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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】噴出ノズル管用挿嵌具
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/30 20060101AFI20220207BHJP
   B65D 83/14 20060101ALI20220207BHJP
   B05B 9/04 20060101ALN20220207BHJP
【FI】
B05B1/30
B65D83/14 220
B05B9/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021086699
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2021-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306032648
【氏名又は名称】小川 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 修
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-175344(JP,A)
【文献】米国特許第05830334(US,A)
【文献】実開昭54-182927(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18
5/00- 5/16
7/00- 9/08
12/00-12/14
13/00-13/06
B05D 1/00- 7/26
B65D83/00
83/08-83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出ノズル管における流体の噴出量を調整可能な挿嵌具であって、
噴出ノズル管の先端から管路に挿嵌可能な所要長さ及び径幅を有する棒状のコア材と、該コア材の一端に備えられ少なくとも管路の内径より大径に成形されたヘッド部と、で構成され、
コア材における外周面の少なくとも一部が噴出ノズル管における管路の内周面に当接すると共に、コア材の端面視形状が円形であって該コア材の外周面に凹溝若しくは突片から成る流路が成形されて成り、
コア材の挿嵌長さにより噴出ノズル管の先端とヘッド部との間隔を変えることで、流体の噴出量が調整可能であることを特徴とする噴出ノズル管用挿嵌具。
【請求項2】
前記ヘッド部における噴出ノズル管の先端との当接面に、一乃至複数の凹溝若しくは突片から成る間隙が放射状に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の噴出ノズル管用挿嵌具。
【請求項3】
前記ヘッド部における噴出ノズル管の先端との当接面に、前方へ拡開する傾斜状の切欠部が成形されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噴出ノズル管用挿嵌具。
【請求項4】
前記コア材における外周面所定箇所に、抜止め加工が施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の噴出ノズル管用挿嵌具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が流れる中空流路を有した噴出ノズル管の先端に装備され、噴出量を可変し得る挿嵌具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプレー・エアゾールといったものの構造において、スプレー缶・エアゾール缶には内容物のほか該内容物を噴出するためのLPG・ブタン等液化ガスや窒素・炭酸・空気等のガスが封入され、缶の上方に設けられた噴出ノズルや、あるいは、該噴出ノズルに更にノズル管を取り付けて該ノズル管の先端部に設けた開口を噴出口として、缶内の内容物が噴出される構造となっている。
【0003】
スプレー缶・エアゾール缶において内容物を噴出する場合、内容物とガスとが分離した状態で交互に噴出されるため、結果として断続的に内容物が噴出されることとなって安定した噴出が行われない、といった問題があった。また、内容物の噴出量について、初めのうちは強い圧力で噴出されるが、時間の経過によるガス圧の低下とともに急激に噴出が弱まることとなり、その結果、噴出初期と終末期とで噴出量が一定しない、という問題もあった。
【0004】
そこで本出願人は、流路管内の流体(液体と気体)が確実に撹拌され満遍なく均一に混合される技術を開発し、特許第5924655号公報(特許文献1)に記載の技術提案を行っている。かかる技術提案によれば、流路管の管路に連続気孔構造を有する多孔質材を挿嵌し配設することにより、管路を流れる流体(液体と気体)が確実に撹拌され満遍なく均一に混合され、且つ、多孔質材のフィルター効果によって異物の流出を防止することができ、さらには、多孔質材の長さと細孔と気孔率(空孔率)により流量を調整することができる、といった優れた効果を奏するものであった。
【0005】
しかしながら、特許文献1にかかる技術提案によれば、多孔質の挿嵌による効果は有用であるものの、材料とする硬質の多孔質材が高コストであり、また、コストの安い軟質の多孔質材を使用した場合、硬質のものに比べ挿嵌作業が困難であって、挿嵌状況によって所望の性能が発揮できない場合が見られる、といった新たな問題点が生じていた。そこで、噴出ノズル管において、より簡易的に噴出量の調節が可能な技術が求められるところであった。
【0006】
本出願人は、以上のような従来のスプレー缶やエアゾール缶において、流体(液体と気体)の噴出量調整が困難であるといった問題に着目し、より簡易的に噴出量を調整し得る噴出ノズル管を提供できないものかという着想のもと、噴出ノズル管の先端に装備することで、簡易に噴出量の調整が可能であって流体撹拌作用をも発揮し得る挿嵌具を開発し、本発明にかかる「噴出ノズル管用挿嵌具」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5924655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、噴出ノズル管の先端に装備され、簡易に噴出量の調整が可能な挿嵌具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、噴出ノズル管における流体の噴出量を調整可能な挿嵌具であって、噴出ノズル管の先端から管路に挿嵌可能な所要長さ及び径幅を有する棒状のコア材と、該コア材の一端に備えられ少なくとも管路の内径より大径に成形されたヘッド部と、で構成され、コア材の挿嵌長さにより噴出ノズル管の先端とヘッド部との間隔を変えることで、流体の噴出量が調整可能である手段を採る。
【0010】
また、本発明は、前記コア材における外周面の少なくとも一部が、噴出ノズル管における管路の内周面に当接する手段を採る。
【0012】
またさらに、本発明は、前記コア材の端面視形状が円形であって、該コア材の外周面に凹溝若しくは突片から成る流路が成形されている手段を採る。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記ヘッド部における噴出ノズル管の先端との当接面に、一乃至複数の凹溝若しくは突片から成る間隙が放射状に成形されている手段を採る。
【0014】
そしてまた、本発明は、前記ヘッド部における噴出ノズル管の先端との当接面に、前方へ拡開する傾斜状の切欠部が成形されている手段を採る。
【0015】
さらにまた、本発明は、前記コア材における外周面所定箇所に、抜止め加工が施されている手段を採る。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具によれば、コア材を管路へ挿嵌するのみで噴出ノズル管の先端に簡単に装着でき、かかるコア材の挿嵌長さに応じて該噴出ノズル管の先端とヘッド部との間隔が可変され、所望する流体(液体と気体)の噴出量に調整することが可能である、といった優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具によれば、コア材の外周面の少なくとも一部が管路の内周面に当接することにより、挿嵌具が噴出ノズル管に確実に固定され、接触していない僅かな隙間が流体の流路として機能することで、該隙間を通過する際に流体が撹拌されて均一に混合され、安定した内容物の噴出に資する、といった優れた効果を奏する。
【0019】
またさらに、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具によれば、コア材の外周面に流路が成形されることで、コア材の外周面と管路の内周面との間に隙間がない場合でも、流体の流路を確保することができると共に、コア材の挿嵌長さよりも長い狭窄流路を形成することも可能となり、確実な流体噴出に資すると共に、流体圧力の均一化及び流体の均一撹拌・混合に資する、といった優れた効果を奏する。
【0020】
さらにまた、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具によれば、ヘッド部における噴出ノズル管の先端との当接面に、一乃至複数の凹溝若しくは突片から成る間隙が放射状に成形されることによって、ヘッド部と噴出ノズル管の先端とを完全に当接させた際にも該間隙による噴出口が形成され、確実な噴出を実現すると共に、間隙の形態により噴出方向や噴出口数、噴出幅を任意に設定することが可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0021】
そしてまた、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具によれば、ヘッド部における噴出ノズル管の先端との当接面に、前方へ拡開した傾斜状の切欠部が成形されることで、噴出ノズル管における流体の進行方向に対し略垂直方向への噴出だけでなく、斜め前方への流体噴出が可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0022】
さらにまた、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具によれば、コア材における外周面所定箇所に抜止め加工が施されることで、挿嵌されたコア材の流体圧力による管路からの抜落を確実に防止し、安定した流体噴出に資する、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図である。
図2】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図である。
図3】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図である。
図4】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図である。
図5】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図である。
図6】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図である。
図7】本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の使用態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1は、噴出ノズル管2の先端に装備されるものであって、コア材10の挿嵌長さにより噴出ノズル管2の先端とヘッド部20との間隔を変えることで、流体Rの噴出量を自由に可変し得ることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
尚、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1は、以下に述べる実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、材質等の範囲内で適宜変更することができる。
【0026】
図1乃至図6は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態を示す説明図であり、図7は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の使用態様を示す説明図である。詳しくは、図1は噴出ノズル管用挿嵌具の基本形態を示す斜視図、図2はコア材の端面視形状を示す説明図である。また図3は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態であって、(a)はコア材の外周面に凹溝を成形した場合の実施例、(b)はコア材の外周面に突片を成形した場合の実施例を示している。さらに図4は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態であって、コア材の外周面に抜止め加工が施された場合の実施例を示している。また図5は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態であって、(a)はヘッド部に凹溝を成形した場合の実施例、(b)はヘッド部に突片を成形した場合の実施例を示している。図6は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の実施形態であって、ヘッド部に切欠部が成形された場合の実施例を示している。そして図7は、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具の使用態様であって、(a)は基本形態の噴出ノズル管用挿嵌具の使用態様、(b)はヘッド部に切欠部が成形された場合の使用態様を示している。
本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1は、噴出ノズル管2の先端に装備されるものであって、コア材10とヘッド部20とで構成されている。
【0027】
噴出ノズル管2は、長手方向に貫通した管路3を備え、基端がスプレー缶やエアゾール缶の上端に備えられるバルブ体に接続され、且つ、先端が噴出口として機能するもので、スプレー缶やエアゾール缶の内容物を管路3を介して先端より噴出するための流路管である。
噴出ノズル管2の素材については、金属製や合成樹脂製など特に限定するものではなく、種々素材のものを採用することが可能であって、例えばLDPE(低密度ポリエチレン、HDPE(高密度ポリエチレン)、フッ素樹脂、ポリアミド系合成繊維、ポリプロピレン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等により製造されている。
【0028】
噴出ノズル管用挿嵌具1(以下、単に「挿嵌具」という場合がある。)は、噴出ノズル管2の先端に装備されるものであって、該噴出ノズル管2の管路3に挿嵌されるコア材10と、コア材10の一端に備えられ噴出ノズル管2の先端に当接し得るヘッド部20とから構成されている。
挿嵌具1の素材については、特に限定するものではないが、金属や合成樹脂といった加工の容易な素材から成る態様が好ましい。例えば合成樹脂製とすることにより、熱した電熱線を接触させることで、該電熱線の径のスリットをコア材10の外周面に容易に成形出来るなど、加工容易性の向上に資することとなる。
ところで、挿嵌具1の素材について、コア材10とヘッド部20とを同素材で成形する態様のほか、別々の素材で成形する態様も考え得る。また、コア材10とヘッド部20とを同素材による一体成型品とする態様のほか、同素材若しくは別素材により夫々別体で成形し、接着や融着等の任意の接合手段で一体化する態様も可能である。
【0029】
コア材10は、噴出ノズル管2の管路3に挿嵌可能な所定長さ及び所要径幅を有する棒状体である。かかるコア材10が噴出ノズル管2の先端から管路3に挿嵌されることで、コア材10の外周面と管路3の内周面との間の僅かな隙間が流体Rの流路11として機能することとなる。コア材10の長さについては、特に限定するものではないが、かかるコア材10の長さによって流路11の長さが決定され、かかる流路11の長さはそこを流れる流体Rの撹拌・均一混合作用に影響を及ぼすもので、例えば管路3の内径に対し3~10倍の長さを有して成形される。コア材10の径幅については、噴出ノズル管2の管路3に挿嵌可能な径幅であって、しかもコア材10の外周面の少なくとも一部が管路3の内周面に当接し、流体Rの圧力を受けても挿嵌状態のまま管路3から抜け落ちることのない径幅であることを要し、すなわち管路3の内径と略同一若しくは若干縮径した径幅となっている。
【0030】
棒状を成すコア材10の端面視形状は、図2に示す円形で成形されている。
【0031】
コア材10の端面視形状が円形であるため、径幅によっては該コア材10の外周面と管路3の内周面とが完全に密着して隙間が生じず、故に流路11が形成され流体Rが流れない場合も想定される。そこで、図3に示すように、コア材10の外周面に、予め流路11を成形する態様が考え得る。かかる流路11は、例えば図3(a)に示すようなコア材10の外周面に凹溝12を形成するか、あるいは、図3(b)に示すような外周面から突出した突片13を形成することにより成形される。かかる流路11の形態については、直線状のほか曲線状や螺旋状、屈曲状など種々の形態が考え得る。
尚、かかる流路11の形態として、直線状以外の形態を採用した場合、コア材10の挿嵌長さよりも長い流路11が形成されることとなり、すなわちコア材10を短くしても所望長さの流路11を確保することが可能となって、材料コストの削減に資するほか、流体圧力の均一化及び流体Rの均一撹拌・混合に資することとなる。
【0032】
コア材10において、挿嵌されたコア材10の管路3からの抜落を防止するため、外周面所定箇所に抜止め加工14を施す態様も好適である。該抜止め加工14の具体的構造については特に限定はなく、例えばコア材10の外周面に摩擦係数の高いヤスリ状の凹凸加工が施されている態様や、図4に示すような噴出ノズル管2の先端方向への進行を困難にする一乃至複数のカエシ部を形成する態様などが考え得る。これにより、高い流体圧力を受けた際にも、コア材10の管路3からの抜落を確実に防止することが可能であって、安定した流体噴出に資することとなる。
【0033】
ヘッド部20は、コア材10の一端に備えられるもので、図示のように所定厚みを有する略円形若しくは多角形の板状体から成り、少なくとも管路3の内径より大径に成形されている。すなわち、コア材10が管路3に挿嵌された際にも、ヘッド部20は管路3内に進入することなく、噴出ノズル管2の先端外部で留まる構造となっている。かかるヘッド部20が噴出ノズル管2の先端外部に留まることで、噴出ノズル管2の先端とヘッド部20との隙間空間が噴出口として機能し、管路3を流れてきた流体Rが噴出ノズル管2の先端から前方へ噴出された際、ヘッド部20に突き当たって周方向へ向きを変えて噴出されることとなる(図7(a)参照)。また、コア材10の挿嵌長さに応じて噴出ノズル管2の先端とヘッド部20との間隔が可変されることとなり、かかる間隔が流体Rの噴出量の調整機能として作用することとなる。かかるヘッド部20の径幅については、管路3の内径より大径である以外に特に限定はないが、管路3の内径と略同一若しくは若干縮径した径幅となっている。
【0034】
ところで、コア材10の挿嵌に際し、ヘッド部20を噴出ノズル管2の先端へ完全に当接させた場合に、噴出ノズル管2の先端とヘッド部20とが完全に密着して隙間が生じず、噴出口として機能しないことも想定される。そこで、図5に示すように、ヘッド部20における噴出ノズル管2の先端との当接面に、予め間隙21を成形する態様が考え得る。かかる間隙21は、例えば図5(a)に示すようなヘッド部20における噴出ノズル管2の先端との当接面に凹溝22を形成するか、あるいは、図5(b)に示すような該当接面から突出した突片23を形成することにより成形される。かかる間隙21の形態については、周方向への流体噴出に鑑み、放射状であって直線状や曲線状の形態が考え得る。また、成形される間隙21の数や向き、幅については、噴出方向や噴出量などを考慮し、必要に応じて、一乃至複数の間隙21が、任意の方向へ、所要幅を有して成形されるもので、特に限定されるものではない。
【0035】
ヘッド部20の形態について、図6に示すように、噴出ノズル管2の先端との当接面に、前方へ拡開する傾斜状の切欠部24を成形する態様も考え得る。かかる態様を採用することで、噴出ノズル管2における流体Rの進行方向に対し略垂直方向への噴出だけでなく、切欠部24を介して斜め前方への流体噴出も可能となる(図7(b)参照)。ヘッド部20における切欠部24を成形する箇所については、噴出ノズル管2の先端との当接面であって、その全体を周回的に傾斜させてホーン状の切欠部24とする態様のほか、一乃至複数箇所を部分的に傾斜させる態様も可能である。
【0036】
以上の各構成要素により、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1は構成されている。本発明にかかる挿嵌具1は、スプレー缶やエアゾール缶に接続された噴出ノズル管2の先端から管路3へコア材10を挿嵌する、といった簡単な作業により装着が可能である。そして、かかる装着に際し、噴出ノズル管2の先端とヘッド部20との間隔を調整することで、流体Rの噴出量を調整することが可能となる。
【0037】
本発明にかかる挿嵌具1を装着した噴出ノズル管2による使用態様について、以下に説明する。
流体R(内容物及びガス)が充填されたスプレー缶やエアゾール缶を作動させると、流体Rは内容物とガスとが分離した状態で交互に噴出され、接続された噴出ノズル管2の管路3を同様に分離した状態で進行し、噴出ノズル管2の先端に装備された挿嵌具1に到達する。
挿嵌具1に到達した流体Rは、コア材10の外周面と管路3の内周面との隙間で形成された流路11へ流入しつつ、更に進行する。このとき、管路3より狭窄された流路11により、分離した状態の内容物とガスとが撹拌されて均一に混合されることとなる。
流路11を通過した流体Rは、噴出ノズル管2の先端から前方へ噴出される。
前方へ噴出された流体Rは、図7に示すように、噴出ノズル管2の先端外部に存するヘッド部20に突き当たって前方から周方向へ向きを変え、該噴出ノズル管2の先端とヘッド部20と隙間から噴出されることとなる。
【0038】
以上、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1の基本的構成態様、及び、作用について説明したが、本発明は、上記実施形態や図面に示す構成態様に限定するものではない。例えば、コア材10の形状について、ヘッド部20側から挿嵌側に向け徐々に縮径する略円錐状とする態様なども可能である。
【0039】
以上のとおり、本発明にかかる噴出ノズル管用挿嵌具1によれば、噴出ノズル管2の先端に簡単に装着でき、スプレー缶やエアゾール缶から噴出ノズル管2へ流入した流体Rがコア材10と管路3との隙間で形成された流路11を経由することで、流体Rの撹拌及び混合が行われて安定した内容物の噴出が成され、コア材10の挿嵌長さに応じて該噴出ノズル管2の先端とヘッド部20との間隔が可変され、所望する流体Rの噴出量へと容易に調整が可能である、
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、スプレー缶やエアゾール缶に接続される噴出ノズル管だけでなく、あらゆるノズル管の先端へ装着することが可能である。したがって、本発明にかかる「噴出ノズル管用挿嵌具」の産業上の利用可能性は大であると思料する。
【符号の説明】
【0041】
1 噴出ノズル管用挿嵌具(挿嵌具)
2 噴出ノズル管
3 管路
10 コア材
11 流路
12 凹溝
13 突片
14 抜止め加工
20 ヘッド部
21 間隙
22 凹溝
23 突片
24 切欠部
R 流体
【要約】
【課題】噴出ノズル管の先端に装着され、簡易に噴出量の調整が可能な挿嵌具を提供する。
【解決手段】噴出ノズル管における流体の噴出量を調整可能な挿嵌具であって、噴出ノズル管の先端から管路に挿嵌可能な所要長さ及び径幅を有する棒状のコア材と、該コア材の一端に備えられ少なくとも管路の内径より大径に成形されたヘッド部と、で構成され、コア材の挿嵌長さにより噴出ノズル管の先端とヘッド部との間隔を変えることで、流体の噴出量が調整可能な手段を採る。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7