(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】インピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220118BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220118BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20220118BHJP
【FI】
G06T1/00 400F
G06T7/00 530
A61B5/1172
(21)【出願番号】P 2020502676
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2018007548
(87)【国際公開番号】W WO2019017621
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2017-0092035
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520016099
【氏名又は名称】イ,スンジン
【氏名又は名称原語表記】LEE,Seung Jin
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンジン
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0070967(US,A1)
【文献】特開2010-044594(JP,A)
【文献】特開2005-143804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090024(US,A1)
【文献】特開昭61-255479(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3086261(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第106663198(CN,A)
【文献】特表2016-533234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 7/00-7/90
A61B 5/1172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の指紋又は偽造指紋のパターンを読み込めるように超音波を発振し、反射された超音波を読み込む指紋認識モジュール(110)と;
前記指紋認識モジュール(110)から印加される超音波のインピーダンスを測定できるように前記指紋認識モジュール(110)と電気的に連結され、超音波のインピーダンス値を測定するドライバーIC(120)と;
前記ドライバーIC(120)から印加される指紋のインピーダンス値が既に設定されたインピーダンス値内に位置するのかどうかを判断する判断部(130)と;
前記判断部(130)でインピーダンス値を比較及び判断できるように既に設定されたインピーダンス値を前記判断部(130)に提供するために実際のインピーダンス値を格納するメモリ(140)と;
ユーザーを認証できるように前記判断部(130)と電気的に連結され、前記判断部(130)で比較したインピーダンス値によって認証する認証部(150)と;
を含
み、
前記指紋認識モジュール(110)で指から反射される超音波のインピーダンス値をドライバーIC(120)を通じて判別し、インピーダンス値の変化に基づいて偽造指紋(200)を判別し、
前記偽造指紋(200)を着用した状態で指の表皮と前記偽造指紋との間に形成される空気層による速度低下及び屈折を含む特性に基づいて前記偽造指紋(200)を前記ドライバーIC(120)で判別することを特徴とするインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置。
【請求項2】
前記判断部(130)は、指紋の認証が行われるユーザー別にインピーダンス値をメモリ(140)に格納し、格納されたインピーダンス値に基づいてユーザー別にレンジを設定することを特徴とする、請求項1に記載のインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置。
【請求項3】
前記メモリ(140)は、実際の指紋のインピーダンス値を格納し、インピーダンス値の範囲を設定できるようにすることを特徴とする、請求項1に記載のインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置。
【請求項4】
前記偽造指紋(200)は、ゴム、シリコーン、及びゼラチンからなり、前記偽造指紋(200)のインピーダンス値が人体のインピーダンス値と異なることに基づいて、前記偽造指紋を前記ドライバーIC(120)で判断することを特徴とする、
請求項1に記載のインピーダンスを用いた偽造指紋判別
装置。
【請求項5】
指に着用した偽造指紋(200)を指紋認識モジュール(110)に密着させるステップ(S10)と;
前記指紋認識モジュール(110)で前記偽造指紋(200)に超音波を発振するステップ(S20)と;
前記偽造指紋(200)から応答された超音波を前記指紋認識モジュール(110)で受信するステップ(S30)と;
前記指紋認識モジュール(110)で受信した超音波をドライバーIC(120)に印加するステップ(S40)と;
前記ドライバーIC(120)で超音波のインピーダンス値を測定するステップ(S50)と;
測定したインピーダンス値が、既に設定されたインピーダンス値と比較して設定範囲内のインピーダンス値であるのかどうかを判断部(130)で判断するステップ(S60)と;
設定範囲内のインピーダンス値である場合は、実際の指紋であると判断して認証を行い、前記偽造指紋(200)であると判断される場合は、指紋認証を再度行うステップ(S70)と;を含
み、
S50のステップが、前記偽造指紋(200)を着用した状態で指の表皮と前記偽造指紋との間に形成される空気層による速度低下及び屈折を含む特性に基づいて前記偽造指紋(200)を前記ドライバーIC(120)で判別することを含むことを特徴とするインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法。
【請求項6】
S30のステップは、前記偽造指紋(200)が、ゴム、シリコーン、及びゼラチンからなり、前記偽造指紋(200)のインピーダンス値が人体のインピーダンス値と異なることに基づいて、前記偽造指紋を前記ドライバーIC(120)で判断することを含む、
請求項5に記載のインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法に関し、より詳細には、シリコーンやゼラチンからなる偽造指紋のインピーダンス値を測定し、指紋であるのか、それとも偽造指紋であるのかを判別できるようにしたインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の身体部位のうち手足の指には、汗腺の位置に沿って指紋の隆線(Ridge)が形成され、各隆線の間に谷(Valley)が形成される。すなわち、指紋の隆線とは、手足の指に形成された汗腺に沿って皮膚が隆起したものと言える。したがって、指紋の隆線上には、汗腺で生成された汗を出すための汗孔が形成される。
【0003】
このような指紋は、たとえ一卵性双子であっても互いに異なり、特定の人を固有に識別できる識別手段になり得る。
【0004】
従来、このような指紋は、特定の人を識別する識別手段ではなく認証手段として使用した。すなわち、従来の指紋認証は、別途の媒体やIDなどを用いて認証対象となる人を識別した後、その人であるのかどうかを確認するために指紋を認証した。したがって、指紋を偽造し、他人のIDを盗用しようとする試みが持続的になされている。
【0005】
ところが、指紋の偽・変造は比較的容易である。人体の表皮と類似する物理的、化学的、電気的特性を有する物質を通じて指紋を模写することによって指紋認識を試みる場合、従来に提案された指紋認識技術ではこのような模写指紋を排除することが非常に難しいという問題がある。例えば、人体の表皮組成に非常に類似するグミ(Gummi)を用いて指紋を模写する場合、従来の指紋認識技術を通じてこのような模写指紋を排除することは非常に難しい。
【0006】
このような模写指紋を排除する技術としては、例えば、日本特許公開2000-123143号、日本特許公開平10-302047号、日本特許公開2000-194848号、日本特許公開2000-172833号などがある。
【0007】
しかし、日本特許公開2000-123143号や日本特許公開平10-302047号に開示された技術では、被検体の電流値、静電容量、電気抵抗などによって被検体が生体であるのかどうかを判定しているので、人体の表皮と類似する物理的、化学的、電気的特性を有する物質を用いた模写指紋を排除することが難しく、日本特許公開平10-370295号に開示された技術では、静電容量式センサーの反応有無によって偽造指紋を判定し、日本特許公開2000-172833号に開示された技術では、電気的特性であるインピーダンスの周波数特性によって被検体が生体であるのかどうかに対してのみ判定しているので、これによっても、人体の表皮と類似する物理的、化学的、電気的特性を有する物質を用いた模写指紋を排除することが難しい。
【0008】
すなわち、人体のインピーダンスは、年齢、性別、人体の各部分別、水分含有量などによって大きな差を示している。通常、人体のインピーダンスを判定するために約2500Ω程度を基準値としているが、実際には人ごとに非常に大きな差がある。例えば、工具を用いて作業する勤労者のインピーダンスは約10,000Ωであり、事務勤労者の手のように柔らかい皮膚では約1,000Ωのインピーダンスである。人体のインピーダンスは相当大きな幅で変動するようになる。したがって、単純にインピーダンスを用いて生体であるのかどうかを判定することは比較的容易であり得るが、特定のユーザーのインピーダンスを定量化し、特定のユーザーのインピーダンスであるのかどうかを判定することは非常に難しいという問題がある。
【0009】
前記のような問題を解消するため、韓国公開特許公報第2017-0077988号(2017.07.07.公開)(「皮膚インピーダンスを用いた生体指紋認証方法」)は、皮膚接触に基づいて指紋をセンシングする指紋センサーと、前記指紋のセンシング中に皮膚と接触可能な二つ以上の電極を含む電極部とが結合されて構成されたセンサーモジュールを備えた装置を通じて実行される方法を開示している。この方法は、前記電極部を通じて制御可能な電流の経路、接触電圧、周波数、及び電流密度のうち少なくとも一つを制御変数として設定し、前記指紋センサーを通じた接触式指紋センシング過程中に測定可能な通電時間、皮膚湿度、接触面積、接触圧力、及び温度のうち少なくとも一つを測定変数として設定する第1ステップ;前記指紋センサーによって指紋のセンシング時、前記設定された制御変数に基づいて前記電極部を制御しながら指紋認識過程中に前記電極部に接触した皮膚のインピーダンス値をセンシングすると同時に、前記少なくとも一つの測定変数を測定する第2ステップ;前記センシングされた指紋パターンの整合認証時、所定の格納領域にインピーダンス値と前記測定変数との組み合わせを蓄積し、所定の個数以上の組み合わせが蓄積された場合、インピーダンス値と測定変数との蓄積された組み合わせに対する数値解釈又は統計処理を行い、少なくとも一つの測定変数と関連したインピーダンス有効範囲を算出するか、既に登録されたインピーダンス有効範囲を確認する第3ステップ;及び前記インピーダンス有効範囲が確認された場合、前記インピーダンス値が前記確認されたインピーダンス有効範囲に属するのかどうかを認証する第4ステップ;を含む。
【0010】
また、前記指紋パターンの整合認証が行われ、前記センシングされたインピーダンス値が前記インピーダンス有効範囲に属する場合、ユーザーの実際の生体指紋認証が成功したものとして処理するステップをさらに含んで構成されることを特徴とする。
【0011】
前記のようなステップからなる先行技術は、通電時間、皮膚湿度、接触面積、接触圧力及び温度のうち少なくとも一つを測定変数として設定し、これに基づいてインピーダンス値を測定することによって実際の生体指紋の認証を行う。
【0012】
しかし、シリコーンやゼラチンに形成された偽造指紋を指に着用した状態でこれを測定したときにもインピーダンス値が発生するので、同一の指紋と判断して認証が行われるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のような問題を解決するための本発明は、シリコーンやゼラチンからなる偽造指紋のインピーダンス値を測定することによって、指紋であるのか、それとも偽造指紋であるのかを判別できるようにしたインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、インピーダンスを用いた偽造指紋判別装置を提供する。
【0015】
本発明の装置は、実際の指紋又は偽造指紋のパターンを読み込めるように超音波を発振し、反射された超音波を読み込む指紋認識モジュール(110)と;
前記指紋認識モジュール(110)から印加される超音波のインピーダンスを測定できるように前記指紋認識モジュール(110)と電気的に連結され、超音波のインピーダンス値を測定するドライバーIC(120)と;
前記ドライバーIC(120)から印加される指紋のインピーダンス値が既に設定されたインピーダンス値内に位置するのかどうかを判断する判断部(130)と;
前記判断部(130)でインピーダンス値を比較及び判断できるように既に設定されたインピーダンス値を前記判断部(130)に提供するために実際のインピーダンス値を格納するメモリ(140)と;
ユーザーを認証できるように前記判断部(130)と電気的に連結され、前記判断部(130)で比較したインピーダンス値によって認証する認証部(150)と;
を含み、
前記指紋認識モジュール(110)で指から反射される超音波のインピーダンス値をドライバーIC(120)を通じて判別し、インピーダンス値の変化に基づいて偽造指紋(200)を判別し、
前記偽造指紋(200)を着用した状態で指の表皮と前記偽造指紋との間に形成される空気層による速度低下及び屈折を含む特性に基づいて前記偽造指紋(200)を前記ドライバーIC(120)で判別することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の判断部は、指紋の認証が行われるユーザー別にインピーダンス値をメモリに格納し、格納されたインピーダンス値に基づいてユーザー別にレンジを設定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のメモリは、インピーダンス値のレンジを決定するために、ユーザー別に指紋のインピーダンス値を格納することを特徴とする。
【0021】
本発明の偽造指紋は、ゴム、シリコーン、及びゼラチンからなり、偽造指紋のインピーダンス値が人体のインピーダンス値と異なることに基づいて偽造指紋であるのかどうかをドライバーICで判断することを特徴とする。
【0022】
本発明の他の態様は、インピーダンスを用いた偽造指紋判別方法を提供する。
【0023】
この方法は、指に着用した偽造指紋を指紋認識モジュールに密着させるステップ(S10)と;指紋認識モジュールで偽造指紋に超音波を発振するステップ(S20)と;偽造指紋から応答される超音波を指紋認識モジュールで受信するステップ(S30)と;指紋認識モジュールで受信した超音波をドライバーICに印加するステップ(S40)と;ドライバーICで超音波のインピーダンス値を測定するステップ(S50)と;測定したインピーダンス値が、既に設定されたインピーダンス値と比較して設定範囲内のインピーダンス値であるのかどうかを判断部で判断するステップ(S60)と;設定範囲内のインピーダンス値である場合は、実際の指紋であると判断して認証を行い、偽造指紋であると判断される場合は、指紋認証を再度行うステップ(S70)と;を含み、
S50のステップが、前記偽造指紋(200)を着用した状態で指の表皮と前記偽造指紋との間に形成される空気層による速度低下及び屈折を含む特性に基づいて前記偽造指紋(200)を前記ドライバーIC(120)で判別することを含むことを特徴とするインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法。
【0024】
偽造指紋は、ゴム、シリコーン、及びゼラチンからなり、S30のステップは、偽造指紋のインピーダンス値が、人体のインピーダンス値と異なるかどうかを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、指紋認識モジュールから発振され、偽造指紋にぶつかって応答した超音波でインピーダンス値を測定することによって偽造指紋であるのかどうかを判断するので、従来のx、y、zのベクトルを区分することによって指紋を認識する方法よりも正確に指紋を認識できるという効果を有する。
【0027】
また、本発明は、偽造指紋を正確に判別するので、偽造指紋の誤認証によって発生する弊害を防止できるという効果を有する。
【0028】
また、本発明は、指紋認識モジュールを通じて超音波を発振し、応答した超音波のインピーダンス値がドライバーICによって設定範囲内に位置するのかどうかを判断することによって偽造指紋を判別するので、実際のユーザーの識別と認証が同時に行われるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置の構成を示した図である。
【
図3】本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法を示したフローチャートである。
【
図4】本発明のインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置を通じてゼラチン及びシリコーンからなる偽造指紋のインピーダンス値を比較した表である。
【
図5】本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置に指紋又は偽造指紋がタッチされていない状態で、指紋認識モジュールによってインピーダンス値を測したグラフである。
【
図6】本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置に指紋がタッチされた状態で、インピーダンス値を測定したグラフである。
【
図7】本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置にゼラチンからなる偽造指紋がタッチされた状態で、インピーダンス値を測定したグラフである。
【
図8】本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置にシリコーンからなる偽造指紋がタッチされた状態で、インピーダンス値を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法は、
図1~
図8に示したように用いる。
【0032】
図1は、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置の構成を示した図であり、
図2は、
図1の偽造指紋を示した図であり、
図3は、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法を示したフローチャートであり、
図4は、本発明のインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置を通じてゼラチン及びシリコーンからなる偽造指紋のインピーダンス値を比較した表であり、
図5は、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置に指紋又は偽造指紋がタッチされていない状態で、指紋認識モジュールによってインピーダンス値を測したグラフであり、
図6は、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置に指紋がタッチされた状態で、インピーダンス値を測定したグラフであり、
図7は、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置にゼラチンからなる偽造指紋がタッチされた状態で、インピーダンス値を測定したグラフであり、
図8は、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置にシリコーンからなる偽造指紋がタッチされた状態で、インピーダンス値を測定したグラフである。
【0033】
図1~
図8を参照すると、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別装置100は、実際の指紋又は偽造指紋のパターンを読み込むために超音波を発振し、反射された超音波を読み込む指紋認識モジュール110と;指紋認識モジュール110から印加される超音波のインピーダンスを測定するために指紋認識モジュール110と電気的に連結され、超音波のインピーダンス値を測定するドライバーIC 120と;ドライバーIC 120から印加される偽造指紋200のインピーダンス値が所定のインピーダンス値内にあるかどうかを判断する判断部130と;判断部130でインピーダンス値を比較及び判断できるように既に設定された実際のインピーダンス値を格納するメモリ140と;ユーザーを認証できるように判断部130と電気的に連結され、判断部130で比較したインピーダンス値によって認証を行う認証部150と;を含む。
【0034】
指紋認識モジュール110は、超音波を用いる超音波指紋認識センサーを含む。
【0035】
指紋認識モジュール110は、超音波を発振し、指の指紋にぶつかって反射された超音波の変化をx、y、z軸上のベクトルとして区分し、区分されたベクトルデータを通じて指紋のパターンを認識し、前記指紋のパターンを分析し、分析した指紋パターンと既に設定された指紋データとを比較し、指紋であるのか、それとも偽造指紋200であるのかを判断できるようにする。
【0036】
そして、指紋認識モジュール110は、超音波を発振し、指紋から応答される超音波のインピーダンス値を判別することによって、偽造指紋200であるのかどうかを判定する。
【0037】
判断部130は、指紋の認証が行われるユーザー別のインピーダンス値をメモリ140に格納する。また、判断部130は、指紋の認証を行うとき、ユーザー別のインピーダンス値をメモリに格納し、ユーザー別のインピーダンス値のレンジを設定する。
【0038】
指紋を認識して得られる値、及び偽造指紋200を認識して得られる値を測定し、指紋のインピーダンス値と偽造指紋200のインピーダンス値との差を判断することによって、ユーザー別にインピーダンス値のレンジ設定をより正確に行うことができる。指紋のインピーダンス値は偽造指紋のインピーダンス値の範囲外に設定されるようにする。
【0039】
メモリ140には、ユーザーの指紋データ及び指紋データに関するインピーダンス値が格納され、指紋認識モジュール110によって認識された指紋パターンを判断部130で比較できるようにする。
【0040】
また、メモリ140には、ユーザー別の指紋データによるインピーダンス値を格納し、同一のパターンの偽造指紋200が指紋認識モジュール110で読み込まれると、指紋に対して正確なインピーダンス値が適用されることによって偽造指紋200を判別できるようにする。
【0041】
本発明のインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法は、指紋認識モジュール110で指から反射される超音波のインピーダンス値をドライバーIC 120で判別し、変化したインピーダンス値を通じて偽造指紋200を判別することを特徴とする。
【0042】
また、インピーダンス値の測定は、偽造指紋200を着用した指の表皮と偽造指紋200との間に形成される空気層による速度低下及び屈折を含む特性を用いて偽造指紋200をドライバーIC 120で判別する。
【0043】
偽造指紋200は、ゴム、シリコーン及びゼラチンからなり、偽装諮問200のインピーダンス値が人体のインピーダンス値と識別できることを利用して偽造指紋200を判断する。
【0044】
以下では、本発明によるインピーダンスを用いた偽造指紋判別方法をより具体的に説明する。
【0045】
この方法は、指に着用した偽造指紋を指紋認識モジュールに密着させるステップ(S10)と;指紋認識モジュールで偽造指紋に超音波を発振するステップ(S20)と;偽造指紋から応答された超音波を指紋認識モジュールで受信するステップ(S30)と;指紋認識モジュールで受信した超音波をドライバーICに印加するステップ(S40)と;ドライバーICで超音波のインピーダンス値を測定するステップ(S50)と;測定したインピーダンス値が、既に設定されたインピーダンス値と比較して設定範囲内のインピーダンス値であるのかどうかを判断部で判断するステップ(S60)と;設定範囲内のインピーダンス値である場合は、実際の指紋であると判断して認証を行い、偽造指紋であると判断される場合は、指紋認証を再度行うステップ(S70)と;を含む。
【0046】
インピーダンスを用いた偽造指紋判別方法は、指紋認識モジュール110で指から反射された超音波のインピーダンス値をドライバーICによって判別し、インピーダンス値の変化に基づいて偽造指紋200を判別することを特徴とする。
【0047】
また、インピーダンス値の測定は、偽造指紋200を着用した指の表皮と偽造指紋200との間に形成される空気層による速度低下及び屈折を含む特性を用いて偽造指紋200をドライバーIC 120で判別する。
【0048】
偽造指紋200は、ゴム、シリコーン及びゼラチンからなり、偽装指紋200のインピーダンス値が人体のインピーダンス値と識別できることを利用して偽造指紋200を判断する。
【0049】
インピーダンス値は、ユーザー別にメモリに格納することができる。ユーザーごとに格納したインピーダンス値でユーザーの指紋を認識することにより、当該指紋が実際のものであるか否かを正確に判断できる。
【0050】
ユーザー別にデータを格納するためには、指紋を認識する前にユーザー別のIDを入力し、入力されたID別のデータと比較及び判断できるようにする。
【0051】
前記のような方法によって実際の指紋と偽造指紋のインピーダンス値が測定されるとき、それぞれ異なる値が得られる。
【0052】
すなわち、人の応答速度が約100msであると仮定したとき、偽造指紋200の応答速度は200msから400msに遅くなるので、超音波の特性によって異なるインピーダンス値が得られる。
【0053】
換言すると、超音波は、大気中では音波速度と類似する340m/sの速度を有するが、水では1500m/s、固体の剛性体では6000m/sの速度を有する。
【0054】
超音波の応答速度の差によってインピーダンス値に差が発生するが、これは着用した偽造指紋と指の表皮との間に空気層が形成され、その結果、超音波の伝達速度が変わるためである。
【0055】
指に着用した偽造指紋200と指の表皮との間に空気層は速度低下及び屈折を生ぜしめる。その結果、応答した超音波のインピーダンス値が異なる値となる。
【0056】
すなわち、
図5に示したグラフは、実際の指紋又は偽造指紋200が指紋認識モジュール110にタッチされていない状態での、インピーダンス値の測定値を示すグラフである。
【0057】
図6に示したグラフは、実際の指紋が指紋認識モジュール110にタッチされた状態での、インピーダンス値の測定値を示すグラフであり、
図7は、ゼラチンからなる偽造指紋200が指紋認識モジュール110にタッチされたときの、インピーダンス値の測定値を示すグラフである。
【0058】
図8は、シリコーンからなる偽造指紋200が指紋認識モジュール110にタッチされた状態での、インピーダンス値の測定値を示すグラフである。
【0059】
図5~
図8に示したように、指紋認識モジュール110に実際の指紋又は偽造指紋200がタッチされていないときに測定されたインピーダンス値と、ゼラチン及びシリコーンからなる偽造指紋200によって得られたインピーダンス値とが異なる値となるので、偽造指紋の判別が容易である。
【0060】
したがって、前記のように、実際の指紋によって得られるインピーダンス値と、偽造指紋によって得られるインピーダンス値とを比較することによってユーザーの認証を行うので、ユーザー別の正確な認証が行われ、その結果、他人のID盗用を防止できるという長所がある。
【0061】
また、偽造指紋を正確に判別するので、偽造指紋の誤認証によって発生する弊害を防止できるという長所がある。
【0062】
本明細書及び図面に開示した本発明の各実施例は、理解を促進するために特定の例を提示したものに過ぎなく、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここで開示した各実施例の他にも、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて他の変形例が実施可能であり、これらの変形例も本発明のカテゴリーに属するものと言える。
【符号の説明】
【0063】
100 指紋認識装置
110 指紋認識モジュール
120 ドライバーIC
130 判断部
140 メモリ
150 認証部
200 偽造指紋
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、インピーダンスを用いた偽造指紋判別装置及び方法に関し、シリコーンやゼラチンからなる偽造指紋のインピーダンス値を測定することによって、指紋であるのか、それとも偽造指紋であるのかを判別できるようにしており、指紋認識モジュールで指から反射される超音波のインピーダンス値をドライバーICを通じて判別し、インピーダンス値の変化を通じて偽造指紋を判別することを特徴とし、指紋認識モジュールから発振され、偽造指紋にぶつかって応答される超音波のインピーダンス値を測定することによって偽造指紋であるのかどうかを判断するので、従来のx、y、zのベクトルを区分することによって指紋を認識する方法よりも正確に指紋を認識することができ、偽造指紋を正確に判別するので、偽造指紋の誤認証によって発生する弊害を防止することができる。