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  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図1
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図2A
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図2B
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図3
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図4A
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図4B
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図5A
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図5B
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図6
  • 特許-懸架装置、方法及び応用 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】懸架装置、方法及び応用
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20220118BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A47L9/00 102Z
A47L9/28 E
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018197787
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2019107440
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】62/574,255
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518369420
【氏名又は名称】メイドボット インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ スプロン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ホワイトヘッド
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド モロニティ
(72)【発明者】
【氏名】マイカー グリーン
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/093910(WO,A1)
【文献】米国特許第09033079(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00~ 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット真空掃除機の独立懸架装置であって、
a.ヒンジ部品であり、水平フランジ部及び垂直フランジ部を有するL字型ブラケットに取り付けられ、
b.前記垂直フランジ部が、前記ロボット真空掃除機のホイールアセンブリに取り付けられたヒンジ部品と、
c.前記水平フランジ部に連結されたばねと、
d.前記垂直フランジ部に取り付けられ、そして前記垂直フランジ部から延びるピンと、
e.保持部品であり、前記ロボット真空掃除機のホイール収納部内にあり、
f.前記ピンとの嵌合形態と、前記ピンとの解除形態との間を移動可能である保持部品と、
を備える独立懸架装置。
【請求項2】
前記ホイールアセンブリが、前記ヒンジ部品を中心としておよそ180度回転可能である請求項1に記載の独立懸架装置。
【請求項3】
前記ばねが、板ばね、圧縮ばね、及びねじりばねのうちの1種である請求項1に記載の独立懸架装置。
【請求項4】
前記水平フランジ部及び前記垂直フランジ部のうちの少なくとも1つに取り付けられた1つまたはそれ以上のバンパーを更に備える請求項1に記載の独立懸架装置。
【請求項5】
前記バンパーが、弾性材料から構成される請求項に記載の独立懸架装置。
【請求項6】
ロボット真空掃除機の独立懸架装置であって、
a.ヒンジ部品であり、水平フランジ部及び垂直フランジ部を有するL字型ブラケットに取り付けられ、
b.前記垂直フランジ部が、前記ロボット真空掃除機のモータポッドに取り付けられ、該モータポッドには、前記ロボット真空掃除機の駆動モータ及びモータコントローラが収容されるヒンジ部品と、
c.前記モータポッドに取り付けられたクリップと、
d.サスペンションピンであり、前記ロボット真空掃除機のホイール収納部のばねホルスタ内にある2つのばね間に取り付けられ、
e.前記モータポッドは、前記サスペンションピンが前記クリップに嵌め込まれない開位置と、前記サスペンションピンが前記クリップに嵌め込まれる閉位置との間において、前記ヒンジ部品を中心として回転可能であるサスペンションピンと、
を備える独立懸架装置。
【請求項7】
前記L字型ブラケットの前記水平フランジ部と前記垂直フランジ部との間には、ガセットが延在する請求項6に記載の独立懸架装置。
【請求項8】
前記2つのばねが、圧縮ばねである請求項6に記載の独立懸架装置。
【請求項9】
ホイールモータコントローラに接続するように構成されたレセプタクルを更に備える請求項6に記載の独立懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月19日に出願され「懸架装置、方法及び応用(SUSPENSION SYSTEM, METHODS, AND APPLICATIONS)」という名称の米国仮特許出願第62/574,255号の優先権を主張し、その全開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本開示は、全体として、駆動プラットフォームの車両用懸架装置(vehicle suspension system)を対象とし、更に具体的には、真空掃除機の懸架装置を対象とし、そして、最も具体的には、ロボット真空掃除機の懸架装置、関連する方法及び応用を対象とする。
【背景技術】
【0003】
背景
既存のロボット床面掃除機によって実行することが可能な掃除パターンは、そのアーキテクチャー、制御、検知及び駆動システムによって制限されている。Dyson(登録商標)Eye、Roomba(登録商標)、及びSamsung社の多くのモデルなどの市販ロボット真空掃除機は、非ホロノミック(non-holonomic)駆動システムを使用しており、すなわち、駆動機構は、独立して動力を供給する2つのホイールと、キャスターとを用いて、ロボット真空掃除機の3点を支持する。独立して動力を供給する2つのホイールを用いて、ロボット本体を直線状に、曲線状に移動させるか、又は回転させることができるが、これらの駆動システムはそれぞれ、ロボット真空掃除機の決められた(固定された)向きに対して垂直ではない方向にしか、ロボット真空掃除機を移動させることができない。
【0004】
非ホロノミックロボットが移動し、例えば、北へ移動した後、東へ移動する場合、ロボットは北に進み、右に90度回転し、そして東に進む必要があるか、又は、代わりに、非ホロノミックロボットは北に進み、右に90度回転しながら、弧を描いて前進した後、東に進むことができる。いかなる場合も、非ホロノミック駆動ロボット真空掃除機は、一方向(例えば、北、南、東、西)に向かって始動し、異なる方向(例えば、東、西)に向かって完了する。
【0005】
ホロノミック駆動機構を備えたロボット真空掃除機は、その決められた向き、又は、吸込口、センサ群(bank of sensors)、若しくは特定の操作に必要なロボットの他の部分などのロボットの所望の部分の決められた向きを維持しつつ、所与の方向、例えば北(その決められた向きが北である。)に進み、異なる方向、例えば、東、北東又はあらゆる方向に移動することができる。
【0006】
さらに、真空掃除機のホイールは、吸い取られる面のわずかな変化を克服するのに、運動量が制限されている必要がある。ロボット真空掃除機のホイールは、ロボット真空掃除機に推力と回転能力をもたらし、このため、ホイールは、床面と接触したままにして、制御を維持すること、例えば、駆動又は制御を失うことなく、出入口の境目(door threshold)などの障害物を乗り越えられることが重要である。
【0007】
4つの「オムニ(Omni)」ホイールを使用するには、正確に操作するために、それぞれのホイールが地面と十分に接触している必要がある。通常、ソリッドシャーシ(solid chassis)では、3点しか理想的な接触をせず、「オムニ」プラットフォーム上でスリップし、不正確な運転特性になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ロボット真空掃除機の懸架装置には、確実に、すべてのホイールが適切に搭載され、ロボット真空掃除機を適切に操作できるように、それぞれのホイールアセンブリに独立懸架装置を有する技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本開示は、ホロノミック駆動機構を備えたロボット真空掃除機であって、その決められた向き、又は、吸込口、センサ群、若しくは特定の操作に必要なロボットの他の部分などのロボットの所望の部分の決められた向きを維持しつつ、所与の方向、例えば北(その決められた向きが北である。)に進み、異なる方向、例えば、東、北東又はあらゆる方向に移動することができるロボット真空掃除機を対象とする。
【0010】
さらに、長所と利点は、分離回転及び平行移動自由度(decoupled rotational and translational degrees of freedom)を示す全方向(omni-directional)及びホロノミック駆動プラットフォームにより掃除及び操作能力を向上させることが可能なロボット真空掃除機(又は床面掃除機)によって達成される。ホロノミック駆動機構を有するロボット床面掃除機を独自に操作することが可能であるという長所は、特定の場所の掃除、区域の縁の掃除、必要な場所へのセンサの設置、障害物の誘導、及び更に効果的な掃除を実現する、当業者に認識される他のものにおいて、活用することができる。
【0011】
一態様によれば、本発明は、ロボット真空掃除機の独立懸架装置である。ロボット真空掃除機の独立懸架装置には、水平フランジ部と垂直フランジ部とを有するL字型ブラケットに取り付けられたヒンジ部品が含まれる。垂直フランジ部は、ロボット真空掃除機のホイールアセンブリに取り付けられ、水平フランジ部には、ばねが連結される。垂直フランジ部にはピンが取り付けられ、このピンは垂直フランジ部から延びる。保持部品は、ロボット真空掃除機のホイール収納部内にあり、ピンとの嵌合形態と、ピンとの解除形態との間を移動可能である。
【0012】
一実施形態によれば、ホイールアセンブリは、ヒンジ部品を中心としておよそ180度回転可能である。
【0013】
一実施形態によれば、ばねは、板ばね、圧縮ばね、及びねじりばねのうちの1種である。
【0014】
一実施形態によれば、独立懸架装置には、水平フランジ部及び垂直フランジ部のうちの少なくとも1つに取り付けられた、1つ以上のバンパーも含まれる。
【0015】
一実施形態によれば、バンパーは、弾性材料から構成される。
【0016】
別の態様によれば、ロボット真空掃除機の独立懸架装置には、L字型ブラケットに取り付けられたヒンジ部品が含まれる。L字型ブラケットは、水平フランジ部と、垂直フランジ部と、を有する。垂直フランジ部は、ロボット真空掃除機のモータポッド(motor pod)に取り付けられる。モータポッドには、ロボット真空掃除機の駆動モータとモータコントローラとが収容される。モータポッドにはクリップが取り付けられ、ロボット真空掃除機のホイール収納部のばねホルスタ内にある2つのばね間には、サスペンションピンが取り付けられる。モータポッドは、サスペンションピンがクリップに嵌め込まれない開位置と、サスペンションピンがクリップに嵌め込まれる閉位置との間において、ヒンジ部品を中心として回転可能である。
【0017】
一実施形態によれば、L字型ブラケットの水平フランジ部と垂直フランジ部との間には、ガセットが延びる。
【0018】
一実施形態によれば、2つのばねは、圧縮ばねである。
【0019】
一実施形態によれば、独立懸架装置には、モータコントローラに接続するように構成されたレセプタクルも含まれる。
【0020】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになる。
【0021】
本発明は、添付図面とともに、次の詳細な説明を読み取ることによって、更に十分に理解され認識される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】具体化された懸架装置を備えた、動力式の操作可能な4つのホイールアセンブリを有する例示的なロボット真空掃除機である。
【0023】
図2A】ホイールアセンブリに接続された、具体化された1つの独立懸架装置を示す、ロボット真空掃除機の下面図である。
【0024】
図2B】ロボットプラットフォームの下側に設置された4輪懸架装置である。
【0025】
図3】それぞれのホイールアセンブリに接続された、例示的な独立懸架装置である。
【0026】
図4A】真空掃除機シャーシ内のホイール収納部と、ピン保持部品である。
【0027】
図4B】ホイールブラケットアセンブリがヒンジを中心としてほぼ水平方向の位置/動作位置に回転するときにクリップに嵌め込まれる、懸架装置のピンである。
【0028】
図5A】それぞれのモータポッド/ホイールアセンブリに接続された、別の例示的な独立懸架装置の正面図である。
【0029】
図5B】それぞれのモータポッド/ホイールアセンブリに接続された、別の例示的な独立懸架装置の背面図である。
【0030】
図6】テーパ付きサスペンションピン、2つの圧縮ばね、及びばねホルスタであり、これらは、ロボットプラットフォームのそれぞれのホイール収納部内に取り付けられている。
【0031】
図7】それぞれのモータポッド/ホイールアセンブリを、制限するように独立して上下に動かすばねである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施形態の詳細な説明
添付図面に示されている限定的でない例を参照して、本発明の態様、並びに、その特定の特徴、利点及び詳細を、以下に十分に説明する。周知の構造についての説明の詳細は、本発明をいたずらに不明瞭にしないようにするため、省略されている。ただし、詳細な説明及び特定の限定的でない例は、本発明の態様を示しているが、例示としてのものにすぎず、限定するものではないことが理解される。当業者であれば、基本的な発明概念の真意及び/又は範囲内における、種々の置換、変更、追加及び/又は配置は、本開示から明らかである。
【0033】
本発明の態様は、ロボット真空掃除機の懸架装置である。例示的なロボット真空掃除機は、米国特許出願第16/162,463号に示され、説明されており、その内容は、全体として参照により本明細書に援用される。具体化された懸架装置には、全体として、ヒンジ、1つ以上のばね、及び保持機構が含まれている。さらに、弾性バンパー及び/又はピンが含まれていてもよい。サスペンションアセンブリには、更に、懸架装置のピンを嵌め込むことが可能な保持部品が含まれ得る。それぞれの独立懸架装置は、ロボット真空掃除機のそれぞれのホイールに関連づけられており、このため、4つのホイールを有するロボット真空掃除機は、それぞれの4つの独立懸架装置を有する。このような独立懸架装置によって、工具を必要とせずに、真空掃除機のホイールを旋回させ、取り外し、清浄化し及び/又は点検することができる。ロボット真空掃除機の具体化された懸架装置によって、ホイールが、少量(例えば、0.5インチ未満)の独立した移動を可能にし、ロボットが、吸い取られる面のわずかな盛り上がり又は切れ目を越えることができ、さらに、ホイールを取り外し又は交換のために旋回させることもできる。
【0034】
ここで図を参照すると、図全体を通して、同様の参照符号は同様の部分を表し、図1は、具体化された懸架装置を備えた、動力式の操作可能な4つのホイールアセンブリを有する例示的なロボット真空掃除機を示している。サスペンションによって、ホイールアセンブリが真空掃除機のシャーシに取り付けられる。順応性がない場合、3つのホイールのみが床面にいつでも接触する。4つのホイールのそれぞれの独立サスペンションは、4つのホイールをすべて床面と接触させて、ロボットの吸い取りを促進し制御することができる。「オムニ」又はメカナム(Mecanum)ホイールによって示されているが、この種類のサスペンションは、他の種類のホイールにも用いることが可能である。
【0035】
ここで図2Aに移ると、ホイールアセンブリに接続された、具体化された1つの独立懸架装置を示す、ロボット真空掃除機の下面図が示されている。4つの懸架装置のそれぞれは、図示されているように、単純なヒンジによって、真空掃除機シャーシに取り付けられている。ヒンジによって、ホイールを上下に動かすことができる。ヒンジは、真空掃除機基部に、ねじにより止められるか、溶接されるか、又は他の方法により取り付けることができる。図2Bは、ロボットプラットフォームの下側に設置された4輪懸架装置を概略的に示している。以下に説明する懸架装置の他の実施形態は、同様に、真空掃除機プラットフォームの下側に取り付けられる。
【0036】
ここで図3を参照すると、それぞれのホイールアセンブリに接続された、例示的な独立懸架装置100が示されている。独立懸架装置100には、ヒンジ部品102であって、水平フランジ部104A及び垂直フランジ部104Bを特徴とするL字型ブラケット104に取り付けられたヒンジ部品が含まれている。垂直フランジ104Bは、図示されているように、ホイールアセンブリに取り付けられている。L字型ブラケットは、金属又は他の適切な材料から製造され、十分な強度、可撓性、耐久性及び費用対効果をもたらすことが好適である。
【0037】
さらに図3を参照すると、水平フランジ部104Aに、単純な板ばね106が連結され、この板ばねは、ロボット真空掃除機が床面に沿って操作可能に移動する間に、ホイールアセンブリに、制限された(例えば、最大0.5インチの)弾力のある上下運動をもたらす。ばね106は、ロボットの吸い取りに対してバランスのとれた支持を行うように、それぞれのホイールに固有のものとすることができる。板ばね106が示されているが、当業者に認識されるように、ばね力は、圧縮ばね又はねじりばねによっても付与されてもよい。ロボット真空掃除機が操作上使用されていないとき、ヒンジ部品102は、サスペンション及び取り付けられたホイールアセンブリを、清浄化、ホイールの取り外し、接触などのために、ホイールの径によって制限されるように、真空掃除機の下側からほぼ180度揺動させることができる。
【0038】
図3に示されているように、複数の(好適には4つの)ゴム又は他の弾性材料製バンパー110を、L字型ブラケット104の実質的に図示されている水平フランジ104A及び垂直フランジ104Bに取り付けることができる。バンパー110は、ホイールが盛り上がり若しくは急な表面変化に対して転がるときに、又は、ロボットが降下し、ブラケット102が完全に上方の位置/回転位置にあるときに、ロボットの衝撃を和らげる。また、バンパー110は、真空掃除機ハウジングと相互作用するホイールブラケットの音も静める。垂直フランジ104Bには、ピン112を取り付けることができる。ピン112は、以下に説明する保持部品に嵌め込まれる場合、真空掃除機の操作上使用時におけるホイールのハウジングへの移動を制限するのに用いられる。図3は、ブラケット104のPEMナットにねじ込まれるスタッドとしてのピン112を示している。また、PEMナットに単純なねじをねじ込み、これを、ピン112として機能させることもできる。
【0039】
ここで図4Aに移ると、真空掃除機シャーシ内のホイール収納部と、ピン保持部品115とが示されている。図示されているように、ピン保持部品115は、単純な商用ばねである「工具保持」クリップである。懸架装置100のピン112は、図4Bに示されているように、ホイールブラケットアセンブリが、ヒンジ102を中心としてほぼ水平方向の位置/動作位置に回転するときに、クリップ115に嵌め込まれる。ピン保持部品115及びピン112は、懸架装置100が、制限された量の垂直移動(最大およそ0.5インチ)ができるように構成されている。
【0040】
通常の動作では、ピン112が保持部品115の底部に達するまで、ばね106はL字型ブラケット104を下方に押し出す。さらに、クリップ115、ヒンジ102、及びブラケット104は、特別な工具を必要とせずに、ホイールブラケットをクリップ115から旋回させて、ホイールの点検、取り外し又は交換を可能にする。ピン112と保持部品115との嵌合は、ロボット真空掃除機の持ち上げ及び通常の取り扱い時に、保持部品115内にホイールアセンブリを保持するのに十分な力を維持しつつ、懸架装置100を容易に開閉するのに十分に弱い力(材料に応じて約1.5ポンド)となるように選択される。低価格で販売されていることから、商用の「工具保持具」であるばねクリップ115が示されているが、種々のばねクリップ又はカスタムピンホルダも想定される。
【0041】
ここで図5A及び5Bを参照すると、それぞれのモータポッド/ホイールアセンブリに接続された、別の例示的な独立懸架装置1000の正面図及び背面図がそれぞれ示されている。懸架装置1000には、ヒンジ部品1002であって、直角の垂直フランジ部1004を含む金属ブラケット1003に取り付けられたヒンジ部品が含まれている。金属ブラケット103の垂直フランジには、プラスチック製モータポッド1090が取り付けられている。モータポッド1090には、駆動モータとモータコントローラとが収容されている。モータの端部には、駆動ハブと、ホイールのクイック接続クリップ(quick connect clip)とが締め付けられている。低摩擦材料からなるポッドリングは、モータポッド1090の外径の周りで締め付けられている。ポッドリングによって、低摩擦で低摩耗性のホイール支持面が設けられる。
【0042】
図5Bに示されているように、垂直フランジ部1003のホイールブラケット1003の後部には、ホイールモータコントローラに差し込まれるレセプタクル1008が配置されている。描写されている実施形態では、ガセット1009によって補強されたブラケット1003が示されている。モータポッド1090の上部には、ばね鋼工具クリップ1010が取り付けられている。クリップ1010は、クリップ1010の開口部を開閉する、取り付けねじ1011を締めるか又は緩めて調節することができる。クリップ1010は、ホイールアセンブリを閉位置に保持するか、又は清浄化若しくは点検のためにホイールアセンブリを開くように容易に弱める(overcome)ことができる、柔軟な締め付け力を付与する。
【0043】
ここで図6に移ると、テーパ付きサスペンションピン1020、2つの圧縮ばね1022、及びばねホルスタ1023が示されており、これらは、ロボットプラットフォームのそれぞれのホイール収納部内に取り付けられている。懸架装置1000が開位置からほぼ水平方向の動作閉位置に回転すると、サスペンションピン1020は、ばねクリップ1010に嵌め込まれる。いったん取り付けられると、ばね1022は、図7に概略的に示されているように、それぞれのモータポッド/ホイールアセンブリを制限するように独立して上下に動かす。ホイールブラケット1003は、工具クリップ1010からサスペンションピン1020が外される(snaps out)まで、ホイールブラケット1003を回転させることによって開くことができる。ばね1022は、ロボットの吸い取りに対してバランスのとれた支持を行うように、それぞれのホイールに固有のものとすることができる。
【0044】
懸架装置1000は、特別な工具を必要とせずに、ホイールブラケット1003をクリップ1010から旋回させて、ホイールの点検、取り外し又は交換を可能にする。ピン1020とばねクリップ1010との嵌合は、ロボット真空掃除機の持ち上げ及び通常の取り扱い時に、クリップ1010内にホイールアセンブリを保持するのに十分な力を維持しつつ、ブラケット1003を容易に開閉するのに十分に弱い力(およそ1.5ポンド)となるように選択される。低価格で販売されていることから、商用の「工具保持具」であるばねクリップ1010が示されている。硬化させたばね1022は、一貫して、多くのサイクルにわたってたわみと力をもたらす。ばねクリップ1010アセンブリは、当業者に認識されるように、他の種類のばね及びクリップを含んでいてもよい。
【0045】
本明細書では種々の実施形態を説明し示してきたが、当業者であれば、本明細書に説明されている機能を実行し、及び/又は結果及び/又は1つ以上の長所を得るための種々の他の手段及び/又は構造に容易に想到し、このような変形例及び/又は変更例はそれぞれ、本明細書に説明されている実施形態の範囲内にあるとみなされる。一般に、当業者であれば、本明細書に説明されている、すべてのパラメータ、寸法、材料及び構成は、例示的なものであることを意味し、そして、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成は、その示されているものが用いられる特定の用途によって異なることを容易に認識する。当業者であれば、良くある実験だけを用いて、本明細書に説明されている特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は確認することができる。したがって、前述の実施形態は単なる例示として示され、添付の特許請求の範囲とそれに対する均等物の範囲内において、実施形態は、具体的に説明され特許請求の範囲に記載されている以外の方法により実施され得ることが理解される。本開示の実施形態は、本明細書に説明されている個々の特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法を対象とする。加えて、このような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、このような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の2つ以上の組合せは、本開示の範囲内に含まれる。
【0046】
説明されている主題についての上述した実施形態は、多数の方法のうちのいずれかにより実施することができる。例えば、一部の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組合せを用いて実施されてもよい。実施形態のあらゆる態様の少なくとも一部がソフトウェアにより実施される場合、ソフトウェアコードは、単一のデバイス若しくはコンピュータにおいて提供されたか、又は複数のデバイス/コンピュータ中に分散されたかにかかわらず、適切なプロセッサ又はプロセッサの集合体上で実行され得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7