(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】絶縁変位コンタクトデバイスならびに外装および導体を有するケーブルをそのようなデバイスに電気的に接続する方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/24 20180101AFI20220118BHJP
【FI】
H01R4/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017169445
(22)【出願日】2017-09-04
【審査請求日】2020-08-18
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
【住所又は居所原語表記】Rietveldenweg 32,NL-5222 AR’s-Hertogenbosch,The NETHERLANDS,
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】デンダス,フレディ ジャン フィリプ
(72)【発明者】
【氏名】ラインゼ,オラフ
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-029125(JP,A)
【文献】特開2012-015114(JP,A)
【文献】特開平10-162872(JP,A)
【文献】特開平10-223266(JP,A)
【文献】特開2013-251114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装(56)および導体(54)を有するケーブル(52)を電気的に接続する絶縁変位コンタクトデバイスであって、ブレード要素(2)および偏倚要素(30)を備え、前記ブレード要素(2)は、対向するブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)を備え、前記ブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)はそれぞれ、切断縁(24)を有し、前記切断縁(24)は、末端にコンタクトスロット(8、10)を形成し、前記コンタクトスロット(8、10)は、前記ブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)間に画定され、前記偏倚要素(30)はU字状であり、前記ブレード要素(2)を取り囲む、絶縁変位コンタクトデバイスにおいて、前記偏倚要素(30)は、前記コンタクトスロット(8、10)に対して本質的に平行な摺動方向に、ブレード要素(2)によって摺動可能に保持されて
おり、
前記絶縁変位コンタクトデバイスは、前記ケーブル(52)の前記外装(56)の外周と協働するように適合された広げ手段(26)をさらに備え、前記広げ手段(26)は、前記コンタクトスロット(8、10)の幅を広げるように前記ブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)に割り当てられていることを特徴とする絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項2】
前記偏倚要素(30)は、挿入位置を画定するように適合され、前記挿入位置では、前記切断縁(24)と前記偏倚要素(30)との間に挿入開口(51)が画定され、前記偏倚要素(30)は、前記挿入
開口(51)から前記コンタクトスロット(8、10)の方へ移動し、それによって前記ケーブル(52)を端位置へ付勢することができることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項3】
前記偏倚要素は、前記ブレード要素(2)を取り囲む対向する脚部(32)と、前記ブレード要素(2)を横切って延びるベース(34)とを備え、前記ベース(34)から前記脚部(32)が突出し、前記ベース(34)と各脚部(32)との間の移行が、弾性変形蓄積域(38)を画定し、各脚部(32)は、押圧域(p)を画定していることを特徴とする、請求項1または2に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項4】
前記偏倚要素(30)の端位置を固定する固定手段(28、36)を備え、前記端位置では、前記絶縁変位コンタクトデバイス内にケーブル(52)が装着され、前記絶縁変位コンタクトデバイスに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項5】
前記ブレード要素(2)は、長手方向の距離をあけて配置された少なくとも2組のブレード(4、6)を備え、前記コンタクトスロット(8、10)の一方の側に配置された前記2組のブレード(4、6)の前記ブレード(4.1、6.1、4.2、6.2)を接続する側壁(12)をさらに備え、前記側壁(12)は、前記偏倚要素(30)の前記端位置で前記偏倚要素(30)を受け取るように適合されたレセプタクル(20)を画定し、前記端位置では、前記絶縁変位コンタクトデバイス内にケーブルが装着され、前記絶縁変位コンタクトデバイスに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項6】
前記ブレード要素(2)は、円筒形のプラグ要素(18)を画定していることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項7】
前記偏倚要素(30)が前記コンタクトスロット(8、10)の方へ移動した端位置で、前記コンタクトスロット(8、10)は、傾斜したプロファイルを有し、前記コンタクトスロット(8、10)の口(60)が、前記端位置で前記導体(54)を受け取る前記コンタクトスロット(8、10)のコンタクト領域(62)より狭くなっていることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項8】
絶縁材料から形成されたハウジング(70)をさらに備え、前記ハウジング(70)は、ハウジングベース(72)およびハウジングカバー(74)を備え、前記ハウジングベース(72)および前記ハウジングカバー(74)は、前記ハウジング(70)内へケーブル(52)を挿入することができる開始位置から、前記ケーブル(52)が前記絶縁変位デバイスに装着されて電気的に接続される装着位置へ、互いに対して摺動可能であり、前記ブレード要素(2)は前記ハウジングベース(72)内に受け取られ、前記偏倚要素(30)は前記ハウジングカバー(74)内に受け取られ、前記開始位置で前記ケーブル(52)を挿入するための空間をあけた量を有するゲル封止材料が、前記ハウジング(70)内に受け取られ、前記装着位置で周囲から前記ハウジングを封止する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項9】
前記ハウジング(70)内へケーブル(52)を挿入する前に前記ハウジングカバー(74)が前記開始位置から前記装着位置へ押されることを阻止する阻止手段(112、114)を備え、前記阻止は、前記阻止手段(114)と前記ハウジング(70)内へ挿入された前記ケーブル(52)との相互作用によって解除されることを特徴とする、請求項
8に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項10】
前記ハウジングカバー(74)内に受け取られる保持ばね(92)を備え、前記保持ばね(92)は、前記ケーブル(52)の前記外装(56)と協働して前記ハウジング(70)内で前記ケーブル(52)を保持するように適合されていることを特徴とする、請求項
8または
9に記載の絶縁変位コンタクトデバイス。
【請求項11】
第1のソーラーケーブルおよび第2のソーラーケーブルを有する太陽光利用設備であって、前記ソーラーケーブルはそれぞれ、請求項1から
10のいずれか一項に記載の絶縁変位コンタクトデバイス内に受け取られ、前記絶縁変位コンタクトデバイスは、互いに電気的かつ機械的に接続されている、太陽光利用設備。
【請求項12】
ブレード要素(2)およびU字状の偏倚要素(30)を備える絶縁変位コンタクトデバイス内で外装(56)および導体(54)を有するケーブル(52)を電気的に接続する方法であって、前記ブレード要素(2)は、対向するブレード(4.1、4.2)を備え、前記ブレード(4.1、4.2)はそれぞれ、切断縁(24)を有し、前記切断縁(24)は、末端にコンタクトスロット(8)を形成し、前記コンタクトスロット(8)は、前記ブレード(4.1、4.2)間に画定され
、前記絶縁変位コンタクトデバイスは、前記ケーブル(52)の前記外装(56)の外周と協働するように適合された広げ手段(26)をさらに備え、前記広げ手段(26)は、前記コンタクトスロット(8)の幅を広げるように前記ブレード(4.1、4.2)に割り当てられている、方法において、前記ケーブル(52)は、前記ケーブル(52)の長手方向に、前記切断縁(24)と前記偏倚要素(30)との間に画定された挿入開口(51)内へ挿入され、前記偏倚要素(30)には、前記コンタクトスロット(8)に対して平行な方向に前記ブレード要素(2)に沿って切れ目が入っており、それによって前記ケーブル(52)を前記コンタクトスロット(8)内へ付勢することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ケーブル(52)が前記絶縁変位コンタクトデバイスに電気的に接続される端位置に到達したとき、前記偏倚要素(30)は、スナッピング手段によって前記ブレード要素(2)に固定されることを特徴とする、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記偏倚要素(30)は、前記偏倚要素(30)が最大横方向偏倚力により前記ブレード要素(2)を取り囲む押圧域(p)を提供し、前記押圧域(p)は、前記偏倚要素(30)の摺動のために前記偏倚要素(30)が前記ケーブル(52)を前記コンタクトスロット(8)内へ付勢するとき、前記コンタクトスロット(8)に対して横断方向において、前記ケーブル(52)の
最大直径に対応する位置にあることを特徴とする、請求項
12または
13に記載の方法。
【請求項15】
外装(56)および導体(54)を有するケーブル(52)を電気的に接続する絶縁変位コンタクトデバイスであって、ブレード要素(2)および偏倚要素(30)を備え、前記ブレード要素(2)は、対向するブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)を備え、前記ブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)はそれぞれ、切断縁(24)を有し、前記切断縁(24)は、末端にコンタクトスロット(8、10)を形成し、前記コンタクトスロット(8、10)は、前記ブレード(4.1、4.2、6.1、6.2)間に画定され、前記偏倚要素(30)はU字状であり、前記ブレード要素(2)を取り囲む、絶縁変位コンタクトデバイスにおいて、前記偏倚要素(30)は、前記コンタクトスロット(8、10)に対して本質的に平行な摺動方向に、ブレード要素(2)によって摺動可能に保持されており、
前記絶縁変位コンタクトデバイスは、絶縁材料から形成されたハウジング(70)をさらに備え、前記ハウジング(70)は、ハウジングベース(72)およびハウジングカバー(74)を備え、前記ハウジングベース(72)および前記ハウジングカバー(74)は、前記ハウジング(70)内へケーブル(52)を挿入することができる開始位置から、前記ケーブル(52)が前記絶縁変位デバイスに装着されて電気的に接続される装着位置へ、互いに対して摺動可能であり、前記ブレード要素(2)は前記ハウジングベース(72)内に受け取られ、前記偏倚要素(30)は前記ハウジングカバー(74)内に受け取られ、前記開始位置で前記ケーブル(52)を挿入するための空間をあけた量を有するゲル封止材料が、前記ハウジング(70)内に受け取られ、前記装着位置で周囲から前記ハウジングを封止することを特徴とする絶縁変位コンタクトデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装および導体を備えるケーブルを電気的に接続する絶縁変位コンタクトデバイスに関する。そのような絶縁変位コンタクトデバイスは、従来技術では、導体を絶縁変位コンタクトデバイスに電気的に接触させるとき、導体の周りに外装によって与えられている絶縁を除去することが一般に知られており、受け入れられている。この目的で、絶縁変位デバイスはブレード要素を備え、ブレード要素は、切断縁をそれぞれが有する対向するブレードを備える。対向するブレードは通常、斜めの切断縁を有し、これらの切断縁は末端にコンタクトスロットを形成し、コンタクトスロットは、ブレード間に画定される。
【0002】
本発明は、たとえばEP0893845B1に記載されているような、偏倚要素を備える絶縁変位コンタクトデバイス(以下、IDCデバイス)を提供することを目的とする。この従来技術におけるブレード要素および偏倚要素は、別個の構成要素として準備され、シート金属から形成される。偏倚要素はU字状であり、接続すべきケーブルの導体がコンタクトスロット内に受け取られて電気的に接触された位置で、ブレード要素を取り囲む。ブレード要素は、偏倚要素を受け取る凹部を有し、それによってブレード要素と偏倚要素との間に形状嵌め接続を得る。
【背景技術】
【0003】
EP0893845B1から知られているIDCデバイスは、ブレード要素と導体との間に改善されたクランプ力、それによって接触力を提供するが、ケーブルを接続するには、たとえばコネクタの複数の撚り線をコンタクトスロットに押し込むために、ブレード要素を広げるための強い力が必要である。
【0004】
米国特許第6,540,544(B1)号は、ブレード要素によって画定された対向するブレードを有する別のIDCデバイスを開示しており、このIDCデバイスは、コンタクトスロットの延長に沿って可動の中空の本体部分を有し、IDCデバイスに電気的に接続すべきケーブルと協働するように適合された圧入ロッドを備える。さらに、中空の本体は、圧接ブレード押圧部分を支持し、これらの押圧部分は、ばね部材によって前記中空の本体部分の内部空間内に取り付けられ、ブレード要素の上面と協働する。コンタクトスロット内への導体の挿入中、ブレード要素は、わずかに傾斜して、コンタクトスロットの幾何形状を漏斗状にすることが可能であり、それによって導体の挿入を容易にする。
導体がスロット内に受け取られた後、ばね部材の弾力によってばね部材は互いの方へ傾斜し、それによって矩形コンタクトスロットを提供し、前記コンタクトスロット内に導体の撚り線を圧縮する。最終的に、ブレード要素のこの配置は、ブレード要素とブレード押圧部分との間の形状嵌めによって固定される。米国特許第6,540,544(B1)号から知られている上述したデバイスは、大きくて扱いにくく、したがって、経済的に製造することができない。さらに、ケーブルがIDCデバイスに装着されて電気的に接続される端位置における撚り線の詰め込み状態は、たとえばソーラーケーブル向けの電気接続内に存在するような高電流を伝送するために必要とされるほど密集していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】EP0893845B1
【文献】米国特許第6,540,544(B1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ケーブルを電気的に接続する素早く簡単な誤りにくい設置プロセスを可能にするIDCデバイスを提供することを目的とし、このIDCデバイスは、広範囲のケーブルサイズに適合可能であるべきである。たとえば、これらのケーブルサイズは、有効断面積が2.5~10mm2の導体を有することができ、ケーブル、すなわち外装の外径は、5.5mm~7.5mmの範囲とすることができる。さらに、本発明は、ソーラーケーブルを容易かつ確実に接続する手段を提供することを所望する。本発明はさらに、外装および導体を有するケーブルをIDCデバイスに電気的に接続する方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題への解決策として、本発明は、請求項1に記載のIDCデバイスを提案する。
【0008】
本発明のIDCデバイスは、ブレード要素および偏倚要素を有する。これらの要素は通常、別個のシート金属片から形成され、互いに独立して別個に準備される。言い換えれば、ブレード要素および偏倚要素は、物理的に別個の要素として準備される。偏倚要素はU字状であり、ブレード要素を取り囲んで、コンタクトスロット内に受け取られる導体の接触力を増強し、それによって、高電流接続のために生じる要件にIDCデバイスを適合させる。本発明のIDCデバイスでは、偏倚要素は、ブレード要素によって摺動可能に保持される。言い換えれば、特に本発明のIDCデバイスにケーブルを電気的に接続するためにケーブルを挿入する前、ブレード要素は、ブレード要素に対して摺動するように適合される。摺動方向は、コンタクトスロットに対して、すなわちコンタクトスロットの延長方向に対して、本質的に平行である。
【0009】
偏倚要素とブレード要素との間の摺動性により、偏倚要素によってコンタクトスロット内の導体とブレード要素との間のコンタクトを補強する前に、コンタクトスロット内へ導体を挿入することが可能になる。別法として、コンタクトスロット内への導体の導入中、偏倚要素をコンタクトスロットに対して本質的に平行に動かし、それによって、コンタクトスロットの方へケーブルを押すときの切断ブレードの切断力を増強することができ、かつ/またはたとえば導体の撚り線をコンタクトスロット内にしっかりと配置するための押圧力を増強することができる。コンタクトスロット内への導体の押圧中に偏倚要素を動かし、それによって押圧力を増強するとき、導体の撚り線は、より密に配置される。これにより、一方では、対向するブレード要素の対向する側面に対する導体の押圧力を堅実にし、他方では、コンタクトスロット内のそれぞれの撚り線の互いに対するコンタクトを完全にする。この改善された電気コンタクトの理由は、撚り線がコンタクトスロット内へ動くときに撚り線がコンタクトスロット内で密に再配置される可能性がより高くなるからである。
【0010】
好ましい実施形態によれば、本発明のU字状の偏倚要素は、ブレード要素内の端位置へケーブルを付勢するために使用され、この端位置で、ケーブルの導体は、コンタクトスロット内のブレード要素に接触する。U字状の偏倚要素は概して、互いに対して本質的に平行に延びる脚部を有し、これらの脚部は、共通のベースから突出する。本段落に論じる好ましい実施形態では、ベースは、ケーブルをコンタクトスロット内へ挿入する際にケーブルと協働するために利用される。U字状の偏倚要素は、挿入位置を画定するように適合され、挿入位置内では、切断縁と偏倚要素との間、より具体的には通常、偏倚要素のベースと切断縁との間に、挿入開口が画定される。この挿入開口は、IDCデバイスに電気的に接続すべきケーブルを受け取るように適合される。
【0011】
偏倚要素は、この挿入位置からコンタクトスロットの方へ摺動可能であり、それによってケーブルを端位置へ付勢する。偏倚要素のこの動きは通常、摺動運動であり、この摺動運動中、偏倚要素は、ブレード要素の摺動面に沿って摺動可能に案内される。これらの摺動面は通常、ブレード要素の外面によって画定される。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、U字状の偏倚要素のベースは、ブレード要素を横切って延びるように適合され、これは、ベースが通常、切断縁を含むブレードと交差することを意味する。ベースから突出する脚部は通常、コンタクトスロットの延長に対して本質的に平行に延びる。好ましくは、ベースと各脚部との間の移行部には、弾性変形蓄積域が設けられ、弾性変形蓄積域は、特に、ブレード要素のブレードを内方へ押すために必要とされる弾性変形を蓄積し、また、ケーブルがIDCコンタクトデバイス内へ挿入されてコンタクトスロット内へ押し込まれることによって引き起こされる弾性変形を蓄積する。
最も好ましくは、各脚部は押圧域を画定し、押圧域では、好ましくは、最大横方向偏倚力がブレード要素上へ加えられる。それぞれの脚部によって設けられる押圧域は通常、同じ高さに設けられ、この高さは、小さいスロットの延長方向に対応し、通常、接続すべきケーブルの延長方向に直交する。前記ケーブルの延長方向は、IDSデバイスおよびその構成要素の構造を画定するために本説明で使用される長さに対応する。第3の寸法は幅方向であり、幅方向は、高さおよび長さに直交する。
【0013】
押圧域は通常、押圧域が、コンタクトスロットに対して横断方向においてケーブルの最大寸法のレベルにくるように、すなわちケーブルを挿入した際の幅方向においてケーブルの最大寸法のレベルにくるように配置される。これは、2つの脚部によって設けられる対向する押圧域とベースと間の高さ方向の距離を適切に選択することによって実現することができ、ベースは、好ましくは、ケーブルをコンタクトスロット内へ付勢するように外装と協働する。したがって、押圧域は、高さ方向におけるケーブルの最大直径と同じ高さでケーブルとともに動いており、それによってコンタクトスロット内の切断力および接触力を増強させる。
【0014】
導体の挿入、特にコンタクトスロット内への導体の複数の撚り線の挿入を容易にするために、IDCデバイスは、接続すべきケーブルの外装の外周と協働するように適合された広げ手段を備え、広げ手段は、コンタクトスロットの幅を広げるようにブレードに割り当てられる。広げ手段は通常、導体がコンタクトスロット内へ押し込まれるとき、コンタクトスロットに対して横断方向において、ケーブルの最大寸法が、広げ手段のレベルにくるように設計される。広げ手段は、ブレード要素の対向する側に配置される突出部によって提供することができ、突出部は、コンタクトスロットの方へ、すなわち幅方向に突出し、コンタクトスロットの口と本質的に同一水平面上に配置され、導体は、この口を通ってコンタクトスロット内へ付勢される。
言い換えれば、IDCデバイス内へのケーブルの挿入中、コンタクトスロットへ移送されるケーブルの最大寸法は、突出部と協働してコンタクトスロットの幅を広げ、それによってコンタクトスロットの口の幅を増大させる。上記の説明は、たとえば突出部の形態の2つの広げ手段に関して確立されたものであり、2つの広げ手段はそれぞれ、コンタクトスロットの対向する側に割り当てられているが、そのような広げ手段は、コンタクトスロットの一方の側だけに同様に配置することもできる。
【0015】
これらの広げ手段は通常、ケーブルの完全性に影響を及ぼすことなく、特に外装を切断することなく、ケーブルの外装と協働する。広げ手段の主な理由は、コンタクトスロットを開くこと、特に、複数の撚り線がコンタクトスロットに容易に入ることを可能にすることである。広げ手段は通常、導体がコンタクトスロットの口を通った後に、広げ手段とケーブルの外装との間の協働が終了し、それによってブレードを弾力により互いの方へ付勢することを可能にするように構成される。この弾力は、U字状の偏倚要素の弾力とすることができる。しかし、請求項4に記載の上記の好ましい実施形態は、本発明による偏倚要素のないIDCデバイスに対しても同様に実現することができることに留意されたい。
したがって、IDCデバイスのブレード要素は、少なくともこれらのブレードが、コンタクトスロット内に受け取られた導体に対して偏倚する弾力を蓄積するように適合された場合、そのような広げ手段を備えることができる。この弾力は、そのようなブレード要素および/または従来技術で概して知られており、たとえばEP0893845B1に記載されている偏倚手段によって生成することができる。
【0016】
導体をコンタクトスロット内へ挿入するとき、導体に作用する弾力に応じて、導体および/またはコンタクト要素も同様に塑性変形することがある。そのような塑性変形は特に、銅から形成された導体および/またはブレード要素の場合に生じることがある。特に、この観点から、本発明は、コンタクトスロットに対して修正された幾何形状を提案し、このコンタクトスロットは、スロットの口、すなわち切断ブレードの末端に続いて、矩形スロットの幾何形状を備える。ケーブルの挿入方向においてこの矩形部分の後、スロットは傾斜し、それによって幅が広くなる。
【0017】
偏倚要素がブレードを取り囲むときのブレードのさらなる屈曲を容易にするために、本発明は、ベースと各脚部との間の隅部が凸形の形状になる好ましい実施形態を提供する。したがって、ケーブルの挿入中に凸形隅部と同一水平面上にくるブレード要素の上部領域は、偏倚要素の内面と接触するまで外方へ曲がることが可能になる。脚部によって設けられる上記で論じた押圧域は、ブレード要素の方へ突出する凸面によって設けることができ、偏倚要素を画定するシート材料の内方へ曲がった出っ張りまたは凸形突起によって設けることができる。この凸形の形状の押圧域は通常、ベースと各脚部との間に設けられる凸形隅部と直接一体になる。どちらの隅部も通常、弾性変形蓄積域を画定し、110~180°曲がった凹面を有することができる。U字状の偏倚要素のベースは、凸形隅部とそれらの間に設けられる凹形の中央部とを備える波状のプロファイルを有することができ、波状のプロファイルは、コンタクトスロット内へのケーブルの挿入中にケーブルの外装と協働するように適合される。
【0018】
別法として、偏倚要素は、ブレード要素と協働する頂点を画定するようにブレード要素の方へ突出する凸面を備えなくてもよい。代わりに、押圧域は、偏倚要素の本質的に平坦な対向する表面によって提供することができ、これらの表面は、凸形隅部と一体になる。したがって、偏倚要素のまっすぐな脚部は内方へ曲がらず、外方にだけ曲がって、凸形隅部を形成する。
【0019】
好ましい実施形態によれば、ブレード要素を取り囲んで偏倚要素のベースから突出する対向する脚部は、自由端で互いに接続され、それによって、好ましくは押圧域内でブレード要素に加えられる全体的な押圧力を増大させる。この接続は通常、形状嵌め接続である。
【0020】
偏倚要素は、好ましくは、切断および曲げ加工ならびに/または深絞り加工によって、単一の金属シートから形成される。金属は、好ましくは、ばね鋼シートおよび/またはステンレス鋼シートである。ブレード要素は、好ましくは、良好な導電率の金属材料、好ましくは銅または銅ベースの合金材料から形成される。ブレード要素は、異なる部分から形成することができる。耐久性のある切断縁が必要とされる場合、ブレード要素は、切断ブレード要素を画定する鋼シートから形成された切断縁を有することができ、この切断縁は、ブレード間にコンタクトスロットを提供するブレードの下部を画定するブレードコンタクト要素に接続される。複数のシート金属材料片から形成されたそのようなブレード要素は、本発明によるブレード要素である。コンタクトスロットを画定するシート金属および切断縁を画定するシート金属を互いに接続して、単体のブレード要素を画定することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、偏倚要素の端位置を固定するための固定手段が設けられる。この端位置で、導体は、コンタクトスロット内に受け取られ、偏倚要素は、ブレード要素に沿って摺動し、その結果、偏倚要素は通常、切断ブレードと同一水平面上に、すなわち切断ブレードと同じ高さに配置される。偏倚要素の端位置内で、ケーブルは通常、IDCデバイス内に装着され、IDCデバイスに電気的に接続される。固定手段は、端位置を固定し、したがって偏倚要素が上方へ移動することを防止する。偏倚要素が上方へ移動すると、コンタクトスロット内の導体のクランプ力が低減され、それによってブレード要素と導体との間の堅実なコンタクトに悪影響が及び、それによって電流がケーブルの導体から電気抵抗の低いブレード要素内へ流れることが可能になるはずである。
固定手段は、スナッピング手段として設けることができ、スナッピング手段は、ブレード要素および/もしくは偏倚要素の単体の部材として形成することができ、またはたとえばブレード要素および/もしくは偏倚要素を受け取る絶縁ハウジングのハウジング要素を固定するために設けられる形状嵌め部材として形成することができる。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ブレード要素は、長手方向の距離をあけて配置された少なくとも2組のブレードを備える。さらに、この好ましい実施形態と組み合わせて、コンタクトスロットの一方の側に配置されたこれら2組のブレードを接続する側壁が、偏倚要素の端位置で偏倚要素を受け取るように適合されたレセプタクルを画定する。レセプタクルは通常、少なくともブレード要素の隅部間にU字状の偏倚要素のベースを挿入することを可能にする切抜きまたは凹部である。ベースの長さは、脚部の長さより小さくすることができる。したがって、脚部は、ブレード要素の長さ全体にわたってブレード要素を取り囲むことができ、ブレード要素によって設けられるレセプタクルは、U字状の偏倚要素の上部、特にベースを受け取るように適合される。
2組のブレードがブレード間に長手方向の距離、すなわち上記で論じた長さ方向の距離をあけて配置されたこの好ましい実施形態の場合、広げ手段は通常、コンタクトスロットの一方の側に配置されたこの組のブレード間に設けられる。広げ手段は通常、2組のブレードに対して対称に配置され、それによって対称に広げる力を提供して、コンタクトスロット内への導体の挿入を可能にする。
【0023】
本発明のブレード要素は、円筒形のプラグ要素、特にソーラーケーブル向けの規格であるPV4規格によるプラグ要素を提供することができる。この円筒形のプラグ要素は通常、ブレード要素の別個の切断ブレード要素によって提供される切断縁の場合、ブレード要素またはブレードコンタクト要素の単体の部分として提供される。円筒形のプラグ要素は、メスプラグ要素またはオスプラグ要素とすることができる。嵌合するIDCデバイスの場合、これらのデバイスの一方は、オスの円筒形のプラグ要素を提供することができ、他方は、オスの円筒形のプラグ要素に嵌合するように適合されたメスの円筒形のプラグ要素を提供することができる。したがって、本発明の2つのIDCデバイスは、プラグ接続に対して1対の嵌合するコンタクトを画定する。
【0024】
このプラグ要素、ならびにさらに好ましい実施形態によって提供されるラッチ要素および/または保持ラッチは通常、ブレード要素またはコンタクトブレード要素に嵌合するように提供されたシート金属の切断および曲げ加工によって提供される。保持ラッチは、ケーブルの外装を貫通し、それによって本発明のIDCデバイス内にケーブルを機械的に固定するように適合される。保持ラッチは通常、コンタクトスロットに対して本質的に平行に延びる。したがって、ケーブルをその導体とともにコンタクトスロット内へ挿入するとき、接続すべきケーブルは保持ラッチ内へ同様に押し込まれ、それによってケーブルとIDCデバイスとの間に良好な機械的コンタクトをもたらす。しかし、あらゆる他の手段も、IDCデバイスからのケーブルの抜き取りを防止するためにIDCデバイス内にケーブルを保持するのに適している。
固定ラッチにより、塑性のハウジング内にブレード要素を固定することができる。塑性のハウジング自体も、同様にまたは別法として、特にハウジング内で定位置にコンタクト要素を固定するための形状嵌め手段を提供することができる。それぞれの塑性のハウジングは同様に、ハウジングからの挿入されたケーブルの後退を防止し、それによって塑性のハウジングを備えるIDCデバイス内にケーブルを固定するための手段を提供することができる。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、IDCデバイスは、絶縁材料、特に塑性材料から形成されたハウジングを備え、塑性材料は、射出成形することができる。ハウジングは、少なくともハウジングベースおよびハウジングカバーを備え、ハウジングベースおよびハウジングカバーは、互いに対して摺動可能である。言い換えれば、ハウジングベースおよびハウジングカバーは、摺動運動を提供することが可能である。したがって、ハウジングは、ハウジング内へケーブルを挿入することができる開始位置と、ケーブルがIDCデバイス内に装着されてIDCデバイスと電気的に接続される装着位置とを画定することができる。ハウジングカバーは通常、ハウジングカバー内へ、開始位置から装着位置へ摺動する。
通常、ハウジングカバーは、ハウジングベースがブレード要素を受け取るときにハウジング内へケーブルを挿入する手段を提供する。したがって、偏倚要素は通常、ハウジングカバーに受け取られ、好ましくは取り付けられる。この好ましい実施形態によれば、開始位置でハウジング内へケーブルを挿入するための空間をあけた量を有するゲル封止材料が、ハウジング内に受け取られ、この量は、装着位置でハウジング内の空間全体を本質的に充填するのに十分である。装着位置で、ゲル封止材料は、ハウジング内のすべての空隙を本質的に充填し、したがって、湿気または汚れがハウジング内へ入ることを防止する。
装着位置におけるハウジングの閉鎖を改善し、またIDCデバイス内でのケーブルの組立て前に汚れまたは湿気がハウジングに入ることを防止するために、カバーは、ハウジング内へのケーブルの挿入に適合された開口を画定し、この開口は、カバーに割り当てられており、封止要素が、挿入されたケーブルの外装を受け取り、外装と協働してハウジングの内部空間を封止するように適合される。封止要素は通常、追加のケーブルを接続するためにIDCデバイスを使用するまでハウジングカバーの開口を本質的に封止するように構成される。このため、封止要素は、好ましくは、切り込みの入った膜を有し、この膜は、開口を完全に封止する。切り込みの入った膜は、切れ目によって分離された複数の部分を有することができ、切れ目は、膜を完全には貫通しないが、封止要素を通ってケーブルを挿入したときにこれらの部分を分離することを可能にする。
【0026】
好ましくは、ハウジングカバー内に保持ばねが受け取られ、挿入すべきケーブルの外装と協働してハウジング内でケーブルを保持するように適合される。保持ばねは通常、切断、好ましくは型打ちされた単一のシート金属片から形成されており、保持ばねはリング状のベースを有し、このベースからばねアームが径方向内方へ突出し、軸方向にわずかに曲がって、10~45°の勾配を呈している。この勾配のため、ばねアームは、外装の外周と協働するフックを画定し、これらのフックは、ケーブルの挿入後にケーブルがハウジングから引き出されることを防止する。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ハウジングベースとハウジングカバーとの間にロック手段が設けられ、ロック手段は、開始および/または装着位置を固定する。特に、ロック手段は、装着位置でハウジングベースおよびハウジングカバーを解除できないように固定するように適合される。ロック手段は、たとえば、ハウジングベースまたはハウジングカバーによって設けられる少なくとも1つのスナッピング要素と、ハウジングベースおよびハウジングカバーの他方によって設けられる1つのスナッピング受取り要素とによって提供することができ、これらのスナッピング要素は、ハウジングベースに沿ったハウジングカバーの摺動運動の結果、装着位置で有効になる。
【0028】
さらに好ましい実施形態によれば、ハウジングは、ハウジング内へケーブルが挿入されていない状態で開始位置から装着位置へのハウジングカバーの移動を防止するために、間違えようのないようになっている。この目的で、ハウジングは、ハウジング内へケーブルを挿入する前にハウジングカバーが開始位置から装着位置へ押されることを阻止する阻止手段を備える。阻止は、阻止手段とハウジング内へ挿入されたケーブルとの相互作用によって解除される。阻止手段は、好ましくは、それぞれハウジングベースおよびハウジングカバーの協働面による形状嵌め手段である。これらの協働面は、たとえば、表面を画定する部材の1つとハウジング内に受け取られたケーブルとの間の相互作用によって係合解除される。この相互作用後、阻止手段は解除され、したがってハウジングカバーを下方へ装着位置に押すことができる。
【0029】
さらに、本発明は、第1のソーラーケーブルおよび第2のソーラーケーブルを有する太陽光利用設備を提供する。両ソーラーケーブルはそれぞれ、本発明のIDCデバイス内に受け取られ、IDCデバイスは、互いに電気的かつ機械的に接続される。この接続は、解除できない機械的および電気的接続とすることができる。言い換えれば、単体の絶縁材料のハウジング内に2つのIDC要素を備えることができ、各IDC要素は、ハウジングベースおよびハウジングカバーを画定する。ハウジングベースは通常、単体の部材によって設けられ、ハウジングカバーは、単体の部材内に設けることができ、または、割り当てられたIDCデバイスとソーラーケーブルとの個々の電気的接続のために、互いに独立して設けることができる。本発明のこの類似の態様によって提供される太陽光利用設備は、必ずしも請求項1に記載のIDCデバイスを備えなければならないとは限らない。
IDCデバイスは、本発明のブレード要素および広げ手段によって実施することができ、必ずしも追加の別個の偏倚要素を備えなければならないとは限らない。したがって、本発明は、太陽光利用設備の2つのケーブルを電気的に接続する有効かつ容易なやり方を提供する。ソーラーケーブルは通常、8、10、12、または14のAWGケーブルであり、複数の撚り線が1本の導体を画定する。ソーラーケーブルは通常、少なくとも35本の撚り線を有し、したがって、1つのIDCデバイスによって接続可能であることは知られていない。この問題は、本発明によって解決され、本発明は、これらの複数の撚り線をコンタクトスロット内に圧縮するとともに、同時に複数の撚り線をコンタクトスロット内へ付勢することを容易にする手段を定義し、そのため、各IDCデバイスに対して本発明の広げ手段および/または本発明の偏倚要素を提供することができる。
ソーラーケーブルのワイアサイズは通常、2.5~10mm2である。これらのケーブルは通常、XLPEまたはXLPOの絶縁体を有し、通常、2重に分離されたケーブルである。本発明がなされるまで、2重に分離された複数の撚り線を有するそのようなケーブルを電気的に接続することが可能であるIDCデバイスは知られていなかった。本発明の太陽光利用設備は、1000~2000ボルトの高電圧電流を伝えるケーブルを確実に接続するのに適している。ケーブルは、導体を形成する35~80本の撚り線を有することができ、撚り線1本当たりの有効径は、0.25~0.4mmである。導体の有効径は、2~4.5mmの範囲内とすることができる。外装の外径は、5.5~7.5mmの範囲内とすることができる。
【0030】
本発明のIDCデバイスは、好ましくは、傾斜スロットを提供し、傾斜スロットは、偏倚要素がコンタクトスロットの方へ移動した端位置におけるスロットの形状によって提供され、この形状では、コンタクトスロットの口は、コンタクトスロットが端位置で導体を受け取るコンタクト領域より狭い。言い換えれば、スロットの高さ方向の延長において、口は、口に続く部分より幅方向に小さい。通常、スロットの高さ方向の延長は、コンタクト領域およびスロットの下端より下に十分な余裕を残し、それによってケーブルの外装がブレード要素を互いに離れる方へ押すことを防止する。ブレード要素が互いに離れた場合、導体とコンタクトブレードとの間の電気コンタクトに悪影響が及ぶ可能性がある。
特に、本発明の広げ手段と組み合わせて、傾斜スロットを開いて狭い口を拡大し、撚り線をコンタクトスロット内へ挿入することを可能にし、広げ手段は、導体が口を通過した後に無効になり、それによってブレード要素を互いの方へ押し、コンタクトスロット内で導体を実際上圧縮し、ケーブルとIDCデバイスとの間に良好な電気コンタクトを提供する。代替実施形態では、導体は、端位置で矩形スロットの幾何形状内に受け取られ、外装は、傾斜部分内に受け取られる。傾斜部分は、コンタクトスロット内へのケーブルの挿入方向において、矩形スロットの幾何形状を有する部分に続く。
【0031】
本発明の別の態様は、ケーブルがケーブルの長手方向に挿入開口内へ挿入される方法を提供する。挿入開口は、切断縁間に画定され、切断縁は通常、斜めであり、したがって通常、V字状の形状を画定する。偏倚要素がU字状であり、ブレード要素を取り囲む本発明の構成で、偏倚要素は同様に、挿入開口を画定し、すなわち切断縁より上の領域を覆う。本発明によれば、偏倚要素は、コンタクトスロットに対して平行な方向にブレード要素に沿って摺動し、それによってケーブルをコンタクトスロット内へ付勢する。言い換えれば、U字状の偏倚要素のベースは、接続されるべきケーブルの外装と協働して、ケーブルの導体をコンタクトスロット内へ押し込む。
【0032】
別法または追加として、ブレード要素自体によって提供される弾力および/もしくは塑性力、または本発明の偏倚要素もしくはたとえばEP0893845B1のように従来技術から知られている他の偏倚手段によって提供される弾力のため、コンタクトスロットの口は、ケーブルの外装と各ブレードに割り当てられた広げ手段との協働によって広げられ、コンタクトスロット内への導体の挿入を容易にし、導体が口を通過した後にブレードをともにより近づける。
【0033】
本発明の方法の類似の態様によれば、この方法は、外装および導体を有するケーブルを絶縁変位コンタクトデバイス内に電気的に接続するためのものであり、ブレード要素は、対向するブレードを備え、ブレードはそれぞれ、切断縁を有し、ブレード間にコンタクトスロットを画定する。本発明の方法では、コンタクトスロットの口は、ケーブルの最大寸法がコンタクトスロットへ移るときに広げ手段が外装と協働することによって広げられ、広げ手段は、導体がコンタクトスロットの口を通過した後に無効になり、それによって弾力により、コンタクトスロットを画定するブレード要素がより狭い形状になり、コンタクトスロット内で導体を圧縮することが可能になる。この方法は、偏倚要素を必要としない。
【0034】
したがって、本発明の方法により、ケーブル、特に導体を画定する少なくとも35本の撚り線を有するソーラーケーブルをIDCデバイスによって電気的に接続することができる。
【0035】
本発明の方法では、U字状の偏倚要素は、好ましくは、スナッピング手段によって端位置でブレード要素に固定され、ケーブルは、IDCデバイスに電気的に接続される。
【0036】
さらに好ましい実施形態によれば、偏倚要素は、押圧域内で最大横方向偏倚力によりブレード要素を取り囲み、押圧域は、偏倚要素の摺動中に偏倚要素がケーブルをコンタクトスロット内へ付勢するとき、コンタクトスロットに対して横断方向において、ケーブルの最大寸法と本質的に同一水平面上にくる。言い換えれば、押圧域は、コンタクトスロットにちょうど対向する外装の外面上で偏倚要素がケーブルに接触するとき、コンタクトスロットの延長に対して横断方向においてケーブルの最大直径に対応する位置でケーブルを取り囲む。
【0037】
本発明について、図面を参照することによって次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態によるブレード要素の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の偏倚要素の斜視図である。
【
図3a】
図1および
図2に示す構成要素を備えるIDCデバイスおよびAWG14のソーラーケーブルを接続する異なる段階の正面図である。
【
図3b】
図1および
図2に示す構成要素を備えるIDCデバイスおよびAWG14のソーラーケーブルを接続する異なる段階の正面図である。
【
図3c】
図1および
図2に示す構成要素を備えるIDCデバイスおよびAWG14のソーラーケーブルを接続する異なる段階の正面図である。
【
図3d】
図1および
図2に示す構成要素を備えるIDCデバイスおよびAWG14のソーラーケーブルを接続する異なる段階の正面図である。
【
図4a】AWG10のソーラーケーブルを接続するそれぞれの段階における
図3aによるIDCデバイスの正面図である。
【
図4b】AWG10のソーラーケーブルを接続するそれぞれの段階における
図3bによるIDCデバイスの正面図である。
【
図4c】AWG10のソーラーケーブルを接続するそれぞれの段階における
図3cによるIDCデバイスの正面図である。
【
図4d】AWG10のソーラーケーブルを接続するそれぞれの段階における
図3dによるIDCデバイスの正面図である。
【
図5】絶縁ハウジングを有する
図1~
図4に示すIDCデバイスの斜視断面図である。
【
図6】ハウジングの開始位置における
図5の線VI-VIに沿って切り取った断面図である。
【
図7】ハウジングの装着位置における
図6による断面図である。
【
図8】この実施形態のハウジングのハウジングカバー内を見る斜視図である。
【
図9a】ハウジングカバー内に受け取られることになる封止要素の第1の実施形態の斜視図である。
【
図9b】ハウジングカバー内に受け取られることになる封止要素の第2の実施形態の斜視図である。
【
図10】ケーブルの外装と協働するように示されている、ハウジングカバー内に受け取られることになる保持ばねの実施形態の斜視図である。
【
図11】IDCデバイスの第2の実施形態の斜視側面図である。
【
図12a】IDCデバイスの代替実施形態の正面図である。
【
図12b】IDCデバイスの代替実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、ブレード要素の一実施形態の斜視図であり、ブレード要素は、切断および曲げ加工によって単体のシート金属片から形成され、シート金属は、銅または銅合金である。参照番号2で識別されるブレード要素は、2組のブレード4、6を備える。各組4、6は、互いに対向して配置された2つのブレード4.1、4.2、6.1、6.2を備え、ブレード間にコンタクトスロット8、10を形成する。これらのブレード4、6は、側壁に対して90°の角度で曲がっており、側壁は、ブレード要素2のベース14に対して90°曲がっている。ベース14の一方の端部から固定ラッチ16が突出し、また他方の端部から一体の円筒形プラグ18が突出する。
プラグ18は、VP4相互接続プラグである。ブレード4、6は、側壁12のみによってベース14に接続される。各側壁12の上部自由端は、ブレード4、6と側壁12とを接続する隅部22間に凹んだレセプタクル20を備える。この隅部22で、各ブレード4、6は斜めに延びて、対向するブレード4.1、4.2、6.1、6.2間にV字状の形状を画定する。この斜めの形状はそれぞれ、切断縁24を画定する。2つの対向する切断24は、末端にそれぞれコンタクトスロット8、10を形成する。側壁12から、突起26が内方へ突出し、突起26は、シート金属材料を深絞り加工することによって形成され、突起26は、突起26と挿入すべきケーブルとの協働によって対向するブレード要素4.1、4.2、6.1、6.2を広げるための広げ手段を実現する。この機能については、以下で説明する。さらに、ブレード12外側は、突起26より下に、ばねロックレセプタクル28を備える。突起26およびばねロックレセプタクル28を除いて、側壁12の外面は平坦である。
【0040】
図2は、偏倚要素30の一実施形態について説明し、偏倚要素30は、略U字状の形状を有し、対向する脚部32が、ベース34から突出してベース34に接続されている。各脚部32は、本質的に高さ方向hに延びてばねロック要素36を画定するU字状の切抜きを有し、ばねロック要素36は、自由端で脚部32の内側対向面からわずかに突出する。脚部32の寸法は、長さ方向lにおいて、ベース34より大きい。U字状の偏倚要素30の断面で、ベース34は波状の断面を有し、凸形隅部38と、ベース34の中央に位置する凹形の中央部40とを有する。凸形隅部38は、脚部32が外方へ曲がるときに脚部32の弾性変形を蓄積するように構成される。
【0041】
本実施形態では、脚部32の自由端は、脚部32に略直交して延びる固定脚部48の自由端付近に形成された固定凹部46内へ突出する固定ラッチ42の形状嵌め閉鎖によって接続される。両脚部32を自由端で接続する上述した接続手段は、省くこともできる。これらの手段は、偏倚要素30の圧縮力を強める。しかし、これらの手段を省き、脚部32をベース34に弾性的に接続することも実行可能である。
【0042】
図3および
図4の側面図から特に明らかになるように、脚部32は、ばねロック要素36の自由端よりわずかに上に、凸形突起50を有する。2つの凸形突起50は、高さ方向hにおいて同一水平面上にあり、脚部32の略平坦な表面からわずかに突出する。この凸形突起50から、凸形隅部38が延びる。したがって、各脚部32のうちばねロック要素よりわずかに上に位置する外面は、凸形突起50の位置で凹形であり、凸形隅部38の位置で凸形である。凸形突起50は、押圧域pを画定するためのものであり、以下に説明するように、押圧域p内では、ブレード要素に最大横方向偏倚力が加えられる。
【0043】
図3aは、ブレード要素2上へ装着された偏倚要素30の挿入位置を示す。この挿入位置で、ベース34は、偏倚要素30のベース34とブレード要素2との間にケーブル52を挿入することを可能にするのに十分な距離を、切断縁24より上に備える。この挿入位置で、ばねロック要素36の自由端は、ブレード要素2から突出する。
図3aで、切断縁24より上であるが偏倚要素30のベース34より下の空間は、ケーブル52を受け取るように適合された挿入開口51を画定する。
図3a~
図3dに示すあらゆる位置で、偏倚要素30のベース34は、ブレード要素2を横切って延びる。
したがって、ベース34は、移動方向に直交して延びており、偏倚要素30は、
図3a~
図3dの順序に従って、高さ方向hに、すなわちコンタクトスロット8、10の延長に沿って移動する。この摺動運動は、各側壁12の平坦な外面が脚部32の内側対向面と協働することによって案内される。ケーブル52は、AWG14のソーラーケーブルであり、直径0.25mmの47本の個々の撚り線によって形成された導体54と、外径5.65~6.18mmの外装56とを有する。外装56は、絶縁体58を取り囲む。したがって、ケーブル52は、2重に分離されたケーブルである。
【0044】
ケーブル52の挿入後、偏倚要素30は、ブレード要素2の方に下方へ押される。この運動中、ベース34、具体的にはベース34の凹形の中央部40が、ケーブル52の外周に接触し、ケーブル52を切断縁24の方へ押し込む。
図3bは、外装56と切断縁24との最初の接触を識別するためのものである。偏倚要素30がブレード要素2の方へさらに前進すると、切断縁24は、外装56および絶縁体58を切断して、導体54を露出させる。この切断動作は、切断縁24がコンタクトスロット8または10に移るときに本質的に終了する。対応する状況を
図3cに示す。ケーブル52がブレード要素2内へさらに前進すると、導体54はコンタクトスロット8の口60を通過する。この口は、コンタクトスロット8の最も狭い部分を画定する。この位置で、導体54の個々の撚り線は、コンタクトスロット8の形状に適合するように変形され、最終的に、コンタクトスロット8の延長方向におけるコンタクトスロット8の中央部で、ブレード4.1間に画定されたコンタクト領域62内に導体54の撚り線が配置される。この状況を
図3dに示す。
【0045】
図3a~
図3dの順序から見られるように、押圧域pは常に、コンタクトスロット8の延長方向に移送される方向において、ケーブル52の最大延長と同一水平面上にある。したがって、切断縁24の切断動作およびコンタクトスロット8内の撚り線の押圧は、ケーブル52と常に同一水平面上にある偏倚要素の弾力によって支援される。
図3dに示す端位置で、各脚部32のばねロック要素36は、ブレード要素2のばねロックレセプタクル28内に受け取られて、端位置を固定するためのポジティブフィットを提供する。
【0046】
図4a~
図4dは、7.23~6.68mmの外径を有し、したがって
図3a~
図3dのケーブルAWG14より大きい外径を有するAWG10ケーブルに対して、同じ順序を示す。同じことが、3.1mmの導体の直径にも当てはまる。コンタクトスロット内にすべての撚り線を位置決めすることを支援するために、外装56の外径は、
図4cに示す突起26の輪郭と協働し、その後、外装56および絶縁体58は完全に切断されて、導体54が露出される。この位置で、導体54をコンタクトスロット8内へさらに前進させると、ブレード4.1、4.2の上部は、押圧域pより上に設けられた領域内で、凸形隅部38によって外方へ屈曲することが可能になる。これらの隅部は、ブレード4.1、4.2、6.1、6.2およびこれらを接続する側壁12の可動度をより大きくするための余裕を与える。したがって、ブレード要素2がその上端で外方へ屈曲できないことによって、凸形突起50によってブレード要素2に加えられる最大横方向偏倚力が低減されることはない。このため、凸形隅部38の対向面は、脚部32のまっすぐな内面を含む基準平面から外方へ突出し、凸形突起50は、反対側の基準面から互いの方へ突出する。
【0047】
図11は、第1の実施形態のそれぞれの要素に対応する偏倚要素30と、わずかに異なる構成を有するブレード要素2とを備えるIDCデバイスの斜視側面図である。この異なる構成で、固定ラッチ16は、本質的に2組のブレード4、6間の長さの2分の1のところに配置されており、ブレード要素2のベース14の一方の端部は、三角形の形状を有し、保持ラッチ64を画定するように上方へ曲がっている。保持ラッチ64は、コンタクトスロット8の延長方向に対して本質的に平行に延びており、ケーブル52がコンタクトスロット8の方へ前進し、最終的にその導体54とともにコンタクトスロット8内に配置されるまで、外装56と協働するように適合される。したがって、端位置で、保持ラッチ64は、外装56を貫通して、IDCデバイス内でケーブル52を軸方向に固定する。
【0048】
次に、ハウジングの説明を提示する。ハウジングは、参照番号70で識別されており、ハウジングベース72およびハウジングカバー74を備え、ハウジングベース72およびハウジングカバー74は、
図5および
図6に示す開始位置から
図7に示す装着位置まで、互いに対して摺動可能である。
図6の開始位置で、偏倚要素30は挿入位置にある。
図7による装着位置で、偏倚要素30は、
図3dおよび
図4dを参照して説明した端位置に設けられている。
【0049】
ハウジングベース72は、プラグ18を取り囲む円筒形プラグハウジング部分76を画定し、円筒形プラグハウジング部分76は、相手ハウジング30の別のハウジングベースの相手プラグ部分を案内して、ハウジング70をブレード要素2に、具体的には相手プラグ18に、電気的かつ機械的に接続するように適合される。ハウジングベース72の底部には、固定ラッチ16を受け取ってハウジングベース72内でブレード要素2を軸方向に固定する固定スロット78が設けられる。ハウジングベース72は、ベース14より下に、U字状の受取りチャンバ80を画定し、受取りチャンバ80は、脚部32のうちたとえば端位置でブレード要素から下方方向へ突出する部分を受け取るように適合される。
プラグハウジング部分76とは反対側のハウジングベース74の前面には、ハウジングカバー74内へケーブルを挿入するための開口86を画定するハウジングカバー74の円筒形部分84を案内するように適合された摺動スロット82が設けられる。装着位置で、円筒形部分84の外周は、摺動スロット82の半円形の末端に当接する。円筒形部分84とブレード要素2との間で、ハウジングカバー74はチャネル部材88に接続され、チャネル部材88は、封止要素90および保持ばね92を受け取り、チャネル94を円周方向に密閉する。チャネル94は、ケーブル52をハウジング70内へ案内し、それによってブレード要素2を通過させるように適合される。
【0050】
図9aに示す封止要素90は、ディスク状の要素であり、切り込みの入った膜98によって閉鎖された補強リング96を有する。切り込みの入った膜98は、ケーブル52の挿入前に閉鎖された封止面を提供しており、切り込みの入った膜98の切断線に沿って膜98を貫通し、膜98の弓形100を分離することができる。
図9bによる代替実施形態は、切り込みが入っておらず小さい開口だけを備える膜98を有しており、ケーブルがハウジング70内へ挿入されると、開口が広がり、ケーブルの外周に封止当接してケーブル52を封止する。
【0051】
図10に示す保持ばね92は、切り込みによって形成された複数のばねアーム102を有し、ばねアーム102は、曲げ加工の結果、またはケーブルがばねアーム102を通過した結果、リング部分104から突出することができる。この型打ち動作によって、保持ばね92を画定するシート金属材料は曲がり、リング部分104から径方向内方へ突出するU字状のばねアーム102を提供する。最初の状態で、すなわちケーブルを挿入する前に、ばねアーム102は、リング部分104とともに平面内に位置することができ、またはリング部分104を含む平面の外へ曲がって挿入すべきケーブルの長手方向および挿入方向に延び、リング部分104に対して少なくともたとえば10°曲がることができる。
この曲げは、ケーブルの直径が保持ばね92内へ挿入されることによって生じ、またはさらに増強される。
図10では、ケーブルの直径がかなり大きく、ばねアーム102が約45°の曲げ角度αだけ曲がっていると想定する。
図10から推論できるように、ばねアーム102の自由端は、ケーブル52が保持ばね92から引き出されることを防止するために、外装56の外周部に食い込む。したがって、保持ばね92は、ハウジング70内へ挿入されたケーブル52の完全な軸方向固定を提供する。
【0052】
ハウジングベース72の底部は、装着位置でチャネル部材88の輪郭を受け取るように構成される。ハウジングベース72の底部は、概して、ハウジングカバー74が開始位置から装着位置へ移動するときに空隙内へ詰め込まれるゲル封止材料で充填される。
図6および
図7から推論できるように、ハウジングベース72はスナッピング突出部106を有し、スナッピング突出部106は、ハウジングカバー74によって設けられるスナッピングレセプタクル108、110と協働するためのものである。下部のスナッピングレセプタクル110は、開始位置でスナッピング突出部106と協働し、したがって開始位置を固定する。スナッピング突出部106およびスナッピングレセプタクル108を画定する上部の壁の傾斜した形状のため、ハウジングカバー74を押し付けることで、このスナッピング位置が解除される。スナッピング突出部106および110の下端を画定する表面は矩形であるため、
図7に示す装着位置を解除することはできない。
【0053】
開口86とは反対側の隅部内に、ハウジングベース72は剛性の阻止壁112を備え、阻止壁112から対応する可撓性の阻止フラップ114が突出する。阻止フラップ114は、ハウジングカバー74の単体の部分であり、フィルムヒンジによってハウジングカバー74に接続されている。したがって、阻止フラップ114は遠位自由端を有し、外方へ屈曲することが可能である。最初の位置で、阻止フラップ114は、阻止壁112より上に配置される。したがって、各遠位角内に設けられた阻止壁112および対応する阻止フラップ114は、ケーブルをハウジング70内へ挿入する前にハウジングカバー74が
図6の開始位置から
図7の装着位置へ押し込まれるのを阻止するための阻止手段を画定する。
【0054】
ケーブルは、開口86を通って導入されると、封止要素90を通過し、切り込みの入った膜98を開く。ケーブル52をさらに前進させることによって、ケーブル52は、保持ばね92を通過して、ケーブル52の移動方向にばねアーム102を屈曲させる。ケーブルはブレード要素2を通過し、最終的に、遠位隅部に配置された阻止フラップ114に接触して、阻止フラップ114を阻止壁112から係合解除する。したがって、ケーブル52の適切な挿入により、ハウジングカバー74をハウジングベース72の方に下方へ押すことが可能になる。
【0055】
ハウジングベース72がハウジングカバー74を受け取ると、ハウジング70内に受け取られているゲル封止材料が圧搾され、それによってハウジング70内の残りの空間内に分散されて、ハウジング70内のすべての空隙を充填する。ハウジング70内に受け取られるゲル封止材料の量は、ゲル封止材料が本質的に装着位置でハウジング70内の空間全体を充填するように選択される。ゲル封止材料は通常、チャネル94内へ押し出されて、封止要素90に到達する。
【0056】
明らかに、ハウジングカバー74が、接着剤および/または形状嵌め手段によってハウジングカバー74に取り付けることができる偏倚要素30を受け取るとき、ハウジングベース72がブレード要素2を受け取るため、ハウジングカバー74がハウジングベース72の方へ摺動することで、外装56および絶縁体58が切断され、装着位置で2つのコンタクトスロット8、10内の導体54を変形させる力が加えられる。
【0057】
図12aおよび
図12bは、前述の実施形態とは異なる幾何形状のコンタクトスロット8を画定するブレード要素2の代替実施形態について説明する。コンタクトスロット8は、ケーブル52の挿入方向においてコンタクトスロット8の口60に続く矩形スロット部分8.1を備える。この矩形スロット部分8.1は、少なくとも導体54の直径に対応する長さを有する。この矩形スロット部分8.1に続いて、コンタクトスロット8は、コンタクトスロット8の下端の方へ広がる傾斜スロット部分8.2を画定する。コンタクトスロット8の特有の幾何形状は、偏倚要素30によって作用されるやや過度の偏倚力を考慮して、挿入中に塑性変形するように、特に導体54を形成する銅の撚り線の挙動に対応するためのものである。この状態および位置、すなわち端位置を、
図12bに示す。
【符号の説明】
【0058】
2 ブレード要素
4.1 ブレード
4.2 ブレード
6.1 ブレード
6.2 ブレード
8 コンタクトスロット
8.1 矩形スロット部分
8.2 傾斜スロット部分
10 コンタクトスロット
12 側壁
14 ベース
16 固定ラッチ
18 プラグ
20 レセプタクル
22 隅部
24 切断縁
26 突起
28 ばねロックレセプタクル
30 偏倚要素
32 脚部
34 ベース
36 ばねロック要素
38 凸形隅部
40 凹形の中央部
42 固定ラッチ
46 固定凹部
48 固定脚部
50 凸形突起
51 挿入開口
52 ケーブル
54 導体
56 外装
58 絶縁体
60 コンタクトスロットの口
62 コンタクトスロットのコンタクト領域
64 保持ラッチ
70 ハウジング
72 ハウジングベース
74 ハウジングカバー
76 プラグハウジング部分
78 固定スロット
80 受取りチャンバ
82 摺動スロット
84 円筒形部分
86 開口
88 チャネル部材
90 封止要素
92 保持ばね
94 チャネル
96 補強リング
98 膜
100 弓形
102 ばねアーム
104 リング部分
106 スナッピング突出部
108 スナッピングレセプタクル
110 スナッピングレセプタクル
112 阻止壁
114 阻止フラップ
H 高さ方向
L 長さ方向
w 幅方向
p 押圧域
α 曲げ角度