(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】検温消毒装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20220118BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61L2/18
A61B5/01 350
(21)【出願番号】P 2021043973
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2021-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506291313
【氏名又は名称】株式会社エーワン
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】福間 二郎
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2155993(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0004699(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234858(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0059354(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第1444022(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/18
A61B 5/01
G01J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と当該第1の部材と対向し当該第1の部材に対して上方に位置する第2の部材とを有し、手を挿入することが想定された第1の開口部と当該第1の開口部の反対側に当該第1の開口部と対向して位置する第2の開口部とを備えた空間を形成する空間形成部と、
前記空間内の前記第2の開口部側に位置し前記第1の開口部から挿入された手が前記空間内で所定の位置に配置されたこと検知する手検知部と、
前記所定位置に配置された手のひらに消毒液を噴射し、前記消毒液の噴射口が前記第1の部材に設けられた消毒液噴射部と、
前記手検知部に対して前記第1の開口部側に配置され、前記所定位置に配置された手の甲の検温を行い、前記第2の部材に設けられた手甲検温部と、
前記手検知部に対して前記第1の開口部側に配置され、前記所定位置に配置された手の平の検温を行い、前記第2の部材に設けられた手平検温部と、
各部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記手検知部が前記所定の位置に手が配置されたことを検知した後に前記検温部で手の甲
及び平の検温を行い、その後、前記消毒液噴射部から前記消毒液を噴射する制御を行い、
前記噴射口から前記消毒液を噴射すると前記第2の部材に当たることで人の顔にかからないように構成されており、
前記手検知部と、前記手甲検温部と、前記手平検温部と、前記消毒液噴射部とが前記空間形成部に設けられている、
検温消毒装置。
【請求項2】
前記空間内に前記手を入れる正面側から背面側に向けた方向に沿って、複数の前記手平検温部が配置されている、
請求項1に記載の検温消毒装置。
【請求項3】
第1の前記手平検温部と第2の前記手平検温部との間に、前記消毒液噴射部が配置されている、
請求項2に記載の検温消毒装置。
【請求項4】
複数の前記手平検温部と前記消毒液噴射部が略一直線上に配置されている
請求項1~3のいずれかに記載の検温消毒装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記手検知部で手を検知した後、前記手甲検温部及び前記手平検温部で手の検温を行い、その後、前記消毒液噴射部から前記消毒液を噴射する制御を行う、
請求項1~4のいずれかに記載の検温消毒装置。
【請求項6】
所定の報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記手甲検温部及び前記手平検温部で検温した値が一定条件を満たしたか否かの情報を前記報知部から報知する制御を行う、
請求項1~5のいずれかに記載の検温消毒装置。
【請求項7】
複数の前記検温部の検温した値のうち最も高い値が一定条件を満たしたか否かの情報を前記報知部から報知する制御を行う、
請求項6に記載の検温消毒装置。
【請求項8】
前記第1の前記手平検温部は、前記所定位置に位置する手の手根の周辺領域を検温し、
前記第2の前記手平検温部は、前記所定位置に位置する手の指尖球の周辺領域を検温する
請求項
3に記載の検温消毒装置。
【請求項9】
前記手の手首又は腕を検温する手首検温部
をさらに有する
請求項1~8のいずれかに記載の検温消毒装置。
【請求項10】
所定の報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記手甲検温部、前記手平検温部及び前記手首検温部で検温した値が一定条件を満たしたか否かの情報を前記報知部から報知する制御を行う、
請求項9に記載の検温消毒装置。
【請求項11】
前記第1の手平検温部との間に前記第2の手平検温部を挟み、前記所定位置に位置する手の中指付近を検温する第3の手平検温部
をさらに有する請求項8に記載の検温消毒装置。
【請求項12】
前記空間形成部は前記消毒液噴射部から噴射され消毒を行った後の余剰の消毒液が前記空間形成部の外側へ排出される排出構造を有する、
請求項1~11のいずれかに記載の検温消毒装置。
【請求項13】
前記報知は、無線で遠隔の通信装置に信号を送信する
請求項6に記載の検温消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検温とともに手の消毒を行うことができる検温消毒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防疫や衛生上の観点から、施設・店舗などの建物の入口や入室前には、手の消毒とともに検温を行うことが多い。特許文献1には、手を挿入できる広さを有する収納部に、手を一度挿入する動作により、手を挿入したことを感知するセンサーが手を感知して手に送風して乾燥させるブロワーの作動と、消毒液を噴霧して消毒することをあわせて行えるような手消毒乾燥装置が開示される。
【0003】
また、特許文献2には、箱様筐体が、ユーザの手が消毒のために差し入れられる2つの開口部を持ち、手で接触することなく作動する噴霧ノズルによる消毒液自動噴霧機能を備える自動手洗装置が開示される。この自動手洗装置では、噴霧ノズルからの消毒液の噴射が正しい場所、すなわち、指先、指および手の平部分に正確に向けられ、開口部が卵型で縦長の楕円形であり、手を消毒中に正しい位置に促すよう実質的に均等に成形された凹部を含む構成になっている。
【0004】
特許文献3には、歩行者の手指に消毒液を供給する手指消毒器であって、上面と前面および後面とがそれぞれ開口して延在し、歩行者の手の通過を許容する雨樋状の本体部と、本体部の開口の近傍に設けられ、開口から本体部の消毒空間に侵入した手指を検出するセンサと、センサより歩行者の進行方向の前方側の本体部の側板部の内面に設けられ、センサの検出に応じて消毒液を噴射する噴射ノズルと、消毒液を噴射ノズルから噴射させるポンプと、を備える手指消毒器が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-031011号公報
【文献】特表2012-501686号公報
【文献】特開2020-025771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建物や部屋に入ろうとする人に対して検温を行う場合、担当者が手持ちの温度測定器によって1人ずつ体温を測定したり、赤外線画像を取り込むことで人の体温を測定したりすることが行われる。また、手の消毒については、手動ポンプ式では手でポンプを作動させて消毒液を噴霧したり、電動ポンプ式では手をノズルの下にかざすことで消毒液を自動的に噴射したりすることが行われる。このような検温と手の消毒との両方を行う作業については、なるべく人員や時間をかけずに円滑に行うことが望まれる。
【0007】
本発明は、検温および手の消毒の両方を自動的かつ円滑に行うことができる検温消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の部材と当該第1の部材と対向し当該第1の部材に対して上方に位置する第2の部材とを有し、手を挿入することが想定された第1の開口部と当該第1の開口部の反対側に当該第1の開口部と対向して位置する第2の開口部とを備えた空間を形成する空間形成部と、前記空間内の前記第2の開口部側に位置し前記第1の開口部から挿入された手が前記空間内で所定の位置に配置されたこと検知する手検知部と、前記所定位置に配置された手のひらに消毒液を噴射し、前記消毒液の噴射口が前記第1の部材に設けられた消毒液噴射部と、前記手検知部に対して前記第1の開口部側に配置され、前記所定位置に配置された手の甲の検温を行い、前記第2の部材に設けられた手甲検温部と、前記手検知部に対して前記第1の開口部側に配置され、前記所定位置に配置された手の平の検温を行い、前記第2の部材に設けられた手平検温部と、各部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記手検知部が前記所定の位置に手が配置されたことを検知した後に前記検温部で手の甲及び平の検温を行い、その後、前記消毒液噴射部から前記消毒液を噴射する制御を行い、前記噴射口から前記消毒液を噴射すると前記第2の部材に当たることで人の顔にかからないように構成されており、前記手検知部と、前記手甲検温部と、前記手平検温部と、前記消毒液噴射部とが前記空間形成部に設けられている、検温消毒装置である。
【0009】
このような構成によれば、空間形成部の空間の所定位置に手を配置させることで検温部によって手の検温を行い、消毒液噴射部から手の平に消毒液を噴射する。これにより、空間形成部の空間に手を入れる一度の動作で、検温から消毒までの一連の処理が行われる。
【0010】
好適には、前記空間内に前記手を入れる正面側から背面側に向けた方向に沿って、複数の前記手平検温部が配置されている。
【0011】
好適には、第1の前記手平検温部と第2の前記手平検温部との間に、前記消毒液噴射部が配置されている。
【0012】
好適には、複数の前記手平検温部と前記消毒液噴射部が略一直線上に配置されている。
【0013】
好適には、前記制御部は、前記手検知部で手を検知した後、前記手甲検温部及び前記手平検温部で手の検温を行い、その後、前記消毒液噴射部から前記消毒液を噴射する制御を行う。
【0014】
好適には、所定の報知を行う報知部をさらに備え、前記制御部は、前記手甲検温部及び前記手平検温部で検温した値が一定条件を満たしたか否かの情報を前記報知部から報知する制御を行う。
【0015】
好適には、複数の前記検温部の検温した値のうち最も高い値が一定条件を満たしたか否かの情報を前記報知部から報知する制御を行う。
【0016】
好適には、前記第1の前記手平検温部は、前記所定位置に位置する手の手根の周辺領域を検温し、前記第2の前記手平検温部は、前記所定位置に位置する手の指尖球の周辺領域を検温する。
【0017】
好適には、前記手の手首又は腕を検温する手首検温部をさらに有する。
好適には、所定の報知を行う報知部をさらに備え、前記制御部は、前記手甲検温部、前記手平検温部及び前記手首検温部で検温した値が一定条件を満たしたか否かの情報を前記報知部から報知する制御を行う。
【0018】
好適には、前記第1の手平検温部との間に前記第2の手平検温部を挟み、前記所定位置に位置する手の中指付近を検温する第3の手平検温部をさらに有する。
好適には、前記空間形成部は前記消毒液噴射部から噴射され消毒を行った後の余剰の消毒液が前記空間形成部の外側へ排出される排出構造を有する。
【0019】
好適には、前記報知は、無線で遠隔の通信装置に信号を送信する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検温および手の消毒の両方を自動的かつ円滑に行うことができる検温消毒装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る検温消毒装置を例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す検温消毒装置を例示する背面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る検温消毒装置の空間形成部にによって形成される手を挿入して位置させる手挿入空間を説明するための側面方向から見た図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す空間形成部に設けられた手検知部、検温部及び消毒液噴射部の側面方向から見た配置を説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す手検知部、第1の手平検温部、第2の手平検温部、第3の手平検温部及び消毒液噴射部の平面方向から見た配置を説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図3に示す空間形成部に設けられた手甲検温部の配置を説明するための図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す検温消毒装置の構成を例示するブロック図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す検温消毒装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態に係る検温消毒装置を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る検温消毒装置を例示する斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る検温消毒装置を例示する背面図である。
図3は、第1実施形態に係る検温消毒装置の空間形成部10によって形成される手を挿入して位置させる手挿入空間10aを説明するための側面方向から見た図である。
図4は、
図3に示す空間形成部10に設けられた手検知部20、第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c、第3の手平検温部30d及び消毒液噴射部40の側面方向から見た配置を説明するための図である。
【0024】
図5は、
図4に示す手検知部20、第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c、第3の手平検温部30d及び消毒液噴射部40の平面方向から見た配置を説明するための図である。
図6は、
図3に示す空間形成部10に設けられた手甲検温部30aの配置を説明するための図である。
図7は、検温消毒装置1の機能ブロック図である。
【0025】
本実施形態に係る検温消毒装置1は、手挿入空間10a内の所定位置に手を挿入することで検温と消毒とを自動的に行う装置である。
検温消毒装置1は、手Hを位置させる手挿入空間10aを形成する空間形成部10と、手Hを検知する手検知部20と、手Hの甲の検温を行う手甲検温部30aと、手Hの平の検温を行う第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dと、手Hの平に消毒液を噴射する消毒液噴射部40と、各部の動作を制御する制御部50とを備える。
【0026】
空間形成部10は、手Hを挿入可能な正面側開口10bを有している。正面側開口10bのサイズは空間形成部10の空間10aに手Hを挿入しても空間形成部10の内側に接触しない程度(空間10aの中央辺りに手Hを載置しても空間形成部10に接触しない程度)の大きさである。空間形成部10は、大人の手Hは挿入できても、子供の頭は挿入できないサイズや形状になっている。
また、空間形成部10の背面側には、背面側開口部10cが形成されている。
【0027】
本実施形態では、空間形成部10は矩形状の空間になっており、空間形成部10の延在方向を手Hの挿入方向に合わせて配置されている。本実施形態では、手Hの挿入方向は、挿入方向の下手側が水平に対して僅かに下がる方向としてもよい。傾斜の角度は、水平に対して約5度以上、45度以下程度、好ましくは約12度である。これにより、空間形成部10の手挿入空間10aに手Hを自然に挿入できるようになる。また、空間形成部10内に噴射された消毒液が空間形成部10内に留まらず、傾斜の下方へ流れやすくなる。
【0028】
空間形成部10は、例えば下支柱2の上端に配置される。下支柱2は床に設置可能であって上下方向に延在する。下支柱2の表面側に広告等が表示可能である。
空間形成部10の上には、表面側に広告等が表示可能な上支柱3が設けられている。
【0029】
手検知部20は空間形成部10に設けられ、空間形成部10の空間10aの所定位置に手Hが配置されたことを検知する。手検知部20には、例えば赤外線センサや光学センサが用いられる。ここで、手Hの所定位置とは、空間10a内で手Hを検温および消毒することが可能な位置のことをいう。
手検知部20は、空間形成部10の空間10a内における手Hの挿入方向の背面側に配置され、手Hの指辺りを検知するように設けられているとよい。これにより、手Hを空間形成部10の手挿入空間10a内の所定位置まで挿入したことを検知しやすくなる。
【0030】
手甲検温部30a、第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c及び第3の手平検温部30dは空間形成部10に設けられ、空間形成部10の空間10aの所定位置に配置された手Hの検温を行う。手検知部20には、例えば赤外線センサが用いられる。
また、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c及び第3の手平検温部30dとしては、赤外線体温計が用いられる。
【0031】
手甲検温部30aは、手挿入空間10aの上面10gに設けられている。
第1の手平検温部30b、消毒液噴射部40、第2の手平検温部30c、第3の手平検温部30d及び手検知部20は、手挿入空間10aの底面10fに正面前側開口10bから背面側開口部10cに向けて例えば一直線状に順に配置されている。底面10fには、手Hを位置させる目印となる手の絵柄が描かれている。
【0032】
第1の手平検温部30bは、手挿入空間10a内の所定位置に位置する手Hの手根の周辺領域を検温する。第1の手平検温部30bは、正面前側開口10bから約20mmの位置にある。
第2の手平検温部30cは、手挿入空間10a内の所定位置に位置する手Hの指尖球の周辺領域を検温する。第2の手平検温部30cは、正面前側開口10bから約160mmの位置にある。
第3の手平検温部30dは、手挿入空間10a内の所定位置に位置する手Hの中指付近を検温する。
第3の手平検温部30dは、正面前側開口10bから約160mmの位置にある。
【0033】
消毒液噴射部40は、手Hの中央部付近に消毒液を噴射する。
空間形成部10は、消毒液噴射部40から噴射され消毒を行ったあとの余剰の消毒液が手挿入空間10aの外側へ排出される排出構造を有している。
消毒液噴射部40は、正面前側開口10bから約70mmの位置にある。
【0034】
第1の手平検温部30bは手Hの手根辺りを検温し、第2の手平検温部30cは手Hの中央付近を検温し、第3の手平検温部30dは手Hの指尖球辺りを検温するように位置されている。
【0035】
検温消毒装置1では、手甲検温部30aで手Hの甲を検温すると共に、手Hの平を、手Hの挿入方向に沿って順に配置された第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c及び第3の手平検温部30dで手Hの平を検温し、これらの検温結果を基に報知の有無を欠点するため、手Hの状態等が異なる場合でも、より正確な報知を行うことができる。
【0036】
また、検温消毒装置1では、手Hの甲を下に向けてた状態で手挿入空間10aに挿入すればよいため、自然な姿勢で手Hの検温・消毒をすることができる。
【0037】
ここで、本実施形態では手検知部および検温部を別体で設けているが、これらを一体型(1つのセンサによる共用や、1つのセンサモジュールによる共用)にしてもよい。これにより、手検知部と検温部とが一つの構成で済むことになる。
【0038】
消毒液噴射部40は空間形成部10に設けられ、手挿入空間10aの下方から手Hの平に消毒液を噴射する。消毒液噴射部40の噴射口から噴射する消毒液は手Hの平の広い範囲に吹き付けられる。消毒液噴射部40は、複数設けてもよい。
【0039】
底面10f上での消毒液噴射部、検温部、手検出部の位置は適宜変更可能である。
【0040】
上支柱3には、消毒液を収容するタンクと、タンクから消毒液噴射部40a,40bへ消毒液を供給するポンプとが設けられる。上支柱3の中にタンクおよびポンプが設けられることで、検温消毒装置1の意匠性が高められる。
【0041】
制御部50は、例えば支柱2の内部に設けられる。制御部50は、手検知部20で手Hを検知した後、所定のタイミングで手甲検温部30a、第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c及び第3の手平検温部30dでの手Hの検温と、消毒液噴射部40からの層毒液の噴射とを制御する。
【0042】
例えば、制御部50は、手検知部20で手Hを検知した後、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b、第2の手平検温部30c及び第3の手平検温部30dで手Hの検温を行い、その後、ポンプ70に指示を与えてタンク80から消毒液噴射部40へ消毒液を供給し、噴射口から消毒液を噴射する制御を行う。制御部50によって、手Hの検温を行った後に消毒液を噴射するようにタイミングを制御することで、消毒液の噴射による検温への影響が抑制される。
【0043】
検温消毒装置1には報知部60が設けられていてもよい。
報知部60は、例えば空間形成部10に設けられる。報知部60は、光、音、文字(数字)等の表示によって報知を行う。例えば、制御部50は、検温部30で検温した値が一定条件を満たしたか否かの情報を報知部60から報知する制御を行うようにしてもよい。一例として、所定の場所に報知部60が設けられており、検温の値が一定値(例えば、37.5℃)を越えた場合には報知部60が赤色に光り、一定値以下の場合には報知部60が緑色に光るようになっている。
【0044】
検温の値が一定値を越えた場合には報知部60が赤色に光るとともに警告音を発するようにしてもよい。報知部60は表示装置(液晶表示装置など)を有していてもよく、表示装置に検温の結果(体温の値)を表示してもよい。
【0045】
報知部60は、例えば、「Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)等の無線通信機能を備え、検温消毒装置1から離れた場所にいるスタッフの通信機器に無線による報知信号を送信する。当該通信機器は、スマートウォッチ等のウェアラブル端末やスマートフォン等の端末である。
無線通信機能を搭載した事により、近くで人間が監視をしなくてもスマートウォッチ等のバイブレーション機能で、体温が所定基準を超えた人がいたことを通知できる。これにより検温消毒装置1の周囲で働く方が、モニタなどを見ずに、他の仕事をしながら監視ができる。
【0046】
報知部60が報知を行うか否かは、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dの検温結果を基に、制御部50が決定する。
制御部50は、例えば、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dの検温した値のうち最も高い値が一定条件を満たした(一定値を超えた)か否かの情報を基に報知を行うか否かを決定する。
【0047】
なお、制御部50は、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dの検温した値を用いて演算を行い、その演算結果を基に報知を行うか否かを決定してもよい。当該演算は、例えば平均値算出等である。
上記一定値は、感染症等の病気の可能性がある温度として設定する。
【0048】
図7に示すように、検温消毒装置1は、手検知部20、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30d、消毒液噴射部40、制御部50、報知部60及び報知部70を有している。
【0049】
なお、検温消毒装置1の各種設定については、携帯端末などのアプリケーションソフトウェアによって行うようにしてもよい。例えば、アプリケーションソフトウェアで報知に関する一定条件(温度閾値)や報知の種類(発光色や音の種類など)、電源のON/OFFなどを行い、携帯端末の通信機能を用いて設定を制御部50に送るようにしてもよい。また、制御部50は、携帯端末に検温した値や消毒液の残量などの情報を携帯端末に送信し、アプリケーションソフトウェアで表示するようにしてもよい。アプリケーションソフトウェアに報知部60の機能を持たせてもよい。
【0050】
(検温消毒装置の動作)
図8は、実施形態に係る検温消毒装置の動作を例示するフローチャートである。
先ず、ステップS101に示すように、手Hを検知したか否かの判断を行う。手Hの検知は手検知部20によって行われる。空間形成部10における手挿入空間10aの所定位置まで手Hを挿入すると、手検知部20によって手Hの検知が行われる。所定位置まで手Hが挿入されないと手検知部20による手Hの検知は行われない。これにより、不要な検温や消毒を行うことが回避される。
【0051】
手検知部20によって手Hを検知した場合、ステップS102に示すように、手Hの検温を行う。検温は、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dによって行われる。
【0052】
次に、ステップS103に示すように、制御部50は、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dによる検温の結果が一定条件を満たすか否かの判断を行う。
【0053】
一定条件を満たさなかった場合(ステップS103でNo)、ステップS104へ進み、報知部60から報知(警告)を行う。例えば、検温の結果が予め設定された温度(例えば、37.5℃)よりも高い場合、報知部60から報知(警告)を行う。これにより、体温が高い人に対する対応を迅速に行うことができる。
【0054】
一定条件を満たしている場合(ステップS103でYes)、ステップS105へ進む。ステップS105では、消毒液噴射部40から手Hの平に向けて消毒液を噴射する。制御部50は、消毒液噴射部40から消毒液を噴射している間、時間を計数する。
【0055】
次に、ステップS106に示すように、制御部50は、消毒液噴射部40から消毒液を噴射している時間が一定時間経過したか否かを判断する。一定時間を経過していなかった場合(ステップS106でNo)、そのまま消毒液噴射部40からの消毒液の噴射を継続する。
【0056】
一定時間を経過した場合(ステップS106でYes)、ステップS107に示すように消毒液の噴射を停止する。その後、ステップS108に示すように報知部60から報知(完了)を行う。
【0057】
次に、ステップS109に示すように、処理終了か否かの判断を行い、終了しない場合(ステップS109でNo)、ステップS101へ戻り、以降の処理を繰り返す。一方、終了する場合(ステップS109でYes)、処理を終了する。
【0058】
このような検温消毒装置1によって、空間形成部10の手挿入空間10aに手Hを位置させることで手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dによる手Hの検温と、消毒液噴射部40から手Hの平に向けた消毒液を噴射とを行うことができる。これにより、空間形成部10の手挿入空間10aに手Hを入れる一度の動作で、検温から消毒までの一連の処理を自動的に行うことができるようになる。すなわち、手挿入空間10a内で検温および消毒を完結させることができる。
【0059】
また、検温消毒装置1では、手挿入空間10aの所定位置に手Hを入れた状態を手検知部20で検知してから検温および消毒を行うため、手Hが空間10aに十分に挿入されていない状態で検温および消毒を進めてしまうことがない。
したがって、手Hの検温位置を安定化させて検温の精度を高めることができる。また、手Hの平に対して十分な消毒液をかけることができ、消毒の確実性を高めることができる。
【0060】
消毒液を噴射する際、手Hが手挿入空間10aに挿入されており、しかも手挿入空間10aが下支柱2及び上支柱3でカバーされるため、消毒液が空間形成部10の外側に漏れる(吹き出す)ことはない。したがって、消毒液が人の顔にかかることはない。
【0061】
また、制御部50は、手甲検温部30a、第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dで検温した値が一定条件を満たしている場合に消毒液噴射部40から消毒液を噴射する制御を行うため、検温で一定条件を満たしていない場合には消毒を行わずに報知(警告)を行うなど、検温結果に対する対応を迅速に進めることができる。
【0062】
ここで、空間形成部10は消毒液噴射部40から噴射され消毒を行ったあとの余剰の消毒液が空間形成部10の外側へ排出される排出構造を有することが好ましい。排出構造としては、噴射口がその周囲に対して高く設けられている構造等が挙げられる。これにより、噴射後の余剰の消毒液が空間形成部10の内側に溜まることが抑制される。
【0063】
<第2実施形態>
図9は、本発明の実施形態に係る検温消毒装置の検温部の位置を説明するための図である。
図9に示すように、第2実施形態では、第11の手平検温部30x、第12の手平検温部30y、手首検温部30zを有する。また、当該第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、手甲検温部30aを有している。
【0064】
第11の手平検温部30cは、手挿入空間10a内の所定位置に位置する手Hの指尖球の周辺領域を検温する。
第12の手平検温部30yは、手挿入空間10a内の所定位置に位置する手Hの中央付近を検温する。
手首検温部30zは、手挿入空間10a内の所定位置に位置する手Hの手首を検温する。具体的には、手首の付け根から約5cm離れた箇所を検温する。
なお、手首検温部30zは、手首ではなく、手首の付け根の腕を検温してもよい。
また、手首検温部30zを複数個設けてもよい。
【0065】
図7に示す報知部60は、制御部50からの制御に応じて、手甲検温部30a、第11の手平検温部30x、第12の手平検温部30y、手首検温部30zで検温した値が一定条件を満たしたか否かの情報を報知する。
【0066】
第2実施形態においても、
図8のフローは第1実施形態と基本的に同じである。
【0067】
上述したように、本実施形態によれば、手Hの甲、平、手首の検温を行うことから、3か所の検温結果を基により手の状態に左右されるず、より安定して高精度な検温をすることができる。
【0068】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
上述した実施形態の空間形成部10及び手挿入空間10aの形状は特に限定されない。
また、消毒液噴射部40を複数異なる位置に設けてもよい。
また、各温度計は、直下上の位置、又は角度を持たせた箇所の検温を行う。
【符号の説明】
【0069】
1…検温消毒装置
2…下支柱
3…上支柱
10…空間形成部
10a…手挿入空間
10b…正面前側開口
10c…背面側開口部
20…手検知部
30a…手甲検温部
30b…第1の手平検温部
30c…第2の手平検温部
30d…第3の手平検温部
30x…第11の手平検温部
30y…第12の手平検温部
30z…手首検温部
40…消毒液噴射部
50…制御部
60…報知部
【要約】
【課題】 検温および手の消毒の両方を自動的かつ円滑に行うことができる検温消毒装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、手Hを位置させる空間10aを形成する空間形成部10と、空間形成部10の空間10aの所定位置に手Hが配置されたことを検知する手検知部20と、所定位置に配置された手Hの検温を行う甲検温部30aと、手Hの平の検温を行う第1の手平検温部30b,第2の手平検温部30c,第3の手平検温部30dと、所定位置に配置された手Hの平に消毒液を噴射する消毒液噴射部40と、各部の動作を制御する制御部50と、を備え、手検知部20と、検温部30と、消毒液噴射部40とが空間形成部10に設けられている、検温消毒装置1である。
【選択図】
図1