(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】検出装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/47 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
G01N21/47 Z
(21)【出願番号】P 2020162866
(22)【出願日】2020-09-29
(62)【分割の表示】P 2016154185の分割
【原出願日】2016-08-05
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(73)【特許権者】
【識別番号】508320239
【氏名又は名称】株式会社ユピテル鹿児島
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】楠原 良人
(72)【発明者】
【氏名】枦 健一
(72)【発明者】
【氏名】永田 亮一
(72)【発明者】
【氏名】瀬濤 喜信
(72)【発明者】
【氏名】岩田 保
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌浩
【審査官】大河原 綾乃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-088830(JP,A)
【文献】実開昭50-042784(JP,U)
【文献】特開2007-110038(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0120395(KR,A)
【文献】特開2004-239695(JP,A)
【文献】特開2007-033153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00 - G01N21/01
G01N21/17 - G01N21/61
G01N21/84 - G01N21/958
G01B11/00 - G01B11/30
G01J3/00 - G01J4/04
G01J7/00 - G01J9/04
G01W1/00 - G01W1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射部に光を照射する照射部と、
前記照射部から照射された光の被照射部からの反射光である反射光を受光する受光部と、を備え、
前記反射光の強度に基づいて、対象物に堆積する堆積物の堆積の程度を検出する検出装置であって、
前記被照射部は、互いに反射率の異なる第1被照射部および第2被照射部を有し、
前記受光部は、前記照射部から照射された光の前記第1被照射部からの反射光である第1反射光および前記第2被照射部からの反射光である第2反射光を受光し、
前記反射光の強度に基づく前記対象物に堆積する堆積物の堆積の程度の検出は、前記第1反射光および前記第2反射光の強度の違いに基づくものであり、
前記受光部は、
前記第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、
前記第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、
を備え、
前記第1電気信号および前記第2電気信号を前記照射部の照射・非照射の周期である第1所定周期よりも長周期である第2所定周期で交互に切り替えて1つにされた第3電気信号に基づいて、前記強度の違いを求めること
を特徴とする検出装置。
【請求項2】
被照射部に光を照射する照射部と、
前記照射部から照射された光の被照射部からの反射光である反射光を受光する受光部と、を備え、
前記反射光の強度に基づいて、対象物に堆積する堆積物の堆積の程度を検出する検出装置であって、
前記被照射部は、互いに反射率の異なる第1被照射部および第2被照射部を有し、
前記受光部は、前記照射部から照射された光の前記第1被照射部からの反射光である第1反射光および前記第2被照射部からの反射光である第2反射光を受光し、
前記反射光の強度に基づく前記対象物に堆積する堆積物の堆積の程度の検出は、前記第1反射光および前記第2反射光の強度の違いに基づくものであり、
前記受光部は、
前記第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、
前記第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、
を備え、
前記第1電気信号および前記第2電気信号を前記照射部の照射・非照射の周期である第1所定周期よりも長周期である第2所定周期で交互に切り替えて1つにされた第3電気信号を積分して第4電気信号を出力する手段を備え、
前記第4電気信号を前記強度の違いとすることを特徴とする検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、降灰を検出するための装置がある。特許文献1には、照射部を備え、照射部より照射された光ビームの所定領域を横切った通過光の光量および所定領域内で散乱された散乱光の光量を受光して、所定領域内を降下する火山灰の有無を検知する火山灰検知装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、火山灰に限らず、例えば、塵、花粉などの堆積物は、例えば、建築物、屋外に置かれた展示物、車両などに堆積する。堆積物の堆積の程度を検出するためには、堆積物は風などにより除去されることもあり、降灰の有無を検出するだけでは不十分であり、検討の余地があった。例えば、上記特許文献1に記載の火山灰検知装置は、降灰の有無を検出できるものの、火山灰が堆積した場合の堆積の程度を検出するものではない。
【0005】
本願は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、対象物に堆積する堆積物の程度を検出することができる検出装置等を提供することを目的とする。この目的は、例えば特許
請求の範囲における独立請求項に記載の構成により達成される。また従属請求項は、例えば各々の従属請求項で単独に、あるいは従属請求項を組み合わせて、本願目的を達成する際の更なる有利な具体例を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の検出装置は、対象物に堆積する堆積物の堆積の程度を検出する検出装置であって、被照射部に光を照射する照射部と、照射部から照射された光の被照射部からの反射光である反射光を受光する受光部と、を備え、反射光の強度に基づいて、対象物に堆積する堆積物の堆積の程度を検出する。
【0007】
このようにすれば、堆積の程度を検出することができる。例えば、鹿児島県では、活火山である桜島が県央にある。
図12に気象台が提供した桜島の噴火回数と降灰量を示す。2009年から増大し、農業(2011年の被害額672,400万円)、畜産業、水産業への被害は膨大で、ソーラーパネルの発電低下、洗濯物への灰付着など社会的な問題となっている。特に農作物の場合には、降灰量が少量でも問題になる。また、畜産業、水産業では、エサに灰が付着する被害などがある。例えば、桜島周辺の錦江湾ではブリやカンパチなどの養殖漁業が盛んに行われており、軽石を含む桜島の火山灰やその浮遊物は、漁船の航行障害や魚類養殖における給餌作業への影響(例えば、火山灰軽石を食べてしまう、餌に混ざるなど)など、漁業に海水面の環境を悪化させ養殖漁業に被害を与えている。また、大量の火山灰は、漁船の航行障害や魚類養殖における餌付作業へ影響を与えることなどにより、一時的に湾内の漁獲量の減少をもたらす。鹿児島県は62ケ所の地点に降灰収集箱を設置し、10日ごとに降灰測定を実施し、結果を公開している。鹿児島地方気象台(地方気象台)の気象官は、例えば降灰収集箱で収取した灰の重量を電子天秤で測定することにより、灰計測を行う。このように、灰計測は原始的な計測に頼っているのが現状である。本検出装置によれば、例えば、このような人手を介することなく、容易に、堆積の程度を知ることができる。また、光を使用しての検出なので例えば非接触で検出することができる。本検出装置と本検出装置を用いた降灰情報のモニタリングシステムは、例えば降灰測定を行っている県、市町村などにおいて活用すると良い。また、例えば、降灰情報を活用して、噴霧装置によるソーラーパネルの灰除去、農作物の灰除去、餌つけを決める養殖産業、養殖魚の育成状態を監視するシステムなど地場産業に活用しても良い。また、降灰量をリアルタイムに検出し、モニタリングする装置とすると特に良い。尚、以下の説明において、ソーラーパネルを太陽光パネル、太陽電池、太陽電池アレイと記載する場合がある。
【0008】
被照射部は堆積物の堆積態様が対象物と違う環境下にあると良い。例えば、対象物に堆積する堆積物の堆積の程度の検出は、被照射部からの反射光の強度と、対象物に堆積する堆積物の堆積の程度との関係性を予め求め、例えば、その関係性に基づいて算出すると良い。この関係性は、例えば、予め測定して記憶しておき、その記憶している関係性に基づいて、堆積の程度を検出すると良い。この検出は算出によって行うと良い。「被照射部に」は、例えば「被照射部の方へ」とするとよい。特に「被照射部へ向けて」とするとよい。照射部および受光部は各々被照射部の方を向いているようにすると良い。被照射部は、動く物としてもよいが、動かない物とするとよい。特に固定された物とするとよい。被照射部は堆積物とは異なる物とすると特によい。被照射部は対象物そのものとしてもよいが、対象物とは異なる物とすると特によい。被照射部からの反射光は、例えば被照射部に堆積物がない状態では被照射部そのものの反射光として強度を検出されるようにするとよい。また、被照射部からの反射光は、例えば被照射部に堆積物が積もるにつれ反射光量が堆積物によって変化して検出されるようにするとよい。特に堆積物が積もるにつれて反射光量が減少して検出されるようにするとよい。
【0009】
尚、堆積の程度としては、例えば対象物、および被照射部の堆積面に堆積物が覆う程度、堆積物により堆積面に照射される光が遮られる程度、あるいは堆積物が堆積した状態を
見た人が感じる汚れの程度などとすると良い。堆積物は、例えば風、雨などの気象条件により、あるいは人や装置により除去、洗浄される等により、堆積面から除去されるものとすると良い。堆積態様としては、堆積物が、対象物、および被照射部の堆積面上に堆積しあるいは除去される際の状況とすると良い。例えば、風、雨などの当り具合が同等で堆積物が排除される状態が同等であり、人や装置による堆積物の除去や洗浄の状態が同等である状況にあるものとすると良い。堆積態様が同じ環境下としては、堆積物が堆積しあるいは除去される状況が、対象物と、被照射部との間で同等であるものとすると良い。照射部により照射される光は、例えば、赤外光、可視光、紫外光などとすると良いが、特に(8)のようにすると良い。照射部により照射された光を用いることにより、例えば天候により光の強度が左右される太陽光などを用いるよりも、環境によらず安定して検出することができる。照射部は例えば、発光ダイオード、半導体レーザなどにより実現すると良い。受光部は、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタなどにより実現すると良い。
【0010】
また、対象物は例えば屋内・屋外に設置された物とし、堆積物は屋内・屋外に設置された物に積もる物とすると良い。ただし、特に良いのは、対象物が屋外に設置されている物であって、堆積物が屋外に設置されている物に堆積する、屋外の空間を浮遊する浮遊物とした場合である。対象物は、例えば、ソーラーパネル、建築物、屋外に置かれた展示物、車両などとすると良く、堆積物は、例えば、火山灰、塵、花粉などとすると良い。検出した堆積物の堆積の程度に基づいて堆積物を除去する除去部に対して、除去の指示信号を出力し、当該指示信号に基づいて除去部が堆積物を除去する構成とするとよい。例えば除去部は、洗浄部として構成し、検出した堆積物の堆積の程度に基づいて洗浄部に対して、洗浄の指示信号を出力し、当該指示信号に基づいて洗浄部が堆積物を洗浄する構成とするとよい。特に、堆積の程度をリアルタイムに出力する構成とすると良い。例えば堆積物が火山灰の場合には、降灰の情報をリアルタイムに取得することで、原始的な灰計測の手間とデータ収集の問題が解決できるとともに、地場産業、とりわけ、農畜産業における農作物や養豚などの灰除去予測、水産業の魚への影響を定量的に分析が可能となることから地域における環境問題解決の一端となる。
【0011】
また、本検出装置の電源は、太陽電池パネルの発電した電力を利用するようにするとよい。特に、太陽電池パネルの発電した電力線を本検出装置の入力とし、本検出装置への太陽電池パネルからの電力供給がないときには、洗浄装置に対して洗浄信号を出力しないようにするとよい。このようにすれば、例えば夜間など、太陽が照っていないときに洗浄装置が稼働することを防止することができ、太陽が照り始めたときに本検出装置が動作し始める。そしてその動作し始めたときに灰等の堆積物の堆積量が洗浄に必要な量であった場合には、洗浄がなされることになる。よって、太陽が照っている発電がなされる状態で洗浄が必要なときに洗浄をさせることが容易に可能となる。夜間の降灰等で一旦灰がたくさん積もってしまうと、以降に太陽が照っても太陽電池パネルは発電出来ないので、太陽電池パネルの電力だけで本検出装置を動作させると、ずっと洗浄信号が出力されない可能性がある。そこで、太陽電池パネルからの電力のみによらず、他の電源からの電力も本検出装置に供給して稼働させるようにするとよい。他の電源としては例えば商用電源からの供給を受けるようにしてもよいが、電池からの供給をうけるようにするとよく、特に、太陽電池パネルからの電力を充電しておく二次電池からの供給を受けるようにするとよい。
【0012】
また、被照射部は対象物と異なる環境とすると良い。特に、対象物に対して堆積物が堆積する割合よりも大きい割合で堆積する箇所に前記被照射部を設けると良い。このようにすれば、対象物に堆積物が堆積する程度をいち早く検知できる。このように、異なる環境下にしても良いが、次の(2)のようにすると良い。
【0013】
(2)被照射部は、堆積物の堆積態様が対象物と同じ環境下にある構成としても良い。このようにすれば、被照射部に堆積する堆積物の堆積の程度を検出することにより、対象
物に堆積する堆積物の堆積の程度をより正確に検出することができる。被照射部は例えば、対象物そのものとしても良いが、対象物とは異なる物とすると良い。例えば、養殖魚の育成状態を監視するシステムに活用する場合には、本検出装置を魚群囲い近傍の陸地に設置しても良いが、魚群囲いに隣接させて海上に設置すると良い。本検出装置を海上に設置する場合には、(31)のように、ネットワーク、特に無線ネットワークにより堆積の程度を出力する構成とすると良い。堆積の程度を転送された陸上のモニタシステムにて、ユーザは状況を把握することができる。また、本検出装置の電源は、上記したように、太陽電池パネルの発電した電力を利用するようにするとよい。また、対象物を複数としても良い。例えば、本検出装置を設置する魚群囲いと同等の海域と、本検出装置への給電用の太陽光パネルとを、対象物としても良い。対象物が複数の場合、(25)の所定値は後述するように、対象物により異なる場合があるため、各々の所定値に基づいて(25)の指示信号を出力する構成とすると良い。このようにすれば、対象物が複数で、所定値以下となるタイミングが異なる場合にも、複数の対象物について(25)の指示信号を出力することができる。
【0014】
(3)被照射部は、対象物とは異なるものであり、堆積物が堆積する堆積面の性状は対象物の堆積面と同等である構成とする良い。
【0015】
このようにすれば、対象物の堆積面と、被照射部の堆積面による堆積態様を両者間で同じ環境下とすることができ、対象物の堆積面と、被照射部の堆積面との間で堆積の程度を同等とすることができる。対象物への堆積の程度を精度良く検出することができる。性状としては、例えば物理的性状、化学性状などとすると良い。物理的性状は、例えば堆積面の摩擦係数、表面の凸凹の程度、表面張力などであり、化学的性状は、例えば堆積面の親水性などである。物理的性状および化学的性状が、対象物の堆積面と被照射部の堆積面との間で同等であることにより、特に堆積物が除去される場合に、風、雨などの気象条件による堆積物の除去、人や装置による堆積物の除去や洗浄などを同等にすることができる。
【0016】
(4)被照射部は厚みが僅少な薄状部材であり、対象物の堆積面に載置する構成とすると良い。
【0017】
このようにすれば、被照射部が載置される対象物の堆積面と、薄状部材である被照射部の堆積面との段差を僅少にすることができる。段差の周辺において、段差によって堆積態様が不均一になることを抑制することができる。被照射部への堆積の程度が対象物への堆積の程度と異なってしまうことを抑制することができる。対象物、および被照射部は風雨があたる環境下にあると良い。例えば、段差があることによって、風雨により堆積物が除去される場合には、段差により風や雨水の流れが変化し、被照射部と対象物とで堆積態様が異なる環境になるおそれがあることを見出した。被照射部の厚みを薄状部材で構成すれば、堆積態様を同じ環境とすることができる。堆積の程度が対象物と同等となり、堆積の程度を精度良く検出することができる。厚みが僅少な薄状部材としては、例えば、シール状の部材とすると良い。
【0018】
(5)被照射部は、対象物とは離間した位置であって、対象物への堆積物の堆積を妨げられないとともに、前記対象物の有する作用効果を妨げない位置に配置する構成とすると良い。
【0019】
被照射部は対象物への堆積物の堆積を妨げないとともに、対象物の有する作用効果を妨げない位置、例えば対象物の上方、横などの対象物とは離間した位置に配置すると良い。このようにすれば、対象物が有する作用効果が被照射部の存在により妨げられることはない。例えば、対象物がソーラーパネルであれば、被照射部により太陽光が遮られることが抑制されることにより、発電を妨げることを抑制することができる。また、被照射部は、
対象物への堆積物の堆積が妨げられない位置に離間して配置されるため、対象物、被照射部は、堆積物の堆積態様が同じ環境下にあるため、各々の間で堆積の程度は同等となり、堆積の程度を精度良く検出することができる。尚、(4)と(5)の構成を組み合わせる構成としては、例えば被照射部の一端を対象物の堆積面に載置し、他端を対象物と離間した位置に配置する構成とすると良い。
【0020】
照射部および受光部は、堆積物が被照射部までに主として通る堆積経路を除く位置にあると良く、特に、(6)被照射部を、照射部および受光部の直下を除く位置に配置すると良い。
【0021】
照射部および受光部の直下を除く位置であれば、堆積物が重力に応じて落下する場合、堆積物の堆積経路を照射部および受光部が遮らないため、照射部、受光部が影となり被照射部への堆積物の堆積が妨げられることが抑制される。このため、被照射部は、対象物と堆積態様が同じ環境下となり、対象物、および被照射部の間で堆積物の堆積の程度が同等となり、堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0022】
(7)被照射部を、対象物への堆積物の堆積を妨げないとともに、照射部および受光部から反射光の強度を検出可能な距離離間して配置する構成とすると良い。
【0023】
照射部および受光部により堆積物の移動が遮られる場合にも、照射部および受光部と被照射部との距離が対象物への堆積物の堆積を妨げず、強度を検出可能な範囲で距離離れていれば、照射部および受光部を通過した堆積物は、照射部および受光部と被照射部との間に回り込むことができ、照射部および受光部が被照射部への堆積物の堆積を妨げることが抑制される。被照射部は、対象物と堆積態様が同じ環境下となり、対象物、被照射部の間で堆積物の堆積の程度が同等となり、堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0024】
(8)照射部が照射する光は周辺の外乱光とは異なる特性を有する光である構成とすると良い。
【0025】
外乱光としては、例えば、太陽光、街灯、自動車や鉄道などのライト、店舗や住宅などで使用される照明などが直接に受光部に入射した光、あるいは対象物、被照射部などで反射されて入射する光が想定可能である。受光部は反射光の他に外乱光も受光してしまうおそれがあるが、照射部が照射する光が周辺の外乱光とは異なる特性を有することにより、受光部は反射光を選別することができ、堆積量を精度良く検出することができる。ここで、周辺の外乱光とは異なる特性を有する光とは、反射光と区別できる光である。特性としては、例えば、波長、明滅の繰り返しパターン、明滅の繰り返しの周期などとすると良い。ところで、例えば、堆積物を火山灰とした場合、火山灰に赤外LED光を照射し、灰からの反射光をCdS(硫化カドミウム)で受光して、CdSの電圧変化が降灰量に比例することを実験的に確認し、降灰量を光学的に測定できることが分かった。しかしながら、CdSの受光スペクトルは可視光にも反応するため、CdSが外光の影響を受けないようにする必要があることがわかった。単純に受光素子をCdSとすると、外光の影響を受けるが、(8)のようにすれば、影響を受けなくなることを発明者らは発見した。
【0026】
(9)受光部を周辺の外乱光が直接入射しない位置に配置する構成とすると良い。
【0027】
外乱光を受光しない位置に受光部を配置することにより、受光部に入射して検出誤差を招来するノイズ光を除去し、さらにノイズ光が受光部の検出限界を超えた強い光である場合には検出自体が不能となってしまう事態を避けることができる。尚、太陽は季節・日時により位置・高度が変化するため、年間を通して太陽光が入射しない位置、あるいは入射する期間が短い位置に受光部を配置すると良い。また、街灯、自動車や鉄道などのライト
、店舗や住宅などの照明は、光源の方向が特定できるので、光源方向を避けた方向に受光部を配置すると良い。
【0028】
(10)被照射部は、互いに反射率の異なる第1被照射部および第2被照射部を有し、受光部は、照射部から照射された光の第1被照射部からの反射光である第1反射光および第2被照射部からの反射光である第2反射光を受光し、反射光の強度に基づく対象物に堆積する堆積物の堆積の程度の検出は、第1反射光および第2反射光の強度の違いに基づくものであることとすると良い。
【0029】
第1被照射部および第2被照射部の反射率は互いに異なるため、第1反射光および第2反射光の強度の違いは、第1被照射部および第2被照射部に堆積物が堆積していない状態で最も大きく、堆積の程度が大きくなるほど小さくなる。堆積の程度が多くなるほど、第1反射光および第2反射光の強度の違いは小さくなる。したがって、第1反射光および第2反射光の強度の違いに基づいて、第1被照射部および第2被照射部に堆積する堆積物の堆積の程度を検出することができる。
【0030】
(11)第1被照射部と2被照射部とを隣接して配置する構成とすると良い。
【0031】
このようにすれば、第1被照射部および第2被照射部の堆積態様が両者で均等となり、第1被照射部および第2被照射部の間で堆積態様が同じ環境下とすることができる。堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0032】
(12)受光部は、第1反射光および第2反射光を集光するレンズと、レンズの後段に第1反射光および第2反射光の有する波長域を通すとともに、前記第1反射光および前記第2反射光の有する波長域以外の光を通しにくくする第1手段と、を備える構成とすると良い。
【0033】
レンズにより、第1反射光および第2反射光を集光することにより、検出する光の強度を上げ、SN比を大きくし、精度良く堆積の程度を検出することができる。また、第1反射光および第2反射光の有する波長域の光を通すとともに、第1反射光および第2反射光の有する波長域以外の光を通しにくくする第1手段を備える。このようにすれば、受光部は第1反射光および第2反射光を選別することができ、堆積量を精度良く検出することができる。また、第1反射光および第2反射光の有する波長域以外の波長域の光を遮ることができ、収斂火災の発生を抑制することができる。第1手段は、例えば光学フィルタとすると良い。
【0034】
(13)照射部は、第1所定周期で照射・非照射を繰り返し、受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、第1所定周期の電気信号を通過させる第2手段と、を備え、第2手段を通過した第1電気信号および第2電気信号に基づいて、強度の違いを求める構成とすると良い。
【0035】
第2手段を通過させることにより、受光部が受光した光のうち、照射部が照射・非照射を繰り返す周期と同じ周期の光が変換された電気信号を取り出すことができる。第1反射光および第2反射光が変換された電気信号を取り出すことにより、堆積の程度を精度良く検出することができる。第1所定周期は例えば455kHzとすると良く、第2手段は汎用のAMラジオ用のフィルタとすると良い。このようにすれば、検出装置を安価で提供することができる。また、第2手段は例えばバンドパスフィルタとすると良い。
【0036】
(14)受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反
射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、第1電気信号を増幅して第1増幅信号を出力する第1増幅器と、第2電気信号を増幅して第2増幅信号を出力する第2増幅器と、を備える構成とすると良い。
【0037】
このようにすれば、SN比を大きくすることができ、堆積の程度を精度良く検出することができる。第1受光部及び第2受光部はそれぞれ例えば受光素子とするとよい。
【0038】
(15)強度の違いとして、第1反射光の強度に対する第2反射光の強度の比とする構成とすると良い。
【0039】
第1反射光の強度に対する第2反射光の強度の比に基づいて堆積の程度を検出することにより、第1反射光の強度と第2反射光との強度の差分に基づいて堆積の程度を検出するよりも、第1反射光および第2反射光の強度の検出誤差の影響を小さくすることができる。第1反射光および第2反射光の強度がそれぞれ誤差を含んでいても、第1反射光の強度に対する第2反射光の強度の比に対する第1反射光および第2反射光の強度に含まれる誤差の割合は小さくすることができる。このようにすれば、第1反射光および第2反射光の強度の検出誤差に経時変化がある場合であっても、堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0040】
(16)受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、を備え、第1電気信号および第2電気信号を分割により1つにした電気信号に基づいて、強度の違いを求める構成としても良い。
【0041】
第1電気信号および第2電気信号を時分割により1つの電気信号にすることにより、温度変化、経時変化による誤差の発生を無くすことができる。
【0042】
(17)受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、を備え、第1電気信号および第2電気信号を時分割により1つにした第3電気信号を積分して第4電気信号を出力する手段と、を備え、第4電気信号を前記強度の違いとする構成とすると良い。
【0043】
第4電気信号は第1電気信号および第2電気信号の大きさの違いを示すため、強度の違いとすることができる。第4電気信号に基づいて、堆積の程度を検出することができる。
【0044】
(18)受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、第1電気信号および第2電気信号を対数変換して出力する出力手段と、を備え、出力手段から出力される対数変換された第1電気信号と対数変換された第2電気信号との差分を強度の違いとする構成とすると良い。
【0045】
第1電気信号および第2電気信号を対数変換することで、第1反射光および第2反射光について信号処理の可能な強度の検出範囲を広く設定することができる。対数変換により強度の検出範囲を広く設定することができるので、照射部から照射され、第1被照射部および第2被照射部で反射され、受光部に入る光の経路がずれて、光の強度がばらついた場合でも、広い範囲で第1反射光および第2反射光を検出することができる。照射部、第1被照射部、第2被照射部、および受光部の相互の位置関係を厳密に設定する必要はなく、堆積の程度を検出することができる。また、照射部から照射される光の強度が、例えば経時劣化により低下した場合にも、検出範囲が広いため、第1反射光および第2反射光を検出することができる。対数変換された第1電気信号および第2電気信号の差分は第1反射光と第2反射光との強度比となる。求められた第1反射光と第2反射光との強度比により
、堆積の程度を検出することができる。出力手段は、例えば汎用のRSSI(Received Signal Strength Indicator)を出力する検波ICとすると良い。
【0046】
(19)受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、第1電気信号および第2電気信号を対数変換して出力する出力手段と、を備え、第1受光部および第2受光部と出力手段との間に介在し、出力手段に至る経路への接続を、第1受光部と第2受光部との間で第2所定周期で交互に切り替える切替部を備える構成とすると良い。
【0047】
このようにすれば、出力手段を第1電気信号および第2電気信号の各々の対して備えることなく、第1電気信号および第2電気信号に対して同じ出力手段で対数を出力するので、誤差を相殺できる。出力手段を第1電気信号および第2電気信号の各々の対して備える場合に発生する温度変化、経時変化による出力手段からの出力の誤差の発生を無くすことができる。特に(14)と組み合わせると良く、切替部は第1増幅信号および第2増幅信号を切り替える構成とすると良い。ここで、第2所定周期は高周波より低周期、例えば1.8kHz程度とすると良い。低周期とすると、高周波用の高価な部品を使用することなく、安価に検出装置を提供することができる。また、切替部は例えば、アナログスイッチとすると良い。
【0048】
(20)受光部は、第1反射光を受光し第1電気信号に変換する第1受光部と、第2反射光を受光し第2電気信号に変換する第2受光部と、第1電気信号および第2電気信号を対数変換して出力する出力手段とを備え、出力手段から出力される対数変換された第1電気信号と対数変換された第2電気信号との差分を出力する構成とすると良い。
【0049】
このようにすれば、照射部、第1被照射部、2被照射部、および受光部を配置する際に、使用者は出力を確認しながら第1反射光および2反射光の強度が大きくなる位置に配置することができる。照射部が照射する光が、例えば不可視である赤外光である場合、使用者は第1被照射部、2被照射部からの反射光を見ることができない。この場合においても、使用者は出力を確認しながら、第1反射光および2反射光の強度が大きくなる位置に位置合わせすることができる。
【0050】
(21)被照射部の色は、堆積物の色とは異なる構成とすると良い。このようにすれば、堆積物が堆積していない初期状態での反射光の強度と、堆積物が堆積した状態での反射光の強度とでは差が生じるため、堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0051】
(22)第1被照射部は白色であり、第2被照射部は黒色である構成としても良い。
【0052】
第1被照射部と第2被照射部との反射率の差を大きくすることにより、第1被照射部および第2被照射部に堆積物が堆積していない初期状態での最大の強度の差を大きくすることができる。堆積の程度に応じて強度の差が小さくなっていくので、広いレンジの強度の差により堆積の程度を検出することができ、堆積の程度を検出する分解能を高めることができる。堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0053】
(23)(1)乃至(22)の検出装置により行われる信号処理には、ソフトウェアによる処理は介在しない構成とすると良い。
【0054】
このようにすれば、高価なコンピュータを使用する必要がなく、検出器を安価で提供することができる。
【0055】
(24)照射部および受光部は、防塵性がある構成とすると良い。このようにすれば、堆積物が堆積する環境に照射部および受光部が設置されても、堆積の程度を検出することができる。
【0056】
使用者は(20)の出力に応じて、対象物を洗浄することができる。例えば、出力が堆積の程度が大きいことを示す場合には、強く洗浄することができる。(25)第1被照射部からの反射光と第2被照射部からの反射光との強度の違いが所定値以下であることに応じて、対象物を洗浄する洗浄部に対して対象物を洗浄ための指示信号を出力する構成とすると良い。検出装置を(20)と(25)とを組み合わせて構成しても良い。
【0057】
洗浄部は強度の違いが所定値以下であることに応じて、使用者の手を介さず洗浄することができる。また、使用者は所定値を自由に設定することができる。所定値は、例えば堆積物が火山灰である場合、降灰量20g/m2に対応する値とすると良い。降灰量が20g/m2を超えると、例えば、発電量が2割程度低下するなどして、太陽光発電に影響を与えることが分かった。また、この数年間では、2012年5月22日に最高降灰量733g/m2が観測されている。このため、堆積物を火山灰とする場合には、検出装置の検出範囲の上限は733g/m2より大きくすると良い。尚、所定値は、対象物により変更するのがよく、堆積物を例えば火山灰とした場合、降灰量20g/m2は対象物によっては相当に多い量となる。対象物を例えば農作物とした場合には、ごく少量でも問題になるケースもあるため、所定値を、少なくとも降灰量が20g/m2に対応する値よりも大きい値とすると良い。農作物の場合には、灰の付着量がごく少量でも、見た目が悪くなり、売り物にならなくなるおそれがある。対象物が農作物である場合には、洗浄は農作物へ水やりするスプリンクラーによる散水を用いるものとすると良い。強度の違いが所定値以下であることに応じて、水やりの程度を調整する構成とすると良い。水やりの程度を調整するは、例えば、水やりの時間を長くする、水やりの水圧を高くするなどすると良い。
【0058】
(26)被照射部、照射部、および受光部は、対象物を洗浄する洗浄部による洗浄に対して耐性がある構成とすると良い。
【0059】
このようにすれば、洗浄部が対象物を洗浄した後も堆積の程度を検出することができる。洗浄部は堆積物を、例えば水などの液体で流す、空気などの気体で吹き飛ばす、ワイパーなどの器具で拭うことにより洗浄する場合、検出装置を構成する被照射部、照射部、および受光部は、耐水性がある、防風性がある、堅牢であるなどの特性を備えることにより、洗浄後も強度の差の検出に支障をきたすことはない。全天候形灰計測とすると良い。
【0060】
(27)被照射部は、対象物の所定領域ごとに配置され、該所定領域ごとに備えられている洗浄ノズルによる洗浄は、洗浄ノズルが備えられる所定領域に配置される第1被照射部からの反射光と第2被照射部からの反射光との強度差に基づいて、所定領域毎に行われる構成とすると良い。
【0061】
このようにすれば、洗浄ノズルが洗浄する領域の堆積の程度に応じて洗浄を行うことができる。例えば、堆積の程度が大きい領域だけを洗浄する、堆積の程度に応じて、洗浄の強弱を調整することができ、省エネルギーとすることができる。
【0062】
(25)、(27)のように人の手を介さない洗浄ではなく、(20)の出力に応じて、使用者が対象物を洗浄することもできる。例えば、(20)における出力を例えば、人が堆積の程度を認知可能なように報知する報知部を備えると良い。特に、次の(28)のようにすると良い。
【0063】
(28)対象物の洗浄のための操作を人が行うための洗浄操作部の位置において、人が
堆積の程度を認知可能なように堆積の程度を報知する報知部を備える構成とすると良い。
【0064】
このようにすれば、使用者は、堆積の程度を確認しつつ、洗浄操作部を操作することができる。例えば、堆積の程度に応じて、洗浄操作部が洗浄の量を調整できる構成とすると良い。このようにすれば、堆積の程度に応じて、洗浄の程度を調整することができる。対象物が例えば、農作物である場合には、洗浄操作部は農作物への水やりの操作も兼ねる構成とすると良い。例えば、対象物は農作物とし、洗浄操作部は農作物への散水用のスプリンクラーの弁とすると良い。このようにすれば、報知を聴いてすぐに洗浄操作部を操作することができる。農作物へ水やりのための弁の操作のついでに、例えば、水圧を上げて洗浄するなどの堆積物の洗浄のための操作をすることができる。対象物が例えば魚群囲いの場合には、堆積の程度に応じて、例えば餌つけを行わないようにする、魚群囲いおよび餌を例えばシート状の保護具で覆う、魚群囲いの魚を堆積物が堆積しない場所に移動させるなどの対策を講じると良い。また、対象物が例えば魚群囲いの場合には、(25)のように、人の手を介さず、前述のような対策を講じる構成としても良い。
【0065】
(29)対象物はソーラーパネルであり、対象物の温度を検出する温度検出器を備え、温度検出器が検出した温度が所定温度以上であることに応じて、対象物を水洗浄する洗浄部に洗浄を指示する指示信号を出力する構成とすると良い。
【0066】
ソーラーパネルは、温度が上昇すると発電効率が低下する傾向がある。そこで、温度が上昇した場合に、水洗浄することでソーラーパネルが冷却され、低下した発電効率が回復することが期待できる。温度測定器としては、例えば、赤外線センサなどを用いた放射温度計、熱電対を用いた温度センサなどとすると良い。
【0067】
(30)対象物はソーラーパネルであり、対象物を洗浄する洗浄部を備え、対象物を洗浄することにより増加する発電量に基づく利益と、対象物の洗浄にかかる費用と、を予測する構成とすると良い。
【0068】
ソーラーパネルに堆積物が堆積すると太陽光が妨げられて発電量が低下する場合があるため、堆積物を洗浄することで発電量の低下を抑制すると良い。一方、洗浄には費用がかかる。使用者は、予測された増加する発電量に基づく利益と、洗浄部による洗浄にかかる費用とを比較することによって、洗浄を行うか否かを的確に判断することができる。
【0069】
例えば、堆積物が火山灰の場合、
図13に示すように、降灰前のPR値の平均が0.78であった場合、降灰後のPR値は0.1付近まで低下した。ここで、PR値とは、PR法で使用される発電性能比率を示す値であり、太陽電池の実発電効率を定格発電効率で除した値である。PR値は1に近い程、太陽電池の効率が良いことを示すものである。
図13の横軸の値が[10:52:12]の箇所で、最小の値を示しているプロット線は「パネル温度」を示し、次に小さい値を示しているプロット線が「日射強度」を示し、その次に小さい値を示しているプロット線が「出力」を示し、最大の値を示しているプロット線が「PR値」を示している。「パネル温度」「出力」「日射強度」の縦軸は
図13の左端の縦軸であり、「PR値」の縦軸は
図13の右端の縦軸である。横軸の値が[13:45:00]付近の箇所で、パネル温度および日射強度は急激に変化していないのに対し、PR値および出力が急激に低下している。急激に低下した後、値が大きい方のプロット線が「PR値」を示し、値が小さい方のプロット線が「出力」を示している。また、
図14に示すように、発明者らは、PR値および発電量(
図13では出力と記載)は降灰量にほぼ比例して低下していくことを見出した。
図14の横軸の値が0の箇所で、値が小さい方のプロット線は「電力」を示し、値が大きい方のプロット線は「PR値」を示す。「電力」の縦軸は
図14の左端の縦軸であり、「PR値」の縦軸は
図14の右端の縦軸である。さらに、
図15(a)(b)に示すように、発明者らは、降灰量に対するPR値の低下量を数式により算出できる
ことを見出した。尚、
図13~15は、太陽電池に降灰させ、PR値の変化を調査した実験結果である。
【0070】
また、対象物が太陽電池の場合、太陽電池パネルは
図16(a)に示すように、太陽光を効率良く受けるために、一般に、南向きに地面に対して傾斜して設置される。また、例えば、降灰のある地域では、
図16(b)に示すように、傾斜している太陽電池パネルの高い位置に位置する方の端部に噴霧器を設置している場合がある。噴霧器は、水を霧状にして噴射することにより、太陽電池パネル上に堆積した例えば火山灰などの堆積物を洗浄する。
図17は、太陽電池パネルの洗浄効果を検証するために実施した実験の結果である。ここでは、降灰がない時とある時のそれぞれに一回ずつ、噴霧器を作動させ、太陽電池パネルの洗浄を行った。
図17に示すように、降灰がある場合はPR値が0.13から0.96に上昇し、噴霧器による洗浄により、降灰により低下したPR値を回復させることがわかった。また、降灰がない場合にも、洗浄によりPR値が0.86から0.93に上昇したことから、洗浄は火山灰を除去するだけでなく、太陽光パネルの表面の温度を低下させる効果もあることを発明者らは見出した。
【0071】
対象物を洗浄することにより増加する発電量に基づく利益は、実験などにより得られた、
図15に例示するPR値の低下量を算出する数式と、季節および気象と1日当たりの発電量との相関を表す表と、単位電力当たりの売電価格などから算出すると良い。尚、数式、表、および売電価格は例えば、検出装置が備える記憶部が記憶しているものとすると良い。気象としては例えば晴れ、曇りなどとすると良い。例えば、検出装置は制御部を備える構成とすると良く、制御部は、表を参照して、例えば季節が夏で気象が晴れの場合の発電量を取得し、数式を用いて、現在の、堆積の程度である降灰量に対して、降灰量が0となった場合の発電量の差分を算出する。差分の発電量に単位電力当たりの売電価格を乗じて、利益を算出する。
【0072】
例えば、洗浄が水による洗浄の場合、対象物の洗浄にかかる費用は、実験などにより得られた、堆積の程度である降灰量と洗浄にかかる水量との相関を表す表と、単位水量当たりの水道料金などから算出すると良い。尚、表、および水道料金は、例えば、検出装置が備える記憶部が記憶しているものとすると良い。制御部は、表を参照して、現在の降灰量に対する水量を取得する。取得した水量に単位水量当たりの水道料金を乗じて、費用を算出する。
【0073】
また、検出装置は、算出した利益と費用とに基づいて、洗浄するか否かを判定する機能を備えると良い。利益が費用を上回る時に、洗浄を開始すると良い。洗浄を開始するタイミングとしては、任意のタイミングでも良いが、日が落ちる時に洗浄しても朝までに堆積物が堆積する可能性が高いので、洗浄は太陽が上がる前が、上がった後、望ましく午前中、より望ましくは、日の出を挟む前後とすると良い。この場合、検出装置が備える記憶部に予め記憶している、日付と日の出の時刻との相関を表す表に基づいて、タイミングを決定しても良く、検出装置が備える日射計に基づいてタイミングを決定しても良い。特に、日射計とすると、例えば、午前が曇りで午後から晴れる場合など、日射状況、天候に基づいて、利益、費用など加味して判定することができて良い。
【0074】
また、堆積の程度である降灰量は数値で表示するとよい。例えばあらかじめ1平方メートルあたりの降灰量(例えば重さなど)と、本検出装置の出力との関係を記憶しておき、その記憶した関係に基づいて現在の出力から降灰量を求めるとよい。例えば、センサ等で検出した、現在の日射量(例えば単位としてkW/平方メートル)、現在の気温(例えば単位として摂氏(度))、現在の発電電力(例えば単位としてkW)、本日の発電電力量(例えば単位としてkWh)、本日の売電金額(例えば単位として円)の少なくともいずれか1つとともに、降灰量または洗浄中か否かの表示の少なくともいずれか一方を行うと
よい。特に降灰量と洗浄中か否かの表示をともに行うようにするとよい。
【0075】
(31)ネットワークを介して堆積の程度を出力するネットワーク出力手段を備える構成とすると良い。このようにすると、出力先では堆積の程度を取得することができる。本検出装置を複数台備える構成、また、例えばメガソーラーなどのようなものであれば、所定の区域毎に本検出装置を複数備える構成とし、各々の検出装置がネットワークを介して1つのサーバに情報を送信するように構成すると良い。このようにすれば、例えば、県内に10ヶ所のソーラー発電所がある場合には、10ヶ所の情報を1つのサーバに集約して、それぞれのソーラー発電所の堆積の程度を、サーバに集約された情報で知ることができる。また、1つのソーラー発電所の中に複数の区画があって、区画ごとに検出装置を備える場合には、発電所の各区画の堆積の程度を集約して知ることができる。また、例えば(27)のような構成の場合には、それぞれの洗浄ノズルに対応した領域毎の情報を1つに集約して得ることができる。また、例えば、堆積物が火山灰である場合には、例えば桜島の目の前の錦江湾に複数の本検出装置を設置し、広域での堆積の程度の情報を1つのサーバに集約すると、錦江湾の養殖漁業者にとって有益な情報となる。
【0076】
(32)堆積の程度を所定の期間単位で可視化して表示可能な情報を生成して出力する情報出力手段を備える構成とすると良い。このようにすると、出力先では堆積の程度を所定の期間単位で可視化して表示可能な情報を取得することができる。所定の期間単位としては、1日、1月などとすると良い。検出装置は、例えば堆積の程度を所定時間間隔、あるいは、堆積の程度に変化があった時に、現在時刻とともに記録しておく記憶部を備えると良い。出力先では、時刻と堆積の程度のセットに基づいて、所定期間の情報を可視化して表示すると良い。可視化としては、例えば、横軸を時刻、縦軸を堆積量としたグラフ、1行毎に時刻と堆積量とを表示した表などとして表示すると良い。
【0077】
(33)堆積の程度に対象物の位置情報を付加した情報を出力する情報出力手段を備える構成とすると良い。このようにすると、出力先では堆積の程度に対象物の位置情報を付加した情報を取得することができる。位置情報としては、例えば、緯度・経度情報、地名、ソーラー発電所の名称、ソーラー発電所が複数のソーラー発電装置を備える場合には、例えば1号機、南側などの名称などとすると良い。特に、前段落で述べたように複数の検出装置の情報を集約して可視化すると良い。このようにすると、複数の情報のうち、例えば同じ県、同じソーラー発電所の情報を抽出することができる。また、地図上に堆積の程度をプロットして表示することができる。尚、以下の説明において、ソーラー発電装置を太陽電池モジュールと記載する場合がある。
【0078】
(34)堆積の程度が所定状態となることに応じて、予め記憶している通知先情報に基づいて通知する構成とすると良い。このようにすると、通知先では、堆積の程度が所定値以上となったことを知ることができる。通知は、例えば、電子メール、ソーシャルネットワークを使用したテキストデータ・音声データの送信、放送による通知などとすると良い。また、所定状態は、堆積の程度が所定値以上になること、堆積の程度の単位時間当たりの変化量が所定量を超えた状態などとすると良い。例えば、堆積物が火山灰である場合、火山の噴火により短時間に堆積する場合が多いため、単位時間当たりの変化量により通知することにより、例えば、屋外の洗濯物を屋内に移動させるなどできて良い。
【0079】
(1)から(34)のいずれかに記載の検出装置によれば、対象物を含まない検出装置自体に権利行使できる。
【0080】
(35)(1)から(34)のいずれかに記載の検出装置と対象物とを備えるシステムとすることができる。このようにすれば、検出装置と対象物とをセットで販売する場合に権利行使できる。このようにすれは、上記した、引用する(1)から(34)の箇所に記
載の効果と同様の効果を奏するシステムとなる。
【0081】
(36)(1)から(34)のいずれかに記載の検出装置と被照射部となる物とを備えるシステムとすることができる。このようにすれば、検出装置と被照射部となる物とをセットで販売する場合に権利行使できる。望ましくは、被照射部となる物からの反射光の強度に対して、対象物の堆積の程度を精度良く検出するように本検出装置を最適化しておくと良い。このようにすれば、対象物と被照射部をセットで対象物に設置して、堆積の程度を精度良く検出することができる。
【0082】
尚、(1)~(34)を任意に選択して組み合わせると良く、(1)を備えた上で、(2)~(34)の構成を組み合わせると特に良い。(2)を備えた上で、(3)~(34)の構成を組み合わせると最も良い。また、(1)~(34)の中の要素を任意に選択して組み合わせると良い。
【発明の効果】
【0083】
本願に係る検出装置およびシステムによれば、対象物に堆積する堆積物の程度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】実施形態の検出装置の概略構成を示す図である。
【
図2】検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】白黒板の外観と電気信号との関連を説明する図である。
【
図5】モニタリングシステムの回路構成を示すブロック図である。
【
図7】(a)はモニタリングシステムのPCの外観を示す図である。(b)はモニタリングしたアナログ出力の結果を表示したグラフである。
【
図8】(a)は灰除去装置システムの構成を示す図である。(b)はバルブ制御回路の回路図である。(c)は灰除去装置システムの外観を示す図である。
【
図9】灰除去装置システムのモニタリング結果を示す図である。
【
図10】灰除去装置システムのモニタリング結果を示す図である。
【
図11】降灰量計測モニタリングシステムの構成を示す図である。
【
図13】降灰によるPR値の低下説明する図である。
【
図14】降灰量とPR値の低下の相関を説明する図である。
【
図15】降灰量とPR値の低下の相関の実験結果を説明する図である。
【
図16】(a)は太陽電池アレイの外観を示す図であり、(b)は噴霧器による太陽電池パネルの洗浄の様子を示す図である。
【
図17】太陽電池における洗浄の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
実施形態に係る検出装置1の構成について
図1を用いて説明する。以下の説明において、方向は、
図1の上側を「上」、下側を「下」とする。検出装置1は太陽光発電を行うソーラーパネル3の上面に堆積する火山灰に係る堆積の程度を検出する。ここで、堆積の程度は、火山灰がソーラーパネル3の上面を覆う程度である。ソーラーパネル3および検出装置1は屋外に配置されている。また、ソーラーパネル3は地面に対して傾斜して配置されている。
【0086】
検出装置1は本体部10、白黒板20を有する。洗浄機2は本体部10に接続され、本体部10が検出した火山灰の堆積の程度に応じて出力する起動信号に応じて、例えば洗浄
機2が備える洗浄ノズル2aから水を噴射して、ソーラーパネル3の上面である堆積面に堆積した火山灰を洗浄する。また、洗浄機2はソーラーパネル3の堆積面を洗浄するのと一緒に、白黒板20の上面である堆積面に堆積した火山灰を洗浄する。白黒板20は、ソーラーパネル3の堆積面上の本体部10の直下を除く位置に配置されている。白黒板20を通る上下方向に対して本体部10は斜めに配置されている。これにより、火山灰が重力に応じて落下する場合、本体部10が影となり白黒板20への火山灰の堆積が妨げられることが抑制される。
【0087】
白黒板20の堆積面は、ソーラーパネル3の堆積面と表面の粗さ、親水性などが同程度である材質で形成されている。これにより、ソーラーパネル3の堆積面と、白黒板20の堆積面とで、堆積した火山灰が除去される程度を同程度とすることができる。ここで、火山灰が除去される場合には、洗浄機2による洗浄の他に雨および風などにより除去される場合がある。また、白黒板20はシール状の部材であり、厚みは僅少である。これにより、ソーラーパネル3の堆積面と白黒板20との段差により風や雨水の流れが変化することによる白黒板20とソーラーパネル3とで堆積態様が異なる環境になることを抑制することができる。ここでは、「堆積態様」は火山灰が堆積する状態、堆積した火山灰が除去される状態を示し、「ソーラーパネル3の堆積面および白黒板20の堆積面の堆積態様が同じ環境下にある」は、両者に同じ様に火山灰が堆積し、同じ様に堆積した火山灰が除去されることを示す。白黒板20は、白色の白板21と黒色の黒板22とを有し、白板21および黒板22は隣接している。これにより、白板21および黒板22の堆積態様が両者で均等となり、白板21および黒板22の間で堆積態様が同じ環境下とすることができる。白板21および黒板22は検出する火山灰の反射率とは異なる反射率を有し、白板21の反射率よりも黒板22の反射率の方が小さい。また、本体部10および白黒板20は洗浄機2が使用する水に対して耐性がある。このため、洗浄機2がソーラーパネル3を洗浄した後も堆積の程度を検出することができる。また、白黒板20は耐候性が高い部材で形成されている。このため、屋外に長時間配置されることによる劣化が抑制される。
【0088】
本体部10は箱状の形状を有し、最大面積を有する面の大きさは例えば名刺サイズ程度であり、制御部31、照射部12、受光部13を有し、例えば不図示の電源から電源供給されて動作する。制御部31は照射部12、受光部13などを制御する。尚、制御部31の詳細については後述する。照射部12は白黒板20全体に光を照射するように、白黒板20より広範囲に光を照射する。照射部12から照射された光は白黒板20で反射され、受光部13は白黒板20からの反射光を受光する。本体部10は受光部13で受光した光の強度に基づいて、堆積の程度を検出する。ここで、例えば天候などの環境により強度が変化する太陽光ではなく、照射部12から照射される光を検出に使用するため、環境によらず安定して堆積の程度を検出することができる。また、照射部12が照射する範囲は白黒板20よりも大きい。これにより、白黒板20に対する照射部12の位置がずれて、照射部12から照射される光の範囲がばらついた場合でも、確実に白黒板20へ光を当てることができる。また、検出装置1は白黒板20からの反射光を受光部13が受光する構成であるため、受光部13を下向きに配置する構成とすることができる。これにより、受光部13は太陽光を直接受光してしまうことがない。また、例えば、照射部12で照射された光を受光部13が直接受光する構成である場合、照射部12と受光部13とを対向して配置する必要があるが、受光部13は白黒板20からの反射光を受光する構成としているため、照射部12と受光部13とを1か所にまとめる構成とすることができる。
【0089】
本体部10は、ソーラーパネル3への火山灰の堆積を妨げないとともに白黒板20からの反射光が受光部13で受光可能な程度の距離、例えば1m程度、白黒板20から離間して例えば不図示の支持具などにより固定されている。これにより、本体部10により火山灰の移動が遮られる場合にも、本体部10を通過した火山灰が本体部10と白黒板20との間に回り込むことができるため、本体部10が白黒板20への火山灰の堆積を妨げるこ
とが抑制される。尚、白黒板20と本体部10との距離を決めるにあたり、本体部10の大きさと、白黒板20から本体部10までの距離との比が重要である。本体部10が大きいほど、白黒板20から本体部10までの距離を長くすると良い。また、受光部13は周辺の外乱光が直接入射しない位置に配置されている。ここで、外乱光は、例えば、太陽光、街灯、自動車や鉄道などのライト、店舗や住宅などで使用される照明などである。特に、季節・日時により位置が変化する太陽については、太陽光、および、太陽光のソーラーパネル3および白黒板20により反射された光が年間を通して入射しない位置、あるいは入射する期間が短い位置に受光部13が配置されている。外乱光を受光しない位置に受光部13を配置することにより、受光部13に入射して検出誤差を招来するノイズ光を除去し、さらにノイズ光が受光部13の検出限界を超えた強い光である場合には検出自体が不能となってしまう事態を避けることができる。
【0090】
本体部10は
図2に示す様に、
図1で示した制御部31、照射部12、受光部13の他に、レンズ14、アンプ32、アンプ33、アナログスイッチ34、バンドパスフィルタ(BPF)35、検波IC36、電圧出力部37、比較判定部38、出力端子P1、P2を含む。照射部12は赤外光を発光する赤外線発光ダイオード(以下、発光ダイオードと記載する)LEDを内蔵している。制御部31は第1所定周期TD1でOn/Off変調を掛けて照射部12を駆動する。詳しくは、制御部31は駆動指令である信号S1を出力し、照射部12は信号S1に応じて、第1所定周期TD1で照射・非照射を繰り返す。第1所定周期TD1は周波数に換算すると、例えば455kHzとなる期間である。受光部13は白板受光部15、黒板受光部16を含む。白板受光部15および黒板受光部16は、夫々フォトダイオードPDw、PDbを内蔵する。フォトダイオードPDw、PDbは受光した、白板21、黒板22それぞれからの反射光である赤外光を個別に電気信号に変換し、白板受光部15および黒板受光部16は夫々反射信号Opw、Opbを出力する。レンズ14は、例えば平凸レンズであり、凸部側が白黒板20に対向するように配置されている。レンズ14の背後にフォトダイオードPDw、PDbが配置されている。レンズ14は、照射部12から照射され、白板21で反射された白板反射光LW、および黒板22で反射された黒板反射光LBをそれぞれ、フォトダイオードPDw、PDbに集束させる。これにより、検出する光の強度を上げ、SN比を大きくすることができる。尚、白板受光部15および黒板受光部16は、白板21と黒板22との境界部分からの反射光が入らない位置に配置されている。アンプ32は白板受光部15から出力される反射信号Opwを増幅し、信号Owを出力する。アンプ33は黒板受光部16から出力される反射信号Opbを増幅し、信号Obを出力する。ここで、本体部10は白板受光部15および黒板受光部16の各々に対応して、アンプ32およびアンプ33を備えている。これにより、白板受光部15および黒板受光部16で変換された、アンプ32、33で増幅される前の微小な信号へのノイズ混入を抑制し、SN比を大きくすることができる。
【0091】
アナログスイッチ34はアンプ32の出力端子およびアンプ33の出力端子に接続され、制御部31の指令に応じて、出力を第1所定周期TD1より長周期である第2所定周期TD2で交互に切替える。これにより、アナログスイッチ34の出力信号は、信号Owと信号Obとが時分割により1つの信号にされた信号となる。尚、第2所定周期TD2は例えば約280μsであり、周波数に換算すると例えば、約1.8kHzとなる期間である。
【0092】
バンドパスフィルタ35は、照射部12における照射・非照射の周期である第1所定周期TD1の信号を通過させるフィルタであり、アナログスイッチ34の出力信号をフィルタリングして、信号O1を出力する。これにより、受光部13が受光した光のうち、照射部12が照射・非照射を繰り返す第1所定周期TD1と同じ周期の光が変換された電気信号を取り出すことができる。ここで、第1所定周期TD1を周波数455kHz相当とすることにより、バンドパスフィルタ35として汎用のバンドパスフィルタを使用すること
ができる。尚、周波数455kHzはAMラジオの中間周波数、FMラジオの第2中間周波数である。
【0093】
信号O1は検波IC36に入力される。検波IC36は、信号O1の大きさを対数値(dB)で示すRSSIを出力する汎用のリミッタICである。ここで、信号Owおよび信号Obはアナログスイッチ34において予め1つの信号にされている。これにより、検波IC36を信号Owと信号Obの各々の対して備えることなく、信号Owと信号Obとに対して同じ検波IC36でRSSIを得ることができる。検波IC36を信号Owと信号Obの各々の対して備える場合には、例えば、経時劣化により、例えば、一方の検波IC36のゲインが下がるなど、2つの検波IC36のゲイン、オフセット電圧、スケール誤差などに差が生じる場合がある。この点、信号O1を入力とすることで、発生する温度変化、経時変化によるRSSIの誤差の発生を無くすことができる。
【0094】
電圧出力部37は整流回路を含み、交流(AC)信号であるRSSIを直流(DC)電圧に変換して出力する。詳しくは、電圧出力部37は半波整流した後に積分し、堆積の程度を示す信号O2を出力端子P1に出力する。使用者は出力端子P1に、入力された電圧を表示する、例えば電圧計を接続することにより、信号O2の電圧値を確認することができる。比較判定部38はRSSIと、内蔵する例えば不図示のボリュームを介して入力される閾値電圧Vrとを比較し、比較結果である信号O3を出力する。ここで、ボリュームとは、例えばつまみを回して抵抗値を変えることができる可変抵抗である。尚、電圧出力部37、比較判定部38の詳細については後述する。制御部31は例えばCPLD(Complex Programmable Logic Device)で実現されており、上記のように照射部12およびアナログスイッチ34を制御する。制御部31をCPLDで実現することにより、ソフトウェアを必要とする高価なコンピュータを使用する必要がなく、検出装置1を安価で提供することができる。
【0095】
次に、
図3、4を用いて、火山灰の堆積の程度を検出する方法について説明する。
図3の区分Z1は白黒板20に火山灰が堆積する様子を示しており、火山灰が堆積するに従って、状態A、B、Cへと順に遷移する。状態Aは白黒板20に火山灰が無い状態であり、状態Bは白黒板20に火山灰が少し堆積している状態であり、状態Cは火山灰が沢山堆積している状態である。尚、ここでは、火山灰の色は灰色であるため、白黒板20に火山灰が堆積していない状態と、白黒板20に火山灰が堆積した状態とでの違いを検出することができる。状態Aでは、白黒板20に火山灰が堆積していないため、白板21と黒板22との違いがはっきりしている。状態B、Cに遷移するに従って、白黒板20の堆積面に堆積する火山灰が徐々に多くなるため、白板21と黒板22との違いが次第にはっきりしなくなる。黒板22よりも白板21の反射率が高いため、状態Aでは黒板反射光LB(
図2)よりも白板反射光LW(
図2)の強度の方が大きい。
図3の区分Z2は黒板反射光LB(
図2)と白板反射光LW(
図2)の強度の比である反射レベル比を示している。黒板反射光LB(
図2)および白板反射光LW(
図2)の強度の違いは火山灰が堆積していない状態Aで最大であり、状態B、Cへ遷移するに従って小さくなっていく。つまり、区分Z2に示すように、状態Aでの反射レベル比は「大」であり、状態Bでの反射レベル比は「中」であり、状態Cでの反射レベル比は「小」となる。さらに、白黒板20の全域が白黒板20を目視出来ない程度まで火山灰により覆われると、光は火山灰により反射されるため、黒板反射光LB(
図2)および白板反射光LW(
図2)の強度の違いは無くなる。このため、黒板反射光LB(
図2)および白板反射光LW(
図2)の強度の違いにより、堆積の程度を検出することができる。さらに、白黒板20とソーラーパネル3との堆積態様が同じ環境下にあるため、白黒板20に堆積する火山灰の堆積の程度を、ソーラーパネル3に堆積する火山灰の堆積の程度とすることができる。ここで、反射率の差が大きい白板21と黒板22とを使用することにより、広いレンジの強度の差により堆積の程度を検出することができ、堆積の程度を検出する分解能を高めることができる。
【0096】
図4に示す信号S1は、ハイレベルの期間、発光ダイオードLEDを点灯させ、ローレベルの期間、発光ダイオードLEDを消灯させるように指令する信号である。
図4に示す信号Ow、Obはそれぞれ白板反射光LWおよび黒板反射光LBに基づく、状態Aにおける信号を示している。信号S1に応じて、信号Ow、Obは発光ダイオードLEDの点灯に応じたハイレベルと、発光ダイオードLEDの消灯に応じたローレベルとを交互に繰り返す。黒板反射光LBの強度よりも白板反射光LWの強度の方が大きいため、信号Owの方が信号Obよりも振幅が大きい。ここで、振幅とは、最大電圧と最小電圧との差である。アナログスイッチ34は第2所定周期TD2でバンドパスフィルタ35への出力を信号Owと信号Obとに交互に切替えるため、信号O1は信号Owのバンドパスフィルタ35通過後の信号と、信号Obのバンドパスフィルタ35通過後の信号とが交互に現れる信号となる。ここで、信号Owのバンドパスフィルタ35通過後の信号が現れる期間を期間Tw、信号Obのバンドパスフィルタ35通過後の信号が現れる期間を期間Tbとする。検波IC36は、期間Twでは信号Owのバンドパスフィルタ35通過後の信号の大きさを出力し、期間Twでは信号Obのバンドパスフィルタ35通過後の信号の大きさを出力する。このため、RSSIは、期間Twではハイレベルとなり、期間Tbにおいてはローレベルとなる信号となる。尚、
図4において実線で示すRSSIは状態Aに対応し、一点鎖線で示すRSSIは状態Bに対応している。状態Aでは、RSSIはハイレベルWa、ローレベルBaの振幅となる。状態Bでは、RSSIはハイレベルWb、ローレベルBbの振幅となる。ここで、状態Bでは状態Aよりも白板反射光LWと黒板反射光LBとの強度の違いが小さいため、振幅は小さくなる。電圧Vlは白黒板20の全域が白黒板20を目視出来ない程度まで火山灰により覆われた状態におけるRSSIの電圧である。堆積の程度が大きくなるに従って、RSSIの電圧レベルは次第に電圧Vlに近づいていく。尚、電圧Vlは火山灰の反射率などに依存する値である。
【0097】
図3の区分Z3は各状態におけるRSSIを示しており、上記したように、ハイレベルWa、Wb、Wcは白板反射光LWの強度に応じた値であり、ローレベルBa、Bb、Bcは黒板反射光LBの強度に応じた値である。状態Aで振幅が大きく、状態B、Cになるにつれ、白板反射光LWの強度と黒板反射光LBの強度は同じ値に近づいていくため、振幅は小さくなっていく。
図3の区分Z3に示す電圧Vmは各状態におけるRSSIのハイレベルとローレベルの中間の電圧である。
【0098】
電圧出力部37は不図示のダイオードなどを含む半波整流回路部、およびコンデンサ、抵抗などを含む積分回路部を有する。半波整流回路部は、RSSIの電圧Vm以上の電圧成分を通過させる。半波整流回路部を通過した信号は積分回路部により積分され、DC電圧である信号O2が出力される。これにより、RSSIの振幅が大きいほど、出力される信号O2の電圧値は高くなる。
図3の区分Z4は、閾値電圧Vr、接地電圧GNDとともに、各状態における信号O2の電圧値である電圧Va、Vb、Vcが示されている。電圧Va、Vb、Vcは夫々状態A、B、Cにおける信号O2の電圧である。入力されるRSSIに応じて、電圧Va、Vb、Vcの順に電圧値は小さくなる。比較判定部38はRSSIの振幅と閾値電圧Vrとを比較し、ハイレベルまたはローレベルの、オープンコレクタ信号であるDC信号を出力する。
図4の区分Z5は各状態における信号O3の電圧レベルを示している。
図3の区分Z4に示すように、信号O2の出力電圧が電圧Va、Vbのように閾値電圧Vrより高い場合には、ハイレベル(
図3、区分Z5においてOPEN)の信号O3を出力し、信号O2の出力電圧が電圧Vcのように閾値電圧Vrより低い場合には、ローレベル(
図3、区分Z5ににおいてGND)の信号O3を出力する。ここで、ローレベルである信号O3は洗浄機2への起動信号である。洗浄機2は信号O3を洗浄の実行に関するオン/オフ信号とする。例えば、規定以上の汚れの場合には、信号O3はローレベルのオン信号となり、規定未満の汚れの場合には、信号O3はハイレベルのオフ信号となる。
【0099】
ここで、RSSIを積分して得られる信号O2の電圧値は、「黒板反射光LBの強度に対する白板反射光LWの強度の比」の対数に対応し、反射信号Opwと反射信号Opbのレベル比に対応する。例えば、白板反射光LWの強度に基づく信号である信号Owの振幅が電圧Aw、黒板反射光LBの強度に基づく信号である信号Obの振幅が電圧Abであり、RSSIのハイレベルは電圧logAwであり、ローレベルは電圧logAbであるとする。この場合、電圧出力部37では、半波整流回路を通過した、例えば電圧1/2(logAw-logAb)以上の電圧成分が積分回路部で積分されて、例えば電圧1/4(logAw-logAb)の信号O2が出力されるとする。2つの対数の差は、2つの数の比の対数となる。このため、上記の電圧1/4(logAw-logAb)は1/4(logAw/Ab)であり、「黒板反射光LBの強度に対する白板反射光LWの強度の比」である「Aw/Ab」を対数化した値を示す。例えば、信号O2の電圧値を予め1dB、1Vと調整した場合において、Aw:Ab=2:1、Aw=2×Ab、デシベルで20log2=6dBである場合、1/4×logAw/Ab=1/4×log2=1.5となる。このように、例えば信号O2の電圧が1.5Vであった場合には、白板反射光LWの強度に対する黒板反射光LBの強度の比が2程度、6dB程度であると推定することができる。尚、上記では、説明のため簡素化した数式を使用しているが、本体部10において出力される電圧値を限定するものではない。例えば、RSSIの電圧は検波IC36により決まる値であり、信号O2の電圧は電圧出力部37により決まる値である。
【0100】
また、白板反射光LWの強度に対する黒板反射光LBの強度の「比」に基づいて堆積の程度を検出することにより、白板反射光LWの強度と黒板反射光LBとの強度の「差」に基づいて堆積の程度を検出するよりも、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の検出誤差の影響を小さくすることができる。例えば、白板反射光LWの強度に基づく信号である白板受光部15の出力信号の振幅が電圧Gw、黒板反射光LBの出力信号の振幅が電圧Gbであり、Gbは検出誤差が無く検出された値であるのに対して、Gwは+10%の検出誤差を含んで検出されてしまった値であるとする。検出誤差が無く検出された場合の値をGtwとした場合、Gw=1.1Gtwである。2つの値の「差」は、Gw-Gb=1.1Gtw-Gb=(Gtw-Gb)+0.1Gtwと算出され、2つの値の「比」は、Gw/Gb=1.1Gtw/Gb=(Gtw/Gb)+0.1Gtw/Gbと算出される。つまり、検出誤差が無かった場合の値(「差」の場合Gtw-Gb、「比」の場合Gtw/Gb)と比較し、「差」の場合には、0.1Gtwの値が誤差となるのに対し、「比」では誤差を0.1Gtw/Gbとする事ができるため、1より大きいGbで除する分、堆積の程度を検出するのに使用する値に対する誤差の影響を小さくすることができる。例えば経時劣化により、フォトダイオードPDw、PDbにおける入出力特性が変化し、検出誤差が生じた場合においても、信号O2に対する検出誤差の影響を小さくすることができる。
【0101】
また、検波IC36を用いることにより、信号O1は対数に変換されて、後段に出力される。これにより、白板反射光LWおよび黒板反射光LBに係る強度の検出範囲を広く設定できるとともに、後段の電圧出力部37および比較判定部38の動作電圧範囲を限定することができる。照射部12から照射され、白黒板20で反射され、受光部13に入る光の経路がずれて、光の強度がばらついた場合でも、検出範囲が広いため、白板反射光LWおよび黒板反射光LBを検出することができる。照射部12、白黒板20、および受光部13の相互の位置関係を厳密に設定する必要はなく、設置の精度を問わず、大雑把に、ラフに合わせることができる。設置のシビアさを解消できる。また、照射部12から照射される光の強度が、例えば経時劣化により低下した場合にも、検出範囲が広いため、白板反射光LWおよび黒板反射光LBを確実に検出することができる。
【0102】
検出装置1の構成において、ソーラーパネル3と堆積態様が同じ環境に白黒板20を配
置し、受光部13に外乱光が直接入射しない位置に本体部10を配置するために、白黒板20と本体部10との位置は固定せずに、白黒板20および本体部10の配置の自由度を上げている。このため、配置状況により照射部12から照射される光の白黒板20への当たり具合、白黒板20と本体部10との角度、距離、位置は変化し、さらに外乱光などの環境により、白板反射光LW、黒板反射光LBの強度は変化する。また、例えば、振動などにより照射部12の位置がずれ、照射部12から照射される光の白黒板20への当たり方がずれた場合には、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の範囲がずれてしまう。また、例えば、経時劣化により、発光ダイオードLEDの発光強度が低下するに応じて、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度が低下してしまう。発光強度の低下が進行すると、検出範囲が狭い場合には、黒板反射光LBの強度が先に検出範囲外となるため、白板反射光LW、黒板反射光LBの強度の違いを正確に検出できなくなるおそれがある。上記した場合においても、検波IC36を用いることにより、白板反射光LWおよび黒板反射光LBに係る強度の検出可能な範囲を広くすることができるため、堆積の程度を確実に検出することができる。尚、対数に変換せず、信号をリニアのまま扱う場合には、絶対値がずれると飽和しやすい。リニアの場合には、対数に変換するよりも、検出範囲が狭くなるおそれがある。黒板反射光LBの強度が固定され、黒板反射光LBの強度に対する白板反射光LWの強度が変化するのではなく、上記したように、黒板反射光LBおよび白板反射光LWの強度の絶対値が共に変動しやすい。このため、検出範囲が狭いリニアの場合には、黒板反射光LBおよび白板反射光LWの強度が検出範囲外となりやすい。
【0103】
堆積の程度を示す信号O2の電圧値は接続された例えば電圧計に表示される。これにより、照射部12から照射される光は赤外光のため見えないが、使用者は信号O2の電圧値を確認しながら白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度が大きくなる位置、つまり、受光部13が白板反射光LWおよび黒板反射光LBを捉える向きに本体部10を配置することができる。詳しくは、信号O2の電圧値がピークとなる位置に位置合わせを行うと良い。また、洗浄機2は本体部10の出力端子P2と接続されており、信号O3がローレベルの場合に、ソーラーパネル3を洗浄するように設定されている。つまり、洗浄機2はローレベルの信号O3を起動信号として、洗浄を行う。これにより使用者の手を介さずソーラーパネル3を洗浄することができる。使用者は閾値電圧Vrを任意に設定できるため、例えば、天候に応じて、閾値電圧Vrを調整することができる。
【0104】
ここで、ソーラーパネル3は対象物の一例であり、火山灰は堆積物の一例である。黒板22は第1被照射部の一例であり、白板21は第2被照射部の一例であり、黒板反射光LBは第1反射光の一例であり、白板反射光LWは第2反射光の一例である。また、フォトダイオードPDbは第1受光部の一例であり、フォトダイオードPDwは第2受光部の一例であり、アンプ33は第1増幅器の一例であり、アンプ32は第2増幅器の一例であり、アナログスイッチ34は切替部の一例であり、バンドパスフィルタ35は第2手段の一例であり、検波IC36は出力手段の一例であり、電圧出力部37は第3手段の一例である。また、反射信号Opbは第1電気信号の一例であり、反射信号Opwは第2電気信号の一例であり、信号O1は第3電気信号の一例であり、信号O2は第4電気信号の一例である。また、白黒板20およびソーラーパネル3の堆積面の表面の粗さ、親水性は堆積面の性状の一例である。
【0105】
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
白板21および黒板22の反射率は互いに異なるため、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の違いは、白黒板20に火山灰が堆積していない状態で最も大きく、堆積の程度が大きくなるほど小さくなる。白板21および黒板22とは火山灰の堆積態様が同じ環境下にあるため、堆積の程度が大きくなるほど、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の違いは小さくなる。したがって、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の違いに基づいて、白板21および黒板22に堆積する火山灰の堆積の程度を検出すること
ができる。ここで、白黒板20は、火山灰の堆積態様がソーラーパネル3と同じ環境下にあるため、白黒板20に堆積する火山灰の堆積の程度を検出することにより、ソーラーパネル3に堆積する火山灰の堆積の程度を検出することができる。白黒板20を反射率の差の大きい白色と黒色とで構成することにより、火山灰が堆積していない初期状態での白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の差を大きくすることができ、堆積の程度を検出する分解能を高めることができる。
【0106】
白板21と黒板22とを隣接して配置している。これにより、白板21と黒板22の堆積態様が両者で均等となる。また、白板21と黒板22の火山灰が堆積する堆積面の性状はソーラーパネル3の堆積面と同等である。これにより、対象物の堆積面と、白板21と黒板22の堆積面による堆積態様を両者間で同じ環境下とすることができる。また、白板21および黒板22の厚みが僅少な薄状部材である。これにより、白黒板20が載置されるソーラーパネル3の堆積面と、白黒板20の堆積面との段差を僅少にすることができる。段差の周辺において、段差による堆積態様の不均一になることを抑制することができる。白黒板20への堆積の程度がソーラーパネル3への堆積の程度と異なってしまうことを抑制することができる。
【0107】
白黒板20は、本体部10の直下を除く位置に配置している。これにより、火山灰が重力に応じて落下する場合、火山灰の堆積経路を本体部10が遮らないため、本体部10が影となり白黒板20への火山灰の堆積が妨げられることが抑制される。また、白黒板20は、ソーラーパネル3への火山灰の堆積を妨げないとともに、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度を検出可能な距離、本体部10から離間して配置している。これにより、本体部10により火山灰の移動が遮られる場合にも、本体部10を通過した火山灰は、本体部10と白黒板20との間に回り込むことができ、本体部10が白黒板20への火山灰の堆積を妨げることが抑制される。受光部13は周辺の外乱光が直接入射しない位置に配置する。これにより、受光部13に入射して検出誤差を招来するノイズ光を除去し、さらにノイズ光が受光部13の検出限界を超えた強い光である場合には検出自体が不能となってしまう事態を避けることができる。
【0108】
照射部12は、第1所定周期TD1で照射・非照射を繰り返すことにより、外乱光とは異なる特性を有する光を白黒板20に照射することができる。第1所定周期TD1の電気信号を通過させるバンドパスフィルタ35を通過させることにより、照射部12が照射した光が変換された電気信号を選別して取り出すことができる。フォトダイオードPDwに対してアンプ32を備え、フォトダイオードPDbに対してアンプ33を備えることにより、SN比を大きくすることができる。
【0109】
アナログスイッチ34は出力を第2所定周期TD2で交互に切り替え、信号Owおよび信号Obを、時分割により1つの電気信号にする。これにより、検波IC36を信号Owおよび信号Obの各々の対して備えることなく、同じ検波IC36でRSSIが出力されるため、誤差を相殺できる。検波IC36を信号Owおよび信号Obの各々の対して備える場合に発生する温度変化、経時変化による検波IC36から出力される両者のRSSI間の誤差の発生を無くすことができる。
【0110】
信号O1の大きさは検波IC36により対数変換される。このため、白板反射光LWおよび黒板反射光LBについて信号処理の可能な強度の検出範囲を広く設定することができる。照射部12から照射され、白黒板20で反射され、受光部13に入る光の経路がずれて、光の強度がばらついた場合でも、広い範囲で白板反射光LWおよび黒板反射光LBを検出することができる。また、発光ダイオードLEDから照射される光の強度が、例えば経時劣化により低下した場合にも、検出範囲が広いため、白板反射光LWおよび黒板反射光LBを検出することができる。
【0111】
電圧出力部37は、白板反射光LWの強度に基づく信号と黒板反射光LBの強度に基づく信号とが時分割により1つにされたRSSIを積分し、RSSIにおける白板反射光LWの強度に基づく電圧成分と、RSSIにおける黒板反射光LBの強度に基づく電圧成分との差を電圧値として出力する。白板反射光LWの強度に基づく電圧成分を入力としたRSSIの電圧成分と、黒板反射光LBの強度に基づく電圧成分を入力としたRSSIの電圧成分との差は白板反射光LWおよび黒板反射光LBとの強度比となる。白板反射光LWの強度に対する黒板反射光LBの強度の比に基づいて堆積の程度を検出することにより、白板反射光LWの強度に対する黒板反射光LBの強度の差分に基づいて堆積の程度を検出するよりも、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの強度の検出誤差の影響を小さくすることができる。
【0112】
電圧出力部37は信号O2を出力する。これにより、本体部10および白黒板20を配置する際に、使用者は出力を確認しながら黒板反射光LBおよび白板反射光LWの強度が大きくなる位置に配置することができる。制御部31をCPLDで実現することにより、ソフトウェアによる処理が必要な高価なコンピュータを使用する必要がなく、検出装置1を安価で提供することができる。洗浄機2は比が信号O3に応じてソーラーパネル3を洗浄する。これにより、使用者の手を介さず洗浄することができる。また、使用者は閾値電圧Vrを自由に設定することができる。検出装置1は、洗浄機2による洗浄に対して耐性がある。これにより、洗浄機2がソーラーパネル3を洗浄した後も堆積の程度を検出することができる。
【0113】
<システム例1>
次に、検出装置101を備えるモニタリングシステム100の構成について
図5を用いて説明する。モニタリングシステム100は、対象物上に堆積する火山灰(堆積物の一例)の降灰量をモニタリングするためのシステムである。モニタリングシステム100は、
図5に示す様に、検出装置101、無線通信器(
図5ではZigBee(登録商標)と記載)の親機と子機、RCフィルタ、マイコン(
図5ではmbed(登録商標)と記載)、PCなどを備えている。無線通信器の親機と子機とは、ZigBeeの通信規格に準拠した無線通信を行う。マイコンはmbedである。検出装置101は、発振回路、LED(照射部の一例)、白黒反射板(被照射部の一例)、PD(受光部の一例)、検波IC、整流回路、閾値判定回路(
図5では閾値判定と記載)などを備える。発振回路、LED、白黒反射板、PD、検波IC、整流回路、閾値判定回路は、夫々、検出装置1の制御部31、照射部12、白黒板20、受光部13、検波IC36、電圧出力部37、比較判定部38に相当するため、説明を省略する。整流回路から出力される、検出装置1において信号O2に相当する、アナログ出力信号は無線通信器の親機に入力される。無線通信器の親機は、入力されたアナログ出力信号の電圧値に応じてデューティ比を調整したPWM(Pulse Width Modulation)出力信号を無線通信器の子機へ送信する。無線通信器の子機はPWM出力信号をRCフィルタへ出力する。RCフィルタは、PWM出力信号のデューティ比に応じた電圧値であるアナログ出力信号をマイコンに対して出力する。マイコンは、入力されたアナログ出力信号に基づく信号をPCへ出力する。これにより、PC上で、信号O2に相当する信号の変化をリアルタイムでモニタリングすることができる。尚、信号O2に相当する信号は、堆積の程度が大きい程、降灰量が多い程、電圧値が下がる信号である。
【0114】
検出装置101は、
図6に示すように、白黒反射板は降灰センサの直下を除く位置であって、白黒反射板からの反射光を検出可能な位置に設置される。尚、
図6の降灰センサは、検出装置1の本体部10に相当するものである。白黒反射板からの反射光を検出可能な位置は、白黒反射板から32.8cm程度離間した位置である。火山灰は噴火により舞い上げられた後、風により運ばれつつ、重力に応じて、対象物に降り積もる。風力にもよる
が、対象物付近では、上から降り積もる場合が多い。そこで、白黒反射板を降灰センサの直下を除く位置に配置することで、降灰センサが白黒反射板への降灰を妨げることを抑制することができる。
【0115】
次に、モニタリングシステム100における、モニタリングの実験結果について、
図7を用いて説明する。PCには、マイコンから入力されるアナログ出力信号に基づく信号をグラフ化して表示するアプリケーションプログラムがインストールされている。
図7(a)に示すように、PCの有するディスプレイに、
図7(b)に示すようなグラフが表示される。
図7(b)の横軸は時間軸であり、縦軸は電圧である。モニタリングシステム100によれば、検出装置101で降灰量をリアルタイムでモニタリングできることがわかる。尚、ここでは、PCに送信される降灰センサの最大出力は約1.37V、白黒反射板に約0.6gの降灰があった場合の出力は約0.8Vとなるように、降灰センサを調整している。
【0116】
<システム例2>
次に、検出装置201を備える灰除去装置システム200の構成について
図8を用いて説明する。灰除去装置システム200は、太陽光パネル(対象物の一例)上に堆積する火山灰(堆積物の一例)の降灰量に応じて自動洗浄するとともに、降灰量をモニタリングするためのシステムである。灰除去装置システム200は、
図8(a)に示す様に、日射計、噴霧装置(洗浄部、洗浄ノズルの一例)、検出装置201、マイコン(
図8ではmbedと記載)、無線通信器(
図8ではZigBeeと記載)の親機と子機、PC、リレーを有するバルブ制御回路、太陽電池パネル(
図8では太陽電池と記載)、I-Vチェッカーなどを備えている。噴霧装置はポンプおよび噴霧器を有している。噴霧器は、ポンプから給水される水を霧状にして噴射することにより、太陽電池パネル上に堆積した火山灰などの堆積物を洗浄する。マイコンとポンプとはバルブ制御回路(
図8(b))を介して電気的に接続されている。無線通信器の親機と子機とは、ZigBeeの通信規格に準拠した無線通信を行う。マイコンはmbedである。
【0117】
検出装置201は、検出装置1と同様の構成であり、降灰センサおよび白黒反射板などを有している。尚、降灰センサは検出装置1の本体部10に相当し、白黒反射板は検出装置1の白黒板20に相当するため、説明を省略する。
図8(c)に示すように、日射計、噴霧器、降灰センサ、白黒反射板は太陽電池パネルの近傍に配置されている。白黒反射板は太陽電池パネルの直上ではなく、離間して配置されている。これにより、白黒反射板が太陽光を遮り、太陽電池パネルによる発電を妨げることが抑制される。また、白黒反射板と、太陽電池パネルとは、同一平板上に配置されている。これにより、地面に対する傾斜角度が、白黒反射板と、太陽電池パネルとで同等となり、太陽電池パネルにおける降灰量を白黒反射板でより正確に検出することができる。
【0118】
降灰センサが出力する検出装置1の信号O3に相当する信号が無線通信器の親機に入力される。無線通信器の親機から子機へ、信号O3に相当する信号が送信され、さらに、マイコンに入力される。マイコンは、ローレベルの信号O3に相当する信号である、アナログ出力であるRSSIが閾値電圧Vrを下回ると出力される信号が降灰センサから入力されると、リレーをONする信号となるハイレベルの電圧をバルブ制御回路に対して出力する。バルブ制御回路は、
図8(b)に示すように、NPN型バイポーラトランジスタ、リレー、DC電源(
図8(b)ではDC12Vと記載)、AC電源(
図8(b)ではAC100Vと記載)などを備えている。バルブ制御回路は、降灰量が多く、マイコンからハイレベルである3.3Vの信号(洗浄するための指示信号の一例)がNPN型バイポーラトランジスタのベース端子に出力されると、NPN型バイポーラトランジスタがONし、リレーの有するコイルにDC電源から電流が流れる構成となっている。コイルに電流が流れると、リレーの有するスイッチがONし、ポンプのバルブにAC電源から給電され、ポン
プが作動する。ポンプが作動すると、噴霧器が噴霧を開始する。
【0119】
灰除去装置システム200では、太陽電池パネル上における降灰量が所定値以上となると、人の手を介さずに、噴霧装置により太陽電池パネルの洗浄が行うことができる。
【0120】
また、検出装置1の信号O3に相当する信号と同様に、検出装置1の信号O2に相当する信号も、降灰センサから、無線通信器の親機および子機を介して、マイコンに伝達される。マイコンは、信号O3に相当する信号が降灰センサから入力されると、PCに信号O3に相当する信号を出力する。これにより、PC上で、信号O3に相当する信号の変化をリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0121】
次に、灰除去装置システム200における、洗浄の効果を検証したモニタリングの実験結果について、
図9、10を用いて説明する。ここでは、太陽電池パネルに3回に人工的に降灰させる実験を行った。
図9の横軸は時間軸であり、縦軸は電圧である。信号O3に相当する信号(
図9ではセンサ出力と記載)の電圧は、降灰したタイミングで、下がっている。これにより、検出装置201で降灰量をリアルタイムで検出できることがわかる。
図10の横軸は、時刻であり、縦軸は発電量、日射量、およびPR値である。
図10により、降灰により発電量およびPR値が低下した後、噴霧器による洗浄により、発電量およびPR値が回復していることがわかる。さらに、洗浄後のPR値は0.9以上となることから、洗浄による太陽電池の発電効率を回復される効果が高い事がわかる。
【0122】
<システム例3>
次に、検出装置301を備える灰除去装置システム300の構成について
図11を用いて説明する。灰除去装置システム300は、日射量サンサ、噴霧装置、気象センサ、降灰センサ、マイコン(ネットワーク出力手段、情報出力手段の一例)、データ収集サーバ、2台の監視・遠隔操作PC(以下、PCと略記する)などを備えている。噴霧装置は噴霧装置全体を制御する噴霧コントローラ、および噴霧器(不図示)を有している。日射量サンサ、噴霧器、気象センサ、降灰センサは、太陽電池パネル(
図11では太陽電池アレイと記載している)の近傍に設置されており、各々、マイコンに電気的に接続されている。マイコンおよびPCはインターネットを介して、データ収集サーバと接続されている。PCには、検出情報を可視化して表示させるアプリケーションプログラムおよび、噴霧装置を制御できるアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0123】
マイコンは検出装置301が検出する降灰量、日射量センサが検出する日射量、気象センサが検出する例えば、温度、湿度、風向、風速、気圧、降水などの検出情報を例えば所定時間(例えば1日など)毎にサーバへ送信する。その際、マイコンは検出情報に、時刻、緯度・経度情報を付加して送信する。これにより、ユーザは、PCを操作して、サーバから検出情報を取得し、PCのディスプレイに検出情報を表示されることができる。ユーザは、検出情報を検証し、PCのアプリケーションにより、噴霧装置へ洗浄を指令する。洗浄の指令は、サーバを介してマイコンに送信される。マイコンは、洗浄の指令を受信すると、噴霧装置に洗浄の指令を行う。噴霧装置は洗浄の指令により、洗浄を開始する。このように、各センサにより日射量や降灰量等を検出しPCでモニタリング、遠隔操作を行い、降灰量に応じて噴霧装置の制御を行うことができる。
【0124】
検出情報には、時刻が付加されているため、1日、1月単位で降灰量をグラフ化して表示することができる。また、検出情報には、緯度・経度情報が付加されているため、地図上に降灰量をプロットして表示することができる。火山灰は、風向、火山に対する位置などによって、偏って堆積する。このため、地図上で表示することにより、得たい位置での降灰量を知ることができる。
【0125】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
上記では白黒板20はソーラーパネル3の堆積面の上に配置されると説明したが、ソーラーパネル3とは離間した位置であって、ソーラーパネル3への火山灰の堆積が妨げられないとともに、ソーラーパネル3の有する作用効果が妨げられない位置に配置される構成としても良い。例えば、ソーラーパネル3の横に配置すれば、白黒板20が太陽光を遮らないため、太陽光発電を妨げることがない。また、洗浄機2により、ソーラーパネル3と同様に洗浄される位置に配置することにより、ソーラーパネル3と堆積態様を同等とすることができる。
【0126】
また、レンズ14を通過した光は白板受光部15および黒板受光部16に入ると説明したが、レンズ14と白板受光部15および黒板受光部16との間に照射部12が照射する赤外光を通す光学フィルタを配置する構成とすると良い。これにより、受光部13は白板反射光LWおよび黒板反射光LBを選別することができる。また、白板反射光LWおよび黒板反射光LBの有する波長域以外の波長域の光を遮ることができ、収斂火災の発生を抑制することができる。ここで、光学フィルタは第1手段の一例である。
【0127】
また、ソーラーパネル3に対し、洗浄機2を1つ備える構成について説明したが、これに限定されるものではない。洗浄ノズル2aから噴射される水により洗浄可能な洗浄領域は限られるため、洗浄領域よりもソーラーパネル3の堆積面が広い場合には、洗浄ノズル2aを複数個備える構成とすると良い。複数の洗浄ノズル2aを備える場合、洗浄領域ごとに白黒板20を備える構成とすると良い。これにより、洗浄ノズル2aが洗浄する領域の堆積の程度に応じて洗浄を行うことができる。例えば、堆積の程度が大きい領域だけを洗浄する、堆積の程度に応じて洗浄の強弱を調整することができ、省エネルギーとすることができる。尚、洗浄機2が複数の洗浄ノズル2aを備える構成としても良いし、1つの洗浄ノズル2aを備える洗浄機2を複数備える構成としても良いし、両者を組み合わせても良い。
【0128】
また、対象物としてソーラーパネル3を例示して説明したが、この他に、例えば、屋根、壁、窓、床、ベランダ、道路の白線、通路、建築構造物の表面、車両、建設機材、移動体屋外展示の展示物、人工物、樹木などの自然物など、屋外の火山灰などの堆積物が堆積しやすい所などに適用することができる。また、堆積物として火山灰を例示して説明したが、この他に例えば塵、ほこり、花粉、黄砂、工場から排出される鉄粉などに適用することができる。
【0129】
また、照射部12から照射される光を反射されるために、白黒板20を使用すると説明したが、色を限定するものではない。検出する火山灰の反射率とは異なるもので、反射率が互いに異なるものが良く、照射部12から照射される光に対する反射率の差が大きいものが特に良い。また、例えば鏡などの乱反射の発生が少ない部材は、受光部13が正反射の位置からずれると、検出する反射光の強度が低下してしまう。このため、白黒板20は乱反射を発生させる部材とすると良い。尚、反射率は照射部12が照射する光に対する反射率である。また、堆積物が火山灰の場合、火山毎に、また、火山からの距離などにより、粒子径、色などが異なる。例えば、桜島では、白っぽいシラスと火山灰とは混ざるため、他とは火山の灰とは特性が違うことが知られている。火山灰の反射量が異なるため、堆積物の色および粒子径に応じて、色を選択すると良い。
【0130】
また、照射部12は赤外光を発光する発光ダイオードLEDを内蔵すると説明したが、これに限定されず、可視光、紫外光などを発光する発光ダイオードでも良く、発光ダイオードに限らず、半導体レーザ、有機エレクトロルミネッセンスなどでも良い。また、受光部13はフォトダイオードPDw、PDbを内蔵すると説明したが、これに限定されず、
フォトトランジスタ、硫化カドミウムセルなどのフォトレジスタなどでも良い。
【0131】
また、第1所定周期TD1の信号を通過させるバンドパスフィルタ35を備えると説明したが、これに限定されず、第1所定周期TD1の信号を通過させるローパスフィルタ、あるいはハイパスフィルタでも良く、両者を組み合わせて構成しても良い。
【0132】
第2所定周期TD2は周波数1.8kHzと説明したが、周波数を限定するものではない。電圧出力部37の積分回路部を構成する抵抗の抵抗値、コンデンサの容量値が大きくなり過ぎない程度に高く、高周波用の専用の部品を使用する必要がない程度に低い周波数とすると良い。
【0133】
また、制御部31は例えばCPLDで実現されると説明したが、CPLDに限らず、他のPLD(Programmable Logic Device)、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)で実現しても良く、PLDを使用せずに複数の電子部品で論理回路を構成して実現しても良い。プログラマブルロジックデバイス(PLD)とすると、制御回路の変更がプログラミングで容易となり、拡張性が高くすることができるため良い。
【0134】
また、洗浄機2は水により洗浄すると説明したが、水以外の液体を用いて洗浄しても良いし、空気などの気体で吹き飛ばす、ワイパーなどの器具で拭う、振動により落下させる、対象物の傾斜角度を変更して堆積物を落下させることなどにより洗浄しても良い。堆積物が火山灰の場合には、粒子が細かいため、例えば、対象物が車両の場合には、水洗浄だと車両が傷つくおそれがある。この場合には、初めに例えば刷毛などで火山灰を除くと良い。
【0135】
また、検出装置1は信号O3の電圧値に応じて、自動で洗浄すると説明したが、使用者が信号O2を確認し、手動で洗浄する構成としても良い。例えば、対象物がソーラーパネル3である場合、夜間に太陽光発電を行うことはできない。このため、夜間に閾値電圧Vrを超える程度、火山灰が堆積したからといって洗浄を行ったとしても、太陽光発電を行うことはできない。そこで、太陽光発電を開始することができる朝一に、使用者が信号O2を確認し、汚れていたら手動で強く洗浄する構成とすれば、自動で行うよりも省エネルギーとすることができる。例えば毎朝洗浄を行うなどの定期洗浄時に、使用者は信号O2の電圧値に応じた水圧とすることにより、洗浄機2で使用する水量を最低限の水量消費とすることが出来る。詳しくは、使用者は信号O2が堆積の程度が大きいことを示す場合、汚れがひどい場合には、例えば水をたくさん使って水圧を上げて強く洗浄し、堆積の程度が小さいことを示す場合、汚れがちょっとの場合には、例えば水をちょろちょろと、水圧を下げて弱く洗浄することができる。
【0136】
また、信号O2の電圧値は例えば電圧計に表示されると説明したが、検出装置1は信号O2の電圧値によって音量が変化する、例えばブザーを備える、あるいは、ブザーを取り付けて使用する構成としても良い。
【0137】
また、白黒板20はシール状の部材であると説明したが、これに限定されず、フィルム状、板状の部材としても良い。
【0138】
また、洗浄機2はローレベルの信号O3を起動信号とすると説明したが、これに限定されず、信号O2を起動信号としても良い。詳しくは、信号O2が所定電圧以上となった場合に、洗浄機2は洗浄を行う構成としても良い。
【0139】
また、白黒板20はソーラーパネル3の上に配置すると説明したが、ソーラーパネル3
が太陽光を受光する受光面に例えばガラスなどの透過率の高い表面保護材を備える構成である場合、表面保護材の下に白黒板20を備える構成としても良い。これにより、白黒板20の堆積面とソーラーパネル3の堆積面との堆積態様を同じ環境下とすることができる。
【0140】
また、検出装置1は白黒板20を備え、白板21からの白板反射光LWと、黒板22からの黒板反射光LBとに基づいて、堆積の程度を検出すると説明したが、黒板22および黒板反射光LBを用いない構成としても良い。この場合、信号Obを接地電圧とする。この構成によれば、天候などの環境によらず、一定である接地電圧に対する、白板反射光LWの強度に応じた電圧の変化に基づいて、堆積の程度を検出することができる。また、白板反射光LWと黒板反射光LBとを使用する場合には、フォトダイオードPDwおよびフォトダイオードPDbに、各々、白板反射光LWおよび黒板反射光LBが入射するように、白黒板20、受光部13、および照射部12の相対位置を厳密に調整する必要がある。この点、白板反射光LWのみを使用する構成の場合には、白板反射光LWおよび黒板反射光LBを使用する構成と比較して、厳密に調整しなくても、堆積の程度を検出することができる。
【0141】
また、電圧出力部37はダイオードなどを含む半波整流回路部を有する構成であると説明したが、半波整流回路部を有せず、RSSIの最大値と最小値を検出する、ピークtoピークの検出を行う回路構成としても良い。ダイオードは温度により、順方向電圧が変化するため、半波整流回路部の出力電圧が、温度により大きく変動する場合がある。ピークtoピークの検出を行う回路構成とすることにより、温度の影響を少なくした出力電圧を得る事ができる。
【0142】
また、灰除去装置システム300の構成に、太陽光パネルの表面温度を測定するために、太陽光パネル表面に温度検出器を追加した構成としても良い。また、温度検出器が検出した温度が所定温度(例えば40℃)になると、噴霧装置の洗浄を開始するようにすると良い。温度が上昇した場合に、水洗浄することで太陽光パネルが冷却され、発電効率の低下が抑制することができる。
【0143】
また、モニタリングシステム100では、無線通信器の親機と子機との通信は無線通信を行っている。そこで、検出装置101のうち、検波ICなどを含む無線通信器の親機までの前段の構成を屋外に配置し、無線通信器の子機からPCまでの後段の構成を屋内に配置する構成とすると良い。このように、検出装置101のうち、少なくとも一部に無線通信を用いることによって、対象物からマイコンまでを有線で接続する構成と比較して、設置の自由度を上げることができる。また、屋内に配置する構成は、耐候性を備える必要がなくなり、耐候性を備えるためのコストを削減することができる。
【0144】
また、本体部10は最大面積を有する面の大きさは例えば名刺サイズ程度であると説明したが、大きさを限定するものではない。大きさは、対象物に応じた大きさとすると良い。例えば、対象物が例えば家庭用のソーラーパネルの場合には、小型にし、ベランダなどに設置できるようにすると良く、例えば、対象物がメガソーラーなどの場合には、家庭用ほど小さくしなくても良い。
【0145】
また、太陽電池パネルは、メガソーラーに使用されるような大型のパネルでもよいし、家庭の屋根に設置するようなものでもよい。夜間に電球を点灯させるために昼間にバッテリー等に発電した電力をためて置き、バッテリーから夜間にその電球への電源供給を行うような小型のものでもよい。さらに小型のものでもよい。例えば、太陽電池パネルからの出力電圧等を本検出装置で監視し、あらかじめ記憶等しておいた、侵入者が当該太陽電池パネルを横切ったときに生じる変動のパターンに相当するパターンに出力電圧がなった場
合に、侵入者があったものと判定してその旨を示す信号を外部に出力するようにするとよい。また、太陽電池パネルからの出力電圧等の監視に代えてまたは太陽電池パネルからの出力電圧等の監視とともに、本検出装置の照射部と被照射部との間に通路や侵入者の経路等を挟むように設置し、照射部と被照射部との間を横切ったときに生じる変動のパターンに相当するパターンになった場合に、侵入者があったものと判定してその旨を示す信号を外部に出力するようにするとよい。このようにすれば、堆積物の堆積の程度だけでなく侵入者の有無も判定できる。侵入者としては人または動物の少なくとも一方とするとよい。また侵入者に代えて侵入物の判定としてもよい。例えば風に舞って新聞紙などの物が飛んできて通過していった場合ソーラーパネルにその物がかかったままになると発電量が著しく低下することがあるがこのようにすれば、こうした物があったことを知ることができ対処することができる。洗浄信号を出力しているときに侵入が検知されたときには洗浄信号の出力を停止するようにしてもよい。このようにすれば例えば子供が誤ってソーラーパネルのある施設に入ってしまった場合により安全を確保できる。また例えば子供の侵入対策などが十分になされている施設等においては侵入が検知された場合に洗浄信号を出力して、侵入者を洗浄により威嚇するようにしてもよい。
【0146】
また、白黒板20の堆積面は、ソーラーパネル3の堆積面と表面の粗さ、親水性などが同程度である材質で形成されていると説明した。例えば、白黒板をアクリル、ガラスなどとすると良いが、アクリルだと表面に傷がつくので、表面に傷がつかないガラスにすると特に良い。また、アクリルだと、屋外で使うため、真夏だと太陽光がきつく、波打つおそれがある。硬さは鉛筆のH6、H9くらいが良い。これにより、傷がつく、波打つなどして、反射が変わることを抑制することができる。ガラスの厚さは、4mm程度とすると良い。
【0147】
また、ソーラーパネルは、特に人の手の届く位置でない位置に設置されたものとするとよい。このようにすれば本検出装置は特に優れた効果を発揮する。
【0148】
また、ソーラーパネルは傾斜して設置するとよく、ソーラーパネルの表面の下辺側を支えるフレームは前記ソーラーパネルの表面よりも突出しない部分を設けるとよく、望ましくは前記下辺の全域にわたって前記フレームが前記ソーラーパネルの表面よりも突出しないようにするとよい。このようにすれば、例えば灰のような堆積物がソーラーパネル表面の下辺側に多く堆積してしまう事態、洗浄装置で洗浄した際にフレームに灰が当たって灰のような堆積物がソーラーパネル表面の下辺側にたまって流されないという事態を軽減できる。
【0149】
上記実施形態の構成に限定されず、上記実施形態の構成と上記変形例の構成とを任意に組み合わせても良い。また、上記実施形態の一部の構成と上記変形例の一部の構成とを任意に組み合わせても良い。また、「課題を解決するための手段」に記載の一部の構成と上記実施形態の一部の構成と上記変形例の一部の構成とを任意に組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0150】
1 検出装置
3 ソーラーパネル
2 洗浄機
2a 洗浄ノズル
10 本体部
12 照射部
13 受光部
14 レンズ
15 白板受光部
16 黒板受光部
20 白黒板
21 白板
22 黒板
31 制御部
32、33 アンプ
34 スイッチ
35 バンドパスフィルタ
36 検波IC
37 電圧出力部
38 比較判定部
PDw、PDb フォトダイオード
LW 白板反射光
LB 黒板反射光
TD1 第1所定周期
TD2 第2所定周期
Opw、Opb 反射信号
Ow、Ob、O1、RSSI、O2、O3 信号