(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】ライセンスプレート用フレーム
(51)【国際特許分類】
B60R 13/10 20060101AFI20220118BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B60R13/10
B60R11/02 Z
(21)【出願番号】P 2018245468
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃正
(72)【発明者】
【氏名】下村 雄宏
(72)【発明者】
【氏名】高倉 寛
(72)【発明者】
【氏名】野村 直資
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-096304(JP,A)
【文献】実開平07-004203(JP,U)
【文献】実開昭60-001650(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のライセンスプレートを保持し前記車両に着脱可能に取り付けられるライセンスプレート用フレームであって、
前記ライセンスプレートの周縁部を覆う枠体と、
前記車両に取り付け可能なバックプレートと、を有し、
前記バックプレートの下部に撮像手段を取り付ける取付部が形成され、
前記枠体の下辺部と前記バックプレートの下部とを接続する接続部を有
し、
前記取付部が前記バックプレートの下部中央部に形成され、
前記接続部が前記取付部の両側に近接して設けられていることを特徴とするライセンスプレート用フレーム。
【請求項2】
前記バックプレートの上部に締結部が形成されていることを特徴とする請求項
1に記載のライセンスプレート用フレーム。
【請求項3】
前記締結部の周部に複数の突出部が形成されていることを特徴とする請求項
2に記載のライセンスプレート用フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライセンスプレートを車両に取り付けるためのライセンスプレート用フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントグリル内側にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを取り付け、当該CMOSカメラから得られた映像を車内のモニタに表示させ、当該映像を介して運転者に対し車両の前方向や前左右方向を認識させる車両用映像装置が開発されている。
【0003】
しかしながら、フロントグリルにCMOSカメラを取り付ける場合には、車種毎にフロントグリルの形状が異なるため、フロントグリルの形状に合わせた専用の取り付けキットが個別に必要となり、その分だけコストが高くなるという問題があった。
【0004】
また、この種の車両用映像装置では、フロントグリルの位置や、フロントグリルの内部構造に応じてCMOSカメラの取付位置が異なるため、CMOSカメラの取付位置に応じてその映像も異なり、当該映像から得られる車両前方の距離感が車種毎に異なってしまうという問題があった。
【0005】
さらに、その他の問題として、フロントグリルにCMOSカメラを取り付ける際には、フロントグリルや車体自体に、CMOSカメラの取付用孔を穿設するといった各種加工作業が必要となるため、取付作業に時間がかかるという問題や、何らかの理由でCMOSカメラを交換する場合には、強固に車両に取り付けられたフロントグリルを外さなければならず、メンテナンス性が悪いという問題もあった。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するため、ライセンスプレートを車両に取り付けるライセンスプレート用フレームにCMOSカメラを固定したものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のライセンスプレート用フレームは、ライセンスプレートを保持するフレーム本体と、CMOSカメラを支持するブラケットから構成されている。
【0007】
特許文献1のフレーム本体は、ライセンスプレートの周縁を囲む枠体と、ライセンスプレートを保持したライセンスプレート用フレームを車両に取り付け可能なバックプレートとを備えている。バックプレートは、枠体の上辺と2箇所、枠体の左右各2箇所で枠体と接続されているが、枠体の下辺とは接続されていない。
【0008】
一方、CMOSカメラを固定するブラケットは、バックプレートの下部中央部分に設けられる構造となっている。すなわち、CMOSカメラはバックプレートのうち枠体との接続がない最も揺動し易い位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、車両の走行時等に車両の振動がブラケットに伝達し、CMOSカメラが揺動することにより、CMOSカメラの映像が車内のモニタで鮮明に表示されない虞があった。
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、取り付けた撮像手段の揺動を抑制するライセンスプレート用フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るライセンスプレート用フレームは、車両のライセンスプレートを保持し前記車両に着脱可能に取り付けられるライセンスプレート用フレームであって、前記ライセンスプレートの周縁部を覆う枠体と、前記車両に取り付け可能なバックプレートと、を有し、前記バックプレートの下部に撮像手段を取り付ける取付部が形成され、前記枠体の下辺部と前記バックプレートの下部とを接続する接続部を有し、前記取付部が前記バックプレートの下部中央部に形成され、前記接続部が前記取付部の両側に近接して設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るライセンスプレート用フレームは、前記バックプレートの上部に締結部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るライセンスプレート用フレームは、前記締結部の周部に複数の突出部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、ライセンスプレート用フレームに固定した撮像手段の揺動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1のライセンスプレート及びCMOSカメラを取り付けた状態のライセンスプレート用フレームの正面側を示す斜視図である。
【
図2】同、ライセンスプレート及びCMOSカメラを取り付けた状態のライセンスプレート用フレームの背面側を示す斜視図である。
【
図3】同、ライセンスプレート用フレームの正面図である。
【
図4】同、ライセンスプレート用フレームの背面図である。
【
図5】同、ライセンスプレート用フレームの背面側の部分拡大図である。
【
図6】同、ライセンスプレート用フレームのフロントバンパーへの取り付け説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について、添付の
図1~
図6を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。なお、実施例中の上下左右は、
図3に示すライセンスプレート用フレームの正面視における上下左右をいうものとする。また、実施例中の前後は、
図3に示すライセンスプレート用フレームの正面側を前、
図4に示すライセンスプレート用フレームの背面側を後とする。
【実施例1】
【0017】
本実施例のライセンスプレート用フレーム1は、
図1~
図6に示すように、車両2を識別するためのライセンスプレート(ナンバープレート)3を保持するための枠体4と、車両2のフロントバンパー5の取付面6に取り付け可能なバックプレート7と、を有して構成されている。
【0018】
図1に示すように、ライセンスプレート3の上部には、ライセンスプレート3を保持したライセンスプレート用フレーム1を車両2に取り付けるためのボルト8A,8B(
図6参照)を挿通するボルト用孔9A,9Bが2箇所に穿設されている。
【0019】
図3及び
図4に示すように、枠体4は、ライセンスプレート3の前面10の周縁部を覆うように横長の矩形環状に形成されている。枠体4は、上辺部11、下辺部12、左辺部13及び右辺部14を有している。また、枠体4の裏面15であって、上辺部11の左端側及び右端側と、下辺部12の左端側及び右端側には、爪部16A,16B,16C,16Dが設けられており、上辺部11と爪部16A,16Bとの間及び下辺部12と爪部16C,16Dとの間にライセンスプレート3の周縁部が収容される。
【0020】
バックプレート7は、横長の略矩形板状に形成された本体部21と、本体部21の左端部から左方向に突設された板状の接続部である左接続部22と、本体部21の右端部から右方向に突設された板状の接続部である右接続部23と、本体部21の下端部から下方向に突設された2つの接続部である左下接続部24及び右下接続部25と、を有している。左接続部22と右接続部23は、本体部21の上下方向略中央に設けられ、左下接続部24と右下接続部25は、本体部21の左右方向の長さを略3等分する位置に設けられている。
【0021】
バックプレート7の本体部21の上部には左右にそれぞれ締結部であるボルト用孔26A,26Bが穿設されている。
【0022】
バックプレート7の表面27であって左側のボルト用孔26Aの周部及び右側のボルト用孔26Bの周部には、前側に突出した前側肉厚部28A,28Bが形成されている。また、バックプレート7の裏面29であって左側のボルト用孔26Aの周部及び右側のボルト用孔26Bの周部には、後側に突出した後側肉厚部30A,30Bが形成されている。さらに、ボルト用孔26A,26B及び後側肉厚部30A,30Bの周部には、9つの突出部31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31H,31I、31J,31K,31Lが突設されている。突出部31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31H,31I、31J,31K,31Lは、後側肉厚部30A,30Bの周囲に配置されるスペーサー(図示せず)に係止するものであり、複数設けることで、異なる形状のスペーサーにも対応することができるようになっている。本実施例では、左側の後側肉厚部30Aの下側に3つと右側に3つの突出部31A~31Fが形成され(
図5参照)、右側の後側肉厚部の下側に3つと左側に3つの突出部31G~31Lが形成されているが、突出部の数と位置は適宜変更可能である。
図5等に示すように、突出部31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31H,31I、31J,31K,31Lの先端部は平坦に形成されている。
【0023】
バックプレート7の本体部21の下部には、撮像手段としてのCMOSカメラ32を支持するブラケット33(
図1参照)を取り付ける取付部34A,34B,34Cが左右方向に並んで3箇所設けられている。取付部34A,34B,34Cは全て同一形状を有しており、使用者がブラケット33を取り付ける位置を選択可能となっている。バックプレート7の下部中央部に形成された取付部34Bの左右両側には、左下接続部24と右下接続部25が近接して設けられている。
【0024】
取付部34A,34B,34Cは、後側に凸のエンボス状に形成されている。また、各取付部34A,34B,34Cには、ブラケット33を取り付ける際に使用するボルト42A,42Bを挿通するボルト挿通孔35A,35B,35C,35D,35E,35Fがそれぞれ2箇所穿設されている。また、取付部34A,34B,34CにはCMOSカメラ32の配線36をバックプレート7に固定するために使用されるハーネスバンド37を挿通するバンド挿通孔38A,38B,38C,38D,38E,38F,38G,38H,38I,38Jが10箇所に穿設されている。
【0025】
本体部21には、バックプレート7の軽量化のための軽減孔39A,39B,39C,39Dが4箇所に穿設されている。本実施例では、軽減孔39A,39B,39C,39Dは大小の略矩形状に形成されているが、軽減孔39A,39B,39C,39Dの数や大きさは、ライセンスプレート用フレーム1全体の大きさや強度を考慮して適宜変更可能である。
【0026】
バックプレート7の表面27には、上下方向に延びる突線部41A,41B,41C,41D,41E,41F,41Gが7箇所に設けられている。突線部41Aは取付部34Aの左側、突線部41Bは左接続部22の右側、突線部41Cは軽減孔39Aと軽減孔39Bの間、突線部41Dは軽減孔39Bと軽減孔39Cの間、突線部41Eは軽減孔39Cと軽減孔39Dの間、突線部41Fは右接続部23の左側、突線部41Gは取付部34Cの右側、にそれぞれ位置している。突線部41A,41B,41C,41D,41E,41F,41Gを設けることで、本体部21の強度を高めると共に、本体部21の変形を抑制することができる。
【0027】
ここで、ライセンスプレート3の車両2への取り付け方法について説明する。先ず、CMOSカメラ32を取り付けたブラケット33を取付部34Bにボルト42A,42Bとナット43A,43Bにより固定し、CMOSカメラ32の配線36をハーネスバンド37によりバックプレート7に固定する。次に、ライセンスプレート3を枠体4とバックプレート7との隙間に上方からスライドさせて入れ、爪部16A,16B,16C,16Dをライセンスプレート2の裏面44の周縁部に係止させる。次に、上述のスペーサーを突出部31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31H,31I、31J,31K,31Lの何れかに係止する。一方、
図6に示すように、車両2のフロントバンパー5に形成された取付面6にはスプリングナット45A,45Bが取り付けられている。そのため、ボルト8A,8Bをライセンスプレート3のボルト用孔9A,9Bと、本体部21のボルト用孔26A,26Bに挿通した後、スプリングナット45A,45Bに螺合させることで、CMOSカメラ32が取り付けられたライセンスプレート用フレーム1とライセンスプレート3とが一体となって車両2に取り付けられる。
【0028】
ボルト8A,8Bをスプリングナット45A,45Bに螺合させると、ライセンスプレート3の裏面44が前側肉厚部28A,28Bに当接する。また、スプリングナット45A,45Bに後側肉厚部30A,30Bが当接し、スペーサーがフロントバンパー5の取付面6に当接する。したがって、ボルト用孔26A,26Bを中心として、ライセンスプレート3はライセンスプレート用フレーム1にがたつき無く固定され、ライセンスプレート用フレーム1は車両2にがたつき無く固定される。
【0029】
以上のように、本実施例のライセンスプレート用フレーム1は、車両2のライセンスプレート3を保持し車両2に着脱可能に取り付けられるライセンスプレート用フレーム1であって、ライセンスプレート3の周縁部を覆う枠体4と、車両2に取り付け可能なバックプレート7と、を有し、バックプレート7の下部にCMOSカメラ32を取り付ける取付部34A,34B,34Cが形成され、枠体4の下辺部12とバックプレート7の下部とを接続する左下接続部24及び右下接続部25を有することにより、取付部34A,34B,34Cが形成されたバックプレート7の下部が左下接続部24及び右下接続部25により枠体4に接続されるため、バックプレート7の下部の振動が抑制され、ひいては取付部34A,34B,34Cに取り付けられたCMOSカメラ32の揺動を抑制することができる。
【0030】
また、本実施例のライセンスプレート用フレーム1は、取付部34Bがバックプレート7の下部中央部に形成され、左下接続部24及び右下接続部25が取付部34Bの両側に近接して設けられていることにより、本体部21が取付部34Bに近接する位置で左下接続部24及び右下接続部25により枠体4に接続されているため、取付部34Bに取り付けられたCMOSカメラ32の揺動を抑制することができる。
【0031】
また、本実施例のライセンスプレート用フレーム1は、バックプレート7の上部にボルト用孔26A,26Bが形成されていることにより、バックプレート7の本体部21の上側が車両2に固定され、下側が左下接続部24及び右下接続部25により枠体4に接続されるため、本体部21の上下部分が保持されるため、CMOSカメラ32の揺動を抑制することができる。また、本体部21は、左接続部22及び右接続部23により左右部分が枠体4に接続されているため左右部分も保持されており、さらにCMOSカメラ32の揺動を抑制することができる。
【0032】
また、本実施例のライセンスプレート用フレーム1は、ボルト用孔26A,26Bの周部に複数の突出部31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31H,31I、31J,31K,31Lが形成されていることにより、ボルト用孔26A,26Bの周部に様々な形状のスペーサーを係止することができるため、汎用性を向上させることができる。また、スペーサーは突出部31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31H,31I、31J,31K,31Lに係止された状態で保持可能であるため、ライセンスプレート用フレーム1を車両2へ取り付ける作業時に作業者がスペーサーを保持する必要がなく、取り付け作業が行い易くなる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、本実施例のライセンスプレート用フレームは車両のフロントバンパーに取り付けられるものであるが、リアバンパーに取り付けてもよい。また、バックプレートの振動を抑制するため、接続部の位置、形状及び数の変更も可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 ライセンスプレート用フレーム
2 車両
3 ライセンスプレート
4 枠体
7 バックプレート
12 下辺部
24 左下接続部(接続部)
25 右下接続部(接続部)
26A,26B ボルト用孔(締結部)
31A~31L 突出部
32 CMOSカメラ(撮像手段)
34A,34B,34C 取付部