(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】麺帯熟成方法及び麺帯熟成装置
(51)【国際特許分類】
A21C 13/00 20060101AFI20220118BHJP
A21C 3/06 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A21C13/00 D
A21C3/06 B
(21)【出願番号】P 2020201770
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】593008748
【氏名又は名称】株式会社豊製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉知 雅休
(72)【発明者】
【氏名】近江 英人
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-125748(JP,A)
【文献】実開平4-30884(JP,U)
【文献】特開平8-214765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 13/00
A21C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に展延された麺帯を麺棒の外周面上にロール状に巻き付ける麺帯巻付手順と、
ロール状に巻き付けられた麺帯の外周表面全体を覆うように外周にラップを巻き付けるラップ巻付手順と、
ラップに覆われ、麺棒に巻かれたロール状の麺帯を、間隔を空けて複数が連なった状態で保存して、麺帯を熟成する麺帯熟成手順とを備える麺帯熟成方法であって、
前記ラップ巻付手順は、
巻付方向の長さを短くするように折り曲げられたラップの折り曲げ端部が下層側となるようにラップを2枚重ねでロール状の麺帯の外周表面全体を覆うように麺帯層の外周に巻き付け、巻き付けられた2枚重ねのラップのうちの外周側のラップを、次に続く麺棒にロール状に巻き付けられた次段の麺帯に、再度ラップを巻付方向の長さを短くするように折り曲げて、ラップの折り曲げ端部が下層側となるようにラップを2枚重ねで麺帯の外周表面全体を覆うように外周に巻き付ける麺帯熟成方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ラップ巻付手順は、
ロール状に巻き付けられた麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に、両端を麺帯層外に残して前記折り曲げられたラップの折り曲げ端部を挿入して挟持し、麺帯層外のラップの両端側を2枚重ねでロール状の麺帯の外周表面全体を覆うように麺帯層の外周に巻き付け、巻き付けられた2枚重ねのラップのうちの外周側のラップを、次に続く麺棒にロール状に巻き付けられた次段の麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に、再度ラップを巻付方向の長さを短くするように折り曲げて、その折り曲げ端部を挿入して挟持し、麺帯層外のラップを2枚重ねで次段の麺帯の外周表面全体を覆うように外周に巻き付ける麺帯熟成方法。
【請求項3】
帯状に展延された麺帯を麺棒の外周面上にロール状に巻き付ける麺帯巻付部と、
ロール状に巻き付けられた麺帯の外周表面全体を覆うように外周にラップを巻き付けるラップ巻付部と、
ラップに覆われ、麺棒に巻かれたロール状の麺帯を、間隔を空けて複数が連なった状態で保存して、麺帯を熟成する熟成部とを備える麺帯熟成装置であって、
前記ラップ巻付部は、
麺棒と並行する軸の周りに巻き付けられたラップを、軸周りに繰り出し可能に保持するラップホルダと、
該ラップホルダから繰り出されたラップの繰り出し端を、ラップ面がロール状に巻かれた麺帯に対向する位置に保持した状態で、ラップをロール状に巻かれた麺帯に向けて押圧し、押圧されたラップを、ロール状に巻かれた麺帯表面に当接させるラップ挿入ローラと、
該ラップ挿入ローラがラップを押圧後、ラップから離れた状態で、麺棒を軸中心で回転して、前記ラップ挿入ローラにより押圧されて麺帯表面に当接した部分のラップを、ラップの巻付方向の長さを短くするように折り曲げて2枚重ねとし、その折り曲げ端部を下層としてラップを2枚重ねで麺帯層の外周面に巻き付ける麺棒回転体と、
ロール状の麺帯層の外周面にラップが巻き付けられた状態の麺棒を一定距離移動する麺棒移動手段と、
前記ラップホルダから繰り出され、前記麺棒移動手段により一定距離移動されたロール状の麺帯の外周面に巻き付けられて延びるラップを、前記ラップ挿入ローラより一定距離移動されたロール状の麺帯側で、且つ前記ラップホルダに対向する位置に、前記ラップホルダから繰り出しながら移動するラップ延長ローラとを備える麺帯熟成装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ラップ挿入ローラは、該ラップホルダから繰り出されたラップの繰り出し端を、ラップ面がロール状に巻かれた麺帯に対向する位置に保持した状態で、ラップをロール状に巻かれた麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に向けて押圧し、押圧されたラップを、ロール状に巻かれたとき麺帯層の内側となる麺帯表面に当接させ、
前記麺棒回転体は、前記ラップ挿入ローラがラップを押圧後、ラップから離れた状態で、麺棒を軸中心で回転して、麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間を閉じて、麺帯層間にラップの前記折り曲げ端部を挟持し、ラップを麺帯層の外周面に巻き付ける麺帯熟成装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記ラップ延長ローラは、ラップの面の両側に位置し、ラップの幅方向の外側で互いに分離可能に結合された延長バーと引上ローラとを備え、
該引上ローラは、ラップの幅方向に延びる軸中心で回転自在で、ラップ面に当接して回転しながらラップを移動させるものであり、前記延長バーは、前記引上ローラを結合状態で移動させるものであり、
前記引上ローラは、前記延長バーとの結合状態を解除されるとき、ラップ面の前記引上ローラ側に位置する固定部材に結合されて保持される麺帯熟成装置。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかにおいて、
麺棒は、その麺棒に貫通された一対の鍔を備え、その一対の鍔の間に麺帯がロール状に巻き付けられており、
前記麺棒移動手段により移動された麺棒の一対の鍔に、その両外側から当接して、前記ラップ延長ローラによりラップを移動させるとき麺棒がつられて移動しないように保持する挟持体を備える麺帯熟成装置。
【請求項7】
請求項3~6のいずれかにおいて、
前記熟成部は、ラップに覆われたロール状の麺帯を、間隔を空けて複数個保持して移送し、移送の間に麺帯を熟成させる移送手段を備え、
該移送手段の麺帯搬入側には前記麺棒移動手段が配置され、前記移送手段の麺帯搬出側には、麺棒を前記熟成部から搬出する麺棒搬出手段が配置されており、
前記移送手段は、
スプロケットにより駆動され、麺棒の両端に対応して対を成すチェーンと、
該各チェーン上で互いに間隔を空けて複数個設けられ、麺棒の両端を受け入れて保持する凹部を有するブロックとを備え、
該ブロックは、スプロケットの回転平面に沿って配設された前記チェーンの外プレートに設けられ、
前記凹部は、その開放側をスプロケットの回転の外周側に向けて形成されており、
前記移送手段、前記麺棒移動手段、及び前記麺棒搬出手段は、前記麺棒移動手段により麺棒が前記熟成部に搬入されたとき、前記ブロックが前記凹部内に麺棒の両端を受け入れる位置となるように同期して移動され、しかも、前記移送手段により麺棒が前記熟成部から搬出される位置にきたとき、前記ブロックの前記凹部から麺棒を前記麺棒搬出手段に押し出し可能な位置となるように同期して移動されている麺帯熟成装置。
【請求項8】
請求項3~7のいずれかにおいて、
前記熟成部から搬出される麺棒に巻き付けられ、ロール状の複数の麺帯をそれぞれ覆い、且つ複数の麺帯間で繋ったラップを、剥がして回収する回収部を備える麺帯熟成装置。
【請求項9】
請求項3~8のいずれかにおいて、
前記熟成部から搬出され、麺帯を除去された麺棒を前記麺帯巻付部まで移送する麺棒回収部を備える麺帯熟成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺帯熟成方法及び麺帯熟成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、そば、ラーメン等の麺類、若しくはワンタン、餃子の皮等に加工される麺帯は、素材が帯状に展延された生地を所定時間寝かせて熟成される。熟成の仕方の一つとして、麺帯を鍔付きの棒体(以下、麺棒という)にロール状に巻き付け、その表面をラップで覆って所定時間寝かせる方法がある。
【0003】
特許文献1では、麺棒に巻き付けられたロール状の麺帯をラップで覆うに際し、長尺のラップをカッタで必要な長さにカットして被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
麺帯の表面を覆ったラップは、麺帯の表面に密着し、熟成完了後に麺帯の表面から剥がすのが困難となる。そのため、麺帯熟成作業の生産性を悪くしている。
【0006】
本発明の課題は、麺棒に巻き付けられたロール状の麺帯をラップで覆って熟成させるに際し、ラップの巻き終わりを麺帯から離間した状態に熟成完了まで維持することより、熟成完了後、ラップを麺帯から剥がし易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1発明は、帯状に展延された麺帯を麺棒の外周面上にロール状に巻き付ける麺帯巻付手順と、ロール状に巻き付けられた麺帯の外周表面全体を覆うように外周にラップを巻き付けるラップ巻付手順と、ラップに覆われ、麺棒に巻かれたロール状の麺帯を、間隔を空けて複数が連なった状態で保存して、麺帯を熟成する麺帯熟成手順とを備える麺帯熟成方法であって、前記ラップ巻付手順は、巻付方向の長さを短くするように折り曲げられたラップの折り曲げ端部が下層側となるようにラップを2枚重ねでロール状の麺帯の外周表面全体を覆うように麺帯層の外周に巻き付け、巻き付けられた2枚重ねのラップのうちの外周側のラップを、次に続く麺棒にロール状に巻き付けられた次段の麺帯に、再度ラップを巻付方向の長さを短くするように折り曲げて、ラップの折り曲げ端部が下層側となるようにラップを2枚重ねで麺帯の外周表面全体を覆うように外周に巻き付ける。
【0008】
第1発明によれば、間隔を空けて連なった状態で熟成されるロール状の複数の麺帯をそれぞれラップで覆い、そのラップの巻き終わりが麺帯から離間し、ラップが複数の麺帯間で互いに繋がった状態とされている。そのため、熟成後の麺帯からラップを剥がす作業は、麺帯間を繋ぐラップを掴むことにより容易に行うことができる。その結果、麺帯熟成作業の生産性を改善することができる。しかも、ラップは麺帯から剥がす際に、ロール状の複数の麺帯間で繋がった状態となっており、麺帯表面に密着して見つけ難いラップの端部を探す必要はなく、ラップの切れ端が麺帯表面に残って異物となることも防止することができる。
【0009】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ラップ巻付手順は、ロール状に巻き付けられた麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に、両端を麺帯層外に残して前記折り曲げられたラップの折り曲げ端部を挿入して挟持し、麺帯層外のラップの両端側を2枚重ねでロール状の麺帯の外周表面全体を覆うように麺帯層の外周に巻き付け、巻き付けられた2枚重ねのラップのうちの外周側のラップを、次に続く麺棒にロール状に巻き付けられた次段の麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に、再度ラップを巻付方向の長さを短くするように折り曲げて、その折り曲げ端部を挿入して挟持し、麺帯層外のラップを2枚重ねで次段の麺帯の外周表面全体を覆うように外周に巻き付ける。
【0010】
第2発明によれば、ロール状の麺帯の表面にラップを2枚重ねで巻き付けるに際し、ラップの巻き始めとなる折り曲げ端部を、ロール状の麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に挟んでいる。そのため、ラップを麺帯表面に巻き付ける際にラップの巻き始め部分を麺帯表面に安定して固定することができる。従って、ラップを安定して麺帯表面に巻き付けることができる。
【0011】
本発明の第3発明は、帯状に展延された麺帯を麺棒の外周面上にロール状に巻き付ける麺帯巻付部と、ロール状に巻き付けられた麺帯の外周表面全体を覆うように外周にラップを巻き付けるラップ巻付部と、ラップに覆われ、麺棒に巻かれたロール状の麺帯を、間隔を空けて複数が連なった状態で保存して、麺帯を熟成する熟成部とを備える麺帯熟成装置であって、前記ラップ巻付部は、麺棒と並行する軸の周りに巻き付けられたラップを、軸周りに繰り出し可能に保持するラップホルダと、該ラップホルダから繰り出されたラップの繰り出し端を、ラップ面がロール状に巻かれた麺帯に対向する位置に保持した状態で、ラップをロール状に巻かれた麺帯に向けて押圧し、押圧されたラップを、ロール状に巻かれた麺帯表面に当接させるラップ挿入ローラと、該ラップ挿入ローラがラップを押圧後、ラップから離れた状態で、麺棒を軸中心で回転して、前記ラップ挿入ローラにより押圧されて麺帯表面に当接した部分のラップを、ラップの巻付方向の長さを短くするように折り曲げて2枚重ねとし、その折り曲げ端部を下層としてラップを2枚重ねで麺帯層の外周面に巻き付ける麺棒回転体と、ロール状の麺帯層の外周面にラップが巻き付けられた状態の麺棒を一定距離移動する麺棒移動手段と、前記ラップホルダから繰り出され、前記麺棒移動手段により一定距離移動されたロール状の麺帯の外周面に巻き付けられて延びるラップを、前記ラップ挿入ローラより一定距離移動されたロール状の麺帯側で、且つ前記ラップホルダに対向する位置に、前記ラップホルダから繰り出しながら移動するラップ延長ローラとを備える。
【0012】
第3発明によれば、上記第1発明と同様の作用、効果を達成することができる。
【0013】
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記ラップ挿入ローラは、該ラップホルダから繰り出されたラップの繰り出し端を、ラップ面がロール状に巻かれた麺帯に対向する位置に保持した状態で、ラップをロール状に巻かれた麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間に向けて押圧し、押圧されたラップを、ロール状に巻かれたとき麺帯層の内側となる麺帯表面に当接させ、前記麺棒回転体は、前記ラップ挿入ローラがラップを押圧後、ラップから離れた状態で、麺棒を軸中心で回転して、麺帯の巻き終わり部分の麺帯層間を閉じて、麺帯層間にラップの前記折り曲げ端部を挟持し、ラップを麺帯層の外周面に巻き付ける。
【0014】
第4発明によれば、上記第2発明と同様の作用、効果を達成することができる。
【0015】
本発明の第5発明は、上記第3又は第4発明において、前記ラップ延長ローラは、ラップの面の両側に位置し、ラップの幅方向の外側で互いに分離可能に結合された延長バーと引上ローラとを備え、該引上ローラは、ラップの幅方向に延びる軸中心に回転自在で、ラップ面に当接して回転しながらラップを移動させるものであり、前記延長バーは、前記引上ローラを結合状態で移動させるものであり、前記引上ローラは、前記延長バーとの結合状態を解除されるとき、ラップ面の前記引上ローラ側に位置する固定部材に結合されて保持される。
【0016】
第5発明によれば、ラップを引上ローラにより移動させるに際し、ラップ面の引上ローラ側に延長バーを設置するスペースを確保できない場合に、延長バーをラップ面の反引上ローラ側に設置して、引上ローラを移動させることができる。即ち、引上ローラによりラップを移動させるときは、引上ローラを延長バーに結合し、移動完了後は、引上ローラと延長バーとの結合を解除する。
【0017】
本発明の第6発明は、上記第3~第5発明のいずれかにおいて、麺棒は、その麺棒に貫通された一対の鍔を備え、その一対の鍔の間に麺帯がロール状に巻き付けられており、前記麺棒移動手段により移動された麺棒の一対の鍔に、その両外側から当接して、前記ラップ延長ローラによりラップを移動させるとき麺棒がつられて移動しないように保持する挟持体を備える。
【0018】
第6発明によれば、引上ローラによりラップが移動されるとき、麺棒はラップを介して引上ローラの移動方向に力を受ける。しかし、麺棒は挟持体により挟まれて移動が阻止されている。そのため、引上ローラの移動方向の力は、ラップホルダに巻き付けられたラップを繰り出す力となり、引上ローラの移動に応じてラップを繰り出すことができる。
【0019】
本発明の第7発明は、上記第3~第6発明のいずれかにおいて、前記熟成部は、ラップに覆われたロール状の麺帯を、間隔を空けて複数個保持して移送し、移送の間に麺帯を熟成させる移送手段を備え、該移送手段の麺帯搬入側には前記麺棒移動手段が隣接配置され、前記移送手段の麺帯搬出側には、麺棒を前記熟成部から搬出する麺棒搬出手段が隣接配置されており、前記移送手段は、スプロケットにより駆動され、麺棒の両端に対応して対を成すチェーンと、該各チェーン上で互いに間隔を空けて複数個設けられ、麺棒の両端を受け入れて保持する凹部を有するブロックとを備え、該ブロックは、スプロケットの回転平面に沿って配設された前記チェーンの外プレートに設けられ、前記凹部は、その開放側をスプロケットの回転の外周側に向けて形成されており、前記移送手段、前記麺棒移動手段、及び前記麺棒搬出手段は、前記麺棒移動手段により麺棒が前記熟成部に搬入されたとき、前記ブロックが前記凹部内に麺棒の両端を受け入れる位置となるように同期して移動され、しかも、前記移送手段により麺棒が前記熟成部から搬出される位置にきたとき、前記ブロックの前記凹部から麺棒を前記麺棒搬出手段に押し出し可能な位置となるように同期して移動されている。
【0020】
第7発明によれば、移送手段のブロックは、チェーンの外プレートに設けられ、凹部がスプロケットの回転の外周側に向けて形成されている。そのため、凹部は、麺棒移動手段により熟成部に搬入される麺棒の両端部を受け入れることができる。また、麺棒が搬出位置にきたとき、凹部から麺棒を麺棒搬出手段に押し出すことができる。
ことができる。
【0021】
本発明の第8発明は、上記第3~第7発明のいずれかにおいて、前記熟成部から搬出される麺棒に巻き付けられ、ロール状の複数の麺帯をそれぞれ覆い、且つ複数の麺帯間で繋ったラップを、剥がして回収する回収部を備える。
【0022】
第8発明によれば、ラップは、複数の麺帯間で繋がっているため、一つの回収部に連続して回収することができる。従って、ラップ回収の作業性を改善することができる。
【0023】
本発明の第9発明は、上記第3~第8発明のいずれかにおいて、前記熟成部から搬出され、麺帯を除去された麺棒を前記麺帯巻付部まで移送する麺棒回収部を備える。
【0024】
第9発明によれば、麺帯を除去された麺棒を麺棒回収部により麺帯巻付部に移送することができる。そのため、麺棒を回収して麺帯巻付部に戻す作業を省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る麺帯熟成装置の第1実施形態の主要部を示す側面図である。
【
図2】上記第1実施形態の主要部を示す平面図である。
【
図4】上記第1実施形態における巻付補助ガイドの拡大正面図である。
【
図5】上記第1実施形態の作動説明図であり、補助ローラにラップを巻き付けた状態を示す。
【
図6】上記第1実施形態の作動説明図であり、ラップ挿入ローラがラップを麺帯に押圧している状態を示す。
【
図7】上記第1実施形態の作動説明図であり、麺棒にラップを巻き終わった状態を示す。
【
図8】上記第1実施形態の作動説明図であり、ラップ延長ローラがラップをラップホルダから繰り出し、ラップ挿入ローラがラップを麺帯に押圧している状態を示す。
【
図9】上記第1実施形態の作動説明図であり、ラップ延長ローラがラップ延長バーと引上ローラとに切り離された状態を示す。
【
図10】上記第1実施形態の作動説明図であり、ラップ延長ローラのラップ延長バーと引上ローラとが結合された状態を示す。
【
図11】上記第1実施形態におけるラップ延長ローラの正面図である。
【
図12】上記第1実施形態の作動説明図であり、熟成部のブロックに麺棒を係合させた状態を示す。
【
図13】上記第1実施形態の作動説明図であり、熟成部のブロックから麺棒を押し出す状態を示す。
【
図14】上記第1実施形態の作動説明図であり、ラップ挿入ローラ及びラップ延長ローラの動き、並びに麺帯にラップが巻き付けられる様子を模式的に示す。
【
図15】本発明に係る麺帯熟成装置の第2実施形態の主要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態の構成>
図1、2は本発明に係る麺帯熟成装置の第1実施形態を示す。但し、
図1、2では、麺帯熟成装置の主要部を模式的に示す。なお、
図1、2では、麺帯熟成装置をフロアFに設置した状態における上下、前後等の各方向を図外のクロスした矢印により示している。以下の説明では、方向に関する説明をこの矢印の方向を基準として行うものとする。
図1、2以外の図においても同様である。
【0027】
図1、2において、フロアF上には、麺帯を熟成するための熟成部50の空間を形成する熟成室51が設置されている。熟成部50の後側には、麺棒11に麺帯Mをロール状に巻き付ける麺帯巻付部10が設置されている。また、熟成部50の前側には、麺棒11に巻かれた麺帯Mを取り出す麺帯取出部70が設置されている。そして、熟成部50と麺帯巻付部10との間には、麺帯Mを巻き付けられた麺棒11を熟成部50内に搬入する搬入部(麺棒移動手段に相当)20が設けられている。また、麺帯取出部70には、麺帯Mを巻き付けられた麺棒11を熟成部50から搬出する搬出部(麺棒搬出手段に相当)71が設けられている。
【0028】
図4のように、麺棒11は、一対の円板状の鍔11cを貫通する一本の棒状の軸(巻取部11a、端部11bから成る)を備える。巻取部11aには、麺帯Mがロール状に巻き取り可能とされている。また、一対の端部11bは、麺棒11が各部に支持、保持される際の支持端部となる。
【0029】
図1のように、麺帯巻付部10は、麺帯生地を適度の厚さの帯状に展延され、幅を揃えられた麺帯Mを前工程から搬入するコンベア12、13と、麺棒投入部18にストックされた麺棒11を搬送する麺棒搬送レール14と、麺棒11を巻取部11aの外周側で回転駆動する麺棒回転ドラム(麺棒回転体に相当)17と、麺棒回転ドラム17により回転される麺棒11を転がしながら移動案内する巻取補助ガイド15とを備える。
図2では、麺棒回転ドラム17及び巻取補助ガイド15の図示を省略している。
【0030】
コンベア12、13は、幅40ミリ程度、厚さ6~8ミリ程度で長く延びる麺帯Mを上下間に挟んで搬入する。コンベア12上部でコンベア13の前部には、回転式のカッタ16が設置されており、麺帯Mを適宜長さで切断可能としている。コンベア12の前端には、麺棒搬送レール14の前端が左右方向で交差するように配置されている。即ち、コンベア12は前側の高さが後側より高くなるように配置され、麺棒搬送レール14は前側の高さが後側より低くなるように配置されている。麺棒搬送レール14の前端でコンベア12の前端が交差する部分には、凹部14aが形成されている(
図2、3参照)。この凹部14aには、上記のように傾斜した麺棒搬送レール14の上面に沿って転がってきた麺棒11の両端部11bが嵌って、その位置で麺棒11を回転自在に支持する。このように支持された麺棒11の巻取部11aには麺棒回転ドラム17の外周面が当接している。麺棒回転ドラム17は、モータ(図示略)により
図3の矢印のように回転駆動され、麺棒11をドラム表面の摩擦力により回転するように構成されている。そのため、
図3のようにコンベア12により搬入された麺帯Mが、コンベア12の前端に位置すると、麺帯Mの前端は、麺棒回転ドラム17の外周面により押圧されながら麺棒11の巻取部11aに巻き付けられる。麺帯Mの剛性の強さ等の条件によっては巻取部11aへの麺帯Mの巻き付けがうまくできないこともあり、その場合は、巻付駆動ローラ19により麺棒11の鍔11cを回転して、巻取部11aへの麺帯Mの巻き付けができるようにしている。巻付駆動ローラ19は、モータ(図示略)により回転駆動されるドラム(図示略)が鍔11cの外周縁に当接して麺棒11を回転駆動可能としている。また、麺帯Mの前端を麺棒11の巻取部11aにうまく巻き付けるためには、このときの麺棒回転ドラム17及び/又は巻付駆動ローラ19の回転速度を、その後の回転速度に比べて遅くすることが好ましい。
【0031】
図3、4のように、麺棒搬送レール14の凹部14aの上方には、左右一対の巻取補助ガイド15が設けられている。左右の巻取補助ガイド15は、ガイドプレート15aが支持フレーム15bにより支持されており、ガイドプレート15aの下端縁部がガイド端部15cとされて麺棒11の上限位置を規制している。
図3に矢印で示すように、麺棒11の両端部11bはガイド端部15cに案内されてガイド端部15cの縁部に沿って転がりながら移動する。このとき、麺棒11は、麺棒11に巻き付けられる麺帯Mが麺棒回転ドラム17の表面に当接することにより下方から支持されている。
図3のように、ガイド端部15cの縁部と麺棒回転ドラム17の表面との隙間が除変しているのは、麺棒11の回転と共に麺棒11に巻き付けられる麺帯Mの半径が大きくなるためである。このようにして麺帯Mが麺棒11にロール状に巻き付けられる。この手順は、麺帯熟成方法における麺帯巻付手順に相当する。
【0032】
ガイドプレート15aの前端部の下方には、左右一対の搬入部20が設けられている。搬入部20は、各スプロケット20b、20c、20d、20eにより回転駆動されるチェーン20aを備えて構成されている。各チェーン20aにおいて複数のローラ間を繋ぐ外プレートには、チェーン20aの延長方向に一定間隔を空けて係合片20fが一体に設けられている。係合片20fは、各スプロケット20b、20cの径方向外側に向けて形成されている。従って、
図3のように、ガイドプレート15aの前端部に麺棒11が達すると、搬入部20の係合片20fに麺棒11の両端部11bが係合されて、麺棒11は熟成部50に向けて搬入される。
【0033】
麺帯巻付部10及び搬入部20の上部には、ラップ巻付部30が設けられている。ラップ巻付部30は、ラップ挿入駆動部35及びラップ延長駆動部36が前後に並んで、且つ左右一対で配置されている。ラップ挿入駆動部35及びラップ延長駆動部36は、互いに対称形に構成されており、上下に分散して配置された一対のスプロケット35b、35c、36b、36cの間にチェーン35a、36aが掛け渡されている。そして、左右一対のチェーン35a間には、ラップ挿入ローラ33が支持されている。また、左右一対のチェーン36a間には、ラップ延長ローラ34が支持されている。従って、チェーン35a、36aがスプロケット35b、35c、36b、36cにより回転駆動されることにより、ラップ挿入ローラ33及びラップ延長ローラ34が上下移動される。
【0034】
図2のように、ラップ挿入ローラ33は、左右でそれぞれ上下方向に延びる挿入バー33aの下端間に押圧ローラ33bが回転自在に支持されて構成されている。後述のように、押圧ローラ33bは、ラップの面に当接してラップを移動させる。このようにラップを移動させた後に押圧ローラ33bがラップの面から離れ易くするため、押圧ローラ33bの外周面上には外周面に沿って軸方向に分散して複数のリング(図示略)が設けられている。そのため、リング表面は、ラップに接着し難い素材で構成されている。
【0035】
図2のように、ラップ延長ローラ34は、左右でそれぞれ上下方向に延びる延長バー34aの下端間に引上ローラ34fが軸中心で回転自在に支持されて構成されている。但し、延長バー34aと引上ローラ34fとの間は分離可能に結合されている。そのため、
図11のように、延長バー34aの下端には、ボールキャッチ34bが設けられ、引上ローラ34fの両端には、ローラホルダ34cが設けられている。左右のローラホルダ34c間には、前後方向に2本の引上ローラ34fがそれぞれ軸中心で回転自在に配置されている。また、左右のローラホルダ34cは、それぞれ左右のボールキャッチ34bに結合、分離可能とされている。
【0036】
左右のローラホルダ34cの下方には、それぞれエアークランパ(固定部材に相当)34dが設けられている。左右のエアークランパ34dは、それぞれ搬入部20のチェーン20aに囲まれる位置に支持フレーム34eにより支持されている。従って、左右のエアークランパ34dは、後述のラップWの面より下方に支持されている。エアークランパ34dは、外部から圧縮空気の供給を受けてローラホルダ34cを結合状態とし、圧縮空気が供給されなくなるとローラホルダ34cを分離(結合解除)可能とする。引上ローラ34fがチェーン20aに囲まれる領域の内外間で移動可能となるため、
図2のように、引上ローラ34fを支持する延長バー34aの下端部の左右方向の幅は、左右のチェーン20aの間に入るようにされている。また、後述のように引上ローラ34fがラップWを引き上げ可能とするため、引上ローラ34fの左右方向の幅は、ラップWの幅よりも大きくされている。
【0037】
そのため、
図9のように、ローラホルダ34cをチェーン20aに囲まれる位置に残して延長バー34aを上方へ移動する場合は、エアークランパ34dによりローラホルダ34cを結合した状態とする。このとき、エアークランパ34dは、ローラホルダ34cを結合状態に維持するため、圧縮空気を供給されている。再び延長バー34aにローラホルダ34cを結合する場合は、
図9において、延長バー34aを下方に移動し、ボールキャッチ34bをローラホルダ34cに結合させる。その状態からローラホルダ34cをチェーン36aに囲まれる位置の外側に引き上げる場合は、
図10のように、エアークランパ34dに対する圧縮空気の供給を遮断して、エアークランパ34dからローラホルダ34cを切り離し、ローラホルダ34cをボールキャッチ34bと共に延長バー34aにより移動する。以上のように延長バー34aと引上ローラ34fは、上下に結合、分離可能とされており、後述のように両者は、ラップWの面の両側に位置している。
【0038】
図1のように、ラップ挿入駆動部35のスプロケット35cの後方には、麺棒11と並行する回転軸を有するラップホルダ31を備える。ラップホルダ31は、麺帯Mを覆うべく麺棒11の鍔11c同士の間隔よりも幅広のラップWが巻かれて保持されている。また、ラップホルダ31の前方で、ラップ挿入駆動部35及びラップ延長駆動部36の下方には、ラップホルダ31の回転軸と平行な回転軸を有する補助ローラ32を備える。補助ローラ32は、ラップホルダ31に保持されているラップを所定長さだけ巻き付けることができるようにされている。
【0039】
図5は、ラップホルダ31に保持されているラップが手動により補助ローラ32に巻き付けられた状態を示す。補助ローラ32に巻き付けられるラップの長さは、麺棒11に巻かれた麺帯Mの外周に2~3回巻き付ける程度とされている。このとき、ラップ挿入ローラ33は、ラップホルダ31よりも高い位置に移動された状態にある。また、ラップ延長ローラ34は、ローラホルダ34cをチェーン20aに囲まれた位置に残して、延長バー34aをラップ挿入ローラ33に対向する位置に移動した状態にある。一方、麺棒回転ドラム17により麺棒11に麺帯Mが巻き付けられている。
【0040】
図6は、ラップ挿入ローラ33を下降させて、ラップホルダ31と補助ローラ32との間に張設されているラップWの面を麺棒11に巻かれる麺帯Mの後端部に押し付けている状態を示す。麺帯Mは、麺棒11にロール状に巻き付けられる長さでカッタ16によりカットされている。ラップWが押し付けられる麺帯Mは、麺棒11に巻かれる麺帯Mの最後の部分の内側であり、その後、麺帯Mが麺棒11に巻き付けられ、麺帯層間が閉じられると、押圧されたラップWは、先端が麺帯Mに密着したまま2枚重ねで麺帯Mの層内に巻き込まれる。このとき、押圧ローラ33bが麺帯Mに巻かれないようにラップ挿入ローラ33は、ラップWから離れて上昇される。
【0041】
図7は、上述のようにラップWが2枚重ねとなって折り曲げ端部が麺帯Mの層内に巻き込まれ、麺帯Mの層外で2枚重ねとされた両端側のラップWが麺棒11の回転によって麺帯Mの外周表面全体を覆うように巻き付けられた状態を示す。このとき、ラップWは、麺帯Mの外周に2~3周巻かれ、補助ローラ32から離れたラップWの繰り出し端部が、巻かれたラップWの層内に巻き込まれないで外周に露出した状態とされる。そのため、後述のようにラップWを回収するとき、ラップWの繰り出し端部が把持し易い状態とされている。
【0042】
図8は、上述のようにラップWが巻き付けられた麺棒11が搬入部20のチェーン20aにより一定距離だけ移動された状態を示す。このとき、仮想線で示すように、次に供給される麺棒11が、麺帯Mを巻き付けられた状態で巻取補助ガイド15の終端(前端)位置にある。しかし、
図6の場合と同様に、その麺棒11の麺帯Mは完全に巻き付けが完了しておらず、巻き終わり部分が麺棒回転ドラム17及びコンベア12の上に残った状態にある。この状態で、仮想線で示すようにラップ延長ローラ34の延長バー34aが下降してボールキャッチ34bがローラホルダ34cに結合される。次に、実線で示すように延長バー34aが上昇されると、ローラホルダ34cがエアークランパ34dから離れて、引上ローラ34fが延長バー34aと共に上昇する。そのため、引上ローラ34fは、ラップWを
図8の実線のように持ち上げ、ラップホルダ31からラップWを繰り出す。
【0043】
このとき、麺棒11の鍔11cの両外側面には、左右の挟持体37が当接している。この結果、挟持体37との摩擦力により麺棒11は位置を保持され、引上ローラ34fによりラップWが持ち上げられるとき、麺棒11が引きずられて上方へ持ち上げられるのを防止することができる。また、麺棒11が搬入部20のチェーン20aにより移動される間に、左右の挟持体37に当接した状態で麺棒11の鍔11cが移動することにより、麺帯Mの表面を覆うラップWの左右両端部が鍔11cの両外側面に押圧されて密着される。
【0044】
一方、ラップWは、補助ローラ32に当接してラップホルダ31までの経路が決められ、補助ローラ32とラップホルダ31との間で張設されている。なお、延長バー34aがローラホルダ34c及び引上ローラ34fを上昇させる際、その前段階で、延長バー34aとローラホルダ34cとが上下に分離されている理由は、延長バー34aが下降した位置でローラホルダ34cに結合した位置にあることにより、搬入部20のチェーン20aにより移動される麺棒11が延長バー34aと干渉してしまうのを回避するためである。
【0045】
次に、
図6の場合と同様に、ラップ挿入ローラ33が下降されると、押圧ローラ33bが、ラップWを麺棒11に巻かれる麺帯Mの後端部に押し付ける。この後、上述と同様に、ラップWが2枚重ねとなって折り曲げ端部が麺帯Mの層内に巻き込まれ、麺棒11の回転によって麺帯Mの外周を覆うように巻き付けられる。このとき、実線の位置にあるラップ延長ローラ34はラップWが麺帯Mを巻かれた麺棒11に巻き付けられるのに合わせて次第に仮想線で示すように下降される。そして、ローラホルダ34cをエアークランパ34dに結合させて、再び延長バー34aはボールキャッチ34bと共に上昇する。また、ラップ挿入ローラ33も仮想線の位置まで上昇される。このようにして、ラップWが巻き付けられた麺棒11が搬入部20のチェーン20aにより一定距離だけ移動される。
【0046】
図14は、以上の動作の繰り返しにより、麺棒11にロール状に巻かれた麺帯Mの表面にラップWが連続的に巻かれる様子の概要を示す。このようにラップWが巻かれる手順は、麺帯熟成方法におけるラップ巻付手順に相当する。
【0047】
図1のように、熟成部50の熟成室51内には、麺棒11にロール状に巻かれ表面をラップWにより覆われた麺帯Mが、複数個連なって保持され循環されるように循環部(移送手段に相当)52が構成されている。循環部52は、環状のチェーン52aを含んで構成されており、チェーン52aは、麺棒11の両端部11bを支持するように左右一対設けられている。熟成室51の下部には、回転軸52fが回転自在に配置されており、回転軸52fの左右両端には、チェーン52aを回転駆動するスプロケット52cが結合されている。また、熟成室51の上部には、回転軸52gが回転自在に配置されており、回転軸52gの左右両端には、チェーン52aを回転駆動するスプロケット52bが結合されている。
図2では、スプロケット52b及び回転軸52gの図示を省略している。
【0048】
左右のチェーン52aには、それぞれ一定間隔を空けて複数個のブロック53が設けられている。各ブロック53は、チェーン52aの複数のローラ間を繋ぐ外プレートに結合して固定されている。従って、各ブロック53は、スプロケット52b、52cの回転平面に沿って配設されている。また、
図2のように、各ブロック53は、左右のチェーン52a間で互いに対向する位置に配置されている。
図12、13のように、各ブロック53は、麺棒11の端部11bを受け入れる凹部53aを形成されている。各凹部53aは、それらの開放側がスプロケット52b、52cの回転の外周側に向くように配置されている。
【0049】
図1、2のように、熟成部50に搬入される麺帯Mは、熟成室51の後側の搬入部(麺棒移動手段に相当)20から搬入される。また、熟成部50から搬出される麺帯Mは、熟成室51の前側の搬出部71から搬出される。搬入部20及び搬出部71は、共に複数のスプロケット20b~20e、71b~71eにより回転駆動されるチェーン20a、71aを備え、これらが左右一対とされている。搬入部20及び搬出部71は、熟成部50の回転軸52fを中心として前後方向で概ね線対称形に構成されている。しかも、搬入部20は、左右方向では左右のスプロケット52cの内側に設けられている。また、搬出部71は、左右方向では搬入部20の左右のスプロケット20eの内側に設けられている。搬出部71のチェーン71aの左右幅は、その内側に麺棒11の一対の鍔11cを受けいれ、麺棒11の両端部11bを支持可能な大きさとされている。また、搬入部20のチェーン20aの左右幅は、麺棒11の両端部11bを支持可能な大きさとされている。搬出部71の各チェーン71aには、搬入部20のチェーン20aと同様、各チェーン71aの複数のローラ間を繋ぐ外プレートにチェーン71aの長手方向で一定間隔を空けて係合片71fが一体に設けられている。
【0050】
図2のように、熟成部50のチェーン52aを回転駆動するスプロケット52cは、搬入部20のチェーン20aを回転駆動するスプロケット20e、並びに搬出部71のチェーン71aを回転駆動するスプロケット71eと同じモータ(図示略)により同期回転されている。そして、
図12のように、ブロック53が、その凹部53a内に麺棒11の両端部11bを受け入れ可能な位置となるとき、丁度、搬入部20のチェーン20aの係合片20fが麺棒11の両端部11bを凹部53a内に押し込む位置となるようにされている。また、
図13のように、ブロック53が、その凹部53a内に麺棒11の両端部11bを受け入れて、麺棒11の両端部11bが搬出部71のチェーン71aの上に位置するとき、丁度、搬出部71のチェーン71aの係合片71fが麺棒11の両端部11bを凹部53aから押し出す位置となるようにされている。そのため、搬入部20から熟成部50に搬入される麺帯Mがロール状に巻かれた麺棒11が、搬入部20のチェーン20aから熟成部50のブロック53にスムーズに受け渡される。また、熟成部50から搬出部71に搬出される麺帯Mがロール状に巻かれた麺棒11が、熟成部50のブロック53から搬出部71のチェーン71aにスムーズに受け渡される。しかも、搬入部20から熟成部50に搬入され、熟成部50から搬出部71に搬出されるまでの間、順次搬送される麺棒11同士の間隔は、一定間隔に維持されている。そのため、麺棒11に巻かれた麺帯Mの表面を覆うラップWは各麺帯M間で繋がった状態に維持される。このように麺棒11に巻かれた麺帯Mが熟成室51内に滞在し、保存される間に麺帯Mは熟成される。この手順は、麺帯熟成方法における麺帯熟成手順に相当する。
【0051】
搬出部71の下方には、麺帯Mの表面に巻かれたラップWを剥がして回収するラップ回収ローラ72が設けられている。ラップ回収ローラ72には、最初は手作業にてラップWの繰り出し端部を巻き付けて、その後、モータ(図示略)によりラップ回収ローラ72を搬出部71等のスプロケット71eの回転に同期させて回転してラップWを回収する。各麺帯M間を繋ぐラップWは、連続したものであるため、ラップ回収ローラ72により切れ目なく連続して回収することができる。また、ラップWは、ロール状に巻かれた麺帯Mに2枚重ねで巻き付けられているため、回収するときも2枚重ねで回収することになる。
【0052】
搬出部71の前方には、左右一対の麺棒回収レール73が設けられている。麺棒回収レール73は、搬出部71のチェーン71aから押し出される麺棒11を受け取るように配置されている。ここで、手作業にてロール状に巻かれた麺帯Mを麺棒11から巻き戻して、麺帯Mの端部同士を繋ぎ、次の工程に移送する。麺帯Mを除去された麺棒11は、手作業にて麺棒投入部18に移送されて再利用される。
【0053】
<第1実施形態の作用、効果>
以上のとおり、第1実施形態の麺帯熟成装置では、麺帯巻付部10で麺棒11に麺帯Mがロール状に巻き付けられ、麺帯巻付部10から搬入部20への受け渡し部分で、麺帯Mの表面にラップWが巻き付けられる。このとき、複数の麺帯Mに巻き付けられるラップWは、各麺帯M間で切り離されることなく連続したものとされる。そのため、熟成部50による熟成を経て搬出部71でラップ回収ローラ72にラップWを巻き取る際、麺帯Mの表面に密着して見つけ難いラップWの端部を探す必要はなく、各麺帯M間で連続するラップWを効率的に回収することができる。従って、ラップWの切れ端が麺帯Mの表面に残って異物となることも防止することができる。
【0054】
<第2実施形態>
図15は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、熟成部50で一度に熟成できる麺帯Mの量を多くした点である。また、麺帯取出部70で回収した麺棒11を麺帯巻付部10に自動搬送可能とした点である。その他の構成は、両者同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0055】
第2実施形態の熟成室51内では、チェーン52aの一部が上下方向にジグザグ状に配置されて、前後方向に並ぶチェーン52aの本数が複数本とされている。チェーン52aは、上下、左右に分散配置された複数のスプロケット52eにより移動可能に構成されている。そのため、第1実施形態に比べてチェーン52aの長さが長く、多数の麺棒11を支持可能とされている。
【0056】
搬入部20に対応して配置されたスプロケット52dは、第1実施形態と同様、搬入部20のスプロケット20eと回転軸52hを共通化されてモータ(図示略)により回転駆動されている。また、搬出部71に対応して配置されたスプロケット52kは、第1実施形態と同様、搬出部71のスプロケット71eと回転軸52jを共通化されてモータ(図示略)により回転駆動されている。そのため、チェーン52aは、搬入部20のチェーン20a及び搬出部71のチェーン71aと同期回転される。
【0057】
熟成室51の前後及び上方の3方には、使用済の麺棒11を回収して麺帯巻付部10へ移送する麺棒回収部80が配設されている。麺棒回収部80は、回収駆動部82、83を備え、それぞれ左右一対のチェーン82a及びチェーン83aを備える。チェーン82aは、熟成室51の前方及び上方に配設されて、複数のスプロケット82b~82eにより矢印の方向に回転駆動されている。また、チェーン83aは、熟成室51の後方に配置されて、スプロケット83b、83cにより矢印の方向に回転駆動されている。各チェーン82a、83aには、チェーン20a、71aと同様の係合片(図示略)が設けられており、この係合片に麺棒11の両端部11bが係合されて、各チェーン82a、83aにより麺棒11が移送されるようにしている。
【0058】
麺棒回収レール73の上方で、回収駆動部82の前方下部には、麺棒転送レール81が設けられている。麺棒転送レール81には、麺棒回収レール73において麺帯Mを除去された麺棒11が手作業にて運ばれて載せられる。麺棒転送レール81は、チェーン82aに向けて高さを低くするように傾斜して固定されている。そのため、麺棒転送レール81に載せられた麺棒11は、麺棒転送レール81の傾斜に沿って転がって移動し、チェーン82aの係合片に両端部11bが係合されてチェーン82aによって移送される。
【0059】
回収駆動部83のチェーン83aの下降終端部は、麺棒搬送レール14の上端部に交差するように配置されている。そのため、チェーン83a上に設けられた係合片(図示略)に係合されて移送されてきた麺棒11は、麺棒搬送レール14と交差するところで麺棒搬送レール14に乗り移り、麺棒搬送レール14上を転がって麺帯巻付部10に供給される。
【0060】
<第2実施形態の作用、効果>
第2実施形態においても第1実施形態の場合と同様に、麺棒11にロール状に巻かれた麺帯Mの表面にラップWが被せられ、熟成室51内を循環部52により搬送される間に麺帯Mの熟成が行われる。循環部52の長さが第2実施形態の場合は第1実施形態に比べて長くされている。そのため、麺帯Mの熟成時間を長く確保することができる。また、熟成室51から搬出された麺棒11は、麺帯Mを外されて麺棒転送レール81に載せられ、麺棒回収部80により麺棒搬送レール14に供給される。そのため、麺棒回収レール73で回収した麺棒11を麺棒搬送レール14に手作業で運ぶ必要はなく、麺棒回収作業を省力化することができる。
【0061】
<他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、各実施形態では、麺帯Mの表面にラップWを巻き付ける際に、ラップWの折り曲げ端部を麺帯Mの巻き終わり部分の麺帯層間に巻き込むようにした。しかし、ラップWの折り曲げ端部を麺帯Mの外周面に押圧ローラ33bにより押圧するのみでラップWが麺帯Mの表面に密着できる場合は、ラップWを麺帯Mの麺帯層間に巻き込むことなく、ラップWの折り曲げ端部を下層としてラップWを2枚重ねで巻き付けるようにしてもよい。
【0062】
また、各実施形態では、麺棒11が一対の鍔11cを備えるものとされたが、鍔11cを備えないものとされてもよい。更に、各実施形態では、ラップ延長ローラ34の延長バー34aと引上ローラ34fとを解除可能に結合させるためにボールキャッチ34b及びエアークランパ34dを用いたが、ボールキャッチ34b及びエアークランパ34dに代えて磁力により延長バー34aと引上ローラ34fとを解除可能に結合させてもよい。若しくは、その他の結合手段により解除可能に結合させてもよい。
【0063】
各実施形態では、麺帯Mがコンベア12、13により熟成室51に搬送されるが、コンベア12、13に並行するバイパスコンベアを設けることにより、熟成の不要な麺帯Mは熟成室51に搬送せず、バイパスコンベアにより麺帯取出部70に直接送ることもできる。
【符号の説明】
【0064】
10 麺帯巻付部
11 麺棒
11a 巻取部
11b 端部
11c 鍔
12、13 コンベア
14 麺棒搬送レール
14a 凹部
15 巻取補助ガイド
15a ガイドプレート
15b 支持フレーム
15c ガイド端部
16 カッタ
17 麺棒回転ドラム(麺棒回転体)
18 麺棒投入部
19 巻付駆動ローラ
20 搬入部(麺棒移動手段)
20a チェーン
20b、20c、20d、20e スプロケット
20f 係合片
30 ラップ巻付部
31 ラップホルダ
32 補助ローラ
33 ラップ挿入ローラ
33a 挿入バー
33b 押圧ローラ
34 ラップ延長ローラ
34a 延長バー
34b ボールキャッチ
34c ローラホルダ
34d エアークランパ(固定部材)
34e 支持フレーム
34f 引上ローラ
35 ラップ挿入駆動部
36 ラップ延長駆動部
35a、36a チェーン
35b、35c、36b、36c スプロケット
37 挟持体
50 熟成部
51 熟成室
52 循環部(移送手段)
52a チェーン
52b、52c、52d、52e、52k スプロケット
52f、52g、52h、52j 回転軸
53 ブロック
53a 凹部
70 麺帯取出部
71 搬出部(麺棒搬出手段)
71a チェーン
71b、71c、71d、71e スプロケット
71f 係合片
72 ラップ回収ローラ
73 麺棒回収レール
80 麺棒回収部
81 麺棒転送レール
82、83 回収駆動部
82a、83a チェーン
82b、82c、82d、82e、83b、83c スプロケット
F フロア
M 麺帯
W ラップ
【要約】
【課題】麺棒に巻き付けられたロール状の麺帯をラップで覆って熟成させるに際し、ラップの巻き終わりを麺帯から離間した状態に熟成完了まで維持することより、熟成完了後、ラップを麺帯から剥がし易くする。
【解決手段】ラップ巻付手順は、折り曲げられたラップWの折り曲げ端部が下層側となるようにラップWを2枚重ねでロール状の麺帯Mの表面全体を覆うように麺帯層の外周に巻き付け、巻き付けられた2枚重ねのラップWのうちの外周側のラップWを、次に続く麺棒11にロール状に巻き付けられた次段の麺帯Mに、再度ラップWを折り曲げて、ラップWの折り曲げ端部が下層側となるようにラップWを2枚重ねで次段の麺帯Mの表面全体を覆うように外周に巻き付ける。
【選択図】
図1