(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】円滑な救援のためのエレベータ実行プロファイル修正
(51)【国際特許分類】
B66B 1/30 20060101AFI20220118BHJP
B66B 1/34 20060101ALI20220118BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B66B1/30 Z
B66B1/34 A
B66B5/02 M
(21)【出願番号】P 2017032759
(22)【出願日】2017-02-24
【審査請求日】2020-02-12
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ピエドラ
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118232(JP,A)
【文献】特開2012-188229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00-5/28
B66B 1/00-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステム操作方法であって、
外部電源が利用不可能である場合に、バッテリを利用して前記エレベータシステムに電力を供給することと、
制御装置を利用して前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御することであって、前記バッテリ、エレベータかご、駆動装置、及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む、前記制御することと、
前記制御装置を利用し、所定の減速
率と整合するように前記エレベータかごの実行プロファイルを決定することと、
前記制御装置を利用し、前記決定された実行プロファイルに応じて前記エレベータかごを操作することと、
前記制御装置を利用して前記エレベータかごの実速度を決定することと、
前記実速度が所定の速度を下回らない場合に、前記制御装置を利用して、前記駆動装置へ流れる実電流を検知することと、
前記実電流と所定の電流を比較することであって、前記所定の電流は、前記エレベータシステムが回生モードにあるときに前記駆動装置が吸収することができる電流である、前記比較することと、
前記実電流が前記所定の電流を上回る場合に、
前記駆動装置の電流や前記エレベータかごの速度を利用することによって昇降路のロス変動、負荷計量精度不良および負荷不均衡に適応しながら、電流制限障害および速度追跡障害を回避するように、前記制御装置を利用して前記実行プロファイルを調整することと、または、
前記実電流が前記所定の電流を上回らない場合に、
前記駆動装置の電流や前記エレベータかごの速度を利用することによって前記昇降路のロス変動、前記負荷計量精度不良および前記負荷不均衡に適応しながら、前記電流制限障害および前記速度追跡障害を回避するように、前記制御装置を利用して前記実行プロファイルを維持することと、
を含む、エレベータシステム操作方法。
【請求項2】
前記制御装置を利用して停止位置を決定することと、
前記停止位置が所定の停止位置範囲内にあり、かつ前記実速度が所定の速度範囲内である場合に、前記制御装置を利用して、前記エレベータかごを停止させるよう前記ブレーキに命令することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置を利用して停止位置を決定することと、
前記停止位置が所定の停止位置範囲内にないか、または前記実速度が所定の速度範囲内でない場合に、前記制御装置を利用して、前記エレベータかごの前記実速度を決定することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エレベータシステム操作装置であって、
外部電源が利用不可能である場合に前記エレベータシステムに電力を供給するバッテリと、
エレベータかごと、
駆動装置と、
ブレーキと、
前記エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、を備え、
制御することが、前記バッテリ、前記エレベータかご、前記駆動装置、及び前記ブレーキの少なくとも1つを操作することを含み、
前記制御装置が、
所定の減速
率と整合するように前記エレベータかごの実行プロファイルを決定することと、
決定された前記実行プロファイルに応じて前記エレベータかごを操作することと、
前記エレベータかごの実速度を決定することと、
前記実速度が所定の速度を下回らない場合に、前記制御装置を利用して、前記駆動装置へ流れる実電流を検知することと、
前記実電流と所定の電流を比較することであって、前記所定の電流は、前記エレベータシステムが回生モードにあるときに前記駆動装置が吸収することができる電流である、前記比較することと、
前記実電流が前記所定の電流を上回る場合に、
前記駆動装置の電流や前記エレベータかごの速度を利用することによって昇降路のロス変動、負荷計量精度不良および負荷不均衡に適応しながら、電流制限障害および速度追跡障害を回避するように、前記制御装置を利用して前記実行プロファイルを調整することと、または、
前記実電流が前記所定の電流を上回らない場合に、
前記駆動装置の電流や前記エレベータかごの速度を利用することによって前記昇降路のロス変動、前記負荷計量精度不良および前記負荷不均衡に適応しながら、前記電流制限障害および前記速度追跡障害を回避するように、前記制御装置を利用して前記実行プロファイルを維持することと、
を含む操作を実行する、エレベータシステム操作装置。
【請求項5】
前記操作が、
停止位置を決定することと、
前記停止位置が所定の停止位置範囲内にあり、前記実速度が所定の速度範囲内である場合に、エレベータかごを停止させるようブレーキに命令することと、をさらに含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記操作が、
停止位置を決定することと、
前記停止位置が所定の停止位置範囲内にないか、または前記実速度が所定の速度範囲内でない場合に、前記エレベータかごの前記実速度を決定することと、
をさらに含む、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は概して、エレベータシステムの分野に関し、より詳細には、外部電源からの電力が利用不可能である場合にエレベータを制御された停止位置へと移動させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なエレベータシステムは、昇降路内に配置されたかご及び釣合い重り、かごと釣合い重りとを接続する複数の張力ロープ、ならびに張力ロープに係合させてかご及び釣合い重りを駆動させる駆動綱車を有する駆動装置を含む。ロープ、ひいてはかご及び釣合い重りは、駆動綱車の回転によって駆動する。駆動装置及びその関連機器は従来、別個の機械室に収容されていた。
【0003】
新しいエレベータシステムは、昇降路に駆動装置を搭載することによって、別個の機械室が不要となる。これらのエレベータシステムは、機械室レスシステムと称される。エレベータシステムは従来、操作が外部電源に依存しており、そのため外部電源が利用不可能である場合の操作が困難になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態により、エレベータシステムの操作方法が提供される。本方法は、外部電源が利用不可能である場合に、バッテリを利用してエレベータシステムに電力を供給することを含む。本方法はまた、制御装置を利用してエレベータシステムの複数の構成要素を制御することを含む。制御は、バッテリ、エレベータかご、駆動装置、及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む。本方法はさらに、制御装置を利用して、選択された減速度に応じてエレベータかごの実行プロファイルを決定することを含む。本方法はさらに、制御装置を利用して、決定された実行プロファイルに応じてエレベータかごを操作することと、制御装置を利用してエレベータかごの実速度を決定することと、を含む。
【0005】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、実速度が選択された速度を下回る場合に、制御装置を利用して実速度に適合するように実行プロファイルを調整することを含んでもよい。
【0006】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、実速度が選択された速度を下回らない場合に、制御装置を利用して駆動装置の実電流を決定することと、実速度が選択された速度を上回る場合に、制御装置を利用して実行プロファイルを調整することと、を含んでもよい。
【0007】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、実速度が選択された速度を下回らない場合に、制御装置を利用して駆動装置の実電流を決定することと、実電流が選択された電流を上回らない場合に、制御装置を利用して実行プロファイルを維持することと、を含んでもよい。
【0008】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用してエレベータかごの停止位置及び速度を決定することと、停止位置が選択された停止位置範囲内にあり、かつ速度が選択された速度範囲内である場合に、制御装置を利用してブレーキにエレベータかごを停止させるように命令することと、を含んでもよい。
【0009】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本方法のさらなる実施形態は、制御装置を利用してエレベータかごの停止位置及び速度を決定することと、停止位置が選択された停止位置範囲内にないか、または速度が選択された速度範囲内でない場合に、制御装置を利用してエレベータかごの実速度を決定することと、を含んでもよい。
【0010】
別の実施形態により、エレベータシステムを操作するための装置が提供される。本装置は、外部電源が利用不可能である場合にエレベータシステムに電力を供給するためのバッテリと、エレベータかごと、駆動装置と、ブレーキと、エレベータシステムの複数の構成要素を制御するための制御装置と、を備える。制御は、バッテリ、エレベータかご、駆動装置、及びブレーキの少なくとも1つを操作することを含む。制御装置は、選択された減速度に応じてエレベータかごの実行プロファイルを決定することと、決定された実行プロファイルに応じてエレベータかごを操作することと、エレベータかごの実速度を決定することと、を含む操作を実行する。
【0011】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、実速度が選択された速度を下回る場合に、実速度に適合するように実行プロファイルを調整することを含んでもよい。
【0012】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、実速度が選択された速度を下回らない場合に駆動装置の実電流を決定することと、実電流が選択された電流を上回る場合に実行プロファイルを調整することと、を含んでもよい。
【0013】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、実速度が選択された速度を下回らない場合に駆動装置の実電流を決定することと、実電流が選択された電流を上回らない場合に実行プロファイルを維持することと、を含んでもよい。
【0014】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、エレベータかごの停止位置及び速度を決定することと、停止位置が選択された停止位置範囲内にあり、かつ速度が選択された速度範囲内である場合に、ブレーキにエレベータかごを停止させるように命令することと、を含んでもよい。
【0015】
上述の1つもしくは複数の特徴に加えて、またはその代わりに、本装置のさらなる実施形態は、エレベータかごの停止位置及び速度を決定することと、停止位置が選択された停止位置範囲内にないか、または速度が選択された速度範囲内でない場合に、エレベータかごの実速度を決定することと、を含んでもよい。
【0016】
本開示の実施形態の技術的効果には、エレベータシステムが、外部電源からの電力が利用不可能である場合に、エレベータかごを制御された停止位置へと移動させるための制御装置を有することが含まれる。さらに、技術的効果には、制御装置が、選択された減速率と整合するエレベータの実行プロファイルを決定しながら電流制限障害及び速度追跡障害を回避することが含まれる。
【0017】
上述の特徴及び要素は、特に明示されない限り、様々な組み合わせで非排他的に組み合わせてもよい。これらの特徴及び要素、ならびに操作は、以下の説明及び添付図面を参照することによってより明らかになる。しかし、以下の説明及び図面が本質的に例示及び説明のためのものであり、限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0018】
上述及びその他の特徴、ならびに本開示の利点は、以下の詳細な説明を、いくつかの図において同様の要素が同様に番号付けされている添付図面と併せて理解することで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の実施形態による、エレベータシステムの概略図を示す。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1のエレベータシステムのブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図1のエレベータシステムの円滑な救援のソフトウェアアーキテクチャのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで
図1及び2を参照する。
図1は、本開示の実施形態による、エレベータシステム10の概略図を示す。
図2は、本開示の実施形態による、
図1のエレベータシステム10のブロック図を示す。エレベータシステム10は、昇降路50内で複数のかごガイドレール60に沿って垂直に上方及び下方移動するよう構成されたエレベータかご23を備える。エレベータシステム10はまた、プーリーシステム26によってエレベータかご23に動作可能に接続される釣合い重り28を備える。釣合い重り28は、昇降路50内で垂直に上方及び下方移動するよう構成される。釣合い重り28は、従来のエレベータシステムで公知であるように、エレベータかご23の移動とは概ね反対の方向に移動する。釣合い重り28の移動は、昇降路50内に搭載された釣合い重りのガイドレール70によって誘導される。
【0021】
エレベータシステム10はまた、電気本線(例えば、230ボルト、単相)などの交流(AC)電源12を備える。AC電力はAC電源12から、回路遮断器、メータなどを備えることができるスイッチパネル14へと提供される。スイッチパネル14から、AC電力が充電装置16へと提供され、充電装置16はバッテリ18を充電するためにAC電力を直流(DC)電力へと変換する。バッテリ18は、鉛蓄電池、リチウムイオン、または他の種類のバッテリであってもよい。バッテリ18は、外部電源(例えばAC電源12)が利用不可能である場合にエレベータシステム10に電力供給することができる。DC電力は、制御装置30を介して駆動装置20へと流れ、駆動装置20はバッテリ18からのDC電力をAC駆動信号へと変換する。駆動装置20は、機械22を駆動させて、機械22の駆動綱車を介してエレベータかご23を動作させる。AC駆動信号は、機械22の三相モータのための多相(例えば、三相)駆動信号であってもよい。機械22はまた、機械22及びエレベータかご23を停止させるために作動させることができるブレーキ24を備える。
【0022】
駆動装置20はバッテリ18からのDC電力を、監視モードにおいて機械22を駆動させるためのAC電力へと変換する。監視モードは、機械22が駆動装置20から電流を導いている状況を指す。例えば、空のエレベータかごが下方に移動中であるか、または負荷がかかったエレベータかごが上方に移動中である場合に、監視モードが生じ得る。駆動装置20はまた、回生モードで動作する場合に、機械22からのAC電力を、バッテリ18を充電するためにDC電力へと変換する。回生モードは、駆動装置20が(発電器として作動する)機械22から電流を受け、電流をAC電源12に供給し戻す状況を指す。例えば、空のエレベータかごが上方に移動中である場合か、または負荷がかかったエレベータかごが下方に移動中である場合に、回生モードが生じ得る。当業者には理解されるように、監視モード及び回生モードは、上述のわずかな例以外において生じる場合があり、また、本開示の範囲内のものである。
【0023】
制御装置30は、エレベータシステム10の操作の制御を担う。制御装置30は、プロセッサ及び関連記憶装置を備えてもよい。プロセッサは、均一にまたは不均一に配置されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)、特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはグラフィック処理装置(GPU)ハードウェアを含む、種々の想定されるアーキテクチャのいずれかのシングルプロセッサまたはマルチプロセッサシステムであってもよいが、それに限定されない。記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、または他の電子、光学、磁気、もしくは任意の他のコンピュータ可読媒体であってもよいが、それに限定されない。
【0024】
外部AC電源12が利用不可能である場合、制御装置30は、選択された減速率と整合する実行プロファイルを決定しながら電流制限障害及び速度追跡障害を回避することを担う。実行プロファイルは、エレベータかご23から救援するかつ/または脱出するのに安全な場所であり得る選択された目的地にエレベータかご23が到着する際の、その位置、速度、及び/または加速度を参照することができる。実行プロファイルは、駆動装置20の速度、駆動綱車の回転速度、または上述の少なくとも1つを含む組み合わせを変更することを含むがそれに限定されない行動によって調整されてもよい。制御装置30は、正確な実行プロファイルの算出時に、負荷、摩擦、不均衡、及び他の想定される変動の原因を含むがそれに限定されない複数の可変要素を考慮しなければならない。監視を実行する場合、重力によりエレベータかご23が決定された実行プロファイルよりも速く停止した場合は、制御装置30は、重力による減速度に適合するように実行プロファイルを調整する。回生の実行時、制御装置30は、それが発生したエネルギーと、バッテリ18に供給し戻されている、かつ/または熱として放散されている(すなわち吸収している)エネルギーとの間の均衡を保つことを可能にする実行プロファイルを決定する。発生したエネルギーが、駆動装置20が吸収することのできるエネルギー(例えば電流)の量を上回る場合、実行プロファイルは、発生したエネルギーを下回るようリアルタイムで調整される。
【0025】
有利には、駆動装置20の電流及び/またはエレベータかご23の速度の利用により、電流制限障害または速度追跡障害を回避するために必要な減速率を選択するかまたは予測する複雑なシステムモデルまたは複雑なパラメータ化を必要とすることなく制御装置30が昇降路のロス変動、負荷計量精度不良、及び負荷不均衡に適応することが可能になる。
【0026】
次に、本開示の実施形態による、
図1のエレベータシステム10の円滑な救援のソフトウェア300のアーキテクチャのブロック図を示す
図3を参照する。円滑な救援のソフトウェア300は、制御装置30によって制御されてもよく、外部AC電源12が利用不可能である場合にエレベータかご23を制御された停止位置へと移動させることを担うことができる。制御装置30は円滑な救援のソフトウェア300を利用して、上述のように選択された減速率と整合する実行プロファイルを決定しながら電流制限障害及び速度追跡障害を回避する。ブロック304において電源喪失事象が発生する際に、制御装置30は円滑な救援のソフトウェア300を起動させてもよい。電力喪失事象が発生すると、円滑な救援のソフトウェア300は、ブロック306において選択された減速度に基づき、実行プロファイルを決定することができる。実行プロファイル決定プロセスは、実行プロファイルを決定することと、決定された実行プロファイルに応じてエレベータかごを操作することと、を含んでもよい。電源喪失の場合、実行プロファイルは、エレベータかご23を乗場へと移動させるためのエレベータかご23の特定の速度及び/または減速度を決定する。
【0027】
次にブロック308において、円滑な救援のソフトウェア300はエレベータかご23の実速度を決定し、その実速度と決定された実行プロファイルから選択された速度とを比較することができる。実速度が決定された速度を下回るように判定される場合(すなわち、監視モード)、円滑な救援のソフトウェア300は、ブロック310において、実速度に適合するように実行プロファイルを調整することができる。円滑な救援のソフトウェア300はその後、後述するブロック316において位置及び速度停止基準が満たされているか否かを確認することができる。
【0028】
ブロック308において実速度が決定された速度を下回らないと判定される場合(すなわち、回生モード)、円滑な救援のソフトウェア300は、ブロック312において、駆動装置20に流れる実電流が選択された電流を上回るか否かを確認することができる。選択された電流は、(例えば駆動装置20の)予め設定された障害制限であってもよい。駆動装置20に流れる実電流がブロック312において選択された電流を上回る場合、円滑な救援のソフトウェア300は、ブロック314において、電流を制限するよう実行プロファイルを調整し、次に316において、位置及び速度停止基準が満たされているか否かを確認することができる。ブロック314は、機械の電流吸収制限を超えないように機械22内に吸収されている電流量を減少させるために利用される。これは、エレベータかご23の減速度を低減するよう実行プロファイルを調整することによって実現することができる。ブロック312において、駆動装置20に流れる実電流が選択された電流を上回らない場合、円滑な救援のソフトウェア300は、実行プロファイルを維持し、ブロック316において、位置及び速度停止基準が満たされているか否かを確認することができる。位置及び速度停止基準は、エレベータかご23の選択された停止位置範囲及び選択された速度範囲を含んでもよい。停止位置が選択された停止位置範囲内にあり、かつエレベータかご23の速度が選択された速度範囲内である場合、位置及び速度停止基準が満たされ得る。参照される速度は、停止位置に近づくときのエレベータかご23の速度である。速度が速すぎる場合、エレベータかごは、過度に減速して停止位置に到着しなければならない場合がある。ブロック316において、位置及び速度停止基準が満たされている場合、円滑な救援のソフトウェア300は、ブロック318において、ブレーキ24を下げてもよい。位置及び速度停止基準が満たされない場合、円滑な救援のソフトウェア300は、選択された減速度に基づいて実行プロファイルを決定するために、ブロック306に戻ってもよい。
【0029】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、限定することを意図するものではない。例示及び説明目的で記述が示されたが、これは開示する形態の実施形態を包括または限定するものではない。本明細書に記載されていない多数の修正、変形、変更、置き換え、または同等な構成が、本開示の範囲を逸脱することなく、当業者には理解される。さらに、様々な実施形態について説明したが、態様には、記載の実施形態の一部のみが含まれ得ることが当業者に理解される。したがって、本開示は、上述の説明によって限定されるものであるとはみなされず、添付の特許請求の範囲によってのみ、限定される。