(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/15 20170101AFI20220118BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20220118BHJP
B01J 23/835 20060101ALI20220118BHJP
C01G 49/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C01B32/15
B01J37/02 301E
B01J37/02 301B
B01J23/835 M
C01G49/00 A
(21)【出願番号】P 2020567940
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2020095757
(87)【国際公開番号】W WO2021057104
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】201910899819.9
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】潘 路軍
(72)【発明者】
【氏名】趙 永鵬
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/111653(WO,A1)
【文献】特開2004-261630(JP,A)
【文献】特開2007-252982(JP,A)
【文献】特開2009-018234(JP,A)
【文献】国際公開第2004/105940(WO,A1)
【文献】LI, Dawei et al.,Highly efficient synthesis of carbon nanocoils by catalyst particles prepared by a sol-gel method,Carbon,英国,Elsevier Ltd.,2009年09月08日,Vol. 48, No.1,pp. 170-175,DOI: 10.1016/j.carbon.2009.08.045
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C01B 32/00-32/991
Scopus
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先ずサイズが100nm未満のFe-Sn-Oナノ粒子を調製するとともに、それを触媒にしてから、調製された触媒を利用し熱CVD法でカーボンナノコイルを効率的に合成し、下記のステップ:
(1)カーボンナノコイルに用いられる小サイズの触媒を調製する
Fe
3+塩または鉄の酸化物と可溶性Sn
4+塩または錫の酸化物を原料として用い、化学合成法、物理方法または化学合成法と物理方法との相互に組み合わせた方法を用いて複合触媒粉末を調製し、前記複合触媒粉末は、Fe-Sn-Oからなり、触媒において、Fe:Snのモル比は5:1~30:1であり、触媒粒子のサイズは、10-100nmであり、
(2)合成された複合触媒を用いて化学気相成長技術を利用し複合触媒によりカーボンナノコイルを効率的に成長する
調製された複合触媒粉末を水
またはエタノール
溶媒に分散し、ここに、分散液の濃度は、0.01mg~1mg/mlであり、担持基板を洗浄し、触媒分散液を基板表面にドロップコート、スピンコートまたはスプレーコートし、ここに、触媒が基板表面での密度範囲は、1×10
9
cm
-2~5×10
10
cm
-2であり、触媒粒子の基板での均一的な担持および相互的な堆積接触を実現し、乾燥後CVDシステムに置いて化学気相成長技術を利用し純度が95%を超えた高純度カーボンナノコイルを合成すること
を含むことを特徴とする、複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法。
【請求項2】
ステップ(1)に記載の調製過程で使用される可溶性Fe
3+塩は、塩化第二鉄、硝酸鉄、硫酸鉄などを含むがそれらに限られず、可溶性Sn
4+塩は、塩化スズを含み、Sn
4+塩とFe
3+塩とは任意に組み合わせることができ、ステップ(1)に記載の鉄の酸化物はFe
2O
3であり、錫の酸化物はSnO
2であることを特徴とする、
請求項1に記載の複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法。
【請求項3】
ステップ(1)に記載の化学合成法は、水熱法、ソルボサーマル法を含み、物理方法は、熱蒸着、マグネトロンスパッタ、高速ボールミル法を含むことを特徴とする、
請求項1または2に記載の複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法。
【請求項4】
ステップ(2)に記載の基板は、石英シート、シリコンチップ、SiO
2シート、グラファイト基板、ステンレス鋼またはアルミナ基板を含むことを特徴とする、
請求項1または2に記載の複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法。
【請求項5】
ステップ(2)に記載の基板は、石英シート、シリコンチップ、SiO
2シート、グラファイト基板、ステンレス鋼またはアルミナ基板を含むことを特徴とする、
請求項3に記載の複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料調製の技術分野に属し、複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋態様を持つカーボンナノコイル(CNC)は、独特な物理化学的性質を持ち、複合材料、エネルギー貯蔵、歪みセンサ、電磁吸収材料、MEMSシステムに広範な応用将来性があるため、CNCsを効率的に調製することはその応用分野を拡大する上で非常に重要であり、効率的に調製する前提は、その合成のメカニズムを全面的かつ明確に認識することである。
【0003】
化学気相成長法(CVD法)は大規模で効率的にCNCを調製するのに最適な生産方法であり、その中で触媒活性の優劣は合成効率に影響を与える最も重要なポイントである。現在、CNC成長用触媒の合成、応用及びメカニズムに関する研究は、単一粒子触媒の触媒活性の異方性に対する研究と応用、すなわち、単一粒子触媒の態様、結晶面、成分及びサイズによるCNC成長への影響に対する研究と応用に集中している[出版物:Liu、Wen-Chih、et al.Acs Nano 4.7(2010):4149-4157;Wang、Guizhen、et al.ACS nano 8.5(2014):5330-5338.]。また、研究により、サイズが100~200nmの単一粒子触媒がばね状CNC成長に適していることが分かった[出版物:Qian、Juanjuan、et al.Journal of nanoscience and nanotechnology10.11 (2010):7366-7369.]、他の粒径の触媒は他の態様のカーボンナノ材料にしか成長できない。一方、Fe/Sn触媒はその調製コストが安価で、原料源が広く、触媒活性が高いことから広く研究されており、現在報告されているFe/Sn触媒は、通常、Fe/Snを含む前駆体溶液を利用してゾル-ゲル法、熱共蒸着法でカーボンナノコイル成長に適切な触媒粒子(100~200nm)を調製しているが、これらの方法で調製された触媒は、粒径分布が広く、比表面積が小さく、触媒中の有効成分が低いことが多く、カーボンナノコイルの効率的な生産をひどく制約している。そのため、どのようにサイズ、成分の適切な触媒を効率的に調製するかが、現在の研究と応用の重点と難点となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、現在、効率的にカーボンナノコイルを合成する過程で、触媒合成の過程が複雑で、効率が低いという課題に対して、小サイズの触媒粒子を集中する方法を提供し、複数の小サイズ触媒の間の複合協同触媒でカーボンナノコイルを効率的に成長する方法を提供することを目的とする。これまで報告された単一のナノ粒子を触媒として成長するCNCとは異なり、本特許は、2つ以上のサイズが100nm以下の触媒粒子を複合触媒として協同成長するCNCの方法であり、触媒堆積密度を変更する方式で複数の粒子触媒の複合触媒成長を実現し、大サイズの触媒(100nmよりも大きいもの)よりも、小粒子触媒の比表面積がより大きく、炭素源ガスとの接触がより十分となり、CNCの効率的な調製が実現される。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明で用いられる技術的手段は下記の通りである。
【0006】
複数の小サイズ触媒からなる複合触媒に基づいて高純度カーボンナノコイルを合成する方法であって、当該方法により、先ずサイズが100nm未満のFe-Sn-Oナノ粒子を調製し、Fe/Sn触媒は調製コストが低く、原料源が広く触媒活性が高いことから広く研究されている。それを触媒とし、簡易な方式でそれを堆積接触させてから、調製された触媒を利用し熱CVD法を用いカーボンナノコイルを効率的に合成する。具体的には、下記のステップを含む。
【0007】
(1)カーボンナノコイルに用いられる小サイズの触媒を調製する
Fe3+塩または鉄の酸化物と可溶性Sn4+塩または錫の酸化物を原料として用い、化学合成法、物理方法または化学合成法と物理方法との相互に組み合わせた方法を用いて複合触媒粉末を調製し、前記複合触媒粉末は、Fe-Sn-Oからなり、触媒において、Fe:Snのモル比は5:1~30:1であり、触媒粒子のサイズは、10-100nmである。
【0008】
(2)合成された複合触媒を用いて化学気相成長技術を利用し複合触媒によりカーボンナノコイルを効率的に成長する
調製された複合触媒粉末を水やエタノールなどの溶媒に分散し、ここに、分散液の濃度は、0.01mg~1mg/mlであり、担持基板を洗浄する。触媒分散液を基板表面にドロップコート、スピンコートまたはスプレーコートし、ここに、触媒が基板表面での密度範囲は、1×109
cm-2~5×1010
cm-2であり、触媒粒子の基板での均一的な担持および相互的な堆積接触を実現する。乾燥後CVDシステムに置いて化学気相成長技術を利用し純度が95%を超えた高純度カーボンナノコイルを合成する。
【0009】
さらに、ステップ(1)に記載の調製過程で使用される可溶性Fe3+塩は、塩化第二鉄、硝酸鉄、硫酸鉄などを含むがそれらに限られず、可溶性Sn4+塩は、塩化スズを含み、Sn4+塩とFe3+塩とは任意に組み合わせることができ、ステップ(1)に記載の鉄の酸化物はFe2O3であり、錫の酸化物はSnO2である。
【0010】
さらに、ステップ(1)に記載の化学合成法は、水熱法、ソルボサーマル法などを含み、物理方法は、熱蒸着、マグネトロンスパッタ、高速ボールミル法などを含む。
【0011】
ステップ(2)に記載の基板は、石英シート、シリコンチップ、SiO2シート、グラファイト基板、ステンレス鋼またはアルミナ基板などを含む。
【0012】
本発明方法は、カーボンナノコイルを効率的に調製できる原理を下記のようにまとめることができる。即ち、前記触媒がカーボンナノコイルを合成するメカニズムは、各触媒ナノ粒子の触媒活性が異なることによって、複合触媒全体の触媒活性の異方性を引き起こす。具体的には、小サイズのFe-Sn触媒が互いに堆積接触し、高温で炭素源ガスが触媒表面で分解、浸炭、炭素析出する過程で、近傍のいくつかの触媒が自然に凝集し、炭素を介して互いに結合して、複合触媒を形成し、異なる触媒小粒子から成長した異なる態様の繊維(チューブ)状カーボンナノワイヤーが互いに癒着し、同時に異なる触媒小粒子はそのサイズ、態様、成分の違いによって炭素源ガスの分解、浸炭、炭素析出の速度に差異が生じることで、成長した複合カーボンナノワイヤーが螺旋構造、即ち、カーボンナノコイルとなる。
【0013】
本発明の有益な効果として、小サイズの触媒は高い比表面積を有し、その触媒活性をさらに高くし、効率をさらに高くし、生産物の純度をさらに高くする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1で調製された触媒粉末のEDS元素分析テストマップである。
【
図2】実施例1におけるa、bの二ステップで触媒粉末を調製する透過型電子顕微鏡写真である。
【
図3】実施例1における触媒分散液を30回スピンコートした後で調製されたCNCマクロSEM図像(a)および単一のCNC頂部触媒SEM図(b)である。
【
図4】実施例1における触媒を30回スピンコートした後の典型的な生産物のTEM図である。
【
図5】実施例2におけるa、bの二ステップで触媒粉末を調製する透過型電子顕微鏡写真である。
【
図6】実施例2における触媒分散液を20回スプレーコートした後で調製されたCNCマクロSEM図像(a)および単一のCNC頂部触媒SEM図(b)である。
【
図7】実施例3におけるa、bの二ステップで触媒粉末を調製する走査型電子顕微鏡写真である。
【
図8】実施例3における触媒分散液を10回ドロップコートした後で調製されたCNCマクロSEM図像(a)および単一のCNC頂部触媒SEM図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態、比較実施の形態と図面の詳細な説明を参照することで、本発明をさらに容易に理解できる。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施でき、本文に記載の実施の形態に限られると解釈すべきではない。これらの実施例は、本発明の開示内容を完全にし、かつ当業者に本発明の範囲を知らせることを目的とするものである。本発明は、請求項の範囲だけによって限定される。明細書全文では、同一の図面の符号で同一の素子を表す。
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の好ましい実施の形態を詳しく説明し、即ち、小粒子触媒が協同触媒し、カーボンナノコイルを効率的に合成する。下記の実例では、カーボンナノコイルをCVD合成する過程は、アセチレン(C2H2)を炭素源として、流速は15sccmであり、アルゴンガス(Ar)は保護ガスであり、流量は245sccmであり、反応温度は710℃であり、反応時間は30minである。反応終了後に自然に降温する。
【0017】
実施例1:
(1)水熱法(化学法)で小サイズの触媒を調製する
本実例に係る合成ステップは、a、bの二ステップに分けられ、即ち、(a)1.2gのFe(NO3)3・9H2Oを20mlの脱イオン水に溶解し、混合溶液が完全に溶解した後の15mlのアンモニア水(質量分率15%)まで超音波溶解し、超音波溶解が均一で、均一的に混合分散した後の混合溶液を高圧反応釜内に移し、反応温度は140℃であり、反応時間は12時間であり、室温まで自然冷却し、得られた赤色沈殿を濾過、洗浄、乾燥し、単一の赤色粉末を得た。
【0018】
(b)上記のステップで調製された赤色粉末を20mg取り、30mlの水に超音波分散し、0.2gのSnCl4・5H2Oを入れて、十分に溶解した後で、一滴ずつ1mol/LのNaOH溶液を滴下しPHを10に調整し、均一的に混合分散した後の混合溶液を高圧反応釜内に移し、反応温度は200℃であり、反応時間は1.5時間であり、得られた産物のFe、Snモル比は20:1であり、室温まで自然冷却し、得られた赤色沈殿を濾過、洗浄、乾燥し、単一の赤色粉末を得た。
【0019】
図1は、触媒粉末のおよびEDS元素分析テストであり、結果により、赤色粉末が主にFe、Sn、Oの3種の元素からなることが分かった。
図2は触媒粉末を調製した透過型電子顕微鏡写真(TEM)であり、図中において、触媒粒子の分布範囲は70~100nmの間にあることが見える。
【0020】
(2)上記の触媒を用いてカーボンナノコイルを調製する
ステップ(1)で調製された触媒粉末を正確に測って取り、アルコール中(濃度:0.1mg/ml)に分散させ、反応担持基板シリコンチップを取り、それぞれアセトン、アルコール、脱イオン水で洗浄した後、乾燥して待機する。触媒分散液を0.2ml測って取り、基板表面にスピンコートする(回転数:2000/分)、上記の過程を30回繰返し、
図3(a)は、触媒を30回スピンコートした基板CVD反応後の産物SEM写真であり、CNC純度は、95%よりも高く、
図3(b)は、CNCの頂部触媒のSEM写真であり、図により、CNC頂端の触媒は、複数の小粒子が集中している状態が見え、従来に開示された単一粒子の触媒の成長メカニズムと著しく異なる。
図4は典型的な産物のTEM図であり、図中において、触媒は異なる大きさの4つの触媒からなり、各触媒の態様サイズなどの特性が異なることによって、その触媒活性に差異があり、CNCの異方性成長を引起す。
【0021】
実施例2:
(1)ソルボサーマル法(化学方法)で用いられる小サイズの触媒を調製する
本実例に係る合成ステップはa、bの二ステップに分けられ、即ち、(a)0.526gのFe2(SO4)3・7H2Oを35mlのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、混合溶液が完全に溶解するまで超音波溶解し、最後に0.8gのポリビニルピロリドン(PVP)を加え、完全に溶解した後で、反応釜内に移し、ソルボサーマルシステムで反応温度を180℃に、反応時間を6時間に制御し、室温まで自然冷却し、得られた赤色沈殿を濾過、洗浄、乾燥し、単一の赤色粉末を得た。
【0022】
(b)上記のステップで調製された赤色粉末を20mg取り、30mlの水に超音波分散し、0.2gのSnCl
4・5H
2Oを入れて、十分に溶解した後で、一滴ずつ1mol/LのNaOH溶液を滴下しPHを10に調整し、均一的に混合分散した後の混合溶液を高圧反応釜内に移し、反応温度は200℃であり、反応時間は2時間であり、得られた産物のFe、Snモル比は10:1であり、室温まで自然冷却し、得られた赤色沈殿を濾過、洗浄、乾燥し、単一の赤色粉末を得た。
図5はa、bの二ステップにより触媒粉末を調製する透過型電子顕微鏡写真(TEM)であり、図中において、触媒粒子の分布範囲は30~50nmの間にあることが見える。
【0023】
(2)上記の触媒を用いてカーボンナノコイルを効率的に調製する
ステップ(1)で調製された触媒粉末を正確に測って取り、アルコール中(濃度:0.1mg/ml)に分散させ、反応担持基板シリコンチップを取り、それぞれアセトン、アルコール、脱イオン水で洗浄した後、乾燥して待機する。触媒分散液を0.1ml測って取り基板表面にスピンコートし、上記の過程を20回繰返し、乾燥した後で触媒を担持する基板をCVDシステムに反応させ、
図6(a)は、触媒を30回スピンコートした基板CVD反応後の産物SEM写真であり、CNC純度は、95%よりも高く、
図3(b)は、CNCの頂部触媒のSEM写真であり、図により、CNC頂端の触媒は、複数の小粒子が集中している状態が見え、当該カーボンナノコイルの触媒は複数の小サイズの触媒から堆積したものであることが示されている。
【0024】
実施例3:
(1)物理スパッタ法(化学-物理方法の組合せ)でカーボンナノコイルに用いられる小サイズの触媒を調製する
本実例に係る合成ステップはa、bの二ステップに分けられ、即ち、(a)0.270gのFeCl3・6H2Oを35mlN,N-ジメチルホルムアミドに加え、混合溶液が完全に溶解するまで超音波溶解し、最後に0.8gのポリビニルピロリドン(PVP)を加え、完全に溶解した後で、反応釜内に移し、ソルボサーマルシステムで反応温度を180℃に、反応時間を6時間に制御し、室温まで自然冷却し、得られた赤色沈殿を濾過、洗浄、乾燥し、単一の赤色粉末を得た。
【0025】
(b)ステップ(a)で調製された触媒粉末を正確に測って取り、アルコール中(濃度:0.1mg/ml)に分散させ、反応担持基板シリコンチップを取り、それぞれアセトン、アルコール、脱イオン水で洗浄した後、乾燥して待機する。触媒分散液を0.1ml測って取り、基板表面にドロップコートし、乾燥後、基板をマグネトロンスパッタリング装置に入れてSnO
2を複合し、具体的なパラメータは、動作電流が60mAであり、動作電圧が40mVであり、動作電力が20Wであり、堆積時間が3minである。鉄錫原子のモル比は30:1であり、
図8はa、bの二ステップにより調製された触媒粉末の走査型電子顕微鏡写真であり、図中において、触媒粒子の分布範囲は30~50nmの間にあることが見える。
【0026】
(2)上記の触媒を用い高純度カーボンナノコイルを調製する
上記のステップbを10回繰返し、乾燥した後で触媒を担持する基板をCVDシステムに反応させ、
図3(a)は触媒を30回スピンコートした基板CVD反応後の産物SEM写真であり、CNC純度は、95%よりも高く、附
図3(b)は、CNCの頂部触媒のSEM写真であり、図により、CNC頂端の触媒は、複数の小粒子が集中している状態が見え、当該カーボンナノコイルの触媒は複数の小サイズの触媒から堆積したものであることが示されている。
【0027】
実施例4:
(1)物理ボールミル(物理方法)でカーボンナノコイルに用いられる小サイズの触媒を調製する
α‐Fe2O3(20~50nm)およびSnO2(10~20nm)を鉄錫のモル比5:1で混合した後で高速ボールミルに入れ、具体的なパラメータは、回転数が1000r/minであり、時間が2Hであり、ボールミルが終了した後で触媒粉末を取り出し、洗浄して待機する。
【0028】
(2)上記の触媒を用いてカーボンナノコイルを調製する
一定量のステップ(1)で調製された触媒粉末を正確に測って取り、水または有機溶液に分散させ、超音波待機し(濃度:1mg/ml),反応担持基板シリコンチップを取り、それぞれアセトン、アルコール、脱イオン水で洗浄した後、乾燥して待機する。触媒分散液を1ml測って取り、基板表面にコートし、乾燥した後で触媒を担持する基板をCVDシステムに反応させ、反応が終了した後で自然に降温する。産物はカーボンナノコイルである。
【0029】
実施例5:
(1)熱蒸着法(化学-物理方法)でカーボンナノコイルに用いられる小サイズの触媒を調製する
本実例に係る合成ステップはa、bの二ステップに分けられ、即ち、
(a)0.404gのFe(NO3)3・9H2Oを35mlのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、混合溶液が完全に溶解するまで超音波溶解し、最後に0.8gのポリビニルピロリドン(PVP)を加え、完全に溶解した後で、反応釜内に移し、ソルボサーマルシステムで反応温度を180℃に、反応時間を6時間に制御し、室温まで自然冷却し、得られた赤色沈殿を濾過、洗浄、乾燥し、単一の赤色粉末を得た。
【0030】
(b)ステップ(a)で調製された触媒粉末を正確に測って取り、アルコール中(濃度:0.1mg/ml)に分散させ、反応担持基板シリコンチップを取り、それぞれアセトン、アルコール、脱イオン水で洗浄した後、乾燥して待機する。触媒分散液を0.1ml測って取り、基板表面にスピンコートし、乾燥した後でサーマルエバポレーターに入れてSnを複合し、具体的なパラメータは、動作電流が1Aであり、温度が1000℃であり、堆積時間が10minである。鉄錫原子のモル比は30:1である。
【0031】
(2)上記の触媒を用いて高純度カーボンナノコイルを調製する
上記のステップbを10回繰返し、乾燥後に触媒を担持する基板をCVDシステムに反応させ、産物は高純度カーボンナノコイルである。
【0032】
上記の実例により、本文で提案されている小サイズのFe-S-O触媒を用いることでカーボンナノコイルを効率的に調製できることが証明されると同時に、本特許に提案されるものである。また、上記の実施例の記載は、当業者が本発明を理解し、適用できるようにするための内容である。当業者であれば、これらの実例に対して容易に様々な補正を加えることができるとともに、ここで説明する一般的な原理を他の実施例に適用するには進歩的な労働を要しないことは明らかである。したがって、本発明はここでの実施例に限定されるものではなく、当業者は、本発明の開示により、本発明に対する改善および補正はすべて本発明の保護範囲内に属するべきである。