴室側へ動くことで前記開口部を開閉可能に支持される折り戸又は開き戸である障子と、
前記枠体と前記障子との間に設けられ、前記障子で仕切られる前記浴室側と前記脱衣室側とを連通させる通気部と、
前記通気部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材を開閉動作させるための操作部と、
を備え、
前記開閉部材は、前記枠体に設けられ、
前記操作部は、前記枠体の前記浴室側に設けられており、前記浴室側から操作可能であるように構成され、
前記開閉部材及び前記操作部は、前記枠体の前記浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動可能に前記枠体に取り付けられ、
前記操作部を前記枠体側へ押し込むことで、前記開閉部材が前記枠体側へ動いて前記障子の前記浴室側の面に当接し、前記通気部を閉じた閉状態となり、
前記操作部を前記浴室側へ引くことで、前記開閉部材が前記浴室側へ動いて前記障子の前記浴室側の面から離れ、前記通気部を開いた開状態となるように構成されたことを特徴とす
る建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室と脱衣室との間の開口部に設置される折り戸や開き戸の建具がある。こうした建具において、浴室内での換気扇などの駆動に応じて脱衣室側から自動的に浴室内に通気するための通気部(換気経路)を設けることが知られている。
【0003】
一方で、例えば、浴室内に湯水を噴霧することで、ミストサウナを楽しめる浴室も知られている。ミストサウナを実施するためには、上述した通気部を閉じ、ミストが脱衣室側に出ないようにしなければ、脱衣室側にミストが充満してしまい、脱衣室が濡れてしまったり、カビなどの発生の原因となったりしてしまう可能性がある。従って、通気部を開閉する開閉部材及びこの開閉部材を動作させるための操作部が必要である。
【0004】
通気部を開閉する開閉部材を動作させるための操作部を建具の脱衣室側に設けると、例えば、入浴者が入浴途中にミストサウナを動作させようとした場合に、ミストサウナを実施するために一度脱衣室に移動しなければならず、非常に使い勝手が悪い。
【0005】
また、浴室と脱衣室との間の開口部に設置される折り戸や開き戸は、浴室使用後の折り戸や開き戸の浴室側の表面に付着した水滴が脱衣室側に垂れてしまうことを抑制するために、浴室内方向へ向かうような動きで開く必要がある。このことから、操作部を建具の浴室側に設けるためには、通気部を開閉する開閉部材及び操作部の構造に工夫を加える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、通気部を浴室側から開閉可能とし、使い勝手を向上させた建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、浴室と脱衣室との間に設置される建具であって、前記浴室と前記脱衣室とを連通させる開口部を有する枠体と、前記枠体に軸支される軸支部と、前記軸支部から横方向に離れた位置に設けられた戸先部と、を有し、前記枠体に対して前記軸支部を軸に前記浴室側へ動くことで前記開口部を開閉可能に支持される折り戸又は開き戸である障子と、前記枠体と前記障子との間に設けられ、前記障子で仕切られる前記浴室側と前記脱衣室側とを連通させる通気部と、前記通気部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を開閉動作させるための操作部と、を備え、前記開閉部材は、前記枠体に設けられ、前記操作部は、前記枠体の前記浴室側に設けられており、前記浴室側から操作可能であるように構成されたことを特徴とする建具である。
【0009】
この建具によれば、操作部が浴室側から操作可能であることにより、入浴者が入浴途中にミストサウナを実施しようとした場合にも、一度脱衣室側に移動する必要がなくなり、使い勝手を向上させることができる。その上、開閉部材を開閉可能に動作させるための操作部が、枠体の浴室側に設けられていることから、操作部を操作中に脱衣所側から折り戸又は開き戸である障子が開かれた場合にも、開閉部材を操作している指が、障子と枠体との間に挟まってしまうことを抑制することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記枠体の前記脱衣室側に設けられ、前記操作部に連動する連動部をさらに備え、前記開閉部材が前記通気部を開いた開状態となる位置へ前記操作部が移動した際は、前記連動部も前記開閉部材が前記開状態となる位置へ移動し、前記開閉部材が前記通気部を閉じた閉状態となる位置へ前記操作部が移動した際は、前記連動部も前記開閉部材が前記閉状態となる位置へ移動するように構成されたことを特徴とする建具である。
【0011】
この建具によれば、脱衣室にいる人が、連動部を視認することで、開閉部材の開閉の状態を認識することができる。例えば、入浴者が入浴中である際に、ミストサウナを実施している可能性があることを、連動部の状態を視認することで、脱衣室にいる人に認識させることができる。これにより、ミストサウナの実施中に誤って障子を開けてしまい、ミストを脱衣室側に漏らしてしまうなどの事態の発生を抑制することができる。さらには、入浴前などに連動部を操作することによって、脱衣室側から開閉部材を操作することもでき、より使い勝手を向上させることができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記開閉部材及び前記操作部は、前記枠体の前記浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動可能に前記枠体に取り付けられ、前記操作部を前記浴室側へ引くことで、前記開閉部材が前記浴室側へ動いて前記障子の側端面に当接し、前記通気部を閉じた閉状態となり、前記操作部を前記枠体側へ押し込むことで、前記開閉部材が前記枠体側へ動いて前記障子の側端面から離れ、前記通気部を開いた開状態となるように構成されたことを特徴とする建具である。
【0013】
この建具によれば、操作部を浴室側へ引くことで開閉部材が浴室側へ動いて障子の側端面に当接し、通気部を閉じた閉状態となるため、開閉部材が障子の側端面に当接した閉状態の際に障子が開かれた場合であっても、浴室側へ動いた障子の開閉を開閉部材によって阻害されにくくなる。したがって、開閉部材が開状態及び閉状態のいずれの状態にある場合にも、開閉部材が障子の開閉の妨げとなることを抑制し、障子を容易に開くことができる。
【0014】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記開閉部材及び前記操作部は、前記枠体の前記浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動可能に前記枠体に取り付けられ、前記操作部を前記枠体側へ押し込むことで、前記開閉部材が前記浴室側へ動いて前記障子の前記浴室側の面に当接し、前記通気部を閉じた閉状態となり、前記操作部を前記浴室側へ引くことで、前記開閉部材が前記浴室側へ動いて前記障子の前記浴室側の面から離れ、前記通気部を開いた開状態となるように構成されたことを特徴とする建具である。
【0015】
この建具によれば、操作部を枠体側へ押し込むことで開閉部材が枠体側へ動いて障子の浴室側の面に当接し、通気部を閉じた閉状態となるため、開閉部材が障子の浴室側の面に当接した閉状態の際に障子が開かれた場合であっても、浴室側へ動いた障子の開閉を開閉部材によって阻害されにくくなる。したがって、開閉部材が開状態及び閉状態のいずれの状態にある場合にも、開閉部材が障子の開閉の妨げとなることを抑制し、障子を容易に開くことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、通気部を浴室側から開閉可能とし、使い勝手を向上させた建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る建具を模式的に表す正面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る建具を模式的に表す正面図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、第1の実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(c)は、第1の実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第1の実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(c)は、第2の実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1及び
図2は、第1の実施形態に係る建具を模式的に表す正面図である。
図1及び
図2に表したように、建具10は、枠体20と、障子30と、を備える。建具10は、浴室と脱衣室との間に設置して使用される浴室用の建具である。
【0020】
枠体20は、浴室と脱衣室とを連通させる開口部22を有する。開口部22は、例えば、略矩形状である。枠体20は、例えば、略矩形の枠状である。
【0021】
障子30は、第1扉部31と、第2扉部32と、を有する。第1扉部31は、枠体20に軸支される軸支部33を有する。軸支部33は、上下方向を軸に枠体20に軸支される。第2扉部32は、軸支部33から横方向に離れた位置に設けられた戸先部34を有する。軸支部33は、換言すれば、障子30の一方の側端であり、戸先部34は、換言すれば、障子30の他方の側端である。障子30は、枠体20に対して軸支部33を軸に浴室側へ動くことで開口部22を開閉可能に軸支される。
【0022】
第1扉部31及び第2扉部32は、例えば、略矩形の平板状である。第1扉部31及び第2扉部32の上下方向の長さは、開口部22の上下方向の長さと実質的に同じか、僅かに短い程度である。第1扉部31及び第2扉部32の横方向の長さは、開口部22の横方向の長さの半分の長さと実質的に同じか、僅かに短い程度である。これにより、
図1に表したように、第1扉部31と第2扉部32とを横に並べて配置することで、開口部22を閉じることができる。
【0023】
上記のように、軸支部33は、上下方向を軸に枠体20に軸支されている。第1扉部31の軸支部33と反対側の側端は、第2扉部32の戸先部34と反対側の端部と回動可能に接続されている。第2扉部32の戸先部34は、上下方向を軸に回動可能、且つ横方向にスライド移動可能に枠体20に支持されている。これにより、
図2に表したように、第1扉部31を軸支部33を軸に回動させるとともに、第2扉部32を回動させながら軸支部33側にスライド移動させることにより、開口部22を開くことができる。
【0024】
このように、障子30は、開口部22を閉じる閉じ位置(
図1に表した位置)と、開口部22を開いた開き位置(例えば第2に表した位置)と、に移動する。障子30で開口部22を閉じることにより、浴室と脱衣室とを仕切ることができる。そして、障子30で開口部22を開くことにより、浴室への入退室が可能になる。
【0025】
この例において、障子30は、いわゆる折り戸である。第1扉部31及び第2扉部32は、開き位置に移動する際、浴室側(
図1及び
図2において紙面手前側)に向かって回動する。これにより、障子30を開いた際に、第1扉部31及び第2扉部32の浴室側の面に付着した水滴が、脱衣室側に垂れ落ちてしまうことを抑制することができる。
【0026】
なお、障子30は、折り戸に限ることなく、開口部22の形状に対応した一枚の扉部で開口部22を開閉する開き戸でもよい。開き戸の場合には、一枚の扉部の一方の側端が軸支部33となり、他方の側端が戸先部34となる。また、開き戸の場合も同様に、障子30は、浴室側に向かって回動する。
【0027】
図3(a)~
図3(c)は、第1の実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
図3(a)~
図3(c)は、
図1のA1-A2線断面を模式的に表す。
図3(a)及び
図3(b)は、障子30が閉じ位置にある状態を模式的に表し、
図3(c)は、障子30が開き位置にある状態を模式的に表す。
【0028】
図3(a)~
図3(c)に表したように、建具10は、通気部40と、開閉部材42と、操作部44と、をさらに備える。通気部40は、枠体20と障子30との間に設けられ、障子30で仕切られる浴室側と脱衣室側とを連通させる。これにより、例えば、浴室内で換気扇などを駆動した際に、脱衣室側から浴室側へ向かう空気の流れを通気部40を介して形成し、浴室内の換気効率を向上させることができる。通気部40は、換言すれば、換気経路である。通気部40は、例えば、枠体20と軸支部33との間に設けられる。但し、通気部40の位置は、これに限ることなく、枠体20と障子30との間の任意の位置でよい。例えば、通気部40は、枠体20と戸先部34との間に設けてもよい。
【0029】
枠体20のうち、軸支部33と隣接する隣接部24は、軸支部33と反対側に向かって凹む凹状である。隣接部24は、換言すれば、軸支部33と対向する面を開放させた四角筒状である。この例では、この隣接部24の内部の空間が、通気部40となる。
【0030】
開閉部材42は、枠体20に設けられ、通気部40を開閉する。通気部40を開いた場合には、前述のように、浴室内の換気効率を向上させることができる。一方、通気部40を閉じた場合には、例えば、浴室内でミストサウナを実施する際に、ミストが脱衣室側に漏れてしまうことを抑制することができる。
【0031】
開閉部材42は、例えば、上下方向に延びる平板状である。通気部40及び開閉部材42の上下方向の長さは、例えば、開口部22(軸支部33)の上下方向の長さに対して僅かに短い程度である。通気部40及び開閉部材42は、例えば、開口部22の上下方向の略全体に設けられる。但し、通気部40及び開閉部材42の上下方向の長さは、開口部22の上下方向の長さよりも短くてもよい。通気部40及び開閉部材42は、枠体20と障子30との間の少なくとも一部に設けられていればよい。枠体20と障子30との間の一部は、例えば、パッキンなどで気密性を有するように塞がれていてもよい。通気部40及び開閉部材42の上下方向の長さは、例えば、浴室において必要な換気量を満たすことができる任意の長さでよい。
【0032】
操作部44は、使用者の操作に応じて開閉部材42を開閉動作させるための部材である。操作部44は、枠体20の浴室側に設けられており、浴室側から操作可能であるように構成されている。操作部44は、例えば、枠体20において浴室側を向く面に設けられる。
【0033】
開閉部材42は、
図3(a)に表したように通気部40を開いた開状態と、
図3(b)に表したように通気部40を閉じた閉状態と、に移動する。開閉部材42及び操作部44は、枠体20の浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動可能に枠体20に取り付けられている。開閉部材42及び操作部44は、例えば、開口部22と対向した状態において、前後方向にスライド移動可能に枠体20に取り付けられる。このように、開閉部材42は、例えば、スライド移動することにより、閉状態と開状態とに移動する。
【0034】
なお、「枠体20の浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動する」とは、厳密にこの方向に移動するものに限ることなく、少なくともこの方向に移動する成分を有するものであればよい。開閉部材42及び操作部44のスライド移動の方向は、例えば、枠体20の浴室側を向く面と直交する方向に対して傾斜していてもよい。
【0035】
開閉部材42は、軸46を介して操作部44と接続されている。軸46の浴室側の一端は、操作部44と接続されている。また、軸46は、枠体20の浴室側を向く面と直交する方向にスライド移動可能に枠体20に取り付けられている。これにより、操作部44を操作することにより、軸46を介して開閉部材42がスライド移動する。
【0036】
開閉部材42は、例えば、軸46との接続点から浴室側に向かって延びる。枠体20は、浴室側の内壁から脱衣室側に向かって延び、開閉部材42の枠体20側を向く側面と当接する突出部26を有する。また、軸支部33は、障子30が閉じ位置にある状態において、枠体20側に向かって延びる突出部33aを有する。突出部33aは、例えば、上下方向に延びる平板状である。突出部33aの上下方向の長さは、例えば、開閉部材42の上下方向の長さと実質的に同じである。
【0037】
図3(a)に表したように、操作部44が枠体20側へ押し込まれた状態では、開閉部材42が突出部33aから離れる。これにより、開閉部材42が開状態となる。
図3(b)に表したように、操作部44を浴室側へ引くと、軸46を介して開閉部材42も浴室側に移動する。この際、開閉部材42は、突出部26との当接によって弾性変形し、軸支部33(障子30)側に向かって傾斜する。換言すれば、開閉部材42は、突出部26との当接によって弾性変形し、障子30の側端面に向かって傾斜する。これにより、開閉部材42が突出部33aの側端面(障子30の側端面)に当接し、開閉部材42が閉状態となる。
【0038】
このように、建具10では、操作部44を浴室側へ引くことで、開閉部材42が浴室側へ動いて障子30の側端面に当接し、通気部40を閉じた閉状態となる。そして、建具10では、操作部44を枠体20側へ押し込むことで、開閉部材42が枠体20側へ動いて障子30の側端面から離れ、通気部40を開いた開状態となるように構成されている。
【0039】
なお、閉状態において開閉部材42の当接する障子30の側端面は、突出部33aの側端面に限ることなく、障子30において、通気部40側を向く任意の側端面でよい。開閉部材42の傾斜は、弾性変形によるものに限らない。例えば、開閉部材42を軸46に回動可能に軸支させ、突出部26との当接によって回動させることにより、障子30の側端面と当接するように開閉部材42を傾斜させてもよい。
【0040】
突出部33aの通気部40側の側端は、例えば、通気部40内に位置する。これにより、開閉部材42が開状態にある状態において、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部40の部分にかかったとしても、通気部40を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0041】
枠体20は、突出部28をさらに有する。突出部28は、枠体20から障子30側に向かって延びる。突出部28は、例えば、突出部26から障子30に向かって延びる。突出部28は、例えば、障子30の突出部33aよりも浴室側に配置される。換言すれば、突出部28は、開閉部材42と当接する障子30の側端面よりも浴室側に配置される。
【0042】
このように突出部28を設けることにより、通気部40を介する脱衣室側への水の浸入をより抑制することができる。また、突出部28の障子30側の端部は、障子30が閉じ位置にある状態において、突出部33aの通気部40側の端部よりも障子30側に位置する。これにより、通気部40を介する脱衣室側への水の浸入をより確実に抑制することができる。
【0043】
枠体20及び障子30の少なくとも一方には、通気部40を介する脱衣室側への水の浸入を抑制するための突出部などが設けられていることが好ましい。枠体20及び障子30は、水の浸入を抑制するための突出部などをさらに多く有していてもよい。突出部などの位置は、障子30の開閉動作及び開閉部材42の開閉動作を阻害しない任意の位置でよい。但し、枠体20や障子30の形状などによって水の浸入を適切に抑制できる場合には、突出部などを設けなくてもよい。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態に係る建具10によれば、操作部44が浴室側から操作可能であることにより、入浴者が入浴途中にミストサウナを実施しようとした場合にも、一度脱衣室側に移動する必要がなくなり、使い勝手を向上させることができる。その上、開閉部材42を開閉可能に動作させるための操作部44が、枠体20の浴室側に設けられていることから、操作部44を操作中に脱衣所側から折り戸又は開き戸である障子30が開かれた場合にも、開閉部材42を操作している指が、障子30と枠体20との間に挟まってしまうことを抑制することができる。
【0045】
また、建具10では、操作部44を浴室側へ引くことで、開閉部材42が障子30の側端面に当接し、通気部40を閉じた閉状態となり、操作部44を枠体20側へ押し込むことで、開閉部材42が障子30の側端面から離れ、通気部40を開いた開状態となる。これにより、操作部44を浴室側へ引くことで開閉部材42が浴室側へ動いて障子30の側端面に当接し、通気部40を閉じた閉状態となるため、開閉部材42が障子30の側端面に当接した閉状態の際に障子30が開かれた場合であっても、浴室側へ動いた障子30の開閉を開閉部材42によって阻害されにくくなる。したがって、開閉部材42が開状態及び閉状態のいずれの状態にある場合にも、開閉部材42が障子30の開閉の妨げとなることを抑制し、障子30を容易に開くことができる。
【0046】
図4(a)~
図4(c)は、第1の実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。また、
図4(a)~
図4(c)は、
図3(a)~
図3(c)と同様に、
図1のA1-A2線断面に相当する。
図4(a)~
図4(c)に表したように、建具10aは、連動部50をさらに備える。連動部50は、枠体20の脱衣室側に設けられ、操作部44に連動する。
【0047】
連動部50は、例えば、枠体20の脱衣室側を向く面に設けられる。連動部50は、軸46の脱衣室側の一端に接続されている。すなわち、この例では、軸46の一端に操作部44が接続され、軸46の他端に連動部50が接続されている。これにより、操作部44のスライド移動に連動して、連動部50もスライド移動する。
【0048】
図4(a)に表したように、開閉部材42が通気部40を開いた開状態となる位置へ操作部44が移動した際は、連動部50も開閉部材42が開状態となる位置へ移動する。そして、
図4(b)に表したように、開閉部材42が通気部40を閉じた閉状態となる位置へ操作部44が移動した際は、連動部50も開閉部材42が閉状態となる位置へ移動するように構成されている。
【0049】
このように、連動部50を設けることにより、脱衣室にいる人が、連動部50を視認することで、開閉部材42の開閉の状態を認識することができる。例えば、入浴者が入浴中である際に、ミストサウナを実施している可能性があることを、連動部50の状態を視認することで、脱衣室にいる人に認識させることができる。これにより、ミストサウナの実施中に誤って障子30を開けてしまい、ミストを脱衣室側に漏らしてしまうなどの事態の発生を抑制することができる。さらには、入浴前などに連動部50を操作することによって、脱衣室側から開閉部材42を操作することもでき、より使い勝手を向上させることができる。操作部44は、換言すれば、浴室側に設けられた第1操作部であり、連動部50は、換言すれば、脱衣室側に設けられた第2操作部である。
【0050】
図5(a)及び
図5(b)は、第1の実施形態に係る建具の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、
図5(a)及び
図5(b)は、
図3(a)~
図3(c)と同様に、
図1のA1-A2線断面に相当する。
図5(a)及び
図5(b)に表したように、建具10bでは、開閉部材42が、枠体20と障子30との間でスライド移動可能に枠体20に取り付けられている。開閉部材42は、例えば、側方にスライド移動する。また、建具10bでは、開閉部材42の浴室側の端部に操作部44が取り付けられ、開閉部材42の脱衣室側の端部に連動部50が取り付けられている。従って、建具10bでは、操作部44及び連動部50も側方にスライド移動する。また、建具10bでは、開閉部材42に突出部28が設けられている。
【0051】
建具10bでは、開閉部材42及び操作部44を枠体20側へ移動させることで、開閉部材42が障子30(突出部33a)の側端面から離れ、通気部40を開いた開状態となる。そして、開閉部材42及び操作部44を障子30側へ移動させることで、開閉部材42が障子30(突出部33a)の側端面に当接し、通気部40を閉じた閉状態となる。
【0052】
このように、開閉部材42は、枠体20と障子30との間でスライド移動させるようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様に、開閉部材42が開状態及び閉状態のいずれの状態にある場合にも、開閉部材42が障子30の開閉の妨げとなることを抑制し、障子30を容易に開くことができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図6(a)~
図6(c)は、第2の実施形態に係る建具の一部を模式的に表す断面図である。
図6(a)~
図6(c)は、
図3(a)~
図3(c)と同様に、
図1のA1-A2線断面に相当する。
図6(a)~
図6(c)に表したように、本実施形態に係る建具100では、開閉部材142が、軸46との接続点から脱衣室側に向かって延びる。この例おいても、開閉部材142は、上記第1の実施形態の開閉部材42と同様に、上下方向に延びる平板状である。
【0054】
軸支部33は、障子30が閉じ位置にある状態において、枠体20側に向かって延びる突出部33bを有する。突出部33bは、例えば、上下方向に延びる平板状である。突出部33bの上下方向の長さは、例えば、開閉部材142の上下方向の長さと実質的に同じである。
【0055】
図6(a)に表したように、操作部44が浴室側へ引かれた状態では、開閉部材142が突出部33bから離れる。これにより、開閉部材142が開状態となる。
図6(b)に表したように、操作部44を枠体20側へ押し込むと、軸46を介して開閉部材142も脱衣室側に移動する。この際、開閉部材142は、突出部33bの浴室側の面に当接する。これにより、開閉部材142が閉状態となる。
【0056】
このように、建具100では、操作部44を枠体20側へ押し込むことで、開閉部材142が枠体20側へ動いて障子30の浴室側の面に当接し、通気部40を閉じた閉状態となる。そして、操作部44を浴室側へ引くことで、開閉部材142が浴室側へ動いて障子30の浴室側の面から離れ、通気部40を開いた開状態となるように構成されている。なお、閉状態において開閉部材142の当接する障子30の浴室側の面は、突出部33bの浴室側の面に限ることなく、障子30において、浴室側を向く任意の面でよい。
【0057】
本実施形態に係る建具100においては、操作部44を枠体20側へ押し込むことで開閉部材142が枠体20側へ動いて障子30の浴室側の面に当接し、通気部30を閉じた閉状態となるため、開閉部材142が障子30の浴室側の面に当接した閉状態の際に障子30が開かれた場合であっても、浴室側へ動いた障子30の開閉を開閉部材142によって阻害されにくくなる。したがって、上記第1の実施形態の建具10と同様に、開閉部材142が開状態及び閉状態のいずれの状態にある場合にも、開閉部材142が障子30の開閉の妨げとなることを抑制し、障子30を容易に開くことができる。このように、開閉部材の構成は、枠体20に設けられ、通気部40を開閉可能な任意の構成でよい。
【0058】
例えば、
図5に関して説明した建具10bと同様に、開閉部材42及び操作部44を枠体20側へ移動させることで、開閉部材42が障子30の浴室側の面から離れ、通気部40を開いた開状態となり、開閉部材42及び操作部44を障子30側へ移動させることで、開閉部材42が障子30の浴室側の面に当接し、通気部40を閉じた閉状態となるようにしてもよい。
【0059】
また、建具100は、連動部50を有している。建具100の構成においても、連動部50は、省略可能である。連動部50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0060】
建具100では、障子30が、開口部22を閉じた状態において軸支部33から枠体20に向かって延出し、少なくとも一部が通気部40内に位置する延出部60を、さらに有する。
【0061】
このように、延出部60を設けることにより、シャワーから吐水された水など、浴室側からの水が通気部40の部分にかかったとしても、通気部40を通じて脱衣室側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0062】
延出部60は、例えば、第1部分60aと、第2部分60bと、を有する。第1部分60aは、障子30が閉じ位置にある状態において、通気部40に向かって延びる。第2部分60bは、障子30が閉じ位置にある状態において、第1部分60aの通気部40側の端部から前後方向に延びる。この例において、第2部分60bは、障子30が閉じ位置にある状態において、浴室側に向かって延びる。第1部分60aの通気部40側の端部は、通気部40内に位置する。第2部分60bは、通気部40内に位置する。
【0063】
このように、第1部分60a及び第2部分60bを設けることにより、通気部40の部分の水の通り抜けを、より確実に抑制することができる。但し、延出部60の構成は、上記に限ることなく、通気部40の部分の水の通り抜けを抑制可能な任意の構成でよい。また、延出部60は、障子30に限ることなく、枠体20に設けてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、建具10、100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0065】
10、10a、10b 建具、 20 枠体、 22 開口部、 24 隣接部、 26、28 突出部、 30 障子、 31 第1扉部、 32 第2扉部、 33 軸支部、 34 戸先部、 40 通気部、 42 開閉部材、 44 操作部、 46 軸、 50 連動部、 60 延出部、 100 建具、 142 開閉部材