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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】格納区画を含む注射システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20220118BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/00 518
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2017550513
(86)(22)【出願日】2016-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-05-24
(86)【国際出願番号】 US2016024095
(87)【国際公開番号】W WO2016160531
(87)【国際公開日】2016-10-06
【審査請求日】2019-03-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】62/139,582
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507119249
【氏名又は名称】ハイプロテック、 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック オー.テニカン
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2851036(US,A)
【文献】国際公開第2014/144416(WO,A1)
【文献】特開昭58-27565(JP,A)
【文献】特表2015-508699(JP,A)
【文献】米国特許第4799926(US,A)
【文献】特表2008-515594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的に連結された少なくとも2つのシリンジであって、各シリンジが、薬剤が排出され得る開口部を有する遠位端、及びプランジャが挿入され得る近位端を含む薬剤チャンバを有する、シリンジと、プランジャであって、各プランジャが、前記薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端と近位端を備え、前記プランジャのうちの少なくとも1つの近位端は、格納区画と、前記格納区画を封鎖するために前記格納区画の開口部に取付けられた取り外し可能な平板状の蓋を含み、前記格納区画の一つは、経口投与用の薬剤を封入する、プランジャと、を備える、複数注射デバイス。
【請求項2】
2つ、3つ、または4つのシリンジを備える、請求項1に記載の複数注射デバイス。
【請求項3】
前記薬剤チャンバは、出口体が出口体開口部と整列された薬剤チャンバを除く全ての薬剤チャンバからの薬剤放出を阻止するように、薬剤放出用の前記出口体開口部を備える前記出口体に接続される、請求項1または2に記載の複数注射デバイス。
【請求項4】
前記出口体は、薬剤解放用の単一出口体開口部を備える、請求項3に記載の複数注射デバイス。
【請求項5】
前記出口体は、中心軸を中心として回転する、請求項3に記載の複数注射デバイス。
【請求項6】
前記出口体は、前記薬剤チャンバに固定的に取り付けられる第1の部分と、前記第1の部分に回転自在に結合され前記第1の部分に対して中心軸を中心として回転するように構成された第2の部分と、を有する、請求項3に記載の複数注射デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも2つのシリンジは、1つの箱または袋内に収容される、請求項1または2に記載の複数注射デバイス。
【請求項8】
治療的有効量の主薬剤は、前記箱または袋内の前記シリンジとは別個に提供される、請求項7に記載の複数注射デバイス。
【請求項9】
前記箱または袋内に、かつ前記シリンジとは別個に、補助薬剤、主薬剤の余分の用量、主薬剤に対する補足的な薬剤及び医療用品をさらに備える、請求項8に記載の複数注射デバイス。
【請求項10】
1つの薬剤チャンバは、治療的有効量の主薬剤が予め装填され、別の薬剤チャンバは、補助薬剤、主薬剤の余分の用量、または主薬剤に対する補足的な薬剤が予め装填され、前記格納区画の別の一つは、医療用品を封止する、請求項1または2に記載の複数注射デバイス。
【請求項11】
1つの薬剤チャンバは、治療的有効量の主薬剤が予め装填され、別の薬剤チャンバは、補助薬剤、主薬剤の余分の用量、または主薬剤に対する補足的な薬剤が予め装填され、前記格納区画の別の一つは、前記別の薬剤チャンバに予め充填された、補助薬剤、主薬剤の余分の用量、または主薬剤に対する補足的な薬剤とは異なる、補助薬剤、主薬剤の余分の用量、または主薬剤に対する補足的な薬剤を封止する、請求項1または2に記載の複数注射デバイス。
【請求項12】
病気の処置用の携帯用キットであって、該携帯用キットは、少なくとも2つのシリンジを備え、各シリンジは、薬剤が排出され得る開口部を有する遠位端、及びプランジャが挿入され得る近位端を含む薬剤チャンバと、前記薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端と近位端を備え、前記近位端は、格納区画と、前記格納区画を封鎖するために前記格納区画の開口部に取付けられた取り外し可能な平板状の蓋を含む、プランジャを備え、前記格納区画のうちの一つは、経口投与用の薬剤を封入する、携帯用キット。
【請求項13】
前記携帯用キットは、前記少なくとも2つのシリンジの同時使用による注入を可能にする機構を備える、請求項12に記載の携帯用キット。
【請求項14】
主薬剤は、アレルギー反応または心臓の異常を処置するための治療的有効量で提供される、請求項12または13に記載の携帯用キット。
【請求項15】
複数注射デバイスを作製する方法であって、
格納区画を備える近位端を有する第1のプランジャを形成することと、取り外し可能な平板状の蓋を形成することと、前記第1のプランジャの前記格納区画に、経口投与用の薬剤を装填することと、前記格納区画を封鎖するために、前記第1のプランジャの前記格納区画の開口部に、前記取り外し可能な平板状の蓋を取り付けることを含む、少なくとも2つのプランジャを形成することと、
少なくとも2つの薬剤チャンバを形成することと、
少なくとも2つのシリンジが形成されるように前記少なくとも2つのプランジャの遠位端を前記少なくとも2つの薬剤チャンバの近位端内に挿入することと、を含む、方法。
【請求項16】
主薬剤を前記少なくとも2つのシリンジの第1のシリンジ内に装填することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記主薬剤の余分の用量を前記少なくとも2つのシリンジの第2のシリンジ内に装填することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
補助薬剤または主薬剤に対する補足的な薬剤を前記少なくとも2つのシリンジの第2のシリンジ内に装填することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
医療用品、補助薬剤、または主薬剤に対する補足的な薬剤を第2のプランジャの格納区画内に挿入することと、
前記第2のプランジャの前記格納区画を前記取り外し可能な蓋で覆うことと、をさらに含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも2つの薬剤チャンバは、単一の部品で形成される、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つの薬剤チャンバは、連結機構によって連結される、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも2つの薬剤チャンバは、出口体が出口体開口部と整列された薬剤チャンバを除く全ての薬剤チャンバからの薬剤放出を阻止するように、薬剤放出用の前記出口体開口部を備える前記出口体に接続される、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、種々の材料を収容する格納区画を含む注射システムを提供する。格納区画は、空間的及び時間的に効率的な方法における医療の提供を容易化し、非医療施設における治療の提供において特に有用である。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月27日に出願された、米国仮出願第62/139,582号の優先権、及びその利益を主張し、その全体の内容が本明細書に参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
いくつかの健康異常への対応において時間が重要である。例えば、アレルギーによるアナフィラキシーショックにかかっている人は、反応が始まった後、薬剤がすぐに送達される必要があり得る。しかしながら、しばしば、このような人は、医療施設から遠い場所にいることがある。医療施設内においても、患者を処置するために必要な時間を低減することは、処置結果を向上し得る。
【発明の概要】
【0004】
格納区画を含む注射システムが本明細書において開示される。システムは、医療施設の外で治療が必要になる事象において人によって持ち運び可能である簡潔な医療を提供する。システムはまた、薬剤及びしばしば一緒に使用される用品へのアクセスを合理化するために医療施設内において使用可能である。
【0005】
本明細書において開示される実施形態は、シリンジ用のプランジャを有する注射デバイスを含む。プランジャは、格納区画を含み得る。格納区画を含むプランジャを有するシリンジは、個々のシリンジとして提供可能であり、または複数チャンバ付き注射デバイスを形成するように1つ以上の追加のシリンジと連結され得る。複数チャンバ付き注射デバイスが提供される場合、デバイス内のシリンジの1つ以上が、格納区画を有するプランジャを含み得る。
【0006】
本明細書に開示される実施形態の各々は、非医療施設及び医療施設における医療の提供を容易化する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】格納区画を含むシリンジプランジャを図示する。
図2A】シリンジに関連付けられた格納区画を含むプランジャを図示する。図2Aは、格納区画内における種々の薬剤(図2A(カプセル))の含有物を図示する。
図2B】シリンジに関連付けられた格納区画を含むプランジャを図示する。図2Bは、格納区画内における種々の薬剤(図2B(錠剤))の含有物を図示する。
図2C】シリンジに関連付けられた格納区画を含むプランジャを図示する。図2Cは、格納区画内における医療用品(図2C(折り畳まれた消毒薬ワイプ))の含有物を図示する。
図2D】シリンジに関連付けられた格納区画を含むプランジャを図示する。図2Dは、格納区画内における医療用品(図2D(スポンジ))の含有物を図示する。
図2E】シリンジに関連付けられた格納区画を含むプランジャを図示する。図2Eは、格納区画内における医療用品(図2E(圧縮されたスポンジ))の含有物を図示する。
図3】複数チャンバ付き注射デバイスを形成するために連結された格納区画を有するプランジャを含む2つのシリンジを図示する。
図4】(4A)各々、格納区画を有する複数プランジャを含む複数チャンバ付き注射デバイスの斜視図を示す。(4B)4Aの複数チャンバ付き注射デバイスの分解斜視図を示す。
図5】異なる視点からの図4Aの複数チャンバ付き注射デバイスの分解斜視図を示す。
図6】各々、格納区画を有しプランジャ安全ロックを有する複数プランジャを含む複数チャンバ付き注射デバイスの側面図を示す。
図7】各々、格納区画を有しプランジャ安全ロック及びスリット形状出口を有する複数プランジャを含む複数チャンバ付き注射デバイスの分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ある特定の健康異常への対応について時間が重要であり得る。例えば、アナフィラキシーショックにかかっている人または動物は、反応が始まった後、薬剤がすぐに送達される必要があり得る。必要な薬剤及び医療用品が、アクセス容易に及び使用構成に予め組み込まれていない場合、貴重な時間が失われ得る。したがって、使用することが容易な単一注射システムに対し、複数薬剤、薬剤(例えば、静脈注射用、経口用、舌下用、心臓内用)の複数送達機構、薬剤を投与する手段、及び/または消毒薬成分を有する塗布器を併合することは、大きな利益を提供する。
【0009】
格納区画を含む注射システムを提供することによって医療処置の実施を容易化する注射システムが本明細書に開示される。格納区画を含む注射システムは、種々の薬剤及び医療用品を空間的及び使用に効率的な方法において一緒に収容することを可能にする。空間的に効率的な設計は、より多くの薬剤及び医療用品を個人が医療施設の外に持ち運ぶことを可能にする。使用に効率的な設計は、実施の容易化、組み込みに必要な時間の短縮、及び種々の薬剤の安全な投与を促進する。
【0010】
注射システムは、薬剤が予め提供されることなく、または予め装填されることなく、末端利用者に提供され得る。これらの実施形態において、末端利用者は、薬剤及び用品を選択し注射システム内に装填することができる。更なる実施形態において、注射システムは、医療用品を伴うが、薬剤が予め装填されずに手に入れることができる。特定の実施形態において、医療用品は、格納区画内に収容され得る。医療用品は、薬剤の投与を容易化する任意の品物、例えば、綿、ガーゼ、包帯、管、針、生理食塩水、消毒薬ワイプ、ステント、漏斗、スポンジ、チップ等を含む。更なる実施形態において、注射システムは、医療用品ではなく、薬剤が予め装填されて手に入れることができる。また更なる実施形態において、注射システムは、薬剤及び医療用品が予め装填されて手に入れることができる。
【0011】
使用において、注射システムは、主薬剤を含む。主薬剤は、末端利用者が体験し得るまたは遭遇し得る健康異常を処置することが意図される1つのものである。例えば、末端利用者が、重いアレルギー反応の傾向がある、または重いアレルギー反応の傾向がある人もしくは動物と時間を過ごすことになりそうな場合、主薬剤は、エピネフリンであり得る。主薬剤は、格納区画内に収容され得る、またはシリンジの薬剤チャンバ内に予め装填され得る。
【0012】
他の特定の実施形態において、注射システムは、補助薬剤、余分の用量、または補足的な薬剤のうちの1つ以上を含み得る。補助薬剤、余分の用量、及び/または補足的な薬剤は、格納区画内に収容され得る、及び/または主薬剤を収容していない薬剤チャンバ内に予め装填され得る。
【0013】
補助薬剤は、それ自体、体験するまたは遭遇することになりそうな健康異常を処置することが意図されるものではなく、主薬剤の主な処置目的を補助する有益な効果を提供する薬剤である。例えば、注射システムがアレルギー反応を処置するように構成される場合、主薬剤は、エピネフリンであり、補助薬剤は、消毒薬、抗生物質、抗不安薬剤、または疼痛対策薬剤であり得る。
【0014】
余分の用量は、主薬剤の追加の用量である。余分の用量は、結果として主薬剤用量の投与の不足をもたらす、主用量が予期せず問題の健康異常を克服するために十分に高くない事象、またはシステム不良がある事象において提供され得る。余分の用量はまた、長期間の繰り返しの投与が必要とされる処置計画に対して提供され得る。
【0015】
補足的な薬剤は、主薬剤が処置することを意図されるものと同じ健康異常を処置することが意図される第2の異なる薬剤である。例えば、アレルギー反応に対し、主薬剤は、エピネフリンであり、補足的な薬剤は、抗ヒスタミン剤またはステロイドであり得る。特定の実施形態において、補足的な薬剤は、主薬剤と同じ健康異常であるが、異なる作用機構を通して処置することが意図される。
【0016】
本明細書において開示される注射システムの実施形態は、シリンジ用のプランジャ、シリンジ、複数チャンバ付き注射デバイス、及び携帯用キットを含む。注射システムのこれらの形式の各々は、種々の図を参照してより完全に説明される。同じ参照番号は、図の全体を通して例示的デバイスの同じまたは類似の特徴(複数可)を図示するために使用される。
【0017】
図1は、格納区画104を含むシリンジプランジャ102を図示する。経口投与用のカプセル106が図示されるが、他の場所で示されるように、種々の形式の薬剤及び医療用品が格納区画104内に収容され得る。格納区画は、注射デバイスそれ自体の中にあってもよく、注射デバイスから独立して注射システム内の他の場所に提供されてもよい。
【0018】
この図示された実施形態において、格納区画は、蓋110を含む。蓋110は、必要とされるときに使用準備されるように、格納区画104内に収容されている薬剤及び/または医療用品を実質的に保持可能な任意の機構であり得る。例示的な蓋機構としては、摩擦嵌めキャップ、スナップキャップ、ネジキャップ、フィルム、ホイル、布、及びカバーを含む。いくつかの実施形態において、封止体が蓋に加えて使用され得る。このような実施形態において、封止体は、薬剤及び/または医療用品の無菌状態を維持するために適当な位置にあり得る。例示的な封止体としては、フィルム、ホイル、カバー等を含む。
【0019】
図2A~2Dは、注射デバイス100を形成するように薬剤チャンバ112に関連付けられた格納区画104を含むプランジャ102を図示する。図示された実施形態において、格納区画は、蓋110を含む。種々の実施形態において、注射デバイスは、任意のプランジャ、シリンジ、またはシリンジシステムを含み得る。例示的なプランジャ、シリンジ、及びシリンジシステムとしては、ルアーロックシリンジ、Air-Titeシリンジ、Becton Dickinson(Franklin Lakes,NJ)、Allegro Medical、Cole-Palmer、及びCatalentから入手可能なシリンジ、EPI-PEN(Mylan,Canonsburg,PA)、ならびにAllerject(Sanofi,Laval,Quebec)を含む。
【0020】
図2A~2Dにおいて、図示された薬剤は、カプセル106(図2A)もしくは錠剤107(図2B)である、及び/または医療用品は、消毒薬ワイプ108(図2C)もしくはスポンジ109(図2D)である。
【0021】
図2Eに見られるように、スポンジ109のような医療用品は、蓋110の下、無菌状態を維持するように任意に封止体142を伴い、圧縮された状態で格納され得る。医療用品が格納区画内に封止される実施形態において、封止体が取り外され、スポンジのような医療用品が、図2Eに例示されるように、格納区画の壁を越えて膨張して延在し得る。いくつかの実施形態において、スポンジは、消毒薬溶液または消毒薬ゲルを含有し得る。
【0022】
図3は、薬剤チャンバ112、113と、連結機構114によって連結された格納区画104、105を含むプランジャ102、103と、を含む2つのシリンジを含む複数チャンバ付き注射デバイス100を図示する。この図示された実施形態において、1つの格納104区画は、カプセル106を収容し、一方で第2の格納区画105は、錠剤107を収容し、格納区画の両方は、蓋110、111を含む。
【0023】
複数チャンバ付き注射デバイス100をなすシリンジは、ハウジングまたはクリップのような任意の適当な連結機構114によって連結され得る。いくつかの実施形態において、シリンジは、一緒に融着されてもよく、または単一片材料から形成されてもよい。シリンジは、これらの互いに対する向きを一定に維持する機構114、またはシリンジが互いに対して動くことを可能にし得る機構114によって連結され得る。例えば、連結機構114は、両方の注射針が同時に利用可能であり、2つの注射を同時に提供するように、平行な向きにシリンジを保持することができる。これに代えて、連結機構114は、1つのみの注射が一度に提供され得るように、シリンジが互いに対して長手方向に回転することを可能にし得る。
【0024】
図4A~7を参照すると、例示的な実装において、注射デバイス100は、薬剤チャンバ112a、112b、112c、112n(まとめて、及び互換的に112として参照する)の1つ以上を有し、各チャンバ112が、近位端116、遠位端118、及びその中に予め装填された内容物を有し得るチャンバキャビティ120を有する。チャンバキャビティ120は、蓋110を含み得る。注射デバイス100は、2つまたは4つのチャンバ112を伴って示されるが、注射デバイス100は、より多いまたはより少ない数のチャンバ112を有してもよい。注射デバイス100は、チャンバ112の1つ以上の内側に既に内容物を含んで準備され利用者に提示され得る。チャンバ112は、略円筒形状であり、各チャンバは、プランジャ102a、102b、102c、102n(まとめて、及び互換的に102として参照する)に関連付けられることで、プランジャ102の端部に力が加えられたときに、チャンバ112の内容物を排出する。内容物は、固体、気体、または流体であってもよい。内容物は、単一化合物または複数化合物の混合物を含有し得る。いくつかの実施形態において、内容物は、予め混合される、またはさもなければチャンバ112内に挿入される前に投与のために調製される。他の実施形態において、内容物は、プランジャ102に力が加えられたときに破れるフィルムまたは他の膜によって隔てられ得る。内容物は、薬剤であってもよく、または、例えば、生理食塩水もしくは水のような他の非医薬内容物であってもよい。
【0025】
複数チャンバ112の各々は、同じまたは異なる内容物を含有し得る。いくつかの実装において、2つ以上のチャンバ112(例えば、112a及び112bのような)が、同じ内容物を含有してもよい一方で、他のチャンバ112が、1つ以上の異なる内容物を含有する。同じ内容物(例えば、余分の用量)をより多くのチャンバ112内に提供することは、余剰物を提供し、1つのチャンバ112の内容物の投与が失敗した場合に、利用者が第2の用量を投与することを可能にする。例えば、これは、注射デバイス100に伴う、または注射デバイス100の使用に伴う、いずれかの失敗がある場合に、バックアップ機能を提供することができる。他の実施形態において、余分の用量は、薬剤の繰り返しの投与が是認される場合に使用され得る。
【0026】
さらに、同じ内容物を複数の異なるチャンバ112に分割することは、1回分の用量の簡素な調節を可能にし得る。つまり、同じ内容物の複数の異なるチャンバ112への分割は、利用者にとってより容易であり、より正確な投与される用量へとつながり、第1のチャンバ112aの内容物を完全に分注し、それから、必要であれば、チャンバ112aの残留内容物を分注することに続いてチャンバ112aの内容物を部分的に分注するのではなく、第2のチャンバ112bの全部の内容物を使用し得る。注射デバイスが任意の数のチャンバ112を有し得るので、種々の容量または用量が、たやすく達成され得る。種々の実施形態において、1回分の用量は、特定の末端利用者にカスタマイズされ得る。例えば、1回分の用量は、体重、薬物クリアランス率、年齢(例えば、幼児、小児、成人等)等に基づいて決定され得る。
【0027】
チャンバ112の1つ以上が、予め装填される場合、予め装填されていない1つ以上の他のチャンバ112がまたあってもよい。存在する場合、空のチャンバ112が、不使用のままになり得る(例えば、注射デバイス100が4つのチャンバ112を有するが、特定の用途に対して3つのみが必要とされる)、または空のチャンバ112は、利用者によって使用時にまたはそのすぐ前に充填され得る。
【0028】
一態様において、注射デバイス100は、特有の医療的必要性を処置するために、一緒に使用されることが意図される薬剤により予め装填されたチャンバ112を有し得る。例えば、アナフィラキシーのような強いアレルギー反応の処置は、エピネフリン(アドレナリン、主薬剤)、抗ヒスタミン剤(補足的な薬剤)、ステロイド(補足的な薬剤)、抗不安薬剤(補助薬剤)、及び/または疼痛対策薬剤(補助薬剤)の注射によって対処され得る。抗ヒスタミン剤は、ジフェンヒドラミンまたは類似の抗ヒスタミン剤であり得る。ステロイドは、コーチゾン、プレドニゾン、メチルプレドニソロン(MEDROL(登録商標)(Pharmacia&Upjohn Company LLC,Peapack,NJ)、及びデキサメタゾン(DECADRON(登録商標)(Pragma Pharmaceuticals LLC,Locust Valley,NY))を含むコルチコステロイドであり得る。
【0029】
一例において、注射デバイス100の第1のチャンバ112aは、エピネフリンを含有し、注射デバイス100の第2のチャンバ112bは、抗ヒスタミン剤を含有し、注射デバイス100の第3のチャンバ112cは、疼痛対策薬剤を含有し、注射デバイス100の第4のチャンバ112dは、エピネフリンの別の用量(余分の用量)が予め装填され得る。この実装において、注射デバイス100のチャンバ112内の薬剤の各々は、同じ健康異常、すなわちアレルギー反応の処置に関する。複数薬剤を含む1つの注射デバイス100を用意することは、迅速な作用/短時間(エピネフリン)から、中間作用/中間の時間(抗ヒスタミン剤)、最も長い開始作用/最も長い有効時間(コルチコステロイド)までの様々な抗アレルギー治療(つまり、アナフィラキシーに対する)を提供することができる。この構成は、重いアレルギー反応の異なる態様を処置するための適切な異なる薬剤を単一デバイスにおいて一緒に位置付ける。したがって、この例において、アドレナリンは、反応開始後、即座に投与され、抗ヒスタミン剤は、患者の初期安定後に投与され、コルチコステロイドは、専門的な医療を受けるまでに長い遅れがある場合に投与され得る。
【0030】
チャンバ112の内容物は、患者に同時投与されてもよいか、または順次投与されてもよい。この順次投与は、矢継ぎ早であってもよいか、または遅らされてもよい。順次投与が遅らされる場合、後続の薬剤は、先に投与された薬剤に対する患者の反応に基づいて投与され得る。
【0031】
チャンバ112の内容物は、針によって筋肉内、皮下、または静脈内に投与され得る。チャンバ112の内容物は、注射または点滴を通して投与され得る。注射は、チャンバ112の薬剤のような内容物が血流に迅速に動かされることを可能にする。チャンバ112の内容物は、ステントへの結合により静脈内に投与され得る。内容物はまた、注射デバイスに結合される適当なチップ(図示されない)により鼻腔内にも投与され得る。
【0032】
チャンバ112の2つ以上は、同じまたは異なる容量を有し得る。いくつかの実装において、1つ以上のチャンバ112の容量は、約1mL、約2mL、約5mL、約10mL、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70mL、約80mL、約90mL、約100mL、約110mL、約120mL、約130mL、または約140mLであり得る。他の実装において、1つ以上のチャンバ112の容量は、1mL以上、2mL以上、5mL以上、10mL以上、20mL以上、30mL以上、40mL以上、50mL以上、60mL以上、70mL以上、80mL以上、90mL以上、100mL以上、110mL以上、120mL以上、130mL以上、140mL以上であり得る。更なる実装において、1つ以上のチャンバ112の容量は、1mL以下、2mL以下、5mL以下、10mL以下、20mL以下、30mL以下、40mL以下、50mL以下、60mL以下、70mL以下、80mL以下、90mL以下、100mL以下、110mL以下、120mL以下、130mL以下、または140mL以下であり得る。容量は、特定の健康異常を処置するために適切な既知の薬剤の容量に基づいて選択され得る。
【0033】
実施形態に従って、出口体122は、チャンバ112の遠位端118に接続される。実施形態に従って、出口体122は、チャンバ112に直接接触する固定体124、及び固定体124に移動自在に接続される、または接触する回転体126を含む。各チャンバ112の遠位端118は、例えば、スナップフィットまたはネジ込み接続(図示されない)を介して固定体124に結合され得る。他の実施形態において、注射デバイス100は、チャンバ112の遠位端118が固定体124に融着されるように製造され得る。各チャンバ112の遠位端118は、図5に示されるように、各チャンバ112の遠位端118が開口部128a、128b、128c、...128n(まとめて、及び互換的に128として参照する)と連通であるように、固定体124に接続され得る。
【0034】
出口体122の回転体126は、回転体126の回転によって固定体124内の開口部128と整列され得る1つ以上の出口130を含み得る。ある特定の実施形態に従って、出口130は、図4Bに示されるように円孔の形状であってもよく、または図7に示されるようにスリットの形状であってもよい。もちろん、他の適切な形状が使用され得る。ある特定の実施形態に従って、各開口部128は、開口部128と出口130との間の密な接続を確保することを助けるために、開口部封止体132a、132b、132c、...132n(まとめて、及び互換的に132として参照される)によって囲まれ得る。これらの図6及び7に示されるような、他の実施形態において、出口130が、開口部128と出口130との間の密な接続を確保するために出口封止体134によって囲まれてもよい。出口130は、皮下注射針のような中空針に接続される孔であり得る。いくつかの実装において、出口130は、テーパー付きコネクタまたはロックコネクタのようなコネクタ136を含み得る。コネクタ136は、チャンバ112とコネクタ136の他端に結合される品物(例えば、皮下注射針または管のような)との間の液密封止を形成する。このようなコネクタ136の例としては、ルアーテーパーコネクタ、ルアーロックコネクタ、及びルアースリップコネクタを含む。コネクタ136の他端は、対応する(例えば、雌の)コネクタを含む針に結合され得る。これに代えて、コネクタ136の他端は、カテーテルまたはステントに結合されてもよい。
【0035】
いくつかの実装において、複数チャンバ112によって共有される単一出口130があってもよい。薬剤を含み得るチャンバ112は、注射デバイス100の一部分(例えば、回転体126)を回転またはスライドすることによって出口130と連通する、または接触するようになり得る。回転は、チャンバ112の遠位端118に配置された固定体124に対して回転体126を動かすことによって達せられ得る。起動は、タオルを絞るように、利用者が2つの位置において注射デバイス100を把持し注射デバイス100を異なる方向にひねることで行われ得る。いくつかの実装において、内容物を排出するチャンバ112の選択は、バネまたは複雑で潜在的に誤動作し易い機構デバイスを必要としない、この簡素な機構によって行われ得る。例えば、4つのチャンバ112を含む注射デバイス100は、単一出口130または針(図示されない)が4つのチャンバ112の1つと整列されるように回転され得る。他の3つのチャンバ112は、これらのチャンバ112の遠位端118を塞ぐ回転体126によって、その内容物を排出することを阻止され得る。チャンバ112の各々もまた、独立したプランジャ102に関連付けられ得る。したがって、出口130が4つのチャンバ112の各々と順番に整列されるようにデバイスの一部分が回転され、それぞれのチャンバ112の内容物が分注され得る。
【0036】
注射デバイス100のチャンバ112は、別個に形成され、ハウジング、クリップ、または他の機構を通して互いに関連付けられ得る。これに代えて、複数チャンバ112は、単一片材料(例えば、プラスチック、ガラス、鉄等)から形成されてもよい。2つのチャンバ112が、2つの円筒管を含む単一片材料として形成されてもよい。同様に、3つのチャンバ112が、その中に3つの円筒管を有する略三角形構成で形成されてもよい。図4Aに示されるように、チャンバ112は、円形構成であってもよい。例えば、6つのチャンバを含む注射デバイス100は、回転式拳銃のシリンダの外観と同様、中心軸を中心とする円に配列される6つのシリンダを含む単一片材料から形成されるチャンバ112を有し得る。
【0037】
集合チャンバ112は、共有出口130(例えば、回転式孔またはスロット)、またはその専用の出口130を有する各チャンバ112と使用され得る。各チャンバ112がその専用の出口130を有する構成において、針のような、出口130へのアタッチメントが、容易で干渉がない運動を可能にする構成において位置付けられ得る。
【0038】
図6に示されるように、いくつかの実施形態において、注射デバイス100は、プランジャ安全ロック138a、138b、...138n(まとめて、及び互換的に138として参照される)を含み、各チャンバ112に対して各プランジャ102a、102b、...102nが、それぞれ、押し下げられることを阻止し、したがってチャンバ112(複数可)の任意の内容物の時期尚早な排出を阻止する。実施形態に従って、プランジャ安全ロック138は、例えば、スナップの取り外しによって取り外される。
【0039】
図7は、スリットとして形成された出口130を示す。図7はまた、この例の実施形態において4つのプランジャ102の各々に適用されるプランジャ安全ロック138の別の視点を提供する。窪みまたは孔140が、注射デバイス100の中心軸を中心とする回転を容易化するために、回転体126の中心またはその近くに位置付けられ得る。
【0040】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に開示される注射デバイスを作製及び使用する方法を含む。注射デバイスのシリンジは、任意の適切な材料を使用して形成され得る。シリンジは、一緒に融着されてもよく、または単一片材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、シリンジは、独立して形成され、その後、連結機構により連結され得る。
【0041】
消毒薬ワイプまたは包帯のような医療用品は、注射デバイスの格納区画内に装填され得る。いくつかの実施形態において、蓋または他の封止体が、格納区画の開口部を覆うために使用され得る。消毒薬ワイプまたはスポンジは、例えば、主薬剤の投与前後に注射部位を清潔にするために使用され得る。いくつかの実施形態において、方法は、注射デバイスの1つ以上のチャンバ内に主薬剤を装填することを含む。他の実施形態において、主薬剤は、注射デバイスの1つ以上のチャンバ内に予め装填される。いくつかの実施形態において、出口体及び/またはコネクタが、使用前に薬剤チャンバの遠位端に取り付けられ得る。第1のプランジャが、主薬剤を分注するために、その後、押し下げられ得る。
【0042】
主薬剤の投与前後に、補助薬剤または補足的な薬剤が注射され、またはさもなければ投与される。いくつかの実施形態において、補助薬剤または補足的な薬剤は、注射デバイスによる投与(筋肉内注射、静脈注射、鼻腔内投与等のような)に対して適切な製剤形態である。このような実施形態において、補助薬剤または補足的な薬剤は、利用者によって注射デバイスの1つ以上のチャンバ内に装填され得る。他の実施形態において、補助薬剤または補足的な薬剤は、使用前に注射デバイスの1つ以上のチャンバ内に予め装填され得る。種々の実施形態において、利用者は、プランジャに力を働かせる前に、適当なチャンバを出口に接触させるように回転体を固定体に対して回転することによって、所望の薬剤を選択する。例えば、いくつかの実施形態において、主薬剤が第1のチャンバから投与された後、第2の出口が、注射デバイスの回転体を回転することによって選択され得る。第2のプランジャは、その後、この例において、さらに注射される補助薬剤を分注するために押し下げられ得る。
【0043】
シリンジ間の連結機構が、シリンジが互いに対して長手方向に回転することを可能にする他の実施形態において、利用者は、1つのみの薬剤が一度に注射されるように、シリンジを互いに対して長手方向に回転することによって所望の薬剤を選択し得る。更なる実施形態において、注射デバイスは、2つ以上の薬剤を同時またはほぼ同時に投与するように構成され得る。このような実施形態において、利用者は、複数薬剤を同時に投与し得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、包帯またはガーゼのような医療用品が、格納区画に格納され得る。このような実施形態において、包帯またはガーゼは、格納区画から取り出されて使用される。
【0045】
いくつかの実施形態において、補助薬剤または補足的な薬剤は、錠剤またはカプセルのような経口投与に適した形態であり、注射デバイスの格納区画内に格納され得る。いくつかの実施形態において、補助薬剤または補足的な薬剤は、注射デバイスの格納区画内に予め装填され得る。他の実施形態において、補助薬剤または補足的な薬剤は、利用者によって注射デバイスの格納区画内に装填され得る。いくつかの実施形態において、蓋または他の封止体が、格納区画の開口部を覆うために使用され得る。例えば、経口投与用に製剤された補足的な薬剤を含有するカプセルは、格納区画から取り出され投与され得る。
【0046】
本明細書に開示される実施形態において、注射デバイスは、使用及び/または格納の説明書と提供され得る。いくつかの実施形態において、説明書は、文書の説明書(例えば、一連の番号付きステップ)及び/または図解の説明書(例えば、漫画、線図、図形等)の形式であり得る。種々の実施形態において、説明書は、紙面上で注射デバイスと提供される方法、注射デバイスに取り付けられた、もしくは注射デバイスに関連する包装に取り付けられた1つのステッカーまたは複数のステッカー上で提供される方法、注射デバイスに関連する包装に印刷される方法、あるいは利用者に情報を十分に提供することになる任意の他の方法であり得る。いくつかの実施形態において、このような説明書を含有するウェブページまたはアプリケーションに利用者を導く、ウェブアドレスまたはQRコードのようなスキャン可能なコードが、紙面上で注射デバイスと提供されるように、注射デバイスに取り付けられた、もしくは注射デバイスに関連する包装に取り付けられた1つのステッカーまたは複数のステッカー上で提供されるように、あるいは注射デバイスに関連する包装に印刷されるように、注射デバイス上に、または注射デバイスと提供され得る。いくつかの実施形態において、説明映像、動画等もまた提供され得る。
【0047】
特定の実施形態において、使用のための説明書は、実施形態と使用され得る薬剤及び用品の貯蔵寿命または使用期限に基づいて薬剤及び医療用品の交換を導き得る。説明書はまた、使用に際し、薬剤及び医療用品の交換を導き得る。末端利用者は、薬剤または医療用品交換サービスに加入し得る。これらの実施形態において、薬剤及び/または医療用品は、要求に際し及び/またはスケジュールに際して末端利用者に送られ得る。説明書はまた、末端利用者が本明細書に開示される実施形態を使用するときの体験に関するフィードバックを提供することを要求し得る。説明された説明書及びフィードバックに対するリクエストは、紙面上、CD-ROM、ウェブサイト、または末端利用者と通信する任意の他の適当な方法で提供され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、1つ以上の視覚的表示が、紙面上で注射デバイスと提供されるように、注射デバイスに取り付けられた、もしくは注射デバイスに関連付けられた包装に取り付けられた1つのステッカーまたは複数のステッカー上で提供されるように、あるいは注射デバイスに関連付けられた包装に印刷されるように、本明細書に開示される注射デバイス上に、または注射デバイスと提供され得る。このような実施形態において、1つ以上の視覚的表示は、利用者、医療提供者、医療施設等に対し、注射デバイスの内容物、注射デバイスの薬剤チャンバの内容物、及び/または注射デバイスの格納区画の内容物のような、有用であり得る情報を示し得る。実施形態において、1つ以上の視覚的表示は、1回分の用量、使用期限、または利用者、医療提供者、医療施設等に対して有用であり得る任意の他の情報を示し得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の視覚的表示は、バーコード、QRコード等のようなコードを含み得る。このような実施形態において、コードは、注射デバイスを追跡するために、注射デバイスの内容物を追跡するために、注射デバイスの薬剤チャンバの内容物を追跡するために、注射デバイスの格納区画の内容物を追跡するために等において、利用者、医療提供者、医療施設等によって使用され得る。利用者、医療提供者、医療施設等は、例えば、棚卸目的のために注射デバイス及びその内容物を追跡することを望み得る。更なる実施形態において、コードは、注射デバイスの内容物、注射デバイスの薬剤チャンバの内容物、注射デバイスの格納区画の内容物等を確認するために、または列挙された注射デバイスの内容物、注射デバイスの薬剤チャンバの内容物、注射デバイスの格納区画の内容物等を追跡システムにおいて更新するために使用され得る。
【0049】
本明細書に開示される注射システムの特定の実施形態は、治療的有効量の薬剤と提供される。本明細書に開示される注射システムのより特定の実施形態は、アレルギー、アナフィラキシー、または心臓の異常を処置する治療的有効量の薬剤と提供される。
【0050】
治療的有効量は、予防的処置及び/または治療的処置を提供するものを含む。
【0051】
「予防的処置」は、処置が、少しでも発現する、またはさらに発現する健康異常のリスクを逓減する、予防する、または減少させる目的に対して施されるように、まだ健康異常の兆候または症状が表れていないが、それを発現することが予期される人もしくは動物に投与される処置、または健康異常の発現に対する早期の兆候もしくは前兆となる症状のみを表す人または動物に施される処置を含む。したがって、予防的処置は、健康異常に対する予防処置として機能する。
【0052】
「治療的処置」は、健康異常の負の影響を低減、制御、排除する目的のために健康異常を体験している人または動物に施される処置を含む。
【0053】
本明細書に開示される注射システムにより処置され得る健康異常の一例は、アレルギー反応である。アレルギー反応は、アレルギー性鼻炎、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アナフィラキシー、及びショックを含む。アナフィラキシー及びショックは、アレルギー反応の最も重い形式であり、未処置の場合、死に至り得る。これらの障害の全ては、ある程度まで、炎症性細胞の活性化がヒスタミン、血小板活性化因子(PAF)、サイトカイン、及びタンパク質分解酵素のような血管作動性伝達物質の放出を即座にもたらす即時型過敏反応によって伝達される。
【0054】
アレルギー反応の症状は、腹痛、せき、けいれん、下痢、めまい、湿疹、失神、じんましん、口、のど、及び/もしくは皮膚のかゆみ、意識朦朧、鼻づまり、吐き気、発疹、のどの閉塞、口、のど、及び/もしくは皮膚の刺痛、息切れ、唇、舌、及び/もしくは皮膚の腫れ、呼吸困難、嘔吐、虚脈、ならびに/または喘鳴を含む。アレルギー反応に関する治療的有効量は、アレルギー反応のこれらの症状の1つ以上を予防、低減、制御、または排除する。
【0055】
本明細書に開示される注射システムによりアレルギー反応を処置するために使用され得る例示的な薬剤は、抗ヒスタミン剤(例えば、ALLEGRA(登録商標)(Aventisub II Inc.,Greenville,DE)、ASTELIN(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、BENADRYL(登録商標)(Warner-Lambert Company LLC,Morris Plains,NJ)、CHLOR-TRIMETON(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、CLARINEX(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、CLARITIN(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、DIMETANE(登録商標)(Citron Pharma LLC,East Brunswick,NJ)、ELESTAT(登録商標)(Boehringer Ingelheim International GMBH,Germany)、マレイン酸フェニラミン(OCU-HIST(商標),Pfizer,Inc.,New York,NY)、OPTIVAR(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、PATANOL(登録商標)(Alcon Research,Ltd.,Fort Worth,Tx)、TAVIST(商標),XYZAL(商標),ZYRTEC(登録商標)(Johnson&Johnson Corp.,New Brunswick,NJ))と、うっ血除去薬(例えば、AFRIN(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、SUDAFED(登録商標)(Johnson&Johnson Corporation,New Brunswick,NJ)、NEO-SYNEPHRINE(登録商標)(Foundation Consumer Healthcare,LLC,Dover,DE)と、配合アレルギー薬剤(例えば、ALLEGRA-D(登録商標)(Aventisub II Inc.,Greenville,DE)、BENADRYL ALLERGY AND SINUS(Warner-Lambert Company LLC,Morris Plains,NJ)、CLARITIN-D(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、DYMISTA(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、NAPHCON(登録商標)(Alcon Research,Ltd.,Fort Worth,TX)、OPTIVAR(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、PATANOL(登録商標)(Alcon Research,Ltd.Fort Worth,TX)、SEMPREX-D(登録商標)(Actient Pharmaceuticals LLC,Chesterbrook,Pn)、TYLENOL ALLERGY AND SINUS(登録商標)(Johnson&Johnson,New Brunswick,NJ)、VASOCON(登録商標)(Novartis Ag,Basel Switzerland)、ZADITOR(登録商標)(Novartis Ag,Basel,Switzerland)、ZYRTEC-D(商標))と、ステロイド(例えば、コルチコステロイド、ADVAIR(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、AEROBID(登録商標)(Forest Laboratories,Inc.,New York,NY)、ALREX(登録商標)(Bausch&Lomb Inc.,Rochester,NY)、ALVESCO(登録商標)(Takeda GMBH,Germany)、ASMANEX(登録商標)(Merck Sharp&Dohme,Whitehouse Station,NJ)、AZMACORT(登録商標)(Abbvie Respiratory LLC,Chicago,IL)、BECONASE(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、DELTASONE(登録商標)(Space Age Holdings LLC,Viejo,CA)、デキサメタゾン、FLONASE(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、FLOVENT(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、フルチカゾン、NASOCORT(商標)、NASONEX(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、プレドニゾン、PULMICORT(登録商標)(Astrazeneca AB,Sodertalje,Sweden)、QNASL(登録商標)(Teva Respiratory,LLC,Horsham,Pn)、ベクロメタゾンジプロピオネート(Q-VAR(登録商標)(Ivay,LLC,Horsham,PA))、RHINOCORT(登録商標)(Astra Aktiebolag Corp.,Sodertalje,Sweden)、SYMBICORT(登録商標)(Astrazeneca AB,Sodertalje,Sweden)、VERAMYST(登録商標)(Glaxo Group Middlesex,UK)、ZETONNA(登録商標)(Takeda GMBH Corporation,Germany))と、気管支拡張剤(例えば、MAXAIR(登録商標)(Medicis Pharmaceutical Corporation,Scottsdale,AZ)、PROVENTIL(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、PRO-AIR(商標)、VENTOLIN(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、XOPENEX(登録商標)(Sunovion Pharmaceuticals Inc.,Marlborough,MA))と、肥満細胞安定化薬(例えば、ALAMAST(登録商標)(Santen Pharmaceutical Co.,Ltd.,Osaka,Japan)、ALOCRIL(登録商標)(Allergan,Inc.,Irvine,CA)、ALOMIDE(登録商標)(Alcon Research,Ltd,Fort Worth,TX)、CROLOM(登録商標)(Bausch&Lomb Inc.,Rochester,NY)、INTAL(登録商標)(Fera Pharmaceuticals,LLC,Locust Valley,NY)、NASALCROM(登録商標)(Pharmacia&Upjohn Co.,Irvington,NY)、クロモグリク酸ナトリウム(OPTICROM(商標) Adventis Pharma,Ltd.,Surrey,UK)、TILADE(登録商標)(King Pharmaceuticals,Inc.,Bristol,TN))と、ロイコトリエン阻害剤(例えば、ACCOLATE(登録商標)(Par Pharmaceutical,Inc.Spring Valley,NY)(ザフィルルカスト)、SINGULAIR(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.Whitehouse Station,NJ)(モンテルカスト)、ZYFLO(登録商標)(Chiesi Usa,Inc.Cary,NC)(ジレウトン))と、免疫療法(例えば、アレルギーショット、GRASTEK(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、ORALAIR(登録商標)(Stallergenes SA,Antony,France)、RAGWITEK(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ))と、を含む。アナフィラキシーに関して以下に説明される薬剤もまた、アレルギーを処置するために使用され得る。
【0056】
アナフィラキシーは、致命的な気道、呼吸、または循環系の問題を急激に起こされることに特徴付けられる、重い、潜在的に致命的な全身の過敏症反応を意味する。それは、通常、皮膚及び粘膜の変化に関連する。
【0057】
アナフィラキシーを診断する臨床基準は、以下の3つの基準のうちの任意の1つの存在であって、(1)皮膚、粘膜組織、もしくは両方の合併症を含む疾病の急性発症(数分~数時間)、ならびに以下のうちの1つもしくは両方であって、(a)呼吸困難、及び(b)低下した血圧または終末器官機能不全(例えば、低血圧、気絶、失禁)の症状を伴うもの、(2)アレルギー源になり易いものにさらされた後に急に起こる以下のうちの2つ以上であって、(a)皮膚または筋肉組織合併症(例えば、全身のじんましん、かゆみ紅潮、腫れた唇、舌、または口蓋垂)、(b)呼吸困難、(c)低下した血圧または終末器官機能不全の症状を伴うもの、及び(d)持続性の胃腸症状(例えば、腹痛、嘔吐)、あるいは(3)既知のアレルギー源にさらされた後の低下した血圧(数分~数時間)、(a)幼児もしくは子供で、低い収縮期血圧(年齢特有)もしくは収縮期血圧において30%超の低下、または(b)成人で、90mmHg未満の収縮期血圧もしくは基準線から30%超の低下、の存在を含む。アナフィラキシー反応に関する治療的有効量は、アナフィラキシー反応のこれらの症状の1つ以上を予防、低減、制御、または排除する。
【0058】
本明細書に開示される注射システムによりアナフィラキシー反応を処置するために使用され得る例示的な薬剤は、アドレナリン、短時間作用性β2アドレナリン刺激薬(特定の実施形態において、吸引される)、H1-H4抗ヒスタミン剤(特定の実施形態において、経口投与される)、コルチコステロイド、グルココルチコステロイド(特定の実施形態において、全身性または噴霧される)、及びグルカゴンを含む。本明細書に開示される注射システムによりアナフィラキシー反応を処置するために使用され得る追加の例示的な薬剤は、H1抗ヒスタミン剤(例えば、アクリバスチン、アゼラスチン、ビラスチン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、ブロモジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、セチリジン(ZYRTEC(登録商標)(Johnson&Johnson Corp.,New Brunswick,NJ))、クロルプロマジン、シクリジン、クロルフェニラミン、クロロジフェンヒドラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、デキスブロムフェニルアミン、デキスクロルフェニルアミン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ジフェンヒドラミン(BENADRYL(登録商標)(Warner-Lambert Company LLC,Morris Plains,NJ)、ドキシラミン、エバスチン、エンブラミン、フェキソフェナジン(ALLEGRA(登録商標)(Aventisub II Inc.Greenville,DE))、ヒドロキシジン、(VISTARIL(登録商標)(Pfizer,Inc.,NY,NY))、レボセチリジン、ロラタジン(CLARITIN(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、メクロジン、ミルタザピン、オロパタジン、オルフェナドリン、フェニンダミン、フェニラミン、フェニルトロキサミン、プロメタジン、ピリラミン、クエチアピン(SEROQUEL(登録商標)(Astrazeneca UK,London,England))、ルパタジン、トリペレンナミン、トリプロリジン)、H2抗ヒスタミン剤(例えば、シメチジン、ファモチジン、ラフチジン、ニザチジン、ラニチジン、ロキサチジン、チオチジン)、H3抗ヒスタミン剤(例えば、クロベンプロピット、ABT-239、シプロキシファン、コネッシン、A-349,821、チオペラミド)、H4抗ヒスタミン剤(例えば、チオペラミド、JNJ 7777120、VUF-6002)、非定型抗ヒスタミン剤(例えば、カテキン、トリトクアリン)、及び肥満細胞安定化薬(例えば、ALAMAST(登録商標)(Santen Pharmaceutical Co.,Osaka,japan)、ALOCRIL(登録商標)(Allergan,Inc.,Irvine,CA)、ALOMIDE(登録商標)(Alcon Research,Ltd.,Fort Worth,TX)、クロモグリク酸(クロモリン、CROLOM(登録商標)(BAUSCH&LOMB INC,Rochester,NY))、INTAL(登録商標)(Fera Pharmaceuticals,LLC,Locust Valley,NY)、NASALCROM(登録商標)(Pharmacia&Upjohn Co,Irvington,NH)、NEDOCROMIL(商標)、OPTICROM(商標)、TILADE(登録商標)(King Pharmaceuticals,Inc,Bristol,TN))を含む。
【0059】
以下の例示的な薬剤(及びそれらが表す化合物の種類における他のもの)が、前段において説明されたこれらの補助薬剤、余分の薬剤、または補足的な薬剤として追加的に提供可能であり、例示的な薬剤は、ACCOLATE(登録商標)(Par Pharmaceutical,Inc.Spring Valley,NY)(ザフィルルカスト)、ADVAIR(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、AFRIN(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、AEROBID(登録商標)(Forest Laboratories,Inc.,New York,NY)、ALLEGRA(登録商標)(Aventisub II Inc.,Greenville,DE)、ALREX(登録商標)(Bausch&Lomb Inc.,Rochester,NY)、ALVESCO(登録商標)(Takeda GMBH,Germany)、ASMANEX(登録商標)(Merck Sharp&Dohme,Whitehouse Station,NJ)、ASTELIN(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、AZMACORT(登録商標)(Abbvie Respiratory LLC,Chicago,IL)、BECONASE(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、BENADRYL ALLERGY AND SINUS(商標)、CHLOR-TRIMETON(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、CLARINEX(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、CLARITIN-D(登録商標)(MSD Consumer Care,Inc.,Memphis,TN)、DELTASONE(登録商標)(Space Age Holdings LLC,Viejo,CA)、デキサメタゾン、DIMETANE(登録商標)(Citron Pharma LLC,East Brunswick,NJ)、DYMISTA(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、ELESTAT(登録商標)(Boehringer Ingelheim International GMBH,Germany)、FLONASE(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、FLOVENT(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、FLUTICASONE(商標)、MAXAIR(登録商標)(Medicis Pharmaceutical Corporation,Scottsdale,AZ)、NAPHCON(登録商標)(Alcon Research,Ltd.,Fort Worth,TX)、NASOCORT(商標)、NASONEX(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、NEO-SYNEPHRINE(登録商標)(Foundation Consumer Healthcare,LLC,Dover,DE)、OCU-HIST(商標)、OPTIVAR(登録商標)(Meda Pharmaceuticals Inc.,Somerset,NJ)、PATANOL(登録商標)(Alcon Research,Ltd.,Fort Worth,Tx)、プレドニゾン、PRO-AIR(商標)、PROVENTIL(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、PULMICORT(登録商標)(Astrazeneca AB,Sodertalje,Sweden)、QNASL(登録商標)(Teva Respiratory,LLC,Horsham,PN)、Q-VAR(商標)、RHINOCORT(登録商標)(Astra Aktiebolag Corp.,Sodertalje,Sweden)、SEMPREX-D(登録商標)(Actient Pharmaceuticals LLC,Chesterbrook,PN)、SINGULAIR(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.Whitehouse Station,NJ)(モンテルカスト)、SUDAFED(登録商標)(Johnson&Johnson Corporation,New Brunswick,NJ)、SYMBICORT(登録商標)(Astrazeneca AB,Sodertalje,Sweden)、TAVIST(商標)、TYLENOL ALLERGY AND SINUS(登録商標)(Johnson&Johnson,New Brunswick,NJ)、VASOCON(登録商標)(Novartis Ag,Basel Switzerland)、VENTOLIN(登録商標)(Glaxo Group,Middlesex,UK)、VERAMYST(登録商標)(Glaxo Group Middlesex,UK)、XOPENEX(登録商標)(Sunovion Pharmaceuticals Inc.,Marlborough,MA)、XYZAL(商標)、ZADITOR(登録商標)(Novartis Ag,Basel,Switzerland)、ZYRTEC-D(商標)、ZETONNA(登録商標)(Takeda GMBH Corporation,Germany)、及びZYFLO(登録商標)(Chiesi Usa,Inc.Cary,NC)(ジレウトン)である。
【0060】
本明細書に開示される注射システムにより処置され得る健康異常の他の例は、不整脈、心臓発作または心停止のような心臓の異常である。心臓の異常の症状は、不安症、胸部不快感、胸部圧迫感もしくは胸部圧搾、めまい、疲労、食欲不振、意識朦朧、意識消失、吐き気、痛み(例えば、胸から始まり肩、腕、肘、背中、首、顎、または腹部に広がる)、持続的なせきもしくは喘鳴、速脈もしくは不整脈、呼吸困難、発汗(例えば、冷たい汗)、腫れ(しばしば、足、足首、脚部、または腹部における)、嘔吐、及び/または虚弱を含む。
【0061】
心臓発作または心停止のような心臓の異常に関する治療的有効量は、心臓の異常のこれらの症状の1つ以上を予防、低減、制御、または排除し、症状をもたらす基礎疾患を対処する、及び/または異常の発現に続いて心筋機能を維持し得る。
【0062】
本明細書に開示される注射システムにより心臓の異常を処置するために使用され得る例示的な薬剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(例えば、ベナゼプリル(LOTENSIN(登録商標)(Novartis Pharmaceuticals Corporation,East Hanover,NJ)、カプトリル(CAPOTEN(登録商標(Phar Pharmaceutical,Inc.,Woodcliff Lake,NJ))、エナラプリル(VASOTEC(登録商標)(Biovail Laboratories Intl.,Christ Church,Barbados))、ホシノプリル(MONOPRIL(登録商標)(E.R.Squibb&Sons,L.L.C.,Princeton,NJ))、リシノプリル(PRINIVIL(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ)、ZESTRIL(登録商標)(Alvogen Pharma US,INC.,Pine Brook,NJ))、モエキシプリル(UNIVASC(登録商標)(UCB Mfg.,Inc.,Rochester,NY))、ペリンドプリル(ACEON(登録商標)(Biofarma Societe Par Actions Simplifiee,France))、キナプリル(ACCUPRIL(登録商標)(Warner-Lambert Company,Morris Plains,NJ))、ラミプリル(ALTACE(登録商標)(King Pharmaceuticals Research And Development,Inc.,Cary,NC))、トランドラプリル(MAVIK(登録商標)(Abbvie Deutschland Gmbh&Co.,Germany))と、アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、カンデサルタン(ATACAND(登録商標)(AstraZeneca AB,Sodertalje,Sweden))、エプロサルタン(TEVETEN(登録商標)(Abbvie Respiratory LLC,Chicago,IL))、イルベサルタン(AVAPRO(登録商標)(Sanofi Societe Anonyme,Paris,France))、ロサルタン(COZAAR(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ))、テルミサルタン(MICARDIS(登録商標)(Boehringer Ingelheim KG,Germany))及びバルサルタン(DIOVAN(登録商標)(Novartis Corporation,Summit,NJ)))と、抗不整脈薬(例えば、BETAPACE(登録商標)(Bayer Pharma Aktiengesellschaft,Germany)(SOTALOL(商標)),CORDARONE(登録商標)(Sanofi Societe Anonyme,Paris,France)(アミオダロン)、リドカイン、PROCANBID(登録商標)(Parkedale Pharmaceuticals,Inc.,Rochester,MI)(プロカインアミド)、TAMBOCOR(登録商標)(Medicis Pharmaceutical Corp.,Scottsdale,AZ)(フレカイニド))と、血液凝固阻止剤(例えば、ダルテパリン(FRAGMIN(登録商標)(Pfizer Health AB,Stockholm,Sweden))、ダナパロイド(ORGARAN(登録商標)(Aspen Global Incorporated,Grand Bay,Mauritius))、エノキサパリン(LOVENOX(登録商標)(Aventis Pharma S.A.,Antony,France))、ヘパリン(種々の)、チンザパリン(INNOHEP(登録商標)(Leo Pharmaceutical Products Ltd.,Ballerup,Denmark)、ワルファリン(COUMADIN(登録商標)(Bristol-Myers Squibb Pharma Company,Wilmington,DE)))と、抗低血圧薬/昇圧薬(例えば、交感神経興奮薬(例えば、アメジニウム、ドーパミン、ドブタミン、塩酸エフェドリン、エピネフリン、ミドドリン、ノルアドレナリンヒドロタルトレート、フェニレフリン(メサトン))と、グルココルチコイド及びミネラルコルチコイド(例えば、ベタメサゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン)と、中枢興奮薬(例えば、ベメグライド、カフェイン、カンフル、ニケタミド)と、向精神薬(例えば、アンフェタミン、アトモキセチン、ブプロピオン、デュロキセチン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、レボキセチン、ベンラファキシン)と、陽性強心薬(例えば、アムリノン、強心性配糖体(例えば、コルグリコン、ジゴキシン、ストロファンチンK)、ミルリノン)と、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル(PLAVIX(登録商標)(Sanofi Societe Anonyme,Paris,France))、ジピリダモール、チクロピジン)と、β阻害薬(例えば、アセブトロール(SECTRAL(登録商標)(Aventis Pharma S.A.,Cedex,France))、アテノロール(TENORMIN(登録商標)(Alvogen Pharma US,Inc.,Pine Brook,NJ))、ベタキソロール(KERLONE(登録商標)(Sanofi Societe Anonyme,Paris,France))、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(ZIAC(登録商標)(Teva Women’s Health,Inc.,Woodcliff Lake,NJ))、ビソプロロール(ZEBETA(登録商標)(Teva Women’s Health,Inc.,Woodcliff Lake,NJ))、カルテオロール(CARTROL(登録商標)(Abbvie Inc.,Chicago,IL)、メトプロロール(LOPRESSOR(登録商標)(Novartis Pharmaceuticals Corp.,East Hanover,NJ)、TOPROL XL(登録商標)(Astrazeneca LP,Wayne,PN))、ナドロール(CORGARD(登録商標)(King Pharmaceuticals Research And Development,Inc.,Bristol,TN))、プロプラノロール(INDERAL(登録商標)(WYETH LLC,London,UK)、ソタロール(BETAPACE(登録商標)(Bayer Pharma,Berlin,Germany)、チモロール(BLOCADREN(登録商標)(Merck Sharp&Dohme CORP,Whitehouse Station,NJ)))と、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジン(NORVASC(登録商標)(Pfizer,Inc.,New York,NY)、LOTREL(登録商標)(Novartis Corp.,Summit,NJ))、ベプリジル(VASCOR(登録商標)(Johnson&Johnson,Corp.,New Brunswick,NJ))、ジルチアゼム(CARDIZEM(登録商標)(Valeant Intl.,Bermuda)、TIAZAC(登録商標)(Biovail Laboratories Intl.,Christ Church,Barbados))、フェロジピン(PLENDIL(登録商標)(Astrazeneca AB,Sodertalje Sweden),ニフェジピン(ADALAT(登録商標)(Bayer Aktiengesellschaft,Germany)、PROCARDIA(登録商標)(Pfizer,Inc.,New York,NY))、ニモジピン(NIMOTOP(登録商標)(Bayer Aktiengesellschaft,Germany))、ニソルジピン(SULAR(登録商標)(Shionogi Inc.,London,UK)、ベラパミル(CALAN(登録商標)(G.D.SEARLE&CO.,Skokie,IL)、ISOPTIN(登録商標)(FSC Laboratories,Inc.,Charlotte,NC)、VERELAN(登録商標)(Elan Pharma Intl.,Westmeath,Ireland))と、コレステロール低下薬剤(例えば、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコチン酸(ナイアシン)、レジン系薬剤、スタチン系薬剤)と、利尿薬(例えば、アミロライド(MIDAMOR(登録商標)(Paddock Laboratories,Inc.,Minneapolis,MN))、ブメタニド(BUMEX(登録商標)(Validus Pharmaceuticals LLC,Parsippany,NJ))、クロロチアジド(DIURIL(登録商標)(Merck Sharp&Dohme Corp.,Whitehouse Station,NJ))、クロルタリドン(HYGROTON(登録商標)(Amneal Pharmaceuticals LLC,Bridgewater,NJ))、フロセミド(LASIX(登録商標)(Sanofi-Aventis Deutschland,Frankfurt,Germany)、ヒドロクロロチアジド(ESIDRIX(登録商標)(Ciba-Geigy Corp.,Summit,NJ),HYDRODIURIL(商標))、インダパミド(LOZOL(登録商標)(Biofarma Corporation,France)、及びスピロノラクトン(ALDACTONE(登録商標)(Pharmacia&Upjohn Company LLC,Kalamazoo,MI))と、ニトログリセリンと、pH上昇薬(例えば、炭酸水素ナトリウム)と、血栓溶解薬(例えば、レテプラーゼ、ラノテプラーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、スタフィロキナーゼ、ストレプトキナーゼ(SK)、テネクテプラーゼ、ウロキナーゼ)と、を含む。
【0063】
種々の実施形態において、1回分の用量は、対象に対してカスタマイズされ得る。このような実施形態において、食事因子、心臓血管機能、胃腸機能、肝機能、免疫機能、腎機能、年齢、性別、体重等が考慮され得る。異常を処置する治療的有効量の例としては、人または動物の体重あたり0.1~5μg/kgまたは0.5~1μg/kgを含み得る。他の例において、用量は、1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、1000μg/kg、0.1~5mg/kgまたは0.5~1mg/kgを含む。他の例において、用量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、1000mg/kgまたはより多くを含み得る。
【0064】
要するに、(i)薬剤チャンバを含む注射デバイス、及び(ii)格納区画を含む、注射システムが本明細書に開示された。格納区画は、注射デバイスそれ自体内にある、または、注射デバイスから独立して注射システム内の他の場所に提供され得る。開示されたシステムは、利用者に容易なアクセス及び標準的な医療行為によって精選された内容物の使用を可能にする。薬剤チャンバ及び格納区画は、一緒に、主薬剤(例えば、アレルギー反応を処置するためのエピネフリン)、補助薬剤(例えば、投与部位を処置するための消毒薬)、余分の用量(例えば、万一、第1の用量が失敗したときのエピネフリンの第2の用量)、補足的な薬剤(例えば、抗ヒスタミン剤またはステロイドの用量)、ならびに/または薬剤の投与を補助する薬剤及び材料(例えば、針、殺菌材料、ガーゼ、及び/もしくは包帯を含む1つ以上の薬剤)を提供する。
【0065】
例示的な実施形態。
1.シリンジの薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端と、格納区画を含む近位端と、を含むシリンジプランジャ。
2.格納区画は、薬剤及び/または医療用品を収容する、実施形態1のシリンジプランジャ。
3.薬剤または医療用品は、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、消毒薬、抗不整脈薬、昇圧薬、pH上昇薬、針、スポンジ、ガーゼ、管、及び/または針から選択される、実施形態1または2に記載のシリンジプランジャ。
4.シリンジであって、薬剤が排出され得る開口部を有する遠位端、及びプランジャが挿入され得る近位端を含む薬剤チャンバと、薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端、及び格納区画を備える近位端を有するシリンジプランジャと、を備える、シリンジ。
5.格納区画は、薬剤及び/または医療用品を収容する、実施形態4に記載のシリンジ。
6.格納区画は、経口薬または塗り薬を収容する、実施形態4または5に記載のシリンジ。
7.薬剤は、エピネフリン、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、抗不整脈薬、昇圧薬、pH上昇薬、または消毒薬である、実施形態4~6のいずれか1つに記載のシリンジ。
8.格納区画は、針、ガーゼ、スポンジ、または管を収容する、実施形態4~7のいずれか1つに記載のシリンジ。
9.格納区画は、取り外し可能な封止体によって覆われる、実施形態4~8のいずれか1つに記載のシリンジ。
10.取り外し可能な封止体は、キャップ、ホイル、またはラップである、実施形態4~9のいずれか1つに記載のシリンジ。
11.スポンジは、封止体が格納区画の開口部から取り外された後に格納区画の外側に延在する、実施形態4~10のいずれか1つに記載のシリンジ。
12.薬剤チャンバは、主薬剤が予め装填され、格納区画は、補助薬剤、余分の用量、補足的な薬剤、及び/または医療用品を収容する、実施形態4~11のいずれか1つに記載のシリンジ。
13.シリンジとは別個の(i)主薬剤、及び(ii)補助薬剤、余分の用量、補足的な薬剤、及び/または医療用品を格納区画内に有するキット内に提供される、実施形態4~12のいずれか1つに記載のシリンジ。
14.少なくとも2つのシリンジであって、各シリンジが、薬剤が排出され得る開口部を有する遠位端、及びプランジャが挿入され得る近位端を含む薬剤チャンバを有する、シリンジと、プランジャであって、各プランジャが、薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端、及び格納区画を有するプランジャのうちの少なくとも1つの近位端を有する、プランジャと、を備える、複数注射デバイス。
15.シリンジは、物理的に連結される、実施形態14に記載の複数注射デバイス。
16.2つ、3つ、または4つのシリンジを備える、実施形態14または15に記載の複数注射デバイス。
17.薬剤チャンバは、出口体が出口体開口部と整列されたチャンバを除く全てのチャンバからの薬剤放出を阻止するように、薬剤放出用の開口部を備える出口体に接続される、実施形態14~16のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
18.出口体は、薬剤解放用の単一開口部を備える、実施形態14~17のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
19.出口体は、中心軸を中心として回転する、実施形態14~18のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
20.出口体は、薬剤チャンバに固定的に取り付けられる第1の部分と、第1の部分に回転自在に結合され第1の部分に対して中心軸を中心として回転するように構成された第2の部分と、を有する、実施形態14~19のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
21.シリンジは、箱または袋内に収容される、実施形態14~20のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
22.治療的有効量の主薬剤は、箱または袋内のシリンジとは別個に提供される、実施形態14~21のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
23.箱または袋内においてシリンジとは別個に、補助薬剤、余分の用量、補足的な薬剤及び医療用品をさらに備える、実施形態14~22のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
24.1つの薬剤チャンバは、治療的有効量の主薬剤が予め装填され、1つの薬剤チャンバは、補助薬剤、余分の用量、または補足的な薬剤が予め装填され、格納区画は、医療用品を収容する、実施形態14~23のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
25.1つの薬剤チャンバは、治療的有効量の主薬剤が予め装填され、1つの薬剤チャンバは、補助薬剤、余分の用量、または補足的な薬剤が予め装填され、格納区画は、異なる補助薬剤、余分の用量、または補足的な薬剤を収容する、実施形態14~24のいずれか1つに記載の複数注射デバイス。
26.健康異常の処置用の携帯用キットであって、機構に関連付けられた少なくとも2つのシリンジ、格納区画、主薬剤、補助薬剤、余分の用量、補足的な薬剤、及び医療用品を備える、携帯用キット。
27.機構は、少なくとも2つのシリンジの同時使用を可能にする、実施形態26に記載の携帯用キット。
28.主薬剤は、アレルギー反応または心臓の異常を処置するための治療的有効量で提供される、実施形態26または27のいずれか1つに記載の携帯用キット。
29.薬剤が排出され得る開口部を有する遠位端、及びプランジャが挿入され得る近位端を含む薬剤チャンバと、薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端、及び格納区画を備える近位端を有するシリンジプランジャと、を備えるシリンジを得ることと、シリンジ内に収容されている主薬剤を対象に投与することと、を含む方法。
30.格納区画は、医療用品、補助薬剤、または補足的な薬剤を含有する、実施形態29に記載の方法。
31.医療用品は、消毒薬ワイプであり、さらに、消毒薬ワイプを格納区画から取り出すことと、主薬剤を投与する前に対象の注射部位を清潔にすることと、を含む、実施形態29または30に記載の方法。
32.さらに、補足的な薬剤を格納区画から取り出すことと、補足的な薬剤を対象に投与することと、を含む、実施形態29~31のいずれか1つに記載の方法。
33.さらに、補助薬剤を格納区画から取り出すことと、補助薬剤を対象に投与することと、を含む、実施形態29~32のいずれか1つに記載の方法。
34.少なくとも2つのシリンジであって、各シリンジが、薬剤が排出され得る開口部を有する遠位端、及びプランジャが挿入され得る近位端を含む薬剤チャンバを有するシリンジと、プランジャであって、各プランジャが、薬剤チャンバ内への挿入のための遠位端、及び格納区画を有するプランジャの少なくとも1つの近位端を有するプランジャと、を備える複数注入デバイスを得ることと、少なくとも2つのシリンジの第1のシリンジ内に収容されている主薬剤を対象に投与することと、を含む方法。
35.格納区画は、医療用品、補助薬剤、または補足的な薬剤を含有する、実施形態34に記載の方法。
36.医療用品は、消毒薬ワイプであり、さらに、消毒薬ワイプを格納区画から取り出すことと、主薬剤を投与する前に対象の注射部位を清潔にすることと、を含む、実施形態34または35に記載の方法。
37.さらに、補足的な薬剤を格納区画から取り出すことと、補足的な薬剤を対象に投与することと、を含む、実施形態34~36のいずれか1つに記載の方法。
38.さらに、補助薬剤を格納区画から取り出すことと、補助薬剤を対象に投与することと、を含む、実施形態34~37のいずれか1つに記載の方法。
39.さらに、少なくとも2つのシリンジの第2のシリンジの内容物を対象に投与することを含む、実施形態34~38のいずれか1つに記載の方法。
40.第2のシリンジの内容物は、主薬剤の余分の用量、補助薬剤、または補足的な薬剤である、実施形態34~39のいずれか1つに記載の方法。
41.複数注射デバイスを作製する方法であって、第1のプランジャが格納区画を備える近位端を有する少なくとも2つのプランジャを形成することと、少なくとも2つの薬剤チャンバを形成することと、少なくとも2つのシリンジが形成されるように少なくとも2つのプランジャの遠位端を少なくとも2つの薬剤チャンバの近位端内に挿入することと、を含む、方法。
42.主薬剤を少なくとも2つのシリンジの第1のシリンジ内に装填することをさらに含む、実施形態41に記載の方法。
43.主薬剤の余分の用量を少なくとも2つのシリンジの第2のシリンジ内に装填することをさらに含む、実施形態41または42に記載の方法。
44.補助薬剤または補足的な薬剤を少なくとも2つのシリンジの第2のシリンジ内に装填することをさらに含む、実施形態41~43のいずれか1つに記載の方法。
45.さらに、医療用品、補助薬剤、または補足的な薬剤を格納区画内に挿入することと、格納区画を取り外し可能な封止体または蓋によって覆うことと、を含む、実施形態41~44のいずれか1つに記載の方法。
46.少なくとも2つの薬剤チャンバは、単一片において形成される、実施形態41~44のいずれか1つに記載の方法。
47.少なくとも2つの薬剤チャンバは、連結機構によって連結される、実施形態41~44のいずれか1つに記載の方法。
48.少なくとも2つの薬剤チャンバは、出口体が出口体開口部と整列されるチャンバを除く全てのチャンバからの薬剤放出を阻止するように、薬剤放出用の出口体開口部を備える出口体に接続される、実施形態41~44のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
当業者の1人によって理解されることになるように、本明細書に開示される各実施形態は、その特定の記載された要素、ステップ、成分、または構成要素を備える、これらから本質的になる、またはこれらからなる。したがって、用語「含む」または「含んでいる」は、「備える、からなる、から本質的になる」を列挙するように解釈されるべきである。本明細書に使用される、接続語「備える」は、限定されるものではないが、不特定の要素、ステップ、成分、または構成要素を、主要な量でさえ含み、許容することを意味する。接続句「からなる」は、特定されていない任意の要素、ステップ、成分または構成要素を除外する。接続句「から本質的になる」は、実施形態の範囲を特定された要素、ステップ、成分、または構成要素、及び実施形態に重大な影響を及ぼさないものに限定する。本明細書において使用される、重大な影響は、薬剤または医療用品を収容する格納区画の性能における統計学的に有意な低下を引き起こすことになる。
【0067】
別途示されない限り、明細書及び請求項において使用される分子量、反応条件等のような成分、性質の量を表現する全ての数は、用語「約」によって全ての実例において修正されるものとして理解されるべきである。よって、正反対に示されない限り、明細書及び添付の請求項において明らかにされる数値的パラメータは、概算であり、本発明によって得られることを求める所望の性質に応じて変更し得る。最低限、そして請求項の範囲と同等の原理の適用を限定しようとするものではなく、各数値的パラメータは、少なくとも報告された有効数字の桁数を考慮し通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。更なる明確さが必要とされる場合、用語「約」は、記載された数値または範囲と合わせて使用されるときに当業者によってそれに合理的に与えられる意味を有し、つまり、記載された数値の±20%、記載された数値の±19%、記載された数値の±18%、記載された数値の±17%、記載された数値の±16%、記載された数値の±15%、記載された数値の±14%、記載された数値の±13%、記載された数値の±12%、記載された数値の±11%、記載された数値の±10%、記載された数値の±9%、記載された数値の±8%、記載された数値の±7%、記載された数値の±6%、記載された数値の±5%、記載された数値の±4%、記載された数値の±3%、記載された数値の±2%、または記載された数値の±1%の範囲内であるように、記載された数値または範囲よりも少し上または少し下を意味する。
【0068】
本発明の幅広い範囲を明らかにする数値的範囲及びパラメータが概算であることに関わらず、特定の例において明らかにされた数値は、可能な限り正確に報告される。任意の数値は、しかしながら、それらそれぞれの試験測定値において認められる標準偏差から必然的に結果的にもたらされるある特定の誤差を本質的に含有する。
【0069】
用語「a」、「an」、「the」及び本発明を説明する文脈(特に以下の請求項の文脈)において使用される類似の参照は、本明細書に別途示されない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含するように解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内に収まる各別個の値を個別的に参照する簡易表記法として提示されることが単に意図される。本明細書に別途示されない限り、各個々の値は、本明細書に個別的に列挙されるものとして、明細書に組み込まれる。本明細書において説明された全ての方法は、本明細書に別途示されない限り、または文脈によって別途明確に否定されない限り、任意の適切な順番において行われ得る。本明細書において提供される任意及び全ての例、または例示的な言葉(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明を良好に例示することが意図され、別途主張される本発明の範囲における限定を持ち出すものではない。本明細書における全ての言葉は、本発明の実施に不可欠な任意の主張されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0070】
本明細書に開示される発明の代替的要素または実施形態のグループ化は、限定的に解釈されるべきではない。各分類の構成要素は、個別的、またはグループの他の構成要素もしくは本明細書において認められる他の要素との任意の組み合わせにおいて参照され主張され得る。グループの1つ以上の構成要素が便宜上及び/または特許要件の理由でグループに含まれ得る、またはグループから削除され得ることが予期される。任意のこのような包含または削除が起こるとき、明細書は、修正されたグループを含有するものとみなされ、したがって、添付される請求項において使用される全てのマーカッシュグループの記載された説明を満たす。
【0071】
本発明のある特定の実施形態が本明細書において説明され、本発明者にとって既知の本発明を実行するための最良モードを含んでいる。もちろん、これらの説明された実施形態における変形例が、前述の説明を読むことに際して当業者に明らかになるであろう。本発明者は、当業者がこのような変形例を適切なものとして用いることを予期し、本発明者は、本明細書に具体的に説明されたものとは異なるように本発明が実施されることを意図する。よって、本発明は、適用法令によって許されるように、本明細書に添付される請求項において列挙される対象の全ての修正及び同等物を含む。さらに、それらの全ての可能な変形例における上記の要素の任意の組み合わせが、本明細書に別途示されない限り、または文脈によって別途明確に否定されない限り、包含される。
【0072】
さらに、参照が、特許、出版物、雑誌論文、及び他の本明細書を通して記載された文章(ここでは参照物とする)に対してなされている場合、参照物の各々は、それらの参照された教示に対するそれらの全体における参照によって本明細書に個別的に組み込まれる。
【0073】
本明細書に示された特徴は、例として、及び本発明の好ましい実施形態の例示的な検討の目的のためのみのものであり、最も有用であると思われるものを提供し、本発明の種々の実施形態の原理及び概念的態様の説明が、たやすく理解されるように提示される。この点について、本発明の基礎的な理解、本発明の数個の形式が実施において具体化され得る方法を当業者に明らかにする図面及び/または例を伴う説明のために必要である以上により詳細に本発明の構造的詳細を示すつもりはない。
【0074】
本開示において使用される定義及び説明は、明確かつ明白に後続する例において修正されない限り、または意味の適用が、意味のないもしくは本質的に意味のない任意の解釈を与えるときに、任意の将来の解釈において照査していることが意味され意図される。用語の解釈が意味のないまたは本質的に意味のないものを与えることになる場合において、定義は、 Webster’s Dictionary,3rd Edition、またはOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology (Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)ような、当業者に既知の辞書から得られるべきである
【0075】
最後に、本明細書に開示された本発明の実施形態が、本発明の原理の例示的なものであることが理解されるべきである。用いられ得る他の修正は、本発明の範囲内である。したがって、例として、限定ではなく、本発明の代替的構成が本明細書における教示によって利用され得る。よって、本発明は、示され説明されたものに正確に限定されるものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
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図6
図7