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特許7008351保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法
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  • 特許-保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220118BHJP
   H04M 1/21 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/00 302
H04M1/21 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020066446
(22)【出願日】2020-04-02
(62)【分割の表示】P 2019023521の分割
【原出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020134952
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】515076529
【氏名又は名称】株式会社MSソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】塩川 正明
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3182202(JP,U)
【文献】特開2015-111194(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180690(JP,U)
【文献】国際公開第2020/017074(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/130576(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/166803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H04M 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器に貼付可能であり、少なくとも一部が透視性のあるシート体と、前記シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部及び該保護部に連設された把持部を含む保護用剥離シートを有する保護フィルムと、
前記シート体が前記携帯電子機器に対する貼付位置に配置されるように前記把持部を取付け可能な取付部と、該取付部の取付面よりも同携帯電子機器の表示面が高い位置にあるように同携帯電子機器を内部で位置決めされた状態で収容可能な収容部を有する保護フィルム貼付用治具とを備える
保護フィルム貼付装置。
【請求項2】
前記保護用剥離シートは、前記保護部と前記把持部との間に、同保護部と同把持部とを切離し可能な切離部が設けられている
請求項1に記載された保護フィルム貼付装置。
【請求項3】
携帯電子機器の表示面に貼付可能であって少なくとも一部に透視性のあるシート体が前記携帯電子機器に対する貼付位置に配置されるように、前記シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部及び該保護部に連設された把持部を含む保護用剥離シートの前記把持部を取付け可能な取付部と、
該取付部の取付面よりも前記携帯電子機器の表示面が高い位置にあるように同携帯電子機器を内部で位置決めされた状態で収容可能な収容部とを備える
保護フィルム貼付用治具。
【請求項4】
携帯電子機器の表示面が保護フィルムを取付ける取付部の取付面よりも高い位置にあるように、保護フィルム貼付用治具に設けられた収容部に前記携帯電子機器を位置決めして収容する収容工程と、
前記携帯電子機器に貼付可能なシート体と、前記シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部及び該保護部に連設された把持部を含む保護用剥離シートを有する前記保護フィルム前記携帯電子機器に対する貼付位置に配置されるように、前記保護用剥離シートの前記把持部を前記取付部に取付ける取付工程と、
前記保護フィルムのシート体の貼付面を被覆する貼付用剥離シートを剥離し、露出した前記貼付面を前記携帯電子機器の前記表示面に貼付ける貼付工程と、
前記携帯電子機器に貼り付けられた前記シート体から、前記貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部を剥離する剥離工程とを備える
保護フィルム貼付方法。
【請求項5】
前記貼付工程において、前記貼付用剥離シートを剥離しながら、露出した前記貼付面を、前記保護部を介して前記シート体を押さえて貼付する
請求項4に記載の保護フィルム貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法に関する。詳しくは、携帯電子機器に高い精度で貼付することができる保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電子機器の新しい機種が次々と発表されており、デザインの改善或いはユーザのニーズに応じて、機種ごとに異なるサイズで発売されている。
【0003】
また、表示画面に直接擦過痕などの傷が付く、あるいは表示画面に汚れが付着することを抑止するために、多くの場合、携帯電子機器の表示画面上に保護フィルムを貼付する。しかし、保護フィルムを貼付する際に、保護フィルムの貼付位置がずれてしまう、或いは保護フィルムにシワが寄ってしまうなどして、保護フィルムを精度良く貼付することは困難である。
【0004】
これを解決するために、特許文献1に示す、保護フィルムを保持するフィルム保持部と携帯電子機器を取付け可能な装置取付部を備える保護フィルム貼付用治具が提案されている。具体的には、特許文献1に記載する保護フィルム貼付用治具は、フィルム保持部に保護フィルムの接着面を上方に向けて配置し、その上から携帯電子機器の画像表示面が接着面と対向するように、携帯電子機器を装置取付部に取付ける。そして、その後治具を上下反転させて保護フィルムを押さえながら画像表示面に保護フィルムを貼付するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5845370号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の保護フィルム貼付用治具では、保護フィルムの上から携帯電子機器を取付けるために、貼付作業時の保護フィルムと携帯電子機器との位置関係の目視確認が行い難く、精度よく保護フィルムを貼付することが困難であった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであり、携帯電子機器に高い精度で貼付することができる保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の保護フィルム貼付装置は、携帯電子機器に貼付可能であり、少なくとも一部が透視性のあるシート体と、前記シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部及び該保護部に連設された把持部を含む保護用剥離シートを有する保護フィルムと、その内面の少なくとも一部に、前記シート体が貼付される携帯電子機器の外縁が当接した状態で同携帯電子機器を収容可能に構成された収容部と、前記シート体が、前記収容部に収容された携帯電子機器の前記収容部とは反対側であり、かつ、同携帯電子機器の貼付位置に配置されるように前記把持部を取付け可能な取付部を有する保護フィルム貼付用治具とを備える。
【0009】
ここで、シート体の少なくとも一部が透視性を有することによって、携帯電子機器に貼付された際、シート体を介して携帯電子機器を視認することができる。
また、シート体は、携帯電子機器の全部を被覆しても、一部のみを被覆しても良い。例えば、画像表示部のみを被覆するシート体、画像表示部以外の領域のみを被覆するシート体も含まれる。
【0010】
さらに、シート体の透視性を有する部分は「少なくとも一部」であり、シート体の全部が透視性を有する場合の他、シート体の一部が透視性を有する場合も含まれる。例えば、シート体が部分的に不透明素材により形成されている場合や、シート体の一部に模様が施されている場合であっても、その他の部分が透視性を有するのであれば、本発明の「シート体」に含まれる。
【0011】
加えて、保護用剥離シートが、シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部を含むことによって、シート体の被保護面を保護部で被覆することができ、携帯電子機器にシート体を貼付する作業の際、シート体の被保護面に擦過痕などが生じるのを抑制することができる。
【0012】
また、保護用剥離シートが、保護部に連設された把持部を含むことによって、把持部を介してシート体を取付部に取付けることができる。
【0013】
さらに、保護フィルム貼付用治具が、その内面の少なくとも一部に、シート体が貼付される携帯電子機器の外縁が当接した状態で携帯電子機器を収容可能に構成された収容部を有することによって、内面の少なくとも一部もしくは内面全体に携帯電子機器の外縁が当接することで、収容部内での携帯電子機器の位置決めを容易に行うことができる。
【0014】
加えて、取付部に把持部を取付けることで、シート体が、収容部に収容された携帯電子機器の収容部とは反対側に配置されることによって、位置決めされた携帯電子機器にシート体を近接せしめる際に、シート体と携帯電子機器との位置関係の目視確認を容易に行うことができる。
また、取付部に把持部を取付けることで、シート体が、携帯電子機器の貼付位置に配置されることによって、携帯電子機器に対するシート体の位置決めを容易に行うことができる。
これにより、携帯電子機器とシート体間のズレが生じることを抑止できるので、シート体を精度よく貼付することができる。
【0015】
また、収容部は、その底面と、底面から取付部が設けられた位置までを高さとする内面の少なくとも一部とで構成される下部収容部によって、収容部に収容された携帯電子機器の一部を収容する場合には、下部収容部から携帯電子機器が張出して収容されていることから、携帯電子機器の位置が取付部よりも高い位置にあるので、携帯電子機器と作業者の目の距離が短くなり、シート体をより精度よく貼付することができる。
【0016】
また、保護用剥離シートは、保護部と把持部との間に、保護部と把持部とを切離し可能な切離部が設けられる場合には、保護部と把持部とを容易に切離すことができる。即ち、把持部を取付部に取付けて、シート体の貼付面を携帯電子機器に貼付した後、切離部で保護部と把持部を切離すことで、シート体が貼付された携帯電子機器を保護フィルム貼付用治具から切離すことができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の保護フィルムは、携帯電子機器に貼付可能であり、少なくとも一部が透視性のあるシート体と、前記シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部と、前記シート体を、所定の収容部に位置決めされた状態で収容された携帯電子機器の同収容部とは反対側であり、かつ、同携帯電子機器の貼付位置に配置可能に取り付ける、前記保護部に連設された把持部とを備える。
【0018】
ここで、シート体の少なくとも一部が透視性を有することによって、携帯電子機器に貼付された際、シート体を介して携帯電子機器を視認することができる。
また、シート体は、携帯電子機器の全部を被覆しても、一部のみを被覆しても良い。例えば、画像表示部のみを被覆するシート体、画像表示部以外の領域のみを被覆するシート体も含まれる。
【0019】
さらに、シート体の透視性を有する部分は「少なくとも一部」であり、シート体の全部が透視性を有する場合の他、シート体の一部が透視性を有する場合も含まれる。例えば、シート体が部分的に不透明素材により形成されている場合や、シート体の一部に模様が施されている場合であっても、その他の部分が透視性を有するのであれば、本発明の「シート体」に含まれる。
【0020】
加えて、シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部を備えることによって、シート体の被保護面を保護部で被覆することができ、携帯電子機器にシート体を貼付する作業の際、シート体の被保護面に擦過痕などが生じるのを抑制することができる。
【0021】
また、保護用剥離シートが、保護部に連設された把持部を含むことによって、把持部を介してシート体を取付部に取付けることができる。
【0022】
そして、把持部を取付けることで、シート体が、所定の収容部に位置決めされた状態で収容された携帯電子機器の収容部とは反対側に配置されることによって、位置決めされた携帯電子機器にシート体を近接せしめる際に、シート体と携帯電子機器との位置関係の目視を容易に行うことができる。
また、把持部を取付けることで、シート体が、携帯電子機器の貼付位置に配置可能となることによって、携帯電子機器に対するシート体の位置決めを容易に行うことができる。
これにより、携帯電子機器とシート体間のズレが生じることを抑止できるので、シート体を精度よく貼付することができる。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の保護フィルム貼付用治具は、その内面の少なくとも一部に、携帯電子機器の外縁が当接した状態で同携帯電子機器を収容可能に構成された収容部と、前記収容部に収容された携帯電子機器に貼付するシート体を、同携帯電子機器の前記収容部とは反対側であり、かつ、同携帯電子機器の貼付位置に配置されるように位置せしめる取付部とを備える。
【0024】
ここで、保護フィルム貼付用治具が、その内面の少なくとも一部に、携帯電子機器の外縁が当接した状態で携帯電子機器を収容可能に構成された収容部を有することによって、その内面の少なくとも一部若しくは全部に携帯電子機器を当接させることで、収容部内での携帯電子機器の位置決めを容易に行うことができる。
【0025】
また、シート体が、収容部に収容された携帯電子機器の収容部とは反対側に配置されることによって、位置決めされた携帯電子機器にシート体を近接せしめる際に、シート体と携帯電子機器との位置関係の目視確認を容易に行うことができる。
そして、シート体が、収容部に収容された携帯電子機器の貼付位置に配置されることによって、携帯電子機器に対するシート体の位置決めを容易に行うことができる。
これにより、携帯電子機器とシート体間のズレが生じることを抑止できるので、シート体を精度よく貼付することができる。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の保護フィルム貼付方法は、保護フィルム貼付用治具に設けられた収容部の内面の少なくとも一部に、その外縁を当接させた状態で携帯電子機器を収容する収容工程と、少なくとも一部が透視性のあるシート体と、貼付面用剥離シートが被覆している前記シート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部を有する保護フィルムを、前記収容部に収容した前記携帯電子機器の前記収容部とは反対側であり、かつ、同携帯電子機器の貼付位置に配置されるように、前記保護フィルム貼付用治具に取付ける取付工程と、前記保護フィルム貼付用治具に取り付けた前記保護フィルムの、前記シート体の貼付面を被覆する貼付面用剥離シートを剥離し、露出した前記貼付面を前記携帯電子機器に貼付ける貼付工程と、前記携帯電子機器に貼り付けられた前記シート体から、前記保護部を剥離する剥離工程とを備える。
【0027】
ここで、収容工程において、保護フィルム貼付用治具に設けられた収容部の内面の少なくとも一部に、その外縁を当接させた状態で携帯電子機器を収容することによって、収容部の内面の一部に携帯電子機器の外縁が当接させて、収容部内での携帯電子機器の位置決めを容易に行った状態で収容することができる。
【0028】
また、取付工程において、少なくとも一部が透視性のあるシート体と、貼付面用剥離シートが被覆しているシート体の貼付面とは反対側の面である被保護面を被覆する保護部を有する保護フィルムを、収容部に収容した携帯電子機器の収容部とは反対側であり、かつ、携帯電子機器の貼付位置に配置されるように、保護フィルム貼付用治具に取付けることによって、携帯電子機器とシート体間にズレが生じることを抑制できる。
【0029】
そして、貼付工程において、保護フィルム貼付用治具に取り付けた保護フィルムの、シート体の貼付面を被覆する貼付面用剥離シートを剥離し、露出した貼付面を携帯電子機器に貼付けることによって、保護フィルムを携帯電子機器に精度良く貼付することができる。
具体的には、上述した取付工程で携帯電子機器とシート体間にズレが生じることを抑止でき、また、貼付する際携帯電子機器の貼付位置を目で確認しながら貼付することができるので、保護フィルムを携帯電子機器に精度良く貼付することができるのである。
【0030】
さらに、剥離工程において、携帯電子機器に貼付けられたシート体から、保護部を剥離することによって、シート体の被保護面を貼付作業終了後に露出させることができるので、被保護面に作業中に擦過痕などが生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
加えて、本発明に係る保護フィルム貼付装置、保護フィルム貼付用治具及び保護フィルム貼付方法は、携帯電子機器に高い精度で貼付することができる保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法となっている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態に係る保護フィルム貼付用治具の斜視図である。
図2】第1の実施例にかかる保護フィルムの説明図であって、図2(a)は、保護フィルムの斜視説明図、図2(b)は保護フィルムの構造を示す部分断面図である。
図3】第1の実施例の保護フィルム貼付用治具と保護フィルムの斜視分解図である。
図4】第1の実施例に係る保護フィルム貼付用治具の使用方法の説明図である。
図5】本発明に係る保護フィルム貼付方法のフローチャートである。
図6】取付部の他の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の保護フィルム貼付装置、保護フィルム、保護フィルム貼付用治具について図1乃至図4を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0034】
保護フィルム貼付け装置は、後述する保護フィルム貼付用治具A及び保護フィルム3より成り、図1を参照して保護フィルム貼付用治具Aについて最初に説明し、次に図2を参照して保護フィルム3について説明する。なお、本実施例において、保護フィルム貼付用治具Aの説明は、保護フィルム貼付用治具Aを平らな面上に水平に置いた状態を基準として述べ、図1及び図3において、後述する収容部1が開口している方向を上方として矢印Uで示し、下方を矢印Dとして示している。
【0035】
保護フィルム貼付用治具Aは、PET(Polyethylene terephthalate)素材で形成され、板状の形状を有し、略中央に、平面視で略長方形の形状であり、携帯電子機器の一例である携帯端末M(図3に記載)を収容可能な収容部1が設けられている。
【0036】
収容部1は、平面視で携帯端末Mの外縁を模した形状に形成された開口部である縁部10、縁部10の全周から略鉛直下方に垂設された内壁11、内壁11の下端から略水平方向に形成された底面12から成る。なお、保護フィルム貼付用治具Aの上面A1の外縁A2と縁部10の間に、縁部10を囲むように平面部A3が形成されている。
【0037】
収容部1の長手方向の一端側には、平面視で略長方形の形状の取付部2が設けられている。取付部2は、保護フィルム貼付用治具Aの幅方向を長手方向として平面視で略長方形に形成されており、取付面20と二つの突出した係合突起21a、21bから成る。なお、取付け部2が設けられる場所は、収容部1の周縁に限られるものではなく、収容部1から離間していても、後述するように、携帯端末Mの表面M2を被覆することができればよい。
【0038】
なお、本実施例においては、保護フィルム3の表裏面を間違えて貼付してしまうことを抑止する構造を採用している。具体的には、係合突起21a、21bの大きさを敢えて変え(係合突起21aが係合突起21bよりも径大に形成されている)、後述する保護フィルム3の貫通孔31b1、31b2も同様に大きさを変えた構造としている。
【0039】
この構造によれば、孔径の小さな貫通孔に外径の大きな係合突起は入らないので、保護フィルム3を保護フィルム貼付用治具Aに取り付けることができない。これにより、保護フィルム3の表裏面を間違えて貼付してしまうことを抑止することができる。
【0040】
また、取付面20は、平面部A3よりも約2mm低い位置に設けられており、平面部A3から取付面20にかけて上縁部22が形成されており、取付部20から内壁11にかけて下縁部23が形成されている。
【0041】
即ち、上縁部22から約2mm低い位置に下縁部23が設けられているので、取付部2の下縁部23から垂設された内壁11aは、その高さ方向の幅が、縁部10から垂設された内壁11よりも狭く形成されている。
【0042】
また、内壁11aは、携帯端末Mが収容部1に収容される際、携帯端末Mの一端部M1が当接する当接面11bとなっている。一端部M1を当接面11bに当接させることで、収容部1内での携帯端末Mの長手方向の位置決めを行うことができる。なお、内壁11aに連続する、長手方向に設けられた内壁11c、11dについても当接面とすることで収容部1内での携帯端末Mの幅方向の位置決めを行うことができる。
【0043】
そして、取付面20から底面12にかけての深さは、本実施例では、収容される携帯端末Mの厚みよりも浅く設けられている。これにより、収容部1内に携帯端末Mを収容した際には、携帯端末Mの画像表示部が表示されている、表示面M2は取付面20よりも上方Uに位置している。
【0044】
また、底面12には、携帯端末Mの背面よりも張出して設けられたカメラのレンズ部分(図示せず)を収容するためのカメラレンズ用凹部13が設けられている。このように、底面12は、凹凸のある携帯端末Mの背面に対応した形状となっているので、携帯端末Mを収容部1に収容する際、携帯端末Mの背面の形状に影響されることなく、携帯端末Mを略水平な状態で収容することができる。即ち、後述するように、携帯端末Mに保護フィルム3を貼付する際、高い精度で貼付することができる。
【0045】
また、収容部1の長手方向の他端部には、携帯端末Mを収容部1から出し入れする際、指を挿入する指挿入部14が設けられている。指挿入部14は、縁部10が保護フィルム貼付用治具Aの上面A1の外縁A2側へ凸状に張出すと共に、保護フィルム貼付用治具Aの幅方向を長手方向として平面視で略長方形に形成されている。これにより、携帯端末Mの他端部M4に指をかけることで、収容部1へ携帯端末Mを収容する際、携帯端末Mが底面12に携帯端末Mの背面が接するまで他端部M4を支持できるので、携帯端末Mに衝撃を与えることなく収納することができる。
【0046】
同様に、携帯端末Mの長手方向の外縁M3から突出して設けられている音量スイッチの形状に合わせた凹み部15a、及び電源スイッチの形状に合わせた凹み部15bが形成されている。これにより、携帯端末M全体を収容部1の内壁11に密着あるいは適度に近接させて収容することができ、収容部1内で正確に位置決めすることができるだけでなく、携帯端末を入れる際には収容部の開口部口縁への電源スイッチの引っ掛かりを抑制し、携帯端末を入れた後は収容部の内壁に当接して電源スイッチが押される等の誤作動を抑制する。
【0047】
次に、図2を用いて保護フィルム3について説明する。
保護フィルム3は、透明で、厚さ0.33ミリのガラス製のシート体30と、保護用剥離シート31及び貼付用剥離シート32から成る。シート体30は、柔らかい材質の場合もあるが、本実施例においては一定の硬さがあるものとして記載する。保護用剥離シート31は、シート体30が携帯端末Mに貼付された際、最上面に位置する被保護面30aを被覆する。貼付用剥離シート32は、シート体30を携帯端末Mの表示面M2に貼付される貼付面30bを被覆する。
【0048】
シート体30は、本実施例においては、携帯端末Mの表示面M1の全面を被覆するサイズであるが、このサイズに限られるものではない。表示面M1の一部を被覆するサイズであってもよい。
【0049】
被保護面30aと保護用剥離シート31の間に設けられた貼着層33aにより、保護用剥離シート31は、被保護面30aに貼付されている。また、貼付面30bと貼付用剥離シート32の間に設けられた貼着層33bにより、貼付用剥離シート32は、貼付面30bに貼付されている。
【0050】
なお、保護用剥離シート31と貼付用剥離シート32は、必ずしも透明である必要はなく、半透明あるいは不透明であってもよい。
【0051】
保護用剥離シート31は、シート体30の被保護面30aの全面を被覆する、略長方形の保護部31aと、保護部31aから連設された把持部31bとから成る。
【0052】
把持部31bには、二つの貫通孔31b1、31b2が設けられている。二つの貫通孔31b1、31b2を取付部2の係合突起21a、21bに嵌入することで、保護フィルム3は取付部2に取付けられる。このとき、貫通孔31b1、31b2は、継合片21a、21bの径に合わせて形成されており、貫通孔31b1は、貫通孔31b2よりも径大に形成されている。これにより、貫通孔31b2を係合突起21aに嵌入させることはできないため、保護フィルム3の被保護面30aと貼付面30bとを間違えて、被保護面30aを携帯端末Mの表示面M1に貼付してしまうことを抑止することができる。
【0053】
なお、取付部及び貫通孔の係合は、本実施例のものに限られず、図4に記載するように様々な形状が考えられる。以下、詳述する。
【0054】
図4(a)に記載するように、取付部の両端に設けられた色彩表示部31c2、31c3を異なる色で着色し、平面部A3上であって色彩表示部31c2の近傍に、色彩表示部31c2と同一色の色彩表示部31c1、色彩表示部31c3の近傍に、色彩表示部31c3と同一色の色彩表示部31c4も対応する色で着色する。この様にすることで、色彩により保護フィルムの表裏面を正しく認識することができる。
【0055】
また、図4(b)に記載するように、把持部31dに設けられた貫通孔31d1を円形にし、31d2を方形にすることで、保護フィルムの表裏面を正しく認識することができる。
【0056】
また、図4(c)に記載するように、把持部31eに設けられた貫通孔31e1、31e2自体の形状を左右非対称とすることで、保護フィルムの表裏面を正しく認識することができる。
【0057】
また、図4(d)に記載するように、把持部31fに設けられた貫通孔31f1を縦長の形状にし、貫通孔31f2を横長の形状にすることで、保護フィルムの表裏面を正しく認識することができる。
【0058】
また、図4(e)に記載するように、把持部31gに設けられた貫通孔31g1自体の形状を左右非対称とすることで、保護フィルムの表裏面を正しく認識することができる。
【0059】
また、携帯端末Mは、表示面M2が上方に位置するように収容部1内に収容されると共に、携帯端末Mの外縁M3が当接面11bに当接されているので、収容部1内での位置決めを正確に行うことができる。
【0060】
また、携帯端末Mの位置決めと併せて、保護フィルム3についても、貫通孔31b1、31b2が係合突起21a、21bに嵌入して取付けられているので、取付部2に対して正確に位置決めされている。
【0061】
さらに、取付部2の取付面20が収容部1の当接面11bと下縁部23で接して設けられていることから、携帯端末Mの表示面M1と保護シート3相互の位置決めを正確に行うことができるので、表示面M1と保護シート3とがずれてしまうことを抑止することができる。
【0062】
また、シート体30は、サイズに関わらず貼付することができるので、携帯端末Mの表示面M1の全面に貼付することもでき、或いは表示面M1の一部のみを被覆するサイズとすることもできる。これにより、少なくとも同一の形状を有する携帯端末であれば、シート体30のサイズに関わりなく、同一の保護フィルム用貼付装置を使用することができるので、高い汎用性を有する。
【0063】
〔保護フィルム3の貼付方法〕
次に、図5を用いて、保護フィルム貼付用治具Aを用いた保護フィルム3の貼付方法を説明する。
【0064】
(1)収容工程(ST1)
保護フィルム貼付用治具Aの収容部1内に、携帯端末Mの表示面M2が上面となるように、その外縁M3を内面11の一部である当接面11bに当接させて収容する。このとき、携帯端末Mの一端部M1(使用状態において上方に位置する側)から収容部1内に入れ、外縁M3のうち一端部M1側の外縁M3aを当接面11bに当接させることで、携帯端末Mの収容部1内での位置決めを正確に行ことができる。
【0065】
また、携帯端末Mの他端部M4(使用状態において下方に位置する側)を収容部1内に入れる際、取付部2と対向する位置に指挿入部14が設けられていることで、携帯端末Mの他端部M4を指で支持した状態で徐々に携帯端末Mを収容部1内に収容することができる。
【0066】
(2)取付工程(ST2)
シート体30を被覆する保護用剥離シート31の把持部31bに設けられた貫通孔31b1、31b2に、取付部2の係合突起21a、21bを嵌入させる。保護フィルム3を取付部2に取付けることで、取付部2に対する保護フィルム3の位置決めを正確に行うことができ、保護フィルム3は携帯端末Mの表示面M2を被覆する位置に正確に配置される。
【0067】
(3)貼付工程(ST3)
取付部2に把持部31bを介して取付けられたシート体30の貼付面30bを被覆する貼付用剥離シート32を剥いで、貼付面用剥離シート32が剥離されて露出した貼付面30bを、携帯端末Mの表示面M2に貼付する。
【0068】
そして、当接面11bと取付部2が下縁部23で接していることから、作業者は目視により携帯端末Mの表示面M2と保護フィルム3との位置を正確に把握することができるので、表示面M2と保護フィルム3の位置を確認しながら精度よく貼り付けることができる。
【0069】
なお、実際に貼付する場合には、図6に示すように、貼付用剥離シート32を少しずつ剥ぎながら、保護用剥離シート31を介してシート体30を指で押さえながら少しずつ貼付することで、空気泡が生じるのを抑止することができるので好ましい。また、収容部1内の空間の一部を占め、底面12から取付け面20が設けられた位置までを高さとする内壁11の一部とで構成される下部収容部(図示せず)が設けられている場合には、取付面20よりも携帯端末Mの表示面M2が高い位置(上方)にあり、表示面M2と作業者の目の距離が短くなり、より精度よく貼付することができる。
【0070】
(4)切離工程(ST4)
携帯端末Mの表示面M2に貼付されたシート体30を被覆する保護用剥離シート31の保護部31aと把持部31bを切取り線34で切離す。これにより、シート体30が貼付された携帯端末Mと保護フィルム貼付用治具Aを切離すことができる。
【0071】
(5)剥離工程(ST5)
シート体30の被保護面30aを被覆する保護用剥離シート31の保護部31aを剥ぐ。これにより、被保護面30aを露出させることができる。
なお、切離し工程(ST4)と剥離工程(ST5)は、作業の順番を入れ替えてもよい。
【0072】
上記の方法で保護フィルム3を携帯端末Mの表示面M1に精度よく貼付することができる。また、保護フィルム3のサイズに関わりなく貼付することができるので、表示面M1全体を覆うことも可能であり、汎用性に優れる。
【0073】
このように、本発明に係る保護フィルム貼付装置、保護フィルム、保護フィルム貼付用治具及び保護フィルム貼付方法は、携帯電子機器に高い精度で貼付することができる携帯電子機器に高い精度で貼付することができる保護フィルム、保護フィルム貼付用治具、保護フィルム貼付装置及び保護フィルム貼付方法となっている。
【符号の説明】
【0074】
1 収容部
11 内面
2 取付部
3 保護フィルム
30 シート体
30a 被保護面
30b 貼付面
31 保護用剥離シート
31a 保護部
31b 把持部
A 保護フィルム貼付用治具
M 携帯端末(携帯電子機器)
M3 外縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6