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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】浴室洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20220203BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20220203BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20220203BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20220203BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20220203BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220203BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20220203BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A61L2/18
A47K4/00
C02F1/46
A61L2/24
B08B3/08 Z
B08B3/02 F
B08B3/10 Z
A61L101:06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017206655
(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公開番号】P2019076502
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 真也
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028235(JP,A)
【文献】特表2011-529391(JP,A)
【文献】特開2006-122824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00
A47K 4/00
C02F 1/00
C25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸を含む電解水を浴室に供給する浴室洗浄装置であって、
被電解水に電流を印加して次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解水生成装置と、
電解水生成装置で生成した電解水を浴室内に噴霧するノズルと、
電解水生成装置と前記ノズルを接続しており、電解水生成装置で生成された電解水を前記ノズルに供給する電解水供給管と、
電解水供給管内を移動する電解水の圧力を検出する圧力センサと、
圧力センサの検出値に基づいて被電解水に印加する電流値を制御する制御部と、
を備え
制御部は、
圧力センサの検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントし、
カウント数が設定された上限回数を超えたときに被電解水に印加する電流値を下げ、
カウント数が設定された下限回数未満となったときに被電解水に印加する電流値を上げる浴室洗浄装置。
【請求項2】
さらに、電解水の温度を調節する温度調節手段を備えており、
制御部は、圧力センサの検出値に基づいて電解水の温度も制御する請求項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項3】
制御部は、
圧力センサの検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントし、
カウント数が設定された上限回数を超えたときに電解水の温度を下げ、
カウント数が設定された下限回数未満となったときに電解水の温度を上げる請求項2に記載の浴室洗浄装置。
【請求項4】
次亜塩素酸を含む電解水を浴室に供給する浴室洗浄装置であって、
被電解水に電流を印加して次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解水生成装置と、
電解水生成装置で生成した電解水を浴室内に噴霧するノズルと、
電解水生成装置と前記ノズルを接続しており、電解水生成装置で生成された電解水を前記ノズルに供給する電解水供給管と、
電解水供給管内を移動する電解水の圧力を検出する圧力センサと、
電解水の温度を調節する温度調節手段と、
圧力センサの検出値に基づいて電解水の温度を制御する制御部と、
を備え
制御部は、
圧力センサの検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントし、
カウント数が設定された上限回数を超えたときに電解水の温度を下げ、
カウント数が設定された下限回数未満となったときに電解水の温度を上げる浴室洗浄装置。
【請求項5】
温度調節手段は、電解水生成装置に供給される被電解水の温度を調整する請求項2から4のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、浴室洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸を含む電解水を用いて浴室内を除菌・殺菌する浴室洗浄装置が知られている。特許文献1は、次亜塩素酸を生成することができる電解水生成装置を備えた浴室洗浄装置を開示している。特許文献1の浴室洗浄装置は、被電解水に電流を印加して次亜塩素酸を含む電解水を生成し、生成した電解水をノズルを用いて浴室内に噴霧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-28235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電解水の除菌・殺菌力(以下、単に除菌力と称する)は、非解離型の有機残留塩素、すなわち、次亜塩素酸(HClO)の量によって大きく変化する。一般的に、電解水のpHが高くなる(pH8以上)と、電解水中に次亜塩素酸イオンとして存在する比率が高くなり、良好な除菌力が得られない。良好な除菌力を得るためには、生成した電解水のpHを検出し、所定のpHを維持するように生成条件を調整することが必要である。典型的に、溶液のpHの検出は、pHメータを用いて行われる。しかしながら、pHメータは、測定精度を維持するために、メンテナンスが必要である。そのため、良好な除菌力を維持するためには、pHメータの定期的なメンテナンスが避けられない。pHメータは、主として浴室の壁(天井)に配置される浴室洗浄装置で用いることに適していない。pHメータを用いることなく、良好な除菌力を発現する浴室洗浄装置が要求されている。本明細書は、良好な除菌力を発現する浴室洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する浴室洗浄装置は、次亜塩素酸を含む電解水を浴室に供給する。その浴室洗浄装置は、電解水生成装置と、ノズルと、電解水供給管と、圧力センサと、制御部を備えていてよい。電解水生成装置は、被電解水に電流を印加して次亜塩素酸を含む電解水を生成してよい。ノズルは、電解水生成装置で生成した電解水を浴室内に噴霧してよい。電解水供給管は、電解水生成装置とノズルを接続しており、電解水生成装置で生成された電解水をノズルに供給してよい。圧力センサは、電解水供給管内を移動する電解水の圧力を検出してよい。制御部は、圧力センサの検出値に基づいて被電解水に印加する電流値を制御してよい。また、制御部は、圧力センサの検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントしてよい。また、制御部は、カウント数が設定された上限回数を超えたときに被電解水に印加する電流値を下げ、カウント数が設定された下限回数未満となったときに被電解水に印加する電流値を上げてよい。
【0006】
次亜塩素酸を生成する過程では、水(HO)の電気分解により、水素(H)が発生する。水素の発生量は、電解水中の次亜塩素酸の量と関連する。すなわち、水素の発生量が多くなると、電解水中の水素イオンの量が減少するため、電解水のpHが高くなり、電解水中の次亜塩素酸イオンの量が増大する。その結果、電解水中の次亜塩素酸の量が減少し、電解水の除菌力が低下する。また、水素の発生量が少な過ぎることは、被電解水の電解が進んでいないことを示しており、電解水中の次亜塩素酸の量が少ないことを示している。電解水中の水素の量を制御することにより、電解水中の次亜塩素酸の量を制御することができる。上記浴室洗浄装置は、水素の発生に伴う電解水の圧力(供給管内の圧力)を検出し、その検出値に基づいて被電解水に印加する電流値を制御し、電解水のpH(次亜塩素酸の生成量)を調整する。上記浴室洗浄機は、pHメータを用いることなく、良好な除菌力を発現する電解水を生成することができる。
【0007】
供給管内を電解水が移動するときに、電解水中に水素が含まれていると、圧力センサの検出値が変動する。すなわち、所定時間内の圧力変動の回数が多い程、電解水中に水素が多量に含まれており、電解水のpHが高いことを示している。また、所定時間内の圧力変動の回数が少な過ぎると、十分に次亜塩素酸が生成されておらず、良好な除菌力を有する電解水が得られない。圧力変動のカウント数に基づいて電流値を調整することにより、電解水のpHを所望値に維持することができ、良好な除菌力を有する電解水を得ることができる。なお、「所定範囲」を超えて変動した圧力検出値をカウントすることにより、圧力センサの機器的な検出値のばらつきの影響を抑制することができる。
【0008】
上記浴室洗浄装置は、さらに、電解水の温度を調節する温度調節手段を備えていてよい。また、制御部は、圧力センサの検出値に基づいて電解水の温度も制御してよい。なお、「温度調節手段」は、次亜塩素酸を生成する前の「被電解水」の温度を調整してもよいし、次亜塩素酸が生成された後の「電解水」の温度を調整してもよい。
【0009】
電解水のpH(水素の発生量)は、電解水の温度にも関連する。すなわち、電解水の温度が上昇すると、水素の発生量が増加し、電解水のpHが高くなり、電解水の除菌力に影響を及ぼす。そのため、電解水の温度を調整することによっても、電解水のpH(除菌力)を調整することができる。圧力センサの検出値に基づいて電解水の温度を制御することにより、電解水のpH制御をさらに行い易くすることができる。
【0010】
制御部が電解水の温度を制御する場合、制御部は、圧力センサの検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントし、カウント数が設定された上限回数を超えたときに電解水の温度を下げ、カウント数が設定された下限回数未満となったときに電解水の温度を上げてよい。上記したように、水素の発生量は、電解水の温度にも関連する。そのため、圧力変動のカウント数に基づいて電解水の温度を調整することによっても、電解水のpHを所望値に維持することができる。
【0011】
本明細書で開示する他の浴室洗浄装置は、次亜塩素酸を含む電解水を浴室に供給する。その浴室洗浄装置は、電解水生成装置と、ノズルと、電解水供給管と、圧力センサと、温度調節手段と、制御部を備えていてよい。電解水生成装置は、被電解水に電流を印加して次亜塩素酸を含む電解水を生成してよい。ノズルは、電解水生成装置で生成した電解水を浴室内に噴霧してよい。電解水供給管は、電解水生成装置とノズルを接続しており、電解水生成装置で生成された電解水をノズルに供給してよい。圧力センサは、電解水供給管内を移動する電解水の圧力を検出してよい。温度調節手段は、電解水の温度を調節してよい。制御部は、圧力センサの検出値に基づいて電解水の温度を制御してよい。また。制御部は、圧力センサの検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントし、カウント数が設定された上限回数を超えたときに電解水の温度を下げ、カウント数が設定された下限回数未満となったときに電解水の温度を上げてよい。
【0012】
圧力センサの検出値に基づいて電解水の温度を制御することにより、電解水のpH制御を行うことができ、良好な除菌力を発現する電解水を生成することができる。
【0014】
上記したように、水素の発生量は、電解水の温度にも関連する。そのため、圧力変動のカウント数に基づいて電解水の温度を調整することによっても、電解水のpHを所望値に維持することができる。
【0015】
温度調節手段は、電解水生成装置に供給される被電解水の温度を調整してよい。被電解水に同じ電流値を印加する場合、被電解水の温度が高い程、次亜塩素酸がよく生成される(生成反応が起こり易くなる)。そのため、電解水が生成した後の温度を調整するより、電解水を生成する前(被電解水)の温度を調整した方が、少ない電流値で次亜塩素酸を生成することが可能となり、効率よく次亜塩素酸を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施例の浴室洗浄装置の概略図を示す。
図2】第2実施例の浴室洗浄装置の変形例を示す。
図3】第2実施例の浴室洗浄装置の概略図を示す。
図4】第3実施例の浴室洗浄装置の概略図を示す。
図5】第4実施例であり、浴室洗浄装置を含む浴室空調機を示す。
図6】第5実施例であり、浴室洗浄装置を含む浴室空調機を示す。
図7】被電解水に印加する電流と電解水の圧力変動の関係を示す。
図8】電解水の温度と電解水の圧力変動の関係を示す。
図9】第1制御方法のフローチャートを示す。
図10】第2制御方法のフローチャートを示す。
図11】第3制御方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
図1を参照し、浴室洗浄装置1の基本構造を説明する。なお、浴室洗浄装置1は、単独で、あるいは、後述する浴室暖房装置とともに浴室空調機の機能の一部として用いられる。浴室洗浄装置1は、電解水生成装置4と、ノズル10と、電解水供給管6と、圧力センサ8と、制御部12を備えている。電解水生成装置4には、被電解水導入管2を通じて被電解水が導入される。被電解水は、例えば水道水である。電解水生成装置4では、被電解水に電流が印加される。電解水生成装置4は、被電解水に1~5アンペアの電流を印加することができる。電解水生成装置4は、被電解水に電流を印加することにより、次亜塩素酸を含む電解水を生成する。
【0018】
電解水生成装置4で生成された電解水は、ノズル10から浴室内(図示省略)に噴霧される。電解水生成装置4とノズル10は電解水供給管6で接続されている。電解水生成装置4で生成された電解水は、電解水供給管6を通じてノズル10に供給される。電解水供給管6上には圧力センサ8が設けられている。圧力センサ8は、電解水の圧力(水圧)を膜(ダイヤフラム)を介して検出する。圧力センサ8で検出された圧力は、制御部12に入力される。制御部12は、電解水の圧力(圧力センサ8の検出値)に基づいて、電解水生成装置4の出力(被電解水に印加する電流値)を制御する。圧力センサ8は、電解水の圧力(水圧)を検出できるタイプであればよく、膜(ダイヤフラム)式に限定されるものではない。圧力センサ8は、電解水の圧力(水圧)を検出できるタイプであれば、種々のタイプを用いることができる。
【0019】
上記したように、浴室洗浄装置1では、被電解水に電流を印加して次亜塩素酸を含む電解水を生成する。電解水の生成過程では、水の電気分解により水素が発生する。水の電気分解(水素の発生)は、電解水に印加する電流値が高い程進行する。水素の発生量が少な過ぎると、次亜塩素酸の生成量も少なくなり、電解水の除菌力が低下する。一方、水素の発生量が多過ぎると、電解水中の水素イオンの量が減少し、次亜塩素酸イオンが増大し(電解水のpHが上昇し)、電解水の除菌力が低下する。
【0020】
また、上記したように、浴室洗浄装置1では、圧力センサ8を用いて電解水の圧力を検出する。電解水の圧力は、電解水に含まれる水素(水素ガスの気泡)が増える程大きく変動(水圧が低下)する。浴室洗浄装置1は、圧力センサ8と制御部12を用いて被電解水に印加する電流値を制御し、電解水中の水素量を制御する。具体的には、被電解水に印加する電流値は、電解水中の水素量に応じて、1-5アンペアの間で調整する。浴室洗浄装置1は、電解水中の水素量を所定範囲内に制御することによって、電解水中の次亜塩素酸が減少することを抑制し、良好な除菌力を有する電解水を浴室内に供給する。
【0021】
(第2実施例)
を参照し、浴室洗浄装置3の基本構造を説明する。浴室洗浄装置3は、浴室洗浄装置1の変形例であり、浴室洗浄装置1と同じ構成については浴室洗浄装置1と同じ参照番号を付すことにより説明を省略することがある。浴室洗浄装置3は、電解水生成装置4、ノズル10、電解水供給管6、圧力センサ8、制御部12に加え、温度調節手段20及び温度センサ22を備えている。温度調節手段20は、被電解水導入管2上(電解水生成装置4よりも上流)に設けられている。温度センサ22は、電解水供給管6上(電解水生成装置4よりも下流)に設けられている。なお、温度調節手段20として、特に限定されないが、バーナ等の加熱機、液液熱交換器等の熱交換器を用いることができる。
【0022】
温度調節手段20は、電解水生成装置4に供給される被電解水の温度を調整する。具体的には、温度調節手段20は、被電解水の温度を上昇させる。浴室洗浄装置3は、被電解水の温度を調整することにより、結果として電解水の温度を調整する。温度調節手段20は、被電解水(電解水)の温度を40-80度に調節する。浴室洗浄装置3では、圧力センサ8の検出値及び温度センサ22の検出値(電解水の温度)が制御部12に入力される。制御部12は、圧力センサ8の検出値に基づいて温度調節手段20を制御し、電解水の温度(温度センサ22の値)を調整する。浴室洗浄装置3では、被電解水に印加する電流値を変化させない。すなわち、浴室洗浄装置3では、圧力センサ8の検出値が変動しても、電解水生成装置4の出力を変化させない。
【0023】
電解水中の水素量は、電解水の温度に影響され、温度が高くなる程電解水中の水素量が増加する。浴室洗浄装置3は、温度センサ22と温度調節手段20を用いて電解水の温度を制御し、電解水中の水素量を所定範囲内に制御することによって、良好な除菌力を有する電解水を浴室内に供給する。浴室洗浄装置3は、温度調節手段20を電解水生成装置4よりも上流に設けることにより、温度調整された(加熱された)被電解水が電解水生成装置4に送られる。上記したように、次亜塩素酸は、被電解水の温度が高い程生成され易い。浴室洗浄装置3は、温度調節手段20を電解水生成装置4よりも上流に設けることにより、少ない電流値で次亜塩素酸を生成することが可能となり、効率よく次亜塩素酸を生成することができる。なお、温度センサ22は、温度調節手段20の下流に設けられていればよく、被電解水導入管2上に設けてもよい。また、図に示す浴室洗浄装置3aのように、温度調節手段20を電解水生成装置4の下流(電解水供給管6上)に配置し、次亜塩素酸を含む電解水の温度を直接制御してもよい。
【0024】
(第3実施例)
図4を参照し、浴室洗浄装置5の基本構造を説明する。浴室洗浄装置5を構成している部品は、浴室洗浄装置3と同一である。そのため、浴室洗浄装置5について、各構成部品の説明は省略する。浴室洗浄装置5では、圧力センサ8の検出値及び温度センサ22の検出値が制御部12に入力される。制御部12は、圧力センサ8の検出値に基づいて、電解水生成装置4の出力電流を制御するとともに、温度調節手段20を制御して電解水の温度を調整する。浴室洗浄装置5は、被電解水に印加する電流値及び電解水の温度を制御することによって電解水中の水素量を所定範囲内に制御し、良好な除菌力を有する電解水を生成する。
【0025】
浴室洗浄装置5では、制御部12は、電解水生成装置4の出力電流の制御を行う制御部と、電解水の温度の制御を行う制御部を兼ねている。なお、一般的に、電解水は、高温である程除菌力が高い。そのため、浴室洗浄装置5は、先ずは電解水の温度を40度以上、好ましくは60度以上に維持した状態で電流値を調整して電解水の圧力を調節し、電流値を調整するだけでは電解水の圧力を調整することができない場合(例えば、電流値が上限電流値または下限電流値の場合)に電解水の温度を調節する。
【0026】
(第4実施例)
図5を参照し、浴室空調機100について説明する。図5は、浴室空調機100の配管図を示している。浴室空調機100は、浴室暖房装置110と浴室洗浄装置120を備えている。浴室空調機100は浴室内の空調を行う機器である。例えば、浴室空調機100は、浴室暖房装置110を用いて、浴室内の暖房や乾燥を行う。また、浴室空調機100は、浴室洗浄装置120を用いて、浴室内の除菌を行う。なお、浴室洗浄装置120は、上記した浴室洗浄装置1,3,3a及び5の構成を含んでいる。
【0027】
浴室暖房装置110は、気液熱交換器34と、入水管30と、出水管52を備えている。気液熱交換器34は、入水管30と出水管52の間に接続されている。入水管30には、ガス熱源機等(図示省略)の外部機器で加熱された水(温水)が導入される。出水管52は、液液熱交換器20aを通過している。液液熱交換器20aは、温度調節手段の一例である。熱交換器34,20aで放熱した水は、出水管52からガス熱源機等に戻される。
【0028】
気液熱交換器34は、例えば、温水コイルである。気液熱交換器34は、加熱された水と空気の熱交換によって空気を加熱する。気液熱交換器34は、ガス熱源機等によって加熱されて気液熱交換器34に送られた水の熱によって、浴室内に送る空気を加熱する。加熱された空気は、送風ファン(図示省略)によって浴室内に送風される。気液熱交換器34によって、空気と水の熱交換が行われる。
【0029】
また、浴室暖房装置110は、湯温サーミスタ31と、室温サーミスタ32と、流量制御弁50を備えている。湯温サーミスタ31は、入水管30に設けられている。湯温サーミスタ31は、入水管30を流れる水の温度を検出する。湯温サーミスタ31は、気液熱交換器34で熱交換される前の水の温度を検出する。室温サーミスタ32は、気液熱交換器34に隣接して配置されている。室温サーミスタ32は、浴室内の温度を検出する。流量制御弁50は、液液熱交換器20aの下流で出水管52に設けられている。流量制御弁50は、入水管30及び出水管52を流れる水の流量を制御する。流量制御弁50の開度を調整することによって、入水管30及び出水管52を流れる水の流量を調整することができる。なお、流量制御弁50は、入水管30及び出水管52上であれば、取付け位置は任意である。
【0030】
浴室洗浄装置120は、電解水生成装置4と、電解水供給管6と、圧力センサ8と、ノズル10と、温度センサ22を備えている。電解水生成装置4には、被電解水導入管2が接続されている。被電解水導入管2は、液液熱交換器20aを通過している。液液熱交換器20aは、被電解水導入管2に導入された水を加熱する。液液熱交換器20aは、例えば、プレート式の熱交換器である。液液熱交換器20aは、高温の液体と低温の液体の熱交換によって低温の液体を加熱する。具体的には、液液熱交換器20aは、出水管52を流れる水の熱によって被電解水導入管2を流れる被電解水(水道水)を加熱する。
【0031】
被電解水導入管2上には、水フィルタ48と、逆止弁46と、給水電磁弁42と、過圧逃がし弁44が設けられている。水フィルタ48は、被電解水(水道水)中の異物を除去するとともに、被電解水導入管2内の水抜栓として機能する。逆止弁46は、被電解水導入管2を流れる被電解水の逆流を防止する。給水電磁弁42は、被電解水導入管2の流路を開閉する。給水電磁弁42が開状態になると、被電解水導入管2を被電解水が流れ、液液熱交換器20aに被電解水が送られる。給水電磁弁42が閉状態になると、液液熱交換器20a内の被電解水の流れが止まる。
【0032】
なお、被電解水導入管2上には、バイパス管43が接続されている。バイパス管43は、給水電磁弁42の上下流に接続されている。過圧逃がし弁44は、バイパス管43上に設けられている。過圧逃がし弁44は、逆止弁46と給水電磁弁42の間の圧力が過剰に高くなると開状態になる。過圧逃がし弁44が開状態になると、被電解水は、給水電磁弁42を迂回して、給水電磁弁42の上流から下流に移動する。過圧逃がし弁44が開状態になることにより、逆止弁46と給水電磁弁42の間の圧力を低下させる。
【0033】
被電解水導入管2を流れる被電解水は、液液熱交換器20aを通過する。また、気液熱交換器34を通過した水が液液熱交換器20aを通過する。被電解水は、気液熱交換器34を通過した水によって加熱され、電解水生成装置4に供給される。電解水生成装置4では、被電解水に電流を印加し、次亜塩素酸を含む電解水が生成される。電解水は、電解水供給管6を通じてノズル10に送られる。
【0034】
なお、浴室空調機100では、液液熱交換器20aは、気液熱交換器34に直列接続されている。そのため、入水管30から気液熱交換器34に送られた全ての水が、出水管52によって液液熱交換器20aに送られる。浴室空調機100では、気液熱交換器34で放熱した水の熱を利用して、電解水生成装置4に送る水を加熱する。
【0035】
電解水供給管6上には、温度センサ22、圧力センサ8、ミスト電磁弁38、過圧逃がし弁40が設けられている。温度センサ22は、電解水供給管6を通過する電解水の温度を検出する。圧力センサ8は、電解水供給管6を通過する電解水の圧力を検出する。ミスト電磁弁38は、電解水供給管6を開閉する。ミスト電磁弁38が開状態になると電解水生成装置4からノズル10に電解水が供給され、浴室内に電解水が噴霧される。ミスト電磁弁38が閉状態になると、浴室内への電解水の供給が停止する。
【0036】
また、電解水供給管6には、放水路45が接続されている。放水路45の一端は過圧逃がし弁40の上流に接続されており、他端は開放されている。過圧逃がし弁40は、放水路45を開閉する。過圧逃がし弁40が開状態になると、放水路45から電解水が放出される。過圧逃がし弁40は、電解水生成装置4とミスト電磁弁38の間の水圧が過剰に高くなると開状態になる。過圧逃がし弁40が開状態になると電解水供給管6内の水圧が下がる。
【0037】
ノズル10は、電解水供給管6によって送られた電解水をミスト状にし、浴室内に噴霧する。なお、上記したセンサ、電磁弁等の動作は、制御部12によって制御される。また、温度センサ22及び圧力センサ8の検出値は、制御部12に入力される。
【0038】
次に、浴室空調機100の動作について簡単に説明する。浴室空調機100が動作するときは、外部のガス熱源機等によって加熱された水(温水)が、入水管30に導入される。入水管30に導入された温水は、気液熱交換器34に送られる。このときに、入水管30に設けられている湯温サーミスタ31が、入水管30を流れる温水の温度を検出する。気液熱交換器34は、浴室に送るための空気を加熱する。気液熱交換器34は、温水と空気の熱交換によって空気を加熱する。浴室に送る空気の温度は、室温サーミスタ32によって検出される。制御部12は、室温サーミスタ32の検出値に基づいて、浴室に供給する空気の温度を制御する。
【0039】
気液熱交換器34で熱交換された温水は、出水管52に送られ、液液熱交換器20aを通過して、ガス熱源機に戻される。液液熱交換器20aでは、出水管52を流れる温水と被電解水導入管2を流れる被電解水(水道水)の熱交換が行われる。
【0040】
浴室空調機100では、被電解水導入管2を流れる被電解水は、液液熱交換器(温度調節手段)20aを通過してノズル10に流入する。液液熱交換器20aは、出水管52を流れる温水と被電解水導入管2を流れる水の熱交換によって、被電解水導入管2を流れる水を加熱する。液液熱交換器20aによって加熱された水は、電解水生成装置4に送られる。電解水生成装置4では、必要に応じて被電解水に電流を流し、次亜塩素酸を含む電解水を生成する。生成された電解水は、電解水供給管6を通じてノズル10に供給される。ノズル10は、液液熱交換器20aから供給された電解水を、ミスト状にして浴室内に噴霧する。ノズル10に送られる電解水の温度及び圧力は、圧力センサ8、温度センサ22によって検出される。浴室空調機100では、圧力センサ8,温度センサ22の検出値に基づいて、電解水生成装置4,液液熱交換器20aを制御し、電解水中の次亜塩素酸の量を調整する。次亜塩素酸の量の調整方法については後述する。なお、制御部12は、電解水生成装置4の出力電流の制御を行う制御部と、電解水の温度の制御を行う制御部を兼ねている。また、浴室空調機100は、浴室洗浄装置120(電解水生成装置4)のエラーを報知する報知部(図示省略)を備えており、電解水が正常に生成されていない(次亜塩素酸が生成されていない)場合、報知部を通じて使用者にエラーを報知する。
【0041】
なお、浴室内を除菌しない場合、電解水生成装置4で被電解水に電流を流さない。この場合、電解水を含まない(次亜塩素酸を含まない)ミストが浴室内に噴霧される。
【0042】
(第5実施例)
図6を参照し、浴室空調機100aについて説明する。図6は、浴室空調機100aの配管図を示している。浴室空調機100aは、浴室空調機100の変形例である(図5を参照)。浴室空調機100aについて、浴室空調機100と共通する構成については、浴室空調機100と同じ参照番号を付すことにより説明を省略することがある。
【0043】
浴室空調機100aは、バイパス管60を備えている。バイパス管60の一端は入水管30に接続され、他端は出水管52に接続されている。すなわち、バイパス管60は、気液熱交換器34と並列に接続されている。また、バイパス管60は、液液熱交換器20aを通過している。なお、浴室空調機100aでは、出水管52は液液熱交換器20aを通過していない。
【0044】
入水管30上に、流量制御弁64が設けられている。流量制御弁64は、バイパス管60が接続されている位置よりも下流で、入水管30に接続されている。流量制御弁64は、気液熱交換器34を流れる水の量を調整する。流量制御弁64を閉状態にすると、入水管30内の水は気液熱交換器34を流れず、全て液液熱交換器20aを流れる。
【0045】
また、バイパス管60上に、流量制御弁62が設けられている。流量制御弁62は、液液熱交換器20aより下流でバイパス管60に接続されている。流量制御弁62は、バイパス管60を流れる水の量を調整する。流量制御弁62を閉状態にすると、入水管30内の水は液液熱交換器20aを流れず、全て気液熱交換器34を流れる。なお、浴室空調機100aも、浴室洗浄装置120のエラー(電解水生成装置4,圧力センサ8,温度センサ22等のエラー)を報知する報知部(図示省略)を備えている。
【0046】
浴室空調機100aでは、浴室に温風と電解水を供給する場合、流量制御弁64を開状態にするとともに流量制御弁62も開状態とする。浴室に温風を供給せずに電解水を供給する場合、流量制御弁64を閉状態にするとともに流量制御弁62を開状態とする。また、浴室に温風を供給して電解水を供給しない場合、流量制御弁64を開状態にするとともに流量制御弁62を閉状態とする。浴室に温風及び電解水のどちらも供給しない場合、流量制御弁64及び流量制御弁62を閉状態とする。浴室空調機100aは、外部のガス熱源機等からの水(入水管30に導入される温水)を気液熱交換器34に供給せずに液液熱交換器20aに供給することができる点が、浴室空調機100と異なる。浴室空調機100aの動作については、説明を省略する。
【0047】
ここで、図7及び図8を参照し、被電解水に印加する電流値、電解水の温度、電解水の圧力について説明する。図7は、低温の被電解水を用いて電解水を生成したときの電解水の圧力変化を示している。横軸は時間を示し、縦軸は圧力を示している。曲線70は被電解水に低電流を印加したときの圧力センサ8の検出値を示し、曲線72は被電解水に高電流を印加したときの圧力センサ8の検出値を示している。圧力P0は、被電解水に電流を印加していない(電解水を生成していない)ときの圧力センサ8の検出値を示している。図8は、図7よりも高温の被電解水を用い、他の条件は図7と同じ条件で電解水を生成したときの圧力センサ8の検出値を示している。なお、圧力P1は、圧力変動の有無を判定する閾値であり、圧力P1を超えた(下回った)回数をカウントすることにより、電解水の圧力変動の程度を判定する。
【0048】
図7及び図8に示すように、被電解水に印加する電流値が大きくなると、圧力変化(圧力低下)の頻度、及び、圧力変化の割合(変化量)が大きくなる。すなわち、曲線70,72に示すように、被電解水に印加する電流値が大きくなると、圧力P1を超える回数が増える。また、電解水の温度が高くなると、圧力変化の割合が大きくなる。結果として、電解水の温度が高くなると、圧力P1を超える回数が増える。このように、被電解水に印加する電流値を高くする程、また、電解水の温度を高くする程、圧力P1を超える回数が増える。この圧力P1を超えて変動する回数をカウントすると、電解水に含まれる水素量の比率を計測することができる。上記した浴室洗浄装置120は、圧力センサ8の検出値が所定時間内に圧力P1を超えて変動する回数をカウントし、電解水内に含まれる水素量を適値に調整することにより、電解水のpHを調整し、高い除菌力を発現する電解水を生成する。なお、圧力P1を超えて変動する圧力の回数をカウントすることにより、圧力センサ8の機器的な検出値のばらつきの影響を抑制することができる。以下、電解水を生成する際の浴室洗浄装置120の動作(電解水に含まれる水素量の制御方法)について説明する。
【0049】
(第1制御方法)
図9を参照し、第1生成方法について説明する。第1生成方法では、圧力センサ8の検出値に基づいて、被電解水に印加する電流値、及び、電解水の温度の双方を調整する。まず、電解水を生成中(電解水を含むミストを浴室に噴霧中)か否かを判断する(ステップS2)。浴室洗浄装置120が浴室にミストを噴霧中でない場合、あるいは、浴室洗浄装置120が電解水を含まないミストを浴室に噴霧中の(すなわち、浴室を除菌中でない)場合、処理を終了する(ステップS2:NO)。
【0050】
電解水を生成中の場合(ステップS2:YES)、圧力センサ8の検出値が所定時間内に圧力P1を超えて変動した回数Nをカウントし(カウント数Nを検出し)、カウント数Nが上限回数N1を超えているか否かを判断する(ステップS4)。なお、上限回数N1は、制御部12内のメモリに記憶されており、水素発生量(電解水の圧力)と電解水に含まれる次亜塩素酸の量との関係より、適切な除菌力を発現する電解水を得るための上限水素量より決定された値である。
【0051】
カウント数Nが上限回数N1を超えている場合(ステップS4:YES)、被電解水に印加している電流値を読み込み、その電流値が下限電流値か否かを判定する(ステップS6)。なお、下限電流値は、次亜塩素酸を安定して生成するために必要な最小電流値であり、制御部12に記憶されている。被電解水に印加している電流値が下限電流値ではない場合(ステップS6:NO)、被電解水に印加する電流値を下げる(ステップS8)。図7に示したように、被電解水に印加する電流値を下げると、水素の発生量が減少し、電解水のpHが低下し、電解水中の次亜塩素酸の量が増大する。その後、ステップS4に戻り、カウント数Nと上限回数N1の比較を繰り返す。
【0052】
電流が下限電流値の場合(ステップS6:YES)、さらに電流値を下げると、次亜塩素酸を安定して生成することができない。そのため、電流が下限電流値の場合、被電解水の温度を低下させる(ステップS10)。具体的には、液液熱交換器20aにおいて出水管52を流れる温水と被電解水導入管2を流れる水の熱交換率を低下させる。図8に示したように、電解水の温度を低下させても、水素の発生量が減少し、電解水中の次亜塩素酸の量が増大する。その後、ステップS4に戻り、カウント数Nと上限回数N1の比較を繰り返す。
【0053】
カウント数Nが上限回数N1を超えていない場合(ステップS4:NO)、ステップS12に進み、カウント数Nが下限回数N2より少ないか否かを判定する(ステップS12)。カウント数Nが下限回数N2を下回っていない場合(ステップS12:NO)、電解水に含まれる水素の量は適切な範囲であり、電解水の生成条件を変更することなく調整処理を終了する。なお、下限回数N2は、制御部12内のメモリに記憶されており、水素発生量(電解水の圧力)と電解水に含まれる次亜塩素酸の量との関係より、適切な除菌力を発現する電解水を得るための下限水素量より決定された値である。
【0054】
カウント数Nが下限回数N2より小さい場合(ステップS12:YES)、被電解水に印加している電流を読み込み、その電流が上限電流値か否かを判定する(ステップS14)。上限電流値は、安全に次亜塩素酸を生成するために設定された電流値であり、制御部12に記憶されている。電流値が上限電流値ではない場合(ステップS14:NO)、被電解水に印加する電流値を上げる(ステップS16)。被電解水に印加する電流値を上げることにより、電解水中の次亜塩素酸の量が増大する。その後、ステップS4に戻り、カウント数Nと上限回数N1の比較を繰り返す。
【0055】
電流値が上限電流値の場合(ステップS14:YES)、さらに電流値を上げると、安全に次亜塩素酸を生成することができなくなることがある。そのため、電流値が上限電流値の場合(ステップS14:YES)、ステップS15に進み、電解水の温度が上限温度に達しているか否かを判定する。ステップS15では、温度センサ22の検出値と制御部12に記憶されている電解水の上限温度(例えば80度)を比較する。電解水の温度が上限温度に達してない場合(ステップS15:NO)、液液熱交換器20aにおいて出水管52を流れる温水から被電解水導入管2を流れる水へ供給される熱量を増大させ、被電解水の温度を上昇させる(ステップS17)。電解水の温度を上昇させることにより、電解水中の次亜塩素酸の量が増大する。その後、ステップS4に戻り、カウント数Nと上限回数N1の比較を繰り返す。
【0056】
電解水の温度が上限温度に達している場合(ステップS15:YES)、これ以上電流値を上げることも、電解水(被電解水)の温度を上げることもできない。すなわち、ステップS15で電解水の温度が上限温度に達していると判断された場合、電流値及び温度が最大であるにも係らず、電解水が生成されていない。この場合、電解水の生成(電解水生成装置4の作動)を停止し、使用者にエラーを報知し(ステップS19)、処理を終了する。
【0057】
(第2制御方法)
図10を参照し、第2制御方法について説明する。第2制御方法では、圧力センサ8の検出値に基づいて、電解水の温度は調整せずに、被電解水に印加する電流値のみを調整する。すなわち、液液熱交換器20aにおいて出水管52を流れる温水から被電解水導入管2を流れる水へ供給される熱量は変化させない。第2制御方法は、第1制御方法と比較して、シンプルな制御を行うことができる。また、第2制御方法は、ノズル10から浴室内に供給されるミストの温度が変動することを抑制することができる。以下の説明において、第1制御方法と同一の処理については、説明を簡略化することがある。
【0058】
まず、電解水を生成中(電解水を含むミストを浴室に噴霧中)か否かを判断する(ステップS20)。浴室にミストを噴霧中でない場合、あるいは、電解水を含まないミストを浴室に噴霧中の場合、処理を終了する(ステップS20:NO)。
【0059】
電解水を生成中の場合(ステップS20:YES)、圧力センサ8の検出値が所定時間内に圧力P1を超えて変動した回数Nをカウントし、カウント数Nが上限回数N1を超えているか否かを判断する(ステップS22)。カウント数Nが上限回数N1を超えている場合(ステップS22:YES)、被電解水に印加する電流値を下げる(ステップS24)。その後、ステップS22に戻り、カウント数Nと上限回数N1の比較を繰り返す。
【0060】
カウント数Nが上限回数N1を超えていない場合(ステップS22:NO)、カウント数Nが下限回数N2より少ないか否かを判定する(ステップS26)。カウント数Nが下限回数N2を下回っていない場合(ステップS26:NO)、調整処理を終了する。
【0061】
カウント数Nが下限回数N2より少ない場合(ステップS26:YES)、ステップS27に進み、被電解水に印加されている電流値が上限電流値に達しているか否かを判定する。ステップS27では、被電解水に印加している電流値と制御部12に記憶されている上限電流値(例えば5アンペア)を比較する。被電解水に印加している電流値が上限電流値に達してない場合(ステップS27:NO)、被電解水に印加する電流値を上げる(ステップS28)。その後、ステップS22に戻り、カウント数Nが適切な範囲(ステップS22:NO,ステップS26:NO)になるまで電流値の調整を繰り返す。被電解水に印加されている電流値が上限電流値に達している場合(ステップS27:YES)、電解水の生成(電解水生成装置4の作動)を停止し、使用者にエラーを報知し(ステップS29)、処理を終了する。
【0062】
(第3制御方法)
図11を参照し、第3制御方法について説明する。第3制御方法では、圧力センサ8の検出値に基づいて、被電解水に印加する電流値は調整せずに、電解水の温度のみを調整する。第3制御方法は、第1制御方法と比較して、シンプルな制御を行うことができる。また、第3制御方法は、電解水生成装置4の構造を簡単にすることができる。すなわち、被電解水に印加する電流値を変化させる回路を省略することができる。以下の説明において、第1制御方法と同一の処理については、説明を簡略化することがある。
【0063】
まず、電解水を生成中(電解水を含むミストを浴室に噴霧中)か否かを判断する(ステップS30)。浴室にミストを噴霧中でない場合、あるいは、電解水を含まないミストを浴室に噴霧中の場合、処理を終了する(ステップS30:NO)。
【0064】
電解水を生成中の場合(ステップS30:YES)、圧力センサ8の検出値が所定時間内に圧力P1を超えて変動した回数Nをカウントし、カウント数Nが上限回数N1を超えているか否かを判断する(ステップS32)。カウント数Nが上限回数N1を超えている場合(ステップS32:YES)、液液熱交換器20aにおいて出水管52を流れる温水から被電解水導入管2を流れる水へ供給される熱量を下げ、電解水の温度を低下させる(ステップS34)。その後、ステップS32に戻り、カウント数Nと上限回数N1の比較を繰り返す。
【0065】
カウント数Nが上限回数N1を超えていない場合(ステップS32:NO)、カウント数Nが下限回数N2より少ないか否かを判定する(ステップS36)。カウント数Nが下限回数N2を下回っていない場合(ステップS36:NO)、調整処理を終了する。
【0066】
カウント数Nが下限回数N2より少ない場合(ステップS36:YES)、ステップS37に進み、電解水の温度が上限温度に達しているか否かを判定する。電解水の温度が上限温度に達してない場合(ステップS37:NO)、液液熱交換器20aにおいて出水管52を流れる温水から被電解水導入管2を流れる水へ供給される熱量を上げ、電解水の温度を上げる(ステップS38)。その後、ステップS32に戻り、カウント数Nが適切な範囲(ステップS32:NO,ステップS36:NO)になるまで電解水の温度調節を繰り返す。電解水の温度が上限温度に達している場合(ステップS37:YES)、電解水の生成(電解水生成装置4の作動)を停止し、使用者にエラーを報知し(ステップS39)、処理を終了する。
【0067】
上記第4及び第5実施例では、液液熱交換器20aが電解水生成装置4より上流に設けられている例について説明した。しかしながら、液液熱交換器20aは、電解水生成装置4より下流に設けてもよい。すなわち、電解水生成装置4で次亜塩素酸を含む電解水を生成した後、その電解水の温度を上昇させてもよい。
【0068】
また、上記第4及び第5実施例では、圧力センサ8の検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変動した回数をカウントし、その回数に基づいて、被電解水に印加する電流値、及び/又は、電解水の温度を調整する例について説明した。すなわち、電解水の圧力が大きく変動する頻度に基づいて被電解水に印加する電流値、及び/又は、電解水の温度を調整した。しかしながら、電解水の圧力変動以外の条件、例えば、所定時間内における電解水の圧力(圧力センサの検出値)を積算し、その積算値に基づいて被電解水に印加する電流値、及び/又は、電解水の温度を調整してもよい。
【0069】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1:浴室洗浄装置
3:浴室洗浄装置
3a:浴室洗浄装置
4:電解水生成装置
5:浴室洗浄装置
6:電解水供給管
8:圧力センサ
10:ノズル
12:制御部
20:温度調節手段
20a:液液熱交換器(温度調節手段)
22:温度センサ
100:浴室空調機
120:浴室洗浄装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11