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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 9/10 20060101AFI20220118BHJP
   G05G 5/06 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G05G9/10 Z
G05G5/06 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017194302
(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2019067292
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】脇田 祥嗣
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/021282(WO,A1)
【文献】実開昭63-005520(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 9/10
G05G 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバーと、
前記レバーの基部が固定された第1スライダと、
前記第1スライダの下方に配置された第2スライダと、
前記第2スライダの下方に配置された底板と、
前記第1スライダが第1方向に移動可能なように、前記第1スライダと前記第2スライダとを接続する第1リンク部と、
前記第2スライダが第2方向に移動可能なように、前記底板と前記第2スライダとを接続する第2リンク部と、
を備え
前記第2リンク部は、
前記第2スライダの前記第2方向における一方側と、前記底板の前記第2方向における一方側と、を接続する第3リンク部材と、
前記第2スライダの前記第2方向における他方側と、前記底板の前記第2方向における他方側と、を接続する第4リンク部材と、
を含み、
前記第3リンク部材は、中央部が前記第4リンク部材側に近づく屈曲形状又は湾曲形状を有し、
前記第4リンク部材は、中央部が前記第3リンク部材側に近づく屈曲形状又は湾曲形状を有する入力装置。
【請求項2】
前記第1リンク部は、
前記第1スライダの前記第1方向における一方側と、前記第2スライダの前記第1方向における一方側と、を接続する第1リンク部材と、
前記第1スライダの前記第1方向における他方側と、前記第2スライダの前記第1方向における他方側と、を接続する第2リンク部材と、
を含む請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1スライダと前記第1リンク部材との接続点から前記第1スライダと前記第2リンク部材との接続点まで間の距離は、前記第2スライダと前記第1リンク部材との接続点から前記第2スライダと前記第2リンク部材との接続点までの間の距離より大きい
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第2スライダと前記第3リンク部材との接続点から前記第2スライダと前記第4リンク部材との接続点まで間の距離は、前記底板と前記第3リンク部材との接続点から前記底板と前記第4リンク部材との接続点までの間の距離より大きい
請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第2スライダにおける前記第リンク部の接続点は、前記第2スライダにおける前記第リンク部の接続点より上方に位置する
請求項1からのいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記第2スライダは、上方に突出した凸部を有し、
前記第1スライダは、前記第2スライダの前記凸部が挿入される、前記第1方向に延びた凹部を有する
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記底板には、上方に付勢される摺動子が設けられ、
前記第1スライダは、下面に前記摺動子と接触するカム面を有する
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールジョイントにより傾動自在に固定されたシフトレバー(セレクタ)と、シフトレバーが挿通されたシフトパターン(開口部)を有するゲートと、を備えたシフト装置が知られている。このシフト装置では、ゲートがシフトレバーの移動を規制することにより、シフトパターンに沿ったシフトレバーの操作が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-101252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、シフト装置の薄型化が求められている。上記従来のシフト装置を薄型化した場合、ボールジョイントからゲートまでの距離が短くなるため、ゲート近傍におけるシフトレバーのストローク長が小さくなる。この結果、2つのシフト位置間の移動を規制するゲート部分が細くなり、当該ゲート部分の強度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ゲートの強度を維持しつつ、薄型化が可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る入力装置は、レバーと、前記レバーの基部が固定された第1スライダと、前記第1スライダの下方に配置された第2スライダと、前記第2スライダの下方に配置された底板と、前記第1スライダが第1方向に移動可能なように、前記第1スライダと前記第2スライダとを接続する第1リンク部と、前記第2スライダが第2方向に移動可能なように、前記底板と前記第2スライダとを接続する第2リンク部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の各実施形態によれば、ゲートの強度を維持しつつ、薄型化が可能な入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シフト装置の一例を示す外観斜視図。
図2】シフト装置の一例を示す内部斜視図。
図3】シフト装置の一例を示す分解斜視図。
図4】第1スライダ4のA-A線断面図。
図5】シフトパターンの一例を示す平面図。
図6】本実施形態に係るシフト装置と従来のシフト装置との動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。
【0010】
一実施形態に係る入力装置について、図1図6を参照して説明する。本実施形態に係る入力装置は、傾動操作が可能なレバーを備えた入力装置であり、シフト装置、ジョイスティック、ゲームパッドなどとして利用できる。以下、入力装置が車両のギアを切り替えるためのシフト装置である場合を例に説明する。
【0011】
まず、シフト装置100の構成について説明する。図1は、シフト装置100の一例を示す外観斜視図、図2は、シフト装置100の一例を示す内部斜視図、図3は、シフト装置100の一例を示す分解斜視図である。図2及び図3のシフト装置100は、図1のシフト装置100から後述する側板12を除去したものに相当する。
【0012】
以下では、便宜的に、図1図3の上方向、下方向、左上方向、右下方向、左下方向、及び右上方向を、それぞれシフト装置100の上方向、下方向、右方向、左方向、前方向、及び後方向として説明する。しかしながら、シフト装置100の各方向は、上記の例に限られない。
【0013】
シフト装置100は、図1図3に示すように、筐体1と、ゲート2と、シフトレバー3と、第1スライダ4と、第2スライダ5と、第1リンク部6と、第2リンク部7と、摺動部8と、を備える。
【0014】
筐体1は、上部が開口した略直方形の筐体であり、底板11と、4つの側板12と、を有する。筐体1の内部には、第1スライダ4、第2スライダ5、第1リンク部6、第2リンク部7、及び摺動部8が収納される。底板11の上面には、後述する第3リンク部材71A及び第4リンク部材71Bの下端部を接続するための接続部13A~13Dが設けられる。接続部13A~13Dは、底板11の上面から上方に突出するように設けられた軸部又は軸受部であり、それぞれ底板11の右前方、左前方、右後方、及び左後方に配置される。
【0015】
ゲート2は、筐体1の上部を塞ぐ略矩形の板状部材であり、第1スライダ4の上方に配置される。ゲート2は、シフトパターン21を有する。シフトパターン21は、ゲート2に形成された貫通孔であり、車両の各ギアに対応する複数のシフト位置を有する。シフトレバー3は、シフトパターン21に挿通され、シフトパターン21の内側を移動する。すなわち、シフトレバー3の移動は、ゲート2により、シフトパターン21の内側に規制される。
【0016】
シフトレバー3は、シフト装置100のユーザ(車両のドライバ)が操作する棒状部材である。ユーザは、シフトレバー3を、所望のギアに対応するシフト位置に移動させることにより、車両のギアを所望のギアに設定する。シフトレバー3の先端(上端部)には、ユーザが握るためのノブ31が設けられる。また、シフトレバー3の基部(下端部)は、第1スライダ4の上面に固定される。図2及び図3の例では、シフトレバー3の基部は、第1スライダ4の中央に固定されているが、第1スライダ4の任意の箇所に固定可能である。
【0017】
第1スライダ4は、第2スライダ5に対して左右方向(第1方向)に移動可能な略矩形の板状部材である。第1スライダ4は、第1リンク部6により、第2スライダ5に接続される。
【0018】
図4は、第1スライダ4のA-A線(図3参照)断面図である。図4に示すように、第1スライダ4は、下面に、凹部41A,41Bと、カム面42と、を設けられる。凹部41A,41Bは、左右方向に延びた凹部であり、それぞれ第1スライダの右端部及び左端部に設けられる。凹部41A,41Bは、後述する第2スライダ5に設けられた凸部52A,52Bが挿入される。凸部52A,52Bについては後述する。カム面42は、第1スライダ4の下面の中央部に設けられた凹面であり、後述する摺動子81が接触する。カム面42は、摺動子81による押圧により、第1スライダ4が所定の位置に誘導されるように形成される。第1スライダ4が当該所定の位置にある際のシフトレバー3の位置を、ホーム位置HPと称する。第1スライダ4が所定の位置にある際に、摺動子81が接触するカム面42の部分には、摺動子81と嵌合する凹部43が設けられる。摺動子81については後述する。なお、カム面42は、第1スライダ4を所定の位置に誘導可能な任意の形状とすることができる。カム面42は、例えば、球面形状であってもよいし、円錐形状であってもよい。
【0019】
第2スライダ5は、底板11に対して前後方向(第2方向)に移動可能な略矩形の枠体、又は底板11に対して前後方向に移動可能な、上面が開口した板状部材であり、第1スライダ4の下方かつ底板11の上方に配置される。第2スライダ5は、第2リンク部7により、底板11に接続される。
【0020】
第2スライダ5は、左右方向に延びる前側の側板である前側板51Fと、左右方向に延びる後側の側板である後側板51Bと、前後方向に延びる右側の側板である右側板51Rと、前後方向に延びる左側の側板である左側板51Lと、凸部52A,52Bと、を有する。前側板51F及び後側板51Bは平行であり、右側板51R及び左側板51Lは平行である。
【0021】
凸部52A,52Bは、上方に突出した凸部であり、第2スライダ5の上面における、第1スライダ4の凹部41A,41Bと対向する位置にそれぞれ設けられ、凹部41A,41Bにそれぞれ挿入される。第1スライダ4の凹部41A,41Bに第2スライダ5の凸部52A,52Bを挿入することにより、第1スライダ4の前後方向のがたつきを抑制すると共に、第2スライダ5に対する第1スライダ4の左右方向の移動を規制することができる。
【0022】
なお、第2スライダ5の凸部の数及び位置は、任意に設計可能である。第1スライダ4の凹部は、第2スライダ5の凸部の数及び位置と対応するように設計すればよい。また、第2スライダ5の上面に凹部が設けられ、第1スライダ4の下面に凸部が設けられてもよい。
【0023】
第1リンク部6は、第2スライダ5に対して第1スライダ4が左右方向に移動可能なように、第1スライダ4と第2スライダ5とを接続する。第1リンク部6は、第1リンク部材61A,61Cと、第2リンク部材61B,61Dと、を備える。以下、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dを区別しない場合、リンク部材61と称する。
【0024】
リンク部材61は、前後方向の軸を中心に回転可能なように、上端部が第1スライダ4に接続され、下端部が第2スライダ5に接続される、長尺の棒状部材又は板状部材である。
【0025】
リンク部材61と第1スライダ4との接続点(ジョイント)は、リンク部材61に設けられた軸部と、第1スライダ4に設けられた軸受部と、により形成されてもよいし、リンク部材61に設けられた軸受部と、第1スライダ4に設けられた軸部と、により形成されてもよい。また、リンク部材61と第1スライダ4との接続点は、リンク部材61に設けられた軸受部と、第1スライダ4に設けられた軸受部と、リンク部材61及び第1スライダ4の軸受部を挿通するシャフトと、により形成されてもよい。いずれの場合も、リンク部材61を、第1スライダ4に対して前後方向の軸を中心に回転可能に接続することができる。
【0026】
同様に、リンク部材61と第2スライダ5との接続点は、リンク部材61に設けられた軸部と、第2スライダ5に設けられた軸受部と、により形成されてもよいし、リンク部材61に設けられた軸受部と、第2スライダ5に設けられた軸部と、により形成されてもよい。また、リンク部材61と第2スライダ5との接続点は、リンク部材61に設けられた軸受部と、第2スライダ5に設けられた軸受部と、リンク部材61及び第2スライダ5の軸受部を挿通するシャフトと、により形成されてもよい。いずれの場合も、リンク部材61を、第2スライダ5に対して前後方向の軸を中心に回転可能に接続することができる。
【0027】
第1リンク部材61Aは、上端部を第1スライダ4の前側面の右端部に接続され、下端部を第2スライダ5の前側板51Fの前面の右端部に接続される。第1リンク部材61Aを前側板51Fの前面に接続することにより、第1スライダ4が右方向に移動した際の、第1リンク部材61Aと右側板51Rとの衝突を防ぐことができる。なお、第1リンク部材61Aの上端部は、第1スライダ4の前側面の中央より右側(一方側)の任意の位置に接続できる。また、第1リンク部材61Aの下端部は、第2スライダ5の前側板51Fの中央より右側(一方側)の任意の位置に接続できる。
【0028】
第2リンク部材61Bは、上端部を第1スライダ4の前側面の左端部に接続され、下端部を第2スライダ5の前側板51Fの前面の左端部に接続される。第2リンク部材61Bを前側板51Fの前面に接続することにより、第1スライダ4が左方向に移動した際の、第2リンク部材61Bと左側板51Lとの衝突を防ぐことができる。なお、第2リンク部材61Bの上端部は、第1スライダ4の前側面の中央より左側(他方側)の任意の位置に接続できる。また、第2リンク部材61Bの下端部は、第2スライダ5の前側板51Fの中央より左側(他方側)の任意の位置に接続できる。
【0029】
第1リンク部材61Cは、上端部を第1スライダ4の後側面の右端部に接続され、下端部を第2スライダ5の後側板51Bの後面の右端部に接続される。第1リンク部材61Cを後側板51Bの後面に接続することにより、第1スライダ4が右方向に移動した際の、第1リンク部材61Cと右側板51Rとの衝突を防ぐことができる。なお、第1リンク部材61Cの上端部は、第1スライダ4の後側面の中央より右側(一方側)の任意の位置に接続できる。また、第1リンク部材61Cの下端部は、第2スライダ5の後側板51Bの中央より右側(一方側)の任意の位置に接続できる。
【0030】
第2リンク部材61Dは、上端部を第1スライダ4の後側面の左端部に接続され、下端部を第2スライダ5の後側板51Bの後面の左端部に接続される。第2リンク部材61Dを後側板51Bの後面に接続することにより、第1スライダ4が左方向に移動した際の、第2リンク部材61Dと左側板51Lとの衝突を防ぐことができる。なお、第2リンク部材61Dの上端部は、第1スライダ4の後側面の中央より左側(他方側)の任意の位置に接続できる。また、第2リンク部材61Dの下端部は、第2スライダ5の後側板51Bの中央より左側(他方側)の任意の位置に接続できる。
【0031】
以上のような構成により、第1スライダ4、第2スライダ5、第1リンク部材61A,61C、及び第2リンク部材61B,61Dからなる、1つの自由度を有する4節リンク機構が形成される。この4節リンク機構が動作することにより、第1スライダ4が第2スライダ5に対して左右方向に移動し、第1スライダ4に固定されたシフトレバー3が左右方向に傾動する。
【0032】
なお、4節リンク機構が可動となるように、第1リンク部材61A及び第1リンク部材61Cは、第1リンク部材61Aと第1スライダ4との接続点から第1リンク部材61Aと第2スライダ5との接続点までの距離と、第1リンク部材61Cと第1スライダ4との接続点から第1リンク部材61Cと第2スライダ5との接続点までの距離と、が等しく、かつ、前後方向に対向するように接続される。同様に、第2リンク部材61B及び第2リンク部材61Dは、第2リンク部材61Bと第1スライダ4との接続点から第2リンク部材61Bと第2スライダ5との接続点までの距離と、第2リンク部材61Dと第1スライダ4との接続点から第2リンク部材61Dと第2スライダ5との接続点までの距離と、が等しく、かつ、前後方向に対向するように接続される。
【0033】
また、図3の例のように、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dをそれぞれ2つ設けることにより、4節リンク機構の強度を高めることができる。しかしながら、4節リンク機構の構成は図3の例に限られない。第1リンク部6は、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dの少なくとも一方を、1つだけ備えてもよい。これにより、シフト装置100の部品点数を削減することができる。
【0034】
また、図2の例のように、距離D1は距離D2より大きいのが好ましい。距離D1は、第1スライダ4と第1リンク部材61Aとの接続点から、第1スライダ4と第2リンク部材61Bとの接続点まで、の距離である。第1スライダ4と第1リンク部材61Cとの接続点から、第1スライダ4と第2リンク部材61Dとの接続点まで、の距離は、距離D1に等しい。距離D2は、第2スライダ5と第1リンク部材61Aとの接続点から、第2スライダ5と第2リンク部材61Bとの接続点まで、の距離である。第2スライダ5と第1リンク部材61Cとの接続点から、第2スライダ5と第2リンク部材61Dとの接続点まで、の距離は、距離D2に等しい。すなわち、第1リンク部6により構成される4節リンク機構は、上底が下底より長い台形形状であるのが好ましい。これにより、シフトレバー3の移動方向と、シフトレバー3の先端部の傾き方向と、を一致させることができる。すなわち、シフトレバー3を左方向に移動させた場合に、先端部を左方向に傾けさせ、シフトレバー3を右方向に移動させた場合に、先端部を右方向に傾けさせることができる。結果として、シフトレバーが円弧状に移動する従来のシフト装置になれたユーザに対して、自然な利用感を提供できる。
【0035】
また、図3の例のように、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dは、第2スライダ5の下端部に接続されるのが好ましい。これにより、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dの長さを維持しつつ、第1スライダ4と第2スライダ5との間の距離を小さくし、かつ、第2スライダ5の前側板51F及び後側板51Bの高さを低くすることができる。結果として、シフト装置100を薄型化することができる。
【0036】
また、第1リンク部材61A,61Cは、一体に形成されていてもよい。同様に、第12リンク部材61B,61Dは、一体に形成されていてもよい。これにより、シフト装置100の部品点数を削減することができる。
【0037】
第2リンク部7は、底板11に対して第2スライダ5が前後方向に移動可能なように、第2スライダ5と底板11とを接続する。第2リンク部7は、第3リンク部材71Aと、第4リンク部材71Bと、を備える。以下、第3リンク部材71A及び第4リンク部材71Bを区別しない場合、リンク部材71と称する。
【0038】
リンク部材71は、前後方向と垂直な左右方向の軸を中心に回転可能なように、上端部が第2スライダ5に接続され、下端部が底板11に接続される、板状部材である。
【0039】
リンク部材71と第2スライダ5との接続点は、リンク部材71に設けられた軸部と、第2スライダ5に設けられた軸受部と、により形成されてもよいし、リンク部材71に設けられた軸受部と、第2スライダ5に設けられた軸部と、により形成されてもよい。また、リンク部材71と第2スライダ5との接続点は、リンク部材71に設けられた軸受部と、第2スライダ5に設けられた軸受部と、リンク部材71及び第2スライダ5の軸受部を挿通するシャフトと、により形成されてもよい。いずれの場合も、リンク部材71を、第2スライダ5に対して左右方向の軸を中心に回転可能に接続することができる。
【0040】
同様に、リンク部材71と底板11との接続点は、リンク部材71に設けられた軸部と、底板11に設けられた軸受部と、により形成されてもよいし、リンク部材71に設けられた軸受部と、底板11に設けられた軸部と、により形成されてもよい。また、リンク部材71と底板11との接続点は、リンク部材71に設けられた軸受部と、底板11に設けられた軸受部と、リンク部材71及び底板11の軸受部を挿通するシャフトと、により形成されてもよい。いずれの場合も、リンク部材71を、底板11に対して左右方向の軸を中心に回転可能に接続することができる。
【0041】
第3リンク部材71Aは、上端部を、第2スライダ5の右側板51Rの左側面の前端部と、第2スライダ5の左側板51Lの右側面の前端部と、に接続され、下端部を、接続部13A,13Bに接続される。このように、第3リンク部材71Aを第2スライダ5の内側に接続することにより、1つの第3リンク部材71Aで、第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lを底板11に接続することができる。これにより、第1リンク部材61A,61Cのように、2つのリンク部材で第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lを底板11に接続する場合に比べて、シフト装置100の部品点数を削減することができる。なお、第3リンク部材71Aを第2スライダ5の内側に接続する場合、図3の例のように、第3リンク部材71Aの中央部が後側(第4リンク部材71B側)に近づくように、第3リンク部材71Aを屈曲形状又は湾曲形状にするのが好ましい。これにより、第2スライダ5が後方向に移動した際の、第3リンク部材71Aと前側板51Fとの衝突を防ぐことができる。
【0042】
なお、第3リンク部材71Aの上端部は、第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lの中央より前側(一方側)の、対向する任意の位置に接続できる。また、第3リンク部材71Aの下端部は、底板11の中央より前側(一方側)の、対向する任意の位置に接続できる。また、第3リンク部材71Aは、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dと同様に、2つのリンク部材で構成されてもよいし、第2スライダ5の外側に接続されてもよい。いずれの場合も、第2スライダ5が前後方向に移動した際に、第3リンク部材71Aが第2スライダ5及び第4リンク部材71Bに衝突しないように設計される。
【0043】
第4リンク部材71Bは、上端部を、第2スライダ5の右側板51Rの左側面の後端部と、第2スライダ5の左側板51Lの右側面の後端部と、に接続され、下端部を、接続部13C,13Dに接続される。このように、第4リンク部材71Bを第2スライダ5の内側に接続することにより、1つの第4リンク部材71Bで、第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lを底板11に接続することができる。これにより、第2リンク部材61B,61Dのように、2つのリンク部材で第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lを底板11に接続する場合に比べて、シフト装置100の部品点数を削減することができる。なお、第4リンク部材71Bを第2スライダ5の内側に接続する場合、図3の例のように、第4リンク部材71Bの中央部が前側(第3リンク部材71A側)に近づくように、第4リンク部材71Bを屈曲形状又は湾曲形状にするのが好ましい。これにより、第2スライダ5が前方向に移動した際の、第4リンク部材71Bと後側板51Bとの衝突を防ぐことができる。
【0044】
なお、第4リンク部材71Bの上端部は、第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lの中央より後側(他方側)の、対向する任意の位置に接続できる。また、第4リンク部材71Bの下端部は、底板11の中央より後側(他方側)の、対向する任意の位置に接続できる。また、第4リンク部材71Bは、第1リンク部61A,61C材及び第2リンク部材61B,61Dと同様に、2つのリンク部材で構成されてもよいし、第2スライダ5の外側に接続されてもよい。いずれの場合も、第2スライダ5が前後方向に移動した際に、第4リンク部材71Bが第2スライダ5及び第3リンク部材71Aに衝突しないように設計される。
【0045】
以上のような構成により、第2スライダ5、底板11、第3リンク部材71A、及び第4リンク部材71Bからなる、1つの自由度を有する4節リンク機構が形成される。この4節リンク機構が動作することにより、第2スライダ5が底板11に対して前後方向に移動し、第2スライダ5に接続された第1スライダ4が前後方向に移動し、第1スライダ4に固定されたシフトレバー3が前後方向に傾動する。
【0046】
なお、4節リンク機構が可動となるように、第3リンク部材71Aは、右側板51Rとの接続点から接続部13Aとの接続点までの距離と、左側板51Lとの接続点から接続部13Bとの接続点までの距離と、が等しく、かつ、左右方向に対向するように接続される。同様に、第4リンク部材71Bは、右側板51Rとの接続点から接続部13Cとの接続点までの距離と、左側板51Lとの接続点から接続部13Dとの接続点までの距離と、が等しく、かつ、左右方向に対向するように接続される。
【0047】
また、図2の例のように、距離d1は距離d2より大きいのが好ましい。距離d1は、第1スライダ4と第3リンク部材71Aとの接続点から、第1スライダ4と第4リンク部材71Bとの接続点まで、の距離である。距離d2は、接続部13Bと第3リンク部材71Aとの接続点から、接続部13Dと第4リンク部材71Bとの接続点まで、の距離である。接続部13Aと第3リンク部材71Aとの接続点から、接続部13Cと第4リンク部材71Bとの接続部まで、の距離は、距離d2に等しい。すなわち、第2リンク部7により構成される4節リンク機構は、上底が下底より長い台形形状であるのが好ましい。これにより、シフトレバー3の移動方向と、シフトレバー3の先端部の傾き方向と、を一致させることができる。すなわち、シフトレバー3を前方向に移動させた場合に、先端部を前方向に傾けさせ、シフトレバー3を後方向に移動させた場合に、先端部を後方向に傾けさせることができる。結果として、シフトレバーが円弧状に移動する従来のシフト装置になれたユーザに対して、自然な利用感を提供できる。
【0048】
また、図3の例のように、第3リンク部材71A及び第4リンク部材71Bは、第2スライダ5の上端部に接続されるのが好ましい。これにより、第3リンク部材71A及び第4リンク部材71Bの長さを維持しつつ、第2スライダ5と底板11との間の距離を小さくし、かつ、第2スライダ5の右側板51R及び左側板51Lの高さを低くすることができる。結果として、シフト装置100を薄型化することができる。
【0049】
なお、第2スライダ5における第3リンク部材71A及び第4リンク部材71Bの接続点は、第2スライダ5の上端部でなくてもよいし、第2スライダ5における第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dの接続点は、第2スライダ5の下端部でなくてもよい。いずれの場合も、第2スライダ5に対して、第3リンク部材71A及び第4リンク部材71Bを、第1リンク部材61A,61C及び第2リンク部材61B,61Dより上方で接続することにより、シフト装置100を薄型化することができる。
【0050】
摺動部8は、底板11の上面に設けられ、第1スライダ4のカム面42と接触し、第1スライダ4を摺動させることにより、シフトレバー3を所定の位置に自動的に復帰させる。摺動部8は、摺動子81と、付勢部材82と、筒体83と、を備える。
【0051】
摺動子81は、底板11から上方に付勢され、カム面42と接触する。摺動子81は、第1スライダ4の位置に応じて、上下方向に摺動する。
【0052】
付勢部材82は、摺動子81の下に配置され、底板11に対して摺動子81を上方に付勢する。付勢部材82は、例えば、圧縮コイルばねであるが、これに限られない。
【0053】
筒体83は、下端が底板11に固定された、上方に延びる筒状部材である。筒体83には、摺動子81及び付勢部材82が収納される。筒体83は、摺動子81がカム面42と接触可能なように配置される。
【0054】
次に、シフト装置100の動作について説明する。図5は、シフトパターン21の一例を示す平面図である。図5の例では、シフトパターン21は、4つのシフト位置P1~P4と、ホーム位置HPと、を有する。シフト位置P1~P4は、それぞれギアに対応する。以下、ユーザがシフトレバー3をホーム位置HPからシフト位置P2に移動させた場合を例に説明する。
【0055】
ユーザがシフトレバー3をホーム位置HPからシフト位置P2に移動させると、車両のギアがシフト位置P2に対応するギアに設定される。この際、第1スライダ4は、第2スライダ5に対して左方に移動し、第2スライダ5は、底板11に対して前方に移動する。第1スライダ4及び第2スライダ5の移動は、シフトパターン21により規制される。
【0056】
その後、ユーザがシフトレバー3から手を放すと、摺動子81がカム面42を押圧することにより、第1スライダ4に、第1スライダ4を所定の位置(ホーム位置HPに対応する位置)へ戻す方向(右後方向)の力が加わる。これにより、まず、第1スライダ4が、第2スライダ5と共に、底板11に対して後ろ方向へ移動し、シフトレバー3がシフト位置P3まで移動する。これは、右方向への移動がシフトパターン21により規制され、かつ、第1スライダ4が第2スライダ5に対して前後方向に移動しないように接続されているためである。
【0057】
次に、第1スライダ4が第2スライダ5に対して右方向に移動し、シフトレバー3がホーム位置HPまで移動(復帰)する。シフトレバー3がホーム位置HPまで移動すると、摺動子81は、カム面42の凹部43と嵌合し、シフトレバー3の位置が固定される。
【0058】
ここで、図6(a)は、シフト装置100の動作を示す模式図であり、図6(b)は、従来のシフト装置9の動作を示す模式図である。図6(b)のシフト装置9は、シフトレバー91と、ボールジョイント92と、筐体93と、ゲート94と、を備える。図6の例では、図6(a)のシフトレバー3のゲート2近傍のストローク長と、図6(b)のシフトレバー91のゲート94近傍のストローク長と、は同一である。
【0059】
図6(a)に示すように、シフトレバー3は、第1スライダ4、第2スライダ5、及び第1リンク部6からなる4節リンク機構の動作に従って、左右方向に円弧のように移動する。また、シフトレバー3は、第2スライダ5、底板11、及び第2リンク部7からなる4節リンク機構の動作に従って、前後方向に円弧のように移動する。シフト装置100の筐体1には、第1スライダ4、第2スライダ5、第1リンク部6、及び第2リンク部7を収納可能な厚さHが要求される。
【0060】
これに対して、図6(b)に示すように、シフトレバー91は、ボールジョイント92を中心として、円弧状に移動する。このため、シフト装置9の筐体93には、シフトレバー91及びボールジョイント92を収納可能な厚さhが要求される。
【0061】
この結果、ゲート近傍のストローク長を一致させた場合、図6(a),(b)に示すように、シフト装置100の厚さHは、シフト装置9の厚さhより小さくなる。
【0062】
このように、本実施形態に係るシフト装置100は、従来のシフト装置9に比べて、シフトレバー3のストローク長を維持したまま、筐体1を薄くすることができる。したがって、シフト装置100(筐体1)を薄型化した場合であっても、従来のシフト装置9に比べて、シフトレバー3のストローク長を大きくし、2つのシフト位置間の移動を規制するゲート2の部分(例えば、図5のシフト位置P1,P2の間の部分)を太くし、ゲート2の強度を維持することができる。言い換えると、ゲート2の強度を維持しつつ、シフト装置100を薄型化することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、シフトレバー3を前後左右方向に円弧のように移動させることができる。これにより、シフトレバーが前後左右方向に円弧状に移動する従来のシフト装置9に慣れたユーザに対して、自然な利用感を提供することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、カム面42や摺動部8などの簡単な構成により、ホーム位置HPへのシフトレバー3の自動復帰を実現できる。
【0065】
なお、本実施形態において、第1スライダ4及び第2スライダ5の移動方向は逆であってもよい。すなわち、第1スライダ4が前後方向に移動し、第2スライダ5が左右方向に移動してもよい。また、第1スライダ4及び第2スライダ5の移動方向は、直交していなくてもよい。また、底板11は、筐体1とは独立して設けられてもよい。この場合、底板11を、別体として用意された筐体1の底板に固定すればよい。
【0066】
また、シフトレバー3が一方向にのみ移動すればよい場合、シフト装置100は、第2スライダ5及び第2リンク部7を備えなくてもよい。この場合、シフト装置100は、シフトレバー3と、シフトレバー3の基部が固定された第1スライダ4と、第1スライダ4の下方に配置された底板11と、底板11に対して第1スライダ4が所定方向(第1方向)に移動可能なように、底板11と第1スライダ4とを接続する第1リンク部6と、を備えればよい。このシフト装置100は、上述のシフトレバー3が前後左右方向に移動可能なシフト装置100から、第2スライダ5及び第2リンク部7を除去し、第1スライダ4の下端部を、接続部13に接続したものに相当する。このような構成により、上述のシフト装置100と同様に、シフトレバー3のストローク長を維持したまま、筐体1を薄くすることができる。なお、所定方向は、左右方向であってもよいし、前後方向であってもよい。また、接続部13は、第1スライダ4の下端部を接続可能な位置及び向きに設ければよい。
【0067】
また、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0068】
1:筐体
2:ゲート
3:シフトレバー
4:第1スライダ
5:第2スライダ
6:第1リンク部
7:第2リンク部
8:摺動部
9:シフト装置
11:底板
12:側板
13:接続部
21:シフトパターン
31:ノブ
41A,41B:凹部
42:カム面
43:凹部
51F:前側板
51B:後側板
51R:右側板
51L:左側板
52A,52B:凸部
61A,61C:第1リンク部材
61B,61D:第2リンク部材
71A:第3リンク部材
71B:第4リンク部材
81:摺動子
82:付勢部材
83:筒体
91:シフトレバー
92:ボールジョイント
93:筐体
94:ゲート
100:シフト装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6