(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】シチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチド組成物及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
C07H 19/067 20060101AFI20220118BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220118BHJP
C07H 19/073 20060101ALI20220118BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20220118BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220118BHJP
【FI】
C07H19/067 CSP
A61K31/7088
C07H19/073
C12N15/115
C12Q1/68
(21)【出願番号】P 2016533204
(86)(22)【出願日】2014-11-19
(86)【国際出願番号】 US2014066328
(87)【国際公開番号】W WO2015077292
(87)【国際公開日】2015-05-28
【審査請求日】2017-11-15
【審判番号】
【審判請求日】2020-02-12
(32)【優先日】2013-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510016254
【氏名又は名称】ソマロジック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ローロフ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャニック,ネボイサ
(72)【発明者】
【氏名】ガワンデ,バーラト・ナトゥ
【合議体】
【審判長】瀬良 聡機
【審判官】村上 騎見高
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/129494(WO,A1)
【文献】特表2013-523887(JP,A)
【文献】特表平11-506107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H1/00-99/00
CAPlus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
に示される構造を含む化合物:
式中、
R-R
X1
は、ベンジル、1-ナフチルメチル、または3-フェニルプロピルであり、
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2CH
2OCH
3及び-アジドから成る群から独立して選択され;
R’は-H、-Ac;-Bz;-P(NiPr
2)(OCH
2CH
2CN);及び-SiMe
2tBuから成る群から独立して選択され;
R’’は水素、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)及びトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)
2)またはそれらの塩から成る群から独立して選択される;
及びそれらの塩
。
【請求項2】
Xが-H、-OH、-OMe及び-Fから成る群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R’が-H、-Ac及び-P(NiPr
2)(OCH
2CH
2CN)から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R’’がトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)
2)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載の化合物を含む核酸分子。
【請求項6】
式II:
【化2】
に示される構造を含む化合物であって、
式中、Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2
CH
2
OCH
3
及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物。
【請求項7】
式IV:
【化3】
に示される構造を含む化合物であって、
式中、Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2
CH
2
OCH
3
及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物。
【請求項8】
式V:
【化4】
に示される構造を含む化合物であって、
式中、Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2
CH
2
OCH
3
及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物。
【請求項9】
請求項
6から
8のいずれかに記載の化合物を含む核酸分子。
【請求項10】
請求項1記載の式Iを有する化合物の製造方法であって、
前記方法は、式IX
【化17】
〔式中、
R
X6がヨードまたは臭素基であり;
R
X7及びR
X8は独立して、それぞれの存在について、水素または保護基であり;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2CH
2OCH
3及び-アジドから成る群から独立して選択される〕を有する化合物を提供すること;及び
R
X1-R-NH
2、一酸化炭素及び溶媒の存在下でのパラジウム(0)触媒反応により式IXを有する前記化合物を変換させること;及び
式Iを有する前記化合物を単離することを含む、前記方法。
【請求項11】
前記保護基がトリフェニルメチル、p-アニシルジフェニルメチル、ジ-p-アニシルジフェニルメチル、p-ジメトキシトリチルトリチル、ホルミル、t-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2-クロロベンジルオキシカルボニル、4-クロロベンゾイルオキシカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニル、フルフリルカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2-フェニルプロピル-(2)-オキシカルボニル、2-(4-ビフェニル)プロピル-(2)-オキシカルボニル、2-ニトロフェニルスルフェニル及びジフェニルホスフィニルから成る群から選択される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
R
X6がヨード基である、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
R
X7及びR
X8が水素である、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記パラジウム(0)触媒反応が0.1及び2気圧の間の一酸化炭素気圧で行われる、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びプロピレンカーボネートから成る群から選択される、請求項
10に記載の方法。
【請求項16】
式IA:
【化28】
を有する化合物であって、
式中、
R-R
X1
は、ベンジル、1-ナフチルメチル、または3-フェニルプロピルであり;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2CH
2OCH
3及び-アジドから成る群から独立して選択される、前記化合物;及びそれらの塩
を含む核酸分子の製造方法であって;
複数のヌクレオチド及び式IAを有する少なくとも1つの化合物を有する核酸分子を合成することを含む、前記方法。
【請求項17】
標的分子についての結合親和性を有する核酸アプタマーの選択方法であって:
(a)標的と候補混合物を接触させること、
ここで前記候補混合物は修飾核酸アプタマーを含み、前記候補混合物の核酸アプタマーの少なくとも1つ、または各々における1つの、いくつかの、または全てのピリミジンが請求項1から
4および
6から
8のいずれかに記載の化合物を含み、ここで前記標的分子についての結合親和性を有する核酸アプタマーは核酸アプタマー標的分子複合体を形成する;
(b)前記候補混合物から前記核酸アプタマー標的分子複合体を分割すること;
(c)前記核酸アプタマー標的分子複合体を分離し、遊離核酸アプタマーを生成すること;
(d)前記候補混合物中の他の核酸に比べて前記標的分子からの増加した分離半減期を有する核酸アプタマーを産生するために、前記遊離核酸アプタマーを増幅すること;
(e)1つの、いくつかの、または全てのピリミジンが請求項1から
4および
6から
8のいずれかに記載の化合物を含み、そこで前記核酸アプタマーが前記標的分子についての結合親和性を有する、少なくとも1つの核酸アプタマーを同定すること
を含む、前記方法。
【請求項18】
工程a)からd)を、前記標的分子に結合可能で前記標的分子に結合する時に遅いオフ速度を有する核酸配列に富む核酸アプタマーの前記混合物を用いて繰り返し、前記標的分子に結合可能で前記標的分子に結合する時に遅いオフ速度を有する核酸配列をさらに富化させる、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記核酸アプタマーの解離速度が約2分から約360分である、請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
前記核酸アプタマーの解離速度が約2分以上である、請求項
17に記載の方法。
【請求項21】
前記標的分子がタンパク質またはペプチドである、請求項
17に記載の方法。
【請求項22】
前記標的分子がPSCK9タンパク質、PSMAタンパク質、ERBB2タンパク質及びERBB3タンパク質から成る群から選択される、請求項
17に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの核酸アプタマーが前記標的分子に100nM未満、または約0.1nMから約100nmの平衡結合定数(K
d)で結合することが出来る請求項
17に記載の方法。
【請求項24】
遅いオフ速度の富化過程に前記候補混合物を曝すことをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項25】
前記遅いオフ速度の富化過程が工程(b)に先立ち行われる、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記遅いオフ速度の富化過程が競争剤分子の追加、希釈工程、希釈工程が後続する競争剤分子の追加の組み合わせ、競争剤分子の追加が後続する希釈工程の組み合わせ、及び同時の競争剤分子の追加及び希釈工程の組み合わせから成る群から選択される、請求項
24に記載の方法。
【請求項27】
前記競争剤分子がポリアニオンである、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記競争剤分子がオリゴヌクレオチド、dNTPs、ヘパリン及びデキストラン硫酸から成る群から選択される、請求項
26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許法第119条(e)の定めにより、その全体が本明細書に参照として組み込まれる2013年11月21日に出願された米国仮特許出願第61/907,274号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は概して核酸化学の分野に関し、具体的には5位修飾シトシン及びそのホスホルアミダイトならびにトリホスフェート誘導体に関する。本開示はまたそれらの製造法及び使用法にも関する。本開示はオリゴヌクレオチドまたはアプタマーの一部としての修飾ヌクレオシドの使用を含む。
【0003】
その全体が参照として本明細書に組み込まれるのは、2014年10月2日に作成した「Sequences 0057.65PCT_ST25」という名称の配列表であり、2キロバイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
修飾ヌクレオシドは、治療剤、診断剤として、及びオリゴヌクレオチドへのそれらの特性(例えば、安定性)を改善するための組込みのために使用されている。
SELEX(試験管内進化法)は選択的に標的分子に結合するオリゴヌクレオチド(「アプタマー」と称する)の同定方法である。SELEX過程は米国特許第5,270,163号に記載されており、その内容はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。SELEX法は結合親和性及び選択性の事実上どのような所望の基準も達成するオリゴヌクレオチドのランダム混合物からのオリゴヌクレオチドの選択及び同定を含む。SELEX過程の過程で同定されたオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドの特定のタイプを導入することにより、ヌクレアーゼ安定性、正味電荷、親水性または親油性は三次元構造及びオリゴヌクレオチドの標的結合機能における違いを提供するように変更されてもよい。従って、異なる修飾ヌクレオシドは、SELEXの過程で選択されたオリゴヌクレオチドの所望の特性を「調整」する能力を提供する。
【0005】
5位にN-置換-カルボキサミド基を有する修飾デオキシウリジンヌクレオチドは、タンパク質結合アプタマーのin vitro選択の向上(SELEX過程)(例えば、Gold et al., 2010;Hollenstein, 2012;及びImaizumi et al., 2013を参照されたい)及び選択されたアプタマーの結合及び薬物動態特性のSELEX後の最適化(例えば、Davies, et al., 2012;Lee et al., 2010;Kerr et al., 2000;及びGaballah et al., 2002を参照されたい)に有益なツールであると証明されている。ウリジン-5-カルボキサミドの一般合成はMatsuda及び共同研究者により元来報告された一般的な活性化エステル中間体、5-(2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニル)-2’-デオキシウリジン(1)に依存していた(例えば、Nomura et al., 1997を参照されたい)。様々な第1級アミン(1.2当量、60°C、4時間)を伴う本活性化エステルの処置により対応する5-(N-置換-カルボキサミド)が得られる。Matsudaはまたシチジンシリーズの類似活性化エステルN-アセチル-5-(2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニル)-2’-デオキシシチジン(例えば、Nomura et al., 1996を参照されたい)も開示した。しかしながら、本中間体はN-アセチル保護基の易変性及びN-アセチル-5-ヨード-シチジン合成前駆体の不安定性により、シチジン-5-カルボキサミドの合成にはそれほど実用的に有益ではなかった。
【0006】
オリゴヌクレオチド標的結合剤を改善するための代替の組成物、及びこのような組成物を合成するためのさらなる方法に対する必要性が引き続き存在する。本開示は新規シチジン-5-カルボキサミド修飾組成物を提供することにより、そのような必要性を満たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は5位修飾シトシン及びそのホスホルアミダイトならびにトリホスフェート誘導体、及びそれらの製造法及び使用法を説明する。
1態様において、本開示は式I(Formula I):
【0008】
【0009】
に示される構造を含む化合物であって、
式中、
Rは独立して-(CH2)n-であり、式中、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9 または10から選択される整数であり;
RX1は独立して
【0010】
【0011】
【0012】
から成る群から選択され:
式中、
【0013】
【0014】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
RX4は置換または非置換の分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);水酸基;ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトリル(CN);ボロン酸(BO2H2);カルボン酸(COOH);カルボン酸エステル(COORX2);第1級アミド(CONH2);第2級アミド(CONHRX2);第3級アミド(CONRX2RX3);スルホンアミド(SO2NH2);N-アルキルスルホンアミド(SONHRX2)から成る群から独立して選択され;
RX2及びRX3が独立して、それぞれの存在について、置換または非置換の分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);フェニル(C6H5);式中RX4は上記で定義した通りである、RX4で置換したフェニル環(RX4C6H4);カルボン酸(COOH);式中RX5は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20)である、カルボン酸エステル(COORX5);及びシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、RX2及びRX3は一緒になって置換または非置換の5または6員環を形成し;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、-NH2及び-アジドから成る群から独立して選択され;
R’は-H、-OAc;-OBz;-P(NiPr2)(OCH2CH2CN);及び-OSiMe2tBuから成る群から独立して選択され;
R’’は水素、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)及びトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)2)またはそれらの塩から成る群から独立して選択され;
Zは-H、置換または非置換の分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C4);及びそれらの塩から成る群から独立して選択され;
次の例外:
n=4である場合、RX1はHで有り得なく;
n=3である場合、RX1はCH3で有り得なく;
n=0である場合、RX1は-CH(CH3)2で有り得なく;及び
n=2である場合、及びRX1が
【0015】
【0016】
及びRX4がヒドロキシルである場合、RX1は
【0017】
【0018】
で有り得ない、を伴う、化合物を提供する。
関連の態様において、nは1、2または3から選択される整数である。
関連の態様において、RX1が:
【0019】
【0020】
から成る群から選択され、
式中
【0021】
【0022】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
Zは-H、置換または非置換の分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C4)から成る群から独立して選択される。
【0023】
関連の態様において、RX4は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C6);-OH;-F及びカルボン酸(COOH)から成る群から独立して選択される。
関連の態様において、Xが-H、-OH、-OMe及び-Fから成る群から独立して選択される。
【0024】
関連の態様において、R’が-H、-OAc及び-P(NiPr2)(OCH2CH2CN)から成る群から選択される。
関連の態様において、R’’はトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)2)である。
【0025】
別の態様において、本開示は式II(BndC)、III(PEdC)、IV(PPdC)、V(NapdC)、VI(2NapdC)、VII(NEdC)及びVIII(2NEdC):
【0026】
【0027】
【0028】
から成る群から選択される構造を含む化合物であって、
式中、
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、-NH2及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物を提供する。
【0029】
別の態様において、本開示は上記の化合物のいずれか1つを含む核酸分子を提供する。
関連の1態様において、核酸分子がRNA、DNA、またはそれらの組み合わせを含む。
【0030】
関連の1態様において、核酸分子が15から100ヌクレオチドの長さである。
関連の1態様において、核酸分子がアプタマーである。
関連の1態様において、核酸分子の少なくとも1つの追加のヌクレオチドは2’-アミノ(2’-NH2)、2’-フルオロ(2’-F)、2’-O-メチル(2’-OMe)、2’-O-エチル(2’-OEt)、2’-O-プロピル(2’-OPr)、2’-O-CH2CH2OCH3及びアジドを含むがこれらに限定されない2’位糖修飾から成る群から選択される化学修飾を含有する。
【0031】
別の態様において、本開示は式IA(Formula IA):
【0032】
【0033】
に示す構造を含む化合物であって、
式中、
Rは独立して-(CH2)n-であって、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される整数であって;
RX1は独立して
【0034】
【0035】
【0036】
から成る群から選択され、
式中、
【0037】
【0038】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
式中、
RX4は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);水酸基;ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトリル(CN);ボロン酸(BO2H2);カルボン酸(COOH);カルボン酸エステル(COORX2);第1級アミド(CONH2);第2級アミド(CONHRX2);第3級アミド(CONRX2RX3);スルホンアミド(SO2NH2);N-アルキルスルホンアミド(SONHRX2)から成る群から独立して選択され;
RX2及びRX3が独立して、それぞれの存在について、分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);フェニル(C6H5);式中RX4は上記で定義した通りである、RX4で置換したフェニル環(RX4C6H4);カルボン酸(COOH);式中RX5は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20)である、カルボン酸エステル(COORX5);及びシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、RX2及びRX3は一緒になって置換または非置換の5または6員環を形成し;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、NH2及び-アジドから成る群から独立して選択され;
Zは-H、置換または非置換C(1-4)アルキル;及びそれらの塩から成る群から独立して選択され;
次の例外:
n=4である場合、RX1はHで有り得なく;
n=3である場合、RX1はCH3で有り得なく;
n=0である場合、RX1は-CH(CH3)2で有り得なく;及び
n=2である場合、及びRX1が
【0039】
【0040】
及びRX4がヒドロキシルである場合、RX1は
【0041】
【0042】
で有り得ない、を伴う、化合物を含む核酸分子を提供する。
関連の1態様において、nは1、2、または3である。
関連の1態様において、RX1:
【0043】
【0044】
から成る群から選択され、
式中、
【0045】
【0046】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
Zは-H、置換または非置換のC(1-4)アルキルから成る群から独立して選択される。
【0047】
関連の1態様において、RX4は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C6);-OH;-F及びカルボン酸(COOH)から成る群から独立して選択される。
関連の1態様において、Xが-H、-OH、-OMe及び-Fから成る群から独立して選択される。
【0048】
関連の1態様において、R’が-H、-OAc及び-P(NiPr2)(OCH2CH2CN)から成る群から選択される。
関連の1態様において、R’’はトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)2)である。
【0049】
関連の1態様において、核酸分子がDNA、RNAまたはそれらの組み合わせを含む。
関連の1態様において、核酸分子が15から100ヌクレオチドの長さである。
関連の1態様において、核酸分子がアプタマーである。
【0050】
関連の1態様において、核酸分子の少なくとも1つの追加のヌクレオチドは2’-アミノ(2’-NH2)、2’-フルオロ(2’-F)、2’-O-メチル(2’-OMe)、2’-O-エチル(2’-OEt)、2’-O-プロピル(2’-OPr)、2’-O-CH2CH2OCH3及びアジドから成る群から独立して選択される2’位糖修飾から成る群から選択される化学修飾を含む。
【0051】
関連の1態様において、核酸分子は骨格修飾、3’キャップ、5’キャップ及びそれらの組み合わせから成る群から選択される修飾をさらに含む。
関連の1態様において、化合物は式IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA及びVIIIA:
【0052】
【0053】
から成る群から選択される構造を含み、
式中、
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、NH2及び-アジドから成る群から独立して選択される。
【0054】
別の態様において、本開示は式I(Formula I):
【0055】
【0056】
を有する化合物であって、
式中、
Rは独立して-(CH2)n-であって、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される整数であって;
RX1は独立して
【0057】
【0058】
【0059】
から成る群から選択され;
式中、
【0060】
【0061】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
式中、
RX4は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);水酸基;ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトリル(CN);ボロン酸(BO2H2);カルボン酸(COOH);カルボン酸エステル(COORX2);第1級アミド(CONH2);第2級アミド(CONHRX2);第3級アミド(CONRX2RX3);スルホンアミド(SO2NH2);N-アルキルスルホンアミド(SONHRX2)から成る群から独立して選択され、
RX2及びRX3が独立して、それぞれの存在について、分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);フェニル(C6H5);式中RX4は上記で定義した通りである、RX4で置換したフェニル環(RX4C6H4);カルボン酸(COOH);式中RX5は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20)である、カルボン酸エステル(COORX5);及びシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、RX2及びRX3は一緒になって置換または非置換の5または6員環を形成し;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、NH2及び-アジドから成る群から独立して選択され;
Zは-H、置換または非置換C(1-4)アルキルから成る群から独立して選択される、化合物の製造方法を提供し、
前記方法は式IX(Formula IX)
【0062】
【0063】
を有する化合物であって、
式中、
RX6がヨードまたは臭素基であり;
RX7及びRX8は独立して、それぞれの存在について、水素または保護基であり;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、NH2及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物を提供すること;及び
RX1-R-NH2、一酸化炭素及び溶媒の存在下でのパラジウム(0)触媒反応により式IXを有する化合物を変換させること;及び
式Iを有する化合物を単離することを含む。
【0064】
関連の1態様において、RX6がヨード基である。
関連の1態様において、RX7及びRX8は水素である。
関連の1態様において、Xが-H、-OMe及び-Fから成る群から選択される。
【0065】
関連の1態様において、nは1、2、または3である。
関連の1態様において、RX1が:
【0066】
【0067】
から成る群から選択され、
式中、
【0068】
【0069】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
Zは-H、置換または非置換C(1-4)アルキルから成る群から独立して選択される。
【0070】
関連の1態様において、RX4は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C6);-OH;-F及びカルボン酸(COOH)から成る群から独立して選択される。
関連の1態様において、R’が-H、-OAc及び-P(NiPr2)(OCH2CH2CN)から成る群から選択される。
【0071】
関連の1態様において、R’’は水素またはトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)2)である。
関連の1態様において、保護基がトリフェニルメチル、p-アニシルジフェニルメチル、ジ-p-アニシルジフェニルメチル、p-ジメトキシトリチルトリチル、ホルミル、t-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2-クロロベンジルオキシカルボニル、4-クロロベンゾイルオキシカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニル、フルフリルカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2-フェニルプロピル(2)-オキシカルボニル、2-(4-ビフェニル)プロピル(2)-オキシカルボニル、2-ニトロフェニルスルフェニル及びジフェニルホスフィニルから成る群から選択される。
【0072】
関連の1態様において、溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びプロピレンカーボネートから成る群から選択される。
【0073】
別の態様において、本開示は式II、III、IV、V、VI、VII及びVIII:
【0074】
【化27】
から成る群から選択される式を有する化合物であって、
式中、
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH
2CH
2OCH
3、NH
2及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物の製造方法を提供し、
該方法は、式IX(Formula IX)
【0075】
【0076】
を有する化合物であって、
式中、
RX6がヨードまたは臭素基であり;
RX7及びRX8は独立して、それぞれの存在について、水素または保護基であり;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物を提供すること;及び
RX1-R-NH2、一酸化炭素及び溶媒の存在下でのパラジウム(0)触媒反応により式IXを有する化合物を変換させること;及び
式II、III、及びIVを有する化合物を単離することを含む。
【0077】
関連の1態様において、RX6はヨード基である。
関連の1態様において、RX7及びRX8は水素である。
関連の1態様において、Xは-H、-OMe及び-Fから成る群から選択される。
【0078】
関連の1態様において、保護基;ハトリフェニルメチル、p-アニシルジフェニルメチル、ジ-p-アニシルジフェニルメチル、p-ジメトキシトリチルトリチル、ホルミル、t-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2-クロロベンジルオキシカルボニル、4-クロロベンゾイルオキシカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニル、フルフリルカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2-フェニルプロピル(2)-オキシカルボニル、2-(4-ビフェニル)プロピル(2)-オキシカルボニル、2-ニトロフェニルスルフェニル及びジフェニルホスフィニルから成る群から選択される。
【0079】
関連の1態様において、溶媒はジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びプロピレンカーボネートから成る群から選択される。
【0080】
本開示は、標的分子についての結合親和性を有する核酸アプタマーの選択方法であって:(a)標的と候補混合物を接触させることであって、ここで少なくとも1つの、または各々の、候補混合物の核酸アプタマーにおける1つの、いくつかの、または全てのピリミジンにおける修飾核酸アプタマーを含有する候補混合物が本明細書に記載の化合物(5位修飾シトシン)を含有し、ここで標的分子についての結合親和性を有する核酸アプタマーは核酸アプタマー標的分子複合体を形成する、接触させること;(b)候補混合物から核酸アプタマー標的分子複合体を分割すること;(c)核酸アプタマー標的分子複合体を分離し、遊離核酸アプタマーを生成すること;(d)候補混合物中の他の核酸に比べて標的分子からの増加した分離半減期を有する核酸アプタマーを産生するために、遊離核酸アプタマーを増幅すること;(e)核酸アプタマーが標的分子についての結合親和性を有する少なくとも1つの核酸アプタマーを同定すること、を含む該方法を提供する。
【0081】
別の態様において、工程a)からd)を標的分子に結合可能な核酸配列に富む核酸アプタマーの混合物と繰り返し、標的分子に結合可能な核酸配列にさらに富むために、標的分子に結合する時に遅いオフ速度を有し、標的分子に結合する時に遅いオフ速度を有する。
【0082】
別の態様において、遅いオフ速度の核酸アプタマーの解離速度は約2分から約360分(または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330または360分)である。
【0083】
別の態様において、遅いオフ速度の核酸アプタマーの解離速度は約2分以上(または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330もしくは360分以上)である。
【0084】
別の態様において、標的分子はタンパク質またはペプチドである。
別の態様において、標的分子はPSCK9タンパク質、PSMAタンパク質、ERBB2タンパク質及びERBB3タンパク質から成る群から選択される。
【0085】
別の態様において、少なくとも1つの核酸アプタマーは標的分子に100nM未満、または約0.1nMから約100nm(または0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100nMから)の平衡結合定数(Kd)で結合することが出来る。
【0086】
別の態様において、本明細書に記載の方法は遅いオフ速度の富化過程に候補混合物を曝すことをさらに含む。
別の態様において、遅いオフ速度の富化過程が工程(b)に先立ち行われる。関連の1態様において、遅いオフ速度の富化過程が競争剤分子の追加、希釈工程、希釈工程が後続する競争剤分子の追加の組み合わせ、競争剤分子の追加が後続する希釈工程の組み合わせ、及び同時の競争剤分子の追加及び希釈工程の組み合わせから成る群から選択される。
【0087】
さらに別の関連態様において、競争剤分子がポリアニオンである。別の態様において競争剤分子がオリゴヌクレオチド、dNTPs、ヘパリン及びデキストラン硫酸から成る群から選択される。
【0088】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して進める以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】
図1は実施例の材料及び方法の項に記載のDNTPで、プライマー伸長アッセイのポリアクリルアミドゲルの画像を示す。レーン1:dAdGdT(5%完全長);レーン2:dAdGdTdC(100%完全長);レーン3:dAdGdT+9a(119%完全長);レーン4:dAdGdT+9b(113%完全長);レーン5:dAdGdT+9c(120%完全長);レーン6:20/200DNAラダーである。この図を参照すると、全ての3つの修飾シチジントリホスフェートはこのアッセイの天然の非修飾2’-デオキシシチジンと同程度に少なくとも効率的に組み込まれていたことが分かる。
【発明を実施するための形態】
【0090】
詳細な説明
特に記載のない限り、技術用語は従来の用法に従い使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Oxford University Press、1994 (ISBN 0-19-854287-9)により出版されたBenjamin Lewin、Genes V; Blackwell Science Ltd.、1994 (ISBN 0-632-02182-9)により出版されたKendrew et al. (eds.)、The Encyclopedia of Molecular Biology;及びVCH Publishers、Inc.、1995 (ISBN 1-56081-569-8)により出版されたRobert A. Meyers (ed.)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Referenceにおいて見いだされ得る。
【0091】
特に説明のない限り、本明細書において用いられる全ての科学技術用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。単数の用語は、式中、
【0092】
【0093】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び式中
【0094】
【0095】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その」には、本文が明らかにそれ以外であることを示している場合を除き、複数形が含まれる。「AまたはBを含む」は、A、またはB、もしくはA及びBを含むことを意味する。さらに、核酸またはポリペプチドに与えられた全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、及び全ての分子重量または分子質量の値は、概算であり、説明のために提供されると理解される。
【0096】
さらに、本明細書に提供される範囲は範囲内の全ての値についての省略表現であると理解される。例えば、1から50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50から成る群から選択されるいかなる数、数の組み合わせ、もしくは副範囲を含むと理解されるべきである(文脈が明らかに別段に定める場合を除き、その分数も同様である)。別段の定めが無い限り、任意の濃度範囲、百分率範囲、比率の範囲、または整数の範囲は、記載の範囲内の任意の整数の値及び、適切な場合その分数(整数の1/10や1/100など)を含むものと理解される。また、別段の定めがない限り、ポリマーサブユニット、サイズ、厚さなどの任意の物理的特徴に関するいかなる数の範囲も、記載の範囲内のいかなる整数も含むものと理解される。本明細書において、別段の定めがない限り、「約(about)」または「本質的に~から成る(consisting essentially of)」は示す範囲、値、または構造の±20%を示す。本明細書において、「含む(include)」及び「含む(comprise)」という用語は、制限的でなく、同義的に用いられる。本明細書において、「1つの(a)」及び「1つの(an)」は列挙された構成要素の「1つ以上」を意味することと理解されるべきである。代替の使用(例えば、「または」)は、どちらか1つの、両方の、またはいかなる代替のそれらの組み合わせも含むものと理解されるべきである。
【0097】
本開示の実施または試験において本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び物質を使用できるが、好適な方法及び物質を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献はその全体が参照として組み込まれる。矛盾する場合には、用語の説明を含む本明細書が優先するであろう。加えて物質、方法、例は単に例示であり、限定の意図はない。
【0098】
本明細書において、「ヌクレオチド」という用語はリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、またはそれらの修飾形態、及びそれらの類似体を意味する。ヌクレオチドはプリン(例えば、アデニン、ヒポキサンチン、グアニン及びそれらの誘導体ならびに類似体)ならびにピリミジン(例えば、シトシン、ウラシル、チミン、及びそれらの誘導体ならびに類似体)を含む種を含む。
【0099】
本明細書において、「C-5修飾カルボキサミドシチジン」または「シチジン-5-カルボキサミド」という用語は、本明細書に例示する部分(RX1)を含むがこれに限定されないシチジンのC-5位の、カルボキシアミド(-C(O)NH-)修飾を有するシチジンを意味する。C-5修飾カルボキサミドシチジンの例は、5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「BndC」と称し、式(II)として以下に示す;5-(N-2-フェニルエチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「PEdC」と称し、式(III)として以下に示す;5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「PPdc」と称し、式(IV)として以下に示す;5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「NapdC」と称し、式(V)として以下に示す);5-(N-2-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「2NapdC」と称し、式(VI)として以下に示す;5-(N-1-ナフチル-2-エチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「NEdC」と称し、式(VII)として以下に示す;及び5-(N-2-ナフチル-2-エチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「2NEdC」と称し、式(VIII)として以下に示す:
【0100】
【0101】
を含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載のC-5修飾シチジンの化学修飾はまた、単独またはいずれかの組み合わせで、2’位糖修飾、環外アミンでの修飾、及び4-チオシチジンの置換などと合わせられ得る。
【0102】
塩
対応する化合物の塩、例えば、薬剤的に許容可能な塩の例を調製、精製、及び/または処理するのは便利または望ましいことで有り得る。薬剤的に許容可能な塩の例は、Berge et al. (1977) ’’Pharmaceutically Acceptable Salts’’ J. Pharm. Sci. 66:1-19で考察されている。
【0103】
例えば、化合物がアニオン性である、またはアニオン性で有り得る官能基(例えば、-COOHは-COO-で有り得る)を有する場合、塩は好適なカチオンで形成され得る。好適な無機カチオンの例はNa+及びK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類カチオン及びAl+3などのその他のカチオンを含むが、これらに限定されない。好適な有機カチオンの例は、アンモニウムイオン(つまり、NH4
+)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH3RX+、NH2RX
2
+、NHRX
3
+、NRX
4
+)を含むが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、ならびにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸、に由来するものである。一般的な第4級アンモニウムイオンの例はN(CH3)4
+である。
【0104】
化合物がカチオン性である、またはカチオン性で有り得る官能基(例えば、-NH2は-NH3
+で有り得る)を有する場合、塩は好適なアニオンで形成され得る。好適な無機アニオンの例は以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸に由来するものを含むが、これらに限定されない。
【0105】
好適な有機アニオンの例は、以下の有機酸:2-アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸に由来するものを含むが、これらに限定されない。好適な高分子有機アニオンの例は以下の重合体酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースに由来するものを含むが、これらに限定されない。
【0106】
別段の定めがない限り、特定の化合物への言及はその塩形態も含む。
オリゴヌクレオチドの調製
1態様において、本開示は、修飾オリゴヌクレオチドを調整するために、単独または他の修飾ヌクレオシド及び/もしくは天然ヌクレオシドと組み合わされる、本明細書に記載の修飾ヌクレオシドの使用法を提供する。合成オリゴデオキシヌクレオシドの自動合成は多くの研究室で通常の業務である(例えば、Matteucci、M. D.及びCaruthers、M. H.、(1990) J. Am. Chem. Soc.、103:3185-3191を参照されたい、その内容はその全体が参照として本明細書に組み込まれる)。オリゴリボヌクレオシドの合成もまたよく知られる(例えば、Scaringe、S. A.、et al.、(1990);Nucleic Acids Res. 18:5433-5441を参照されたい、その内容はその全体が参照として本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載されるように、ホスホルアミダイトは化学合成によりオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドを取り込むのに有用であり、トリホスフェートは酵素合成によりオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドを取り込むのに有用である(例えば、Vaught、J. D. et al. (2004) J. Am. Chem. Soc.、126:11231-11237; Vaught、J. V.、et al. (2010) J. Am. Chem. Soc. 132、4141-4151;Gait、M. J. ’’ Oligonucleotide Synthesis a practical approach’’ (1984) IRL Press (Oxford、UK); Herdewijn、P. ’’ Oligonucleotide Synthesis ’’ (2005)(Humana Press、Totowa、N.J.を参照されたい(各々その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
【0107】
本明細書において、「修飾する(modify)」「修飾された(modified)」、「修飾(modification)」、及びそれらのいかなる変形も、オリゴヌクレオチドに関して使用される場合、オリゴヌクレオチドの4つの構成ヌクレオチド塩基(つまり、A、G、T/U及びC)の少なくとも1つが天然ヌクレオチドの類似体またはエステルであることを意味する。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドはオリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を与える。追加の修飾は骨格修飾、メチル化、イソ塩基イソシチジン及びイソグアニジンなどの異常な塩基対の組み合わせなどを含み得る。修飾はまたキャッピングなどの3’及び5’修飾を含み得る。他の修飾は、類似体、例えば非荷電結合を有するもの(例えば、メチルホスホン酸、リン酸トリエステル、ホスホアミデート、カルバマート、など)及び荷電結合を有するもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、など)、インターカレーターを有するもの(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤を含有するもの(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属、など)、アルキル化剤を含有するもの、及び修飾結合を有するもの(例えば、アルファアノマー核酸、など)などとのヌクレオチド間の修飾を伴う1つ以上の天然ヌクレオチドの置換を含み得る。さらに、ヌクレオチド糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれかはホスホネート基またはリン酸基により置換されてもよく;標準的な保護基により保護されてもよく;または、追加のヌクレオチドまたは固体支持体に追加の結合を調製するように作動してもよい。5’及び3’末端OH基はリン酸化またはアミン、約1から約20の炭素原子の有機キャッピング基部分、約10から約80kDaの範囲の1実施形態におけるポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、約20から約60kDaの範囲の別の実施形態でのPEGポリマー、または他の親水性もしくは疎水性の生体もしくは合成ポリマーで置換されてもよい。
【0108】
また、ポリヌクレオチドは、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-O-エチル、2’-O-プロピル、2’-O-CH2CH2OCH3、2’-フルオロ、2’-NH2または2’-アジドを含む、当該技術分野で通常知られているリボース又はデオキシリボース糖の類似形態、炭酸環糖類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体及びメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含むこともできる。本明細書に記載するように、1つ以上のホスホジエステル連結を他の連結基で置換することができる。これらの他の連結基としては、RXまたはRX’は各々独立してHまたはエーテル(-O-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルキルを含んでいてもよい置換もしくは非置換アルキル(C1-C20)である、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)(O);NRX
2(「アミデート」)、P(O)RX、P(O)ORX’、COまたはCH2(’’ホルムアセタール’’)によってリン酸が置換される実施形態が挙げられる。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。糖類、プリン類及びピリミジン類の類似形態の置換は、例えば、ポリアミド骨格などの他の骨格構造の場合と同様に、最終製品を設計する上で有利とすることができる。
【0109】
ポリヌクレオチドはまた炭素環糖類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体及びメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体といった類似形態を含むこともできる。
【0110】
ヌクレオチド構造に対する修飾があるとすれば、ポリマーの構築前又は構築後に行うことができる。一連のヌクレオチドを非ヌクレオチド成分によって中断することができる。例えば、標識成分との結合によって、ポリヌクレオチドを重合後に更に修飾することができる。
【0111】
本明細書において交換可能に用いる「核酸」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのポリマーを意味し、その例としては、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、及びこの種の核酸、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの修飾体が挙げられるが、ヌクレオチドユニットへの任意位置での種々の構成要素や部分の付着も包含される。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「核酸」には二本鎖分子や一本鎖分子が含まれると共に、三重らせん分子も含まれる。核酸、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドはアプタマーという用語よりも広義の用語であるため、核酸、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドという用語には、アプタマーであるヌクレオチドポリマーが含まれるが、核酸、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドという用語はアプタマーに限定されない。
【0112】
ある特定の実施形態において、本開示は式I(Formula I):
【0113】
【0114】
を有する化合物であって、
式中、
Rは独立して-(CH2)n-であって、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される整数であって;
RX1は独立して
【0115】
【0116】
【0117】
から成る群から選択され、
式中、
【0118】
【0119】
はRX1基の-(CH2)n-基への結合点を示し;及び
式中、
RX4は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);水酸基;ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトリル(CN);ボロン酸(BO2H2);カルボン酸(COOH);カルボン酸エステル(COORX2);第1級アミド(CONH2);第2級アミド(CONHRX2);第3級アミド(CONRX2RX3);スルホンアミド(SO2NH2);N-アルキルスルホンアミド(SONHRX2)から成る群から独立して選択され、
RX2及びRX3が独立して、それぞれの存在について、分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20);フェニル(C6H5);式中RX4は上記で定義した通りである、RX4で置換したフェニル環(RX4C6H4);カルボン酸(COOH);式中RX5は分岐型または直鎖の低級アルキル(C1-C20)である、カルボン酸エステル(COORX5);及びシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、RX2およびRX3は一緒になって置換または非置換の5または6員環を形成し;
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、NH2及び-アジドから成る群から独立して選択され;
R’は-H、-OAc;-OBz;-P(NiPr2)(OCH2CH2CN);及び-OSiMe2tBuから成る群から独立して選択され;
R’’は水素、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)及びトリホスフェート(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)2)またはそれらの塩から成る群から独立して選択され;
Zは-H、置換または非置換C(1-4)アルキル;及びそれらの塩から成る群から独立して選択される、化合物を含む核酸分子の製造方法を提供し;該方法は複数のヌクレオチド及び式Iを有する少なくとも1つの化合物を有する核酸分子の合成を含む。
【0120】
ある特定の実施形態において、本開示は式II、III、IV、V、VI、VII及びVIII:
【0121】
【0122】
から成る群から選択される式を有する化合物であって、
式中、
Xは-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCH2CH2OCH3、-NH2及び-アジドから成る群から独立して選択される、化合物を含む核酸分子の製造方法を提供し;
該方法は複数のヌクレオチド及び式II、III及びIVから成る群から選択される式を有する少なくとも1つの化合物を有する核酸分子の合成を含む。
【0123】
本明細書において、核酸の修飾を説明する際に用いる「少なくとも1つのヌクレオチド」という用語は、核酸内の1種、数種又は全てのヌクレオチドを意味するが、これは、核酸内のA、C、T、G又はUのいずれか又は全てが修飾される場合もあり、修飾されない場合もあることを示す。
【0124】
他の態様において、本開示はアプタマー及びSOMAマー(本明細書に記載)を調製するための、本明細書に記載の修飾ヌクレオシドを単独でまたは他の修飾ヌクレオシド及び/または天然ヌクレオシドと組み合わせて使用する方法を提供する。特定の実施形態において、一般的なSELEXまたは下記に記載の改善されたSELEX過程を用いアプタマー及びSOMAマーを調製する。
【0125】
本明細書において、「核酸リガンド」、「アプタマー」、「SOMAマー」、及び「クローン」は交換可能に用い、標的分子に対して所望の作用を有する非天然の核酸を意味する。所望の作用としては、標的に結合させることや標的を触媒的に変化させること、標的又は標的の機能活性を修飾又は変化させるように標的と反応させること、標的に共有結合させること(自殺阻害剤と同様)、標的と別の分子との反応を促進することが挙げられるが、これらに限定されない。1実施形態において、該作用は標的分子に対する特定の結合親和性であり、このような標的分子は、ワトソン/クリック塩基対形成や三重らせん形成とは無関係のメカニズムによって核酸リガンドに結合するポリヌクレオチド以外の三次元化学構造であり、この場合、アプタマーは、標的分子によって結合される公知の生理学的機能を有する核酸ではない。所定の標的に対するアプタマーとしては、核酸の候補混合物から同定される核酸(即ち、アプタマーは標的のリガンドである)が挙げられるが、この同定は、(a)候補混合物を標的に接触させる(ここで、候補混合物中で標的に対する親和性が他の核酸に比べて高い核酸を候補混合物の残りから分離することができる)ことと、(b)親和性の高い核酸を候補混合物の残りから分離することと、(c)親和性の高い核酸を増幅してリガンド富化核酸混合物を得て、標的分子のアプタマーを同定することとを含む方法によって行う。親和性相互作用が程度の問題であることは認識されているが、本文脈においては、アプタマーのその標的に対する「特異的な結合親和性」とは、アプタマーが通常は、混合物や試料中の他の非標的成分に結合するのに比べて遥かに高い親和性で標的に結合することを意味する。「アプタマー」、「SOMAマー」または「核酸リガンド」は、特定のヌクレオチド配列を有する1種または各種の核酸分子のコピーの1セットである。アプタマーは任意の適切な数のヌクレオチドを含むことができる。「(複数形の」アプタマー」は1を超える該分子のセットを意味する。異なるアプタマーが有するヌクレオチドの数は同一でもよく、異なっていてもよい。アプタマーは、DNAやRNAであってもよく、一本鎖や二本鎖であってもよく、二本鎖領域又は三本鎖領域を含んでいてもよい。
【0126】
本明細書において、「SOMAマー」または遅いオフ速度の修飾アプタマーは、改善したオフ速度の特徴を有するアプタマーを意味する。SOMAマーを「改善したオフ速度でのアプタマーの生成方法」という名称の米国特許第7,947,447号に記載の通り、改善したSELEX法を用い生成してもよい。
【0127】
本明細書において、「タンパク質」は「ペプチド」、「ポリペプチド」、または「ペプチド断片」と同義的に使用される。「精製された」ポリペプチド、タンパク質、ペプチド、またはペプチド断片は、細胞物質や細胞、組織又はアミノ酸配列を得る無細胞源に由来する他の混入タンパク質を実質的に含まず、または、化学的前駆体や化学合成の際の他の化学品を実質的に含まない。
【0128】
SELEX法
本明細書において、「SELEX」及び「SELEX過程」という用語は交換可能に用い、通常は、(1)例えば、タンパク質と高親和性で結合する、標的分子と望ましく相互作用する核酸の選択と(2)選択した核酸の増幅との組み合わせを意味する。SELEX過程を用いて、特定の標的分子やバイオマーカーに対して高親和性を有するアプタマーを同定することができる。
【0129】
SELEXは通常、核酸の候補混合物を調製することと、候補混合物を所望の標的分子に結合させて親和性複合体を形成することと、親和性複合体を未結合の候補核酸から分離することと、核酸を親和性複合体から分離して単離することと、核酸を精製することと、特定のアプタマー配列を同定することとを含む。該過程には複数のラウンドを設けて選択したアプタマーの親和性を更に高めることができる。該過程にはその1以上の時点に増幅段階を設けることができる。例えば、「核酸リガンド」という名称の米国特許第5,475,096号を参照されたい。SELEX過程を用いて、標的と共有結合するアプタマー及び標的と非共有結合するアプタマーを作出することができる。例えば、「指数関数的富化による核酸リガンドの系統的進化:Chemi-SELEX」という名称の米国特許第5,705,337号を参照されたい。
【0130】
SELEX過程を用いて、アプタマーの特性の改善(例えば、インビボ安定性や送達特性の改善)をもたらす修飾ヌクレオチドを含む高親和性アプタマーを同定することができる。このような修飾の例としては、リボース及び/又はリン酸及び/又は塩基位置における化学的置換が挙げられる。修飾ヌクレオチドを含むSELEX過程同定アプタマーは「修飾ヌクレオチドを含む高親和性核酸リガンド」とうい名称の米国特許第5,660,985号に記載されており、該特許には、ピリミジンの5’位及び2’位で化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドが記載されている。米国特許第5,580,737号(上述参照)には、2’-アミノ(2’-NH2)、2’-フルオロ(2’-F)及び/又は2’-O-メチル(2’-OMe)で修飾された一以上のヌクレオチドを含む高特異性のアプタマーが記載されている。また、「SELEX及び光SELEX」という名称の米国特許出願第20090098549号も参照されたいが、該特許公開には、物理的及び化学的特性が高められた核酸ライブラリーとそのSELEX及び光SELEXにおける使用が記載されている。
【0131】
また、SELEXを用いて、所望のオフ速度特性を有するアプタマーを同定することもできる。「オフ速度が改善されたアプタマーを作出するための方法」という名称の米国特許第7,947,447号を参照されたいが、該特許公開には、標的分子に結合することが可能なアプタマーを作出するための改良SELEX法が記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。それぞれの標的分子からの解離速度が低いアプタマー及びフォトアプタマーを産出するための方法が記載されている。該方法は、候補混合物を標的分子に接触させることと、核酸-標的複合体を形成させることと、低オフ速度富化過程を行うこととを含み、高解離速度の核酸-標的複合体は解離して再編成しないが、低解離速度の複合体はそのまま残る。加えて、該方法は向上したオフ速度性能を有するアプタマーを生成するための、候補核酸混合物の製造における修飾ヌクレオシドの使用を含む(「SELEX及び光SELEX」という名称の米国特許第8,409,795号を参照されたい)(米国特許第7,855,054号及び米国特許出願公開第20070166740号もまた参照されたい。)。これらの出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
本明細書において「標的(Target)」または「標的分子(target molecule)」または「標的(target)」は核酸が好ましい態様で作用可能ないかなる化合物をも意味する。標的分子はタンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、ウイルス、病原体、有害物質、基質、代謝物質、遷移状態類似体、補因子、阻害剤、薬剤、染料、栄養素、増殖因子、細胞、組織、前述のいずれかの任意の部分または断片などで有り得、制限はない。実質的に、任意の化学または生物学的なエフェクターは好適な標的で有り得る。いかなるサイズの分子も標的とすることができる。また、標的を所定の方法で修飾して、標的と核酸との相互作用の可能性や強度を高めることもできる。また、標的には特定の化合物や分子の僅かな変化が含まれることもあり、例えば、タンパク質の場合には、アミノ酸配列やジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、また、標識成分との結合などのいずれかの他の操作や修飾における僅かな変化が挙げられるが、これらは実質的には分子の同一性を変えない。「標的分子」又は「標的」は、アプタマーに結合可能な分子又は多分子構造の1種または各種のコピーの1セットである。「(複数形の)標的分子」又は「(複数形の)標的」とは1つを超える該分子のセットを意味する。標的がペプチドである、SELEX過程の実施形態は「精製したタンパク質を伴わない改善SELEX過程」という名称の米国特許第6,376,190号に記載される。
【0133】
本明細書において、「競合剤分子」及び「競合剤」は、交換可能に用いられ、非標的分子と非特異的複合体を形成可能ないかなる分子も指す。この文脈において、非標的分子には、未結合アプタマーが含まれ、この場合、例えば、競合剤を用いて、アプタマーが別の非標的分子に非特異的に結合する(再結合する)のを阻害することも可能である(単数の)「競合剤分子」または「競合剤」は、分子の1種または各種のコピーのセットである。「(複数の)競合剤分子」または「(複数の)競合剤」は、分子のこうしたセットの1より多くを指す。競合剤分子には、限定されないが、オリゴヌクレオチド、ポリアニオン(例えば、ヘパリン、ニシン精子DNA、サケ精子DNA、tRNA、硫酸デキストラン、ポリデキストラン、脱塩基性ホスホジエステルポリマー、dNTP、及びピロリン酸)が含まれる。多様な態様において、1以上の競合剤の組み合わせを用いてもよい。
【0134】
本明細書において、「非特異的複合体」は、アプタマー及びその標的分子以外の2以上の分子間の非共有結合を指す。非特異的複合体は、分子クラス間の相互作用に相当する。非特異的複合体には、アプタマー及び非標的分子間、競合剤及び非標的分子間、競合剤及び標的分子間、ならびに標的分子及び非標的分子間で形成される複合体が含まれる。
【0135】
本明細書において、「遅いオフ速度の富化過程」という用語は、遅い解離速度を有するアプタマー・親和性複合体の相対濃度が、より速い、より望ましくない解離速度を有するアプタマー・親和性複合体の濃度に比較して増加するように、候補混合物のある特定の構成要素の相対濃度を修飾する過程を指す。1実施形態において、遅いオフ速度の富化過程は、溶液に基づく遅いオフ速度の富化過程である。この実施形態において、混合物中でアプタマー・親和性複合体を形成する標的または核酸のどちらも、遅いオフ速度の富化過程中に固体支持体上に固定されないように、溶液に基づく遅いオフ速度の富化過程は、溶液中で行われる。多様な態様において、遅いオフ速度の富化過程には、1以上の工程が含まれ、競合剤分子の添加及び該分子とのインキュベーション、混合物の希釈、またはこれらの組み合わせ(例えば競合剤分子の存在下での混合物の希釈)が含まれうる。遅いオフ速度の富化過程の効果は、一般的に、異なるアプタマー・親和性複合体(すなわち候補混合物において、標的分子及び異なる核酸間で形成されるアプタマー・親和性複合体)の異なる解離速度に依存するため、遅いオフ速度の富化過程の期間は、遅い解離速度を有するアプタマー・親和性複合体を高い比率で保持しつつ、速い解離速度を有するアプタマー・親和性複合体の数を実質的に減少させるように選択される。SELEX法中の1以上のサイクルで、遅いオフ速度の富化過程を用いてもよい。希釈及び競合剤の添加を組み合わせて用いる場合、同時にまたは任意の順で連続して、これを行ってもよい。混合物中の総標的(タンパク質)濃度が低い場合、遅いオフ速度の富化過程を用いてもよい。1実施形態において遅いオフ速度の富化過程に希釈が含まれる場合、アプタマーに保持される核酸をSELEX法の続くラウンドのために回収することに留意して、混合物を、現実的である限り、出来るだけ希釈してもよい。1実施形態において、遅いオフ速度の富化過程には、競合剤ならびに希釈の使用が含まれ、競合剤の使用なしで必要であるよりも、混合物を少なく希釈することが可能になる。
【0136】
1実施形態において、遅いオフ速度の富化過程には、競合剤の添加が含まれ、ここで競合剤はポリアニオン(例えばヘパリンまたは硫酸デキストラン(デキストラン))である。ヘパリンまたはデキストランは、以前のSELEX選択において、特異的アプタマーの同定において用いられてきている。しかし、こうした方法において、ヘパリンまたはデキストランが平衡工程中に存在し、該工程において、標的及びアプタマーが結合して複合体を形成する。こうした方法において、ヘパリンまたはデキストランの濃度が増加するにつれて、低親和性・標的/アプタマー複合体に対する高親和性・標的/アプタマー複合体の比が増加する。しかし、ヘパリンまたはデキストランが高濃度であると、核酸及び競合剤間の標的結合に関する競合のため、平衡時の高親和性・標的/アプタマー複合体の数が減少しうる。対照的に、ここで記載される方法は、標的/アプタマー複合体が形成可能となった後に競合剤を添加し、従って、形成される複合体の数には影響を及ぼさない。標的及びアプタマー間で平衡結合が起こった後に競合剤を添加すると、より少ない標的/アプタマー複合体を含む新たな平衡に達するまでの間に展開する、非平衡状態が生じる。速いオフ速度のアプタマーがまず解離するため、新たな平衡に達する前に、標的/アプタマー複合体を捕捉すると、遅いオフ速度に関して試料が富化される。
【0137】
別の実施形態において、遅いオフ速度の富化過程中に、ポリアニオン性競合剤(例えば硫酸デキストランまたは別のポリアニオン性物質)を用いて、ポリアニオンの存在に対して難分解性であるアプタマーの同定を容易にする。この文脈において、「ポリアニオン難分解性アプタマー」は、非ポリアニオン難分解性アプタマーを含むアプタマー/標的複合体よりも、溶液中で解離する可能性がより低い、ポリアニオン難分解性物質もまた含有するアプタマー/標的複合体を形成可能なアプタマーである。この方式で、検出法が、ポリアニオン難分解性アプタマーが難分解性であるポリアニオン性物質(例えば硫酸デキストラン)の使用を含む場合、試料中の標的の存在または量または濃度を検出する分析法の実行において、該アプタマーを用いることも可能である。
【0138】
従って、1実施形態において、ポリアニオン難分解性アプタマーを産生するための方法を提供する。この実施形態において、核酸の候補混合物と標的を接触させた後、候補混合物中の標的及び核酸が平衡に達することを可能にする。溶液中にポリアニオン性競合剤を導入し、候補混合物中のオフ速度が速いアプタマーの大部分が標的分子から解離することを確実にするのに十分な期間、該競合剤とのインキュベーションを可能にする。また、ポリアニオン性競合剤の存在下で解離しうる、候補混合物中のアプタマーは、標的分子から遊離するであろう。混合物を分配して、標的分子と会合したままである、高親和性の、オフ速度が遅いアプタマーを単離し、複合体化されていない物質をすべて溶液から除去する。次いで、アプタマーを標的分子から遊離させ、単離してもよい。単離されたアプタマーをまた、増幅し、さらなる選択ラウンドを適用して、選択されたアプタマーの総合的な性能を増加させてもよい。オフ速度が遅いアプタマーの選択が特定の適用のために必要でない場合、この過程はまた、最小限のインキュベーション時間でも使用可能である。
【0139】
従って、1実施形態において、オフ速度が遅い(長い)アプタマーの同定または産生のために、修飾SELEX法を提供し、ここで、標的分子及び候補混合物を接触させ、標的分子及び候補混合物中に含有される核酸間の平衡結合が起こるのに十分な期間、一緒にインキュベーションする。平衡結合後、過剰な競合剤分子、例えばポリアニオン競合剤を混合物に添加し、あらかじめ決定された期間、過剰な競合剤分子と一緒にインキュベーションする。このあらかじめ決定されたインキュベーション期間より短いオフ速度を有するアプタマーの有意な割合は、あらかじめ決定されたインキュベーション期間中に標的から解離するであろう。過剰な競合剤分子が標的に非特異的に結合し、標的結合部位を占める可能性もあるため、標的とこれらのオフ速度が「速い」アプタマーの再会合は最小限になる。より長いオフ速度を有する有意な割合のアプタマーは、あらかじめ決定されたインキュベーション期間中、標的に複合体化したままであろう。インキュベーション期間の最後に、核酸-標的複合体を混合物の残りから分配すると、オフ速度が速いものからの、オフ速度が遅いアプタマー集団の分離が可能になる。解離工程を用いて、標的からオフ速度が遅いアプタマーを解離させてもよく、標的分子に対する高い親和性及び特異性を有する、オフ速度が遅いアプタマー(個々のアプタマーまたはオフ速度が遅いアプタマー群のいずれか)の単離、同定、配列決定、合成及び増幅が可能になる。慣用的なSELEXと同様に、修飾SELEX法の1ラウンドから同定されたアプタマー配列を新規候補混合物の合成に用いてもよく、したがって接触、平衡結合、競合剤分子の添加、競合剤分子とのインキュベーション及びオフ速度が遅いアプタマーの分配の工程を、必要に応じた回数で反復/繰り返し可能である。
【0140】
競合剤添加前に、標的と候補混合物の平衡結合を可能にし、その後、過剰な競合剤を添加し、あらかじめ決定された期間、競合剤とインキュベーションする工程を組み合わせることによって、オフ速度が、以前達成されたよりもはるかに長いアプタマーの集団を選択可能になる。
【0141】
平衡結合を達成するため、候補混合物を少なくとも約5分間、または少なくとも約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間または約6時間、標的とインキュベーションしてもよい。
【0142】
候補混合物及びターゲット分子の混合物と競合剤分子のあらかじめ決定されたインキュベーション期間は、ターゲットの性質、及び(あるとすれば)ターゲットに対する既知のアプタマーの既知のオフ速度などの要因を考慮して、必要に応じて選択可能である。あらかじめ決定されたインキュベーション期間は:少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間より選択可能である。
【0143】
他の実施形態において、オフ速度増進過程として希釈を用いて、希釈された候補混合物、標的分子/アプタマー複合体のインキュベーションをあらかじめ決定された期間、行ってもよく、この期間を:少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間より選択してもよい。
【0144】
本開示の実施形態は、オフ速度が遅いアプタマーの同定、産生、合成及び使用に関する。これらは、慣用的SELEXによって通常得られるアプタマーのものより高い、非共有アプタマー-標的複合体からの解離速度(t1/2)を有するアプタマーである。アプタマー及び標的の非共有複合体を含有する混合物に関しては、t1/2は、アプタマーの半分がアプタマー-標的複合体から解離するのに掛かる時間に相当する。本開示記載の解離速度が遅いアプタマーのt1/2は:約30分間以上;約30分間~約240分間;約30分間~約60分間;約60分間~約90分間;約90分間~約120分間;約120分間~約150分間;約150分間~約180分間;約180分間~約210分間;約210分間~約240分間の1つより選択される。
【0145】
SELEX法により同定されるアプタマーの特徴的特性は、その標的についての高親和性である。アプタマーは約1μM未満、約100nM未満、約10nM未満、約1nM未満、約100pM未満、約10pM未満、約1pM未満、のうちの1つから選択されるその標的に対する解離定数(kd)を有するであろう。
【0146】
化学合成
本開示で提供される化合物の化学合成の方法を本明細書に記載する。これら及び/または他の周知の方法は、本開示で提供される追加の化合物の合成を容易にするために、既知の方法で変更及び/または適合させることができる。
【0147】
スキーム1を参照すると、本開示はC-5修飾アミノカルボニルピリミジンの3′-ホスポラミダイトの合成方法をも提供する。スキーム1を参照すると、一酸化炭素のパラジウム触媒反応及び5-置換ヌクレオシドを有する塩基を2気圧以下の一酸化炭素;より具体的には0.1から2気圧(または0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6.、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9もしくは2気圧)、及びさらにより具体的には1気圧の一酸化炭素気圧で行ったことは注目に値する。これらの減圧での反応は、3から4気圧の間[50psi]で行った以前の方法より高い収率及びより純粋な生成物をもたらす。
【0148】
スキーム2を参照すると、本開示はまた、:を含むC-5修飾アミノカルボニルピリミジンの5’-トリホスフェートの合成方法も提供する。
ある特定の実施形態において、保護基がトリフェニルメチル、p-アニシルジフェニルメチル、ジ-p-アニシルジフェニルメチル、p-ジメトキシトリチルトリチル、ホルミル、t-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2-クロロベンジルオキシカルボニル、4-クロロベンゾイルオキシカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニル、フルフリルカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2-フェニルプロピル(2)-オキシカルボニル、2-(4-ビフェニル)プロピル(2)-オキシカルボニル、2-ニトロフェニルスルフェニル及びジフェニルホスフィニルから成る群から選択される。
【0149】
以下の実施例はある特定の特徴及び/または実施形態を説明するために提供される。これらの実施例は、記載された特定の特徴または実施形態に開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【0150】
実施例
【実施例1】
【0151】
実施例1:5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジンの合成
本実施例は5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(またはBndC;以下のスキーム1(4a)を参照されたい)の製造方法を提供する。簡潔に述べると、室温での24~48時間の必要な芳香族第1級アミンRCH2NH2(5~10当量)、一酸化炭素(</=1atm)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中の(Ph3P)4Pd(2mol%)による処置により(スキーム1)、市販の5-ヨード-2’-デオキシシチジン(3)を対応するN-置換-カルボキサミド(4a-c)に転換した。過剰の第1級アミン及び制限された一酸化炭素は2-ケトカルボキサミド副産物の生成を制限するのに必要であった(例えば、Uozumi、Y. et al. (2001)及びTakacs et al.、2008を参照されたい)。修飾ヌクレオシド生成物(4a-c)を容易にアルコールからの再結晶により精製した。
【0152】
出発物質:5-ヨード-2’-デオキシシチジン;5-ヨード-2’-O-メチルシチジン;5-ヨード-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジンをChemGenes Corporation(Wilmington、MA 01887、USA)またはThermo Fisher Scientific Inc.(Waltham、MA 02454、USA)から購入した。99.9%の純度の一酸化炭素(安全性:毒ガス)をSpecialty Gases of America(Toledo、OH 43611、USA)から購入した。全ての他の試薬をSigma-Aldrich(Milwaukee、WI 53201、USA)から購入し、そのまま使用した。
【0153】
5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(4a):アルゴンを充填した1Lの丸底フラスコに、5-ヨード-2’-デオキシシチジン(30g、85mmol);ベンジルアミン(109.3g、1020mmol、12当量);及び無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、205mL)を充填した。全ての固体が溶解するまで、混合物を急速に磁気的に攪拌した。得られた溶液を50mmへの排除の2つのサイクルにより脱気し、アルゴンで最充填した。ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(978mg、1.7mmol、0.02当量)及びトリフェニルホスフィン(1.92g、7.3mmol、0.086当量)の混合物を加え、得られた微細黒色懸濁液を急速に攪拌し、50mmに排除し、ゴム風船からの一酸化炭素(1atm)で充填した。混合物を室温(約20°C)で攪拌し、周期的に一酸化炭素を再充填した。26時間後、反応はtlc分析(シリカゲル、溶離液:15%メタノール/85%ジクロロメタン(v/v)、Rf(SM)=0.3、Rf(4a)=0.4)により完了したことが見出された。反応混合物を酢酸エチル(205mL)で希釈し、濾過し、65%酢酸エチル/35%DMF(100mL)でよく洗浄した。全ての溶媒及びベンジルアミンのほとんどを蒸留するまで、透明な緑色の濾液をロータリーエバポレータ(50-80℃、1~2mm)で濃縮した。濃オレンジの残渣(約75g)を高温の無水エタノール(650mL)に溶解し、急速に熱濾過し、少量の不溶性フレーク(約2g)を除去した。透明の濾液をゆっくり攪拌して冷却し、生成物は針として結晶化した。一晩攪拌した後、スラリーを濾過し、ケーキを氷冷エタノール(100mL)で洗浄した。真空中で乾燥させた後、生成物(4a)を白色の結晶性固体として得た:22.0g、72%収率。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.73 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.06 (bs, 1H), 7.75 (bs, 1H), 7.32 (m, 4H), 7.25 (m, 1H), 6.14 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 5.24 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 5.03 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 4.42 (dd, J = 15.4, 7.2 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 15.4, 7.3 Hz, 1H), 4.26 (m, J = 4.3 Hz, 1H), 3.83 (dd, J = 7.9, 4.3 Hz, 1H), 3.64 (m, 1H), 3.58 (m, 1H), 2.19 (m, 2H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 165.88 (1C), 163.97 (1C), 153.99 (1C), 144.26 (1C), 139.64 (1C), 128.80 (2C), 127.60 (2C), 127.30 (1C), 99.20 (1C), 88.08 (1C), 86.29 (1C), 70.44 (1C), 61.50 (1C), 42.72 (1C), 40.62 (1C). MS m/z: C17H19n4O5の計算値[M-]359.36;実測値359.1 (ESI-)。
【0154】
4-N-アセチル-5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(5a):1Lの丸底フラスコに(4a)(20.0g、55.4mmol)、及び無水テトラヒドロフラン(THF、500mL)を充填した。よく攪拌した混合物を無水酢酸(26.4mL、277mmol、5当量)で処置し、混合物を50℃で20時間熱した。分取のTlc分析(50%メタノール/50%ジクロロメタンに溶解して均質化した)は反応が完了したことを示した(シリカゲル、溶離液:15%メタノール/85%ジクロロメタン(v/v)、Rf(4a)=0.4、Rf(5a)=0.6);スラリーを1時間5~10℃に冷却し、濾過し、冷却THF(40mL)で洗浄した。真空中で乾燥させ、生成物(5a)を白色の結晶性針、20.4g、91%収率として得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ =11.35 (s, 1H), 8.98 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.34 (d, J = 4.4 Hz, 4H), 7.26 (m, J = 4.3 Hz, 1H), 6.10 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 5.28 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 5.09 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 4.44 (dd, J = 15.3, 8.1 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 15.2, 8.1 Hz, 1H), 4.28 (dt, J = 9.8, 4.0 Hz, 1H), 3.91 (dd, J = 7.9, 4.0 Hz, 1H), 3.68 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.34 (m, 1H), 2.22 (m, 1H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 171.27 (1C), 165.49 (1C), 159.77 (1C), 153.19 (1C), 146.24 (1C), 139.16 (1C), 128.82 (2C), 127.76 (2C), 127.41 (1C), 100.32 (1C), 88.67 (1C), 87.50 (1C), 70.11 (1C), 61.17 (1C), 43.00 (1C), 40.78 (1C), 26.70 (1C). MS m/z: C19H21N4O6の計算値[M-]401.40;実測値401.1 (ESI-)。
【0155】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-4-N-アセチル-5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(6a):250mLの丸底フラスコを(5a)(4.82g、12mmol)及び無水ピリジン(40mL)で充填した。4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(4.47g、13.2mmol、1.1当量)を1時間にわたり5回に分けて添加した時に、得られた無色溶液を磁気的に攪拌した。橙黄色の溶液をさらに30分間攪拌し、エタノールでクエンチし(4.2mL、72mmol)、ロータリーエバポレターで濃縮した(1~2mm、≦35℃)。得られた粘着性の橙色の残渣(約13g)を酢酸エチル(100mL)及び冷却飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で分割した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、黄色泡を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1%トリエチルアミン/99%酢酸エチル、Rf(6a)=0.4)による精製により、(6a)を、白色の泡、6.1g、72%収率として得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.44 (s, 1H), 9.12 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.38 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.25 (m, 12H), 6.84 (m, 4H), 6.10 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 4.20 (m, 3H), 4.05 (m, 1H), 3.72 (d, J = 1.7 Hz, 6H), 3.41 (dd, J =10.5, 6.0 Hz, 1H), 3.20 (dd, J =10.4, 3.5 Hz,1H), 2.44 (s, 3H), 2.39 (m, 1H), 2.25 (m, 1H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 171.28 (1C), 165.38 (1C), 159.88 (1C), 158.53 (2C), 153.07 (1C), 146.13 (1C), 145.26 (1C), 138.91 (1C), 136.00 (1C), 135.98 (1C), 130.16 (2C), 130.11 (2C), 128.78 (2C), 128.28 (2C), 128.13 (2C), 127.84 (2C), 127.46 (1C), 127.14 (1C), 113.60 (4C), 100.32 (1C), 88.04 (1C), 86.86 (1C), 86.19 (1C), 70.69 (1C), 60.22 (1C), 55.43 (1C), 55.42 (1C), 43.03 (1C), 40.70 (1C), 26.76 (1C). MS m/z: C40H39n4O8の計算値[M-]703.77;実測値703.2 (ESI-)。
【0156】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-4-N-アセチル-5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン-3’-O-(N,N-ジイソプロピル-O-2-シアノエチルホスホルアミダイト)(7a)。250mLの丸底フラスコを、(6a)(11.0g、15.6mmol);無水ジクロロメタン(40mL);2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(5.9mL、18.7mmol、1.2当量);最終的に、ピリジントリフルオロ酢酸(3.61g、18.7mmol、1.2当量)で充填した。30分後、tlc分析は反応が完了したことを示した(シリカゲル、75%酢酸エチル/25%ヘキサン(v/v)、Rf(6a)=0.2、Rf(7a)=0.7/0.8[2つの異性体])。全反応混合物を1%トリエチルアミン/64%酢酸エチル/35%ヘキサンで前処理したシリカゲルフラッシュカラムに適用し(溶離液が塩基性になるまで)、次いで65%酢酸エチル/35%ヘキサン(アルゴンスパージした)で溶離した。生成物を含む画分をアルゴン下の密封した瓶で空気から保護し、濃縮し、無色泡状物、10.8g、76%収率として(7a)を得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.47 (s, 1H), 9.11 (bs, 1H), 8.57/8.54 (s, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.24 (m, 12H), 6.84 (m, 4H), 6.10 (m, 1H), 4.40 (m, 1H), 4.21 (m, 3H), 3.70 (m, 8H), 3.55 (m, 2H), 3.28 (m, 2H), 2.75 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 2.64 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 2.55 (m, 1H), 2.42 (m, 4H), 1.11 (m, 9H), 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 31P NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 147.55/147.37 (s, 1P). MS m/z: C45H56N6O9Pの計算値[M-]903.99;実測値903.3 (ESI-)。
【0157】
【0158】
2-シアノエチルホスホルアミダイト試薬(CEP試薬)の調製のために、5-N-ベンジルアルボキサム(4a-c)を選択的にテトラヒドロフラン(THF)中の無水酢酸(無塩基)との攪拌によりN-保護し、次いでピリジン中の4,4’-ジメトキシトリチルクロリドを伴う反応で(4,4’-ジメトキシトリチル)-誘導体(6a-c)として5’-O保護した(例えば、Ross et al.、2006を参照されたい)。高純度の(>98.0%)CEP試薬(7a-c)の合成は2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホルアミダイトを伴う3’-アルコールのピリジニウムトリフルオロ酢酸触媒凝縮(例えば、Sanghvi、et al.、2000を参照されたい)及び脱気溶媒を伴うシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによる最終精製(例えば、Still et al.、1978を参照されたい)により完了した。
【0159】
5’-トリホスフェート試薬(TPP試薬;スキーム2)の調製のために、5’-O-DMT-保護ヌクレオシド(6a~c)をピリジン中の無水酢酸でペルアセチル化し、続いてDMT及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールを有する4-N-アセチル保護基を切断した(例えば、Leonard及びNeelima、1995を参照されたい)。得られた結晶性3’-O-酢酸ヌクレオシド(8a~c)をLudwig-Eckstein法により粗5’-O-トリホスフェートに変換した。これらの化学修飾ヌクレオチドは通常2段階の精製過程を要求する:アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)、次いで、高純度(>%90)を得るための逆相分取HPLCである。
【0160】
【0161】
Ludwig,J. 及びEckstein,F. (1989) Rapid and Efficient Synthesis of Nucleoside 5’-O-(1-Thiotriphosphates)、5’-Triphosphates and 2’,3’-Cyclophosphorothioates Using 2-Chloro-4H-1,3,2-benzodioxaphophorin-4-one. J. Org. Chem.、54、631-635、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
カルボキシアミド化反応はまた、ヌクレアーゼ耐性リボ糖類似体(例えば、Ito et al.、2003を参照されたい)(スキーム4)、例えば、5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-O-メチルシチジン(12)及び-5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-シチジン(13)の調製に適する。
【0163】
5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-O-メチルシチジン(12):生成物が熱2-プロパノール(12mL/g)から結晶化したことを除き、(4a)について記載の通りに5-ヨード-2’-O-メチルシチジンから調製し、毛氈状の白色固体、79%収率として(12)を得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.57 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.05 (bs, 1H), 7.85 (bs, 1H), 7.33 (m, 4H), 7.25 (m, 1H), 5.85 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 5.27 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 5.11 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 15.4, 10.4 Hz, 1H), 4.40 (dd, J =15.3, 10.4 Hz, 1H), 4.17 (dd, J = 6.7, 5.2 Hz, 1H), 3.87 (dt, J = 6.8, 3.2 Hz,1H), 3.80 (dd, J = 5.0, 3.2 Hz,1H), 3.77 (m, 1H), 3.61 (ddd, J = 12.2, 5.3, 3.4 Hz, 1H), 3.44 (s, 3H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 165.43 (1C), 163.57 (1C), 153.49 (1C), 143.99 (1C), 139.16 (1C), 128.40 (2C), 127.22 (2C), 126.90 (1C), 98.97 (1C), 87.95 (1C), 84.28 (1C), 83.05 (1C), 67.67 (1C), 59.92 (1C), 57.70 (1C), 42.40 (1C). MS m/z: C18H21N4O6の計算値[M-]389.39;実測値389.1 (ESI-).
5-(N-3-フェニルプロピル)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-シチジン(13):(4c)について記載の通りに5-ヨード-2’-デオキシ-2’-フルオロ-シチジンから調製し、毛氈状の白色固体として(12)を得た(53%収率)。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.52 (s, 1H), 8.07 (bs, 1H), 7.95 (t, J = 5.4 Hz,1H), 7.85 (bs, 1H), 7.22 (t, J = 7.4, 5H), 5.91 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.58 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 5.32 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 4.99 (dd, J = 53.2, 3.9 Hz, 1H), 4.27 (m, 1H), 3.92 (d, J = 8.3 Hz,1H), 3.86 (m, 1H), 3.58 (ddd, J =12.5, 5.4, 2.9 Hz, 1H), 3.19 (dd, J = 12.7, 5.3 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.78 (m, J = 7.3 Hz, 2H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 165.22 (s, 1C), 163.74 (s, 1C), 153.34 (s, 1C), 143.82 (s, 1C), 141.73 (s, 1C), 128.42 (s, 2C), 128.35 (s, 2C), 125.81 (s, 1C), 99.26 (1C), 94.02 (d, J = 736.6 Hz, 1C), 88.65 (d, J = 134.7 Hz, 1C), 83.07 (s, 1C), 67.00 (d, J = 65 Hz, 1C), 59.24 (s, 1C), 38.65 (s, 1C), 32.64 (s, 1C), 30.73 (s, 1C). 19F NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ = -200.82 (ddd, J = 19.0, 6.2, 56.6 Hz, 1F). MS m/z: C19H22N4O5の計算値[M-]405.41;実測値405.1 (ESI-)
【0164】
【0165】
Ludwig-Eckstein法を用い、3’-O-アセチル-保護中間体(8a~c)を粗5’-O-トリホスフェート(9a~c)に変換した。代替の2段階分取HPLC精製をこれらの化学修飾ヌクレオチドに使用した。
【0166】
3’-O-アセチル-5-(N-1-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(8a)。アルゴンパージした50mL丸底フラスコを(6a)(900mg、1.35mmol)、無水ピリジン(9mL)及び無水酢酸(0.63mL、6.75mmol)で充填した。室温で18時間後、溶媒を真空中で蒸発させ(1mm、30oC)、黄褐色の泡を得、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(9mL)に溶解し、アルゴン下で50℃で熱した。6時間後、反応混合物をメタノール(15mL)及びトルエン(10mL)の急速攪拌混合物に注いだ。得られた橙色の溶液を濃縮し(1mm、30oC)、酢酸エチル(6mL)との混合時に、結晶性スラリーを生じた赤色の油状残渣を得た。結晶化はヘキサン(1mL)の追加によりさらに強化された。混合物を一晩攪拌し、濾過し、50:50の酢酸エチル:ヘキサンで濾過ケーキを洗浄した。生成物(8a)を単離し、乾燥後、淡灰色固体(405mg)、75%収率として得た:1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.82 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H), 8.09 (bs, 1H), 7.81 (bs, 1H), 7.33 (m, 4H), 7.25 (m, 1H), 6.17 (dd, J = 8.0, 6.0 Hz, 1H), 5.24 (dt, J = 6.2, 1.8 Hz, 1H), 5.13 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 15.4, 13.3 Hz, 1H), 4.19 (dd, J =15.3, 13.2 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 5.9, 3.7 Hz, 1H), 3.65 (m, 2H), 2.45 (m, 1H), 2.34 (ddd, J = 14.2, 5.9, 1.5 Hz, 1H), 2.07 (s, 3H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 170.05 (1C), 165.34 (1C), 163.54 (1C), 153.44 (1C), 143.94 (1C), 139.20 (1C), 128.34 (2C), 127.16 (2C), 126.85 (1C), 99.06 (1C), 85.96 (1C), 85.06 (1C), 74.63 (1C), 61.18 (1C), 42.28 (1C), 37.31 (1C), 20.85 (1C). MS m/z: C19H21N4O6の計算値[M-]401.40;実測値401.1 [M]-。
【0167】
3’-O-アセチル-5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(8b)。(6b)から(8a)について記載の通り調製し、淡灰色固体、54%収率として得た:1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.89 (t, J = 5.8 Hz,1H), 8.44 (s, 1H), 8.14 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.11 (bs, 1H), 7.96 (dd, J = 8.6, 1.3 Hz, 1H), 7.86 (dd, J = 6.6, 2.8 Hz, 1H), 7.84 (bs, 1H), 7.57 (m, 2H), 7.49 (m, 2H), 6.15 (dd, J = 8.2, 6.0 Hz, 1H), 5.23 (dt, J = 6.2, 1.9 Hz, 1H), 5.13 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.94 (dd, J = 15.5, 5.8 Hz, 1H), 4.86 (dd, J = 15.7, 5.4 Hz, 1H), 4.05 (dt, J = 8.1, 1.8 Hz, 1H), 3.62 (m, 2H), 2.45 (m, 1H), 2.33 (ddd, J = 12.6, 6.1, 1.8 Hz, 1H), 2.06 (s, 3H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 170.51 (1C), 165.78 (1C), 164.02 (1C), 153.90 (1C), 144.52 (1C), 134.57 (1C), 133.74 (1C), 131.27 (1C), 129.02 (1C), 128.03 (1C), 126.80 (1C), 126.31 (1C), 125.94 (1C), 125.54 (1C), 123.78 (1C), 99.52 (1C), 86.60 (1C), 85.55 (1C), 70.12 (1C), 61.67 (1C), 40.80 (1C), 37.75 (1C), 21.32 (1C). MS m/z:C23H23N4O6の計算値[M-]451.46;実測値451.1 (ESI-)。
【0168】
3’-O-アセチル-5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(8c)。(6c)から(8a)について記載の通り調製し、白色固体、74%収率として得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.37 (s, 1H), 8.26 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 8.06 (bs, 1H), 7.79 (bs, 1H), 7.23 (m, 5H), 6.16 (dd, J = 7.9, 6.1 Hz, 1H), 5.24 (dt, J =4.2, 2.1 Hz, 1H), 5.18 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 5.7, 3.6 Hz, 1H), 3.65 (m, 2H), 3.19 (dd, J = 12.8, 6.2 Hz, 2H), 2.62 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.43 (m, 1H), 2.34 (m,1H), 2.06 (s, 3H), 1.78 (m, J = 7.4 Hz, 2H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 170.52 (1C), 165.68 (1C), 164.00 (1C), 153.94 (1C), 144.09 (1C), 142.13 (1C), 128.80 (2C), 127.75 (2C), 126.21 (1C), 99.80 (1C), 86.42 (1C), 85.06 (1C), 75.07 (1C), 61.63 (1C), 39.12(1C), 37.91 (1C), 33.04 (1C), 31.18 (1C), 21.31 (1C). MS m/z: C21H25N4O6の計算値[M-]429.45;実測値429.1 (ESI-)。
【実施例2】
【0169】
実施例2:5-(N-1-ナフチルメチル)-2’-デオキシシチジン-5-カルボキサミドの合成
本実施例は5-(N-1-ナフチルメチル)-2’-デオキシシチジン-5-カルボキサミド(またはNapdC;実施例1中のスキーム1(4b)を参照されたい)の製造方法を提供する。
【0170】
出発物質:5-ヨード-2’-デオキシシチジン;5-ヨード-2’-O-メチルシチジン;5-ヨード-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジンをChemGenes Corporation(Wilmington、MA 01887、USA)またはThermo Fisher Scientific Inc.(Waltham、MA 02454、USA)から購入した。99.9%の純度の一酸化炭素(安全性:毒ガス)をSpecialty Gases of America(Toledo、OH 43611、USA)から購入した。全ての他の試薬をSigma-Aldrich(Milwaukee、WI 53201、USA)から購入し、そのまま使用した。
【0171】
5-(N-1-ナフチルメチル)-2’-デオキシシチジン-5-カルボキサミド(4b):室温での48時間の反応時間を伴い、ベンジルアミンの代わりに1-ナフチルエチルアミン(6等量)を用い、(4a)について記載の通りに調製した。反応混合物を濃縮した後、残渣をジイソプロピルエーテル(約40mL/g)で抽出し、過剰な1-ナフチルエチルアミンの大部分を除去した。残渣を熱濾過で熱エタノール(50mL/g)から結晶化し、生成物(4b;スキーム1;実施例1)を白色固体、40%収率として得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.81 (t, J = 5.5 Hz,1H), 8.43 (s, 1H), 8.14 (d, J = 4.4, 1H), 8.09 (bs, 1H), 7.96 (m, 1H), 7.79 (m, 1H), 7.75 (bs, 1H), 7.53 (m, 4H), 6.14 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 5.24 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 5.01 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.90 (dd, J = 15.6, 13.4 Hz, 1H), 4.89 (dd, J = 15.5, 13.2 Hz, 1H), 4.26 (m, J = 4.1 Hz, 1H), 3.84 (dd, J = 8.4, 4.4 Hz, 1H), 3.58 (m, 2H), 2.20 (m, 2H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 165.45 (1C), 163.58 (1C), 153.57 (1C), 143.93 (1C), 136.07 (1C), 134.20 (1C), 133.32 (1C), 128.61 (1C), 127.59 (1C), 126.34 (1C), 125.89 (1C), 125.53 (1C), 125.07 (1C), 123.36 (1C), 98.82 (1C), 87.71 (1C), 85.99 (1C), 70.13 (1C), 61.16 (1C), 42.42 (1C), 40.14 (1C). MS m/z: C21H21N4O5の計算値[M-]409.42;実測値409.1 (ESI-)
4-N-アセチル-5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(5b):100mLの丸底フラスコを(4b)(1.17g、2.85mmol)で及び無水テトラヒドロフラン(26mL)で充填し、攪拌し、灰白色のスラリーを形成した。室温で攪拌しながら、無水酢酸(1.4mL、14.3mmol、5当量)を混合物に滴下した。反応混合物を攪拌し、21時間50℃に熱した。分取をTlc分析(シリカゲル、溶離液:10%メタノール/90%ジクロロメタン(v/v)、Rf(4b)=0.61、Rf(5b)=0.12)用に取り出し、それは反応が完了したことを示した。反応フラスコ氷浴に移し、>1時間攪拌した。混合物を次いで濾過し、濾過ケーキを冷却したイソプロピルエーテルで洗浄した。得られた固体を収集し、真空中でさらに蒸発させ、微細な灰白色の結晶を得た(1.01g、78.2%収率)。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.35 (s, 1H), 9.07 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.15 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.96 (m, 1H), 7.87 (m, 1H), 7.53 (m, 4H), 6.11 (t, J = 6.2 Hz, 1H), 5.29 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 5.08 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 4.92 (dd, J = 15.5, 10.1 Hz, 1H), 4.91 (dd, J = 15.7, 9.7 Hz, 1H), 4.28 (dt, J = 9.4, 3.8 Hz, 1H), 3.92 (dd, J = 7.6, 3.9 Hz, 1H), 3.64 (m, 1H), 3.58 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.35 (m, 1H), 2.22 (m, 1H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 171.27 (1C), 165.53 (1C), 159.77 (1C), 153.20 (1C), 146.30 (1C), 136.48 (1C), 134.17 (1C), 133.74 (1C), 131.26 (1C), 129.02 (1C), 128.12 (1C), 126.83 (1C), 126.33 (1C), 125.95 (1C), 123.80 (1C), 100.38 (1C), 88.74 (1C), 87.63 (1C), 70.25 (1C), 61.29 (1C), 41.13 (1C), 40.92 (1C), 26.71 (1C). MS m/z: C23H23N4O6の計算値[M-]451.46;実測値451.1 (ESI-)。
【0172】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-4-N-アセチル-5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(6b):59%収率の無色の固体として(6b)について記載の通りに調製した。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.40 (s, 1H), 9.35 (bt, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.02 (m, 1H), 7.96 (m, 1H), 7.86 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.54 (m, 2H), 7.40 (m, 2H), 7.35 (m, 1H), 7.25 (m, 8H), 6.85 (d, J = 8.9 Hz, 4H), 6.09 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 5.32 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 4.72 (dd, J = 14.9, 4.8 Hz, 1H), 4.60 (dd, J = 15.1, 3.4 Hz, 1H), 4.16 (dt, J = 10.9, 4.7 Hz, 1H), 4.04 (m, 1H), 3.70 (s, 6H), 3.29 (dd, J = 10.5, 6.4 Hz, 1H), 3.18 (dd, J = 10.4, 7.0 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.38 (m, 1H), 2.26 (m, 1H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 171.25 (1C), 165.37 (1C), 159.88 (1C), 158.52 (1C), 158.54 (1C), 153.03 (1C), 146.32 (1C), 145.31 (1C), 136.05 (1C), 135.97 (1C), 133.92 (1C), 133.74 (1C), 131.22 (1C), 130.20 (2C), 130.11 (2C), 129.05 (1C), 128.30 (2C), 128.15 (2C), 127.16 (1C), 126.81 (1C), 126.33 (1C), 125.85 (1C), 125.80 (1C), 123.65 (1C), 113.61 (4C), 100.49 (1C), 88.12 (1C), 86.79 (1C), 86.17 (1C), 70.59 (1C), 64.40 (1C), 55.41 (2C), 41.01 (1C), 40.70 (1C), 40.82 (1C), 26.76 (1C). MS m/z: C44H41N4O8の計算値[M-]753.83;実測値753.21 (ESI-)。
【0173】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-4-N-アセチル--5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン-3’-O-(N,N-ジイソプロピル-O-2-シアノエチルホスホルアミダイト)(7b):(7a)について記載の通りに調製し、白色の泡として得た(88%収率).1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.41 (s, 1H), 9.13 (bs, 1H), 8.56/8.54 (s, 1H), 8.01 (m, 1H), 7.95 (m, 1H), 7.85 (m, 1H), 7.53 (m, 2H), 7.37 (m, 2H), 7.24 (m, 9H), 6.83 (m, 4H), 6.06 (m, 1H), 4.66 (m, 2H), 4.39 (m, 1H), 4.16 (m, 1H), 3.68 (m, 8H), 3.52 (m, 2H), 3.28 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 2.74 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 2.63 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 2.45 (m, 5H), 1.09 (m, 9H), 0.96 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 31P NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 146.93/146.69 (s, 1P). MS m/z: C53H58N6O9Pの計算値[M-]954.05;実測値953.3 (ESI-).
【実施例3】
【0174】
実施例3:5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジンの合成
本実施例は5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(またはPPdC;実施例1中のスキーム1(4c)を参照されたい)の製造方法を提供する。
【0175】
出発物質:5-ヨード-2’-デオキシシチジン;5-ヨード-2’-O-メチルシチジン;5-ヨード-2’-デオキシ-2’-フルオロシチジンをChemGenes Corporation(Wilmington、MA 01887、USA)またはThermo Fisher Scientific Inc.(Waltham、MA 02454、USA)から購入した。99.9%の純度の一酸化炭素(安全性:毒ガス)をSpecialty Gases of America(Toledo、OH 43611、USA)から購入した。全ての他の試薬をSigma-Aldrich(Milwaukee、WI 53201、USA)から購入し、そのまま使用した。
【0176】
5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(4c):ベンジルアミンの代わりに3-フェニルプロピルアミン(6当量)及び室温での48時間の反応時間を用い、(4a)について記載の通り調製した(40nmolスケール)。ロータリーエバポレターで溶媒を除去した後、残渣をジエチルエーテル(約30mL/g)で磨砕し、過剰な3-フェニルプロピルアミンを抽出し、粘着性残渣を熱エタノールに溶解し、室温で18時間攪拌し、次いで0℃で1時間攪拌した。得られた混合物を濾過し、母液を蒸発させ、褐色の樹脂として得た。これをジクロロメタン及び水の温かい混合物に溶解した。室温で放置し、攪拌した後、白色の軽い結晶を有機層、及び同様に水層で形成した。三相混合物を濾過し、濾過ケーキをジエチルエーテルで洗浄し、ふわふわの白色固体として(4c)を得た(10.78g、69.5%収率)。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 8.39 (s, 1H), 8.13 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 8.05 (bs, 1H), 7.71 (bs, 1H), 7.28 (t, J = 7.4, 2H), 7.22 (d, J = 7.0, 2H), 7.17 (t, J = 7.4, 1H), 6.13 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 5.07 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 4.26 (dt, J = 9.4, 4.1 Hz, 1H), 3.83 (dd, J = 7.8, 3.9 Hz, 1H), 3.66 (m, 1H), 3.58 (m, 1H), 3.19 (dd, J = 12.9, 6.7 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.19 (m, 2H), 1.78 (m, J = 7.4 Hz, 2H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 165.34 (1C), 163.56 (1C), 153.60 (1C), 143.53 (1C), 141.70 (1C), 128.38 (2C), 128.33 (2C), 125.78 (1C), 98.99 (1C), 87.63 (1C), 85.86 (1C), 69.82 (1C), 60.96 (1C), 40.36 (1C), 38.58 (1C), 32.63 (1C), 32.63 (1C). MS m/z: C19H23N4O5の計算値[M-]387.42;実測値387.1 (ESI-)。
【0177】
4-N-アセチル-5-(N-3-フェニルプロピル)カルボキサミド-2’-デオキシシチジン(5c):無水THF(100mL)中の(4c)(10.8g、28mmol)の溶液を攪拌し、無水酢酸(3当量)で滴下処理した。溶液を18時間室温で攪拌し、薄い懸濁液を得た。混合物をジイソプロピルエーテル(35mL)の滴下追加によりゆっくりと希釈した。固体を濾過により単離し、真空中で乾燥させ、(5c)を白色固体として得た(8.44g、70.5%収率)。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ = 11.34 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.41 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 7.23 (m, 5H), 6.09 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 5.15 (bs, 2H), 4.27 (m, 1H), 3.90 (dd, J = 9.6, 3.8 Hz,1H), 3.68 (m, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.21 (dd, J = 12.3, 7.0 Hz 2H), 2.62 (m, 2H), 2.40 (s, 3H), 2.33 (m, 1H), 2.21 (m, 1H), 1.79 (m, 2H). 13C NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ = 171.21 (1C), 165.34(1C), 159.73 (1C), 153.21 (1C), 146.01 (1C), 142.08 (1C), 128.80 (2C), 128.75 (2C), 126.22 (1C), 99.14 (1C), 88.61 (1C), 87.41 (1C), 69.88 (1C), 61.05 (1C), 41.04 (1C), 39.22 (1C), 33.01 (1C), 30.97 (1C), 26.67 (1C). MS m/z: C21H25N4O6の計算値[M-]429.45;実測値429.1 (ESI-)。
【0178】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-4-N-アセチル-5-(N-3-フェニルプロピル)カルボキサミド-2’-デオキシシチジン(6c)(5c;スキーム1;実施例1)から、実施例1中の(6a)について記載の通り調製し、白色の泡として得た(64.6%収率)。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.38 (s, 1H), 8.56 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.35 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.21 (m, 12H), 6.80 (m, 4H), 6.11 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 5.32 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.16 (dt, J = 10.8, 4.7 Hz, 1H), 4.04 (m, 1H), 3.70 (d, J = 2.2 Hz, 6H), 3.26 (dd, J = 10.6, 6.1 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 10.5, 3.3 Hz, 1H), 3.03 (m, 1H), 2.95 (m, 1H), 2.49 (s, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.39 (m, 1H), 2.23 (m, 1H), 1.57 (m, 2H). 13C NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 170.77 (1C), 164.81 (1C), 159.41 (1C), 158.07 (1C), 158.06 (1C), 152.69 (1C), 145.18 (1C), 144.81 (1C), 141.53 (1C), 135.51 (1C), 135.50 (1C), 129.70 (2C), 129.61 (2C), 128.32 (2C), 128.29 (2C), 127.81 (2C), 127.66 (2C), 126.66 (1C), 125.79 (1C), 113.13 (4C), 100.37 (1C), 87.47 (1C), 86.40 (1C), 85.72 (1C), 70.03 (1C), 59.80 (1C), 54.99 (1C), 54.97 (1C), 40.48 (1C), 38.92 (1C), 32.64 (1C) 32.29 (1C), 26.27 (1C). MS m/z: C42H43N4O8の計算値[M-]731.83;実測値731.2 (ESI-)。
【0179】
5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-4-N-アセチル-5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン-3’-O-(N,N-ジイソプロピル-O-2-シアノエチルホスホルアミダイト)(7c)(6c;スキーム1;実施例1)から、実施例1中の(7a)について記載の通り調製した。アルゴン雰囲気下の6c(7.11g、9.70mmol)を含む500mLの丸底フラスコを無水ジクロロメタン(97mL)で充填した。無水N、N-ジイソプロピルエチルアミン(3.4mL、19.4mmol)をフラスコに加え、混合物を攪拌しながら0℃に冷却した。30分間にわたり、2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.6mL、11.6mmol)を急速に攪拌した混合物に滴下した。混合物を攪拌しながらゆっくりと室温に温めた。17時間後、反応をTLC用にサンプリングし、それは反応が完了したことを示した(シリカゲル;溶離液75%酢酸エチル/25%ヘキサン(v/v)、Rf(6c)=0.10、Rf(7b)=0.46/0.56[2つの異性体])。反応混合物をトルエンを用い250mLの分液漏斗に移し、冷却した、アルゴンスパージした2%炭酸水素ナトリウム溶液(2回、400mL/洗浄)での洗浄によりクエンチした。有機層を回収し、ジクロロメタンの大部分が除去されるまで蒸発させた。有機層を冷却したアルゴンスパージしたトルエンで分液漏斗に戻し、冷却したアルゴンスパージした脱イオン水で洗浄した(2回、400mL/洗浄)。次いで有機層を冷却したアルゴンスパージした酢酸エチルで希釈し、塩水で洗浄した(1回、400mL)。有機層を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。後処理した反応混合物をジクロロメタンで溶解し、予め調節したカラム((6b)と同様に準備した)にロードし、冷却したアルゴンスパージした移動相(80%酢酸エチル/20%ヘキサン)で溶離し、画分を含む生成物を密封したアルゴンパージしたボトルに収集し、生成物が空気と接触するのを制限した。画分を含む生成物を<40℃で蒸発させ、白色の泡を得た(6.16g、68.0%収率)。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 11.40 (s, 1H), 8.56 (m, 1H), 8.47/8.43 (s, 1H), 7.35 (m, 2H), 7.20 (m, 12H), 6.80 (m, 4H), 6.08 (m, 1H), 4.40 (m, 1H), 4.18 (m, 1H), 3.70 (m, 8H), 3.53 (m, 2H), 3.30 (m, 2H), 3.00 (m, 2H), 2.75 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 2.63 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 2.56 (m, 1H), 2.50 (m, 2H), 2.40 (m, 4H), 1.59 (m, 2H), 1.11 (m, 9H), 0.97 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 31P NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ = 147.60/147.43 (s, 1P) MS m/z: C51H60N6O9Pの計算値[M-]932.05;実測値931.4 (ESI)。
【実施例4】
【0180】
実施例4:2段階分取HPLCによるヌクレオシドトリホスフェート精製
本実施例はヌクレオシドトリホスフェートの精製方法を提供する。
粗トリホスフェート(9a-c)を2つの直交分取HPLC技術により精製した:他のヌクレオシド副産物(2リン酸塩及び1リン酸塩など)からヌクレオシドトリホスフェートを分離するアニオン交換クロマトグラフィー及び反応試薬の残りの副産物を取り除く逆相クロマトグラフィーである。
【0181】
Source15Q樹脂を充填したHPLCカラムを使用し、アニオン交換クロマトグラフィーを各々0.5mmol反応について2回の注射で行い、2つの重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(表1)の直線溶離勾配で溶離した。所望のトリホスフェートは、通常、HPLCクロマトグラムの10~12分幅のブロードなピークとしてカラムから溶離する最終的な物質であった。画分を分析し、生成物を含む画分を組み合わせ、Genevac VC 3000Dエバポレーターで蒸発させ、無色から淡褐色の樹脂を生成した。これを脱イオン水で再構成し、Novapak HRC18プレップカラム上の逆相精製のための単回注射に適用し、酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液中のアセトニトリルの直線勾配で溶離した(表2)。純粋なトリホスフェートを含む画分を組み合わせ、蒸発させ、無色から淡褐色の樹脂を生成した。
【0182】
最終的な純粋なトリホスフェート(9a-c)を分析のために脱イオン水で再構成し、240nmでのHewlett Packard 8452Aダイオードアレイ式分光光度計を用い定量した(表3)。
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
5-(N-1-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン-5’-O-トリホスフェート(9a)。1H NMR (300 MHz, D2O): δ = 8.45 (s, 1H), 7.25 (m, 5H), 6.14 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 4.57 (m, J = 2.9 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 20.2, 15.4 Hz, 2H), 4.17 (m, 3H), 2.39 (m, 1H), 2.27 (m, 1H). 13C NMR 31P NMR (300 MHz, D2O): δ = - 9.96 (d, J = 50.0 Hz, 1P), - 11.43 (d, J = 50.8 Hz, 1P), - 23.24(t, J = 50.5Hz, 1P MS m/z: C17H21N4O14P3の計算値[M-]599.04;実測値599.1 [M]-。
【0187】
5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン-5’-O-トリホスフェート(9b):1H NMR (500 MHz, D2O): δ = 8.12 (s, 1H), 7.98 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.24 (m, 1H), 5.87 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 4.66 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.40 (m, J = 3.0 Hz, 1H), 4.04 (m, 3H), 2.21 (ddd, J = 14.1, 6.0, 3.4 Hz, 1H), 2.06 (m, 1H). 13C NMR (500 MHz, D2O): δ = 165.95 (s, 1C), 163.15 (s, 1C), 155.22 (s, 1C), 143.33 (s, 1C), 133.35 (s, 1C), 133.17 (s, 2C), 130.55 (s, 2C), 128.66 (s, 1C), 127.84 (s, 1C), 126.65 (s, 1C), 126.13 (s, 1C), 125.64 (s, 1C), 125.12 (s, 1C), 123.11 (s, 1C), 100.55 (s, 1C), 86.88 (s, 1C), 85.87 (d, J = 55.95 Hz, 1C), 70.76 (s, 1C), 65.38 (d, J = 36 Hz, 1C), 41.19 (s, 1C), 39.61 (m, 1C). 31P NMR (500 MHz, D2O): δ = - 10.99 (d, J = 82.4 Hz, 1P), - 11.61 (d, J = 84.9 Hz, 1P), - 23.47 (t, J = 83.5 Hz, 1P). MS m/z: C21H24N4O14P3の計算値[M-]649.36;実測値649.0 (ESI-)。
【0188】
5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン-5’-O-トリホスフェート(9c)。1H NMR (500 MHz, D2O): δ = 8.07 (s, 1H), 7.11 (m, 4H), 6.98 (m, 1H), 6.00 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 4.44 (m, J = 3.0 Hz, 1H), 4.06 (m, 3H), 3.21 (m, 1H), 3.13 (m, 1H), 2.50 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.13 (ddd, J = 14.1, 10.9, 3.1 Hz, 1H), 2.13 (m, 1H), 1.76 (m, 2H). 13C NMR (500 MHz, D2O): δ = 165.85 (s, 1C), 163.50 (s, 1C), 155.73 (s, 1C), 142.94 (s, 1C), 142.40 (s, 1C), 128.55 (s, 2C), 128.40 (s, 2C), 125.72 (s, 1C), 101.15 (s, 1C), 86.93 (s, 1C), 85.96 (d, J = 55.2 Hz, 1C), 70.90 (s, 1C), 65.38 (d, J = 37.6 Hz, 1C), 39.88 (s, 1C), 39.55 (s, 1C), 32.74 (s, 1C), 26.68 (s, 1C). 31P NMR (500 MHz, D2O): δ = - 11.00 (d, J = 82.7 Hz, 1P), - 11.09 (d, J = 85.7 Hz, 1P), - 23.53 (t, J = 84.3 Hz, 1P). MS m/z: C19H25N4O14P3の計算値[M-]627.35;実測値627.0 (ESI-)。
【実施例5】
【0189】
実施例5:固相オリゴヌクレオチド合成
ABI 3900自動DNA合成装置(Applied Biosystems、Foster City、CA)を、修飾ホスホルアミダイトについての結合条件に小変更を伴い、従来のホスホルアミダイト法で用いた(7a~c)(表4)。試薬(7a)をジクロロメタン/アセトニトリル(1/1)中の0.1M溶液として用い、試薬(7b)及び(7c)をアセトニトリル中の0.1M溶液として用いた。固体支持体は、1000Åの細孔径を有する3’-DMT-dTコハク酸を搭載した細孔性ガラス(CPG、Prime Synthesis、Aston、PA)を充填したABI式フリットカラムであった(CPG、Prime Synthesis、Aston、PA)。アセトニトリル中の20%ジエチルアミンでの処理、続いて気体のメチルアミン切断及び2時間35℃での脱保護により、脱保護を達成した。同一性及び%完全長(%FL)の生成物を、11分間中の0から25%Bの勾配(緩衝液A:100mMの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、8.6mMのトリエチルアミン、pH8.25;緩衝液B:90%アセトニトリル中の10%緩衝液A)を用い、Acquity OST C18 カラム 1.7 μm 2.1X100mm(Waters Corp.、Milford、MA)を用いたAgilent 6130B単一四重質量分析検出器を備えるAgilent 1290 Infinityで決定した。
【0190】
【0191】
キー:
ACN アセトニトリル
デブロック トルエン中の10%ジクロロ酢酸
活性剤 ACN中の0.3Mの5-ベンジルメルカプトテトラゾール及び0.5%N-メチ ルイミダゾール
酸化剤 44.9%ACN/45%ピリジン/10.1%水中の0.025Mヨウ素
キャップA ピリジン及びテトラヒドロフラン中の無水酢酸
キャップB テトラヒドロフラン中の1-メチルイミダゾール
Ar 20秒間の乾燥アルゴンフラッシュ
プライマー伸長アッセイ:修飾ヌクレオシドトリホスフェートを全ての可能なトリプレットヌクレオチドの組み合わせを含む標準テンプレートを用いたプライマー伸長アッセイにおけるKODエキソヌクレアーゼ-マイナスDNAポリメラーゼについての基質として評価した。テンプレート配列は、5’-TTTTTTTTCTTCTTCTCCTTTCTCTTCCCAAAATCACACGGACCCAGGGCATTCT AGATATGGTTTACGCTCAAGCGAACTTGCCGTCCTGAGTGTAAAGAGGGAAAgagggcagggtgtggcatatatat-3’(RC70X27.37、TriLink Biotechnologies)(配列番号:1)であった。
【0192】
該プライマー配列は:
5’-atatatatgccacaccctgccctc-3’((AT)4-5P27、IDT Technologies)(配列番号:2)であった。
【0193】
簡潔に述べると、7mM Tris-HCl、25°CでpH7.6、10mM MgCl2、5 mM ジチオスレイトール中の3’ホスファターゼマイナスT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs)を伴い、30分間37℃で10 pmolの32P-ATPで10pmolのプライマーを標識し、2つのSephadex G-50カートリッジ(GE Healthcare)に通すことにより精製した。30μLプライマー伸長反応は120mM Tris-HCl、pH7.8、10mM KCl、7mM MgSO4、6mM (NH4)2SO4、0.001% BSA、0.1% Triton X-100、3pmolのテンプレート、6pmolのプライマー、及び7.5ユニットのKODエキソヌクレアーゼ-マイナスDNAポリメラーゼ(EMD Novagen)を含んだ。反応をMJサーモサイクラー(Bio-Rad)における96ウェルプレートで、96℃で30秒間、65℃で1時間インキュベートした。
【0194】
5μLの試料を8%アクリルアミド、7m尿素、1回TBEゲル(Life Technologies)で分析し、FujiFilm FLA3000ホスフォイメージャー(GE Healthcare)でスキャンする前に、イメージングプレート上に1時間曝露した。
【実施例6】
【0195】
実施例6:シチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドを有する核酸分子の合成
本実施例はシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドを有する核酸分子の製造方法を提供する。
【0196】
CEP(ホスホルアミダイト)試薬(7a-c;スキーム1、実施例1)を自動合成装置での固相オリゴヌクレオチド合成の使用について試験した。各新規アミダイト試薬、34から39ヌクレオチドの長さ(または34、35、36、37、38もしくは39ヌクレオチドの長さ)の長さが異なる6つのオリゴヌクレオチドを、以下に示すモデル配列に基づき、連続的な内部位置における0、1、2、3、4または5つのシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドからの挿入と伴い合成した。配列中の「X」は配列中のシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドの位置を示す。
【0197】
5’-GAGTGACCGTCTGCCTGX0-5CAGACGACGAGCGGGA-3’(配列番号:3)
以下の表5は0から5のシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドを伴うオリゴヌクレオチド合成の%収率を要約する。
【0198】
【0199】
結果は、修飾シチジンホスホルアミダイト(7a-c)の1から3の順次結合についての完全長合成収率は、非修飾DNAホスホルアミダイトと同等であったことを示す。いくらかの収率の損失は、修飾シチジンの4または5の順次結合について観察された;しかしながら全ての場合において、完全長生成物の有意な量が得られ、確認された。
【実施例7】
【0200】
実施例7:KOD DNAポリメラーゼによるシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドのトリホスフェート試薬(TPP試薬)の組込み
本実施例はシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチド(スキーム2の9a、9b及び9c)はKODエキソヌクレアーゼ-マイナスDNAポリメラーゼにより基質として使用され得ることを示す。
【0201】
以下の
図1はプライマー伸長アッセイの結果を示す。全ての3つの修飾シチジントリホスフェートはこのアッセイ中の天然、非修飾2’-デオキシシチジンと同程度に少なくとも効果的に組み込まれていた。
【0202】
要約すると、5’-O-トリホスフェート及び3’-O-CEPホスホルアミダイトの両方としてシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドを合成する実用的な過程は、in vitro選択及びアプタマーのSELEX後の最適化についての価値ある新規試薬を提供する。
【実施例8】
【0203】
実施例8:SELEXを伴うシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドアプタマーの選択
本実施例はシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドアプタマーはSELEXによりタンパク質標的との結合のために選択され得ることを示す。さらに、本実施例はタンパク質標的に対してSELEXから得られたシチジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドアプタマーの、同じタンパク質標的に対するSELEXから得られたウリジン-5-カルボキサミド修飾ヌクレオチドアプタマーに対する比較を示す。
【0204】
SELEXについての標的として4つの異なるタンパク質を使用した:PCSK9、PSMA、ERBB2及びERBB3であった。
修飾ランダムライブラリを標準オリゴヌクレオチド合成プロトコルを用いたKOD DNAポリメラーゼを用い酵素的に合成した。該ランダムライブラリは「dC/dT」とラベルされた対照ライブラリを含み、C-5修飾ヌクレオチドを含まなかった;NapdCライブラリ、NapdU(5-[N-(1-ナフチルメチル)カルボキサミド]-2’-デオキシウリジン)ライブラリ、PPdCライブラリ及びPPdU(5-[N-(フェニル-3-プロピル)カルボキサミド]-2’-デオキシウリジン)ライブラリであった。全てのランダムライブラリを、ライブラリあたり少なくとも5nmolの最終生成物を標的とするこれらの同じ条件を用い酵素的に合成した(出発アンチセンステンプレートから50~60%収率)。粗ライブラリを10kDaのNMWカットオフ限外濾過遠心分離装置を用い濃縮した。濃縮生成物をスピンダウンし、SPIN-X微小遠心管を用いいかなるストレプトアビジン(SA)アガロースビーズも除去し、260nmでの吸光度を測定し、推定された吸光係数を用いて定量化した。各修飾センスライブラリはビオチン化アンチセンス鎖の汚染のため遊離SAを移すのが不可能であること及び標準的なPCR増幅条件についても品質管理した(データは示されない)。
【0205】
C-末端ポリHisタグを有し、ヒト293(HEK293)細胞で産生される組換えヒトPCSK9タンパク質Gln31-Gln692(75.1kDa)をACRO Biosystems(カタログ番号PC9-H5223)から得た。該タンパク質をグリコシル化し、自動タンパク質分解切断DTT減少タンパク質をSDS-PAGEゲル上の20KDa(プロドメイン)及び62kDa(成熟分泌タンパク質)として実行する。
【0206】
組換えヒトPSMA(約110kDa)をR&D Systems(カタログ番号4234-ZN-010)から得たが、それはN-末端6XHisタグを有するCHO-由来Lys44-Ala750であった。
【0207】
C-末端ポリHisタグを有し、ヒト293(HEK293)細胞で産生される組換えヒトErbB2タンパク質Thr23-Thr652(72.4kDa)をACRO Biosystems(カタログ番号HE2-H5225)から得た。グリコシル化の結果として、DTT減少タンパク質はこの標的について、SDS-PAGE上で90~110kDaの範囲で移動する。
【0208】
C-末端6XHisタグを有し、ヒト293(HEK293)細胞で産生される組換えヒトErbB3タンパク質Ser20-Thr643(71.5kDa)をACRO Biosystems(カタログ番号ER3-H5223)から得た。グリコシル化の結果として、DTT減少タンパク質はこの標的について、SDS-PAGE上で100~110kDaの範囲で移動する。
【0209】
磁気Dynabeads(登録商標)His-タ捕捉ビーズLife technologies (カタログ番号10104D)を用いそれらの純度及び分配捕捉効率についてSELEXで使用した全ての標的をチェックした。全ての標的をHisタグ捕捉ビーズを用い効率的に捕捉した。
【0210】
全ての選択した工程でSELEXプロトコル(5mMのDxSO4 Kinetic Challenge開始ラウンド2)に続いた。ラウンド1について、各々のSELEX実験についての1000pmol(約1015配列)ランダムライブラリを用いた。標的は50pmol濃度であり(500 μg His Capture Beadsで捕捉した)、複合体を37℃で1時間平衡化し、次いで1XSB18、0.05% TWEEN20で数回洗浄した。選択された配列を20mM NaOH で溶離、中和し、5’OHプライマー及び3’ビオチン化プライマーを用いPCR増幅した。増幅した二本鎖非修飾DNAをSA磁気ビーズで捕捉し、洗浄し、センスDNAが溶離して除き、修飾ヌクレオチドを用いプライマーを伸長し、SELEX実験の次のラウンドにおいて使用される濃縮修飾プールを再生成した。
【0211】
全部で6つの選択ラウンドが完了した。通常、試料は1nMタンパク質濃度であり、これは、+/-タンパク質選択試料についてのCt差が改善せず、恐らく配列のさらなる濃縮が無いことを示したためであり、SELEXをラウンド6で止め、修飾センスeDNAを実行された全ての試料について作成し、それぞれの標的へのプールの親和性を行った。PCR増幅及び溶離センスDNA鎖をそのまま使用できたが、次のSELEXラウンドで非修飾対照DNAに富むライブラリを修飾ライブラリと同様の方法で処理したことに留意すべきである。
【0212】
eDNAを放射標識し、フィルター結合アッセイを全ての濃縮プールについて行い、対応する出発ランダムライブラリと比較した。ランダムライブラリは4つのタンパク質に結合しなかった。表6は4つのタンパク質標的、PCSK9、PSMA、ERBB2及びERBB3についての親和性データの結果を示す。
【0213】
【0214】
表6に示すように、SELEXによってPSMA標的タンパク質に結合するために濃縮した少なくとも1つのC-5修飾シトジンヌクレオチドを有する核酸アプタマーのプールについての平均結合親和性(Kd)は、同じタンパク質に対してNapdUを有する核酸アプタマーのプールの7.8nMと比較して、0.86nM(NapdC)であった;及び、同じタンパク質に対してPpdUを有する核酸アプタマーのプールの6.79nMと比較して、6.32nM(PPdC)であった。SELEXによってERBB3標的タンパク質に結合するために濃縮した少なくとも1つのC-5修飾シトジンヌクレオチドを有する核酸アプタマーのプールについての平均結合親和性(Kd)は、同じタンパク質に対してNapdUを有する核酸アプタマーのプールの0.38nMと比較して、0.25nM(NapdC)であった。
【0215】
タンパク質PSCK9、PSMA、ERBB2及びERBB3に結合するために濃縮した核酸アプタマーのSELEXプールのさらなる分析は、少なくとも1つのC-5修飾シトジンヌクレオチドを有する核酸アプタマーで行ったSELEXは、少なくとも1つのC-5修飾ウリジンヌクレオチドを有する核酸アプタマーで行ったSELEXと比較して、より多くのマルチコピー(2つの(2)コピーより多い)核酸配列を提供したことを示した。下記の表7はNapdC、NapdU、PPdC及びPPdUで行ったSELEXの違いを要約する。
【0216】
【0217】
概して、表7はC-5修飾シトジンヌクレオチドがSELEXによる標的タンパク質結合のために濃縮した核酸アプタマー配列のプールにおけるより多くの2コピーより多く有する配列を提供することを示す。従って、通常、タンパク質標的に対するSELEXにおけるC-5修飾シトジンヌクレオチドはマルチコピー核酸配列の多種多様化を提供し、それは結果的に、タンパク質結合試薬及び/または治療薬としてのさらなる特徴付け及び開発の選択のためのより多くの核酸アプタマーを提供する。該利益となるC-5修飾シトジンヌクレオチドは特定の目的(例えば、プルダウンアッセイ、タンパク質精製、質量分析などのアッセイのためのタンパク質結合剤;試薬ツール及び/または治療-タンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト)のための核酸アプタマーの開発に関連する課題を踏まえてよりよく達成される。より多くのマルチコピー核酸アプタマーは、スクリーニングされ、特定の目的のためにさらに開発され、このような開発の失敗率を低減し得るより多くの配列を提供する。
【0218】
参照文献
Gold, L. et al. (2010) Aptamer-based proteomic technology for biomarker discovery. PLoS ONE, 5(12), e15004.
Hollenstein, M. (2012) Synthesis of Deoxynucleoside Triphosphates that Include Proline, Urea, or Sulfonamide Groups and Their Polymerase Incorporation into DNA. Chemistry, A European Journal, 18, 13320-13330.
Imaizumi, Y. et al. (2013) Efficacy of Base-Modification on Target Binding of Small Molecule DNA Aptamers. J. Am. Chem. Soc., 135(25), 9412-9419.
Davies, D. R. et al. (2012) Unique motifs and hydrophobic interactions shape the binding of modified DNA ligands to protein targets. PNAS, 1 90(49), 19971-19976.
Lee, K. Y. et al. (2010) Bioimaging of Nucleolin Aptamer-Containing 5-(N-benzylcarboxamide)-2’-deoxyuridine More Capable of Specific Binding to Targets in Cancer Cells. J. Biomedicine and Biotechnology, article ID 168306, 9 pages.
Kerr, C. E. et al. Synthesis of N,N-Dialkylaniline-2’-deoxyuridine Conjugates for DNA-Mediated Electron Transfer Studies. Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids, 19(5&6), 851-866.
Gaballah, S. T.et al. (2002) Synthesis of 5-(2,2’-Bipyridyl- and 2,2’-Bipyridinediiumyl)-2’-deoxyuridine Nucleosides: Precursors to Metallo-DNA Conjugates. Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids 21(8&9), 547-560.
Vaught, J. D. et al.. (2004) T7 RNA Polymerase Transcription with 5-Position Modified UTP Derivatives. J. Am. Chem. Soc., 126, 11231-11237.
Vaught, J. D.; et al. (2010) Expanding the chemistry of DNA for in vitro selection. J. Am. Chem. Soc., 132(12), 4141-4151.
Nomura, Y. et al. (1997) Site-specific introduction of functional groups into phosphodiester oligodeoxynucleotides and their thermal stability and nuclease-resistance properties. Nucleic Acids Res., 25(14), 2784-2791.
Nomura, Y. et al. (1996) Nucleosides and Nucleotides. 161. Incorporation of 5-(N-aminoalkyl)carbamoyl-2’-deoxycytidines into oligodeoxynucleotides by a convenient post-synthetic modification method. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 6(23), 2811-2816.
Uozumi, Y. et al. (2001) Double Carbonylation of Aryl Iodides with Primary Amines under Atmospheric Pressure Conditions Using the Pd/Ph3P/DABCO/THF System. J. Org. Chem. 66, 5272-5274.
Takacs, A. et al. (2008) Palladium-catalyzed Aminocarbonylation of Iodoarenes and Iodoalkenes with Aminophosphonate as N-Nucleophile. Tetrahedron. 64, 8726-8730.
Ross, B. S. et al. (2006) Efficient Large-Scale Synthesis of 5’-O-Dimethoxytrityl-N4-Benzoyl-5-methyl-2’-deoxycytidine. Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids, 25, 765-770.
Sanghvi, Y. S. et al. (2000) Improved Process for the Preparation of Nucleosidic Phosphoramidites Using a Safer and Cheaper Activator. Organic Process Research & Development, 4, 175-181.
Still, W. C. et al. (1978) Rapid Chromatographic Technique for Preparative Separations with Moderate Resolution. J. Org. Chem., 43, 2923-2925.
Leonard, N. J. and Neelima (1995) 1,1,1,3,3,3-Hexafluoro-2-propanol for the Removal of the 4,4’-Dimethoxytrityl Protecting Group from the 5’-Hydroxyl of Acid-Sensitive Nucleosides and Nucleotides. Tetrahedron Letters, 36(43), 7833-7836.
Ludwig, J. and Eckstein, F. (1989) Rapid and Efficient Synthesis of Nucleoside 5’-O-(1-Thiotriphosphates), 5’-Triphosphates and 2’,3’-Cyclophosphorothioates Using 2-Chloro-4H-1,3,2-benzodioxaphophorin-4-one. J. Org. Chem., 54, 631-635.
Ito, T. et al. (2003) Synthesis, thermal stability and resistance to enzymatic hydrolysis of the oligonucleotides containing 5-(N-aminohexyl)carbamoyl-2’-O-methyluridines. Nucleic Acids Res., 31(10), 2514-2523.
【配列表】