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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】発光装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20220118BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20220118BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220118BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220118BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/343 610
G03B21/14 A
F21S2/00 311
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017147597
(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2019029516
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-105182(JP,A)
【文献】特開2006-344667(JP,A)
【文献】特開平04-273492(JP,A)
【文献】特開2007-025546(JP,A)
【文献】特表2016-539493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117437(US,A1)
【文献】特開2008-147623(JP,A)
【文献】特開2010-263062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
G03B 21/00 - 21/30
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体に設けられ電流が注入されることで発光可能な複数の柱状部、および隣り合う前記柱状部の間に設けられ前記柱状部において生じた光を伝搬させる光伝搬層を有する発光部と、
前記発光部の側壁に設けられ、前記光伝搬層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率部と、
を含み、
前記柱状部は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられ、電流が注入されることで発光可能な発光層と、
を有し、
前記柱状部と前記低屈折率部との間に、前記光伝搬層が設けられ、
前記発光部は、前記第1半導体層と前記発光層との積層方向に沿う方向に光を射出し、
前記光伝搬層と前記低屈折率部とは、互いに接しており、
前記低屈折率部の前記積層方向における厚みは、前記光伝搬層と前記低屈折率部とが接する側面から遠ざかるにつて漸減し、
前記低屈折率部は、前記光伝搬層と反対側に、前記積層方向と平行ではない側面を有し、
前記積層方向と平行ではない前記側面に、金属層が設けられている、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光伝搬層の屈折率は、前記発光層の屈折率よりも低い、発光装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1半導体層は、前記基体と前記発光層との間に設けられ、
前記金属層は、前記第2半導体層と電気的に接続された配線に接続されている、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記低屈折率部は、前記発光部を囲んで設けられている、発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記低屈折率部は、分布ブラッグ反射器である、発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記発光部に対応して設けられたトランジスターを含む、発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記発光部は、アレイ状に設けられている、発光装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光装置を含む、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーは、高輝度の次世代光源として期待されている。中でも、ナノ構造体(ナノコラム)を適用した半導体レーザーは、ナノ構造体によるフォトニック結晶の効果によって、狭放射角で高出力の発光が実現できると期待されている。このような半導体レーザーは、例えば、プロジェクターの光源として適用される。
【0003】
例えば特許文献1には、基板上に設けられた金属膜から成る反射層と、反射層上に設けられた複数のナノコラムと、隣り合うナノコラムの間に充填された絶縁体と、ナノコラム上および絶縁体上に設けられた透明電極からなるp型電極と、を備え、p型電極側または基体側から(上下方向から)光を取り出す半導体発光素子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-49063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体発光素子では、ナノコラムの発光層において生じた光が、横方向から漏れる場合があった。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、光が漏れることを抑制することができる発光装置を提供することにある。あるいは、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記の発光装置を含むプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、
基体と、
前記基体に設けられ電流が注入されることで発光可能な複数の柱状部、および隣り合う前記柱状部の間に設けられ前記柱状部において生じた光を伝搬させる光伝搬層を有する発光部と、
前記発光部の側壁に設けられ、前記光伝搬層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率部と、
を含む。
【0008】
このような発光装置では、低屈折率部によって、発光部の側壁から光が漏れることを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る発光装置において、
前記柱状部は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられ、電流が注入されることで発光可能な発光層と、
を有してもよい。
【0010】
このような発光装置では、転位が発光層に存在する可能性を小さくすることができる。
【0011】
本発明に係る発光装置において、
前記光伝搬層の屈折率は、前記発光層の屈折率よりも低くてもよい。
【0012】
このような発光装置では、発光層において生じた光は、光伝搬層を平面方向(第1半導体層および発光層の積層方向と直交する方向)に伝搬し易い。
【0013】
本発明に係る発光装置において、
前記低屈折率部の表面に設けられた金属層を含んでもよい。
【0014】
このような発光装置では、仮に、発光層において生じた光が低屈折率部を透過したとしても、金属層において該光を反射させることができる。
【0015】
本発明に係る発光装置において、
前記第1半導体層は、前記基体と前記発光層との間に設けられ、
前記金属層は、前記第2半導体層と電気的に接続された配線に接続されていてもよい。
【0016】
このような発光装置では、第2半導体層に注入される電流に対する抵抗を小さくすることができる。
【0017】
なお、本発明に係る記載では、「電気的に接続」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「A部材」という)に「電気的に接続」された他の特定の部材(以下「B部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A部材とB部材とが、直接接して電気的に接続されているような場合と、A部材とB部材とが、他の部材を介して電気的に接続されているような場合とが含まれるものとして、「電気的に接続」という文言を用いている。
【0018】
本発明に係る発光装置において、
前記低屈折率部は、前記発光部を囲んで設けられていてもよい。
【0019】
このような発光装置では、より確実に、光が漏れることを抑制することができる。
【0020】
本発明に係る発光装置において、
前記低屈折率部は、分布ブラッグ反射器であってもよい。
【0021】
このような発光装置では、柱状部において生じた光に対する反射率を高くすることができる。
【0022】
本発明に係る発光装置において、
前記発光部に対応して設けられたトランジスターを含んでもよい。
【0023】
このような発光装置では、トランジスターを制御することにより、発光部ごとに発光のタイミングを制御することができる。
【0024】
本発明に係る発光装置において、
前記発光部は、アレイ状に設けられていてもよい。
【0025】
このような発光装置では、1つの発光部を画素として映像を形成することができる自発光イメージャーを構成することができる。
【0026】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置を含む。
【0027】
このようなプロジェクターは、本発明に係る発光装置を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図2】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図3】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図4】第1実施形態に係る発光装置の回路図。
図5】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図6】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図7】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図8】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図9】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図10】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図11】第1実施形態の第2変形例に係る発光装置の回路図。
図12】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図13】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図14】第2実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図15】第2実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図16】第3実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
図17】第3実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のII-II線断面図である。図3は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す図1のIII-III線断面図である。図4は、第1実施形態に係る発光装置100の回路図である。なお、図1図3および後述する図5,6では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0031】
発光装置100は、図1図4に示すように、例えば、基体10と、半導体層20,22と、素子分離層24と、トランジスター30と、発光部40と、低屈折率部50と、絶縁層60と、導電層70と、配線72と、駆動回路80,82と、を含む。なお、便宜上、図1では、絶縁層60の図示を省略している。
【0032】
基体10は、図2に示すように、例えば、第1基板12と、第2基板14と、半導体層16と、を有している。第1基板12は、例えば、プリント基板である。第2基板14は、第1基板12上に設けられている。第2基板14は、例えば、サファイア基板、Si基板、GaN基板などである。半導体層16は、第2基板14上に設けられている。半導体層16は、例えば、i型のGaN層である。
【0033】
半導体層20は、基体10に(図示の例では半導体層16上に)設けられている。半導体層20は、例えば、n型のGaN層(具体的はSiがドープされたGaN層)である。
【0034】
半導体層22は、半導体層16上に設けられている。半導体層22は、半導体層20に挟まれて設けられている。半導体層22は、トランジスター30のゲート38の下に設けられている。半導体層22は、例えば、p型のGaN層(具体的はMgがドープされたGaN層)である。
【0035】
素子分離層24は、半導体層16上に設けられている。素子分離層24は、図1に示すように、平面視において(Z軸方向からみて、発光部40の半導体層42aおよび発光層42bの積層方向からみて)、半導体層20の周囲に設けられている。素子分離層24は、例えば、i型のGaN層、酸化シリコン層、窒化シリコン層などである。素子分離層24は、X軸方向において隣り合う発光部40を、電気的に分離している。
【0036】
トランジスター30は、図2に示すように、ソース領域32と、ドレイン領域34と、チャネル領域36と、ゲート38と、を有している。ソース領域32およびドレイン領域34は、半導体層20に設けられている。チャネル領域36は、ソース領域32とドレイン領域34との間の領域である。チャネル領域36は、半導体層22に設けられている。チャネル領域36には、例えば、静電容量が形成される。
【0037】
ゲート38は、半導体層22上に設けられている。ゲート38は、チャネル領域36に流れる電流を制御する。ゲート38は、半導体層22上に設けられたゲート絶縁層38aと、ゲート絶縁層38a上に設けられたゲート電極38bと、を有している。ゲート絶縁層38aは、例えば、酸化シリコン層である。ゲート絶縁層38aの材質は、例えば、銅、アルミニウムなどである。
【0038】
トランジスター30は、複数設けられている。トランジスター30は、アレイ状に設けられている。すなわち、トランジスター30は、所定の方向に並んで設けられている。図1に示す例では、トランジスター30は、X軸方向およびY軸方向に並んで(マトリックス状に)設けられている。X軸方向に並ぶトランジスター30は、例えば、共通のゲート絶縁層38aおよびゲート電極38bを有している。図示の例では、ゲート電極38bは、素子分離層24上に設けられたパッド8からX軸方向に延出している。複数のゲート電極38bは、Y軸方向に配列されている。Y軸方向において隣り合うトランジスター30は、図2に示すように、例えば、共通のソース領域32を有している。
【0039】
トランジスター30は、発光部40に対応して設けられている。本実施形態において、トランジスター30の数と発光部40の数とは、同じであり、トランジスター30は、発光部40と電気的に接続されている。具体的には、トランジスター30のソース領域32またはドレイン領域34は、発光部40の半導体層42aと電気的に接続されている。すなわち、トランジスター30がOFFの状態(チャネル領域36に電流が流れていない状態)であっても、ソース領域32またはドレイン領域34は、半導体層42aと電気的に接続されている。図示の例では、ドレイン領域34は、半導体層42aと電気的に接続されている。トランジスター30は、発光部40の柱状部42へ注入される電流量を制御する。また、トランジスター30を制御することにより、発光部40ごとに発光のタイミングを制御することができる。また、トランジスター30を制御することにより、発光部40に注入される電流量を制御してもよい。
【0040】
本発明において、トランジスター30が発光部40に対応して設けられている、とは、少なくとも1つのトランジスター30が発光部40に対応にて設けられていることを表現している。本発明において、発光部40に対応して設けられているトランジスターは、1つに限定されず、発光部40に対応して複数のトランジスターが設けられていてもよい。
【0041】
発光部40は、半導体層20上に設けられている。発光部40は、複数設けられている。発光部40は、アレイ状に設けられている。すなわち、発光部40は、所定の方向に並んで設けられている。図1に示す例では、発光部40は、X軸方向およびY軸方向に並んで(マトリックス状に)設けられている。ここで、図5は、発光部40を模式的に示す平面図である。図6は、発光部40を模式的に示す図5のVI-VI線断面図である。
【0042】
発光部40は、図5および図6に示すように、柱状部42と、光伝搬層44と、を有している。なお、便宜上、図5では、導電層70および絶縁層60の図示を省略している。
【0043】
なお、本発明において、「上」とは、Z軸方向(柱状部42の半導体層42aと発光層42bとの積層方向)において、柱状部42からみて基体10から遠ざかる方向のことであり、「下」とは、Z軸方向において、柱状部42からみて基体10に近づく方向のことである。
【0044】
柱状部42は、半導体層20上に設けられている。柱状部42は、柱状の形状を有している。柱状部42は、半導体層20から突出している。柱状部42は、複数設けられている。図5に示す例では、柱状部42の平面形状(Z軸方向からみた形状)は、四角形である。柱状部42の径(多角形の場合は内接円の径)は、nmオーダー(1μm未満)であり、具体的には10nm以上500nm以下である。柱状部42は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部42のZ軸方向の大きさは、例えば、0.1μm以上5μm以下である。複数の柱状部42は、互いに離間している。隣り合う柱状部42の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。
【0045】
なお、柱状部42の平面形状は、特に限定されず、例えば、六角形などの四角形以外の多角形でもよいし、円、楕円などであってもよい。また、図示の例では、柱状部42は、Z軸方向において径が一定であるが、Z軸方向において径が異なっていてもよい。
【0046】
複数の柱状部42は、平面視において、所定の方向に所定のピッチで配列されている。このような周期構造においては、ピッチと各部位の径および各部位の屈折率により決定されるフォトニックバンド端波長λにおいて光閉じ込め効果を得ることができる。発光装置100では、柱状部42の発光層42bにおいて生じる光は、波長λを含むため、フォトニック結晶の効果を発現することができる。図5に示す例では、柱状部42は、X軸方向およびY軸方向に並んで(マトリックス状に)設けられている。
【0047】
柱状部42は、図6に示すように、半導体層(第1半導体層)42aと、発光層42bと、半導体層(第2半導体層)42cと、を有している。
【0048】
半導体層42aは、半導体層20上に設けられている。半導体層42aは、基体10と発光層42bとの間に設けられている。半導体層42aは、例えば、n型のGaN層(具体的にはSiがドープされたGaN層)である。
【0049】
発光層42bは、半導体層42a上に設けられている。発光層42bは、半導体層42aと半導体層42cとの間に設けられている。発光層42bは、電流が注入されることで光を発することが可能な層である。発光層42bは、例えば、GaN層とInGaN層とから構成された量子井戸構造を有している。発光層42bを構成するGaN層およびInGaN層の数は、特に限定されない。
【0050】
半導体層42cは、発光層42b上に設けられている。半導体層42cは、半導体層42aと導電型の異なる層である。半導体層42cは、例えば、p型のGaN層(具体的にはMgがドープされたGaN層)である。半導体層42a,42cは、発光層42bに光を閉じ込める(発光層42bから光が漏れることを抑制する)機能を有するクラッド層である。
【0051】
発光装置100では、p型の半導体層42c、不純物がドーピングされていない発光層42b、およびn型の半導体層42aにより、pinダイオードが構成される。半導体層42a,42cは、発光層42bよりもバンドギャップが大きい層である。発光装置100では、導電層70と半導体層20との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると(電流を注入すると)、発光層42bにおいて電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。発光層42bにおいて発生した光は、半導体層42a,42cによりZ軸方向と直交する方向(平面方向)に伝搬する。伝搬した光は、柱状部42によるフォトニック結晶の効果により、定在波を形成し、発光層42bにおいて利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に(導電層70側および基体10側に)出射する。
【0052】
発光装置100では、平面方向に伝搬している光の強度が、Z軸方向において、発光層42bで最も大きくなるように、半導体層42a,42cおよび発光層42bの屈折率および厚さが設計されている。
【0053】
なお、図示はしないが、基体10と半導体層20との間、または基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、発光層42bにおいて発生した光を反射させることができ、発光装置100は、導電層70側からのみ光を出射することができる。
【0054】
図示の例では、半導体層20上には、絶縁層43が設けられている。絶縁層43は、光伝搬層44と半導体層20との間、および低屈折率部50と半導体層20との間に設けられている。絶縁層43は、柱状部42を形成するためのマスクとして機能する。絶縁層43は、ゲート絶縁層38aと同じ工程で形成されてもよい。そのため、絶縁層43は、材質および厚さがゲート絶縁層38aと同じであってもよい。
【0055】
光伝搬層44は、隣り合う柱状部42の間に設けられている。光伝搬層44は、絶縁層43上に設けられている。光伝搬層44は、平面視において、柱状部42を囲んで設けられている。光伝搬層44の屈折率は、発光層42bの屈折率よりも低い。光伝搬層44は、例えば、GaN層、酸化チタン(TiO)層である。光伝搬層44であるGaN層は、i型でもよいし、n型でもよいし、p型でもよい。光伝搬層44は、発光層42bにおいて生じた光を、平面方向に伝搬させることができる。図5に示す例では、発光部40の平面形状は、正方形である。
【0056】
なお、本発明において、「特定の部材(A部材)」が複数の材料から構成されている場合に、「A部材の屈折率」とは、A部材を構成している複数の材料の平均屈折率のことである。
【0057】
低屈折率部50は、図6に示すように、発光部40の側壁41に設けられている。低屈折率部50は、発光層42bの平面方向に設けられている。低屈折率部50は、発光部40の側壁41に設けられたサイドウォールである。図示の例では、側壁41は、光伝搬層44によって構成されている。側壁41は、例えば、図5に示すように、互いに対向している第1側面41aおよび第2側面41bと、側面41a,41bに接続され互いに対向している第3側面41cおよび第4側面41dと、を有している。
【0058】
低屈折率部50は、図6に示すように、絶縁層43上に設けられている。低屈折率部50は、平面視において、発光部40を囲んで設けられている。低屈折率部50の屈折率は、光伝搬層44の屈折率よりも低い。低屈折率部50の材質は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)などである。低屈折率部50は、例えば、単一の層によって構成されている。
【0059】
低屈折率部50は、発光層42bにおいて生じた光を、反射させることができる。発光層42bにおいて生じた光は、第1側面41aと第2側面41bとの間で定在波を形成する。さらに、発光層42bにおいて生じた光は、第3側面41cと第4側面41dとの間で定在波を形成する。
【0060】
絶縁層60は、図2に示すように、半導体層20上に設けられている。絶縁層60は、ゲート38および低屈折率部50の表面56を覆って設けられている。絶縁層60は、例えば、酸化シリコン層である。絶縁層60は、トランジスター30および発光部40を衝撃などから保護する機能を有している。
【0061】
導電層70は、発光部40上に設けられている。図示の例では、導電層70は、柱状部42上および光伝搬層44上に設けられている。導電層70は、発光部40の数に応じて、複数設けられている。導電層70は、柱状部42の半導体層42cと電気的に接続されている。導電層70は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)層である。発光層42bにおいて生じた光は、導電層70を透過して出射される。
【0062】
なお、図示はしないが、導電層70と発光部40との間には、コンタクト層が設けられていてもよい。コンタクト層は、導電層70とオーミックコンタクトしていてもよい。コンタクト層は、p型のGaN層であってもよい。
【0063】
配線72は、図3に示すように、絶縁層60上に設けられている。配線72は、図1に示すように、素子分離層24上に設けられたパッド9からY軸方向に延出し、導電層70の数に応じて分岐して、導電層70に接続されている。配線72は、導電層70を介して、半導体層42cと電気的に接続されている。配線72は、複数設けられている。複数の配線72は、X軸方向に配列されている。配線72は、平面視において、ゲート電極38bと交差している。配線72の材質は、例えば、銅、アルミニウム、ITOなどである。図示はしないが、配線72の材質がITOの場合には、配線72は、導電層70の表面全面を覆って設けられていてもよい。
【0064】
第1駆動回路80および第2駆動回路82は、第1基板12上に設けられている。図1に示す例では、平面視において、第1駆動回路80は、第2基板14の-X軸方向側に設けられ、第2駆動回路82は、第2基板14の-Y軸方向側に設けられている。駆動回路80,82によって、発光層42bに電流を注入することができる。
【0065】
第1駆動回路80は、ゲート電極38bと電気的に接続されている。図示の例では、第1駆動回路80は、パッド80aを有し、ワイヤー2、およびパッド8を介して、ゲート電極38bと電気的に接続されている。さらに、第1駆動回路80は、半導体層20と電気的に接続されている。図示の例では、第1駆動回路80は、パッド80bを有し、ワイヤー3を介して、半導体層20と電気的に接続されている。
【0066】
第2駆動回路82は、配線72と電気的に接続されている。図示の例では、第2駆動回路82は、パッド82aを有し、ワイヤー4、およびパッド9を介して、配線72と電気的に接続されている。ワイヤー2,3,4およびパッド8,9,80a,80b,82aの材質は、導電性であれば、特に限定されない。パッド8は、例えば、ゲート電極38bと一体的に設けられている。パッド9は、例えば、配線72と一体的に設けられている。なお、図示はしないが、駆動回路80,82は、第2基板14上に形成されていてもよい。
【0067】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0068】
発光装置100では、基体10に設けられ電流が注入されることで発光可能な複数の柱状部42、および隣り合う柱状部42の間に設けられ柱状部42において生じた光を伝搬させる光伝搬層44を有する発光部40と、発光部40の側壁41に設けられ、光伝搬層44の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率部50と、を含む。そのため、発光装置100では、低屈折率部50によって、側壁41から光が漏れることを抑制することができる。これにより、発光装置100では、発光層42bにおいて生じた光の利得損失を抑制することができる。したがって、発光装置100では、発光層42bにおいて生じた光は、効率よく利得を得ることができ、低い閾値電流密度によるレーザー発振を実現することができる。
【0069】
発光装置100では、柱状部42は、第1半導体層42aと、第1半導体層42aと導電型の異なる第2半導体層42cと、第1半導体層42aと第2半導体層42cとの間に設けられ、電流が注入されることで発光可能な発光層42bと、を有している。そのため、発光装置100では、例えば、基体10の格子定数と半導体層20の格子定数とが異なることに起因して生じる転位が、柱状部42の一定の高さ以上の領域に存在する可能性を小さくすることができるため、転位が発光層42bに存在する可能性を小さくすることができる。
【0070】
発光装置100では、光伝搬層44の屈折率は、発光層42bの屈折率よりも低い。そのため、発光装置100では、発光層42bにおいて生じた光は、光伝搬層44を平面方向に伝搬し易い。
【0071】
発光装置100では、低屈折率部50は、発光部40を囲んで設けられている。そのため、発光装置100では、より確実に、光が漏れることを抑制することができる。さらに発光装置100では、発光部40の第1側面41aと第2側面41bとの間、および発光部40の第3側面41cと第4側面41dとの間で定在波を形成することができる。したがって、発光装置100では、より低い閾値電流密度でレーザー発振を実現することができる。
【0072】
発光装置100では、発光部40に対応して設けられたトランジスター30を含む。そのため、発光装置100では、トランジスター30を制御することにより、発光部40ごとに発光のタイミングを制御することができる。
【0073】
発光装置100では、発光部40は、アレイ状に設けられている。したがって、発光装置100では、1つの発光部40を画素として映像を形成することができる自発光イメージャーを構成することができる。
【0074】
発光装置100では、ソース領域32およびドレイン領域34は、第1半導体層20に設けられている。このように、発光装置100では、同一基板上に(1つの基体10に)トランジスター30および発光部40を形成することができる。したがって、発光装置100では、トランジスター30および発光部40を別々の基板に設ける場合に比べて、小型化を図ることができる。
【0075】
なお、上記では、InGaN系の発光層42bについて説明したが、発光層42bとしては、電流が注入されることで発光可能なあらゆる材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。半導体層20,22,42a,42cもGaN層に限定されず、上記の材料系に適応した材料から構成される。半導体層20,22,42a,42cは、例えば、InGaN層、AlGaN層、AlGaAs層、InGaAs層、InGaAsP層、InP層、GaP層、AlGaP層などである。
【0076】
また、発光装置100では、複数の発光層42bは、同じ半導体材料系で形成されていなくてもよい。例えば、発光層42bを構成する半導体材料系を変えることにより、赤色光を出射する発光部40と、緑色光を出射する発光部40と、青色光を出射する発光部40と、が同一の基体10に設けられていてもよい。
【0077】
また、上記では、半導体層20にトランジスター30のソース領域32およびドレイン領域34が設けられている形態について説明したが、本発明に係る発光装置は、発光部に対応するトランジスターは、駆動回路に設けられていてもよい。また、発光部に対応するトランジスターが基体10とは別の基体に設けられていてもよい。
【0078】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図7図9は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0079】
図7に示すように、例えば接合部材(図示せず)を用いて、第1基板12に第2基板14を接合させる。次に、第2基板14上に、半導体層16、半導体層20をこの順でエピタキシャル成長させる。次に、半導体層20をパターニングし、所定の位置に複数の開口部を形成する。次に、該開口部に半導体層22をエピタキシャル成長させ、別の開口部に素子分離層24をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
【0080】
図8に示すように、半導体層20,22上および素子分離層24に絶縁層43aを形成する。絶縁層43aは、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタ法による成膜、およびフォトリソグラフィーおよびエッチングによるパターニング(以下、単に「パターニング」ともいう)によって形成される。
【0081】
次に、絶縁層43a上にゲート電極38bを形成する。ゲート電極38bは、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による成膜、およびパターニングによって形成される。
【0082】
次に、絶縁層43aをマスクとして、例えば、MOCVD法やMBE法などにより、半導体層20上に、半導体層42a、発光層42b、半導体層42cをこの順でエピタキシャル成長させる。本工程により、柱状部42を形成することができる。
【0083】
次に、柱状部42の周囲に光伝搬層44を形成する。光伝搬層44は、例えば、MOCVD法やMBE法などによるELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法によって形成される。以上の工程により、発光部40を形成することができる。なお、発光部40を形成する工程と、ゲート絶縁層38aを形成する工程と、の順番は、特に限定されない。
【0084】
図9に示すように、発光部40の側壁41に、低屈折率部50を形成する。低屈折率部50は、例えば、全面に絶縁層(図示せず)を成膜した後、該絶縁層をエッチバックすることにより形成される。本工程により、例えば、絶縁層43aをエッチングすることができ、絶縁層43およびゲート絶縁層38aが形成される。このように、発光装置100の製造方法では、絶縁層43およびゲート絶縁層38aを同一の工程によって形成することができるので、絶縁層43およびゲート絶縁層38aを別々の工程で形成する場合に比べて、製造工程を短縮することができる。
【0085】
図2に示すように、ゲート38および低屈折率部50を覆うように、半導体層20上および素子分離層24上に、絶縁層60を形成する。絶縁層60は、例えば、スピンコート法やCVD法による成膜、およびパターニングによって形成される。
【0086】
次に、発光部40上に導電層70を形成する。導電層70は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による成膜、およびパターニングによって形成される。
【0087】
図1および図3に示すように、絶縁層60上および導電層70上に、配線72を形成する。配線72は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による成膜、およびパターニングによって形成される。
【0088】
図1に示すように、例えば接合部材(図示せず)を用いて、第1基板12に駆動回路80,82を搭載する。次に、ワイヤー2,3,4によって電気的な接続を行う。
【0089】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0090】
1.3. 発光装置の変形例
1.3.1. 第1変形例
次に、第1実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図10は、第1実施形態の第1変形例に係る発光装置110を模式的に示す断面図である。なお、図10では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0091】
以下、第1実施形態の第1変形例に係る発光装置110において、上述した発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、以下に示す第1実施形態の第2変形例に係る発光装置において、同様である。
【0092】
上述した発光装置100では、図6に示すように、低屈折率部50は、例えば、単一の層によって構成されていた。これに対し、発光装置110では、図10に示すように、低屈折率部50は、複数の層によって構成されている。
【0093】
低屈折率部50は、高屈折率層52と、高屈折率層52の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層54と、によって構成されている分布ブラッグ反射器(DBR)である。高屈折率層52と低屈折率層54とは、発光層42bの平面方向において、交互に積層されている。高屈折率層52および低屈折率層54のペア数は、特に限定されないが、例えば、2ペア以上50ペア以下である。高屈折率層52は、例えば、酸化シリコン(SiO)層である。低屈折率層54は、例えば、酸化チタン(TiO)層である。
【0094】
発光装置110は、上述した発光装置100と同様の効果を有することができる。
【0095】
発光装置110では、低屈折率部50は、分布ブラッグ反射器である。そのため、発光装置200では、例えば、低屈折率部50が単一の層から構成されている場合に比べて、発光層42bにおいて生じた光に対する反射率を高くすることができる。
【0096】
1.3.2. 第2変形例
次に、第1実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態の第2変形例に係る発光装置110を模式的に示す断面図である。
【0097】
上述した発光装置100では、図4に示すように、発光部40に対応して、1つのトランジスター30が設けられていた。これに対し、発光装置120では、図11に示すように、発光部40に対応して、複数のトランジスター30が設けられている。図示の例では、発光部40に対応して、2つのトランジスター30が設けられている。なお、図示はしないが、発光装置120では、発光部40ごとに、柱状部42と同じ数のトランジスター30が対応して設けられていてもよい。
【0098】
発光装置120は、上述した発光装置100と同様の効果を有することができる。
【0099】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。なお、図12および後述する図13では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0100】
以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0101】
発光装置200では、図12に示すように、金属層90を含む点において、上述した発光装置100と異なる。
【0102】
金属層90は、低屈折率部50の表面56に設けられている。金属層90は、発光層42bの平面方向に設けられている。図示の例では、金属層90は、低屈折率部50と絶縁層60との間に設けられている。金属層90は、半導体層20と離間して設けられている。図示の例では、金属層90と半導体層20との間には、絶縁層43が位置している。絶縁層43は、金属層90と半導体層20とを電気的に分離している。金属層90は、例えば、銀層、銅層、アルミニウム層などである。
【0103】
発光装置200は、上述した発光装置100と同様の効果を有することができる。
【0104】
発光装置200では、低屈折率部50の表面56に設けられた金属層90を含む。そのため、発光装置200では、仮に、発光層42bにおいて生じた光が低屈折率部50を透過したとしても、金属層90において該光を反射させることができる。したがって、発光装置200では、より確実に、光が漏れることを抑制することができる。
【0105】
ここで、図示はしないが、仮に、発光部40の側壁41に直接、金属層90が設けられていると、金属層90は、所定の割合で可視光を吸収するため、側壁41に直接、金属層90を設けることは、好ましくない。金属層90が光を吸収すると金属層90が発熱し、発光装置の温度特性が悪化する場合がある。発光装置200では、発光部40と金属層90との間に低屈折率部50が設けられているため、上記のような問題を回避することができる。
【0106】
なお、発光装置200では、図13に示すように、金属層90は、導電層70と一体的に設けられていてもよい。この場合、金属層90と導電層70とを別々の工程で形成する場合に比べて、製造工程を短縮することができる。
【0107】
また、図示はしないが、発光装置200では、低屈折率部50は、上述した発光装置110のように、分布ブラッグ反射器であってもよい。発光装置200は、光を反射させる金属層90を含むので、分布ブラッグ反射器である低屈折率部50の高屈折率層52と低屈折率層54とのペア数を減らすことができる。
【0108】
2.2. 発光装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法について説明する。第2実施形態に係る発光装置200の製造方法は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法などによる成膜、およびパターニングによって金属層90を形成すること以外は、上述した第1実施形態に係る発光装置100の製造方法と、基本的に同じである。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0109】
2.3. 発光装置の変形例
次に、第2実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図14は、第2実施形態の変形例に係る発光装置210を模式的に示す平面図である。図15は、第2実施形態の変形例に係る発光装置210を模式的に示す図14のXV-XV線断面図である。なお、図14および図15では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0110】
以下、第2実施形態の変形例に係る発光装置210において、上述した発光装置100,200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0111】
上述した発光装置200では、図12に示すように、金属層90は、低屈折率部50の表面56に直接、設けられていた。これに対し、発光装置210では、図15に示すように、金属層90は、絶縁層60を介して、低屈折率部50の表面56に設けられている。
【0112】
金属層90は、図14に示すように、配線72と接続されている。図示の例では、金属層90は、配線72と一体的に設けられている。金属層90は、平面視において、例えば、枠状の形状を有している。平面視において、発光部40の外縁および導電層70の外縁は、金属層90と重なっている。
【0113】
発光装置210は、上述した発光装置200と同様の効果を有することができる。
【0114】
発光装置210では、金属層90は、第2半導体層42cと電気的に接続された配線72に接続されている。そのため、発光装置210では、第2半導体層42cに注入される電流に対する抵抗を小さくすることができる。
【0115】
発光装置210では、金属層90は、配線72と一体的に設けられている。そのため、発光装置210では、金属層90と配線72とを別々の工程で形成する場合に比べて、製造工程を短縮することができる。
【0116】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図15は、第3実施形態に係るプロジェクター300を模式的に示す図である。
【0117】
プロジェクター300は、本発明に係る発光装置を含む。以下では、図16に示すように、発光装置100(発光装置100R,100G,100B)を含むプロジェクター300について説明する。
【0118】
プロジェクター300は、筐体(図示せず)と、筐体に備えられている発光装置100R,100G,100B、クロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)302、および投射レンズ(投射装置)304と、を含む。なお、便宜上、図16では、プロジェクター300を構成する筐体を省略し、さらに発光装置100R,100G,100Bを簡略化して図示している。
【0119】
発光装置100R,100G,100Bは、それぞれ、赤色光、緑色光、青色光を出射する。発光装置100R,100G,100Bは、各々の発光部40を映像の画素として画像情報に応じて制御する(変調する)ことで、例えば液晶ライトバルブ(光変調装置)を用いずに、直接的に映像を形成することができる。
【0120】
発光装置100R,100G,100Bから出射された光は、クロスダイクロイックプリズム302に入射する。クロスダイクロイックプリズム302は、発光装置100R,100G,100Bから出射された光を合成して投射レンズ304に導く。投射レンズ304は、発光装置100R,100G,100Bによって形成された映像を、拡大して図示しないスクリーン(表示面)に投射する。
【0121】
具体的には、クロスダイクロイックプリズム302は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ304によりスクリーン上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0122】
プロジェクター300では、発光装置100を含む。そのため、プロジェクター300では、例えば液晶ライトバルブ(光変調装置)を用いずに、直接的に映像を形成することができる。したがって、プロジェクター300では、液晶ライトバルブにおける透過ロス(光の一部が液晶ライトバルブを透過しないこと)を抑制することができ、高輝度化を図ることができる。さらに、プロジェクター300では、部品数を減らすことができ、低コスト化を図ることができる。さらに、プロジェクター300では、レーザー光を出射する発光装置100を含むため、LED(Light Emitting Diode)光を出射する場合に比べて、遠隔箇所から投影可能となる。
【0123】
なお、例えば、赤色光を出射する発光部40(40R)と、緑色光を出射する発光部40(40G)と、青色光を出射する発光部40(40B)と、が同一の基体10に設けられた発光装置100を用いる場合は、プロジェクター300は、図17に示すように、発光装置100から出射された光は、クロスダイクロイックプリズムに入射せず、直接、投射レンズ304に入射する。この場合、1つの発光装置100で、フルカラーの像表示が可能となり、図16に示す例に比べて、小型化を図ることができる。
【0124】
本発明に係る発光装置の用途は、上述した実施形態に限定されず、プロジェクター以外にも、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源としても用いることが可能である。
【0125】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0126】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0127】
2,3,4…ワイヤー、8,9…パッド、10…基体、12…第1基板、14…第2基板、16,20,22…半導体層、24…素子分離層、30…トランジスター、32…ソース領域、34…ドレイン領域、36…チャネル領域、38…ゲート、38a…ゲート絶縁層、38b…ゲート電極、40,40R,40G,40B…発光部、41…側壁、41a…第1側面、41b…第2側面、41c…第3側面、41d…第4側面、42…柱状部、42a…半導体層、42b…発光層、42c…半導体層、43,43a…絶縁層、44…光伝搬層、50…低屈折率部、52…高屈折率層、54…低屈折率層、56…表面、60…絶縁層、70…導電層、72…配線、80…第1駆動回路、80a,80b…パッド、82…第2駆動回路、82a…パッド、90…金属層、100,100R,100G,100B,110,200,210…発光装置、300…プロジェクター、302…クロスダイクロイックプリズム、304…投射レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17