(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】アルキルアミンを用いたA/M/X材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 51/44 20060101AFI20220203BHJP
H01L 51/48 20060101ALI20220203BHJP
C07C 211/04 20060101ALI20220203BHJP
C07C 211/06 20060101ALI20220203BHJP
C07C 211/07 20060101ALI20220203BHJP
C07C 255/03 20060101ALI20220203BHJP
C07F 7/24 20060101ALI20220203BHJP
C01G 19/04 20060101ALN20220203BHJP
C01G 21/16 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
H01L31/04 112Z
H01L31/04 182A
C07C211/04
C07C211/06
C07C211/07
C07C255/03
C07F7/24
C01G19/04
C01G21/16
(21)【出願番号】P 2018546829
(86)(22)【出願日】2017-03-08
(86)【国際出願番号】 GB2017050623
(87)【国際公開番号】W WO2017153752
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-05
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516245900
【氏名又は名称】オックスフォード ユニバーシティ イノベーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD UNIVERSITY INNOVATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スナイス,ヘンリー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ナヤク,パビトラ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンジャー,バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ノエル,ニキータ
(72)【発明者】
【氏名】ハビスレウティンガー,セベリン
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,デビッド
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056903(JP,A)
【文献】米国特許第05871579(US,A)
【文献】特表2015-535390(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105647530(CN,A)
【文献】AKKERMAN, Quinten A. et al.,Solution Synthesis Approach to Colloidal Cesium Lead Halide Perovskite Nanoplatelets with Monolayer-Level Thickness Control,Journal of the American Chemical Society,2016年01月02日,Vol. 138, No. 3,pp. 1010-1016,DOI: 10.1021/jacs.5b12124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42-51/48
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性A/M/X材料の層を製造する方法であって、
結晶性A/M/X材料が、式[A]
a[M]
b[X]
cの
ペロブスカイト化合物又はヘキサハロメタラート化合物を含み、
[M]が、1種以上の第一のカチオンを含み、1種以上の第一のカチオンが金属カチオン又は半金属カチオンであり、
[A]が、1種以上の第二のカチオンを含み、
[X]が、1種以上のハロゲン化物アニオンを含み、
aが1から6の整数であり、
bが1から6の整数であり、
cが1から18の整数であり、
前記方法が、前駆体組成物を基板上に配置することを含み、
前記前駆体組成物が、
(a)金属カチオン又は半金属カチオンである第一のカチオン(M)を含む第一の前駆体化合物と、
(b)溶媒と、
を含み、
前記溶媒が、
(i)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と、
(ii)アルキルアミンと、
を含む方法。
【請求項2】
前記アルキルアミンが式R
ANH
2の化合物であり、R
AがC
1-8アルキル基であ
る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(前記アルキルアミン):(前記第一の前駆体化合物)のモル比が、1×10
-7:1から0.5:
1である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒がアセトニトリルを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1種以上の第一のカチオンが、Ca
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Yb
2+、Eu
2+、Bi
3+、Sb
3+、Pd
4+、W
4+、Re
4+、Os
4+、Ir
4+、Pt
4+、Sn
4+、Pb
4+、Ge
4+、及びTe
4+から選択され
、
前記1種以上の第二のカチオンが、式Cs
+、(NR
1R
2R
3R
4)
+、(R
1R
2N=CR
3R
4)
+、(R
1R
2N-C(R
5)=NR
3R
4)
+、及び(R
1R
2N-C(NR
5R
6)=NR
3R
4)
+(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれ独立してH、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル基、又は置換もしくは非置換のアリール基である)のカチオンから選択され
る、及び/又は、
前記第一の前駆体化合物が式MX
2の化合物であ
る、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、第二の前駆体化合物を前記基板上に配置することをさらに含み、第二の前駆体化合物が、第二のカチオン(A)及び第一のアニオン(X)を含
む、及び/又は
前記前駆体組成物がさらに、(c)第二のカチオン(A)及び第一のアニオン(X)を含む第二の前駆体化合物を含
む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(第一の前駆体化合物):(第二の前駆体化合物)のモル比が、1:2から2:1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
[A]が、式(R
ANH
3)
+のカチオンである第二のカチオンを含み、前記アルキルアミンが式R
ANH
2の化合物であり、各R
Aは同じ基であって、C
1-8アルキル基であ
る、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶性A/M/X材料が式[A][M][X]
3のペロブスカイト化合物を含み、[A]が前記1種以上の第二のカチオンを含み、[M]が前記1種以上の第一のカチオンを含み、[X]が前記1種以上のハロゲン化物アニオンを含
む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒を除去して前記ペロブスカイト化合物を含む前記層を形成することをさらに含む、及び/又は
前記前駆体組成物が配置された前記基板を加熱することをさらに含
む、及び/又は
前記前駆体組成物を前記基板上に配置することが、前記前駆体組成物を前記基板上にスピンコートすることを含む、及び/又は
前記ペロブスカイト化合物を含む前記層が、5から3000nmの厚み、又は100nm以上の厚みを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(a)PbI
2と、
(b)アセトニトリル及びメチルアミンを含む溶媒と、
(c)(CH
3NH
3)Iと、
を含む前駆体組成物を基板上に配置することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板が、第一の電極材料の層を含
む、及び/又は
前記基板の前記前駆体組成物が配置された表面が、第一の電極材料、n型半導体層、p型半導体層、及び絶縁材料層のうち一つ以上を含む、及び/又は
前記基板の前記前駆体組成物が配置された表面が、ジメチルホルムアミドに溶ける材料の層を含む、及び/又は
前記溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含
む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を含む、半導体デバイスを製造する方法。
【請求項14】
(i)式MX
n(式中、MはCa
2+、Sr
2+、Cd
2+、Cu
2+、Ni
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Pd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Yb
2+、Eu
2+、Bi
3+、Sb
3+、Pd
4+、W
4+、Re
4+、Os
4+、Ir
4+、Pt
4+、Sn
4+、Pb
4+、Ge
4+、又はTe
4+
であり、XはI
-、Br
-、Cl
-、又はF
-であり、nは2、3、又は4である)の化合物と、
(ii)式AX(式中、Aは(R
1NH
3)
+、(NR
2
4)
+、及び(H
2N-C(R
1)=NH
2)
+であり、R
1はH、又は非置換のC
1-6アルキル基であり、R
2はそれぞれ非置換のC
1-6アルキル基であり、XはI
-、Br
-、Cl
-、又はF
-である)の化合物と、
(iii)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と、
(iv)式R
ANH
2(式中、R
AはC
1-8アルキル基である)のアルキルアミンと、
を含む組成物。
【請求項15】
(i)PbI
2、PbBr
2、又はPbCl
2
と、
(ii)(CH
3NH
3)I、(CH
3NH
3)Br、又は(CH
3NH
3)C
lと、
(iii)アセトニトリルと、
(iv)メチルアミンと、
を含
む、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性A/M/X材料の層を製造する方法に関する。また、本発明は、半導体デバイスを製造する方法に関する。本発明の方法において有用な組成物についても記載する。
【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト太陽電池の最初の報告が2009年になされたとき、電力変換効率は3%であった。2012年までに、9.2%及び10.9%を達成するペロブスカイト光起電デバイスが達成された。その後、その他のA/M/X材料に基づくペロブスカイト光起電技術及び光起電デバイスの分野の研究が伸びてきており、このような材料は、エネルギー情勢を完全に変換する見込みを示している。ペロブスカイト型光起電デバイスはその後、21%の公認効率を達成した。
【0003】
高い電力変換効率の明白な魅力は別として、A/M/X材料の最も魅力的な特徴の一つは、比較的単純にこの材料の高品質膜を作ることができることである。ペロブスカイト膜は、ワンステップのスピンコート、蒸着、及びディップコート、並びにこれら三つの方法の様々な組み合わせを含む、様々な方法で作製することができる。しかしながら、ワンステップのスピンコートが依然として最も単純で迅速な方法であるとともに、特定の高価な装置を使用する必要がないという追加の特典がある。溶媒クエンチの形の追加のステップを含むなど、この方法の多くのバリエーションが開発されてきた。
【0004】
ペロブスカイト太陽電池は光起電研究において非常に重要であるが、市場でのこの材料の実現性に関していくつかの関心事が残っている。一つは、材料の安定性と、これらのデバイスのJ-V特性においてよく見られる異常ヒステリシスである。このヒステリシスの原因はほとんど決定的にイオン運動であることが示されており、この影響を軽くするための多くの試みがなされてきた。反転構造(p-i-n)がほとんど無いか無視できる程度のヒステリシスを示すことが示され、一方、通常の(p-i-n)構造においてTiO2をC60もしくはPCBMなどの有機電子アクセプターに置き換えること、又はTiO2層の上にこのような材料の薄膜を含ませることがヒステリシスの削減において極めて成功し、この結果、デバイスの安定化出力が著しく増加した。
【0005】
Zhouら(「Methylamine-Gas-Induced Defect-Healing Behavior of CH3NH3PbI3 Thin Films for Perovskite Solar Cells」、Angew.Chem.Int.Ed.,(2015)54:9705-9709)には、メチルアミンガスをペロブスカイト膜中の欠陥を減らすために用いることが記載されている。しかし、この方法は、追加のプロセスステップを含むメチルアミンガスへの曝露を含み、溶液処理に容易に適合しない。
【0006】
今まで、溶液法で製造されたペロブスカイト膜の全ての報告は、高沸点、極性、非プロトン性溶媒を用いている(例えば、Eperonらの「Morphological Control for High Performance, Solution-Processed Planar Heterojunction Perovskite Solar Cells」、Adv.Funct.Mater.2013を参照)。最もよく用いられる溶媒はジメチルホルムアミド(DMF)であるが、その他の溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン、及びジメチルアセトアミド(DMA)を含む。溶媒の選択は、この場合、有機及び色素増感太陽電池の処理において一般に使われる溶媒のほとんどに難不溶性又は完全に不溶性である傾向がある鉛ハロゲン化物塩によって制限される。これらのような溶媒を用いることの不利な点の一つは、ペロブスカイト又はA/M/X材料膜の結晶化を引き起こすために、膜を相当高い温度(≧100℃)に加熱する必要があるということである。これは、膜をスピンコートの間の所定時間逆溶剤に浸してペロブスカイト材料を即座に結晶化させる溶媒クエンチを用いることでいくらか回避することができる。しかし、これは追加の溶媒クエンチステップを必要とすることにより、プロセスを複雑にし得る。
【0007】
さらなる関心事は、半導体デバイスのその他の成分(例えば、光起電デバイス中の有機電子受容層)の、最も一般的に用いられるペロブスカイト溶媒であるDMFのような高沸点溶媒への溶解性である。C60及びPCBMは両方ともDMFに可溶である。ペロブスカイト層を堆積するときに、このことは二つの問題を引き起こし得る。すなわち、(i)最悪のシナリオでは、電子選択性コンタクトをほとんど完全に洗い流し、又は(ii)最良のシナリオでは、ピンホールが形成されて経路を短絡する。電子選択性コンタクトの部分的な洗い流しが非常にわずかに起こっただけであっても、これは別の問題を引き起こす。すなわち、n型アクセプターの厚み及び均一性が常に変化するため、デバイス性能の再現性がないということである。
【0008】
DMFの使用に対し、特にその毒性に関して、その他の関心事がある。DMFは一般に使用される産業用溶媒だが、皮膚を通って非常に容易に吸収され、溶媒中に溶解しているであろう任意のその他の化学物質を伴って容易に運ぶ。DMFは発がん性には分類されないが、腎臓、肝臓、及び中枢神経系に有毒であることが知られている。また、場合によっては出生異常を引き起こした疑いがある。DMFの毒性は、Kennedyの「Acute and Subchronic Toxicity of Dimethylformamide and Dimethylacetamide Following Various Routes of Administration」、Drug and Chemical Toxicology 9(2),147-170(1986)において論じられている。より害の少ない溶媒を用いるプロセスを開発することが明らかに望ましい。
【0009】
また、DMFをグローブボックス内で使用することは推奨されない。DMFはこのような装置の浄化システムでよく用いられる銅触媒と不可逆的に結合することがよく知られている。したがって、不活性環境にてA/M/X材料の層を製造することは、DMFの使用への依存により大いに妨げられている。
【0010】
DMFのような溶媒を使用することの最後の問題は、多接合太陽電池を順に重ねて容易に構成することができないことである。多接合太陽電池は、太陽電池の絶対効率を増加させるための証明済みの手段であることが知られている。しかし、今までのところ、多接合ペロブスカイト太陽電池を溶液処理によって構成することはできなかった。溶液処理したペロブスカイト層を有するモノリシックタンデム太陽電池は、依然として単一ペロブスカイト太陽電池接合と組み合わせたシリコン光電池の組み合わせである必要があった。DMF溶媒は、均一で高品質のペロブスカイト膜を処理するために用いられるが、処理される層に容易に浸透し、この結果その下のすでに処理された任意のペロブスカイト層を洗い流してしまう。したがって、容易に下地材料に浸透せず、A/M/X多接合デバイスの構成を可能にする、A/M/X材料を処理するための代替的な溶媒を見つけることは有用であろう。これは、発光デバイスにとっても非常に有用であり、異なるバンドギャップの発光ダイオードの多接合の結果、複合白色発光となり得る。
【0011】
したがって、A/M/X材料の膜を形成するための既存の溶液に基づく方法には、いくつかの問題がある。現在用いられる溶媒(例えばDMF、DMSO、γ-ブチロラクトン、及びDMA)は、A/M/X材料の前駆体化合物、特に金属ハロゲン化物前駆体を溶解できることから選択されてきた。しかし、これらの溶媒は高沸点であり、溶液処理のエネルギー必要量又は複雑さを増加させる。これらは、デバイスの製造中に既に存在する有機層を除去する傾向もある。これらの溶媒は、有毒であることが知られており、それに相応して扱いにくい可能性がある。最後に、これらの溶媒は雰囲気浄化装置に問題を引き起こし、それゆえに製造に用いるには挑戦的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しがたって、有毒でなく、有機半導体層を溶解せず、扱いが容易な溶媒を用いる溶液ベースのプロセスを開発することが望ましい。さらに、そのプロセスは、平滑でピンホールのないA/M/X材料の層を製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、上述の問題は、アルキルアミン、及びアセトニトリル、プロピオニトリル又はアセトンを含む、特定の溶媒を用いて回避できることが見出された。アセトニトリル、プロピオニトリル及びアセトンは全て低毒性であり、DMFのような溶媒よりも低沸点である。これは、この溶媒がはるかにより扱いやすいことを意味する。この溶媒は半導体デバイスの製造中に既存の有機層を洗い流さないことも見出された。これは、製造されたデバイスの再現性及び効率を向上させる。また、本発明の方法は、予想外にも平滑性が向上しピンホールの数が減少した膜を製造する。さらに、本発明の方法によって製造された膜は、知られた方法によって形成された層中にみられる結晶子よりも著しく大きい結晶子を含むことが見出された。この拡大された結晶子サイズは、膜の電子的及び光学的特性を向上させることができる。
【0014】
したがって、本発明は、結晶性A/M/X材料の層を製造する方法であって、結晶性A/M/X材料が、式[A]a[M]b[X]cの化合物を含み、
[M]が、1種以上の第一のカチオンを含み、1種以上の第一のカチオンが金属カチオン又は半金属カチオンであり、
[A]が、1種以上の第二のカチオンを含み、
[X]が、1種以上のハロゲン化物アニオンを含み、
aが1から6の整数であり、
bが1から6の整数であり、
cが1から18の整数であり、
前記方法が、前駆体組成物を基板上に配置することを含み、
前記前駆体組成物が、
(a)金属カチオン又は半金属カチオンである第一のカチオン(M)を含む第一の前駆体化合物と、
(b)溶媒と、
を含み、
前記溶媒が、
(i)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と、
(ii)アルキルアミンと、
を含む方法を提供する。
【0015】
本発明の方法は、有機半導体のような有機成分を含み得る半導体デバイスの製造に特によく適している。これは、上述のように特定の溶媒が有機層を洗い流してしまう危険が減少したことによるものである。
【0016】
さらに、本発明は、本明細書において定義される結晶性A/M/X材料の処理層を含む、半導体デバイスを製造する方法を提供する。
【0017】
最後に、本発明は、
(i)式MXn(式中、MはCa2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、Eu2+、Bi3+、Sb3+、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、又はTe4+、好ましくはCu2+、Pb2+、Ge2+、又はSn2+であり、XはI-、Br-、Cl-、又はF-であり、nは2、3、又は4である)の化合物と、
(ii)式AX(式中、Aは(R1NH3)+、(NR2
4)+、及び(H2N-C(R1)=NH2)+であり、R1はH、又は非置換のC1-6アルキル基であり、R2はそれぞれ非置換のC1-6アルキル基であり、XはI-、Br-、Cl-、又はF-である)の化合物と、
(iii)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と、
(iv)式RANH2(式中、RAはC1-8アルキル基である)のアルキルアミンと、
を含む組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ACN/MA溶媒混合物に溶解した0.5MのMAPbI
3の溶液からスピンコートした大面積MAPbI
3膜の一部分のSEM像を示す。
【
図2】ACN/MA溶媒混合物からスピンコートした非加熱MAPbI
3膜の定常状態フォトルミネッセンス及びUV-Vis吸収を示す。吸収は左手の800nmで止まっている曲線で与えられ、定常状態ルミネッセンスは800nmのすぐ下にピークがある線で与えられている。
【
図3】DMF溶液(a、b)及びACN/MA溶液(c、d)からスピンコートしたMAPbI
3膜の暗視野及び明視野の顕微鏡像を示す。
【
図4】本発明の方法を用いて作製されたデバイスの性能パラメーターへの、アニール時間の影響を示す。
【
図5】本発明の方法を用いて作製されたデバイスの安定化出力への、アニール時間の影響を示す。
【
図6】ACN/MAで処理する前後のC60膜の吸収(二つの上部の線)、及びDMFで処理した後のC60膜の吸収(下部の線)を示す。
【
図7】メチルアンモニウムヨージドの量に対して様々な量のヨウ化鉛を用いて作製したデバイスの性能パラメーターを示す。
【
図9】ACN/MA/ブチルアミン(BA)混合物からスピンコートしたMAPbI
3膜のUV-Vis吸収データを示し、数字は1mlのACN中のBAのマイクロリットル数を示している。つまりBA(100)は、1ミリリットルのACN中、100マイクロリットルのBAがある。
【
図10】様々なBA濃度を有する膜の定常状態フォトルミネッセンスを示す。様々な体積のブチルアミンの添加によりMAPbI
3の定常状態フォトルミネッセンススペクトルの強度のシフト及び変化が見られる。
【
図11】ACN/MAが溶媒である前駆体溶液からスピンコートされたCH
3NH
3PbI
3膜のX線回折図であって、異なるアニール時間間隔で測定されたものを示す(T
anneal=100℃)。
【
図12】(a)ACN/MAからスピンコートしたMAPbI
3膜の吸収スペクトル及び定常状態フォトルミネッセンススペクトルと、(b)ACN/MAからスピンコートされたCH
3NH
3PbI
3膜、DMF溶液からスピンコートされたCH
3NH
3PbI
3-xCl
x膜、及びDMF溶液からスピンコートされたCH
3NH
3PbI
3膜の時間分解フォトルミネッセンスを示す。505nmでパルス励起後の初期キャリア密度は10
16cm
-3である。実線は引き伸ばされた指数関数(stretched exponential function)にフィットする。
【
図13】ACN/MA溶媒系を用いて作製したデバイスの断面SEM像を示す。
【
図14-1】
図14において、(a)は、活性層を100℃で60分間アニールしたチャンピオンACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(c)は、活性層を真空中で一晩「脱気」したチャンピオンACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(e)は、活性層を100℃で60分間アニールしたチャンピオン反転ACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(b)、(d)及び(f)は、それぞれ、(a)、(c)及び(e)に示したデバイスの、JVで決定した最大電力点にデバイスを50秒間保持することにより測定した安定化光電流及び効率を示す。
【
図14-2】
図14において、(a)は、活性層を100℃で60分間アニールしたチャンピオンACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(c)は、活性層を真空中で一晩「脱気」したチャンピオンACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(e)は、活性層を100℃で60分間アニールしたチャンピオン反転ACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(b)、(d)及び(f)は、それぞれ、(a)、(c)及び(e)に示したデバイスの、JVで決定した最大電力点にデバイスを50秒間保持することにより測定した安定化光電流及び効率を示す。
【
図14-3】
図14において、(a)は、活性層を100℃で60分間アニールしたチャンピオンACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(c)は、活性層を真空中で一晩「脱気」したチャンピオンACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(e)は、活性層を100℃で60分間アニールしたチャンピオン反転ACN/MAデバイスの電流-電圧特性を示す。(b)、(d)及び(f)は、それぞれ、(a)、(c)及び(e)に示したデバイスの、JVで決定した最大電力点にデバイスを50秒間保持することにより測定した安定化光電流及び効率を示す。
【
図15】アセトニトリル/メチルアミン/ブチルアミン溶媒から作製した膜の定常状態フォトルミネッセンスピークにおけるシフトを示す。
【
図16】膜中に溶媒(ブチルアミン)が混入したCH
3NH
3PbI
3のXRDピークにおけるシフトを示す。BAとラベル付けされた回折図は、0.5Mブチルアンモニウム鉛ヨージド溶液から得られた。この膜は、ACN/ブチルアミンの複合溶媒中に溶解したモル濃度(M)比1:1.06のブチルアンモニウムヨージド(BAI)とPbI
2の前駆体溶液から作製された。
【
図17】ブチルアミンがアセトニトリル/メチルアミン溶媒に混合されたデバイスの太陽電池性能パラメーターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
「結晶性A/M/X材料」という用語は、本明細書において使用した場合、1種以上のAイオン、1種以上のMイオン、及び1種以上のXイオンを含む三次元結晶構造を持つ材料を意味する。Aイオン及びMイオンは、典型的にはカチオンである。Xイオンは典型的にはアニオンである。A/M/X材料は典型的にはさらなる種類のイオンを含まない。また、「結晶性A/M/X材料」への言及は、単に「結晶性材料」への言及とみなし得る。
【0020】
「ペロブスカイト」という用語は、本明細書において使用した場合、CaTiO3の構造に関係する三次元結晶構造を持つ材料、又は、材料の層であってCaTiO3の構造に関係する構造を有する層を含む材料を意味する。CaTiO3の構造は、式ABX3(式中、A及びBはサイズの異なるカチオンであり、Xはアニオンである)で表すことができる。単位格子において、Aカチオンは(0,0,0)にあり、Bカチオンは(1/2,1/2,1/2)にあり、Xアニオンは(1/2,1/2,0)にある。Aカチオンは通常、Bカチオンよりも大きい。A、B、及びXが変わると、異なるイオンサイズによりペロブスカイト材料の構造が歪み、CaTiO3が取る構造から離れてより対称性の低い歪んだ構造となり得ることを当業者は理解するであろう。材料がCaTiO3の構造に関係する構造を有する層を含む場合も、対称性は低下するだろう。ペロブスカイト材料の層を含む材料は周知である。例えば、K2NiF4型構造を取る材料の構造は、ペロブスカイト材料の層を含む。ペロブスカイト材料は、式[A][B][X]3(式中、[A]は少なくとも1種のカチオンであり、[B]は少なくとも1種のカチオンであり、[X]は少なくとも1種のアニオンである)で表すことができることを当業者は理解するだろう。ペロブスカイトが1種を超えるAカチオンを含む場合、異なるAカチオンは、Aサイトに規則的に分布しても不規則に分布してもよい。ペロブスカイトが1種を超えるBカチオンを含む場合、異なるBカチオンは、Bサイトに規則的に分布しても不規則に分布してもよい。ペロブスカイトが1種を超えるXアニオンを含む場合、異なるXアニオンは、Xサイトに規則的に分布しても不規則に分布してもよい。1種を超えるAカチオン、1種を超えるBカチオン、又は1種を超えるXカチオンを含むペロブスカイトの対称性は、CaTiO3の対称性よりも低いだろう。層状のペロブスカイトにおいては、A、B及びXイオンの間の化学量論が変わり得る。例として、Aカチオンのイオン半径が大きすぎて3Dペロブスカイト構造内に適合しない場合には[A]2[B][X]4構造を取り得る。
【0021】
「金属ハロゲン化物ペロブスカイト」という用語は、本明細書において使用した場合、ペロブスカイトを意味し、そのペロブスカイトの式は、少なくとも1種の金属カチオンと少なくとも1種のハロゲン化物アニオンとを含有する。「有機無機金属ハロゲン化物ペロブスカイト」という用語は、本明細書において使用した場合、金属ハロゲン化物ペロブスカイトを意味し、その金属ハロゲン化物ペロブスカイトの式は、少なくとも1種の有機カチオンを含有する。
【0022】
「ヘキサハロメタラート」という用語は、本明細書において使用した場合、式[MX6]n-(式中、Mは金属原子であり、各Xは独立してハロゲン化物アニオンであり、nは1から4の整数である)のアニオンを含む化合物を意味する。
【0023】
「モノカチオン」という用語は、本明細書において使用した場合、1価の正電荷を持つ任意のカチオン、すなわち、式A+(式中、Aは任意の部分、例えば、金属原子又は有機質部分である)のカチオンを意味する。「ジカチオン」という用語は、本明細書において使用した場合、2価の正電荷を持つ任意のカチオン、すなわち、式A2+(式中、Aは任意の部分、例えば、金属原子又は有機質部分である)のカチオンを意味する。「トリカチオン」という用語は、本明細書において使用した場合、2価の正電荷を持つ任意のカチオン、すなわち、式A3+(式中、Aは任意の部分、例えば、金属原子又は有機質部分である)のカチオンを意味する。「テトラカチオン」という用語は、本明細書において使用した場合、4価の正電荷を持つ任意のカチオン、すなわち、式A4+(式中、Aは任意の部分、例えば、金属原子である)のカチオンを意味する。
【0024】
「アルキル」という用語は、本明細書において使用した場合、直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基を意味する。アルキル基は、C1~20アルキル基、C1~14アルキル基、C1~10アルキル基、C1~6アルキル基、又はC1~4アルキル基であってよい。C1~10アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、又はデシルである。C1~6アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はへキシルである。C1~4アルキル基の例は、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、s-ブチル、又はn-ブチルである。本明細書のいずれかの箇所において炭素数を特定する接頭辞を用いずに「アルキル」という用語を使用した場合、そのアルキルは1から6個までの炭素を有する(本明細書において言及される任意の他の有機基についても同様)。
【0025】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において使用した場合、飽和又は部分的に不飽和の環状炭化水素基を意味する。シクロアルキル基は、C3~10シクロアルキル基、C3~8シクロアルキル基、又はC3~6シクロアルキル基であってよい。C3~8シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ-1,3-ジエニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。C3~6シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0026】
「アルケニル」という用語は、本明細書において使用した場合、二重結合を一つ以上含む直鎖又は分岐鎖炭化水素基を意味する。アルケニル基は、C2~20アルケニル基、C2~14アルケニル基、C2~10アルケニル基、C2~6アルケニル基、又はC2~4アルケニル基であってよい。C2~10アルケニル基の例は、エテニル(ビニル)、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、又はデセニルである。C2~6アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、又はヘキセニルである。C2~4アルケニル基の例は、エテニル、i-プロペニル、n-プロペニル、s-ブテニル、又はn-ブテニルである。アルケニル基は、典型的には二重結合を一つ又は二つ含む。
【0027】
「アルキニル」という用語は、本明細書において使用した場合、三重結合を一つ以上含む直鎖、又は分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニル基は、C2~20アルキニル基、C2~14アルキニル基、C2~10アルキニル基、C2~6アルキニル基、又はC2~4アルキニル基であってよい。C2~10アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、又はデシニルである。C1~6アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、又はヘキシニルである。アルキニル基は、典型的には三重結合を一つ又は二つ含む。
【0028】
「アリール」という用語は、本明細書において使用した場合、環部に6から14個の炭素原子、典型的には6から10個の炭素原子を含有する単環式、二環式又は多環式の芳香族環を意味する。例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、インダニル基、アントレセニル基、及びピレニル基が挙げられる。「アリール基」という用語は、本明細書において使用した場合、ヘテロアリール基を含む。「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において使用した場合、典型的には一つ以上のヘテロ原子を含む環部に6から10個の原子を含有する単環式又は二環式の芳香族複素環を意味する。ヘテロアリール基は一般に、5又は6員環であり、O、S、N、P、Se、及びSiから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する。例えば、1個、2個又は3個のヘテロ原子を含有してもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリル、及びイソキノリルが挙げられる。
【0029】
「置換された」という用語は、本明細書において置換された有機基という文脈で使用された場合、C1~10アルキル、アリール(本明細書において定義する通り)、シアノ、アミノ、ニトロ、C1~10アルキルアミノ、ジ(C1~10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリール(C1~10)アルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1~10アルコキシ、アリールオキシ、ハロ(C1~10)アルキル、スルホン酸、チオール、C1~10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、及びホスホン酸エステルから選択される一つ以上の置換基を持つ有機基を意味する。置換されたアルキル基の例としては、ハロアルキル基、ペルハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシアルキル基、及びアルカリール基が挙げられる。基が置換されている場合、置換基を1個、2個又は3個有していてもよい。例えば、置換された基は、置換基を1個又は2個有していてもよい。
【0030】
「多孔質の」という用語は、本明細書において使用した場合、内部に細孔が配された材料を意味する。したがって、例えば、多孔質の足場材料において、細孔は、足場内の足場材料が存在しない部分の体積である。個々の細孔は、サイズが同じであっても異なっていてもよい。細孔のサイズは、「細孔径」として定義される。細孔の限界サイズは、多孔質の固体が関与するほとんどの事象では、それ以上の精度が得られない場合に、細孔の幅(すなわち、スリット状細孔の幅、円筒形、又は球形の細孔の直径等)とされる最小寸法のサイズである。円筒形の細孔とスリット状の細孔とを比較した場合に誤解を招くスケールの変化を回避するためには、円筒形の細孔の直径(長さではなく)をその「細孔幅」として使用すべきである(J.Rouquerolら、「Recommendations for the Characterization of Porous Solids」、Pure&Appl.Chem.,Vol.66,No.8,pp.1739~1758,1994)。以下の区別、及び定義は、過去のIUPAC文献(K.S.W.Singら、Pure&Appl.Chem.,vo1.57,n04,pp603~919,1985、及びIUPAC「Manual on Catalyst Characterization」、J.Haber,Pure and Appl.Chem.,vo1.63,pp.1227~1246,1991)に採用されたものである。ミクロ細孔は幅(すなわち、細孔径)が2nm未満である。メソ細孔は幅(すなわち、細孔径)が2nmから50nmまでである。マクロ細孔は幅(すなわち、細孔径)が50nmを超える。加えて、ナノ細孔は幅(すなわち、細孔径)が1nm未満であると考えてもよい。
【0031】
材料中の細孔は、開放細孔だけでなく「独立(閉鎖)(closed)」細孔を含んでもよい。独立細孔は、材料中の接続されていない空洞である細孔、すなわち、材料内で孤立して他の細孔とは接続しておらず、したがって材料が曝される流体(例えば、溶液などの液体)が到達できない細孔である。他方、「開放細孔」は、そのような流体が到達可能である。開放空隙率及び独立空隙率の概念については、J.Rouquerolら、「Recommendations for the Characterization of Porous Solids」、Pure & Appl.Chem.,Vol.66,No.8,pp.1739-1758,1994において詳細に論じられている。
【0032】
したがって、開放空隙率は、多孔質材料の全体積に占める流体流が効果的に発生し得る割合を意味する。したがって、それには独立細孔は含まれない。「開放空隙率」という用語は、「連結空隙率」及び「有効空隙率」という用語と置き換え可能であり、当技術分野では通例単に「空隙率」と短縮する。
【0033】
したがって、「開放空隙率のない」という用語は、本明細書において使用した場合、有効開放空隙率を持たない材料を意味する。したがって、開放空隙率のない材料は、典型的にはマクロ細孔もメソ細孔も有していない。ただし、開放空隙率のない材料は、ミクロ細孔やナノ細孔を含んでもよい。このようなミクロ細孔やナノ細孔は、典型的には小さすぎて低空隙率が望ましい材料であっても悪影響を与えることはない。
【0034】
「緻密層」という用語は、本明細書において使用した場合、メソ細孔率やマクロ細孔率を持たない層を意味する。場合によっては、緻密層はミクロ細孔率やナノ細孔率を有してもよい。
【0035】
「半導体デバイス」という用語は、本明細書において使用した場合、半導体材料を含む機能的要素を含むデバイスを意味する。この用語は、「半導性デバイス」という用語と同義であると理解してもよい。半導体デバイスの例としては、光起電デバイス、太陽電池、光検出器、フォトダイオード、光センサー、発色デバイス、トランジスタ、感光性トランジスタ、光トランジスタ、固体三極素子、電池、電池電極、コンデンサ、スーパーコンデンサ、発光デバイス、レーザー、又は発光ダイオードが挙げられる。「光電子デバイス」という用語は、本明細書において使用した場合、光を供給し、制御し、又は検出するデバイスを意味する。光は、任意の電磁放射線を含むと理解される。光電子デバイスの例としては、光起電デバイス、フォトダイオード(太陽電池を含む)、光トランジスタ、光電子増倍管、フォトレジスタ、及び発光ダイオードが挙げられる。
【0036】
「本質的に~で構成される」という用語は、組成物を本質的に構成する成分に加え、他の成分を含む組成物を意味する。ただし、他の成分は組成物の本質的な特性に実質的に影響しない場合に限る。典型的には、本質的にある種の成分で構成される組成物は、その成分を95wt%以上含むか、あるいはその成分を99wt%以上含む。
【0037】
方法
本発明は、結晶性A/M/X材料の層を製造する方法であって、結晶性A/M/X材料が式[A]a[M]b[X]cの化合物を含み、[M]が1種以上の第一のカチオンを含み、1種以上の第一のカチオンが金属カチオン又は半金属カチオンであり、[A]が1種以上の第二のカチオンを含み、[X]が1種以上のハロゲン化物アニオンを含み、aが1から6の整数であり、bが1から6の整数であり、cが1から18の整数であり、
前記方法が前駆体組成物を基板上に配置することを含み、前記前駆体組成物が(a)金属カチオン又は半金属カチオンである第一のカチオン(M)を含む第一の前駆体化合物と(b)溶媒とを含み、
前記溶媒が(i)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と(ii)アルキルアミンとを含む、方法を提供する。
【0038】
アルキルアミンは、アルキル基及びアミン基を含む有機化合物であり、アミン基は第一級アミン基又は第二級アミン基であってよい。アルキルアミン化合物は、第一級アミンRANH2(式中、RAはアルキル基であり、アルキル基は置換又は非置換であってよい)、又は第二級アミンRA
2NH(式中、各RAはアルキル基であり、アルキル基は置換又は非置換であってよい)であってよい。典型的には、アルキルアミンは第一級アルキルアミンである。
【0039】
アルキルアミンは典型的には式RANH2(式中、RAはC1-8アルキル基である)の化合物である。C1-8アルキル基は置換又は非置換であってよい。例えば、C1-8アルキル基はフェニルエチル基又はベンジル基であってよい。典型的には、C1-8アルキル基は非置換である。RAは好ましくは非置換のC1-6アルキル基である。例えば、RAは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル(すなわち、n-ブチル)、ペンチル(n-ペンチル)、又はへキシル(n-ヘキシル)であってよい。
【0040】
好ましくは、アルキルアミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、又はペンチルアミンであり、例えば、メチルアミン、プロピルアミン、又はブチルアミンである。より好ましくは、アルキルアミンはメチルアミンである。溶媒は、本明細書で定義されるように、2種以上のアルキルアミン化合物を含んでよい。例えば、溶媒はメチルアミンとブチルアミンを含んでよい。
【0041】
有機混合ハロゲン化物ペロブスカイトのような多くのA/M/X材料は、メチルアンモニウムのようなアルキルアンモニウムイオンを含む。したがって、アルキルアンモニウムイオンを含むA/M/X材料の知られている前駆体溶液は、典型的には、アルキルアンモニウムイオンを含む。例えば、前駆体溶液は、メチルアンモニウムヨージド等のハロゲン化アルキルアンモニウムの溶液を含んでよい。ただし、このような前駆体溶液はアルキルアミンを含む溶媒を含まない。むしろ、このような前駆体溶液はプロトン付加したアルキルアミンであるアルキルアンモニウムイオンを含む。さらに、このような知られた前駆体溶液中のアルキルアンモニウムイオンは、モル当量のハロゲン化物対イオンを伴う。
【0042】
よって、本発明の方法における前駆体は、アルキルアミンを含み、アルキルアミンは、典型的にはプロトン付加されていない。もちろん、例えば第二の前駆体化合物の一部であれば、プロトン付加されたアルキルアンモニウムイオンも存在してよいが、これらは溶媒アルキルアミンに追加されるものである。さらに、溶媒を含む前駆体溶液は、典型的には、(アルキルアミン):(ハロゲン化物イオン)のモル比が100:100を超え、例えば105:100を超え、又は110:100を超える。モル比は105:100から200:100であってよい。
【0043】
典型的には、本発明の方法における溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物に、アルキルアミンを気体アルキルアミン、液体アルキルアミン、又はアルキルアミンの溶液のいずれかとして加えることにより製造される。よって、方法はさらに、アルキルアミンをアセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物に加えることにより溶媒を製造することを含んでよい。これは、典型的には、第一(又は第二)の前駆体化合物を溶媒に添加して前駆体組成物を形成する前である。気体アルキルアミンは、アルキルアミンを溶媒にバブリングすることによって溶媒に添加してよい。
【0044】
溶媒中又は前駆体組成物中のアルキルアミンの量は、必要に応じて様々であってよい。典型的には、(アルキルアミン):(第一の前駆体化合物)のモル比は、1×10-7:1から0.5:1であり、場合によっては1×10-6:1から0.1:1である。
【0045】
場合によっては、アルキルアミンの量は比較的小さくてよい。例えば、(アルキルアミン):(第一の前駆体化合物)のモル比は、1×10-4:1より小さくてよい。この場合、モル比は、1×10-7:1から1×10-4:1、又は1×10-6:1から1×10-5:1であってよい。
【0046】
典型的には、(液体形態での、又は、アセトニトリル中のアルキルアミンの飽和溶液の体積当量としての)アルキルアミンの体積は、全体で前駆体組成物1ミリリットル当たりアルキルアミンが1.0から500マイクロリットルであり、例えば全体で前駆体組成物1ミリリットル当たりアルキルアミンが10から200マイクロリットルである。好ましくは、アルキルアミンの体積は、全体で前駆体組成物1ミリリットル当たりアルキルアミンが50から150マイクロリットルである。
【0047】
場合によっては、溶媒中のより大きい割合がアルキルアミンであってよい。この場合、(アルキルアミン):(第一の前駆体化合物)のモル比は、0.001:1から0.5:1であってよく、例えば、0.01:1から0.1:1であってよい。
【0048】
もし溶媒が2種類のアルキルアミンを含む場合、第一のアルキルアミン(例えばメチルアミン)の濃度は上記定義した通りであってよい。第二のアルキルアミン(例えばブチルアミン)の濃度は、全体で前駆体組成物1ミリリットル当たり第二のアルキルアミンが2から400マイクロリットルであってよく、例えば、全体で前駆体組成物1ミリリットル当たり第二のアルキルアミンが5から200マイクロリットル、又は50から200マイクロリットルであってよい。
【0049】
溶媒は好ましくはアセトニトリルを含む。例えば、溶媒の80vol%以上がアセトニトリルであってよい。
【0050】
例えば、溶媒はアセトニトリルと、溶媒1ミリリットル当たり10から200マイクロリットルのブチルアミン(例えば、40から200マイクロリットル)とを含んでよい。このような溶媒において、溶媒は80vol%から95vol%のアセトニトリルを含んでよい。
【0051】
第一の前駆体化合物
第一の前駆体化合物は、金属カチオン又は半金属カチオンである第一のカチオン(M)を含む。第一の前駆体化合物は、典型的にはさらに第一のアニオンを含む。第一の前駆体化合物は、さらなるカチオン又はアニオンを含んでもよい。第一の前駆体化合物は、1種以上の第一のカチオンと1種以上の第一のアニオンとで構成されてもよい。
【0052】
典型的には、第一のアニオンはハロゲン化物アニオン、チオシアナートアニオン(SCN-)、テトラフルオロボラートアニオン(BF4
-)、又は有機アニオンである。好ましくは、第一のアニオンはハロゲン化物アニオン又は有機アニオンである。第一の前駆体化合物は2種以上の第一のアニオン、例えば2種以上のハロゲン化物アニオンを含んでよい。
【0053】
典型的には、有機アニオンは、式RCOO-、ROCOO-、RSO3
-、ROP(O)(OH)O-、又はRO-(式中、RはH、置換若しくは非置換のC1~10アルキル、置換若しくは非置換のC2~10アルケニル、置換若しくは非置換のC2~10アルキニル、置換若しくは非置換のC3~10シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~10ヘテロシクリル、又は置換若しくは非置換のアリールである)のアニオンである。例えば、RはH、置換若しくは非置換のC1~10アルキル、置換若しくは非置換のC3~10シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のアリールであってよい。典型的には、RはH、置換若しくは非置換のC1~6アルキル、又は置換若しくは非置換のアリールである。例えば、RはH、非置換のC1~6アルキル、又は非置換のアリールであってよい。よって、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びフェニルから選択されてもよい。
【0054】
多くの場合、(1種以上の)第一のアニオンは、ハロゲン化物アニオン(例えば、F-、Cl-、Br-、及びI-)及び式RCOO-(式中、Rは、H又はメチルである)のアニオンから選択される。
【0055】
典型的には、第一のアニオンは、F-、Cl-、Br-、I-、ギ酸イオン、又は酢酸イオンである。好ましくは、第一のアニオンは、Cl-、Br-、I-、又はF-である。より好ましくは、第一のアニオンは、Cl-、Br-、又はI-である。
【0056】
金属又は半金属のカチオンは、元素周期表の1族~16族の任意の金属に由来するカチオンであってよい。金属又は半金属のカチオンは、任意の適切な金属又は半金属のカチオンであってよい。金属又は半金属のカチオンは、モノカチオン、ジカチオン、トリカチオン、又はテトラカチオンであってよい。金属又は半金属のカチオンは、典型的にはジカチオン又はテトラカチオンである。
【0057】
半金属は、通常は以下の元素であると解釈される:B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びPo。好ましくは、第一のカチオンは、金属又は半金属のジカチオン、例えば、金属のジカチオンである。
【0058】
典型的には、金属又は半金属のカチオンである第一のカチオンは、Ca2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、Eu2+、Bi3+、Sb3+、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+又はTe4+である。好ましくは、金属又は半金属のカチオンは、Cu2+、Pb2+、Ge2+、又はSn2+である。多くの場合、第一のカチオンは、Pb2+又はSn2+である金属又は半金属のカチオンである。第一の化合物は、2種以上の第一のカチオン、例えば、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、及びEu2+から選択される2種以上のカチオンを含んでよい。
【0059】
典型的には、第一の前駆体化合物は、式MY2、MY3、又はMY4(式中、Mは金属又は半金属のジカチオン、トリカチオン、又はテトラカチオンである前記第一のカチオンであり、Yは前記第一のアニオンである)の化合物である。
【0060】
したがって、第一の前駆体化合物は、式MY2(式中、MはCa2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、又はEu2+であり、YはF-、Cl-、Br-、I-、ギ酸イオン、又は酢酸イオンである)の化合物であってよい。好ましくは、Mは、Cu2+、Pb2+、Ge2+、又はSn2+であり、Yは、Cl-、Br-、I-、ギ酸イオン、又は酢酸イオンであり、好ましくは、Cl-、Br-、又はI-である。
【0061】
典型的には、第一の前駆体化合物は、酢酸鉛(II)、ギ酸鉛(II)、フッ化鉛(II)、塩化鉛(II)、臭化鉛(II)、ヨウ化鉛(II)、酢酸スズ(II)、ギ酸スズ(II)、フッ化スズ(II)、塩化スズ(II)、臭化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)、酢酸ゲルマニウム(II)、ギ酸ゲルマニウム(II)、フッ化ゲルマニウム(II)、塩化ゲルマニウム(II)、臭化ゲルマニウム(II)、又はヨウ化ゲルマニウム(II)である。場合によっては、第一の前駆体化合物は酢酸鉛(II)を含む。
【0062】
第一の前駆体化合物は、典型的には式MX2の化合物である。好ましくは、第一の前駆体化合物は式SnI2、SnBr2、SnCl2、PbI2、PbBr2、又はPbCl2の化合物である。より好ましくは、第一の前駆体化合物は式PbI2、PbBr2、PbCl2の化合物である。
【0063】
第一の前駆体化合物は式MY3(式中、MはBi3+又はSb3+であり、YはF-、Cl-、Br-、I-、SCN-、BF4
-、ギ酸イオン、又は酢酸イオンである)の化合物であってもよい。好ましくは、MはBi3+であり、YはCl-、Br-、I-である。この場合、A/M/X材料は典型的にビスマスハロゲノメタラート又はアンチモンハロゲノメタラートを含む。
【0064】
第一の前駆体化合物は式MY4(式中、Mは、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、又はTe4+であり、Yは、F-、Cl-、Br-、I-、SCN-、BF4
-、ギ酸イオン、又は酢酸イオンである。)の化合物であってもよい。好ましくは、MはSn4+、Pb4+、又はGe4+であり、Cl-、Br-、又はI-である。この場合、A/M/X材料は典型的にヘキサハロメタラート(六ハロゲン化金属酸塩)を含む。
【0065】
第二の前駆体化合物
方法は、より典型的には、第二の前駆体化合物を基板上に配置することをさらに含み、第二の前駆体化合物は、第二のカチオン(A)及びハロゲン化物アニオン(X)を含み、好ましくは、第二の前駆体化合物は、式[A][X]の化合物であり、[A]は1種以上の第二のカチオンを含み、[X]は1種以上のハロゲン化物アニオンを含む。
【0066】
第二の前駆体化合物は、第二のアニオン(つまり、ハロゲン化物アニオン)と第二のカチオンとを含む。第二のアニオンと第二のカチオンは、任意の適切なイオンであってよい。例えば、第二のカチオンは、金属若しくは半金属のカチオン、又は有機カチオンであってよい。例えば、第二のカチオンは、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、及び有機カチオンから選択されるカチオンであってよい。第二のカチオンは多くの場合、モノカチオン、例えば金属若しくは半金属のモノカチオン又は有機モノカチオンである。典型的には、第二のカチオンは、Cs+又は有機カチオンである。
【0067】
典型的には、第二のカチオンは有機カチオンである。第二のカチオンは、任意の適切な有機カチオンであってよい。有機カチオンは、例えばプロトン化によって有機化合物から得られるカチオンであってよい。第二のカチオンは、有機モノカチオン又は有機ジカチオンであってよい。第二のカチオンは、典型的には有機モノカチオンである。第二のカチオンは、典型的には500gmol-1以下の分子量を有する。好ましくは、第二のカチオンは、250gmol-1以下、又は150gmol-1以下の分子量を有する。多くの場合、第二のカチオンは、窒素原子又はリン原子を含む有機カチオンである。例えば、有機カチオンは、第四級窒素原子を含んでよい。
【0068】
典型的には、第二のカチオンは、Cs+、(NR1R2R3R4)+、(R1R2N=CR3R4)+、(R1R2N-C(R5)=NR3R4)+、又は(R1R2N-C(NR5R6)=NR3R4)+であり、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立してH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基である。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、典型的には独立してH、置換若しくは非置換のC1~6アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基である。好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、独立してH、又は非置換のC1~6アルキル基である。例えば、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、独立してH、メチル、エチル、又はプロピルであってよい。
【0069】
好ましくは、第二のカチオンは、(R1NH3)+、(NR2
4)+、及び(H2N-C(R1)=NH2)+(式中、R1はH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であり、各R2は独立してH、又は置換若しくは非置換のC1~10アルキル基である)から選択される。多くの場合、R1はH、又は非置換のC1~6アルキル基であり、各R2は非置換のC1~6アルキル基である。例えば、R1はH、メチル、エチル、又はプロピルであってよく、各R2はメチル、エチル、及びプロピルであってよい。R2は全て同じでもよく、メチル、エチル、及びプロピルであってよい。例えば、第二のカチオンは、Cs+、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(N(CH2CH3)4)+、(N(CH2CH2CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、及び(H2N-C(CH3)=NH2)+から選択されてよい。
【0070】
典型的には、1種以上の第二のカチオンは、式Cs+、(NR1R2R3R4)+、(R1R2N=CR3R4)+、(R1R2N-C(R5)=NR3R4)+、及び(R1R2N-C(NR5R6)=NR3R4)+(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立してH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基である)のカチオンから選択される。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、典型的にはH、及び非置換のC1~6アルキル基、例えばH及びメチルから選択される。好ましくは、1種以上の第二のカチオンは、(CH3NH3)+及び(H2N-C(H)=NH2)+から選択される。
【0071】
多くの場合、第二のカチオンは、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、又は(CH3CH2CH2NH3)+である。例えば、第二のカチオンは、(CH3NH3)+であってよい。
【0072】
第二のアニオンは、典型的にはハロゲン化物アニオンである。第二のアニオンは、F-、Cl-、Br-、又はI-であってよい。多くの場合、第二のアニオンは、Cl-、Br-、又はI-である。
【0073】
第二の前駆体化合物は、典型的には式AX(式中、Aは前記第二のカチオンであり、Xはハロゲン化物アニオンである前記第二のアニオンである)の化合物である。第二のカチオンは本明細書に定義される通りであってよい。第二のアニオンは本明細書に定義される通りであってよい。
【0074】
第二の前駆体化合物は、例えば(H3NR1)X、(NR1R2R3R4)X、(R1R2N=CR3R4)X、(R1R2N-C(R5)=NR3R4)X、及び(R1R2N-C(NR5R6)=NR3R4)X(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立してH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であり、XはF-、Cl-、Br-、又はI-である)から選択されてよい。好ましくは、第二の前駆体化合物は、(H3NR1)X(式中、R1は非置換のC1~6アルキル基であり、XはCl-、Br-、又はI-である)である。
【0075】
第二の前駆体化合物は、例えばCsF、CsCl、CsBr、CsI、NH4F、NH4Cl、NH4Br、NH4I、(CH3NH3)F、(CH3NH3)Cl、(CH3NH3)Br、(CH3NH3)I、(CH3CH2NH3)F、(CH3CH2NH3)Cl、(CH3CH2NH3)Br、(CH3CH2NH3)I、(N(CH3)4)F、(N(CH3)4)Cl、(N(CH3)4)Br、(N(CH3)4)I、(H2N-C(H)=NH2)F、(H2N-C(H)=NH2)Cl、(H2N-C(H)=NH2)Br及び(H2N-C(H)=NH2)Iから選択されてよい。典型的には、第二の前駆体化合物は、(CH3NH3)Cl、(CH3NH3)Br、(CH3NH3)I、(CH3CH2NH3)Cl、(CH3CH2NH3)Br、(CH3CH2NH3)I、(N(CH3)4)Cl、(N(CH3)4)Br、(N(CH3)4)I、(H2N-C(H)=NH2)Cl、(H2N-C(H)=NH2)Br及び(H2N-C(H)=NH2)Iから選択される。
【0076】
多くの場合、第二の前駆体化合物は、(CH3NH3)F、(CH3NH3)Cl、(CH3NH3)Br、(CH3NH3)I、(CH3CH2NH3)F、(CH3CH2NH3)Cl、(CH3CH2NH3)Br、(CH3CH2NH3)I、(N(CH3)4)F、(N(CH3)4)Cl、(N(CH3)4)Br、(N(CH3)4)I、(H2N-C(H)=NH2)Cl、(H2N-C(H)=NH2)Br及び(H2N-C(H)=NH2)Iである。好ましくは、第二の前駆体化合物は、(CH3NH3)Cl、(CH3NH3)Br、(CH3NH3)I、(CH3CH2NH3)Cl、(CH3CH2NH3)Br、又は(CH3CH2NH3)Iである。
【0077】
場合によっては、第二の前駆体化合物は前駆体組成物の前又は後に基板上に配置されてよい。例えば、基板は第二の前駆体化合物の層を含んでよく、方法は、例えば基板を前駆体組成物に浸すことにより、第二の前駆体化合物の層上に第一の前駆体化合物を含む前駆体組成物を配置することを含んでよい。
【0078】
典型的に、第二の前駆体化合物は、第一の前駆体化合物と同時に基板上に配置される。よって、典型的には、前駆体組成物はさらに(c)第二のカチオン(A)及び第一のアニオン(X)を含む第二の前駆体化合物を含む。第二の前駆体化合物は、本明細書に定義される通りであってよい。
【0079】
第二の前駆体化合物は、好ましくは、式AXの化合物である。より好ましくは、第二の前駆体化合物は、(CH3NH3)I、(CH3NH3)Br、又は(CH3NH3)Clである。
【0080】
アルキルアミンのアイデンティティは、プロトン化されたときに第二のカチオンAに対応するアルキルアミンに適合させてもよい。例えば、[A]が式(RANH3)+のカチオンである第二のカチオンを含んでよく、アルキルアミンが式RANH2の化合物であってよい(式中、各RAは、同じ基であって、C1~8アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、又はn-ペンチルのような非置換のC1~6アルキル基である)。好ましくは、第二のカチオンはメチルアンモニウムであり、アルキルアミンはメチルアミンである。
【0081】
結晶性A/M/X材料
典型的には、結晶性A/M/X材料は、金属又は半金属のカチオンである前記第一のカチオン(M)、金属モノカチオン又は有機カチオンである前記第二のカチオン(A)、及びハロゲン化物アニオンである前記第二のアニオン(X)を含む化合物を含む。第二のアニオンは、第一及び第二の前駆体化合物のいずれか又は両方に由来してよい。例えば、A/M/X材料中のXは、上記定義した通りの第二及び第一の前駆体化合物からのX及びYアニオンを含んでよい。
【0082】
多くの場合、結晶性A/M/X材料は、金属又は半金属のカチオンである前記第一のカチオン、有機カチオンである前記第二のカチオン、及びハロゲン化物アニオンである第二のアニオンで構成される化合物を含む。結晶性A/M/X材料は、典型的には、金属又は半金属のカチオンである前記第一のカチオン、有機カチオンである前記第二のカチオン、及びハロゲン化物アニオン又はカルコゲニドアニオンである第二のアニオンを含む化合物を90重量%以上含む。例えば、結晶性A/M/X材料は、本質的に以下に記載の化合物、例えばペロブスカイト又はヘキサハロメタラートで構成されてよい。
【0083】
結晶性材料は、以下の式
[A]a[M]b[X]c
(式中、[A]は1種以上の前記第二のカチオンであり、[M]は1種以上の前記第一のカチオンであり、[X]は1種以上の前記第二のアニオンであり、aは1から6の整数であり、bは1から6の整数であり、cは1から18の整数である)を有する化合物を含む。aは多くの場合1から3の整数であり、bは多くの場合1から3の整数であり、cは多くの場合1から8の整数である。
【0084】
したがって、結晶性化合物は、以下の式
[A]a[M]b[X]c
(式中、
[A]は、本明細書に記載するカチオン等の1種以上の第二のカチオン、例えば1種以上の有機モノカチオンであり、
[M]は、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、Te4+、Bi3+、Sb3+、Sn2+、Pb2+、Cu2+、Ge2+、及びNi2+から選択される金属又は半金属のカチオンである1種以上の第一のカチオンであり、
[X]は、Cl-、Br-、I-、O2-、S2-、Se2-、及びTe2-から選択される1種以上の第二のアニオンであり、
aは1から3の整数であり、
bは1から3の整数であり、
cは1から8の整数である)
を有する化合物を含んでもよい。
【0085】
[A]が1種のカチオン(A)であり、[M]が2種のカチオン(M1及びM2)であり、[X]が1種のアニオン(X)である場合、結晶性材料は、式Aa(M1,M2)bXcの化合物を含んでもよい。[A]は、1種、2種、又はそれを超えるAイオンを表してもよい。[A]、[M]又は[X]が1種を超える(2種以上の)イオンである場合、それらのイオンは任意の比率で存在してよい。例えば、Aa(M1,M2)bXcは、式AaM1
byM2
b(1-y)Xc(式中、yは0と1の間、例えば0.05から0.95である)の化合物全てを含む。そのような材料を、混合イオン材料と呼ぶ場合がある。
【0086】
典型的には、結晶性A/M/X材料は、ペロブスカイト又はヘキサハロメタラートを含む。好ましくは、結晶性材料はペロブスカイトを含む。結晶性材料は多くの場合、金属ハロゲン化物ペロブスカイトを含む。結晶性材料は多くの場合、有機金属ハロゲン化物ペロブスカイトを含む。
【0087】
典型的に、結晶性A/M/X材料は、
式(I)
[A][M][X]3 (I)
(式中、[A]は少なくとも1種のモノカチオンであり、[M]は少なくとも1種の金属又は半金属のジカチオンであり、[X]は少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである)
のペロブスカイトを含む。
【0088】
[A]は、本明細書に記載する第二のカチオン用の少なくとも1種のカチオンであってよい。例えば、[A]は、Cs+、(NR1R2R3R4)+、(R1R2N=CR3R4)+、(R1R2N-C(R5)=NR3R4)+、及び(R1R2N-C(NR5R6)=NR3R4)+(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立してH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基である)から選択される1種以上のカチオンであってもよい。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、独立してH、又は非置換のC1~6アルキル基であってもよい。[A]は、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、及び(H2N-C(CH3)=NH2)+から選択される1種以上の有機カチオンであってもよい。[A]は、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、及び(H2N-C(CH3)=NH2)+から選択される単一のカチオンであってもよい。Aは多くの場合、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、又は(CH3CH2CH2NH3)+である。
【0089】
[M]は、本明細書に記載する第一のカチオン用の少なくとも1種のカチオンであってもよい。例えば、[M]は、Ca2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、及びEu+から選択される1種以上のカチオンであってよい。
【0090】
一実施形態において、ペロブスカイトは、式(IA)
AM[X]3 (IA)
(式中、Aは有機カチオンであり、Mは金属カチオンであり、[X]は2種以上の異なるハロゲン化物アニオンである)のペロブスカイト化合物である。好ましくは、[X]は2種又は3種の異なるハロゲン化物アニオンである。より好ましくは、[X]は2種の異なるハロゲン化物アニオンである。有機カチオン及び金属カチオンは、それぞれ第二のカチオン及び第一のカチオンに関して上記に定義する通りであってよい。
【0091】
結晶性A/M/X材料は、例えば、式(IB)
AMX3-xX’x (IB)
(式中、Aは前記第二の’カチオンであり、Mは前記第一のカチオンであり、Xは第一のハロゲン化物アニオンであり、X’は第一のハロゲン化物アニオンとは異なる第二のハロゲン化物アニオンであり、xは0から3である)のペロブスカイト化合物を含んでよい。通常は、xは0.05から0.95である。例えば、xは0.5から2.5、又は0.75から2.25であってもよい。典型的には、xは1から2である。
【0092】
結晶性A/M/X材料は、APbI3、APbBr3、APbCl3、APbF3、APbBrxI3-x、APbBrxCl3-x、APbIxBr3-x、APbIxCl3-x、APbClxBr3-x、APbI3-xClx、ASnI3、ASnBr3、ASnCl3、ASnF3、ASnBrI2、ASnBrxI3-x、ASnBrxCl3-x、ASnF3-xBrx、ASnIxBr3-x、ASnIxCl3-x、ASnF3-xIx、ASnClxBr3-x、ASnI3-xClx及びASnF3-xClx、ACuI3、ACuBr3、ACuCl3、ACuF3、ACuBrI2、ACuBrxI3-x、ACuBrxCl3-x、ACuF3-xBrx、ACuIxBr3-x、ACuIxCl3-x、ACuF3-xIx、ACuClxBr3-x、ACuI3-xClx、及びACuF3-xClx(式中、xは0から3であり、Aは本明細書に記載する有機カチオン、又はアンモニウムカチオンである)から選択されるペロブスカイト化合物を含んでもよく、又は本質的にそのペロブスカイト化合物で構成されてもよい。xは、0.05から2.96であってよい。例えば、xは0.1から2.9、又は0.5から2.5であってもよい。場合によっては、xは0.75から2.25、又は1から2である。
【0093】
結晶性A/M/X材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbF3、CH3NH3PbBrxI3-x、CH3NH3PbBrxCl3-x、CH3NH3PbIxBr3-x、CH3NH3PbIxCl3-x、CH3NH3PbClxBr3-x、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3SnI3、CH3NH3SnBr3、CH3NH3SnCl3、CH3NH3SnF3、CH3NH3SnBrI2、CH3NH3SnBrxI3-x、CH3NH3SnBrxCl3-x、CH3NH3SnF3-xBrx、CH3NH3SnIxBr3-x、CH3NH3SnIxCl3-x、CH3NH3SnF3-xIx、CH3NH3SnClxBr3-x、CH3NH3SnI3-xClx及びCH3NH3SnF3-xClx、CH3NH3CuI3、CH3NH3CuBr3、CH3NH3CuCl3、CH3NH3CuF3、CH3NH3CuBrI2、CH3NH3CuBrxI3-x、CH3NH3CuBrxCl3-x、CH3NH3CuF3-xBrx、CH3NH3CuIxBr3-x、CH3NH3CuIxCl3-x、CH3NH3CuF3-xIx、CH3NH3CuClxBr3-x、CH3NH3CuI3-xClx、及びCH3NH3CuF3-xClx(式中、xは0から3である)から選択されるペロブスカイト化合物を含んでもよく、又は本質的にその化合物で構成されてもよい。xは0.05から2.95であってもよい。例えば、xは0.1から2.9、又は0.5から2.5であってもよい。場合によっては、xは0.75から2.25、又は1から2である。例えば、第一のカチオンがPb2+であり、第二のカチオンがCH3NH3
+であり、第二のアニオンがI-である場合、結晶性材料はCH3NH3PbI3を含んでもよく、又は本質的にCH3NH3PbI3で構成されてもよい。
【0094】
結晶性A/M/X材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbF3、CH3NH3PbBrI2、CH3NH3PbBrCl2、CH3NH3PbIBr2、CH3NH3PbICl2、CH3NH3PbClBr2、CH3NH3PbI2Cl、CH3NH3SnI3、CH3NH3SnBr3、CH3NH3SnCl3、CH3NH3SnF3、CH3NH3SnBrI2、CH3NH3SnBrCl2、CH3NH3SnF2Br、CH3NH3SnIBr2、CH3NH3SnICl2、CH3NH3SnF2I、CH3NH3SnClBr2、CH3NH3SnI2Cl及びCH3NH3SnF2Clから選択されるペロブスカイト化合物を含んでもよく、又は本質的にその化合物で構成されてもよい。
【0095】
結晶性A/M/X材料は、CH3NH3PbBrxI3-x、CH3NH3PbBrxCl3-x、CH3NH3PbIxBr3-x、CH3NH3PbIxCl3-x、CH3NH3PbClxBr3-x、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3SnBrxI3-x、CH3NH3SnBrxCl3-x、CH3NH3SnF3-xBrx、CH3NH3SnIxBr3-x、CH3NH3SnIxCl3-x、CH3NH3SnF3-xIx、CH3NH3SnClxBr3-x、CH3NH3SnI3-xClx及びCH3NH3SnF3-xClx(式中、x0.05から2.95である)から選択されるペロブスカイト化合物を含んでもよく、又は本質的にその化合物で構成されてもよい。例えば、xは0.5から2.5、0.75から2.25、又は1から2であってもよい。
【0096】
ペロブスカイト化合物は、CH3NH3PbBrI2、CH3NH3PbBrCl2、CH3NH3PbIBr2、CH3NH3PbICl2、CH3NH3SnF2Br、及びCH3NH3SnF2Iから選択されてもよい。ペロブスカイトはCH3NH3PbCl2Iであってもよい。
【0097】
好ましくは、結晶性A/M/X材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3SnI3、CH3NH3SnBr3、CH3NH3SnCl3、CH3NH3CuI3、CH3NH3CuBr3、CH3NH3CuCl3、NH4CuI3、NH4CuBr3、NH4CuCl3、NH4CuI2Br、NH4CuI2Cl、NH4CuBr2Cl、NH4CuCl2Br、CH3NH3CuI2Br、CH3NH3CuI2Cl、CH3NH3CuBr2Cl、及びCH3NH3CuCl2Brから選択されるペロブスカイト化合物を含むか、又は本質的にその化合物で構成される。より好ましくは、結晶性材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3SnI3、NH4CuCl2Br、CH3NH3CuCl3、及びCH3NH3CuCl2Brから選択されるペロブスカイト化合物を含むか、又は本質的にその化合物で構成される。
【0098】
結晶性A/M/X材料は、ホルムアミジニウムペロブスカイト、例えば、APbI3、APbBr3、APbCl3、APbF3、APbBrxI3-x、APbBrxCl3-x、APbIxBr3-x、APbIxCl3-x、APbClxBr3-x、APbI3-xClx、ASnI3、ASnBr3、ASnCl3、ASnF3、ASnBrI2、ASnBrxI3-x、ASnBrxCl3-x、ASnF3-xBrx、ASnIxBr3-x、ASnIxCl3-x、ASnF3-xIx、ASnClxBr3-x、ASnI3-xClx、ASnF3-xClx、ACuI3、ACuBr3、ACuCl3、ACuF3、ACuBrI2、ACuBrxI3-x、ACuBrxCl3-x、ACuF3-xBrx、ACuIxBr3-x、ACuIxCl3-x、ACuF3-xIx、ACuClxBr3-x、ACuI3-xClx、及びACuF3-xClx(式中、xは0から3であり、Aは(H2N-C(H)=NH2)+である)から選択される化合物を含んでよい。
【0099】
一実施形態において、結晶性A/M/X材料は、式(II)
[A]2[M][X]4 (II)
(式中、[A]は少なくとも1種のモノカチオンであり、[M]は少なくとも1種の金属又は半金属のジカチオンであり、[X]は少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである)
の化合物(層状ペロブスカイト)を含む。
【0100】
[A]は、式(II)の化合物において、典型的には少なくとも1種の有機カチオンであるが、本明細書において式(I)のペロブスカイトについてさらに定義した通りであってよい。式(II)の化合物中の[M]は、典型的には少なくとも1種の金属又は半金属のジカチオンであるが、本明細書において式(I)のペロブスカイトについてさらに定義した通りであってよい。式(II)の化合物中の[X]は、少なくとも1種のハロゲン化物アニオンであるが、本明細書において式(I)のペロブスカイトについてさらに定義した通りであってよい。
【0101】
結晶性A/M/X材料は、例えば、式(III)
[A]2[M][X]6 (III)
(式中、[A]は少なくとも1種のモノカチオンであり、[M]は少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンであり、[X]は少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである)
のヘキサハロメタラートを含んでよい。
【0102】
[A]は少なくとも1種のモノカチオンであり、[M]は少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンであり、Xは少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである。混合モノカチオンヘキサハロメタラートにおいては、[A]は少なくとも2種のモノカチオンであり、[M]は少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンであり(かつ典型的には[M]は単一の金属又は半金属のテトラカチオンである)、[X]は少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである(かつ典型的には[X]は単一のハロゲン化物アニオンである)。混合金属ヘキサハロメタラートにおいては、[A]は少なくとも1種のモノカチオンであり(かつ典型的には[A]は単一のモノカチオンである)、[M]は少なくとも2種の金属又は半金属のテトラカチオンであり(例えば、Ge4+、及びSn4+である)、[X]は少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである(かつ典型的には[X]は単一のハロゲン化物アニオンである)。混合ハロゲン化物ヘキサハロメタラートにおいては、[A]は少なくとも1種のモノカチオンであり(かつ典型的には[A]は単一のモノカチオンである)、[M]は少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンであり(かつ典型的には[M]は単一の金属テトラカチオンである)、[X]は少なくとも2種のハロゲン化物アニオン、例えばBr-及びCl-である。
【0103】
[A]は、任意の適切なモノカチオン、例えばペロブスカイトに関して上に記載したものから選択される少なくとも1種のモノカチオンであってもよい。[A]は、典型的にはLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4
+、及び1価の有機カチオンから選択される少なくとも1種のモノカチオンである。1価の有機カチオンは、1価の正電荷を持つ有機カチオンであり、例えば分子量が500g/mol以下であってよい。例えば、[A]は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4
+、及び1価の有機カチオンから選択される単一のカチオンであってよい。[A]は、好ましくはRb+、Cs+、NH4
+、及び1価の有機カチオンから選択される少なくとも1種のモノカチオンである。例えば、[A]は、Rb+、Cs+、NH4
+、及び1価の有機カチオンから選択される単一のモノカチオンであってもよい。一実施形態において、[A]は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、及びNH4
+から選択される少なくとも1種の無機モノカチオンであってもよい。例えば、[A]は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、及びNH4
+から選択される単一の無機モノカチオンであってもよい。別の実施形態において、[A]は、少なくとも1種の1価の有機カチオンであってもよい。例えば、[A]は、単一の1価の有機カチオンであってもよい。[A]は第二のカチオンに関して記載したような1種以上のカチオンを含んでもよい。
【0104】
好ましくは、[A]は単一種のカチオンである、すなわち、ヘキサハロメタラートは式A2[M][X]6の化合物である。[A]は、K+、Rb+、Cs+、NH4
+、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(N(CH2CH3)4)+、(N(CH2CH2CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+及び(H2N-C(CH3)=NH2)+から選択される単一のモノカチオンであってもよい。好ましくは、[A]はCs+、NH4
+、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(N(CH2CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、及び(H2N-C(CH3)=NH2)+から選択される単一のモノカチオンである。一実施形態において、[A]は(CH3NH3)+である。別の実施形において、[A]は(H2N-C(H)=NH2)+である。
【0105】
[M]は、1種以上の適切な金属又は半金属のテトラカチオンを含んでもよい。金属には、元素周期表の3~12族の元素、並びにGa、In、Tl、Sn、Pb、Bi、及びPoが含まれる。半金属には、Si、Ge、As、Sb、及びTeが含まれる。例えば、[M]は、Ti4+、V4+、Mn4+、Fe4+、Co4+、Zr4+、Nb4+、Mo4+、Ru4+、Rh4+、Pd4+、Hf4+、Ta4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Po4+、Si4+、Ge4+、及びTe4+から選択される少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンであってもよい。典型的には、[M]はPd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、及びTe4+から選択される少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンである。例えば、[M]はPd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、及びTe4+から選択される単一の金属又は半金属のテトラカチオンであってもよい。
【0106】
典型的には、[M]はSn4+、Te4+、Ge4+、及びRe4+から選択される少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンである。一実施形態において、[M]はPb4+、Sn4+、Te4+、Ge4+、及びRe4+から選択される少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンである。例えば、[M]はPb4+、Sn4+、Te4+、及びGe4+から選択される少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンであってもよい。好ましくは、[M]はSn4+、Te4+、及びGe4+から選択される少なくとも1種の金属又は半金属のテトラカチオンである。上に述べたように、ヘキサハロメタラート化合物は、混合金属ヘキサハロメタラート又は単一金属ヘキサハロメタラートであってもよい。好ましくは、ヘキサハロメタラート化合物は、単一金属ヘキサハロメタラート化合物である。より好ましくは、[M]はSn4+、Te4+、及びGe4+から選択される単一の金属又は半金属のテトラカチオンである。例えば、[M]は、Te4+である単一の金属又は半金属のテトラカチオンであってもよい。例えば、[M]はGe4+である単一の金属又は半金属のテトラカチオンであってもよい。最も好ましくは、[M]はSn4+である単一の金属又は半金属のテトラカチオンである。
【0107】
[X]は、少なくとも1種のハロゲン化物アニオンであってもよい。したがって、[X]は、F-、Cl-、Br-、及びI-から選択される少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである。典型的には、[X]はCl-、Br-、及びI-から選択される少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである。ヘキサハロメタラート化合物は、混合ハロゲン化物ヘキサハロメタラート又は単一ハロゲン化物ヘキサハロメタラートであってもよい。ヘキサハロメタラートが混合である場合、[X]は、F-、Cl-、Br-、及びI-から選択される2種、3種、又は4種のハロゲン化物アニオンである。典型的には、混合ハロゲン化物化合物において、[X]はF-、Cl-、Br-、及びI-から選択される2種のハロゲン化物アニオンである。
【0108】
典型的には、[A]は単一のモノカチオンであり、[M]は単一の金属又は半金属のテトラカチオンである。したがって、結晶性材料は、例えば、式(IIIA)
A2M[X]6 (IIIA)
(式中、Aはモノカチオンであり、Mは金属又は半金属のテトラカチオンであり、[X]は少なくとも1種のハロゲン化物アニオンである)のヘキサハロメタラート化合物を含んでもよい。[X]は、F-、Cl-、Br-、及びI-から選択され、好ましくはCl-、Br-、及びI-から選択される1種、2種、又は3種のハロゲン化物アニオンであってもよい。式(IIIA)において、[X]は、好ましくはCl-、Br-、及びI-から選択される1種又は2種のハロゲン化物アニオンである。
【0109】
結晶性材料は、例えば、式(IIIB)
A2MX6-yX’y (IIIB)
(式中、Aはモノカチオン(すなわち、第二のカチオン)であり、Mは金属又は半金属のテトラカチオン(すなわち、第一のカチオン)であり、X及びX’はそれぞれ独立して(異なる)ハロゲン化物アニオン(すなわち、2種類の第二のアニオン)であり、yは0から6である)のヘキサハロメタラート化合物を含んでもよく、又は本質的にその化合物で構成されてもよい。yが0又は6である場合、ヘキサハロメタラート化合物は単一ハロゲン化物化合物である。yが0.01から5.99の場合、化合物は混合ハロゲン化物ヘキサハロメタラート化合物である。化合物が混合ハロゲン化物化合物である場合、yは0.05から5.95であってもよい。例えば、yは1.00から5.00であってもよい。
【0110】
ヘキサハロメタラート化合物は、例えば、A2SnF6-yCly、A2SnF6-yBry、A2SnF6-yIy、A2SnCl6-yBry、A2SnCl6-yIy、A2SnBr6-yIy、A2TeF6-yCly、A2TeF6-yBry、A2TeF6-yIy、A2TeCl6-yBry、A2TeCl6-yIy、A2TeBr6-yIy、A2GeF6-yCly、A2GeF6-yBry、A2GeF6-yIy、A2GeCl6-yBry、A2GeCl6-yIy、A2GeBr6-yIy、A2ReF6-yCly、A2ReF6-yBry、A2ReF6-yIy、A2ReCl6-yBry、A2ReCl6-yIy、又はA2ReBr6-yIy、(式中、AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2
4)+、又は(H2N-C(R1)=NH2)+であり、ここでR1はH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であり、R2は置換又は非置換のC1~10アルキル基であり、yは0から6である)であってもよい。場合によって、yは0.01から5.99である。ヘキサハロメタラート化合物が混合ハロゲン化物化合物である場合、yは典型的には1.00から5.00である。Aは、上記に定義する通りであってもよい。例えば、Aは、Cs+、NH4
+、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(N(CH2CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、又は(H2N-C(CH3)=NH2)+であってもよく、例えば、Cs+、NH4
+、又は(CH3NH3)+であってもよい。
【0111】
ヘキサハロメタラート化合物は、典型的にはA2SnF6-yCly、A2SnF6-yBry、A2SnF6-yIy、A2SnCl6-yBry、A2SnCl6-yIy、又はA2SnBr6-yIy(式中、AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2
4)+、又は(H2N-C(R1)=NH2)+であるか、本明細書において定義する通りであり、ここでR1はH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であるか、本明細書において定義する通りであり、R2は置換又は非置換のC1~10アルキル基であるか、本明細書において定義する通りであり、yは0から6であるか、本明細書において定義する通りである)であってもよい。
【0112】
別の実施形態において、ヘキサハロメタラート化合物は、A2GeF6-yCly、A2GeF6-yBry、A2GeF6-yIy、A2GeCl6-yBry、A2GeCl6-yIy、又はA2GeBr6-yIy(式中、AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2
4)+、又は(H2N-C(R1)=NH2)+であるか、本明細書において定義する通りであり、ここでR1はH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であるか、本明細書において定義する通りであり、R2は置換又は非置換のC1~10アルキル基であるか、本明細書において定義する通りであり、yは0から6であるか、本明細書において定義する通りである)である。
【0113】
ヘキサハロメタラート化合物は、例えば、A2TeF6-yCly、A2TeF6-yBry、A2TeF6-yIy、A2TeCl6-yBry、A2TeCl6-yIy、又はA2TeBr6-yIy(式中、AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2
4)+、又は(H2N-C(R1)=NH2)+であるか、本明細書において定義する通りであり、ここでR1はH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であるか、本明細書において定義する通りであり、R2は置換又は非置換のC1~10アルキル基であるか、本明細書において定義する通りであり、yは0から6であるか、本明細書において定義する通りである)であってもよい。
【0114】
多くの場合、yは1.50から2.50となる。例えば、yは1.80から2.20であってもよい。これは、化合物が以下に述べるように2当量のAX’と1当量のMX4を用いて製造される場合に起こり得る。
【0115】
一部の実施形態において、イオンの全てが単一のアニオンである。したがって、結晶性材料は、式(IIIC)
A2MX6 (IIIC)
(式中、Aはモノカチオンであり、Mは金属又は半金属のテトラカチオンであり、Xはハロゲン化物アニオンである)のヘキサハロメタラート化合物を含んでもよく、又は本質的にその化合物で構成されてもよい。A、M、及びXは、本明細書において定義する通りであってもよい。
【0116】
ヘキサハロメタラート化合物は、A2SnF6、A2SnCl6、A2SnBr6、A2SnI6、A2TeF6、A2TeCl6、A2TeBr6、A2TeI6、A2GeF6、A2GeCl6、A2GeBr6、A2GeI6、A2ReF6、A2ReCl6、A2ReBr6、又はA2ReI6、(式中、AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2
4)+、又は(H2N-C(R1)=NH2)+であり、ここでR1はH、置換若しくは非置換のC1~20アルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基であり、R2は置換又は非置換のC1~10アルキル基である)であってもよい。Aは、本明細書において定義する通りであってもよい。
【0117】
好ましくは、ヘキサハロメタラート化合物は、Cs2SnI6、Cs2SnBr6、Cs2SnBr6-yIy、Cs2SnCl6-yIy、Cs2SnCl6-yBry、(CH3NH3)2SnI6、(CH3NH3)2SnBr6、(CH3NH3)2SnBr6-yIy、(CH3NH3)2SnCl6-yIy、(CH3NH3)2SnCl6-yBry、(H2N-C(H)=NH2)2SnI6、(H2N-C(H)=NH2)2SnBr6、(H2N-C(H)=NH2)2SnBr6-yIy、(H2N-C(H)=NH2)2SnCl6-yIy、又は(H2N-C(H)=NH2)2SnCl6-yBry(式中、yは0.01から5.99である)である。yは、本明細書において定義する通りであってもよい。例えば、ヘキサハロメタラート化合物は、(CH3NH3)2SnI6、(CH3NH3)2SnBr6、(CH3NH3)2SnCl6、(H2N-C(H)=NH2)2SnI6、(H2N-C(H)=NH2)2SnBr6、又は(H2N-C(H)=NH2)2SnCl6であってもよい。ヘキサハロメタラート化合物は、Cs2SnI6、Cs2SnBr6、Cs2SnCl6-yBry、(CH3NH3)2SnI6、(CH3NH3)2SnBr6、又は(H2N-C(H)=NH2)2SnI6であってもよい。
【0118】
結晶性A/M/X材料は、ビスマスハロゲノメタラート又はアンチモンハロゲノメタラートを含んでよい。例えば、結晶性A/M/X材料は、(i)1種以上のモノカチオン([A])又は1種以上のジカチオン([B])、(ii)1種以上の金属又は半金属トリカチオン([M])、及び(iii)1種以上のハロゲン化物アニオン([X])を含むハロゲノメタラート化合物を含んでもよい。化合物は、式BBiX5、B2BiX7、又はB3BiX9(式中、Bは(H3NCH2NH3)2+、(H3N(CH2)2NH3)2+、(H3N(CH2)3NH3)2+、(H3N(CH2)4NH3)2+、(H3N(CH2)5NH3)2+、(H3N(CH2)6NH3)2+、(H3N(CH2)7NH3)2+、(H3N(CH2)8NH3)2+、又は(H3N-C6H4-NH3)2+であり、Xは、I-、Br-、又はCl-、好ましくはI-である)の化合物であってよい。
【0119】
結晶性A/M/X材料は、典型的に式CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbF3、CH3NH3PbBrxI3-x、CH3NH3PbBrxCl3-x、CH3NH3PbIxBr3-x、CH3NH3PbIxCl3-x、CH3NH3PbClxBr3-x、CH3NH3PbI3-xClx、CH3NH3SnI3、CH3NH3SnBr3、CH3NH3SnCl3、CH3NH3SnF3、CH3NH3SnBrI2、CH3NH3SnBrxI3-x、CH3NH3SnBrxCl3-x、CH3NH3SnF3-xBrx、CH3NH3SnIxBr3-x、CH3NH3SnIxCl3-x、CH3NH3SnF3-xIx、CH3NH3SnClxBr3-x、CH3NH3SnI3-xClx、CH3NH3SnF3-xClx、CH3NH3CuI3、CH3NH3CuBr3、CH3NH3CuCl3、CH3NH3CuF3、CH3NH3CuBrI2、CH3NH3CuBrxI3-x、CH3NH3CuBrxCl3-x、CH3NH3CuF3-xBrx、CH3NH3CuIxBr3-x、CH3NH3CuIxCl3-x、CH3NH3CuF3-xIx、CH3NH3CuClxBr3-x、CH3NH3CuI3-xClx、又はCH3NH3CuF3-xClx(式中xは0から3である)のペロブスカイト化合物を含む。好ましくは、ペロブスカイト化合物はCH3NH3PbI3である。結晶性A/M/X材料の層は、例えば1種以上のこれらのペロブスカイトを95wt%を超えて含んでよい。
【0120】
プロセス条件
典型的に、モル比(第一の前駆体化合物):(第二の前駆体化合物)は、1:2から2:1である。例えば、モル比(第一の前駆体化合物):(第二の前駆体化合物)は、1:1.5から1.5:1、又は1.1:1から1.3:1であってよい。
【0121】
前駆体化合物及び溶媒を含む前駆体組成物における前駆体化合物の最終濃度は、典型的には10から60wt%である。濃度は、20から50wt%又は15から35wt%、例えば、約30wt%であってよい。パーセンテージは、前駆体組成物の合計重量に対するものである。
【0122】
典型的に、前駆体組成物は、溶液相堆積、例えば、グラビアコート、スロットダイコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコート、スプレーコート、又はスピンコートにより基板上に配置される。典型的に前駆体組成物は、基板上に前駆体組成物をスピンコートすることにより、基板上に配置される。
【0123】
本発明の方法により製造される結晶性材料の層は、平滑となり得る。例えば、結晶性材料の層は、15μm×15μmの範囲における二乗平均平方根表面粗さが50nm以下となり得る。多くの場合、15μm×15μmの範囲における二乗平均平方根表面粗さは25nm以下、又は15nm以下となり得る。表面粗さは、原子間力顕微鏡法によって測定してよい。
【0124】
通常、結晶性A/M/X材料の層は、5から3000nmの厚さを有する。典型的には、結晶性A/M/X材料の層は、20から1000nm、例えば、100から1000nm又は300から1000nmの厚さを有する。好ましくは、結晶性A/M/X材料の層は、100nm以上、例えば100から3000nm又は100から700nmの厚さを有する。
【0125】
典型的には、方法はさらに、溶媒を除去してペロブスカイト化合物を含む層を形成することを含む。溶媒を除去することは、溶媒を加熱すること又は溶媒を蒸発させることを含んでよい。
【0126】
多くの場合、結晶性A/M/X材料の層をアニールすることが望ましい。典型的には、方法はさらに、前駆体組成物が上に配置された基板を加熱することを含む。好ましくは、基板は50℃から400℃、例えば、50℃から200℃の温度に加熱される。より好ましくは、基板は50℃から200℃の温度に5から100分間加熱される。
【0127】
一実施形態において、方法は、(a)PbI2、(b)アセトニトリル及びメチルアミンを含む溶媒、及び(c)(CH3NH3)Iを含む前駆体組成物を、基板上に配置することを含む。
【0128】
基板は、典型的には第一の電極材料の層を含む。第一の電極材料は、金属(例えば、銀、金、アルミニウム、又はタングステン)、又は透明導電性酸化物(例えば、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、又はインジウムドープ酸化スズ(ITO))を含んでよい。典型的には、第一の電極材料は透明導電性酸化物を含む。
【0129】
基板は、例えば、第一の電極材料の層とn型半導体の層とを含んでもよい。多くの場合、基板は、透明導電性酸化物、例えばFTOの層と、n型半導体、例えばTiO2の緻密層とを含む。
【0130】
一部の実施形態において、基板は、多孔質の足場材料の層を含む。
【0131】
多孔質の足場の層は通常は、n型又はp型半導体材料の層、例えば、n型半導体の緻密層又はp型半導体の緻密層に接触している。足場材料は典型的には、メソ多孔質又はマクロ多孔質である。足場材料は、結晶性材料から隣接領域への電荷輸送を支援し得る。足場材料は、堆積(成膜)時に結晶性材料の層の形成も支援し得る。多孔質の足場材料には、典型的には堆積後に結晶性材料が浸潤する。
【0132】
典型的には、多孔質の足場材料は、誘電材料又は電荷輸送材料を含む。足場材料は、誘電性の足場材料であってもよい。足場材料は、電荷輸送足場材料であってもよい。多孔質の足場材料は、電子輸送材料又は正孔輸送足場材料であってもよい。n型半導体は、電子輸送材料の例である。p型半導体は、正孔輸送足場材料の例である。好ましくは、多孔質の足場材料は誘電性の足場材料又は電子輸送足場材料(例えばn型足場材料)である。
【0133】
多孔質の足場材料は、電荷輸送足場材料(例えば、酸化チタン等の電子輸送材料、あるいは正孔輸送材料)、又は酸化アルミニウム等の誘電材料であってもよい。「誘電材料」という用語は、本明細書において使用した場合、電気的な絶縁体であるか電流をほとんど伝導しない導体である材料を意味する。したがって、誘電性という用語には、酸化チタン等の半導性材料は含まれない。誘電性という用語は、本明細書において使用した場合、典型的にはバンドギャップが4.0eV以上の材料を意味する(酸化チタンのバンドギャップは約3.2eVである)。当業者は当然、必要以上の実験を必要としない周知の手順を用いて材料のバンドギャップを容易に測定することができる。例えば、材料のバンドギャップは、材料で光起電力ダイオード又は太陽電池を構築し、光起電力作用スペクトルを判定することによって推定することができる。ダイオードが光電流を発生し始める時点の単色光子エネルギーを、材料のバンドギャップとして採用することができる。このような方法は、Barkhouseら、Prog.Photovolt:Res.Appl.2012、20:6-11で使用されたものである。本明細書において材料のバンドギャップに言及する場合、それはこの方法で測定されたバンドギャップ、すなわち、その材料で構築した光起電力ダイオード又は太陽電池の光起電力作用スペクトルを記録し、有意な光電流が発生し始める時点の単色光子エネルギーを観察することによって判定されたバンドギャップのことである。
【0134】
多孔質足場の層の厚さは、典型的には5nmから400nmである。例えば、多孔質足場の層の厚さは、10nmから50nmであってもよい。
【0135】
基板は、例えば、第一の電極材料の層、n型半導体の層、及び誘電性の足場材料の層を含んでよい。したがって、基板は、透明導電性酸化物の層、TiO2の緻密層、及びAl2O3の多孔質層を含んでもよい。
【0136】
多くの場合、基板は第一の電極材料の層と、n型半導体の層又はp型半導体の層とを含む。場合によっては、n型半導体又はp型半導体はジメチルホルムアミドに溶解する。
【0137】
典型的には、基板は第一の電極材料の層を含み、場合によっては、n型半導体の層、p型半導体の層、及び絶縁材料の層からそれぞれ選択される1種以上の追加の層を含む。典型的には、前駆体組成物が配置される基板の表面は、第一の電極材料、n型半導体の層、p型半導体の層、及び絶縁材料の層のうち1種以上を含む。前駆体組成物が配置される基板の表面は、ジメチルホルムアミドに溶解する材料の層を含んでよい。
【0138】
例えば、n型半導体又はp型半導体は、C60又はカーボンナノチューブを含んでよい。p型半導体は、無機又は有機p型半導体を含んでもよい。典型的には、p型半導体は、有機p型半導体を含む。適切なp型半導体は、高分子状又は分子状の正孔輸送体から選択されてよい。p型半導体は、スピロOMeTAD(2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9’-スピロビフルオレン))、P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン))、PCPDTBT(ポリ[2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル[4,4-ビス(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b:3,4-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル]])、又はPVK(ポリ(N-ビニルカルバゾール))を含んでよい。p型半導体は、カーボンナノチューブを含んでもよい。通常は、p型半導体は、スピロOMeTAD、P3HT、PCPDTBT、及びPVKから選択される。好ましくは、p型半導体はスピロOMeTADである。
【0139】
方法は、多接合電池を製造するための方法において使用されてよく、よって、基板は光活性材料の層、例えば、A/M/X材料の層を含んでよい。
【0140】
場合によっては、溶媒はさらにジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。溶媒は、例えば、第一の前駆体化合物中の第一のカチオンMの量の1.0から2.0当量の量でDMSOを含んでよい。
【0141】
また、本発明は、本明細書で定義した結晶性A/M/X材料を含む層を製造するための方法から得られる(又は得られた)結晶性A/M/X材料を含む層を提供する。
【0142】
層は(i)結晶性A/M/X材料と(ii)アルキルアミンとを含んでよく、場合によっては、アルキルアミンの量は層の重量に対して0.001から1.0wt%である。層は、(i)結晶性A/M/X材料と、(ii)0.001から1.0wt%(例えば、0.1から1.0wt%)の量のメチルアミン、プロピルアミン、又はブチルアミンとを含んでよい。
【0143】
デバイスを製造する方法
本発明は、結晶性A/M/X材料の層を含む半導体デバイスを製造する方法であって、本明細書で定義された通りの方法により前記結晶性A/M/X材料の層を製造することを含む方法も提供する。
【0144】
方法は典型的には、結晶性材料の層の上にp型半導体の層、又はn型半導体の層を配置することをさらに含む。多くの場合、方法は典型的には、結晶性材料の層の上にp型半導体の層を配置することを含む。n型又はp型半導体は、本明細書において定義する通りであってもよい。例えば、p型半導体は、有機p型半導体であってもよい。適切なp型半導体は、高分子状又は分子状正孔輸送体から選択されてもよい。好ましくは、p型半導体は、スピロOMeTADである。p型半導体の層又はn型半導体の層は典型的に、溶液処理によって、例えば溶媒とn型又はp型半導体とを含む組成物を配置することによって、結晶性材料の層の上に配置される。溶媒は、極性溶媒、例えばクロロベンゼン又はアセトニトリルから選択されてもよい。p型半導体の層又はn型半導体の層の厚さは、典型的には50nmから500nmである。
【0145】
方法は、典型的にはp型半導体又はn型半導体の層の上に第二の電極材料の層を配置することをさらに含む。第二の電極材料は、第一の電極材料に関して上記に定義した通りであってもよい。典型的には、第二の電極材料は、金属を含むか、又は本質的に金属で構成される。第二の電極材料が含んでもよい金属、又は第二の電極材料を本質的に構成する金属の例としては、銀、金、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、又はタングステンが挙げられる。第二の電極は真空蒸着により配置されてもよい。第二の電極材料の層の厚さは、典型的には5nmから100nmである。
【0146】
典型的には、半導体デバイスは、光電子デバイス、光起電デバイス、太陽電池、光検出器、フォトダイオード、光センサー、発色デバイス、トランジスタ、感光性トランジスタ、光トランジスタ、固体三極素子、電池、電池電極、コンデンサ、スーパーコンデンサ、発光デバイス、発光ダイオード、又はレーザーである。
【0147】
半導体デバイスは、典型的には光電子デバイスである。光電子デバイスの例としては、光起電デバイス、フォトダイオード(太陽電池を含む)、光トランジスタ、光電子増倍管、フォトレジスタ、及び発光デバイスが挙げられる。好ましくは、半導体デバイスは光起電デバイスである。
【0148】
本発明は、本発明に従う半導体デバイスを製造する方法によって得ることができる半導体デバイスも提供する。
【0149】
本発明に従う光起電デバイスは、以下の層を以下の順序で含んでもよい。
I. 本明細書において定義する第一の電極材料の層、
II. 本明細書において定義するn型半導体の層、
III. 場合によって本明細書において定義する多孔質の足場材料の層、
IV. 本明細書において定義する結晶性材料の層、
V. 本明細書において定義するp型半導体の層、及び
VI. 本明細書において定義する第二の電極材料の層。
【0150】
本発明に従う光起電デバイスは、以下の層を以下の順序で含んでもよい。
I. 透明導電性酸化物、好ましくはFTOの層、
II. 本明細書において定義するn型半導体、好ましくはTiO2の緻密層、
III. 場合によって本明細書において定義する多孔質の足場材料、好ましくはAl2O3、又はTiO2の層、
IV. 本明細書において定義する結晶性材料の層、
V. 本明細書において定義するp型半導体、好ましくはスピロOMeTADの層、及び
VI. 金、又は銀を含む第二の電極材料の層。
【0151】
第一の電極材料の層は、厚さが50nmから700nm、例えば100nmから700nm、又は100nmから400nmであってもよい。第二の電極材料の層は、厚さが10nmから500nm、例えば50nmから200nm、又は10nmから50nmであってもよい。n型半導体の層は、厚さが1nmから500nm、例えば50から500nmであってもよい。p型半導体の層は、厚さが1nmから500nmであってもよい。
【0152】
本発明に従う多接合光起電デバイスは、以下の層を以下の順で含んでよい。
I. 本明細書において定義する第一の電極材料の層、
II. 本明細書において定義するn型半導体の層、
III. 場合によって本明細書において定義する多孔質の足場材料の層、
IV. 本明細書において定義する第一の結晶性A/M/X材料の層、
V. 本明細書において定義するp型半導体の層、
VI. 場合によって本明細書において定義する透明導電性酸化物の層、
VII. 場合によって本明細書において定義する導電性有機半導体の層、
VIII.本明細書において定義するn型半導体の層、
IX. 場合によって本明細書において定義する多孔質の足場材料の層、
X. 本明細書において定義する第二の結晶性材料の層、
XI. 本明細書において定義するp型半導体の層、及び
XII. 本明細書において定義する第二の電極材料の層。
【0153】
第一及び第二の結晶性材料は異なるエネルギーのバンドギャップを有し、それにより第一の結晶性材料がより高いエネルギーのフォトン(可視光)を吸収し、第二の結晶性材料がより低いエネルギーのフォトン(赤外光)を吸収するだろう。上述の例において、二接合又はタンデム太陽電池を説明した。これはさらに、異なるバンドギャップを有する3種以上の結晶性材料を含む、三以上の接合にさらに拡張できる。
【0154】
組成物
本発明は、本発明の方法において有用な液体の組成物(例えばインク)及び固体の組成物も提供する。特に、本発明は、
(i)式MXn(式中、MはCa2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、Eu2+、Bi3+、Sb3+、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、又はTe4+、好ましくは、Cu2+、Pb2+、Ge2+、又はSn2+であり、XはI-、Br-、Cl-、又はF-であり、nは2、3、又は4である)の化合物、
(ii)式AX(式中、Aは(R1NH3)+、(NR2
4)+、及び(H2N-C(R1)=NH2)+であり、R1はH又は非置換のC1-6アルキル基であり、各R2は非置換のC1-6アルキル基であり、XはI-、Br-、Cl-、又はF-である)の化合物、
(iii)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物、及び
(iv)式RANH2(式中、RAはC1-8アルキル基である)のアルキルアミン
を含む組成物を提供する。
【0155】
典型的に、組成物は、
(i)式MX2(式中、MはCd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、又はPb2+であり、XはI-、Br-、又はCl-である)の化合物、
(ii)式AX(式中、AはCs+、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、又は(H2N-C(CH3)=NH2)+であり、XはI-、Br-、又はCl-である)の化合物
(iii)アセトニトリル、及び
(iv)式RANH2(式中RAは非置換のC1-6アルキル基である)のアルキルアミン
を含む。
【0156】
好ましくは、組成物は(i)PbI2、PbBr2、又はPbCl2、より好ましくはPbI2、(ii)(CH3NH3)I、(CH3NH3)Br、又は(CH3NH3)Cl、より好ましくは(CH3NH3)I、(iii)アセトニトリル、及び(iv)メチルアミンを含む。
【0157】
組成物の任意の成分の濃度又は量は、本明細書に定義した通りであってよい。例えば、モル比(MXn):(AX)は1:2から2:1であってよく、(アルキルアミン):(MXn)のモル比は1×10-7:1から0.5:1、場合によっては1×10-7:1から0.1:1であってよい。
【0158】
用途
本発明は、また、結晶性A/M/X材料の層を製造するための方法における層形成を向上させるための、(i)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と(ii)アルキルアミンとを含む、溶媒の使用を提供する。本発明は、また、結晶性A/M/X材料の層を製造するための方法において層中の欠陥の存在を減少させることによって層形成を向上させるための、(i)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と(ii)アルキルアミンとを含む、溶媒の使用を提供する。結晶性A/M/X材料の層を製造するための方法は、典型的には、本明細書においてさらに定義される通りである。
【実施例】
【0159】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0160】
実験手順
前駆体溶液:
PbI2(純度99%、Sigma Aldrich)及びMAI(Dyesol)をバイアル瓶中で1:1のモル比で混合した。アセトニトリル(ACN、Sigma Aldrich)を、結果としてモル濃度が0.5Mになるようにバイアル瓶に加えた。次いで、分散液を黒色粉末が形成されるまで5分間振とう機に置いた。メチルアミンの40wt%水溶液(Sigma Aldrich)を乾燥管に接続したバブラー中に置いた。窒素を系に流しながら、メチルアミン溶液を氷浴中に置いておいた。次いで、バブリング系をシリンジを介してACN分散液に接続し、黒色分散液にメチルアミンを、透明で淡黄色の溶液が得られるまでバブリングした。
【0161】
プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン(アミルアミン)のような液体アルキルアミンについては、アミンを、最終溶液のモル濃度が0.5Mになるように、1:1の体積比でACN分散液に直接加えた。
【0162】
膜作製:
すべての膜を2000rpmで1分間スピンコートし、特に明記しない限り100℃で60分間加熱した。
【0163】
デバイス作製:
簡潔には、FTO被覆ガラスシート(7Ωcm-1、Pilkington)を亜鉛粉末及びHCl(3M)でエッチングし、必要な電極パターンを得た。次いで、シートを、洗浄剤(水中2%Hellmanex)、脱イオン水、アセトン、及びメタノールで洗浄し、最後に酸素プラズマ下で10分間処理し有機残留物の最後の痕跡を除去した。次いで、100nmの厚さのTiO2の緻密層を、無水エタノールで希釈したチタンイソプロポキシドを用いてガラス上に堆積し、45分間500℃で焼結した。C60電子選択性層を作製するために、クロロベンゼン中の濃度10mg/mlの溶液を3時間完全に溶解するまで撹拌し続けた。次いで、この溶液を(上記のとおり)洗浄したFTO基板に3500rpmの速度でスピンコートした。次いで、基板を70℃で15分間加熱し、その後ペロブスカイト膜の堆積を進める前に室温まで冷ました。次いで、ACN/アルキルアミン中の0.5M溶液を基板に2000rpmの速度で60秒間スピンコートした。次いで、膜を100℃で45分間オーブン中に置き、その後真空チャンバー中で15分間脱気した。次に、正孔輸送材料(HTM)スピロOMeTADを、濃度30mMのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li-TFSI)及び濃度80mMのtert-ブチルピリジン(tBP)の添加剤とともに、クロロベンゼン中に溶解させた。最後に、熱蒸着を用いて、110nmの厚さの銀電極をシャドーマスクを介してデバイス上に蒸着した。
【0164】
太陽電池特性:
太陽電池性能を、放射照度100mW/cm2の擬似AM1.5太陽光を与えるように較正したclass AAB ABET sun 2000ソーラーシミュレータを用いて測定した。不整合率をおよそ1.02と見積もり、ソーラーシミュレータの強度を設定する際に適用した。放射照度はNRELで較正したKG5フィルター付きシリコン参照電池を用いて較正した。電流/電圧曲線を、ソースメータ(Keithley 2400、米国)を用いて記録した。すべての太陽電池を、デバイスの活性面積(本件では0.0919cm2)を明確にするために用いられる金属開口でマスクした。すべてのデバイスを、試験前に暗所のデシケータ内で12時間保管した。
【0165】
実施例1-ACN/メチルアミン
上述したACN/メチルアミン溶液をスピンコートすると、DMFからスピンコートした膜に対する違いが即座にみられた。それは、スピンコーター上でペロブスカイトが形成されたことである。これは、MAPbI
3(メチルアンモニウム鉛トリヨージド)ペロブスカイトの堆積では、溶媒クエンチを使用しない限り従前は見られなかった。スピンコーターから膜を取り外すと、高密度で連続した鏡面性の(鏡のような)膜であることが観察された。よって、ACN/MA溶媒混合物中に溶解したMAPbI
3の0.5M溶液からスピンコートしたMAPbI
3膜は、目視では非常に滑らかで鏡面性であり、欠陥がなかった。膜の一部分の走査型電子顕微鏡(SEM)像を
図1に示す。驚くべきことに、高倍率のSEM像を調べると、大きさが3マイクロメートルまでの大きな結晶の存在が観察された。これは、この膜作製方法に、溶媒クエンチのような速い結晶化を引き起こしたり又は酢酸鉛前駆体を用いたりするその他の方法に対する明確な利点をもたらす。なぜなら、これらの方法は両方とも400から700nmの範囲の著しくより小さい結晶子という結果になるからである。
【0166】
ACN/メチルアミン前駆体から形成された生成物が期待していたMAPbI
3ペロブスカイトであることを確認するために、UV-Vis吸収及び定常状態PL測定を行った。結果を
図2に示し、MAPbI
3ペロブスカイトが形成されたことを確認した。
【0167】
膜質の比較試験として、一つのMAPbI
3膜を上述したACN/メチルアミン(ACN/MA)溶液からスピンコートし、別のMAPbI
3膜を溶媒がDMFであること(及びアルキルアミンが存在しないこと)以外は同じ組成を有する溶液からスピンコートした。膜は両方とも相対湿度30%の空気中でスピンコートし、オーブン中で30分間100℃で硬化(cure)した。硬化前後の膜の写真を撮った。ACN/MA混合溶媒系からスピンコートした膜はDMFから塗布した膜よりもはるかに滑らかで非常に高い鏡面性であることが直ちに明確になった。DMF膜は曇っていて鏡面性ではなかった。
図3に示す暗視野及び明視野の顕微鏡像は、ACN/MA膜(下部の顕微鏡写真:c、d)とDMF膜(下部の顕微鏡写真:a、b)の間で観察されたこの相違点の原因の一つを示している。DMFから塗布された膜は、連続しておらず、大量のピンホールに悩まされているが、一方、ACN/MAから塗布した膜は非常に滑らかでピンホールがない。
【0168】
図3の顕微鏡像から、ACN/MAからスピンコートした膜は高密度で、連続していて、ピンホールのない膜であり、対応するDMFからスピンコートした膜と対照的であることが明らかである。この溶媒系が優れた質の膜を製造することの実証に続いて、上記方法論を用いてデバイスを作製した。アニール時間をまず最適化した。この結果を
図4、5にまとめる。
【0169】
図4、5から、スピンコーター上で膜を形成しても、依然としてアニールにより利点を得ることができることがわかる。このアニール時間は、過剰のメチルアミンをペロブスカイト膜から追い出すために必要とされる可能性がある。これらのデバイスの性能を最適化するために、45分のアニール時間を選択し、続いて真空下、室温で15分間脱気した。作製されたデバイスは全てTiO
2緻密層上に製造される。
【0170】
ACNを溶媒として用いることも主な利点の一つは、C60及びPCBMのような有機n型層がこの溶媒に溶解しないことである。C60の膜に対するACNの影響を評価するために、C60の膜を予めキャストして上記方法欄に記載したように硬化し、DMF又はACN/MA溶媒混合物のいずれか一方を膜の上にスピンコートした。これらの溶媒の膜に対する影響をUV-Vis吸光度測定を用いて検討した。その結果を
図6に示す。結果は、DMFがC60膜の吸光度を低下させており、これは膜の一部が洗い流され、それにより層の厚みが減少したことの直接的な結果として発生していることを非常に明確に示している。しかしながら、これはACN/MA溶媒をC60膜上にスピンコートした場合には当てはまらない。これは、ACN/アルキルアミン溶媒により、DMFの場合に発生するようなデバイスのその他の層に生じるダメージの問題を解消できることを裏付けている。
【0171】
ペロブスカイト太陽電池が示す電流-電圧ヒステリシスに対してC60が有することが示されてきた有益な効果を考慮して、以下に示す全てのデバイスは、C60電子選択性コンタクト層を用いて作製した。
【0172】
次に、PbI
2とMAIの比を最適化し、小過剰のPbI
2によりデバイス性能が向上することが分かった。デバイス性能の結果を
図7に示す。最適化したモル比を用いることで、17.9%の電力変換効率(PCE)(これは任意の非DMFベースの平面ヘテロ接合デバイスの最高記録であり、低沸点溶媒でも初めてのことである)を有するデバイスが作製された。このチャンピオンデバイスのJV特性を
図8に示す。このデバイスは、23.5mA/cm
2の短絡電流密度、17.9%の電力変換効率、1.07Vの開放電圧、及び0.71の曲線因子を有していた。最大電力点に保持すると、10.5%の定常状態効率及び13.08mA/cm
2の電流密度を生じさせた。
【0173】
実施例2-その他のアルキルアミン
メチルアミンについて得られた結果を考慮して、プロピルアミン、ブチルアミン、又はペンチルアミンの添加を用いて同様の実験を行った。全ての場合において、アルキルアミンの存在により前駆体化合物のACN中での溶解が向上し、同様の混合溶媒前駆体溶液がこれらのアミンにより形成されたことが観察された。
【0174】
ACN/アルキルアミン前駆体溶液をスピンコートして薄膜を形成した。前駆体を溶解するためにより長鎖のアルキルアミンを用いることで、結果として層状のペロブスカイト構造ABX4が形成されることが観察された。このことは、溶媒和のために使用されるアルキルアミンがペロブスカイト構造中にも含まれていることを示唆している。なお、純液体アミンを用いる場合、前駆体粉末を2mlのACNに完全に溶解するためにはアミンをおよそ90マイクロリットルしか必要としない。しかし、比較を容易にするため、使用したすべての溶液の最終的なモル濃度は一定とした。
【0175】
異なる組み合わせのアミンをアセトニトリルとともに用い、膜の色を調整できることが見出された。
図9は、ACN/MA/ブチルアミン(BA)混合物からスピンコートしたMAPbI
3膜のUV-Vis吸光度データを示している。数字は、溶液1ミリリットルに対して加えたBAの体積(マイクロリットル単位)を示している。最上部の線は、コントロール(ブチルアミンを含まない)であり、最下部はBA100であり、その他の線は凡例中に示された順番を維持している。溶液全体の濃度は、膜厚(500nm)を一定に保つために、全ての場合において0.5Mに維持した。ここで、このような材料に特有の励起子ピークの出現から証明されるように、30マイクロリットルのBAを添加すると、層状ペロブスカイトへの明確なシフトがあることが見られた。
【0176】
図10は、様々なBA濃度の膜の定常状態フォトルミネッセンスを示す。様々な体積のブチルアミンの添加に伴う、MAPbI
3の定常状態フォトルミネッセンススペクトルの強度のシフト及び変化が見られる。
【0177】
実施例3-ACN/メチルアミン
材料及び方法:
溶媒の調製
アセトニトリル/メチルアミン(ACN/MA)複合溶媒は様々な経路で調製できる。この実施例では、メチルアミンをCANに導入する二つの異なる方法を説明する。薄膜及びデバイスの検討のために、MAのエタノール溶液(Sigma Aldrich、33wt%)を氷浴中に保持したエアレータに置いた。次いで、キャリアガスであるN2を溶液にバブリングし、MAの溶液を脱気した。製造したMAガスを、乾燥剤(Drietire及びCaO)で満たした乾燥管を通過させた後、ペロブスカイト前駆体(1 MAI:1.06M PbI2)を0.5Mの濃度で含むACN(Sigma Aldrich)に直接バブリングした。ガスを黒色分散液に、ペロブスカイト粒子が完全に溶解して透明で淡黄色の溶液となるまでバブリングした。
【0178】
溶液中の全粒子が溶解した後、バイアル瓶をセプタムキャップで密封して、必要になるまで5℃で保管した。溶液は、少なくとも4か月までは、続いて製造されるデバイスの性能を何ら目に見えて劣化させることなくこれらの条件下で保管できる。溶液を必要に応じてストックから取り出し、その後バイアル瓶を再密封して冷蔵庫に戻した。
【0179】
溶媒の特性評価のために、純MAガスをACN中に凝縮することにより溶媒を調製した。これは最大濃度24wt%を達成できるが、これは非平衡濃度を意味し得る。全ての溶媒の特性評価について、用いた濃度は15wt%であった。この場合、混合溶媒は以下のようにして調製した。アセトニトリルをシュレンク管上の丸底フラスコ中に置き、凍結、排気、及び解凍を3サイクル行って脱気した。次いで、フラスコを、ガス注入管をアセトニトリルの液面の下にして、エチレングリコール及びドライアイスの-15℃の冷却槽に置いた。MAが液相でアセトニトリルに混合するように、MAガスを、アセトニトリルと接触したときに確実に凝縮するのに十分な低い速度で導入した。合成中のいくつかの点において、装置をシュレンク管から取り外して重量を量り、アセトニトリル中のMAの添加重量パーセントを特定した。各重量点において一定量の溶液を取り出し、密度を特定し、異なる濃度における前駆体塩の溶解を試験した。各重量点において、溶液を室温まで加熱し、MAガスの放出について圧力をモニターした。最大濃度は、室温に加熱したときにMAガスが溶液から出てきた点として特定した。この溶媒調製方法がキャリアガスの使用に匹敵するものであることを確かめるために、こうして調製した溶媒を用いてデバイスを作製し、同等の電力変換効率が得られた。
【0180】
粘度測定
コーンプレート形状のBrookfield DVI粘度計を用いて20℃で粘度を測定した。試料は複数の回転速度で試験し、ニュートン挙動を示した。
【0181】
n-i-pデバイスの作製
簡潔には、FTO被覆ガラスシート(7Ωcm-1、Hartford Glass)を亜鉛粉末及びHCl(3M)でエッチングし、必要な電極パターンを得た。次いで、シートを、洗浄剤(水中の2%Hellmanex)、脱イオン水、アセトン、及びメタノールで洗浄し、最後に酸素プラズマ下で10分間処理して有機残留物の最後の痕跡を除去した。特に明記しない限り、すべての化学薬品はSigma Aldrichから購入し、そのまま使用した。次いで、100nmの厚さのTiO2の緻密層を、無水エタノールで希釈したチタンイソプロポキシド(純度99.999%)を用いてガラス上に堆積し、45分間500℃で焼結した。基板を冷ましたあと、C60(1,2-ジクロロベンゼン中10mg/ml)又は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(MeOH中0.01wt%)の層を、それぞれ3500rpmで30秒間又は5000rpmで45秒間のスピンコートにより堆積した。次いで、基板を80℃で2分間加熱し、ペロブスカイト膜の堆積を行う前に室温まで冷ました。冷却後、ACN/MA溶媒中の1:1.06のMAI(Dyesol)とPbI2(純度99%)の0.5M溶液を基板に、乾燥空気中で2000rpmで45秒間スピンコートし、その結果、平滑で緻密なペロブスカイト膜が形成された。次いで、メチルアンモニウムクロリド(MACl)の後処理を、100μlのMACl(Alfa Aesar、イソプロパノール中5mg/ml)を動的にスピンコートすることにより行った。次いで、基板を100℃で60分間加熱した。アニール後、基板を室温まで冷ました。次いで、正孔輸送材料(HTM)2,2′,7,7′-テトラキス(N,N′-ジ-p-メトキシフェニルアミン)-9,9′-スピロビフルオレン(スピロ-OMeTAD)を、濃度30mMのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li-TFSI)及び濃度80mMのtert-ブチルピリジン(tBP)の添加剤とともに、クロロベンゼンに溶解した。最後に、熱蒸着を用いて、110nmの厚さの銀電極をシャドーマスクを介してデバイス上に蒸着した。
【0182】
p-i-nデバイスの作製
FTO基板及び正孔輸送体(2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)をドープしたpoly-TPD)を用意した。上記と同じ方法により、ペロブスカイト膜を堆積し、処理した。フェニル-C61-酪酸メチルエステル(Solenne BVのPCBM、クロロベンゼン中20mg/mL)をペロブスカイト膜上に1.8krpmで30秒間動的にスピンコートし、その後90℃で10分間アニールした。いったん室温まで冷却し、バトクプロイン(Alfa AesarのBCP、イソプロパノール中0.5mg/mL)の薄膜を4krpmで20秒間動的にスピンコートした。最後に、熱蒸着を用いて、110nmの厚さの銀電極をシャドーマスクを介してデバイス上に蒸着した。
【0183】
大面積ペロブスカイト膜の作製
大面積ペロブスカイト膜を作製するために、ACN中0.5MのCH3NH3PbI3溶液1mlを基板の中心に堆積し、その後2000rpmで45秒間スピンした。この方法の結果、スピンコート中に結晶化する高鏡面性のペロブスカイト膜が得られた。
【0184】
分光法サンプルの作製
分光法サンプルを、洗浄しプラズマエッチングしたガラス上に作製した。すべてのサンプルは乾燥空気中でスピンコートした。CH3NH3PbI3サンプルについては、等モル量のMAI(Dyesol)及びPbI2(純度99%)をDMF又はACN/MA混合溶媒に濃度0.5Mで溶解した。次いで、これらの溶液を洗浄したガラス上に2000rpmで45秒間スピンコートした。ACN/MA溶媒の場合、次いでサンプルを100℃で所定時間(0≦tアニール≦75分)アニールした。一方、DMFの場合、サンプルを同じ温度で10分間アニールした。ACN/MAサンプルについては、次いで、メチルアンモニウムクロリド(MACl)の後処理を、100μlのMACl(Alfa Aesar、イソプロパノール中5mg/ml)を動的にスピンコートすることにより行った。CH3NH3PbI3-xClxサンプルについては、MAIとPbCl2をDMFにモル比3:1、濃度38wt%で溶解した。次いで、溶液を洗浄したガラス上に2000rpmで45秒間スピンコートし、その後100℃で2時間アニールした。ペロブスカイト層の堆積に続いて、膜を1%のポリ(メチルメタクリラート)溶液でコートした。典型的には、膜を、分光調査の前に、暗所のデシケータ内に12時間保管した。
【0185】
太陽電池特性評価
太陽電池性能を、放射照度100mW/cm2の擬似AM1.5太陽光を与えるように較正したclass AAB ABETソーラーシミュレータを用いて測定した。放射照度はNRELで較正したKG5フィルター付きシリコン参照電池を用いて較正した。電流/電圧曲線を、ソースメータ(Keithley 2400、米国)を用いて記録した。すべての太陽電池を、デバイスの活性面積(本件では指定により0.0912cm2又は0.7cm2)を明確にするために用いられる金属開口でマスクした。すべてのデバイスは、分光法サンプルのように、試験前に暗所のデシケータ内に12時間保管した。
【0186】
光学特性評価
吸収スペクトルをVarian Cary 300 UV-Vis分光光度計に記録した。定常状態及び時間分解PL測定を時間相関単一光子計数法(TCSPC)セットアップ(FluoTime 300、PicoQuant GmbH)を用いて行った。膜サンプルを、周波数0.3~10mHz、パルス幅117ps、フルエンス~30nJ/cm2にパルス化した507nmレーザーヘッド(LDH-P-C-510、PicoQuant GmbH)を用いて光励起した。高分解能モノクロメータ及びハイブリッドフォトマルチプライヤー検出器アセンブリ(PMA Hybrid 40、PicoQuant GmbH)を用いてPLを採取した。
【0187】
顕微鏡法
ThermoMicroscope M5をコンタクトモードで用いて5μm×5μmの範囲を256×256データ点の分解能で走査して、AFM像を得た。表面粗さを、走査領域全体にわたる二乗平均平方根粗さとして測定した。
【0188】
電界放出型走査SEM(Hitachi S-4300)を使用してSEM画像を得た。装置は、10-30kVで加速した電子線を用いており、様々な電流値で操作できる。
【0189】
厚さ均一性
分光反射器(F20、Filmetrics)を用いて厚さを測定した。データはSi/SiO2/MAPbI3/空気の光学スタックから構成されるモデルにフィッティングした。フィッティングの適合度は98%を超え、MAPbI3の光学定数はLoeperらのJ.Phys.Chem.Lett.,2015,6,66-71から取った。
【0190】
結果及び考察
ACN/MA複合溶媒で製造した溶液を用いて、X線回折及び光学特性評価のためにCH3NH3PbI3の膜を作製した。アセトニトリルは標準室温及び標準圧力(STP)において82℃の沸点及び9.71kPaの蒸気圧を有する溶媒であり、一方、メチルアミンは気体である。メチルアミンがアセトニトリルに溶解している混合溶媒の場合、80℃の沸点及び0.25cPの粘度を有することがわかった。ACN/MA複合溶媒からCH3NH3PbI3の膜を堆積する場合、膜はスピンコート中に完全に結晶化するように見え、多結晶CH3NH3PbI3に特徴的な強い暗い色を示している。
【0191】
図11は、対応する膜の写真と並んで、スピンコート後、及び異なる時間間隔で100℃でアニールした後の単一の代表的な膜のX線回折図を示している。これらの回折パターンから、アニール前であってもペロブスカイト膜がすでに形成されており、正方晶ペロブスカイト結晶構造に特有のピークを示すことが確認できる。膜を15分間100℃でアニールした後、12.6°に小さなピークが出現することが観察され、これはヨウ化鉛の存在によるものであり得る。このピークの出現は膜の「過アニール」の始まりを示唆しており、これはいくつかの有機成分が追い出されていることにより特徴付けられる。同時に、特徴的なペロブスカイトピークが明確に鋭くなっている。これらのピーク幅の減少は、アニールにより結晶性の向上又は膜中のグレイン(結晶粒)の粗大化が起こることを示唆している。
【0192】
図12は、これらの膜の吸収スペクトル及び定常状態フォトルミネッセンススペクトルを示している。およそ770nmにおける特徴的な吸収開始、及び780nmにおける定常状態フォトルミネッセンス(PL)ピークが見られる。
図12(b)は、DMF中の前駆体溶液から作製したCH
3NH
3PbI
3-xCl
x膜及びCH
3NH
3PbI
3膜の時間分解フォトルミネッセンスの減衰と並べて、ACN/MA混合溶媒から処理したCH
3NH
3PbI
3膜の時間分解フォトルミネッセンスの減衰を示している。なお、CH
3NH
3PbI
3膜はMAI:PbI
2の化学量論溶液から作製され、CH
3NH
3PbI
3-xCl
x膜はモル比3:1のMAI:PbCl
2から作製される。PLの減衰は、多結晶膜の放射性及び非放射性減衰定数並びに光電子的均質性を含む多くの要因に影響される。一般的な兆候として、PL寿命が長いほど、非放射減衰が遅く、それゆえに電荷キャリアがより長寿命となるとともに電荷キャリア拡散長がより長くなる。これらの膜の吸収スペクトル及び定常状態フォトルミネッセンススペクトルが
図12に示されている。フォトルミネッセンス寿命を定量化するために、データを引き伸ばされた指数関数にフィッティングした。ACN/MA溶媒から処理したCH
3NH
3PbI
3膜について、平均寿命<τ>は676nsであり、DMF処理した膜の平均寿命よりも非常に長く、DMF処理した膜は、CH
3NH
3PbI
3-xCl
x及びCH
3NH
3PbI
3についてそれぞれ<τ>値が258ns及び28nsである。これは、この新規な溶媒系での処理により得られた膜の光電子的な質の著しい向上を示している。
【0193】
また、走査型電子顕微鏡(SEM)及び原子間力顕微鏡(AFM)を用いて膜の表面形態を検討した。結晶粒が密集して詰まっており、個々のドメインのサイズが500nmから700nmの範囲内であることがわかった。低倍率では、膜中にピンホールがないことがより顕著になる。AFMを用いて、膜の表面粗さを調べ、7.8nmの二乗平均平方根(rms)値(5×5ミクロン走査領域、コンタクトモード)を得た。このrms値は、DMF中のハロゲン化鉛前駆体から処理したCH3NH3PbI3膜(52.2nm)及びCH3NH3PbI3-xClx膜(62.4nm)について過去に報告された値よりもかなり小さい。本発明に従う方法に従って製造された膜について観察された低い表面粗さは、この溶媒から処理した膜の最も視覚的に際立った特徴の一つ、すなわち滑らかで鏡面性の外観を説明する。
【0194】
ACN/MA溶液からペロブスカイト膜を処理することの付加された利点の一つは、比較的大面積を均一に被覆できることである。これを説明するために、Si基板(直径10cm)を被覆し、得られた膜を分光反射率測定を用いて調べた。全領域にわたる多くの点において膜厚を調べ、ペロブスカイト層は非常に均一であり、329.6±6.3nmの厚みを有することがわかった。
【0195】
溶媒をうまく扱うことで非常に滑らかでピンホールのない膜を製造でき、電荷キャリア寿命を増加できることを示してきたが、これらの膜を光起電デバイスに組み込み、さらに検討した。最適のデバイス作製手順を、一連のデバイスをアニール時間を増加させながら用意して決定した。この実験から、最適なアニール時間が60分であることが決定された。これらのデバイスについて、使用したデバイススタックはFTO/TiO
2/C
60/CH
3NH
3PbI
3/スピロ-OMeTAD/Auであった。典型的なデバイスの断面SEM像を
図13に示す。
【0196】
最もよい性能のデバイスの電流密度電圧(JV)特性及び定常状態効率を
図14に示す。
図14に示す全てのデバイスは、0.0912cm
2の活性面積を有する。より大きな活性面積(0.7cm
2)を有するデバイスも作製し、p-i-nセル構成について15%を超える最大安定化電力変換効率を達成した。デバイスの性能パラメーターを表1に示す。
【0197】
【0198】
AM1.5スペクトルにわたって外部量子効率(EQE)を組み込むことにより、このデバイスについて20.8mA/cm2のJSCが得られた。この値はソーラーシミュレータから取り出されるJSCの5%以内である。これらのデバイスのダイオード性能を評価するために、JV曲線をダイオード方程式にフィッティングし、小面積のn-i-p及びp-i-nデバイスについてそれぞれ2029Ωcm2及び7535Ωcm2のシャント抵抗が得られた。より大面積のデバイスについて、1862Ωcm2及び1189Ωcm2のシャント抵抗値が得られた。これらの比較的高いシャント抵抗は、ペロブスカイト層中にピンホールがほとんど存在しないか全く存在しないことをさらに示している。
【0199】
結論:
まとめると、メチルアミン等のアルキルアミンをアセトニトリル等の溶媒に溶解させることにより、CH3NH3PbI3ペロブスカイト前駆体塩の溶媒和を可能にする、低沸点で産業的に拡張可能な溶媒系が開発された。この溶媒の素早い蒸発を活用することにより、単純なワンステップのスピンコートプロセスで、室温でペロブスカイト材料の高速な結晶化を誘発できる。この方法は、超平滑でピンホールがなく、DMFから処理した膜と比べて著しく高められたPL寿命を有する、CH3NH3PbI3膜の形成を可能にする。さらに、この新規な溶媒混合物を用いることにより、均一なペロブスカイト膜を125cm2までの面積を有する基板上に作製することが可能であり、300nmの厚さの膜について膜厚の標準偏差は±6.25nmである。この新規な高速結晶化法を活用することにより、100℃でアニールした膜について18%を超える安定化効率で動作する光起電デバイスを得、熱処理を行わなかった膜について17%を超える安定化効率で動作する光起電デバイスを得た。この溶媒を使用することで、伝統的な実験室規模のペロブスカイトデバイスの作製の簡便さが増すだけではなく、小さな変更でスプレーコート、スロットダイコート及びインクジェット印刷等のより大規模な溶媒処理方法に適合する溶液系がもたらされる。
【0200】
実施例4-ACN/メチルアミン/ブチルアミン
材料及び方法
ACN/MA溶液:
ACN/MA溶液を調製するために、MAのエタノール溶液(Sigma Aldrich、33wt%)を氷浴中に保持したエアレータに置いた。次いで、キャリアガスであるN2を溶液にバブリングし、MAの溶液を脱気した。製造したMAガスを、乾燥剤(Drietire及びCaO)で満たした乾燥管を通過させた後、ペロブスカイト前駆体(1 MAI:1.06M PbI2)を0.5Mの濃度で含むACN(Sigma Aldrich)に直接バブリングした。ガスを黒色分散液に、ペロブスカイト粒子が完全に溶解して透明で淡黄色の溶液となるまでバブリングした。溶液中の全粒子が溶解した後、バイアル瓶をセプタムキャップで密封して、必要になるまで5℃で保管した。
【0201】
ACN/BA溶液:
最終溶液のモル濃度が0.5Mになるように、モル比1:1.06のBAI:PbI2をBA:ACNの50:50混合物に加えた。溶液が完全に溶解した場合、必要になるまで室温に保持した。
【0202】
ACN/MA/BA溶液:
ACN/MA溶液を上記のように作った。適当なバンドギャップシフトを得るために、溶液に少量のACN/BA溶液(5-200μL/mL)を必要に応じて加えた。
【0203】
膜形成:
ACN/MA溶媒中MAI/BAI(Dyesol)対PbI2(純度99%)が1:1.06の0.5M溶液を基板に2000rpmで45秒間乾燥空気中でスピンコートし、結果として平滑で緻密なペロブスカイト層を形成した。次いで、基板を100℃で60分間加熱して過剰な有機物を除去した。
【0204】
結果:
アセトニトリルのようなペロブスカイト材料の典型的な非溶媒をアルキルアミンと組み合わせて、ペロブスカイト材料の強溶媒を形成することができることが示された。この実施例において、アルキルアミンの組み合わせをペロブスカイト材料のバンドギャップを調整する手段として用いてもよいことも示された。ACN/MA複合溶媒中の0.5MのCH3NH3PbI3溶液から始め、CH3NH3PbI3ペロブスカイトのバンドギャップを調整するために、量を増加させたブチルアミン(5μL/mLの溶液-200μL/ml)を添加した。
【0205】
図15は、溶媒に加えるブチルアミンの量の増加に伴うCH
3NH
3PbI
3から作製した膜の定常状態フォトルミネッセンスピークにおけるシフトを示している。
【0206】
フォトルミネッセンスピークにおける観察可能なシフトは、臨界値において、ブチルアミンがペロブスカイトにブチルアンモニウムカチオンの形で組み込まれていることを示唆している。これらのペロブスカイト膜の構造及び形態への影響を特定するために、X線回折測定を行った。結果を
図16に示す。
【0207】
これは、溶媒組成を調整することで、つまり、様々な長鎖アルキルアミンを溶媒に導入することで、ペロブスカイト材料のバンドギャップ及び構造を調整し得るという証拠となる。ANC/MA/BA混合物から製造される材料を太陽電池の活性層として用いた。少量のブチルアミンを溶媒系に混合することで、性能の向上が見られることがわかった。これらの結果を
図17に示す。
本発明の態様として例えば以下を挙げることができる。
[項1]
結晶性A/M/X材料の層を製造する方法であって、
結晶性A/M/X材料が、式[A]
a
[M]
b
[X]
c
の化合物を含み、
[M]が、1種以上の第一のカチオンを含み、1種以上の第一のカチオンが金属カチオン又は半金属カチオンであり、
[A]が、1種以上の第二のカチオンを含み、
[X]が、1種以上のハロゲン化物アニオンを含み、
aが1から6の整数であり、
bが1から6の整数であり、
cが1から18の整数であり、
前記方法が、前駆体組成物を基板上に配置することを含み、
前記前駆体組成物が、
(a)金属カチオン又は半金属カチオンである第一のカチオン(M)を含む第一の前駆体化合物と、
(b)溶媒と、
を含み、
前記溶媒が、
(i)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と、
(ii)アルキルアミンと、
を含む方法。
[項2]
前記アルキルアミンが式R
A
NH
2
の化合物であり、R
A
がC
1-8
アルキル基である、項1に記載の方法。
[項3]
前記アルキルアミンがメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、又はペンチルアミンであり、好ましくは前記アルキルアミンがメチルアミンである、項2に記載の方法。
[項4]
(前記アルキルアミン):(前記第一の前駆体化合物)のモル比が、1×10
-7
:1から0.5:1、場合によっては1×10
-6
:1から0.1:1である、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
前記溶媒がアセトニトリルを含む、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
前記1種以上の第一のカチオンが、Ca
2+
、Sr
2+
、Cd
2+
、Cu
2+
、Ni
2+
、Mn
2+
、Fe
2+
、Co
2+
、Pd
2+
、Ge
2+
、Sn
2+
、Pb
2+
、Yb
2+
、Eu
2+
、Bi
3+
、Sb
3+
、Pd
4+
、W
4+
、Re
4+
、Os
4+
、Ir
4+
、Pt
4+
、Sn
4+
、Pb
4+
、Ge
4+
、及びTe
4+
から選択され、好ましくは、前記1種以上の第一のカチオンが、Cu
2+
、Pb
2+
、Ge
2+
、及びSn
2+
から選択され、
前記1種以上の第二のカチオンが、式Cs
+
、(NR
1
R
2
R
3
R
4
)
+
、(R
1
R
2
N=CR
3
R
4
)
+
、(R
1
R
2
N-C(R
5
)=NR
3
R
4
)
+
、及び(R
1
R
2
N-C(NR
5
R
6
)=NR
3
R
4
)
+
(式中、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、及びR
6
は、それぞれ独立してH、置換もしくは非置換のC
1-20
アルキル基、又は置換もしくは非置換のアリール基である)のカチオンから選択され、好ましくは、前記1種以上の第二のカチオンが、(CH
3
NH
3
)
+
及び(H
2
N-C(H)=NH
2
)
+
から選択される、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項7]
前記第一の前駆体化合物が式MX
2
の化合物であり、好ましくは、前記第一の前駆体化合物が式SnI
2
、SnBr
2
、SnCl
2
、PbI
2
、PbBr
2
、又はPbCl
2
の化合物である、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項8]
前記方法が、第二の前駆体化合物を前記基板上に配置することをさらに含み、第二の前駆体化合物が、第二のカチオン(A)及び第一のアニオン(X)を含み、好ましくは、前記第二の前駆体化合物が式[A][X]の化合物(式中、[A]が前記1種以上の第二のカチオンを含み、[X]が前記1種以上のハロゲン化物アニオンを含む)である、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[項9]
前記前駆体組成物がさらに、
(c)第二のカチオン(A)及び第一のアニオン(X)を含む第二の前駆体化合物を含む、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項10]
前記第二の前駆体化合物が式AXの化合物であり、好ましくは、前記第二の前駆体化合物が(CH
3
NH
3
)I、(CH
3
NH
3
)Br、又は(CH
3
NH
3
)Clである、項8又は9に記載の方法。
[項11]
[A]が、式(R
A
NH
3
)
+
のカチオンである第二のカチオンを含み、前記アルキルアミンが式R
A
NH
2
の化合物であり、各R
A
は同じ基であって、C
1-8
アルキル基であり、
好ましくは、前記第二のカチオンがメチルアンモニウムであり、前記アルキルアミンがメチルアミンである、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[項12]
前記結晶性A/M/X材料が式[A][M][X]
3
のペロブスカイト化合物を含み、[A]が前記1種以上の第二のカチオンを含み、[M]が前記1種以上の第一のカチオンを含み、[X]が前記1種以上のハロゲン化物アニオンを含む、項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[項13]
前記結晶性A/M/X材料が、式CH
3
NH
3
PbI
3
、CH
3
NH
3
PbBr
3
、CH
3
NH
3
PbCl
3
、CH
3
NH
3
PbF
3
、CH
3
NH
3
PbBr
x
I
3-x
、CH
3
NH
3
PbBr
x
Cl
3-x
、CH
3
NH
3
PbI
x
Br
3-x
、CH
3
NH
3
PbI
x
Cl
3-x
、CH
3
NH
3
PbCl
x
Br
3-x
、CH
3
NH
3
PbI
3-x
Cl
x
、CH
3
NH
3
SnI
3
、CH
3
NH
3
SnBr
3
、CH
3
NH
3
SnCl
3
、CH
3
NH
3
SnF
3
、CH
3
NH
3
SnBrI
2
、CH
3
NH
3
SnBr
x
I
3-x
、CH
3
NH
3
SnBr
x
Cl
3-x
、CH
3
NH
3
SnF
3-x
Br
x
、CH
3
NH
3
SnI
x
Br
3-x
、CH
3
NH
3
SnI
x
Cl
3-x
、CH
3
NH
3
SnF
3-x
I
x
、CH
3
NH
3
SnCl
x
Br
3-x
、CH
3
NH
3
SnI
3-x
Cl
x
、CH
3
NH
3
SnF
3-x
Cl
x
、CH
3
NH
3
CuI
3
、CH
3
NH
3
CuBr
3
、CH
3
NH
3
CuCl
3
、CH
3
NH
3
CuF
3
、CH
3
NH
3
CuBrI
2
、CH
3
NH
3
CuBr
x
I
3-x
、CH
3
NH
3
CuBr
x
Cl
3-x
、CH
3
NH
3
CuF
3-x
Br
x
、CH
3
NH
3
CuI
x
Br
3-x
、CH
3
NH
3
CuI
x
Cl
3-x
、CH
3
NH
3
CuF
3-x
I
x
、CH
3
NH
3
CuCl
x
Br
3-x
、CH
3
NH
3
CuI
3-x
Cl
x
、又はCH
3
NH
3
CuF
3-x
Cl
x
(式中、xは0から3である)のペロブスカイト化合物を含み、
好ましくは前記ペロブスカイト化合物がCH
3
NH
3
PbI
3
である、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
[項14]
(第一の前駆体化合物):(第二の前駆体化合物)のモル比が、1:2から2:1である、項8~13のいずれか一項に記載の方法。
[項15]
前記溶媒を除去して前記ペロブスカイト化合物を含む前記層を形成することをさらに含む、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
[項16]
前記前駆体組成物が配置された前記基板を加熱することをさらに含み、好ましくは、前記基板が50℃から200℃の温度に加熱され、より好ましくは、前記基板が50℃から200℃の温度に10から100分の時間加熱される、項1~15のいずれか一項に記載の方法。
[項17]
前記前駆体組成物を前記基板上に配置することが、前記前駆体組成物を前記基板上にスピンコートすることを含む、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
[項18]
前記ペロブスカイト化合物を含む前記層が、5から3000nmの厚み、又は100nm以上の厚みを有する、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
[項19]
(a)PbI
2
と、
(b)アセトニトリル及びメチルアミンを含む溶媒と、
(c)(CH
3
NH
3
)Iと、
を含む前駆体組成物を基板上に配置することを含む、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項20]
前記基板が、第一の電極材料の層を含み、場合によっては、n型半導体層、p型半導体層、及び絶縁材料層から各々選択される一つ以上の追加の層を含む、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
[項21]
前記基板の前記前駆体組成物が配置された表面が、第一の電極材料、n型半導体層、p型半導体層、及び絶縁材料層のうち一つ以上を含む、項1~20のいずれか一項に記載の方法。
[項22]
前記基板の前記前駆体組成物が配置された表面が、ジメチルホルムアミドに溶ける材料の層を含む、項1~21のいずれか一項に記載の方法。
[項23]
前記溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含み、好ましくは、前記溶媒が前記第一の前駆体化合物中の前記第一のカチオンMの量の1.0から2.0当量の量でDMSOを含む、項1~22のいずれか一項に記載の方法。
[項24]
項1~23のいずれか一項に記載の方法を含む、半導体デバイスを製造する方法。
[項25]
項24に記載の方法によって得られる半導体デバイス。
[項26]
(i)式MX
n
(式中、MはCa
2+
、Sr
2+
、Cd
2+
、Cu
2+
、Ni
2+
、Mn
2+
、Fe
2+
、Co
2+
、Pd
2+
、Ge
2+
、Sn
2+
、Pb
2+
、Yb
2+
、Eu
2+
、Bi
3+
、Sb
3+
、Pd
4+
、W
4+
、Re
4+
、Os
4+
、Ir
4+
、Pt
4+
、Sn
4+
、Pb
4+
、Ge
4+
、又はTe
4+
、好ましくはCu
2+
、Pb
2+
、Ge
2+
、又はSn
2+
であり、XはI
-
、Br
-
、Cl
-
、又はF
-
であり、nは2、3、又は4である)の化合物と、
(ii)式AX(式中、Aは(R
1
NH
3
)
+
、(NR
2
4
)
+
、及び(H
2
N-C(R
1
)=NH
2
)
+
であり、R
1
はH、又は非置換のC
1-6
アルキル基であり、R
2
はそれぞれ非置換のC
1-6
アルキル基であり、XはI
-
、Br
-
、Cl
-
、又はF
-
である)の化合物と、
(iii)アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、又はこれらの混合物と、
(iv)式R
A
NH
2
(式中、R
A
はC
1-8
アルキル基である)のアルキルアミンと、
を含む組成物。
[項27]
(i)PbI
2
、PbBr
2
、又はPbCl
2
、好ましくはPbI
2
と、
(ii)(CH
3
NH
3
)I、(CH
3
NH
3
)Br、又は(CH
3
NH
3
)Cl、好ましくは(CH
3
NH
3
)Iと、
(iii)アセトニトリルと、
(iv)メチルアミンと、
を含む、項26に記載の組成物。
[項28]
(MX
n
):(AX)のモル比が1:2から2:1であり、(アルキルアミン):(MX
n
)のモル比が1×10
-7
:1から0.5:1、場合によっては1×10
-7
:1から0.1:1である、項26又は27に記載の組成物。