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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】フルオロエラストマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 14/18 20060101AFI20220118BHJP
   C08F 2/38 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C08F14/18
C08F2/38
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018530679
(86)(22)【出願日】2016-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2016080956
(87)【国際公開番号】W WO2017102820
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-11-14
(31)【優先権主張番号】15199930.7
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドッシ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】アヴァタネオ, マルコ
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第96/017876(WO,A1)
【文献】特開2007-056260(JP,A)
【文献】特開2007-056259(JP,A)
【文献】特表2013-532766(JP,A)
【文献】特表2013-514415(JP,A)
【文献】特表2008-524394(JP,A)
【文献】特表2014-513184(JP,A)
【文献】特表平08-501821(JP,A)
【文献】特表2013-539807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 14/00-14/28
C08F 214/00-214/28
C08F 2/00-2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(パー)フルオロエラストマー[フルオロエラストマー(A)]の製造方法であって、以下の工程:
工程(a):プレポリマーラテックス[ラテックス(P)]を得るために、以下の原料:
(i)少なくとも1つのフルオロモノマー[モノマー(F)]を含む第1モノマー混合物[混合物(M1)]
(ii)少なくとも1つのヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤、
(iii)少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する少なくとも1つの分岐剤;および
(iv)少なくとも1つのラジカル開始剤
を供給することを含む第1反応器への供給によって界面活性剤の存在下での水性エマルジョンで重合させる工程と;
工程(b):前記ラテックス(P)を前記第1反応器から回収し、それを貯蔵タンクに貯蔵する工程と;
工程(c):前記ラテックス(P)を前記貯蔵タンクから第2反応器に供給する工程と:
工程(d):最終ラテックス[ラテックス(F)]を得るために、ラジカル開始剤の存在下で少なくとも1つのモノマー(F)を含む少なくとも第2モノマー混合物[混合物(M2)]を前記第2反応器中で重合させる工程と;
工程(e):前記フルオロエラストマー(A)を前記ラテックス(F)から回収する工程と
を含む方法。
【請求項2】
混合物(M1)が、
- テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)などの、C~Cパーフルオロオレフィン;
- フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ペンタフルオロプロピレン、およびヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)などの、C~Cの水素含有フルオロオレフィン;
- 式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、C~C(パー)フルオロアルキルまたは1つもしくは複数のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従う(パー)フルオロアルキルエチレン;
- クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のような、クロロ-および/またはブロモ-および/またはヨード-C~Cフルオロオレフィン;
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフロオロ-もしくはパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CH=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフロオロ-もしくはパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-Cである)に従うヒドロフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、C~C12オキシアルキル、またはパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C~Cフルオロ-もしくはパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、または-C-O-CFのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロアルキル-メトキシ-ビニルエーテル;
- 式CF=CFOY(式中、Yは、C~C12アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル、またはC~C12オキシアルキルもしくはC~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、前記Y基は、カルボン酸基またはスルホン酸基を、その酸、酸ハライドまたは塩の形態で含む)に従う官能性フルオロ-アルキルビニルエーテル;
- 式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは独立して、フッ素原子、任意選択的に1個または複数個の酸素原子を含む、C~Cフロオロ-もしくはパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである]
のフルオロジオキソール
からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合物(M1)が、
(1)VDFが、VDFとは異なり、そして
(a)テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの、C~Cパーフルオロオレフィン;
(b)フッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、式CH=CH-R(式中、Rは、C~Cパーフルオロアルキルである)のパーフルオロアルキルエチレンなどの、水素含有C~Cフルオロオレフィン;
(c)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などのC~Cクロロおよび/またはブロモおよび/またはヨード-フルオロオレフィン;
(d)式CF=CFOR(式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、例えば、CF、C、Cである)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)式CF=CFOX[式中、Xは、カテナリー酸素原子を含むC~C12((パー)フルオロ)-オキシアルキル、例えば、パーフルオロ-2-プロポキシプロピル基である]の(パー)フルオロ-オキシ-アルキルビニルエーテル;
(f)式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6は独立して、フッ素原子、および、とりわけ-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどの、任意選択的に1個以上の酸素原子を含む、C~C(パー)フルオロアルキル基の中から選択される]
の(パー)フルオロジオキソール;好ましくはパーフルオロジオキソール;
(g)式:
CFX=CXOCFOR’’
[式中、R’’は、線状もしくは分岐の、C~C(パー)フルオロアルキル;C~C環状(パー)フルオロアルキル;および1~3個のカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐の、C~C(パー)フルオロオキシアルキルの中から選択され、X=F、Hであり;好ましくは、XはFであり、R’’は、-CFCF(MOVE1);-CFCFOCF(MOVE2);またはCF(MOVE3)である]
を有する(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(MOVE);
(h)C~C非フッ素化オレフィン(Ol)、例えば、エチレンおよびプロピレン;
(i)場合により(過)フッ素化された、ニトリル(-CN)基を含むエチレン性不飽和化合物
からなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと混合されている、フッ化ビニリデン(VDF)含有モノマー混合物;ならびに
(2)TFEが、TFEとは異なり、そして上に詳述されたような、クラス(a)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(i)のモノマーからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと混合されている、テトラフルオロエチレン(TFE)含有モノマー混合物
からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)が、
- CF(CFn1COOM’(式中、nは、4~10、好ましくは5~7の範囲の整数であり、より好ましくは6に等しく;M’は、H、NH、Na、LiまたはK、好ましくはNHを表す);
- T(CO)n0(CFXO)m0CFCOOM’’[式(FS)](式中、Tは、Cl、またはkが1~3の整数であり、任意選択的に1個のF原子がCl原子で置換されている式C2k+1Oのパーフルオロアルコキシド基を表し;nは、1~6の範囲の整数であり;mは、0~6の範囲の整数であり;M’’は、H、NH、Na、LiまたはKを表し;Xは、FまたはCFを表す);
- F-(CF-CFn2-CH-CH-ROM’’’(式中、Rは、PまたはS、好ましくはSであり、M’’’は、H、NH、Na、LiまたはK、好ましくはHを表し;nは、2~5の範囲の整数であり、好ましくはn=3である);
- A-R-B二官能性フッ素化界面活性剤(式中、互いに等しいかもしくは異なるAおよびBは、-(O)CFX-COOM*であり;M*は、H、NH、Na、LiまたはKを表し、好ましくはM*はNHを表し;X=FまたはCFであり;pは、0または1に等しい整数であり;Rは、A-R-Bの数平均分子量が範囲300~3,000、好ましくは500~2,000にあるような線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖、または(パー)フルオロポリエーテル鎖である);
- R’-O-(CF-O-L-COOM’(式中、R’は、任意選択的にカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、M’は、H、NH、Na、LiまたはKであり、好ましくは、M’はNHを表し;rは1~3であり;Lは、二価のフッ素化架橋基、好ましくは-CFCF-または-CFX-であり、X=FまたはCFである);
- R’’-(OCF-O-(CF-COOM’’(式中、R’’は、任意選択的にカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、M’’は、H、NH、Na、LiまたはKであり、好ましくは、M’’は、NHを表し;uおよびvは、1~3の整数である);
- R’’’-(O)-CHQ-L-COOM’’’(式中、R’’’は、任意選択的にカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、Q=FまたはCFであり、tは、0または1であり、M’’’は、H、NH、Na、LiまたはKであり、好ましくは、M’’’はNHであり;Lは、二価のフッ素化架橋基、好ましくは-CFCF-または-CFX-であり、X=FまたはCFである);
- 次式(I):
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、X、X、Xは独立して、H、F、および任意選択的に1個もしくは複数個のカテナリーまたは非カテナリー酸素原子を含む、C1~6(パー)フルオロアルキル基の中から選択され;Lは、結合または二価基、特に二価のフッ素化脂肪族基を表し;Rは、二価のフッ素化C1~3架橋基であり;Yは、式:
(式中、Xは、H、一価の金属(好ましくはアルカリ金属)または式-N(R’のアンモニウム基であり、ここで、出現ごとに等しいかもしくは異なる、R’は、水素原子またはC1~6炭化水素基(好ましくはアルキル基)を表す)
のものからなる群から選択される親水性官能基である]
の環状フルオロ化合物;ならびに
- それらの混合物
からなる群から選択されるフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)]の存在下での水性エマルジョンで前記混合物(M1)を重合させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)の前記水性エマルジョンがさらに有利には、ここで以下の式(I-p):
T’-(CFX)-O-R-(CFX)p’-T’(I-p)
[式中:
- Xのそれぞれは独立して、FまたはCFであり;
- 互いに等しいかもしくは異なる、pおよびp’は、0~3の整数であり;
- Rは、繰り返し単位R°を含むフルオロポリオキシアルキレン鎖であり、前記繰り返し単位は、
(i)-CFXO-(式中、Xは、FまたはCFである)、
(ii)-CFCFXO-(式中、Xは、FまたはCFである)、
(iii)-CFCFCFO-、
(iv)-CFCFCFCFO-
(v)-(CF-CFZ-O-[式中、jは、0および1から選択される整数であり、Zは、一般式-OR’T(ここで、R’は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である)の基であり、前記繰り返し単位は、下記:Xのそれぞれのそれぞれが独立してFまたは-CFである、-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-の中から選択され;Tは、C~Cパーフルオロアルキル基である]、およびそれらの混合物
からなる群の中から選択され、
- 互いに同じかもしくは異なるものである、T’およびT’は、H、ハロゲン原子、任意選択的に1個もしくは複数個のH、またはフッ素とは異なるハロゲン原子を含む、C~Cフルオロアルキル基である]
に従う(パー)フルオロポリエーテルから選択される追加の非官能性フッ素化流体を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤が、式R(I)(Br)[式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する(パー)フルオロアルキルまたは(パー)フルオロクロロアルキルであり、そして一方、xおよびyは、1≦x+y≦2で、0~2の整数である]のものからなる群から選択され、そして工程(a)中に供給されるヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤の量が、工程(a)において製造されるプレポリマーの100重量部当たり少なくとも1.0重量部のものであるおよび/または工程(a)において製造されるプレポリマーの100重量部当たり最大でも4.0重量部のものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する前記分岐剤が一般に、一般式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、R、R、R、R、RおよびRは、HまたはC~Cアルキルであり;Zは、任意選択的に酸素原子を含有する、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、線状もしくは分岐のC~C18アルキレンもしくはシクロアルキレンラジカル、または(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルである]
を有するビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]であり、そしてここで、工程(a)において供給される少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する分岐剤の量が、工程(a)において得られるプレポリマーの総重量に対して最大でも1重量%、好ましくは最大でも0.5重量%、より好ましくは最大でも0.3重量%のものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)が、有利には少なくとも1000、好ましくは少なくとも5000,より好ましくは少なくとも10000および/もしくは有利には最大でも40000、好ましくは最大でも30000、より好ましくは最大でも20000の数平均分子量を有する、ならびに/または有利には少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5のおよび/もしくは有利には最大でも3.5、好ましくは最大でも3.0、より好ましくは最大でも2.8の多分散性指数(PDI)を有するプレポリマーの粒子を含むプレポリマーラテックス[ラテックス(P)]を提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)が、前記プレポリマーの重量に対して、少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1.0重量%、より好ましくは少なくとも1.2重量%のおよび/または前記プレポリマーの重量に対して、最大でも3.0%、好ましくは最大でも2.5重量%、より好ましくは最大でも2.0重量%のヨウ素および/または臭素含有量を有するプレポリマーの粒子を含むプレポリマーラテックス[ラテックス(P)]を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)において、前記ラテックス(P)が、前記第1反応器から回収され、少なくとも1時間の、好ましくは少なくとも1日の貯蔵時間、貯蔵タンク中にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2反応器が、前記第1反応器とは異なり、分岐剤を計量供給するためのならびに/またはヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤を計量供給するための設備を備えていない、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
混合物(M2)が、請求項2において定義されたような少なくとも1つのフルオロモノマーを含むおよび/または請求項3において定義された前記混合物から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(d)において転化される混合物(M2)の量と、ラテックス(P)として前記第2反応器に供給されるプレポリマーの量との間の重量比が、プレポリマーの重量部当たり有利には少なくとも2、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも5重量部の転化される混合物(M2)、および/もしくはプレポリマーの重量部当たり有利には最大でも20、好ましくは最大でも15の転化される混合物(M2)のものであり、ならびに/または工程(a)において製造されるラテックス(P)におけるプレポリマーの重量分率が、フルオロエラストマー(A)の総重量に対して、33重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは18重量%未満である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
フルオロエラストマー(A)が、有利には少なくとも40000、好ましくは少なくとも50000、より好ましくは少なくとも60000、さらにより好ましくは少なくとも80000の;および/または有利には最大でも150000、好ましくは最大でも130000、より好ましくは最大でも120000の数平均分子量を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記フルオロエラストマー(A)のヨウ素および/または臭素含有量が、工程(a)から得られるプレポリマーの重量分のフルオロエラストマー(A)の重量に等しい倍率で低下する、ならびに/または前記フルオロエラストマー(A)中の分岐剤含有量が、工程(a)から得られるプレポリマーの重量分のフルオロエラストマー(A)の重量に等しい倍率で低下する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月14日出願の欧州特許出願第15199930.7号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、(パー)フルオロエラストマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
加硫された(パー)フルオロエラストマーは、漏れ止め性、機械的特性および鉱油、油圧油、溶剤またはさまざまな性質の化学剤などの物質に対する耐性が、低温から高温までの、広範囲の作業温度にわたって保証されていなければならない封止用部品、パイプ、オイルシールおよびOリングなどの技術的物品の製造に一般に使用される、優れた耐熱性および耐化学薬品性特性を持った材料である。
【0004】
これらの全要件の遵守を保証するために、(パー)フルオロエラストマーは、分岐の、鎖末端の、性質、鎖中の分布および硬化部位のタイプの制御を含めて、非常に複雑な分子構造に恵まれていることが認められており:これらの構造要件は、いくつかの改質剤/補助剤の存在下で、制御された水性媒体中で、制御された圧力条件下で、かつ、とりわけ全所要原料の制御された計量供給で、所要モノマーを重合させることをとりわけ必要とする、複雑な重合処方および手順に従って達成される。
【0005】
それ故に、そのような制御された重合反応を保証するために設計されている反応容器は、多数の試薬入口、多数の流量制御装置を備えた圧力容器であり、ここで、部品のそれぞれは、重合中に形成される可能性があるHF/フッ化物による腐食に耐え得るようなものである。著しい設備投資額がそれ故に、プラントレイアウト、より具体的には、(パー)フルオロエラストマーの製造を可能にする反応器システムを提供するために必要とされる。
【0006】
本発明はそれ故に、複雑な微細構造の(パー)フルオロエラストマーを提供し、所与の処理量で設備の費用を最小限にする方法を提供するという問題に取り組むものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明はしたがって、(パー)フルオロエラストマー[フルオロエラストマー(A)]の製造方法であって、以下の工程:
工程(a):プレポリマーラテックス[ラテックス(P)]を得るために、以下の原料:
(i)少なくとも1つのフルオロモノマー[モノマー(F)]を含むモノマー混合物[混合物M(1)]
(ii)少なくとも1つのヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤、
(iii)少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する少なくとも1つの分岐剤;および
(iv)少なくとも1つのラジカル開始剤
を供給することを含む第1反応器への供給によって界面活性剤の存在下での水性エマルジョンで重合させる工程と;
工程(b):前記ラテックス(P)を前記第1反応器から回収し、それを貯蔵タンクに貯蔵する工程と;
工程(c):前記ラテックス(P)を前記貯蔵タンクから第2反応器に供給する工程と:
工程(d):最終ラテックス[ラテックス(F)]を得るために、ラジカル開始剤の存在下で少なくとも1つのモノマー(F)を含む少なくとも第2モノマー混合物[混合物M(2)]を前記第2反応器中で重合させる工程と;
工程(e):フルオロエラストマー(A)を前記ラテックス(F)から回収する工程と
を含む方法に関する。
【0008】
本出願人は、適切な条件で無期限に貯蔵でき、そして簡単な圧力容器での第2重合工程においてターゲット分子量/転化率を達成するまで重合を再スタートすることによってさらに成長させることができる、プレポリマーラテックスにすべての改質剤(連鎖移動剤、分岐剤…)を導入することにより、プレポリマーの製造用にのみ複雑な反応容器を必要とする、この多段階プロセスにおいて複雑な分子構造を得ることができ、このようにして、複雑な反応器中で全て製造されたフルオロエラストマーの、実質的に同じ微細構造、そしてより重要なことには、実質的に同じ性能/特性を有する材料を得ることを見いだした。所与の処理量について、この解決策は、設備費用を下げるために著しく有益である。
【0009】
本発明の目的のためには、「(パー)フルオロエラストマー」[フルオロエラストマー(A)]という用語は、真のエラストマーを得るための基本構成成分として役立つフルオロポリマー樹脂を指定することを意図され、前記フルオロポリマー樹脂は、10重量%超、好ましくは30重量%超の、少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(本明細書では以下、(過)フッ素化モノマー)に由来する繰り返し単位と、任意選択的に、フッ素原子を含まない少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(本明細書では以下、含水素モノマー)に由来する繰り返し単位とを含んでいる。
【0010】
真のエラストマーは、それらの固有の長さの2倍まで、室温で、引き伸ばすことができ、そして5分間張力下にそれらを保持した後にそれらが解放されてしまうとすぐに、同時にそれらの最初の長さの10%以内に戻る材料とASTM,Special Technical Bulletin,No.184標準によって定義されている。
【0011】
工程(a)は、少なくとも1つのフルオロモノマーを含む、第1モノマー混合物(M1)を供給することによって重合させることを含む。2つ以上のフルオロモノマーを含むモノマー混合物が一般に、本発明の方法において用いられる。
【0012】
「フルオロモノマー」またはモノマー(F)という表現は、その通常の意味に従って、すなわち、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーを指定するために本明細書では用いられる。
【0013】
モノマー(F)は一般に、
- テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)などの、C~Cパーフルオロオレフィン;
- フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ペンタフルオロプロピレン、およびヘキサフルオロイソブチレンなどの、C~C水素含有フルオロオレフィン;
- 式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、C~C(パー)フルオロアルキルまたは1つもしくは複数のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従う(パー)フルオロアルキルエチレン;
- クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のような、クロロ-および/またはブロモ-および/またはヨード-C~Cフルオロオレフィン;
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフロオロ-もしくはパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CH=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフロオロ-もしくはパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-Cである)に従うヒドロフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、C~C12オキシアルキル、またはパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C~Cフルオロ-もしくはパーフルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、またはC-O-CFのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロアルキル-メトキシ-ビニルエーテル;
- 式CF=CFOY(式中、Yは、C~C12アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル、またはC~C12オキシアルキルもしくはC~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、前記Y基は、カルボン酸基またはスルホン酸基を、その酸、酸ハライドまたは塩の形態で含む)に従う官能性フルオロ-アルキルビニルエーテル;
- 式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは独立して、フッ素原子、任意選択的に1個または複数個の酸素原子を含む、C~Cフロオロ-もしくはパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである]
の、フルオロジオキソール
からなる群から選択される。
【0014】
混合物(M1)は、モノマー(F)とは異なる少なくとも1つの追加のモノマー、すなわち、フッ素を含まないモノマー、さもなければ含水素モノマーと一般に言われるモノマーを含んでもよい。含水素モノマーの例は、とりわけC~C非フッ素化オレフィン(Ol)、特に、典型的に使用されている、上で詳述されたような、アルファ-オレフィンと共に;エチレン、プロピレン、1-ブテン;ジエンモノマー;スチレンモノマーなどの、C~C非フッ素化アルファ-オレフィン(Ol)である。
【0015】
フルオロエラストマー(A)の製造のためには、混合物(M1)は一般に、上で詳述されたような、少なくとも2つのモノマー(F)の組み合わせを含む。
【0016】
特にフルオロエラストマーを製造するために、本発明の方法において混合物(M1)として使用することができるモノマー(F)の特定の組み合わせは、好ましくは:
(1)VDFが、VDFとは異なり、そして
(a)テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの、C~Cパーフルオロオレフィン;
(b)フッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、式CH=CH-R(式中、Rは、C~Cパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレンなどの、水素含有C~Cフルオロオレフィン;
(c)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などのC~Cクロロおよび/またはブロモおよび/またはヨード-フルオロオレフィン;
(d)式CF=CFOR[式中、Rは、C~C(パー)フルオロアルキル基、例えば、CF、C、Cである]の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)式CF=CFOX[式中、Xは、カテナリー酸素原子を含むC~C12((パー)フルオロ)-オキシアルキル、例えば、パーフルオロ-2-プロポキシプロピル基である]の(パー)フルオロ-オキシ-アルキルビニルエーテル;
(f)式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6は独立して、フッ素原子、および、とりわけ-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどの、任意選択的に1個以上の酸素原子を含む、C~C(パー)フルオロアルキル基の中から選択される]
を有する(パー)フルオロジオキソール;好ましくは、パーフルオロジオキソール;
(g)式:
CFX=CXOCFOR’’
[式中、R’’は、線状もしくは分岐の、C~C(パー)フルオロアルキル;C~C環状(パー)フルオロアルキル;および1~3個のカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐の、C~C(パー)フルオロオキシアルキルの中から選択され、X=F、Hであり;好ましくは、XはFであり、R’’は、-CFCF(MOVE1);-CFCFOCF(MOVE2);またはCF(MOVE3)である]
を有する(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(本明細書では以下、MOVE);
(h)C~C非フッ素化オレフィン(OI)、例えば、エチレンおよびプロピレン;
(i)ニトリル(-CN)基を含む、場合により(過)フッ素化されたエチレン性不飽和化合物
からなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと混合されている、フッ化ビニリデン(VDF)含有モノマー混合物;ならびに
(2)TFEが、TFEとは異なり、そして上に詳述されたような、クラス(a)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(i)のモノマーからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと混合されている、テトラフルオロエチレン(TFE)含有モノマー混合物
である。
【0017】
以下の混合物(M1)(モル%単位):
(i)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)10~45%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~30%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~15%;
(ii)フッ化ビニリデン(VDF)50~80%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)5~50%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~20%;
(iii)フッ化ビニリデン(VDF)20~30%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~30%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)および/またはパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)18~27%、テトラフルオロエチレン(TFE)10~30%;
(iv)テトラフルオロエチレン(TFE)50~80%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~50%;
(v)テトラフルオロエチレン(TFE)45~65%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)20~55%、フッ化ビニリデン0~30%;
(vi)テトラフルオロエチレン(TFE)32~60モル%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~40%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~40%、フルオロビニルエーテル(MOVE)0~30%;
(vii)テトラフルオロエチレン(TFE)33~75%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)15~45%、フッ化ビニリデン(VDF)5~30%、ヘキサフルオロプロペンHFP0~30%;
(viii)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、フルオロビニルエーテル(MOVE)5~40%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~30%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~40%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)0~30%;
(ix)テトラフルオロエチレン(TFE)20~70%、フルオロビニルエーテル(MOVE)30~80%、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~50%
を有利に使用することができる。
【0018】
工程(a)において、モノマー混合物(M1)は一般に、一定圧力を反応器中に維持するために、前記混合物(M1)のターゲット転化/重合量に達するまで重合の間ずっと連続的に、すなわち一定のやり方で供給される。
【0019】
言われた通り、工程(a)は、界面活性剤の存在下での水性エマルジョンで混合物(M1)を重合させることを含む。
【0020】
本発明の方法に使用される界面活性剤は一般に、フッ素化界面活性剤である。より具体的には、式:
f§(X(M
[式中、Rf§は、場合により線状、分岐の環状であり得る、C~C30(パー)フルオロアルキル鎖、場合により線状、分岐の環状であり得る、C~C30(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、Xは、-COO、-PO または-SO であり、Mは、H、NH 、アルカリ金属イオンから選択され、jは、1または2であり得る]
のフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)]を使用することができる。
【0021】
界面活性剤(FS)の非限定的な例として、パーフルオロカルボン酸アンモニウムおよび/もしくはナトリウム、ならびに/または1個もしくは複数個のカルボン酸末端基を有する(パー)フルオロポリオキシアルキレンが挙げられてもよい。
【0022】
フッ素化界面活性剤の他の例は、米国特許出願公開第2007015864号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)2007年1月8日、米国特許出願公開第2007015865号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日、米国特許出願公開第2007015866号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日、米国特許出願公開第2007025902号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年2月1日に記載されている(パー)フルオロオキシアルキレン界面活性剤である。
【0023】
より好ましくは、界面活性剤(FS)は、
- CF(CFn1COOM’(式中、nは、4~10、好ましくは5~7の範囲の整数であり、より好ましくは6に等しく;M’は、H、NH、Na、LiまたはK、好ましくはNHを表す);
- T(CO)n0(CFXO)m0CFCOOM’’[式(FS)](式中、Tは、Cl、またはkが1~3の整数であり、任意選択的に1個のF原子がCl原子で置換されている式C2k+1Oのパーフルオロアルコキシド基を表し;nは、1~6の範囲の整数であり;mは、0~6の範囲の整数であり;M’’は、H、NH、Na、LiまたはKを表し;Xは、FまたはCFを表す);
- F-(CF-CFn2-CH-CH-ROM’’’(式中、Rは、PまたはS、好ましくはSであり、M’’’は、H、NH、Na、LiまたはK、好ましくはHを表し;nは、2~5の範囲の整数であり、好ましくはn=3である);
- A-R-B二官能性フッ素化界面活性剤(式中、互いに等しいかもしくは異なる、AおよびBは、-(O)CFX-COOM*であり;M*は、H、NH、Na、LiまたはKを表し、好ましくはM*はNHを表し;X=FまたはCFであり;pは、0または1に等しい整数であり;Rは、A-R-Bの数平均分子量が範囲300~3,000、好ましくは500~2,000にあるような線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖、または(パー)フルオロポリエーテル鎖である);
- R’-O-(CF-O-L-COOM’(式中、R’は、任意選択的にカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、M’は、H、NH、Na、LiまたはKであり、好ましくは、M’はNHを表し;rは、1~3であり;Lは、二価のフッ素化架橋基、好ましくは-CFCF-または-CFX-であり、X=FまたはCFである);
- R’’-(OCF-O-(CF-COOM’’(式中、R’’は、任意選択的にカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、M’’は、H、NH、Na、LiまたはKであり、好ましくは、M’’はNHを表し;uおよびvは、1~3の整数である);
- R’’’-(O)-CHQ-L-COOM’’’(式中、R’’’は、任意選択的にカテナリー酸素原子を含む、線状もしくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、Q=FまたはCFであり、tは、0または1であり、M’’’は、H、NH、Na、LiまたはKであり、好ましくは、M’’’はNHであり;Lは、二価のフッ素化架橋基、好ましくは-CFCF-または-CFX-であり、X=FまたはCFである);
- 次式(I):
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、X、X、Xは独立して、H、F、および任意選択的に1個もしくは複数個のカテナリーまたは非カテナリー酸素原子を含む、C1~6(パー)フルオロアルキル基の中から選択され;Lは、結合または二価基、特に二価のフッ素化脂肪族基を表し;Rは、二価のフッ素化C1~3架橋基であり;Yは、式:
(式中、Xは、H、一価の金属(好ましくはアルカリ金属)または式-N(R’のアンモニウム基であり、ここで、出現ごとに等しいかもしくは異なる、R’は、水素原子またはC1~6炭化水素基(好ましくはアルキル基)を表す)
のものからなる群から選択される親水性官能基である]
の環状フルオロ化合物(これらの環状フルオロ化合物は、その内容が参照により本明細書によって援用される、国際公開第2010/003929号パンフレットにとりわけ記載されている);ならびに
- それらの混合物
からなる群から選択される。
【0024】
本発明の方法のある種の特に好ましい実施形態においては、工程(a)の水性エマルジョンはさらに有利には、追加の非官能性フッ素化流体(すなわち、非反応性フルオロ含有流体)を含む。
【0025】
この技術は、ある種の特定の非官能性フッ素化流体[流体(F)]の添加が、好ましくは50nm未満の、より好ましくは40nm未満の、さらにより好ましくは30nm未満の平均サイズを有する前記流体の分散小滴を含むエマルジョンを提供することができるので特に有利である。前記ナノメートルサイズの小滴は、それがより高い重合速度およびラテックス(P)中のプレポリマーの小さい粒子を確実にするという点において特に有利である。
【0026】
この実施形態に従って使用することができる前記非官能性フッ素化流体は好ましくは、繰り返し単位(R1)を含む(パー)フルオロポリエーテルであり、前記繰り返し単位は、主鎖中の少なくとも1つのエーテル結合と少なくとも1個のフッ素原子とを含み(フルオロポリオキシアルキレン鎖)、フルオロ(ハロ)アルキル末端基を有する。
【0027】
好ましくは、(パー)フルオロポリエーテルの繰り返し単位R1は、
(I)-CFX-O-(式中、Xは、-Fまたは-CFである);および
(II)-CF-CFX-O-(式中、Xは、-Fまたは-CFである);および
(III)-CF-CF-CF-O-;および
(IV)-CF-CF-CF-CF-O-;および
(V)-(CF-CFZ-O-[式中、jは、0および1から選択される整数であり、Zは、本明細書で上のクラス(I)~(IV)の中から選択される1~10の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である];ならびにそれらの混合物
からなる群から選択される。
【0028】
(パー)フルオロポリエーテルが、異なるタイプの繰り返し単位R1を含む場合、有利には前記繰り返し単位は、フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿ってランダムに分布している。
【0029】
好ましくは(パー)フルオロポリエーテルは、ここで以下の式(I-p):
T’-(CFX)-O-R-(CFX)p’-T’(I-p)
[式中、
- Xのそれぞれは独立して、FまたはCFであり;
- 互いに等しいかもしくは異なる、pおよびp’は、0~3の整数であり;
- Rは、繰り返し単位R°を含むフルオロポリオキシアルキレン鎖であり、前記繰り返し単位は、
(i)-CFXO-(式中、Xは、FまたはCFである)、
(ii)-CFCFXO-(式中、Xは、FまたはCFである)、
(iii)-CFCFCFO-、
(iv)-CFCFCFCFO-、
(v)-(CF-CFZ-O-[式中、jは、0および1から選択される整数であり、Zは、一般式-OR’T(ここで、R’は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である)の基であり、前記繰り返し単位は、下記:Xのそれぞれのそれぞれが独立してFまたは-CFである、-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-の中から選択され;Tは、C~Cパーフルオロアルキル基である]、およびそれらの混合物の中から選択され;
- 互いに同じかもしくは異なるものである、T’およびT’は、H、ハロゲン原子、任意選択的に1個もしくは複数個のHまたはフッ素とは異なるハロゲン原子を含む、C~Cフルオロアルキル基である]
に従う化合物である。
【0030】
特に好ましい実施形態は、工程(a)の水性エマルジョンが、上に詳述されたような、少なくとも1つの界面活性剤(FS)と、上に詳述されたような、少なくとも1つの流体(F)とを含むものである。より具体的には、向上した反応速度をおよびナノメートルサイズの粒子を含むラテックス(P)を提供するそれらの能力のために好ましい実施形態は、工程(a)の水性エマルジョンが、
- 上に詳述されたような、式(FS):
T(CO)n0(CFXO)m0CFCOOM’’の少なくとも1つの界面活性剤(FS)と;
- 上に詳述されたような式(I-p)T-(CFX)-O-R-(CFX)p’-T(I-p)の少なくとも1つの流体(F)と
を含むものである。
【0031】
上に述べられたように、ラテックス(P)を提供するための第1重合工程(工程(a))はとりわけ、上に詳述されたように、連鎖移動剤を少なくとも供給することを含む。
【0032】
典型的には、ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤は、式R(I)(Br)[式中、Rは、1~8個の炭素原子を含有する(パー)フルオロアルキルまたは(パー)フルオロクロロアルキルであり、そして一方、xおよびyは、1≦x+y≦2で、0~2の整数である]のものである(例えば、米国特許第4,243,770号明細書(ダイキン工業株式会社)1981年1月6日および米国特許第4,943,622号明細書(日本メクトロン株式会社)1990年7月24日を参照されたい)。
【0033】
特に有効なクラスの移動剤は、1~8個の炭素原子を有するアルファ,オメガ-ジヨードフルオロアルカン、より具体的には、式I-R’’-I(式中、R’’は、二価のパーフルオロアルキレン基であり、または1~8個の炭素原子を含有する)の化合物で表される。
【0034】
工程(a)中に供給されるヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤の量は、プレポリマーの分子量ターゲットならびにそれらの中に含まれるヨウ素化および/または臭素化硬化部位の量を調整するために調節される。一般に、前記量は、有利には工程(a)において製造されるプレポリマーの100重量部当たり少なくとも1.0重量部のものであるおよび/または有利には工程(a)において製造されるプレポリマーの100重量部当たり最大でも4.0重量部のものである。
【0035】
工程(a)はさらにとりわけ、少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する少なくとも1つの分岐剤を供給することを含む。
【0036】
一般に、分岐剤は、重合中に徐々に供給され;それは、連続的にまたは段階的に、すなわち、モノマー混合物(M1)の転化の各所定の進行時点で所定量の添加によって供給されてもよい。
【0037】
この分岐剤は一般に、一般式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、R、R、R、R、RおよびRは、HまたはC~Cアルキルであり;Zは、任意選択的に酸素原子を含有する、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、線状もしくは分岐のC~C18アルキレンもしくはシクロアルキレンラジカル、または欧州特許出願公開第661304A号明細書(AUSIMONT SPA)1995年5月7日に記載されているような、(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルである]
を有するビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]である。
【0038】
ビス-オレフィン(OF)は好ましくは、式(OF-1)、(OF-2)および(OF-3):
[式中、jは、2~10、好ましくは4~8の整数であり、互いに等しいかもしくは異なる、R1、R2、R3、R4は、H、FまたはC1~5アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル基である];
[式中、互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、Aのそれぞれは独立して、F、Cl、およびHから選択され;互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、Bのそれぞれは独立して、F、Cl、HおよびOR(ここで、Rは、部分的に、実質的にまたは完全にフッ化または塩素化されていることができる分岐もしくは直鎖のアルキルラジカルである)から選択され;Eは、エーテル結合が挿入されていてもよい、任意選択的にフッ素化された、2~10個の炭素原子を有する二価の基であり;好ましくは、Eは、mが3~5の整数である、-(CF-基であり;(OF-2)タイプの好ましいビス-オレフィンは、FC=CF-O-(CF-O-CF=CFである];
[式中、E、AおよびBは、上に定義されたものと同じ意味を有し;互いに等しいかもしくは異なる、R5、R6、R7は、H、FまたはC1~5アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル基である]
に従うものからなる群から選択される。
【0039】
特に好ましいビス-オレフィン(OF)は、上に詳述されたような、ビス-オレフィン(OF-1)であり、式中、R1、R2、R3、R4のすべてはHであり、そして式中、jは、2~8の整数である。
【0040】
工程(a)において供給される、少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する分岐剤の量は一般に、工程(a)において得られるプレポリマーの総重量に対して、最大でも1重量%、好ましくは最大でも0.5重量%、より好ましくは最大でも0.3重量%のものである。下限は、特に決定的に重要であるわけではなく、一般に、プレポリマーの1分子当たり2つ超のヨウ素化および/または臭素化末端鎖を提供するのに十分な分岐構造を確実にするために調節される。
【0041】
工程(a)はさらに、少なくとも1つのラジカル開始剤を供給することを含む。ラジカル開始剤としては、フッ素化モノマーのフリーラジカル重合を開始することで知られる開始剤のいずれかが挙げられる。好適な開始剤としては、過酸化物およびアゾ化合物ならびに酸化還元をベースにする開始剤が挙げられる。過酸化物開始剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウムまたは過酸化バリウム、ジアセチルペルオキシド、ジスクシニルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジブチリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルアセチルペルオキシド、ジグルタル酸ペルオキシドおよびジラウリルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド、ならびにさらに過酸および例えば、アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム塩などのそれらの塩が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様にうまく使用することができ、その例としては、tert.-ブチルペルオキシアセテートおよびtert.-ブチルペルオキシピバレートが挙げられる。無機剤の例としては、例えば、過硫酸、過マンガン酸もしくはマンガン酸のアンモニウム-アルカリ-もしくはアルカリ土類塩またはマンガン酸が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)は、それだけで使用することができるし、または還元剤と組み合わせて使用されてもよい。好適な還元剤としては、例えば、重亜硫酸アンモニウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウムなどの重亜硫酸塩、例えば、チオ硫酸アンモニウム、カリウムまたはナトリウムなどのチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレ-トおよびアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。使用されてもよいさらなる還元剤としては、例えば、米国特許第5,285,002号明細書に開示されているような、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Rongalit)またはフルオロアルキルスルフィネートが挙げられる。還元剤は典型的には、過硫酸塩開始剤の半減期を減らす。さらに、例えば、銅、鉄または銀塩などの金属塩触媒が添加されてもよい。
【0042】
開始剤は、重合の開始時に一回で工程(a)において計量供給することができるか、または連続的にもしくは段階的に添加することができ;開始剤が過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウム)である実施形態は一般に、前記過硫酸塩がその全体を重合の開始時に供給されることを条件とする。
【0043】
水性乳化重合は、10~150℃、好ましくは20℃~110℃、好ましくは50~90℃の温度で実施され得るし、圧力は典型的には、2~30バール、特に15~30バールである。
【0044】
上に述べられたように、工程(a)は、(i)混合物(M1)、(ii)ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤、(iii)を有する分岐剤;および(iv)ラジカル開始剤を供給することを含み;一般に、すべてのこれらの原料は、分離された入口計量供給ポートからそれぞれ第1反応器に供給される。
【0045】
工程(a)は、上に詳述されたような、界面活性剤を含む水性エマルジョン中に分散したそのように重合したプレポリマーの粒子をそれ故に含むプレポリマーラテックス[ラテックス(P)]を提供する。
【0046】
前記そのように重合したプレポリマーは一般に、上に詳述されたような、分岐剤および連鎖移動剤の使用のために、分岐構造を有し、ヨウ素化および/または臭素化鎖末端を含む低分子量フルオロポリマーである。
【0047】
工程(a)から得られるプレポリマーは、有利には少なくとも1000、好ましくは少なくとも5000、より好ましくは少なくとも10000および/または有利には最大でも40000、好ましくは最大でも30000、より好ましくは最大でも20000の数平均分子量を一般に有する。
【0048】
とりわけゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる、数平均分子量(M)は、
である。
【0049】
とりわけGPCで測定することができる他の分子パラメータは、重量平均分子量(M):
および重量平均分子量((M)対数平均分子量(M)の比として本明細書では表現される、多分散性指数(PDI)である。
【0050】
工程(a)から得られるプレポリマーは、有利には少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5のならびに/または有利には最大でも3.5、好ましくは最大でも3.0、より好ましくは最大でも2.8のPDIを一般に有する。
【0051】
工程(a)から得られるプレポリマーは、プレポリマーの重量に対して、有利には少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1.0重量%、より好ましくは少なくとも1.2重量の%および/またはプレポリマーの重量に対して、有利には最大でも3.0重量%、好ましくは最大でも2.5重量%、より好ましくは最大でも2.0重量%のヨウ素および/または臭素含有量を一般に有する。
【0052】
工程(b)において、前記ラテックス(P)は、前記第1反応器から回収され;これは一般に、それを前記第1反応器中で室温に冷却すること、およびそれから残留量のガス状未反応モノマーを放出することを暗示する。好適な耐腐食性を有する任意の貯蔵タンクを使用することができる。貯蔵時間は特に限定されず;ラテックス(P)を含む貯蔵タンクは、同じプラントの異なるセクションから、またはあるプラントから別のプラントへのラテックス(P)の移動を可能にするために異なる場所内で移動させることができる。一般に、少なくとも1時間の、好ましくは少なくとも1日の貯蔵時間が、下に詳述されるような、工程(C)の前に経過する。
【0053】
単数形の「貯蔵タンク」という表現が用いられるが、本発明は、ラテックス(P)が、複数の貯蔵タンクに貯蔵される、または貯蔵時間中に、第1貯蔵タンクから(もしくは複数の第1貯蔵タンクから)第2貯蔵タンク(もしくは複数の第2貯蔵タンク)へ、および/または任意のさらなる貯蔵タンク(もしくは複数の貯蔵タンク)へ移動させられる実施形態を包含する。
【0054】
工程(c)において、前記ラテックス(P)は、前記貯蔵タンクから第2反応器に供給される。
【0055】
このプロセスは、同じタイプの反応器を用いておよび/または第1反応器にフィードバックして実施されてもよいが、第2反応器は一般に第1反応器とは異なる。
【0056】
一般に、それにもかかわらず、第2工程は、第1反応器とは異なる第2反応器中で実施される。特に、第2反応器は、ラテックス(P)の、ラジカル開始剤のおよびモノマー混合物(M2)の導入用の設備を備えているが、分岐剤を計量供給するためのならびに/またはヨウ素化および/もしくは臭素化連鎖移動剤を計量供給するための設備を備えていない。
【0057】
工程(d)において、少なくとも1つのモノマー(F)を含む第2モノマー混合物[混合物(M2)]が、フルオロエラストマー(A)がそれから回収される、最終ラテックス[ラテックス(F)]を得るために、ラジカル開始剤の存在下で重合させられる。
【0058】
本出願人は意外にも、重合の中断およびプレポリマーの貯蔵にもかかわらず、連鎖成長を再スタートするために反応を再開できることを見いだした。さらに、第2反応器中でヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤ならびに分岐剤の供給を控えているにもかかわらず、それが、プレポリマーおよび第2重合工程の適切な処方、1工程で製造される、類似のモノマー組成の(パー)フルオロエラストマーの特性および構造にマッチすることが可能であることが実証された。
【0059】
混合物(M2)の特徴は、混合物(M1)について本明細書で上に記載されたものである。混合物(M2)は、上に詳述されたような混合物(M1)に(成分および関連濃度の両方で)等しくてもよいし、またはそれらの成分および/もしくはそれらのそれぞれの量に関して混合物(M1)とは異なってもよい。
【0060】
工程(d)において使用されるラジカル開始剤は、工程(a)において使用されるラジカル開始剤に関して上に記載されたものと同じ特徴を有する。概して同じ開始剤を両工程に使用することができ、これは必須ではない。
【0061】
工程(a)のとおり同様に、工程(d)の水性乳化重合は、10~150℃、好ましくは20℃~110℃、好ましくは50~90℃の温度で実施されてもよく、圧力は典型的には2~30バール、特に15~30バールである。
【0062】
工程(a)におけると同様に、モノマー混合物(M2)は、一定圧力を維持するように工程(d)において連続的に供給することができる。
【0063】
典型的には、工程(d)において、分岐剤はまったく添加されない。
【0064】
同様に、工程(d)においてヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤がまったく添加されない実施形態が好ましい。
【0065】
その上、より好ましくは、分岐剤も、ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤も工程(d)においてまったく添加されない。
【0066】
工程(d)において転化される混合物(M2)の量は特に限定されず;一般に、工程(d)において転化される混合物(M2)の量(または言い換えれば、ラテックス(F)中のフルオロエラストマー(A)の連鎖成長/重量増加)と、ラテックス(P)として第2反応器に供給されるプレポリマーの量との間の重量比は一般に、プレポリマーの重量部当たり有利には少なくとも2、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも5重量部の転化混合物(M2)、および/またはプレポリマーの重量部当たり有利には最大でも20、好ましくは最大でも15の転化混合物(M2)のものである。
【0067】
言い換えれば、工程(a)において製造されるフルオロエラストマー(A)の重量分率(または言い換えると、プレポリマーの重量分率)は一般に、フルオロエラストマー(A)の総重量に対して、33重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは18重量%未満である。
【0068】
多数の供給ポートを含む複雑な反応器における制御重合技術によって製造されるプレポリマーと、フルオロエラストマー(A)の全重量との間の重量比をこのようにして調節することによって、製造される材料のほとんどが、簡略化された、そしてより安価なレイアウトの、簡単な反応器タンクにおいて得られるので、設備投資額を最小限にしながら、デュアル反応器製造系統の高い処理量を達成することが有利にも可能である。
【0069】
工程(e)において、フルオロエラストマー(A)は、標準技術を用いてラテックス(F)から回収することができる。用いることができる凝固技術としては、電解質の添加による凝固、凍結融解凝固、および高せん断下の凝固が挙げられる。一般に、フルオロエラストマーは、濾過、デカンテーション、遠心分離、および他の伝統的な固/液分離技術のいずれかによって水相から分離される。
【0070】
一般に、回収はさらに、残留水分の除去のためのフルオロエラストマー(A)の乾燥を含む。
【0071】
フルオロエラストマー(A)は、工程(A)から得られるプレポリマーよりも高い分子量を有する。
【0072】
より具体的には、フルオロエラストマー(A)は、有利には少なくとも40000、好ましくは少なくとも50000、より好ましくは少なくとも60000、さらにより好ましくは少なくとも80000の;ならびに/または有利には最大でも150000、好ましくは最大でも130000、より好ましくは最大でも120000の数平均分子量を有する。
【0073】
この連鎖成長は、少なくとも1.5~最大でも9.0の範囲であろう、PDIの広がりに関係し得るかまたは関係し得ず;それにもかかわらず、連鎖成長は、PDIが、有利には最大でも3.5、好ましくは最大でも3.0、より好ましくは最大でも2.8の値に維持されているフルオロエラストマー(A)を提供することを好適にも確実にすることができる。
【0074】
工程(d)における連鎖成長は一般に、ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤の添加なしに行われるので、フルオロエラストマー(A)のヨウ素および/または臭素含有量はその結果として、プレポリマーのヨウ素および/または臭素含有量に対して低下する。
【0075】
一般に、それ故に、ヨウ素および/または臭素含有量は、工程(d)において達成される連鎖成長/重量増加に一致して低下する。言い換えれば、ヨウ素および/または臭素含有量は、工程(a)から得られるプレポリマーの重量分のフルオロエラストマー(A)の重量に等しい倍率で低下する。
【0076】
工程(d)において得られるフルオロエラストマー(A)は一般に、フルオロエラストマー(A)の重量に対して、有利には少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.15重量%のならびに/またはフルオロエラストマー(A)の重量に対して、有利には最大でも1.5重量%、好ましくは最大でも1.2重量%、より好ましくは最大でも1.0重量%のヨウ素および/または臭素含有量を有する。
【0077】
同様に、工程(d)における連鎖成長は一般に分岐剤の添加なしに行われるので、フルオロエラストマー(A)中の分岐剤含有量は、その結果としてプレポリマーの分岐剤含有量に対して低下する。
【0078】
一般に、それ故に、分岐剤含有量は、工程(d)において達成される連鎖成長/重量増加に一致して低下する。言い換えれば、分岐剤含有量は、工程(a)から得られるプレポリマーの重量分のフルオロエラストマー(A)の重量に等しい倍率で低下する。
【0079】
そのように得られるフルオロエラストマー(A)は、伝統的な硬化および成形技術を用いて最終部品へ造形し、架橋することができる。
【0080】
一般に、フルオロエラストマー(A)は、過酸化物硬化に好適である、すなわち、過酸化物およびポリ不飽和架橋剤(例えば、トリアリルイソシアヌレート)の存在下で架橋するのに好適である。
【0081】
参照により本明細書に援用される特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が、用語を不明瞭にさせ得る程度まで本記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0082】
本発明はこれから、以下の実施例に関連してより詳細に説明されるが、その目的は、例示的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0083】
実施例1
実施例1a-プレポリマーラテックスの調製
545rpmで動作する機械撹拌機を備えた10リットルの反応器に、5.4リットルの脱塩水、および式:CFClO(CF-CF(CF)O)(CFO)CFCOOH(式中、n/m=10であり、600の平均分子量を有する)の酸性末端基を有する38.5mlのパーフルオロポリオキシアルキレンと、24.6mlの30%v/vNH4OH水溶液と、87.7mlの脱塩水と、n/m=20の、450の平均分子量を有する式:CFO(CFCF(CF)O)(CFO)CFの24.2mlのGALDEN(登録商標)D02パーフルオロポリエーテルとを混合することによって予め得られた、175mlのマイクロエマルションを導入した。
【0084】
反応器を加熱し、80℃の設定点温度に維持し;フッ化ビニリデン(VDF)(78.5モル%)とヘキサフルオロプロペン(HFP)(21.5モル%)との混合物を次に添加して25バールの最終圧力に達した。次に、連鎖移動剤としての102gの1,4-ジヨードパーフルオロブタン(C)を導入し、開始剤としての2.0gの過硫酸アンモニウム(APS)を導入した。圧力を、合計3150gまでフッ化ビニリデン(VDF)(78.5モル%)とヘキサフルオロプロペン(HFP)(21.5モル%)とのガス混合物の連続供給によって25バールの設定点に維持した。同時に、6.8gのCH=CH-(CF-CH=CHを、重合の開始時におよびターゲット転化率の5%増加毎に20回の同一の段階的添加によって、モノマーの消費に従って制御されたやり方で反応器に供給した。次に、反応器を冷却し、ガス抜きし、ラテックスを回収し、1日超の継続期間タンクに貯蔵した。このプレポリマーの検体を、分析/機械測定のために採取した。
【0085】
実施例1b-最終フルオロエラストマーの調製
60rpmで動作する磁気撹拌機を備えた21リットルの反応器に、12.9リットルの脱塩水、および約36%の固形分を有する、実施例1において製造された1776gのラテックスを導入した。
【0086】
反応器を加熱し、80℃の設定点温度に維持し;フッ化ビニリデン(VDF)(78.5モル%)とヘキサフルオロプロペン(HFP)(21.5モル%)との混合物を次に添加して25バールの最終圧力に達した。開始剤としての2.6gの過硫酸アンモニウム(APS)を次に導入した。圧力を、合計4170gまでVDF(78.5モル%)とHFP(21.5モル%)とのガス混合物の連続供給によって25バールの設定点に維持した。次に、反応器を冷却し、ガス抜きし、ラテックスを回収した。ラテックスを硫酸アルミニウムの添加によって凝固させ;凝固したフルオロエラストマーを水相から分離し、脱塩水で洗浄し、対流式オーブン中90℃で16時間乾燥させた。
【0087】
生ポリマーの特性評価データを、表1および2に報告する。
【0088】
比較例2
545rpmで動作する機械撹拌機を備えた10リットルの反応器に、5.4リットルの脱塩水、および式:CFClO(CF-CF(CF)O)(CFO)CFCOOH(式中、n/m=10であり、600の平均分子量を有する)の酸性末端基を有する8.8mlのパーフルオロポリオキシアルキレンと、5.6mlの30%v/vNH4OH水溶液と、20.0mlの脱塩水と、n/m=20の、450の平均分子量を有する式:CFO(CFCF(CF)O)(CFO)CFの5.5mlのGALDEN(登録商標)D02パーフルオロポリエーテルとを混合することによって予め得られた、40mlのマイクロエマルションを導入した。
【0089】
反応器を加熱し、80℃の設定点温度に維持し;フッ化ビニリデン(VDF)(78.5モル%)とヘキサフルオロプロペン(HFP)(21.5モル%)との混合物を次に添加して25バールの最終圧力に達した。次に、連鎖移動剤としての13.5gの1,4-ジヨードパーフルオロブタンC)を導入し、開始剤としての2.0gの過硫酸アンモニウム(APS)を導入した。圧力を、合計3150gまでフッ化ビニリデン(VDF)(78.5モル%)とヘキサフルオロプロペン(HFP)(21.5モル%)とのガス混合物の連続供給によって25バールの設定点に維持した。さらに、重合の開始時に、および次に転化率の5%増加毎に、20回の同等部分で供給される、1.2gのCH=CH-(CF-CH=CHを導入した。次に、反応器を冷却し、ガス抜きし、ラテックスを回収した。ラテックスを硫酸アルミニウムで処理し、水相から分離し、脱塩水で洗浄し、対流式オーブン中90℃で16時間乾燥させた。生ポリマーの特性評価データを、表1および2に報告する。
【0090】
GPC測定
フルオロエラストマーを、下の表1に詳述されるような計装および条件を用いるGPCによって特性評価し、関連パラメータを、関連標準についてのおよびフルオロエラストマーについてのポリマー/溶媒Mark-Houwinkパラメータを考慮に入れて、ポリスチレン標準に基づいて求めた。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
硬化したサンプルに関する機械的特性および封止特性の測定
実施例1のフルオロエラストマー(実施例1bからの最終フルオロエラストマー)および比較例2の比較フルオロエラストマーを、Brabender(ブラベンダー)ミキサーを用いて表にリストアップされるような架橋原料とプレ配合した:
【0095】
【0096】
硬化挙動は、以下の特性:
ML=最小トルク(lb*in(ポンド*インチ))
MH=最大トルク(lb*in)
ΔM=M-M
t’90=90%の硬化状態までの時間(秒)
を測定することにより、12分間170℃の温度で、ASTM D-6601に従って測定した
【0097】
生ゴムのMooney(ムーニー)粘度(MU)は、121℃でのML(1+10)としてASTM D1646-07に従って測定した。
【0098】
プラークおよびOリング(サイズクラス=214)を、170℃で、10分間プレス金型中で硬化させ、次に空気循環オーブン中で後処理した(230℃で(1+4)h)。
【0099】
引張特性は、DIN 53504規格に従って、プラークから打ち抜いた検体に関して測定した。
100は、100%の伸びにおけるMPa単位での弾性率であり、
T.S.は、MPa単位での引張強度であり、
E.B.は、%単位での破断点伸びである。
Shore(ショア)A硬度(3”)(HDS)は、ASTM D 2240方法に従って積み重ねられた3片のプラークに関して測定した。
【0100】
【0101】