IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アエロフォイル エナジー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-オープンディスプレイ冷蔵庫の改良 図1
  • 特許-オープンディスプレイ冷蔵庫の改良 図2
  • 特許-オープンディスプレイ冷蔵庫の改良 図3
  • 特許-オープンディスプレイ冷蔵庫の改良 図4
  • 特許-オープンディスプレイ冷蔵庫の改良 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】オープンディスプレイ冷蔵庫の改良
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20220118BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A47F3/04 H
F25D17/08 320M
F25D17/08 320A
F25D17/08 320H
F25D17/08 320B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018560623
(86)(22)【出願日】2017-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 GB2017051366
(87)【国際公開番号】W WO2017199017
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】1608586.2
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516290221
【氏名又は名称】アエロフォイル エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッカンドリュー ポール
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-162569(JP,U)
【文献】国際公開第2014/167320(WO,A1)
【文献】特開平07-218093(JP,A)
【文献】米国特許第04245482(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00-3/14
A47F 11/00-11/10
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させ、前記空気吹出口の端部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間側の領域のみを開放状態のままにし、エアカーテンガイドは、前記ブランキングプレートにおける前記内部空間側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置される、オープンディスプレイ冷蔵庫。
【請求項2】
棚板を収納する冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させ、前記空気吹出口の基部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の領域のみを開放状態のままにし、エアカーテンガイドは、前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置され、前記棚板は、前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部と前記エアカーテンガイドとの間の隙間が所定閾値よりも小さくなるように配置される、オープンディスプレイ冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載のオープンディスプレイ冷蔵庫において、
前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部は、前記空気吹出口における前記基部領域の真下にある、オープンディスプレイ冷蔵庫。
【請求項4】
請求項2に記載のオープンディスプレイ冷蔵庫において、
前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部は、エアカーテンの内部にある、オープンディスプレイ冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫において、
前記エアカーテンガイドは、エアフォイルとして構成される、オープンディスプレイ冷蔵庫。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫において、
前記空気吹出口は、前記エアカーテンの空気の流れと平行な縦方向に延在する流路のセル状マトリックスが内部に組み込まれている、オープンディスプレイ冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫における空気吹出口の一部領域を閉塞するためのブランキングプレートと、請求項1~6のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫に取り付けられる少なくとも1つのエアカーテンガイドと、を備えるキット。
【請求項8】
請求項7に記載のキットにおいて、
請求項1~6のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫の空気吹出口に組み込まれる流路のセル状マトリックスをさらに備えるキット。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫における空気吹出口の一部領域を閉塞するためのブランキングプレートと、請求項1~6のいずれか1つに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫の空気吹出口に組み込まれる流路のセル状マトリックスと、を備えるキット。
【請求項10】
冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させる、オープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法であって、前記空気吹出口の端部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間側の領域のみを開放状態のままにする工程と、エアカーテンガイドを、前記ブランキングプレートにおける前記内部空間側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置する工程と、を含むオープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法。
【請求項11】
棚板を収納する冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させる、オープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法であって、前記空気吹出口の基部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の領域のみを開放状態のままにする工程と、エアカーテンガイドを、前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置する工程と、前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部と前記エアカーテンガイドとの間の隙間が所定閾値よりも小さくなるように前記棚板を配置する工程と、を含むオープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部が前記空気吹出口における前記基部領域の真下になるように、前記棚板を配置する工程をさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部が前記エアカーテンの内部に位置するように、前記棚板を配置する工程をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1つに記載の方法において、
前記エアカーテンの空気の流れと平行な縦方向に延在する流路のセル状マトリックスを前記空気吹出口の内部に組み込む工程をさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記空気吹出口の前記基部領域又は端部領域を閉塞する前に、前記エアカーテンにおける風の初速を測定する工程と、前記縦方向と交差する方向に特定の寸法を有する流路を含む複数の有効なセル状マトリックスから前記セル状マトリックスを選択する工程と、をさらに含み、前記エアカーテンにおける風の終速は、前記初速に最も近くかつ/又は前記初速よりも遅い速度になるように前記選択がされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンディスプレイ冷蔵庫、及びオープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンディスプレイ冷蔵庫は、スーパーマーケット等の小売環境で一般に使用され、周囲温度よりも低い温度で保存しなければならない製品(肉類や乳製品等)を保管し陳列するものである。このような冷蔵庫は正面が開放されているので、顧客にとっては、陳列中の製品が見やすく、また、この冷蔵庫から購入したい製品を取り出しやすい。
【0003】
このタイプの冷蔵庫はエアカーテンを有する。このエアカーテンは、冷蔵庫の正面全体に亘って冷風を送風することによって形成される。エアカーテンは、冷蔵庫の上部にある空気吹出口から冷蔵庫の底部にある空気吸入口に向かって形成される。空気吸入口は、エアカーテンから空気を回収し、この空気を冷却用熱交換器及びファンを介して空気吹出口まで再循環させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアカーテンにより、冷蔵庫内の冷気が冷蔵庫外部の暖気と混ざらないようになっている。しかしながら、エアカーテンは、とりわけ、冷蔵庫の底部から空気が漏出する傾向にあり、外部からの暖気がエアカーテンに取り込まれてしまうので、かなり非効率的である。この非効率の問題を改善するために、近年、暖気を取り込まないようにエアカーテンを制御する点について開発が行われている。1つの方法としては、冷蔵庫内の棚板の前縁に固定されるエアフォイルを使用してエアカーテンを所望の領域内に収める方法がある。
【0005】
効果的に動作させるには、エアフォイルは、エアカーテンの外側縁部と相当良好に位置合わせされる必要がある。冷蔵庫の設計の中には、棚板の前縁とエアフォイルとの間に大きい隙間が生じ得るものもいくつかある(例えば奥行きのある空気吹出口を有する設計など)。大きい隙間は買い物客及び店員にとって障害になる。さらに、エアフォイルを冷蔵庫に取り付けるブラケットを長くする必要があるので、例えば、買い物客が買い物かごをエアフォイルに載せると、ブラケットが破損したり変形したりしがちである。これらの問題のために、小売業者は、エアカーテンを誘導するためのエアフォイルを冷蔵庫に採用しないことにする場合があり、これらのエアフォイルの使用によって実現できる効率向上が実現されない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させ、前記空気吹出口の端部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間側の領域のみを開放状態のままにし、エアカーテンガイドが、前記ブランキングプレートにおける前記内部空間側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置される、オープンディスプレイ冷蔵庫が提供される。
【0007】
典型的な状況では、冷蔵内部空間は1つ以上の棚板を収納する。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、棚板を収納する冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させ、前記空気吹出口の基部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の領域のみを開放状態のままにし、エアカーテンガイドが、前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置され、前記棚板は、前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部と前記エアカーテンガイドとの間の隙間が所定閾値よりも小さくなるように配置される、オープンディスプレイ冷蔵庫が提供される。
【0009】
第2の態様では、棚板におけるエアカーテンガイド側の縁部は、空気吹出口の基部領域の真下にあってもよい。あるいは、棚板におけるエアカーテンガイド側の縁部は、エアカーテンの内部にあってもよい。
【0010】
特に断りがない限り、以下の段落に記載の任意の特徴は、本発明の第1の態様のオープンディスプレイ冷蔵庫及び第2の態様のオープンディスプレイ冷蔵庫のいずれにも関連するものとする。
【0011】
空気吹出口は、通常、内部空間の幅全体に亘って横断的に延在する。これにより、エアカーテンも内部空間の幅全体に確実に延在することになる。ブランキングプレートを用いて、空気吹出口における(第1の態様における)端部領域、又は(第2の態様における)基部領域を閉塞してもよい。ブランキングプレートは、好ましくは、空気吹出口の幅全体に横断的に延在して、空気吹出口における(第1の態様における)端部領域、又は(第2の態様における)基部領域を効果的に閉塞する。
【0012】
典型的には、オープンディスプレイ冷蔵庫の内部空間は1つ以上の棚板を収納する。この棚板又はこれらの棚板の各々は、通常、対応するエアカーテンガイドを有する。このエアカーテンガイドは、冷蔵庫のケーシング又は棚板における内部空間から外側に向いている縁部に取り付け得る。エアカーテンガイドは、エアカーテンガイドと棚板との間に隙間を残すように取り付け得る。
【0013】
好適な実施形態では、エアカーテンガイドはエアフォイルとして構成される。使用できるエアフォイルの典型的な設計としては、キャンバエアフォイルが挙げられる。このエアフォイルは、通常、先端が最も高い位置になりかつ反り面が内部空間とは逆側に向くように配向される。
【0014】
エアカーテンガイドは、ブランキングプレートにおける内部空間側の縁部とエアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように配置される(本発明の第1の態様)。あるいは、エアカーテンガイドは、空気吹出口における内部空間と反対側の縁部とエアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように配置される(本発明の第2の態様)。どの程度真っ直ぐ並べるかはあまり重要ではない。通常、エアカーテンガイドは、エアカーテンとオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気との境界と接しているか、又は、この境界を跨いでいるかのいずれかであれば十分である。
【0015】
しかしながら、エアカーテンガイドがエアフォイルである場合、エアフォイルにおける冷蔵内部空間側の面(すなわち、エアフォイルの正圧面)は、エアカーテンとオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気との境界と接しているか、又は、この境界を跨いでいるかのいずれかであることが好ましい。言い換えれば、この好適な変形例においては、エアフォイルにおける冷蔵内部空間側の面は、ブランキングプレートにおける内部空間側の縁部とエアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように配置される(本発明の第1の態様)。あるいは、エアフォイルにおける冷蔵内部空間側の面は、空気吹出口における内部空間と反対側の縁部とエアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように配置される(本発明の第2の態様)。
【0016】
正確な位置合わせが重要なわけではないので、エアフォイルは、該エアフォイルの先端が、エアカーテンとオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気との境界を跨いでいてもよい。この変形例においては、エアフォイルにおける先端部の一部が、ブランキングプレートにおける内部空間側の縁部とエアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように配置される(本発明の第1の態様)。あるいは、エアフォイルにおける先端部の一部が、空気吹出口における内部空間と反対側の縁部とエアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように配置される(本発明の第2の態様)。したがって、エアフォイルの正圧面はエアカーテン内部にある一方、負圧面はエアカーテンを越えた位置であるオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気中にある。
【0017】
空気吹出口は、エアカーテンの空気の流れと平行な縦方向に延在する流路のセル状マトリックスが内部に組み込まれてもよい。
【0018】
ブランキングプレートを垂直方向に向けて使用して空気吹出口の端部領域を閉塞する(本発明の第1の態様において起こり得る)場合、流路のセル状マトリックスは、ブランキングプレートのフランジに載置することにより、一方の縁部に沿って支持できる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、キットは、第1の態様及び第2の態様のいずれかに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫における空気吹出口の一部領域を閉塞するためのブランキングプレートと、第1の態様及び第2の態様のうちいずれかに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫に取り付けられる少なくとも1つのエアカーテンガイドと、を備える。
【0020】
キットは、第1の態様及び第2の態様のいずれかに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫の空気吹出口に組み込まれる流路のセル状マトリックスをさらに備えてもよい。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、キットは、第1の態様及び第2の態様のいずれかに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫における空気吹出口の一部領域を閉塞するためのブランキングプレートと、第1の態様及び第2の態様のいずれかに記載のオープンディスプレイ冷蔵庫の空気吹出口に組み込まれる流路のセル状マトリックスと、を備える。
【0022】
本発明の第6の態様によれば、冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させる、オープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法であって、前記空気吹出口の端部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間側の領域のみを開放状態のままにする工程と、エアカーテンガイドを、前記ブランキングプレートにおける前記内部空間側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置する工程と、を含むオープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法が提供される。
【0023】
本発明の第7の態様によれば、棚板を収納する冷蔵内部空間を備え、空気吹出口から対応する空気吸入口に向かって空気を送風するファンによって形成されるエアカーテンによって、前記冷蔵内部空間内の空気をオープンディスプレイ冷蔵庫外部の空気から分離し、前記対応する空気吸入口は空気を前記エアカーテンから回収して前記空気吹出口まで再循環させる、オープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法であって、前記空気吹出口の基部領域をブランキングプレートで閉塞することにより前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の領域のみを開放状態のままにする工程と、エアカーテンガイドを、前記空気吹出口における前記内部空間と反対側の縁部と前記エアカーテンの空気の流れる方向に一直線になるように、前記オープンディスプレイ冷蔵庫の前端よりも前記内部空間側に配置する工程と、前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部と前記エアカーテンガイドとの間の隙間が所定閾値よりも小さくなるように前記棚板を配置する工程と、を含むオープンディスプレイ冷蔵庫の調整方法が提供される。
【0024】
第7の態様の方法は、前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部が前記空気吹出口における前記基部領域の真下になるように前記棚板を配置する工程をさらに含んでもよい。
【0025】
あるいは、この方法は、前記棚板における前記エアカーテンガイド側の縁部が前記エアカーテンの内部に位置するように前記棚板を配置する工程をさらに含んでもよい。
【0026】
本発明の第6又は第7の態様に記載の方法は、前記エアカーテンの空気の流れと平行な縦方向に延在する流路のセル状マトリックスを前記空気吹出口の内部に組み込む工程、をさらに含んでもよい。
【0027】
この方法は、前記空気吹出口の前記基部領域又は端部領域を閉塞する前に、前記エアカーテンにおける風の初速を測定する工程と、前記縦方向と交差する方向に特定の寸法を有する流路を含む複数の有効なセル状マトリックスから前記セル状マトリックスを選択する工程と、をさらに含み、前記エアカーテンにおける風の終速が前記初速に最も近くかつ/又は前記初速よりも遅い速度になるように前記選択がされてもよい。
【0028】
こうすることが一般的には望ましい。なぜならば、ブランキングプレートにより空気吹出口を狭くする工程により、エアカーテン内の風速が初速を越えるまで上昇する傾向があるからである。この風速は、例えば、冷蔵庫にもともと装着されているセル状マトリックスの流路と比較して、エアカーテンの空気の流れと交差する方向の流路のサイズを大きくすることにより制御し得る。例として、六角形の流路を含むセル状マトリックスを用いる場合、六角形の流路の対向する面同士の距離は4mmから6~8mmまで長くなってもよい。このとき、空気吹出口のサイズを100mmから50mmまで縮小する。言い換えると、空気吹出口のサイズをこのように小さくすると、エアカーテンの空気の流れと交差する方向の流路のサイズ(例えば、セル状マトリックスの六角形の流路の対向する面同士の間のサイズ)を、6~8mmの範囲内になるように選択することにより、風速を初速に可能な限り最も近い値(セル状マトリックスの流路の有効なサイズの範囲に基づく値)に戻しかつ/又は初速よりも遅くするように制御してもよい。六角形の流路のセル状マトリックスの典型的なサイズの範囲は、六角形の流路の対向する面同士の間で3~8mmであるが、それ以上又はそれ以下のサイズであってもよい。
【0029】
オープンディスプレイ冷蔵庫を調整する前に(すなわち、空気吹出口の基部領域又は端部領域を閉塞する前であって既存のセル状マトリックスを取り外す前に)、エアカーテン内に保持された風速計を用いて初速を測定できる。基部領域又は端部領域を閉塞した後、既存のセル状マトリックスよりも(横方向に)大きい流路を有するセル状マトリックスを選択することにより、エアカーテン内の風速を初速に可能な限り近い速度(セル状マトリックスの流路の有効なサイズの範囲に基づく速度)に戻しかつ/又は初速よりも遅い速度にできる。この選択は特に困難なく実験的に実行できる。なぜなら、利用できる流路の有効なサイズの数には限りがあり、当然、特定の型の冷蔵庫を調整した経験によっても、この選択を導くことができる。エアカーテンの終速を風速計により測定することにより、終速が許容できることを確認し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明を適用し得るオープンディスプレイ冷蔵庫を示す。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係るオープンディスプレイ冷蔵庫内の空気吹出口の詳細図である。
図3図3は、本発明の第2の実施形態に係るオープンディスプレイ冷蔵庫内の空気吹出口の詳細図である。
図4図4は、本発明の第3の実施形態に係るオープンディスプレイ冷蔵庫内の空気吹出口の詳細図である。
図5図5は、本発明の第4の実施形態に係るオープンディスプレイ冷蔵庫内の空気吹出口の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1は、オープンディスプレイ冷蔵庫1の断面図である。冷蔵庫は、周囲温度よりも低い温度に保たれる内部空間2を有する。内部空間2内には5つの棚板3a~3eがある。冷蔵庫1は、空気吹出口4から空気吸入口5に向かって冷風を送風することによってエアカーテンを形成する。空気吸入口5は、エアカーテンから空気を回収し、冷蔵庫1内のファン(不図示)がこの空気を空気吹出口4まで再循環させる。冷蔵庫1内の冷却ユニット(不図示)は、再循環された空気(ひいては空気吹出口4から送風されてエアカーテンを形成する空気)を所望の温度に維持する。この所望の温度としては、周囲温度よりも低い温度が選択され、内部空間2内の冷気が冷蔵庫外部の暖気と混ざらないようにする役割を果たす。
【0033】
エアフォイル6a~6eも図1に示す。エアフォイル6a~6eは、各々、棚板3a~3eのうちの対応する棚板の前縁に装着される。前述したように、これらのエアフォイル6a~6eは、エアカーテンが所望の経路に収まるように補助するとともに、冷蔵庫1外部の暖気がエアカーテンに取り込まれないようにする。この場合、エアカーテンは、空気吹出口4から空気吸入口5まで垂直方向に形成される。したがって、エアフォイルは、空気吹出口4の外縁部の真下に垂直方向に一直線に並べられている。より一般的には、これらのエアフォイルは、エアカーテンが空気吹出口4から空気吸入口5まで形成される場合にエアカーテンの風が流れることになっている方向と平行になるとともにエアカーテンの外側縁部とほぼ一致するように、一直線に並べられている。
【0034】
図1では、空気吹出口4が比較的狭いので、この状況を許容できる。これにより、棚板3a~3eは、エアカーテンに干渉することなく十分な長さまで突出できる。したがって、棚板3a~3eとエアフォイル6a~6eとの間の隙間が小さくなる。他の図面(図2~5)では、より奥行きのある空気吹出口を使用する。これらの棚板を短くすることにより、エアカーテンとの干渉を回避する。エアフォイル6a~6eが図1と同じ位置に維持される場合、棚板3a~3eの前縁とエアフォイル6a~6eとの間の隙間が許容できないものになる。
【0035】
図2は第1の課題解決手段を示す。冷蔵庫の上部のみを図示する。図2では、空気吹出口7は、水平方向に配向されたブランキングプレート8によって部分的に閉塞される。ブランキングプレート8は、空気吹出口7の幅全体に亘って延在する簡単なシート状の金属又はプラスティックであってもよい。ブランキングプレート8は、空気吹出口7における内部空間2とは反対側の領域を閉塞する。空気吹出口7における内部空間7側の領域は開放状態のままである。言い換えると、この領域は内部空間2と流体連通することにより、エアカーテンの風が内部空間側の領域を流れ得る。
【0036】
棚板9は、エアカーテンと干渉するほど突出しておらず、エアフォイル10がブラケット(不図示)によって前縁に取付けられている。エアフォイル10は、ブランキングプレート8における内部空間2に最も近い縁部11と一直線になるように配置される。したがって、図1の状況と同様に、エアフォイル10は、エアカーテンの外側縁部と一直線になるように配置される。
【0037】
流路のセル状マトリックス12が空気吹出口7に設けられることにより、空気が流路を通過してエアカーテンを必ず形成するようになっている。このマトリックスを利用して、エアカーテンを所望の方向(この場合、垂直方向)に向けるとともに風速を制御できる。この場合、流路のサイズを選択して、エアカーテンにおける風速を、エアカーテンの初速に可能な限り近い速度でありかつ/又はエアカーテンの初速よりも遅い速度に保つ。エアカーテンの初速は、ブランキングプレートの装着による冷蔵庫の調整前に風速計により測定される。実際には、セル状マトリックス12は、風速を可能な限り初期値に近い速度に戻すのに有効なマトリックスの範囲から選択される。選択されたマトリックスは、最初に取り付けられたセル状マトリックスの流路よりも幅が広い流路を含む。最初に取り付けられたセル状マトリックスは、当然、冷蔵庫の調整中に取り外される。セル状マトリックス12がない場合は、ブランキングプレート8を装着することにより空気吹出口が効果的に浅くなる結果として風速が上昇することになる。セル状マトリックスは、フランジ13a及び13bに支持される。セル状マトリックス12があるので、セル状マトリックス12に対してねじ留めすることによりブランキングプレート8を取り付けできる。
【0038】
図3では、ブランキングプレート8は、空気吹出口7における内部空間2側の領域に装着される。空気吹出口7における内部空間2とは反対側の領域は開放状態のままにされる。図示のように、空気吹出口7、ブランキングプレート8、及びセル状マトリックス12の配置は、その他の点においては、図2に示す配置と同じである。この配置により、より奥行きのある棚板14を取り付けることができる。この棚板の外縁は、ブランキングプレート8の真下に位置する。エアフォイル10は、空気吹出口7の外縁と一直線になるように配置され、棚板14とエアフォイル10との間の隙間は許容できないほど大きくならない。
【0039】
図4は別の解決手段を示す。この解決手段では、垂直方向に配向されたブランキングプレート15は、空気吹出口7における内部空間2とは反対側の領域を閉塞する。ブランキングプレート15はL字状であってもよく、L字状のプレートの一部は、空気吹出口7の上方にある冷蔵庫の上壁に(例えば、ねじによって)固定されてもよい。これにより、図4に示すようにL字状のプレートの残りの部分が垂直方向にぶら下がった状態になる。図2に示すのと同じ棚板9が図4でも使用され、エアフォイル10は、エアカーテンの外側縁部と一直線になるように配置された同じ位置にある。使用されるセル状マトリックス16は、図2及び図3のものよりも幅が狭いものである。このセル状マトリックス16は、フランジ13a及びフランジ17によってブランキングプレート15と接触した状態で支持される。軽微な変更が図5に示される。図5では、フランジ17は、ブランキングプレート15の垂直方向部分の片側を延伸させたものであり、冷蔵庫1の前壁と接触する。これにより、ブランキングプレート15をよりしっかりと取り付けできる。
図1
図2
図3
図4
図5