(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/50 20060101AFI20220118BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A47L15/50
A47L15/42 A
(21)【出願番号】P 2018211241
(22)【出願日】2018-11-09
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田仲 導生
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-061358(JP,A)
【文献】特開2017-023208(JP,A)
【文献】特開2004-209195(JP,A)
【文献】実開昭60-053234(JP,U)
【文献】実開平06-007570(JP,U)
【文献】実開昭55-090352(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42,15/50,19/00,19/04
A47J 47/16
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した洗浄槽を引き出し自在に収納する食器洗浄機であって、
前記洗浄槽内の下部にて、食器を保持する下かごと、
前記洗浄槽内の前記下かごの上方にて、食器を保持する上かごと、
を備え、
前記上かごの一部には、横方向両側から高さが下方に低くなり、鍋蓋のつまみを当該つまみの横方向両側を含む領域で引っ掛けるつまみ保持部が設けられ
、
前記つまみ保持部の上方には、前記つまみ保持部に連通して前記つまみ保持部よりも開口面積が広く形成されるとともに、前記つまみ保持部の上部にて前記つまみ保持部が形成された保持台に対する両側の境界箇所を繋げ、鍋蓋のつまみを挿入自在であるつまみ挿入部が設けられる食器洗浄機。
【請求項2】
前記つまみ保持部は、前記上かごの一部を凹ませて形成される請求項1に記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記つまみ保持部は、上部が開放された形状である請求項1又は請求項2に記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記つまみ保持部は、下方に向かって狭くなる形状である請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記つまみ保持部は、鍋蓋のつまみを引っ掛けた箇所よりも下方の部分に、当該つまみ保持部に保持された鍋蓋を立てた姿勢に矯正する鍋蓋支持部を兼ねさせる請求項
4に記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記つまみ保持部は、V字形状である請求項
4又は請求項
5に記載の食器洗浄機。
【請求項7】
前記つまみ保持部は、U字形状である請求項
4又は請求項
5に記載の食器洗浄機。
【請求項8】
前記つまみ保持部は、前記洗浄槽の中心側に形成される請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
【請求項9】
前記つまみ保持部は、前記洗浄槽の前後又は左右の中心側に形成されるとともに、前記洗浄槽内の前後又は左右の片側に寄って形成される請求項
8に記載の食器洗浄機。
【請求項10】
前記つまみ保持部は、前記上かごの縁部に形成される請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
【請求項11】
前記保持台は、前記上かごの縁部の一部には、当該縁部よりも高さの高い
位置に設けられ、
前記つまみ保持部は、前記保持台に形成される請求項
10に記載の食器洗浄機。
【請求項12】
前記上かごは、第1上かごと、第2上かごと、を有し、
前記つまみ保持部は、前記第1上かごと前記第2上かごとが隙間を介して対向した前記第1上かご又は前記第2上かごの少なくとも一方の縁部に形成される請求項
10又は請求項
11に記載の食器洗浄機。
【請求項13】
前記つまみ保持部は、前記下かごにおいて高さの低い食器が保持される領域の上方に設けられる請求項1~請求項
12のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
【請求項14】
前記上かごは、線材で構成される請求項1~請求項
13のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽内の下部にて食器を保持する下かご及び洗浄槽内の下かごの上方にて食器を保持する上かごを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄槽内の下部にて食器を保持する下かご及び洗浄槽内の下かごの上方にて食器を保持する上かごを備える食器洗浄機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の食器洗浄機では、上かごには、水平方向に移動自在な第1上かごと、第1上かごに着脱自在な第2上かごとが設けられている。そして、第1上かごと第2上かごとを連結した状態で上かごが水平方向に移動でき、下かごへの食器の保持が容易に行える。また、第1上かごのみに食器を保持させ、第2上かごを取り外した状態で食器洗浄機が使用でき、下かごに大きな食器又は鍋が保持できる。さらに、第2上かごが第1上かご側に折り畳まれ、食器洗浄機が使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の食器洗浄機では、調理器具である鍋を洗浄するときに、鍋と一緒に使用される鍋蓋を保持する箇所が無く、鍋蓋が洗浄槽内に平置きされていた。このように洗浄槽内に鍋蓋を平置きして食器洗浄機で洗浄すると、主に下部のノズルから斜め上方などの上方に向けて洗浄水を噴射する食器洗浄機では、鍋蓋の下側の片面しか洗浄できず、洗い残しが発生する課題があった。また、平置きした鍋蓋は、広い保持領域を占めてしまい、洗浄槽内に多くの食器類が保持できなくなる課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、洗浄槽内に鍋蓋の保持箇所が設けられ、鍋蓋の両面が洗浄でき、食器類の保持効率が向上できる食器洗浄機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る食器洗浄機は、上方が開口した洗浄槽を引き出し自在に収納する食器洗浄機であって、前記洗浄槽内の下部にて、食器を保持する下かごと、前記洗浄槽内の前記下かごの上方にて、食器を保持する上かごと、を備え、前記上かごの一部には、横方向両側から高さが下方に低くなり、鍋蓋のつまみを当該つまみの横方向両側を含む領域で引っ掛けるつまみ保持部が設けられ、前記つまみ保持部の上方には、前記つまみ保持部に連通して前記つまみ保持部よりも開口面積が広く形成されるとともに、前記つまみ保持部の上部にて前記つまみ保持部が形成された保持台に対する両側の境界箇所を繋げ、鍋蓋のつまみを挿入自在であるつまみ挿入部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る食器洗浄機によれば、上かごの一部には、横方向両側から高さが下方に低くなり、鍋蓋のつまみを当該つまみの横方向両側を含む領域で引っ掛けるつまみ保持部が設けられる。これにより、鍋蓋が洗浄槽内にて上かごの一部のつまみ保持部によって立てて保持され、主に下部のノズルから上方に向けて洗浄水を噴射する食器洗浄機でも垂直面に設置された鍋蓋の両面の双方が上方に向けて噴射される洗浄水によって洗浄できる。また、立てて保持された鍋蓋は、広い保持領域を占めない。したがって、洗浄槽内に鍋蓋の保持箇所が設けられ、鍋蓋の両面が洗浄でき、食器類の保持効率が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機付きシステムキッチンを示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の洗浄槽を引き出した状態のシステムキッチンを示す外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る食器かごを示す模式斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係るつまみ保持部を示す
図4のA部の拡大図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る鍋蓋のつまみを引っ掛けたつまみ保持部を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る異なる鍋蓋のつまみを引っ掛けたつまみ保持部を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る食器かごのうち食器類を保持した下かごを示す上視図である。
【
図9】本発明の実施の形態1に係る食器かごのうち食器類を保持した上かごを示す上視図である。
【
図10】本発明の実施の形態1に係る食器類を保持した上かご及び下かごを
図9のB-B線の断面にて示す方向から見た洗浄槽内の模式図である。
【
図11】本発明の実施の形態1の変形例1に係るつまみ保持部を示す拡大図である。
【
図12】本発明の実施の形態1の変形例2に係るつまみ保持部を示す拡大図である。
【
図13】本発明の実施の形態1の変形例3に係るつまみ挿入部付きつまみ保持部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、断面図の図面においては、視認性に鑑みて適宜ハッチングを省略している。さらに、明細書全文に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
<システムキッチン100の全体構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1付きシステムキッチン100を示す外観斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の洗浄槽2を引き出した状態のシステムキッチン100を示す外観斜視図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、システムキッチン100は、食器洗浄機1を備える。システムキッチン100は、図示しない加熱調理器及びシンクを備えても良い。食器洗浄機1、加熱調理器及びシンクなどは、一体化したユニットに形成されている。システムキッチン100は、キッチンの小物を収納する引き出し101と、鍋又はフライパンなどを収納する収納庫102と、を備える。引き出し101は、収納庫102の上方に配置されている。
【0012】
食器洗浄機1は、食後の汚れた食器を洗浄する。食器洗浄機1の上方の平面部103は、まな板などを載置する載置部に形成されている。
図1及び
図2では、平面部103は、食器洗浄機1の両側の引き出し101上にも形成されている。
【0013】
図示しない加熱調理器は、食器洗浄機1の隣などに配置されている。加熱調理器は、載置面にて電磁誘導コイルによって鍋又はフライパンなどを加熱する。加熱調理器は、内部に魚などを焼くグリルを内蔵している。
【0014】
シンクは、食器洗浄機1の隣などに配置されている。シンクは、キッチン水栓の蛇口から水を流す水槽状のユニットである。
【0015】
図2に示すように、食器洗浄機1は、直方体形状の本体3で区画されたユニットである。食器洗浄機1は、本体3からシステムキッチン100の使用者の手前側である正面側に洗浄槽2を引き出し自在である。引き出し式の洗浄槽2では、上部が開口されている。洗浄槽2には、上部の開口から洗浄槽2内に食後の汚れた食器が並べられ、洗浄される。
【0016】
<食器洗浄機1の外観構成>
図3は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1を示す正面図である。
図3に示すように、洗浄槽2の正面側の外側面には、水平方向に延伸する所定幅の第1隙間4及び第2隙間5を有して第1化粧板6、第2化粧板7及び第3化粧板8が取り付けられている。第1化粧板6は、第2化粧板7の上方に配置されている。第2化粧板7は、第3化粧板8の上方に配置されている。第1化粧板6、第2化粧板7及び第3化粧板8は、システムキッチン100の他のユニットの前側意匠面部と同じ色彩又は模様などの意匠が施されている。
【0017】
第1化粧板6の上下方向長さは、食器洗浄機1の両側に隣接する引き出し101の上下方向長さと一致した長さである。第2化粧板7の上下方向長さは、食器洗浄機1の両側に隣接する収納庫102の上下方向長さと一致した長さである。第1化粧板6と第2化粧板7との間にて水平方向に延伸する第1隙間4は、食器洗浄機1に隣接する引き出し101と収納庫102との間の第1隣接隙間104の延長線上にまっすぐな直線を描くように形成されている。第3化粧板8の上下方向長さは、食器洗浄機1の両側に隣接する収納庫102の下方の下部化粧板105の上下方向長さと一致した長さである。第2化粧板7と第3化粧板8との間にて水平方向に延伸する第2隙間5は、食器洗浄機1に隣接する収納庫102と下部化粧板105との間の第2隣接隙間106の延長線上にまっすぐな直線を描くように形成されている。第1隙間4及び第1隣接隙間104の深さは、一致している。第2隙間5及び第2隣接隙間106の深さは、一致している。これにより、食器洗浄機1は、システムキッチン100に一体化されて調和のとれた意匠を構成している。
【0018】
食器洗浄機1の第1化粧板6と第2化粧板7との間の第1隙間4の中央部には、洗浄槽2を自動的に引き出す開動作を使用者が手指を触れて指令する接触スイッチ9が配置されている。接触スイッチ9は、第1隙間4の高さ幅の範囲内に上下方向長さを有するとともに、第1隙間4の横幅の一部の範囲内に横方向長さを有する。
【0019】
使用者は、接触スイッチ9に手指を触れることにより、洗浄槽2が自動的に開動作を実施する。接触スイッチ9は、第1化粧板6及び第2化粧板7と面一に第1隙間4から突出している。これにより、使用者が目視せずに手指を第1隙間4に沿って移動させることにより、手指が接触スイッチ9に触れられる。
【0020】
食器洗浄機1の接触スイッチ9の設けられた第1隙間4の使用者から見て左隣には、排気口10が形成されている。排気口10は、第1隙間4の高さ幅の範囲内に上下方向長さを有するとともに、第1隙間4の横幅の一部の範囲内に横方向長さを有する。排気口10は、食器洗浄機1からの排気を室内に排出する。
【0021】
食器洗浄機1の第3化粧板8の裏側内部空間には、洗浄槽2を自動的に引き出す開動作又は洗浄槽2を自動的に閉じる閉動作を実施させる図示しない駆動部及び移動機構が搭載されている。食器洗浄機1の第3化粧板8の裏側内部空間には、食器洗浄機1の各種制御を実施する図示しない機構群及び制御部も配置されても良い。
【0022】
<食器洗浄機1の内部構成>
食器洗浄機1は、洗浄槽2内に、後述の
図10に示すような洗浄ノズル11と、図示しないヒータとを備える。洗浄ノズル11は、洗浄槽2内の下部に配置され、洗浄水を噴出する。ヒータは、洗浄水を加熱する。
【0023】
また、食器洗浄機1は、洗浄槽2内の下部に、図示しない洗浄ポンプと、図示しない排水ポンプとを備える。洗浄ポンプは、洗浄ノズル11に洗浄水を圧送する。排水ポンプは、汚れた洗浄水を排出する。
【0024】
洗浄槽2の正面側縁部における洗浄槽2と第1化粧板6との間の図示しない上面部には、図示しない表示部と、図示しない操作部とが設けられている。
【0025】
<食器洗浄機1の動作>
汚れた食器を洗浄する場合には、使用者が接触スイッチ9に手指を触れる。これにより、食器洗浄機1は、自動的に洗浄槽2を本体3から洗浄槽2の上部の開口を最大に露出させるように引き出す。そして、使用者は、洗浄槽2内に汚れた食器を並べる。食器が並べ終わると、使用者は、洗浄槽2内の洗浄水に洗剤を投入する。次に、使用者は、操作部のスタートスイッチをONする。
【0026】
次に、使用者は、第1化粧板6を手で押して洗浄槽2を本体3内に押し込む。このとき、使用者の洗浄槽2を押し込む動作の途中からは、食器洗浄機1が自動的に閉動作を実施すると良い。あるいは、使用者は、完全に洗浄槽2が引き出された食器洗浄機1の接触スイッチ9に手指を触れる。これにより、接触スイッチ9からの閉動作の指令によって、食器洗浄機1は、自動的に閉動作を実施しても良い。そして、食器洗浄機1は、洗浄槽2の本体3内への閉動作が完了すると、洗浄工程を実施する。
【0027】
洗浄工程では、給水弁が開弁され、洗浄槽2内に洗浄水が給水される。そして、水量センサが所定量の洗浄水の給水を検知すると、給水弁が閉弁される。次に、ヒータが通電され、洗浄水が所望の温度に加熱される。そして、洗浄ポンプが駆動され、温水化した洗浄水が洗浄ノズル11に圧送され、洗浄ノズル11の図示しないノズル孔から斜め上方といった上方に向けて洗浄水が噴射され、食器が洗浄される。このとき、洗浄ノズル11は、洗浄水の噴射による反力によって回転する。これにより、洗浄槽2内に並べられた食器に万遍なく洗浄水が噴射される。洗浄槽2内に噴射された洗浄水は、落下して洗浄槽2内の下部に集まり、再び洗浄ノズル11から噴射される。この循環が繰り返され、全体として洗浄工程となっている。なお、洗浄工程では、洗浄槽2が本体3内に収納されているので、洗浄水が洗浄槽2外に飛散することはない。
【0028】
所定時間経過すると、ヒータ及び洗浄ポンプへの通電が停止する。また、排水ポンプが駆動され、洗浄槽2内の汚水が外部に排出される。
【0029】
汚水の排水が終わると、排水ポンプへの通電を停止し、給水弁が開弁され、新たな洗浄水が洗浄槽2内に給水される。以後、上述した洗浄工程と同様の動作によって食器のすすぎ洗いが行われ、所定時間のすすぎ洗いが終わると、すすぎ洗いに用いた洗浄水が排水される。このようなすすぎ洗いと排水とが数回繰り返される。この繰り返しがすすぎ工程となっている。このとき、図示しないリンスタンクからリンスが供給されてすすぎ洗い用の洗浄水に加えられ、食器が乾燥仕上げに適した状態になっても良い。
【0030】
すすぎ工程が終了すると、送風機及びヒータが通電され、洗浄槽2内に外気が導入される。外気は、ヒータで加熱されて温風となり、洗浄槽2内に送られて食器及び洗浄槽2の内部全体を乾燥させる。乾燥に用いた温風は、排気口10から食器洗浄機1の外部の室内に排出される。この工程が乾燥工程となる。
【0031】
乾燥工程が所定時間経過すると、送風機及びヒータへの通電が停止され、乾燥工程が終了する。これにより、食器の洗浄、すすぎ及び乾燥が完了する。なお、これら一連の動作は、制御部のマイクロコンピュータに設定されたプログラムに従って自動的に行われる。
【0032】
食器を取り出す場合には、使用者は、食器洗浄機1の洗浄完了のアナウンス又は表示などの報知を確認し、接触スイッチ9に手指を触れる。これにより、食器洗浄機1は、自動的に洗浄槽2を本体3から手前に引き出す。その後、使用者は、本体3から引き出された洗浄槽2の上部の開口から食器を取り出す。
【0033】
<食器かご20の構成>
図4は、本発明の実施の形態1に係る食器かご20を示す模式斜視図である。
図4に示すように、食器かご20は、洗浄槽2内に食器類を保持する。食器かご20は、上部が開口した引き出し式の洗浄槽2に着脱自在であり、上方から洗浄槽2内に収納できる。食器かご20は、下かご21と、上かご22とを有する。
【0034】
下かご21は、洗浄槽2内の下部にて、食器類を保持する。下かご21は、洗浄槽2内の底面を投影した領域よりも一回り小さい1つのかごである。下かご21は、少なくとも底面を網目に形成され、洗浄水を内部に浸入させられる。ここでは、下かご21は、線材で構成されている。なお、下かご21は、網目状などで洗浄水が上かご22内に通過できれば、樹脂成型品で構成されても良い。
【0035】
下かご21の縁部には、食器類の開口部を水平方向に向けて食器類を立てて保持する食器支持部21aが形成されている。なお、食器支持部21aは、下かご21の縁部以外にも複数の支持棒などで下かご21の内側範囲に上方に向けて形成されても良い。
【0036】
上かご22は、洗浄槽2内の下かご21の上方にて、食器類を保持する。上かご22は、第1上かご22aと、第2上かご22b及び第2上かご22cとを有する。第1上かご22aは、水平方向に移動でき、これによって下かご21への食器類の保持が容易に行える。第2上かご22b及び第2上かご22cは、取り外し自在であり、取り外した状態で使用でき、これによって下かご21に大きな食器又は鍋などが保持できる。さらに、第2上かご22b及び第2上かご22cは、第1上かご22a側などに折り畳まれた状態でも、食器洗浄機1が使用できる。
【0037】
上かご22は、少なくとも底面を網目に形成され、洗浄水を内部に浸入させられる。ここでは、上かご22は、線材で構成されている。なお、上かご22は、網目状などで洗浄水が上かご22内に通過できれば、樹脂成型品で構成されても良い。
【0038】
上かご22の第1上かご22a、第2上かご22b及び第2上かご22cの縁部には、食器類の開口部を斜め下向きに向けて食器類を立てて保持する食器支持部22dが形成されている。なお、食器支持部22dは、上かご22の縁部以外にも複数の支持棒などで上かご22の内側範囲に上方に向けて形成されても良い。
【0039】
<つまみ保持部24>
ここで、上かご22の上側縁部の一部には、上かご22の上側縁部よりも高さの高い保持台23が設けられている。保持台23には、つまみ保持部24が形成されている。つまみ保持部24は、第1上かご22aと第2上かご22bとが隙間を介して対向した第1上かご22aの縁部に形成されている。
【0040】
なお、つまみ保持部24は、第1上かご22aと第2上かご22bとが隙間を介して対向した第2上かご22bの縁部に形成されても良い。あるいは、第1上かご22aと第2上かご22bとが隙間を介して対向した第1上かご22a及び第2上かご22bの双方の縁部に形成されても良い。つまみ保持部24の数は、1以上であれば良い。
【0041】
つまみ保持部24は、上かご22の一部にて、上かご22の一部である横方向両側から高さが下方に低くなり、後述の鍋蓋30のつまみ31を当該つまみ31の横方向両側を含む領域で引っ掛けるように設けられている。ここでは、つまみ保持部24は、上かご22の保持台23を凹ませて形成されている。
【0042】
つまみ保持部24は、後述の
図10に示すように下かご21において高さの低い食器類が保持される領域の上方に設けられている。つまみ保持部24は、
図4、後述の
図9及び
図10に示すように洗浄槽2の前後又は左右の中心側に形成されるとともに、洗浄槽2内の左側に片側に寄って形成されている。なお、つまみ保持部24は、洗浄槽2の中心領域に鍋蓋30を保持できる空間を確保し易いので、洗浄槽2内の片側に寄らずに洗浄槽2の中心側に形成されても良い。
【0043】
<つまみ保持部24の詳細>
図5は、本発明の実施の形態1に係るつまみ保持部24を示す
図4のA部の拡大図である。
図6は、本発明の実施の形態1に係る鍋蓋30のつまみ31を引っ掛けたつまみ保持部24を示す説明図である。
図7は、本発明の実施の形態1に係る異なる鍋蓋30のつまみ31を引っ掛けたつまみ保持部24を示す説明図である。
【0044】
図5に示すように、つまみ保持部24は、上部が開放された形状である。つまみ保持部24は、下方に向かって両側の線材が近づいて行って線材間の距離が狭くなる形状である。具体的には、つまみ保持部24は、V字形状である。
【0045】
図6及び
図7に示すように、つまみ保持部24は、鍋蓋30のつまみ31を引っ掛けた箇所よりも下方の部分に、鍋蓋支持部25を兼ねさせている。鍋蓋支持部25は、つまみ保持部24に保持された鍋蓋30を立てた姿勢に矯正する。
【0046】
つまみ保持部24につまみ31を引っ掛けた鍋蓋30は、自身の重みによって、つまみ31とは反対側に上部を傾けて下がろうとする。このとき、鍋蓋支持部25がつまみ保持部24の下部に構成されているので、傾く鍋蓋30の下部が鍋蓋支持部25に当接し、鍋蓋30が立てた姿勢に矯正され、鍋蓋30が大きく傾くことが防止される。このような鍋蓋支持部25は、
図6及び
図7に示すように、鍋蓋30のつまみ31の形状が異なるものでも鍋蓋30の姿勢を矯正する機能を発揮する。
【0047】
図5に示すように、鍋蓋支持部25となるつまみ保持部24の下部は、第1上かご22aの縁部の水平方向に延伸する線材26と交差している。このため、つまみ保持部24は、つまみ31をつまみ保持部24の両側の線材及び第1上かご22aの縁部の水平方向に延伸する線材26によって囲んで引っ掛ける。しかし、つまみ保持部24の下部には、第1上かご22aの縁部の水平方向に延伸する線材26が無くても良い。
【0048】
<食器かご20の使用状態>
図8は、本発明の実施の形態1に係る食器かご20のうち食器類を保持した下かご21を示す上視図である。
図9は、本発明の実施の形態1に係る食器かご20のうち食器類を保持した上かご22を示す上視図である。
図10は、本発明の実施の形態1に係る食器類を保持した上かご22及び下かご21を
図9のB-B線の断面にて示す方向から見た洗浄槽2内の模式図である。
【0049】
図8に示すように、下かご21には、大皿40、箸41、茶碗又は汁椀42、中鉢43及び小皿44などの食器類が並べて保持される。
図9に示すように、上かご22には、つまみ保持部24に引っ掛けられた鍋蓋30、並びに、中皿45及びコップ又は湯呑46などの食器類が保持される。つまみ保持部24につまみ31を引っ掛けられた鍋蓋30及び箸立てに立てられた箸41などは、第1上かご22aと第2上かご22b又は第2上かご22cとの間の空間に配置される。
【0050】
図10に示すように、つまみ保持部24は、下かご21において高さの低い小皿44などの食器類が保持される領域の上方に設けられている。ここで、つまみ保持部24の下方の下かご21の領域には、使用者が誤って高さの高い食器類を保持させないように、高さの低い食器類を保持する食器支持部21aが形成されても良い。これにより、つまみ31をつまみ保持部24に引っ掛けた大きな鍋蓋30は、洗浄槽2内にて他の食器類に干渉せずに保持できる。
【0051】
<変形例1>
図11は、本発明の実施の形態1の変形例1に係るつまみ保持部24を示す拡大図である。ここでは、上記実施の形態と同様の事項の説明を省略し、その特徴部分のみ説明する。
【0052】
図11に示すように、つまみ保持部24は、上かご22の縁部の食器支持部22dに形成されている。なお、つまみ保持部24は、上かご22の底部における縁部の一部を凹ませて形成されても良い。
【0053】
<変形例2>
図12は、本発明の実施の形態1の変形例2に係るつまみ保持部24を示す拡大図である。ここでは、上記実施の形態などと同様の事項の説明を省略し、その特徴部分のみ説明する。
【0054】
図12に示すように、つまみ保持部24は、U字形状である。U字形状のつまみ保持部24は、V字形状に比して鍋蓋支持部25が無い構成になる。しかし、U字形状のつまみ保持部24でも、鍋蓋30のつまみ41を引っ掛けられる。
【0055】
<変形例3>
図13は、本発明の実施の形態1の変形例3に係るつまみ挿入部27付きつまみ保持部24を示す拡大図である。ここでは、上記実施の形態などと同様の事項の説明を省略し、その特徴部分のみ説明する。
【0056】
図13に示すように、つまみ保持部24の上方には、つまみ挿入部27が設けられている。つまみ挿入部27は、下部をつまみ保持部24に連通してつまみ保持部24よりも開口面積が広く円弧状に形成され、鍋蓋30のつまみ31を挿入自在である。つまみ挿入部27は、上部にてつまみ保持部24に対して他の保持台23などの部分との両側の境界箇所を円弧状の線材で繋げている。
【0057】
<実施の形態1の効果>
実施の形態1によれば、食器洗浄機1は、上方が開口した洗浄槽2を引き出し自在に収納する。食器洗浄機1は、洗浄槽2内の下部にて、食器を保持する下かご21を備える。食器洗浄機1は、洗浄槽2内の下かご21の上方にて、食器を保持する上かご22を備える。上かご22の一部には、横方向両側から高さが低くなり、鍋蓋30のつまみ31を当該つまみ31の横方向両側を含む領域で引っ掛けるつまみ保持部24が設けられている。
【0058】
この構成によれば、鍋蓋30が洗浄槽2内にて上かご22の一部のつまみ保持部24によって立てて保持され、主に下部の洗浄ノズル11から上方に向けて洗浄水を噴射する食器洗浄機1でも垂直面に設置された鍋蓋30の両面の双方が上方に向けて噴射される洗浄水によって洗浄できる。さらに、洗浄槽2内に鍋蓋30が他の食器と同じように立てて保持されるので、鍋蓋30が広い保持領域を占めず、洗浄槽2内にて食器類を保持する保持効率が向上できる。したがって、洗浄槽2内に鍋蓋30の保持箇所が設けられ、鍋蓋30の両面がしっかり洗浄でき、食器類の保持効率が向上できる。また、食器洗浄機1の乾燥工程では、つまみ保持部24につまみ31を引っ掛けて立てて保持された鍋蓋30の水切れが良く、鍋蓋30の表面に水滴が残り難く、乾燥効率が向上できる。
【0059】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、上かご22の一部を凹ませて形成されている。
【0060】
この構成によれば、鍋蓋30のつまみ31が洗浄槽2内にて上かご22の一部を凹ませて形成されたつまみ保持部24に引っ掛けられ、鍋蓋30が立てて保持できる。
【0061】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、上部が開放された形状である。
【0062】
この構成によれば、使用者が上方の開口した洗浄槽2を引き出し、鍋蓋30のつまみ31を洗浄槽2の開口した上方から下方に下してつまみ保持部24に容易に引っ掛けられる。
【0063】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24の上方には、つまみ保持部24に連通してつまみ保持部24よりも開口面積が広く形成されるとともに、上部にてつまみ保持部24に対して上かご22の他の部分との両側の境界箇所を繋げ、鍋蓋30のつまみ31を挿入自在であるつまみ挿入部27が設けられている。
【0064】
この構成によれば、上かご22の一部につまみ保持部24が設けられても、つまみ保持部24の上方に連続してつまみ挿入部27が設けられ、つまみ保持部24の上方がつまみ保持部24に対して上かご22の他の部分との両側の境界箇所を繋いだつまみ挿入部27によって補強できる。このため、つまみ保持部24が設けられることによる上かご22の強度不足が補える。
【0065】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、下方に向かって狭くなる形状である。
【0066】
この構成によれば、鍋蓋30のつまみ31の大きさが異なっていても、つまみ保持部24が鍋蓋30のつまみ31を引っ掛けられる。すなわち、鍋蓋30のつまみ31が大きい場合には、大きいつまみ31がつまみ保持部24の上部側で引っ掛かる。鍋蓋30のつまみ31が小さい場合には、小さいつまみ31がつまみ保持部24の下部側で引っ掛かる。
【0067】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、鍋蓋30のつまみ31を引っ掛けた箇所よりも下方の部分に、当該つまみ保持部24に保持された鍋蓋30を立てた姿勢に矯正する鍋蓋支持部25を兼ねさせている。
【0068】
この構成によれば、鍋蓋30のつまみ31がつまみ保持部24に引っ掛かると、つまみ保持部24のつまみ31の引っ掛かった箇所よりも下方の部分が鍋蓋支持部25を兼ねて鍋蓋30におけるつまみ31よりも下部に当接し、鍋蓋30が立てた姿勢に矯正できる。
【0069】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、V字形状である。
【0070】
この構成によれば、つまみ保持部24が下方に向かって狭くなる形状に形成できる。
【0071】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、U字形状である。
【0072】
この構成によれば、つまみ保持部24が下方に向かって狭くなる形状に形成できる。
【0073】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、洗浄槽2の中心側に形成されている。
【0074】
この構成によれば、洗浄槽2の中心側に形成されたつまみ保持部24につまみ31を引っ掛けた大きな鍋蓋30が洗浄槽2内に立てて保持でき、大きな鍋蓋30の両面をしっかり洗浄できる。
【0075】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、洗浄槽2の前後又は左右の中心側に形成されるとともに、洗浄槽2内の前後又は左右の片側に寄って形成されている。
【0076】
洗浄槽2内のちょうど中央では、洗浄ノズル11から上方に噴射される洗浄水が当たり難い。この構成によれば、つまみ保持部24が洗浄槽2の前後又は左右の中心側に形成されるとともに、洗浄槽2内の前後又は左右の片側に寄って形成されている。このため、洗浄ノズル11から上方に噴射される洗浄水がつまみ保持部24につまみ31を引っ掛けた鍋蓋30に当たり易く、鍋蓋30の洗浄効率が向上できる。
【0077】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、上かご22の縁部に形成されている。
【0078】
この構成によれば、上かご22内にコップ又は湯呑46などの他の食器類を保持した状態でも、鍋蓋30のつまみ31が上かご22の縁部のつまみ保持部24に引っ掛けられて鍋蓋30も洗浄槽2内に効率良く保持できる。
【0079】
実施の形態1によれば、上かご22の縁部の一部には、当該縁部よりも高さの高い保持台23が設けられている。つまみ保持部24は、保持台23に形成されている。
【0080】
この構成によれば、鍋蓋30のつまみ31が上かご22の縁部よりも高さの高い保持台23に形成されたつまみ保持部24に引っ掛けられて大きな鍋蓋30が洗浄槽2内にて高い位置に保持される。このため、大きな鍋蓋30が下かご21において食器類の保持された領域の上方に位置しても、大きな鍋蓋30が下かご21内に保持された食器類と干渉しない。
【0081】
実施の形態1によれば、上かご22は、第1上かご22aと、第2上かご22bとを有する。つまみ保持部24は、第1上かご22aと第2上かご22bとが隙間を介して対向した第1上かご22a又は第2上かご22bの少なくとも一方の縁部に形成されている。
【0082】
この構成によれば、第1上かご22a及び第2上かご22b内にコップ又は湯呑46などの他の食器類を保持した状態でも、鍋蓋30のつまみ31がつまみ保持部24に引っ掛けられて大きな鍋蓋30も第1上かご22aと第2上かご22bとの間を有効利用して洗浄槽2内に効率良く保持できる。
【0083】
実施の形態1によれば、つまみ保持部24は、下かご21において高さの低い食器類が保持される領域の上方に設けられている。
【0084】
この構成によれば、鍋蓋30のつまみ31がつまみ保持部24に引っ掛けられて大きな鍋蓋30が下かご21において高さの低い食器類の保持された領域の上方に効率良く保持でき、大きな鍋蓋30が下かご21内に保持された食器類と干渉しない。
【0085】
実施の形態1によれば、上かご22は、線材で構成されている。
【0086】
この構成によれば、洗浄ノズル11から噴射される洗浄水が線材で構成された上かご22内を通過し易く、食器洗浄機1の洗浄能力が向上できる。
【0087】
なお、食器洗浄機1は、システムキッチン100に組み込まずに単体の構成でも良い。
【符号の説明】
【0088】
1 食器洗浄機、2 洗浄槽、3 本体、4 第1隙間、5 第2隙間、6 第1化粧板、7 第2化粧板、8 第3化粧板、9 接触スイッチ、10 排気口、11 洗浄ノズル、20 食器かご、21 下かご、21a 食器支持部、22 上かご、22a 第1上かご、22b 第2上かご、22c 第2上かご、22d 食器支持部、23 保持台、24 つまみ保持部、25 鍋蓋支持部、26 線材、27 つまみ挿入部、30 鍋蓋、31 つまみ、40 大皿、41 箸、42 茶碗又は汁椀、43 中鉢、44 小皿、45 中皿、46 コップ又は湯呑、100 システムキッチン、101 引き出し、102 収納庫、103 平面部、104 第1隣接隙間、105 下部化粧板、106 第2隣接隙間。